JP2006073274A - 画像表示装置 - Google Patents

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諭 石川
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祥子 平原
Yukinori Ueda
行紀 植田
Satoko Koyaizu
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Abstract

【課題】 スペーサと基板との隙間に起因する放電の発生を抑制し、信頼性および表示品位の向上した画像表示装置を提供することにある。
【解決手段】 蛍光面16が形成された第1基板10と、複数の電子放出源18が設けられた第2基板12との間に、複数の柱状のスペーサ30が立設され、第1および第2基板に作用する大気圧を支持している。スペーサは、第1および第2基板の間に位置しているとともにスペーサの全周に渡って露出した絶縁部31を有している。スペーサの少なくとも1つは、第1基板あるいは第2基板と隙間Gを置いて対向している
【選択図】 図5

Description

この発明は、対向配置された基板と、基板間に配設されたスペーサとを備えた画像表示装置に関する。
近年、陰極線管(以下、CRTと称する)に代わる次世代の軽量、薄型の表示装置として様々な平面型の画像表示装置が注目されている。例えば、平面表示装置として機能するフィールド・エミッション・デバイス(以下、FEDと称する)の一種として、表面伝導型電子放出装置(以下、SEDと称する)の開発が進められている。
このSEDは、所定の間隔をおいて対向配置された第1基板および第2基板を備え、これらの基板は矩形状の側壁を介して周辺部を互いに接合することにより真空外囲器を構成している。第1基板の内面には3色の蛍光体層およびメタルバックが形成され、第2基板の内面には、蛍光体を励起する電子源として、各画素に対応する多数の電子放出素子が配列されている。
前記のようなSEDにおいて、第1基板および第2基板間の空間、すなわち真空外囲器内は、高い真空度に維持されることが重要となる。真空度が低い場合、電子放出素子の寿命、ひいては、装置の寿命が低下してしまう。また、第1基板と第2基板間は真空であるため、第1基板、第2基板に対し大気圧が作用する。そこで、これらの基板に作用する大気圧荷重を支持し基板間の隙間を維持するため、両基板間には、多数の板状あるいは柱状のスペーサが配置されている。
スペーサを第1基板および第2基板の全面に渡って配置するためには、第1基板の蛍光体、第2基板の電子放出素子に接触しないように、極めて薄い板状、あるいは極めて細い柱状のスペーサが必要となる。第1基板および第2基板の薄板化を検討した場合、一層多くのスペーサが必要となる。例えば、特許文献1には、支持基板上に多数の柱状スペーサを立設してスペーサ構体を構成し、このスペーサ構体を第1および第2基板間に配置した装置が開示されている。
特開2001−272927号公報
前記のように構成されたSEDにおいて、第1および第2基板間に多数のスペーサを設ける場合、全てのスペーサを同一の高さで形成することは難しく、スペーサの高さにバラツキが生じる可能性がある。スペーサの高さにバラツキがある場合、高さの低いスペーサの先端と基板との間に隙間が形成される。このような隙間には、強電界が発生し、電子ビームの軌道変化を生じさせる虞がある。また、上記の隙間で放電が起こり易く、耐圧性の低下を招く。
一方、第1基板と第2基板との間に設けられたスペーサに起因して電子ビームの軌道変化が生じた場合、この軌道変化が表示画面に影となって現われる場合が考えられる。この際、多数のスペーサが一定のピッチで並んで設けられていると、視覚上、スペーサの影が目立ち易く、筋となって見える場合も考えられ、画像の表示品位を低下させる虞がある。
スペーサの設置数を減らして配列ピッチを大きくすることにより、スペーサに起因した影の発生を目立たなくすることも可能であるが、この場合、真空外囲器の強度が低下し、第1および第2基板に作用する大気圧荷重を充分に支持することが困難となる。逆に、スペーサの設置数を一層多くすることにより、スペーサに起因した影を目立なくすることが可能であると考えられる。しかしながら、この場合、スペーサの高さバラツキを無くすことが一層困難となり、前述したスペーサと基板との隙間発生が問題となる。
