JP2005228675A - 画像表示装置およびその製造方法 - Google Patents

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Satoko Koyaizu
聡子 小柳津
Nobuyuki Aoyama
信行 青山
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諭 石川
Masaru Nikaido
勝 二階堂
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Abstract

【課題】放電の発生を抑制し、信頼性および表示品位の向上した画像表示装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】画像表示装置は、第1基板、およびこの第1基板に隙間を置いて対向配置された第2基板を有した外囲器と、外囲器内に設けられた複数の画素と、を有している。外囲器内で第1基板および第2基板の間には、第1および第2基板に作用する大気圧荷重を支持する複数のスペーサ30a、30bが設けられている。スペーサの表面全体に渡り、深さ1ないし100μmの不均一な凹凸50が形成されている。
【選択図】 図4

Description

この発明は、対向配置された基板と、基板間に配設されたスペーサとを備えた画像表示装置およびその製造方法に関する。
近年、陰極線管(以下、CRTと称する)に代わる次世代の軽量、薄型の表示装置として様々な平面型の画像表示装置が注目されている。例えば、平面表示装置として機能するフィールド・エミッション・デバイス(以下、FEDと称する)の一種として、表面伝導型電子放出装置(以下、SEDと称する)の開発が進められている。
このSEDは、所定の間隔をおいて対向配置された第1基板および第2基板を備え、これらの基板は矩形状の側壁を介して周辺部を互いに接合することにより真空外囲器を構成している。第1基板の内面には3色の蛍光体層が形成され、第2基板の内面には、蛍光体を励起する電子源として、各画素に対応する多数の電子放出素子が配列されている。各電子放出素子は、電子放出部、この電子放出部に電圧を印加する一対の電極等で構成されている。
前記SEDにおいて、第1基板および第2基板間の空間、すなわち真空外囲器内は、高い真空度に維持されることが重要となる。真空度が低い場合、電子放出素子の寿命、ひいては、装置の寿命が低下してしまう。また、第1基板および第2基板間に作用する大気圧荷重を支持し基板間の隙間を維持するため、両基板間には、多数の板状あるいは柱状のスペーサが配置されている(例えば、特許文献1)。SEDにおいて、画像を表示する場合、蛍光体層にアノード電圧が印加され、電子放出素子から放出された電子ビームをアノード電圧により加速して蛍光体層へ衝突させることにより、蛍光体が発光して画像を表示する。実用的な表示特性を得るためには、通常の陰極線管と同様の蛍光体を用い、アノード電圧を数kV以上望ましくは5kV以上に設定することが必要となる。
特開2001−272926号公報
上記構成のSEDにおいて、高い加速電圧を持った電子が蛍光面に衝突した際、蛍光面で2次電子および反射電子が発生する。第1基板と第2基板との間の空間が狭い場合、蛍光面で発生した2次電子および反射電子が、基板間に配設されたスペーサに衝突し、その結果、スペーサが帯電する。そのため、スペーサ付近では放電が発生し易い。
この発明は、以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、放電の発生を抑制し、信頼性および表示品位の向上した画像表示装置およびその製造方法を提供することにある。
前記目的を達成するため、この発明の態様に係る画像表示装置は、第1基板、およびこの第1基板に隙間を置いて対向配置された第2基板を有した外囲器と、前記外囲器内に設けられた複数の画素と、前記外囲器内で前記第1基板および第2基板の間に設けられ、前記第1および第2基板に作用する大気圧荷重を支持する複数のスペーサと、を備え、前記各スペーサの表面に深さ1ないし100μmの不均一な凹凸が形成されていることを特徴としている。
