JP2005093323A - 画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】スペーサと支持基板との密着性が高く、信頼性および製造歩留まりの向上を図ることが可能な画像表示装置を提供することにある。
【解決手段】 蛍光面が形成された第1基板10と、複数の電子放出源18が設けられた第2基板12との間に、スペーサ構体22が設けられている。スペーサ構体は、第1および第2基板に対向しているとともに、それぞれ電子放出源に対向した複数の電子ビーム通過孔を有した板状の支持基板24と、支持基板の少なくとも一方の表面上に立設された複数のスペーサ30a、30bと、を有している。支持基板の少なくとも一方の表面において、スペーサが立設された各領域に、スペーサの支持基板側の端よりも小さい面積を有した凹所72が形成されている。
【選択図】 図5
【解決手段】 蛍光面が形成された第1基板10と、複数の電子放出源18が設けられた第2基板12との間に、スペーサ構体22が設けられている。スペーサ構体は、第1および第2基板に対向しているとともに、それぞれ電子放出源に対向した複数の電子ビーム通過孔を有した板状の支持基板24と、支持基板の少なくとも一方の表面上に立設された複数のスペーサ30a、30bと、を有している。支持基板の少なくとも一方の表面において、スペーサが立設された各領域に、スペーサの支持基板側の端よりも小さい面積を有した凹所72が形成されている。
【選択図】 図5
Description
この発明は、対向配置された基板と、基板間に配設されたスペーサ構体とを備えた画像表示装置に関する。
近年、陰極線管(以下、CRTと称する)に代わる次世代の軽量、薄型の表示装置として様々な平面型の画像表示装置が注目されている。例えば、平面表示装置として機能するフィールド・エミッション・デバイス(以下、FEDと称する)の一種として、表面伝導型電子放出装置(以下、SEDと称する)の開発が進められている。
このSEDは、所定の間隔をおいて対向配置された第1基板および第2基板を備え、これらの基板は矩形状の側壁を介して周辺部を互いに接合することにより真空外囲器を構成している。第1基板の内面には3色の蛍光体層が形成され、第2基板の内面には、蛍光体を励起する電子放出源として、各画素に対応する多数の電子放出素子が配列されている。第1基板および第2基板間に作用する大気圧荷重を支持し基板間の隙間を維持するため、両基板間には、多数の板状あるいは柱状のスペーサが配置されている。
スペーサを第1基板および第2基板の全面に渡って配置するためには、第1基板の蛍光体、第2基板の電子放出素子に接触しないように、極めて薄い板状、あるいは極めて細い柱状のスペーサが必要となる。これらのスペーサは、電子放出素子の極めて近くに設置せざるを得ないため、スペーサとして絶縁体材料を使用する必要がある。同時に、第1基板および第2基板の薄板化を検討した場合、一層多くのスペーサが必要となり、更に製造が困難となる。
第1基板の蛍光体間、および第2基板の電子放出素子間に対するスペーサの位置合わせについては、蛍光体間あるいは電子放出素子間を狙って直接スペーサを取り付ける方法、あるいは、電子の通過する孔が予め形成された金属板上に多数のスペーサを高い位置精度で形成し、この金属板上に形成されたスペーサを第1基板または第2基板に位置合わせする方法が考えられる。
後者の場合、それぞれスペーサ形状に対応する多数の孔が形成された2枚の成形型を金属板の表裏面に密着させ、この状態で、成形型の孔にペースト状のスペーサ形成材料を充填する。また、スペーサ形成材料のはみ出し分は、成形型の表面をスキージ等によって掻き取ることにより除去する。続いて、充填されたスペーサ形成材料を成形型内部で硬化させた後、金属板から2枚の成形型を取り外すことにより、金属板上に形成された柱状のスペーサを得る方法等が提案されている(例えば、特許文献1)。
特開2002−082850号公報
前記の方法において、充填されたスペーサ形成材料を成形型内部で硬化させた後、金属板から2枚の成形型を離型する際、スペーサと金属板との間の密着性が低い場合、スペーサが金属板上に形成されず、金属板から剥がれてしまう問題がある。そのため、製造歩留まりが低下する。また、複数本のスペーサが欠落した場合、第1および第2基板に作用する大気圧を安定して支持することができず、画像表示装置の信頼性が低下してしまう。