この発明は、以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、スペーサと基板との隙間に起因する放電の発生を抑制し、信頼性および表示品位の向上した画像表示装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、この発明の態様に係る画像表示装置は、蛍光面が形成された第1基板、および前記第1基板と隙間を置いて対向配置されているとともに、前記蛍光面に向けて電子を放出する複数の電子放出源が配置された第2基板を有した外囲器と、前記第1基板と第2基板との間に立設され、第1および第2基板に作用する大気圧を支持した複数の柱状のスペーサと、を備えている。前記スペーサは、前記第1および第2基板の間に位置しているとともに前記スペーサの全周に渡って露出した絶縁部を有し、前記スペーサの少なくとも1つは、前記第1基板あるいは第2基板と隙間を置いて対向している。
本発明によれば、スペーサと基板との間に隙間が生じた場合でも、この隙間に起因する放電の発生を抑制し信頼性の向上を図ることができる。そのため、スペーサの設置数を増加することが可能となり、スペーサに起因する影を目立たなくし、表示品位の向上した画像表示装置を提供することができる。
以下図面を参照しながら、この発明を、平面型の画像表示装置としてSEDに適用した第1の実施形態について詳細に説明する。
図1ないし図3に示すように、SEDは、それぞれ矩形状のガラス板からなる第1基板10および第2基板12を備え、これらの基板は約1.0〜2.0mmの隙間をおいて対向配置されている。第1基板10および第2基板12は、ガラスからなる矩形状の側壁14を介して周縁部同士が接合され、内部が真空に維持された扁平な矩形状の真空外囲器15を構成している。接合部材として機能する側壁14は、例えば、低融点ガラス、低融点金属等の封着材20により、第1基板10の周縁部および第2基板12の周縁部に封着され、これらの基板同士を接合している。
第1基板10の内面には蛍光面として機能する蛍光体スクリーン16が第1基板のほぼ全面に渡って形成されている。蛍光体スクリーン16は、後述するように、赤、緑、青に発光する蛍光体層R、G、Bとマトリックス状の遮光層11とを有している。蛍光体スクリーン16上には、例えば、アルミニウムを主成分とするメタルバック17が形成され、更に、メタルバックに重ねてゲッター膜19が形成されている。
第2基板12の内面には、蛍光体スクリーン16の蛍光体層R、G、Bを励起する電子放出源として、それぞれ電子ビームを放出する多数の表面伝導型の電子放出素子18が設けられている。これらの電子放出素子18は、複数列および複数行に配列され、それぞれ画素を構成している。各電子放出素子18は、図示しない電子放出部、この電子放出部に電圧を印加する一対の素子電極等で構成されている。第2基板12の内面上には、電子放出素子18を駆動する多数本の配線21がマトリック状に設けられ、その端部は真空外囲器15の外部に引出されている。接合部材として機能する側壁14は、例えば、低融点ガラス、低融点金属等の封着材20により、第1基板10の周縁部および第2基板12の周縁部に封着され、これらの基板同士を接合している。
図3および図4に示すように、第1基板10の内面に設けられた蛍光体スクリーン16において、蛍光体層R、G、Bはそれぞれ矩形状に形成されている。第1基板10の長手方向を第1方向X、これと直交する幅方向を第2方向Yとした場合、蛍光体層R、G、Bは、第1方向Xに所定の隙間をおいて交互に配列され、第2方向に同一色の蛍光体層が所定の隙間をおいて配列されている。蛍光体層R、G、Bはそれぞれ対応する電子放出素子18と対向して位置している。蛍光体スクリーン16は黒色の遮光層11を有し、この遮光層は、第1基板10の周縁部に沿って延びた矩形枠部、および矩形枠部の内側で蛍光体層R、G、Bの間をマトリックス状に延びたマトリックス部を有している。
図2および図3に示すように、第1基板10および第2基板12の間にはスペーサ構体22が配設されている。スペーサ構体22は、矩形状の金属板からなる支持基板24と、支持基板の一方の表面に一体的に立設された多数の柱状のスペーサ30と、を有している。支持基板24は第1基板10の内面と対向した第1表面24aおよび第2基板12の内面と対向した第2表面24bを有し、これらの基板と平行に配置されている。