この発明の他の態様に係る画像表示装置は、第1基板、およびこの第1基板に隙間を置いて対向配置された第2基板を有した外囲器と、前記外囲器内に設けられた複数の画素と、前記外囲器内で前記第1基板および第2基板の間に設けられ、前記第1および第2基板に作用する大気圧荷重を支持するスペーサ構体と、を備え、前記スペーサ構体は、前記第1および第2基板に対向して設けられた支持基板と、前記支持基板の少なくとも一方の表面上に立設された複数のスペーサと、を有し、前記各スペーサの表面および前記支持基板の表面の少なくとも一方に、深さ1ないし100μmの不均一な凹凸が形成されていることを特徴としている。
この発明の形態に係る画像表示装置の製造方法は、第1基板、およびこの第1基板に隙間を置いて対向配置された第2基板を有した外囲器と、前記外囲器内に設けられた複数の画素と、前記外囲器内で前記第1基板および第2基板の間に設けられ、前記第1および第2基板に作用する大気圧荷重を支持する複数のスペーサと、を備え、前記各スペーサの表面全体に渡り、深さ1ないし100μmの不均一な凹凸が形成されている画像表示装置の製造方法において、
複数の有底のスペーサ形成孔を有した成形型を用意し、前記成形型の各スペーサ形成孔にスペーサ形成材料を充填し、前記成形型のスペーサ形成孔に充填されたスペーサ形成材料を硬化させた後、前記成形型から離型し、前記離型されたスペーサ材料を焼成してスペーサを形成し、前記形成されたスペーサの表面を酸系の液体により部分的に溶解させ、スペーサの表面全体に渡り、深さ1ないし100μmの不均一な凹凸を形成することを特徴としている。
この発明によれば、スペーサの表面に深さ1ないし100μmの不均一な凹凸を設けることにより、スペーサの表面積を大きくし、沿面距離を延ばすことができる。これにより、放電の発生を抑制し、信頼性および表示品位の向上した画像表示装置およびその製造方法を提供することができる。
以下図面を参照しながら、この発明を、平面型の画像表示装置としてSEDに適用した第1の実施形態について詳細に説明する。
図1ないし図3に示すように、SEDは、それぞれ矩形状のガラス板からなる第1基板10および第2基板12を備え、これらの基板は約1.0〜2.0mmの隙間をおいて対応配置されている。第1基板10および第2基板12は、ガラスからなる矩形枠状の側壁14を介して周縁部同士が接合され、内部が真空に維持された偏平な真空外囲器15を構成している。
第1基板10の内面には蛍光面として機能する蛍光体スクリーン16が形成されている。この蛍光体スクリーン16は、赤、緑、青に発光する蛍光体層R、G、B、および遮光層11を並べて構成され、これらの蛍光体層はストライプ状、ドット状あるいは矩形状に形成されている。蛍光体スクリーン16上には、アルミニウム等からなるメタルバック17およびゲッタ膜19が順に形成されている。
第2基板12の内面には、蛍光体スクリーン16の蛍光体層R、G、Bを励起する電子放出源として、それぞれ電子ビームを放出する多数の表面伝導型の電子放出素子18が設けられている。これらの電子放出素子18は複数列および複数行に配列され、対応する蛍光体層とともに画素を形成している。各電子放出素子18は、図示しない電子放出部、この電子放出部に電圧を印加する一対の素子電極等で構成されている。第2基板12の内面上には、電子放出素子18に電位を供給する多数本の配線21がマトリックス状に設けられ、その端部は真空外囲器15の外部に引出されている。
接合部材として機能する側壁14は、例えば、低融点ガラス、低融点金属等の封着材20により、第1基板10の周縁部および第2基板12の周縁部に封着され、これらの基板同士を接合している。
図2ないし図4に示すように、SEDは、第1基板10および第2基板12の間に配設されたスペーサ構体22を備えている。本実施形態において、スペーサ構体22は、第1および第2基板10、12間に配設された矩形状の支持基板24と、支持基板の両面に一体的に立設された多数の柱状のスペーサと、で構成されている。