支持基板24は、例えば鉄−ニッケル系の金属板により厚さ0.1〜0.25mm、例えば、0.12mmに形成されている。支持基板24には、エッチング等により複数の電子ビーム通過孔26が形成されている。電子ビーム通過孔26は、例えば、0.15〜0.25mm×0.15〜0.25mmの矩形状に形成されている。電子ビーム通過孔26は、第1方向Xに沿って所定のピッチで配列され、第2方向Yについては、第1方向Xのピッチよりも大きなピッチで配列されている。第1基板10に形成された蛍光体スクリーン16の蛍光体層R、G、B、および第2基板12上の電子放出素子18は、第1方向Xおよび第2方向Yについてそれぞれ電子ビーム通過孔26と同一のピッチで配列され、それぞれ電子ビーム通過孔と対向している。
支持基板24の第1および第2表面24a、24b、各電子ビーム通過孔26の内壁面は、絶縁層として、ガラス、セラミック等を主成分とした絶縁性物質、例えば、Li系のアルカリホウ珪酸ガラスからなる高抵抗膜43により被覆されている。そして、支持基板24は、その第1表面24aが、ゲッター膜19、メタルバック17、蛍光体スクリーン16を介して、第1基板10の内面に面接触した状態で設けられている。支持基板24に設けられた電子ビーム通過孔26は、蛍光体スクリーン16の蛍光体層R、G、B、および第2基板12上の電子放出素子18と対向している。これにより、各電子放出素子18は、電子ビーム通過孔26を通して、対応する蛍光体層と対向している。支持基板24の第2表面24bには、二次電子放出係数が0.4〜2.0の材料を含有した酸化クロム、酸化銅、酸化鉄等の金属酸化物、および、窒化アルミニウム、窒化チタン等の金属窒化物からなる被膜44が所望の厚さに形成されている。
図2ないし図5に示すように、支持基板24の第2表面24b上には多数のスペーサ30が一体的に立設されている。スペーサ30の延出端は、第2基板12の内面、ここでは、第2基板12の内面上に設けられた配線21上に当接している。スペーサ30は、それぞれ第2方向Yに並んだ電子ビーム通過孔26間に位置している。複数のスペーサ30は、第2方向Yに所定のピッチPyで並んで設けられているとともに、第1方向Xに所定のピッチPxで並んで設けられている。ピッチPy、Pxは、それぞれ3画素分のピッチよりも小さく設定され、本実施形態では、例えば、2mm以下に設定されている。
スペーサ30の各々は、全体として、支持基板24側、つまり、第1基板10側の基端から第2基板12側の延出端に向かって径が小さくなった先細テーパ状に形成されている。各スペーサ30は、支持基板24から延出端に向かって交互に積層された大径の第1段部50aおよび第1段部50aよりも径の小さな第2段部50bを有し、表面が凹凸のスペーサとして形成されている。本実施形態において、各スペーサ30は、3つの第1段部50aと3つの第2段部とを有し6段に形成され、その高さは、例えば、0.75mmに形成されている。凸部となる第1段部50aはほぼ楕円状の横断面形状を有し、その径は、1.4mm×0.35mmに形成されている。凹部となる第2段部50bはほぼ楕円状の横断面形状を有し、その径は、1.35mm×0.3mmに形成されている。スペーサ30の径方向において、第2段部50bに対する第1段部50aの最大突出量は100μm程度に形成されている。
このように形成された各スペーサ30において、表面の凹凸はスペーサの立設方向に並んでいる。各スペーサ30の内、各第1段部50aの外周面、および支持基板24側から6段目に位置した第2段部50b、すなわち、スペーサの延出端を形成した第2段部50bの外周面は、スペーサの形成材料とは異なる物質、例えば、酸化クロム、酸化銅、酸化鉄等の金属酸化物、および、窒化アルミニウム、窒化チタン等の金属窒化物が被着され、被膜55を形成している。各スペーサ30の内、2段目および4段目に位置した第2段部50bの外周面は被膜により被覆されておらず、スペーサ形成材料としての絶縁材料がスペーサ30の全周に渡って外部に露出している。2段目および4段目に位置した第2段部50bはそれぞれ絶縁部31を構成し、第1基板10と第2基板12と間に位置している。
上記のように構成されたスペーサ構体22は、支持基板24が第1基板10に面接触し、スペーサ30の延出端が第2基板12の内面に当接することにより、これらの基板に作用する大気圧荷重を支持し、基板間の間隔を所定値に維持している。図5に示すように、多数のスペーサ30の内、少なくとも1つは、その延出端と第1基板12との間に隙間Gを置いて対向している。第1基板12に対する隙間Gは、20μm以下に設定されている。