詳細に述べると、支持基板として機能する支持基板24は、第1基板10の内面と対向した第1表面24aおよび第2基板12の内面と対向した第2表面24bを有し、これらの基板と平行に配置されている。支持基板24には、エッチング等により多数の電子ビーム通過孔26が形成されている。電子ビーム通過孔26は、それぞれ電子放出素子18と対向して、複数列および複数行に配列され、電子放出素子から放出された電子ビームを透過する。真空外囲器15の長手方向をX、これと直交する幅方向をYとした場合、電子ビーム通過孔26は、長手方向Xおよび幅方向Yに所定のピッチで並んでいる。ここでは、幅方向Yのピッチが長手方向Xのピッチよりも大きく設定されている。
支持基板24は、例えば鉄−ニッケル系の金属板により厚さ0.1〜0.3mmに形成されている。支持基板24の表面には、金属板を構成する元素からなる酸化膜、例えば、Fe、NiFeからなる酸化膜が形成されている。また、支持基板24の表面24a、24b、並びに、各電子ビーム通過孔26の壁面は、放電電流制限効果を有する絶縁層25により被覆されている。この絶縁層25は、ガラスを主成分とする高抵抗物質で形成されている。
支持基板24の第1表面24a上には複数の第1スペーサ30aが一体的に立設され、それぞれ隣合う電子ビーム通過孔26間に位置している。第1スペーサ30aの先端は、ゲッタ膜19、メタルバック17、および蛍光体スクリーン16の遮光層11を介して第1基板10の内面に当接している。
支持基板24の第2表面24b上には複数の第2スペーサ30bが一体的に立設され、それぞれ隣合う電子ビーム通過孔26間に位置している。第2スペーサ30bの先端は第2基板12の内面に当接している。ここでは、各第2スペーサ30bの先端は、第2基板12の内面上に設けられた配線21上に位置している。第1および第2スペーサ30a、30bは、長手方向Xおよび幅方向Yにおいて、電子ビーム通過孔26よりも数倍大きなピッチで配列されている。各第1および第2スペーサ30a、30bは互いに整列して位置し、支持基板24を両面から挟み込んだ状態で支持基板24と一体に形成されている。
図4および図5に示すように、第1および第2スペーサ30a、30bの各々は、支持基板24側から延出端に向かって径が小さくなった先細テーパ状に形成されている。例えば、各第1スペーサ30aは細長い長円状の横断面形状を有し、支持基板24側に位置した基端の長手方向Xに沿った長さが約1mm、幅方向Yに沿った幅が約300μm、また、延出方向に沿った高さが約0.6mmに形成されている。各第2スペーサ30bは細長い長円状の横断面形状を有し、支持基板24側に位置した基端の長手方向Xに沿った長さが約1mm、幅方向Yに沿った幅が約300μm、また、延出方向に沿った高さが約0.8mmに形成されている。第1および第2スペーサ30a、30bは、その長手方向が長手方向Xと一致した状態で支持基板24上に設けられている。
図4に示すように、第1および第2スペーサ30a、30bの表面全体に渡り、深さ1ないし100μmの不均一な凹凸50が形成されている。また、支持基板24の表面に形成された絶縁層25には、第1および第2スペーサ30a、30bが立設されている領域を除いて、深さ1ないし100μmの不均一な凹凸52が全域に渡って形成されている。
上記のように構成されたスペーサ構体22は第1基板10および第2基板12間に配設されている。そして、第1および第2スペーサ30a、30bは、第1基板10および第2基板12の内面に当接することにより、これらの基板に作用する大気圧荷重を支持し、基板間の間隔を所定値に維持している。
SEDは、支持基板24および第1基板10のメタルバック17に電圧を印加する図示しない電圧供給部を備えている。この電圧供給部は、支持基板24およびメタルバック17にそれぞれ接続され、例えば、支持基板24に12kV、メタルバック17に10kVの電圧を印加する。そして、SEDにおいて、画像を表示する場合、蛍光体スクリーン16およびメタルバック17にアノード電圧が印加され、電子放出素子18から放出された電子ビームをアノード電圧により加速して蛍光体スクリーン16へ衝突させる。これにより、蛍光体スクリーン16の蛍光体層が励起されて発光し、画像を表示する。
次に、以上のように構成されたSEDの製造方法について説明する。始めに、スペーサ構体22の製造方法について説明する。
図6に示すように、所定寸法の支持基板24、この支持基板とほぼ同一の寸法を有した矩形板状の上型36aおよび下型36bを用意する。この場合、Fe−50%Niからなる板厚0.12mmの金属板を脱脂、洗浄、乾燥した後、エッチングにより電子ビーム通過孔26を形成する。金属板全体を黒化処理した後、電子ビーム通過孔26の内面を含め支持基板表面に、ガラス粒子を含んだ溶液をスプレーにより塗布し、乾燥した。これにより、支持基板24を得る。
成形型としての上型36aおよび下型36bは、紫外線を透過する透明な材料、例えば、透明シリコン、透明ポリエチレンテレフタレート等により平坦な板状に形成されている。上型36aは、支持基板24に当接される平坦な当接面41aと、第1スペーサ30aを成形するための多数の有底のスペーサ形成孔40aと、を有している。スペーサ形成孔40aはそれぞれ上型36aの当接面41aに開口しているとともに、所定の間隔を置いて配列されている。同様に、下型36bは、平坦な当接面41bと、第2スペーサ30bを成形するための多数の有底のスペーサ形成孔40bと、を有している。スペーサ形成孔40bはそれぞれ下型36bの当接面41bに開口しているとともに、所定の間隔を置いて配列されている。
上型36aおよび下型36bは以下の工程により作成する。ここでは、上型36aの作成方法を代表して説明する。まず、図6に示すように、上型を形成するためのマスタ雄型70を切削により形成する。この場合、例えば、真鍮により形成されたベース板71を用意し、このベース板の一方の表面を切削することにより、第1スペーサ30aに対応する複数の長円柱72を形成する。これによりマスタ雄型70が得られる。次いで、図7に示すように、マスタ雄型70に透明なシリコンを充填して上型36aを成形した後、離型することにより、上型が得られる。なお、下型36bも同様の工程により作成する。
次に、図8に示すように、上型36aのスペーサ形成孔40aおよび下型26bのスペーサ形成孔40bにスペーサ形成材料46を充填する。スペーサ形成材料46としては、少なくとも紫外線硬化型のバインダ(有機成分)およびガラスフィラーを含有したガラスペーストを用いる。ガラスペーストの比重、粘度は適宜選択する。
スペーサ形成材料46の充填されたスペーサ形成孔40aがそれぞれ電子ビーム通過孔26間の所定領域と対向するように、上型36aを位置決めし当接面41aを支持基板24の第1表面24aに密着させる。同様に、下型36bを、各スペーサ形成孔40bが電子ビーム通過孔26間の所定領域と対向するように位置決めし、当接面41bを支持基板24の第2表面24bに密着させる。なお、支持基板24のスペーサ立設位置には、ディスペンサあるいは印刷により、予め接着剤を塗布しておいてもよい。これにより、支持基板24、上型36aおよび下型36bからなる組立体42を構成する。組立体42において、上型36aのスペーサ形成孔40aと下型36bのスペーサ形成孔40bとは、支持基板24を挟んで対向して配列されている。
上型36aおよび下型36bを支持基板24に密着させた状態で、上型および下型の外側からスペーサ形成材料に向けて紫外線(UV)を照射する。上型36aおよび下型36bはそれぞれ紫外線透過材料で形成されているため、照射された紫外線は、上型36aおよび下型36bを透過し、充填されたスペーサ形成材料46に照射される。これにより、スペーサ形成材料46が紫外線硬化される。続いて、図9に示すように、硬化したスペーサ形成材料46を支持基板24上に残すように、上型36aおよび下型36bを支持基板24から離型する。以上の工程により、所定形状に成形されたスペーサ形成材料46が支持基板24の表面上に転写される。