SEDは、支持基板24および第1基板10のメタルバック17に電圧を印加する図示しない電圧供給部を備えている。この電圧供給部は、支持基板24およびメタルバック17にそれぞれ接続されている。そして、SEDにおいて、画像を表示する場合、蛍光体スクリーン16およびメタルバック17にアノード電圧が印加され、電子放出素子18から放出された電子ビームをアノード電圧により加速して蛍光体スクリーン16へ衝突させる。これにより、蛍光体スクリーン16の蛍光体層が励起されて発光し、画像を表示する。
次に、以上のように構成されたSEDの製造方法について説明する。始めに、スペーサ構体22の製造方法について説明する。
図6に示すように、まず、所定寸法の支持基板24、この支持基板とほぼ同一の寸法を有した矩形板状の成形型36を用意する。この場合、Fe−50%Niからなる板厚0.15mmの金属板を脱脂、洗浄、乾燥した後、エッチングにより電子ビーム通過孔26を形成し支持基板24とする。支持基板24全体を酸化処理した後、電子ビーム通過孔26の内面を含め支持基板表面に絶縁膜を形成する。更に、絶縁膜の上に、ガラスを主成分としたコート液を塗布し、乾燥した後、焼成することにより、高抵抗膜43を形成する。
図6に示すように、成形型36は、ステンレス、ポリエチレンテレフタレート等により矩形板状に形成された型本体52を備え、この型本体には、スペーサ30と対応する位置に多数の透孔54が形成されている。各透孔54は、スペーサ形成孔よりも大きな径に形成されている。各透孔54には、弾性変形可能な紫外線透過材料として、例えば、シリコーンからなる孔形成部56が設けられている。この孔形成部56に、スペーサ30に対応した形状を有する有底のスペーサ形成孔40が形成されている。これにより、スペーサ形成孔40の周囲は、シリコーンによって囲まれている。なお、孔形成部に用いる弾性変形可能な紫外透過材料としては、シリコーンに限定されることなく、ポリカーボネイト、アクリル等を使用することもできる。
上記のように構成された成形型36を用いてスペーサ構体を作成する場合、成形型36のスペーサ形成孔40にスペーサ形成材料46を充填する。スペーサ形成材料46としては、少なくとも紫外線硬化型のバインダ(有機成分)およびガラスフィラーを含有したガラスペーストを用いる。ガラスペーストの比重、粘度は適宜選択する。
続いて、図7に示すように、スペーサ形成材料46の充填されたスペーサ形成孔40が電子ビーム通過孔26間に位置するように、成形型36を支持基板24に対して位置決めし支持基板24の第2表面24bに密着させる。この状態で、充填されたスペーサ形成材料46に対し、例えば、紫外線ランプ等を用いて成形型36の外面側から紫外線(UV)を照射し、スペーサ形成材料をUV硬化させる。その際、スペーサ形成材料46が充填されているスペーサ形成孔40の周囲は、紫外線透過材料としてのシリコーンで形成された孔形成部56によって囲まれている。そのため、紫外線は、スペーサ形成材料46に直接、および孔形成部56を透過して照射される。従って、充填されたスペーサ形成材料46をその内部まで確実に硬化させることができる。
その後、図8に示すように、硬化したスペーサ形成材料46を支持基板24上に残すように、成形型36を支持基板24から離型する。ここで、硬化したスペーサ形成材料46、つまり、スペーサ30は、それぞれ複数の第1および第2段部50a、50bを有した凹凸状に形成されている。また、スペーサ形成孔40を規定している孔形成部56は弾性変形可能なシリコーンによって形成されている。そのため、成形型36の離型時、孔形成部56は硬化したスペーサ30の凹凸に沿って弾性変形する。従って、スペーサ30が複数の段部を有した凹凸に形成されている場合でも、これらのスペーサを損傷することなく、成形型36を容易に離型することができる。
次に、スペーサ形成材料46が設けられた支持基板24を加熱炉内で熱処理し、スペーサ形成材料内からバインダを飛ばした後、約500〜550℃で30分〜1時間、スペーサ形成材料を本焼成しガラス化する。これにより、支持基板24上にスペーサ30が作り込まれたスペーサ構体22が得られる。