次に、スペーサ形成材料46が設けられた支持基板24を加熱炉内で熱処理し、スペーサ形成材料内からバインダを飛ばした後、約500〜550℃で30分〜1時間、スペーサ形成材料および支持基板24上に形成された絶縁層25を焼成する。焼成により、スペーサ形成材料46および絶縁層25がガラス化され、支持基板24上に第1および第2スペーサ30a、30bが作り込まれたスペーサ構体22が得られる。
続いて、ガラス焼成後の支持基板24および第1、第2スペーサ30a、30bを、0.1〜10重量%の塩酸溶液に浸漬し、第1および第2スペーサ30a、30bの表面、並びに、支持基板24の絶縁層25表面を部分的に溶解させる。これにより、第1および第2スペーサ30a、30bの表面、並びに、支持基板24の絶縁層25表面に不均一で微細な凹凸50、52を形成する。凹凸50、52の深さは、溶液の塩酸の濃度を調整することにより、あるいは、攪拌等によって溶液の流動性を調整することにより、1ないし100μmに調整した。
一方、SEDの製造においては、予め、蛍光体スクリーン16およびメタルバック17の設けられた第1基板10と、電子放出素子18および配線21が設けられているとともに側壁14が接合された第2基板12と、を用意しておく。続いて、前記のようにして得られたスペーサ構体22を第2基板12上に位置決め配置する。この状態で、第1基板10、第2基板12、およびスペーサ構体22を真空チャンバ内に配置し、真空チャンバ内を真空排気した後、側壁14を介して第1基板を第2基板に接合する。これにより、スペーサ構体22を備えたSEDが製造される。
以上のように構成されたSEDによれば、第1および第2スペーサ30a、30bの表面に微細な凹凸50を設けることにより、スペーサの表面積が増大し、沿面距離を延ばすことができる。その結果、スペーサの帯電を抑制でき、電子ビームの軌道ずれおよび放電の発生を抑制し、信頼性および表示品位の向上したSEDが得られる。また、支持基板24の表面に微細な凹凸52を設けることにより、耐圧性の向上を図ることができる。離型後にスペーサ表面に微細な凹凸50を形成する構成とすることにより、凹凸が形成された成形型を用いてスペーサ表面に微細な凹凸を形成する場合と比較して、微細な凹凸を容易にかつ安価に加工をすることができる。
前述した第1の実施形態では、支持基板24の絶縁層25において、第1および第2スペーサ30a、30bが立設されている領域を除いて微細な凹凸52を設ける構成としたが、図10に示す第2の実施形態のように、絶縁層25の全面に渡って微細な凹凸52を形成し、この凹凸が形成された領域に第1および第2スペーサ30a、30bを立設した構成としてもよい。なお、第2の実施形態において、他の構成は第1の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
上記構成のSEDを製造する場合、支持基板として、例えば、Fe−50%Niからなる板厚0.12mmの金属板を脱脂、洗浄、乾燥した後、エッチングにより電子ビーム通過孔26を形成する。金属板全体を黒化処理した後、電子ビーム通過孔26の内面を含め支持基板表面に、ガラス粒子を含んだ溶液をスプレーにより塗布し、乾燥することにより絶縁層25を形成する。続いて、絶縁層25を焼成してガラス化する。その後、支持基板24を0.1〜10重量%の塩酸溶液に浸漬し、絶縁層25の表面全体を部分的に溶解させる。これにより、絶縁層25の表面全体に渡り深さ1〜100μmの不均一な微細な凹凸52を形成する。
次いで、前述した第1の実施形態と同様の方法により、支持基板24の絶縁層25上に第1および第2スペーサ30a、30bを形成する。第1および第2スペーサ30a、30bを焼成してガラス化した後、これらのスペーサを、0.1〜10重量%の塩酸溶液に浸漬し、第1および第2スペーサ30a、30bの表面を一部溶解させる。これにより、第1および第2スペーサ30a、30bの表面に微細な凹凸50を形成する。凹凸50、52の深さは、溶液の塩酸の濃度を調整することにより、あるいは、攪拌等によって溶液の流動性を変えて調整することができる。
上記の構成によれば、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができるとともに、各スペーサと支持基板24との密着力が向上し、第1および第2スペーサ30a、30bの強度向上を図ることができる。
前述した実施形態において、スペーサ構体22は、第1および第2スペーサおよび支持基板24を一体的に備えた構成としたが、第2スペーサ30bは第2基板12上に形成する構成としてもよい。また、スペーサ構体は、支持基板および第2スペーサのみを備え、支持基板が第1基板に接触した構成としてもよい。
図11に示すように、この発明の第3の実施形態に係るSEDによれば、スペーサ構体22は、矩形状の金属板からなる支持基板24と、支持基板の一方の表面のみに一体的に立設された多数の柱状のスペーサ30と、を有している。支持基板24は第1基板10の内面と対向した第1表面24aおよび第2基板12の内面と対向した第2表面24bを有し、これらの基板と平行に配置されている。支持基板24には、エッチング等により多数の電子ビーム通過孔26が形成されている。電子ビーム通過孔26は、それぞれ電子放出素子18と対向して配列され、電子放出素子から放出された電子ビームを透過する。
支持基板24の第1および第2表面24a、24b、各電子ビーム通過孔26の内壁面は、絶縁層25として、ガラス、セラミック等を主成分とした絶縁性物質からなる高抵抗膜により被覆されている。そして、支持基板24は、その第1表面24aが、ゲッタ膜、メタルバック17、蛍光体スクリーン16を介して、第1基板10の内面に面接触した状態で設けられている。支持基板24に設けられた電子ビーム通過孔26は、蛍光体スクリーン16の蛍光体層R、G、Bと対向している。これにより、各電子放出素子18は、電子ビーム通過孔26を通して、対応する蛍光体層と対向している。
支持基板24の第2表面24b上には複数のスペーサ30が一体的に立設されている。各スペーサ30の延出端は、第2基板12の内面、ここでは、第2基板12の内面上に設けられた配線21上に当接している。スペーサ30の各々は、支持基板24側から延出端に向かって径が小さくなった先細テーパ状に形成されている。各スペーサ30は、支持基板24表面と平行な方向に沿った断面が細長い長円状に形成されている。スペーサ30の支持基板24側に位置した基端の長手方向Xに沿った長さは約1mm、幅方向Yに沿った幅が約300μm、また、延出方向に沿った高さが約1.4mmに形成されている。スペーサ30は、その長手方向が真空外囲器の長手方向Xと一致した状態で支持基板24上に設けられている。
図12に示すように、スペーサ30の表面全体に渡り、深さ1ないし100μmの不均一な凹凸50が形成されている。また、支持基板24の第2表面に形成された絶縁層25には、スペーサ30が立設されている領域を除いて、深さ1ないし100μmの不均一な凹凸52が全域に渡って形成されている。なお、第2の実施形態と同様に、絶縁層25の全面に凹凸52を形成し、この凹凸が形成された領域にスペーサ30を立設してもよい。また、支持基板24の第1表面24aに形成された絶縁層25には、微細な凹所52を形成しない構成としてもよい。
上記のように構成されたスペーサ構体22は、支持基板24が第1基板10に面接触し、スペーサ30の延出端が第2基板12の内面に当接することにより、これらの基板に作用する大気圧荷重を支持し、基板間の間隔を所定値に維持している。
第3の実施形態において、他の構成は前述した第1の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明は省略する。第2の実施形態に係るSEDおよびそのスペーサ構体は前述した実施形態に係る製造方法と同様の製造方法によって製造することができる。そして、第3の実施形態においても、前述した第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