続いて、蒸着によりスペーサ構体22の支持基板24およびスペーサ30に金属酸化物、例えば、酸化クロムを被着し被膜44、55を形成する。この場合、図9に示すように、スペーサ構体22を成膜装置の真空チャンバ内に搬入し、支持基板24がほぼ水平に位置し、スペーサ30が下方に向かって延びるようにスペーサ構体22を支持する。真空チャンバ内は予め10−5Pa程度の高真空に維持しておく。次いで、スペーサ30の下方に配置された成膜源である酸化クロムをその蒸発温度以上の温度まで加熱し、スペーサ構体22に向かって蒸発および飛散させる。飛散した酸化クロムは、支持基板24の透孔74を通り、成膜対象としてのスペーサ30外面および支持基板24の第2表面24bに順次真空蒸着される。
この際、酸化クロムの飛散方向は、支持基板24の第2表面24bに垂直な方向、つまり、各スペーサ30の立設方向となる。また、各スペーサ30は複数の段部50a、50bを有した形状に形成されている。そのため、スペーサ30においては、各第1段部50aの外周面および6段目に位置した第2段部50bの外周面に、それぞれ酸化クロムが蒸着され被膜55が形成される。スペーサ30において、酸化クロムの飛散方向に対して影となる2段目および4段目の第2段部50bの外周面は酸化クロムが被着されず、ほぼ全域に渡りスペーサ形成材料が露出している。これにより、立設方向の少なくとも一部に絶縁部31を有したスペーサ30が得られる。
一方、SEDの製造においては、予め、蛍光体スクリーン16およびメタルバック17の設けられた第1基板10と、電子放出素子18および配線21が設けられているとともに側壁14が接合された第2基板12と、を用意しておく。続いて、上記のようにして得られたスペーサ構体22を第2基板12上に位置決めした後、支持基板24の4隅を第2基板の4つのコーナー部に立設された金属製の支柱に溶接する。これにより、スペーサ構体22を第2基板12に固定する。なお、支持基板24の固定箇所は、少なくとも2箇所あればよい。
その後、第1基板10と、スペーサ構体22が固定された第2基板12とを真空チャンバ内に配置し、真空チャンバ内を真空排気した後、第1基板のメタルバック17上にゲッター膜19を形成する。続いて、側壁14を介して第1基板を第2基板に接合するとともに、これらの基板間にスペーサ構体22を挟み込む。これにより、スペーサ構体22を備えたSEDが製造される。
以上のように構成されたSEDによれば、スペーサ30は2mm以下のピッチで並んで設けられているため、スペーサに起因して発生する影を目立たなくし、表示品位向上を図ることができる。本発明者等は、スペーサの配列ピッチを種々変更して、外囲器の大気圧強度およびスペーサに起因して発生する影の視認性について調査した。その結果、配列ピッチを15mm以上に設定することにより、影は見え難くなる反面、外囲器の大気圧強度が大幅に低下する。また、スペーサの配列ピッチを2mmより大きく15mm以下に設定した場合、スペーサに起因して発生する影が目立ち易いことが判った。上記のように、スペーサの配列ピッチを2mm以下、あるいは、3画素分以下のピッチとすることにより、外囲器の充分な大気圧高度を維持することができるとともに影を見え難くし、表示品位向上を図ることができた。
上記のようにスペーサの設置数を多くし、配列ピッチを小さくした場合、全てのスペーサを同一の高さで形成することは難しく、スペーサの高さにバラツキが生じる可能性がある。スペーサの高さにバラツキがある場合、高さの低いスペーサの先端と基板との間に隙間が形成される。本実施形態によれば、スペーサ30の先端と第2基板12との隙間Gは、20μm以下に設定されている。そのため、この隙間Gに電界が発生した場合でも、電子ビームに与える影響を最小限として、電子ビームの軌道ずれを防止すことが可能となる。
更に、スペーサ30の立設方向の少なくとも一部には絶縁部31が設けられている。そのため、スペーサ30と第2基板12との間に隙間Gが生じた場合でも、短時間で隙間Gに強電界が生じることがなく、また、長時間保持して放電が生じた場合でも、大規模な放電電流はながれず、その結果、放電の規模を小さくし基板側へのダメージを防止することができる。例えば、放電の規模を1mA以下に抑制することが可能となる。
以上のことから、本実施形態によれば、放電の発生を抑制し信頼性の向上を図ることができるとともに、スペーサに起因する影を目立たなくし、表示品位の向上したSEDが得られる。