本発明において、スペーサは支持基板上に設ける構成としたが、この支持基板を省略し、スペーサを第1および第2基板間に直接設ける構成としてもよい。スペーサの径や高さ、その他の構成要素の寸法、材質等は上述した実施形態に限定されることなく、必要に応じて適宜選択可能である。スペーサは前述した柱状のスペーサに限らず、板状のスペーサを用いてもよい。スペーサ形成材料の充填条件は必要に応じて種々選択可能である。また、この発明は、電子源として表面伝導型電子放出素子を用いたものに限らず、電界放出型、カーボンナノチューブ等の他の電子源を用いた画像表示装置にも適用可能である。
この発明の第1の実施形態に係るSEDを示す斜視図。 図1の線A−Aに沿って破断した前記SEDの斜視図。 前記SEDを拡大して示す断面図。 前記スペーサ構体の一部を拡大して示す断面図。 前記スペーサ構体の製造に用いる支持基板および成形型を示す断面図。 前記成形型の作成に用いるマスタ雄型を示す側面図。 前記マスタ雄型を用いた成形型の作成工程を示す断面図。 成形型および支持基板を密着させた組立体を示す断面図。 前記成形型を開放した状態を示す断面図。 この発明の第2の実施形態に係るSEDにおけるスペーサ構体を拡大して示す断面図断面図。 この発明の第3の実施形態に係るSEDの一部を拡大して示す断面図。 前記第3の実施形態に係るSEDのスペーサ構体を拡大して示す断面図。
符号の説明
10…第1基板、 12…第2基板、 14…側壁、 15…真空外囲器、
16…蛍光体スクリーン、 18…電子放出素子、 22…スペーサ構体、
24…支持基板、 25…絶縁層、 26…電子ビーム通過孔、 30…スペーサ、
30a…第1スペーサ、 30b…第2スペーサ、50、52…凹凸

Claims (9)

  1. 第1基板、およびこの第1基板に隙間を置いて対向配置された第2基板を有した外囲器と、
    前記外囲器内に設けられた複数の画素と、
    前記外囲器内で前記第1基板および第2基板の間に設けられ、前記第1および第2基板に作用する大気圧荷重を支持する複数のスペーサと、を備え、
    前記各スペーサの表面に深さ1ないし100μmの不均一な凹凸が形成されている画像表示装置。
  2. 第1基板、およびこの第1基板に隙間を置いて対向配置された第2基板を有した外囲器と、
    前記外囲器内に設けられた複数の画素と、
    前記外囲器内で前記第1基板および第2基板の間に設けられ、前記第1および第2基板に作用する大気圧荷重を支持するスペーサ構体と、を備え、
    前記スペーサ構体は、前記第1および第2基板に対向して設けられた支持基板と、前記支持基板の少なくとも一方の表面上に立設された複数のスペーサと、を有し、
    前記各スペーサの表面および前記支持基板の表面の少なくとも一方に、深さ1ないし100μmの不均一な凹凸が形成されている画像表示装置。
  3. 前記支持基板は、前記第1基板に対向した第1表面と、前記第2基板に対向した第2表面と、を有し、前記スペーサは、それぞれ前記第1表面上に立設されているとともに前記第1基板に当接した延出端を有した複数の第1スペーサと、それぞれ前記第2表面上に立設されているとともに前記第2基板に当接した延出端を有した複数の第2スペーサと、を含んでいる請求項2に記載の画像表示装置。
  4. 前記支持基板は、前記第1基板に当接した第1表面と、前記第2基板と隙間を置いて対向した第2表面と、を有し、前記スペーサは、前記第2表面上に立設されているとともに前記第2基板に当接した延出端を有している請求項2に記載の画像表示装置。
  5. 前記支持基板の表面は絶縁層により被覆され、前記凹凸は前記絶縁層の全面に渡って形成され、前記スペーサは前記凹凸の形成された絶縁層に重ねて立設されている請求項2ないし4のいずれか1項に記載の画像表示装置。
  6. 前記支持基板の表面は絶縁層により被覆され、前記スペーサは前記絶縁層に重ねて立設され、前記凹凸は前記スペーサが立設された領域を除いて、前記絶縁層の全面に渡り形成されている請求項2ないし4のいずれか1項に記載の画像表示装置。