第1の実施形態において、スペーサ30の絶縁部31は被膜55が被着されておらず、全域に渡り絶縁材料が露出している。通常、二次電子による帯電を抑制するためには二次電子放出係数の低い被膜を被覆することにより対策できるが、酸化クロムや窒化アルミのように二次電子放出係数が約1の物質を全体に被覆するとマイナスに帯電しやすくなる。本実施形態のように積極的にプラスに帯電する領域を設けることで、マイナス帯電とプラス帯電とを相殺することが可能となる。従って、スペーサの帯電に起因する電子ビームの軌道ずれを抑制し、表示品位の向上したSEDを提供することができる。また、被膜55はスペーサ30の立設方向に対して断続的に形成されていることから、スペーサを通した電流リークを抑制し、SEDの消費電力低減を図ることが可能となる。
前述した第1の実施形態において、スペーサ30は、支持基板24の一方の表面に一体的に立設された構成としたが、図10および図11に示す第2の実施形態のように、スペーサ構体22は、支持基板24と支持基板の両面にそれぞれ一体的に立設された第1および第2スペーサとを備えた構成としてもよい。すなわち、スペーサ構体22は、第1基板10および第2基板12の間に配設されている。支持基板24は第1基板10の内面と対向した第1表面24aおよび第2基板12の内面と対向した第2表面24bを有し、これらの基板と平行に配置されている。支持基板24には、エッチング等により多数の電子ビーム通過孔26が形成されている。電子ビーム通過孔26は、それぞれ電子放出素子18と対向して配列され、電子放出素子から放出された電子ビームを透過する。
支持基板24は、例えば鉄−ニッケル系の金属板により厚さ0.1〜0.3mmに形成されている。支持基板24の表面は、金属板を構成する元素からなる酸化膜、例えば、Fe、NiFeからなる酸化膜によって被覆されている。また、支持基板24の表面24a、24b、並びに、各電子ビーム通過孔26の壁面は、放電電流制限効果を有する高抵抗膜により被覆されている。この高抵抗膜は、ガラスを主成分とする高抵抗物質で形成されている。
支持基板24の第1表面24a上には、第1スペーサ30aが一体的に立設され、隣合う電子ビーム通過孔26間に位置している。第1スペーサ30aの先端は、ゲッター膜19、メタルバック17、および蛍光体スクリーン16の遮光層11を介して第1基板10の内面に当接している。支持基板24の第2表面24b上には、第2スペーサ30bが一体的に立設され、隣合う電子ビーム通過孔26間に位置している。第2スペーサ30bの先端は第2基板12の内面に当接している。ここで、各第2スペーサ30bの先端は、第2基板12の内面上に設けられた配線21上に位置している。各第1および第2スペーサ30a、30bは互いに整列して位置し、支持基板24を両面から挟み込んだ状態で支持基板24と一体に形成されている。
各第1スペーサ30aは、支持基板24側から延出端に向かって径が小さくなった先細テーパ状に形成されている。各第1スペーサ30aは、支持基板24から延出端に向かって交互に積層された大径の第1段部50aおよび第1段部50aよりも径の小さな第2段部50bを有し、表面が凹凸のスペーサとして形成されている。ここでは、各第1スペーサ30aは、2つの第1段部50aと1つの第2段部とを有し3段に形成され、その高さは、例えば、0.75mmに形成されている。凸部となる第1段部50aおよび凹部となる第2段部50bはほぼ楕円状の横断面形状を有している。
各第2スペーサ30bは、支持基板24側から延出端に向かって径が小さくなった先細テーパ状に形成されている。各第2スペーサ30bは、支持基板24から延出端に向かって交互に積層された大径の第1段部50aおよび第1段部50aよりも径の小さな第2段部50bを有し、表面が凹凸のスペーサとして形成されている。ここでは、各第2スペーサ30bは、2つの第1段部50aと2つの第2段部50bとを有し4段に形成され、その高さは、例えば、1.0mmに形成されている。凸部となる第1段部50aおよび凹部となる第2段部50bはほぼ楕円状の横断面形状を有している。
第1スペーサ30aおよび第2スペーサ30bの少なくとも一方、本実施形態では、第2スペーサ30bの表面には、スペーサの形成材料とは異なる物質、例えば、酸化クロム、酸化銅、酸化鉄等の金属酸化物、および窒化アルミニウム、窒化チタン等の金属窒化物が被着され、被膜55を形成している。各第2スペーサ30bの表面の内、第1段部50aの外周面および3段目に位置した第2段部50bの外周面には、金属酸化物として酸化クロムが被着され、被膜55を形成している。第2スペーサ30bの2段目の第2段部50bは、酸化クロムが被着されておらず、全域に渡り絶縁材料が露出している。これにより、2段目の第2段部50bは、絶縁部31を構成している。
上記のように構成されたスペーサ構体22は第1基板10および第2基板12間に配設されている。第1および第2スペーサ30a、30bは、第1基板10および第2基板12の内面に当接することにより、これらの基板に作用する大気圧荷重を支持し、基板間の間隔を所定値に維持している。
第2の実施形態において、他の構成は前述した第1の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明は省略する。第2の実施形態に係るSEDおよびそのスペーサ構体22は前述した第1の実施形態に係る製造方法と同様の製造方法によって製造することができる。そして、第2の実施形態においても、前述した第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
上述した第1の実施形態において、スペーサ30は第1基板10側を基端として、第1基板側から第2基板12に向かって延出した構成としたが、逆に、スペーサ30を第2基板12側に立設した構成としてもよい。図12に示す第3の実施形態によれば、支持基板24は、その第2表面24bが第2基板12の内面に接触して設けられ、スペーサ30は、支持基板24の第1表面24a上に立設されている。これにより、各スペーサ30は第2基板12側を基端として、第1基板10側に向かって延出している。スペーサ30の延出端は、ゲッター膜19、メタルバック17を介して蛍光体スクリーン16の遮光層11に当接している。
スペーサ30の少なくとも1つは、第1基板10と隙間Gを置いて対向している。この隙間Gは、50μm以下に設定されている。スペーサと基板との隙間Gに発生する電界が電子ビームに与える影響は、第1基板10側よりも第2基板12側の方が大きい。そのため、第1基板10とスペーサ30との隙間Gは、第2基板12とスペーサ30との隙間よりも大きくすることが可能であるが、50μm以下に設定されていることが望ましい。
第3の実施形態において、他の構成は前述した第1の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明は省略する。第3の実施形態に係るSEDおよびそのスペーサ構体22は前述した第1の実施形態に係る製造方法と同様の製造方法によって製造することができる。そして、第3の実施形態においても、前述した第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
上述した実施形態によれば、スペーサ30は支持基板24上に立設する構成としたが、支持基板24を省略し、第1基板10あるいは第2基板12上に直接スペーサを立設する構成としてもよい。また、各スペーサは、段付形状に限らず、平坦な外面を有した形状としてもよい。
図13に示す第4の実施形態によれば、複数のスペーサ30は第1基板10の蛍光体スクリーン16上に立設され、スペーサの延出端は第2基板12上の配線21に当接している。少なくとも1つのスペーサ30は、第2基板12と隙間を置いて対向している。各スペーサ30は、第1基板10側の基端から第2基板12側の延出端に向かって径が小さくなった先細テーパ状に形成されている。各スペーサ30は、段部を持たず、平坦な外面を有している。各スペーサ30の基端部外周面には、スペーサの形成材料とは異なる物質、例えば、酸化クロム、酸化銅、酸化鉄等の金属酸化物、および、窒化アルミニウム、窒化チタン等の金属窒化物が被着され、被膜55を形成している。各スペーサ30の延出端部の外面は被膜により被覆されておらず、スペーサ形成材料としての絶縁材料がスペーサ30の全周に渡って外部に露出している。この延出端部は絶縁部31を構成し、第1基板10と第2基板12と間に位置している。
第4の実施形態において、他の構成は前述した第1の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明は省略する。第4の実施形態に係るSEDは前述した第1の実施形態に係る製造方法と同様の製造方法によって製造することができる。そして、第4の実施形態においても、前述した第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
本発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