  7. 第1基板、およびこの第1基板に隙間を置いて対向配置された第2基板を有した外囲器と、前記外囲器内に設けられた複数の画素と、前記外囲器内で前記第1基板および第2基板の間に設けられ、前記第1および第2基板に作用する大気圧荷重を支持する複数のスペーサと、を備え、前記各スペーサの表面に深さ1ないし100μmの不均一な凹凸が形成されている画像表示装置の製造方法において、
    複数の有底のスペーサ形成孔を有した成形型を用意し、
    前記成形型の各スペーサ形成孔にスペーサ形成材料を充填し、
    前記成形型のスペーサ形成孔に充填されたスペーサ形成材料を硬化させた後、前記成形型から離型し、
    前記離型されたスペーサ材料を焼成してスペーサを形成し、
    前記形成されたスペーサの表面を酸系の液体により部分的に溶解させ、スペーサの表面全体に渡り、深さ1ないし100μmの不均一な凹凸を形成することを特徴とする画像表示装置の製造方法。
  8. 第1基板、およびこの第1基板に隙間を置いて対向配置された第2基板を有した外囲器と、前記外囲器内に設けられた複数の画素と、前記外囲器内で前記第1基板および第2基板の間に設けられ、前記第1および第2基板に作用する大気圧荷重を支持するスペーサ構体と、を備え、前記スペーサ構体は、前記第1および第2基板に対向して設けられた支持基板と、前記支持基板の少なくとも一方の表面上に立設された複数のスペーサと、を有し、前記各スペーサの表面および前記支持基板の表面の少なくとも一方に、深さ1ないし100μmの不均一な凹凸が形成されている画像表示装置の製造方法において、
    複数の有底のスペーサ形成孔を有した成形型、および支持基板を用意し、
    前記支持基板の表面を絶縁層により被覆し、
    前記成形型の各スペーサ形成孔にスペーサ形成材料を充填し、
    前記スペーサ形成材料が充填された成形型を前記絶縁層が形成された支持基板の表面に密着させた後、前記スペーサ形成材料を硬化させ、
    前記成形型を離型して前記硬化されたスペーサ形成材料を前記支持基板の表面上に転写し、
    前記離型されたスペーサ材料および絶縁層を焼成してスペーサを形成し、
    前記形成されたスペーサおよび絶縁層の表面を酸系の液体により部分的に溶解させ、スペーサの表面および絶縁層の表面に、深さ1ないし100μmの不均一な凹凸を形成することを特徴とする画像表示装置の製造方法。
  9. 第1基板、およびこの第1基板に隙間を置いて対向配置された第2基板を有した外囲器と、前記外囲器内に設けられた複数の画素と、前記外囲器内で前記第1基板および第2基板の間に設けられ、前記第1および第2基板に作用する大気圧荷重を支持するスペーサ構体と、を備え、前記スペーサ構体は、前記第1および第2基板に対向して設けられた支持基板と、前記支持基板の少なくとも一方の表面上に立設された複数のスペーサと、を有し、前記各スペーサの表面および前記支持基板の表面の少なくとも一方に、深さ1ないし100μmの不均一な凹凸が形成されている画像表示装置の製造方法において、
    複数の有底のスペーサ形成孔を有した成形型、および支持基板を用意し、
    前記支持基板の表面を絶縁層により被覆し、
    前記絶縁層の表面を酸系の液体により部分的に溶解させ、絶縁層の表面に深さ1ないし100μmの不均一な凹凸を形成し、
    前記成形型の各スペーサ形成孔にスペーサ形成材料を充填し、
    前記スペーサ形成材料が充填された成形型を、前記支持基板の凹凸が形成された絶縁層に密着させた後、前記スペーサ形成材料を硬化させ、
    前記成形型を離型して前記硬化されたスペーサ形成材料を前記支持基板の表面上に転写し、
    前記離型されたスペーサ材料および絶縁層を焼成してスペーサを形成し、
    前記形成されたスペーサの表面を酸系の液体により部分的に溶解させ、スペーサの表面に深さ1ないし100μmの不均一な凹凸を形成することを特徴とする画像表示装置の製造方法。
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