スペーサの径や高さ、その他の構成要素の寸法、材質等は上述した実施形態に限定されることなく、必要に応じて適宜選択可能である。この発明は、電子源として表面伝導型電子放出素子を用いたものに限らず、電界放出型、カーボンナノチューブ等の他の電子源を用いた画像表示装置にも適用可能である。
この発明の第1の実施形態に係るSEDを示す斜視図。 図1の線A−Aに沿って破断した前記SEDの斜視図。 前記SEDを拡大して示す断面図。 前記SEDにおける第1基板およびスペーサの配置を示す平面図。 前記SEDを拡大して示す断面図。 前記スペーサ構体の製造に用いる成形型および支持基板を示す断面図。 前記成形型および支持基板を密着させた状態を示す断面図。 前記成形型を離型した状態を示す断面図。 前記スペーサ構体に被膜を真空蒸着する工程を示す断面図。 この発明の第2の実施形態に係るSEDの断面図。 前記第2の実施形態におけるスペーサ構体を拡大して示す断面図。 この発明の第3の実施形態に係るSEDを示す断面図。 この発明の第4の実施形態に係るSEDを示す断面図。
符号の説明
10…第1基板、 12…第2基板、 14…側壁、 15…真空外囲器、
16…蛍光体スクリーン、 18…電子放出素子、 22…スペーサ構体、
24…支持基板、 26…電子ビーム通過孔、 30…スペーサ、
30a…第1スペーサ、 30b…第2スペーサ、 31…絶縁部
55…被膜

Claims (11)

  1. 蛍光面が形成された第1基板、および前記第1基板と隙間を置いて対向配置されているとともに、前記蛍光面に向けて電子を放出する複数の電子放出源が配置された第2基板を有した外囲器と、
    前記第1基板と第2基板との間に立設され、第1および第2基板に作用する大気圧を支持した複数の柱状のスペーサと、を備え、
    前記スペーサは、前記第1および第2基板の間に位置しているとともに前記スペーサの全周に渡って露出した絶縁部を有し、
    前記スペーサの少なくとも1つは、前記第1基板あるいは第2基板と隙間を置いて対向している画像表示装置。
  2. 前記少なくとも1つのスペーサは、前記第2基板に対して、20μm以下の隙間を置いて対向している請求項1に記載の画像表示装置。
  3. 前記スペーサは、前記第1基板の内面上に立設されている請求項2に記載の画像表示装置。
  4. 前記第1基板および第2基板間に配設され、前記第1基板に対向した第1表面、前記第2基板と対向した第2表面、および前記電子放出源に対向した複数の電子ビーム通過孔を有した支持基板を備え、
    前記スペーサは、前記支持基板の第2表面上に立設されている請求項2に記載の画像表示装置。
  5. 前記支持基板は、前記第1表面が前記第1基板の内面に接触して設けられている請求項4に記載の画像表示装置。
  6. 前記少なくとも1つのスペーサは、前記第1基板に対して、50μm以下の隙間を置いて対向している請求項1に記載の画像表示装置。
  7. 前記スペーサは、前記第1基板の内面上に立設されている請求項6に記載の画像表示装置。
  8. 前記第1基板および第2基板間に配設され、前記第1基板に対向した第1表面、前記第2基板と対向した第2表面、および前記電子放出源に対向した複数の電子ビーム通過孔を有した支持基板を備え、
    前記スペーサは、前記支持基板の第2表面上に立設されている請求項6に記載の画像表示装置。
  9. 前記複数のスペーサは、前記第2基板の面方向に2mm以下のピッチで配列されている請求項1ないし8のいずれか1項に記載の画像表示装置。
  10. 前記第2基板の面方向において、第1方向およびこの第1方向と直行する第2方向に並んで設けられた複数の画素を備え、
    前記複数のスペーサは、前記第2基板の面方向に3画素分以下のピッチで配列されている請求項1ないし8のいずれか1項に記載の画像表示装置。
  11. 前記スペーサの表面は、前記絶縁部を除いて、金属酸化物あるいは金属窒化物の被膜により被覆されている請求項1ないし10のいずれか1項に記載の画像表示装置。
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JP2010073542A (ja) * 2008-09-19 2010-04-02 Sony Corp 平面型表示装置並びにスペーサ

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