この発明は、以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、スペーサと支持基板との密着性が高く、信頼性および製造歩留まりの向上を図ることが可能な画像表示装置を提供することにある。
前記目的を達成するため、この発明の態様に係る画像表示装置は、蛍光面が形成された第1基板と、前記第1基板と隙間を置いて対向配置されているとともに前記蛍光面を励起する複数の電子放出源が設けられた第2基板と、前記第1および第2基板の間に設けられ前記第1および第2基板に作用する大気圧荷重を支持するスペーサ構体とを備え、
前記スペーサ構体は、前記第1および第2基板に対向しているとともに、それぞれ前記電子放出源に対向した複数の電子ビーム通過孔を有した板状の支持基板と、前記支持基板の少なくとも一方の表面上に立設された複数のスペーサと、を有し、前記支持基板の前記少なくとも一方の表面において、前記スペーサが立設された各領域に、前記スペーサの支持基板側の端よりも小さい面積を有した凹所が形成されていることを特徴としている。
前記スペーサ構体は、前記第1および第2基板に対向しているとともに、それぞれ前記電子放出源に対向した複数の電子ビーム通過孔を有した板状の支持基板と、前記支持基板の少なくとも一方の表面上に立設された複数のスペーサと、を有し、前記支持基板の前記少なくとも一方の表面において、前記スペーサが立設された各領域に、前記スペーサの支持基板側の端よりも小さい面積を有した凹所が形成されていることを特徴としている。
また、この発明の他の態様に係る画像表示装置は、蛍光面が形成された第1基板と、前記第1基板と隙間を置いて対向配置されているとともに前記蛍光面を励起する複数の電子放出源が設けられた第2基板と、前記第1および第2基板の間に設けられ前記第1および第2基板に作用する大気圧荷重を支持するスペーサ構体とを備え、
前記スペーサ構体は、前記第1および第2基板に対向しているとともに、それぞれ前記電子放出源に対向した複数の電子ビーム通過孔を有した板状の支持基板と、前記支持基板の少なくとも一方の表面上に立設された複数のスペーサと、を有し、前記支持基板の前記少なくとも一方の表面において、前記スペーサが立設された領域は他の領域よりも粗い表面粗さを有していることを特徴としている。
前記スペーサ構体は、前記第1および第2基板に対向しているとともに、それぞれ前記電子放出源に対向した複数の電子ビーム通過孔を有した板状の支持基板と、前記支持基板の少なくとも一方の表面上に立設された複数のスペーサと、を有し、前記支持基板の前記少なくとも一方の表面において、前記スペーサが立設された領域は他の領域よりも粗い表面粗さを有していることを特徴としている。
この発明によれば、スペーサ構体の支持基板において、スペーサが立設された領域とスペーサとの接触面積を増大することができ、スペーサと支持基板との密着性が高く、信頼性および製造歩留まりの向上した画像表示装置を提供することができる。
以下図面を参照しながら、この発明を、平面型の画像表示装置としてFEDの一種である表面伝導型電子放出装置(以下、SEDと称する)に適用した実施の形態について詳細に説明する。
図1ないし図3に示すように、SEDは、それぞれ矩形状のガラス板からなる第1基板10および第2基板12を備え、これらの基板は約1.0〜2.0mmの隙間をおいて対応配置されている。第1基板10および第2基板12は、ガラスからなる矩形枠状の側壁14を介して周縁部同士が接合され、内部が真空に維持された扁平な真空外囲器15を構成している。
図1ないし図3に示すように、SEDは、それぞれ矩形状のガラス板からなる第1基板10および第2基板12を備え、これらの基板は約1.0〜2.0mmの隙間をおいて対応配置されている。第1基板10および第2基板12は、ガラスからなる矩形枠状の側壁14を介して周縁部同士が接合され、内部が真空に維持された扁平な真空外囲器15を構成している。
第1基板10の内面には蛍光面として機能する蛍光体スクリーン16が形成されている。この蛍光体スクリーン16は、赤、青、緑に発光する蛍光体層R、G、B、および遮光層11を並べて構成され、これらの蛍光体層はストライプ状、ドット状あるいは矩形状に形成されている。蛍光体スクリーン16上には、アルミニウム等からなるメタルバック17およびゲッタ膜19が順に形成されている。
第2基板12の内面には、蛍光体スクリーン16の蛍光体層R、G、Bを励起する電子放出源として、それぞれ電子ビームを放出する多数の表面伝導型の電子放出素子18が設けられている。これらの電子放出素子18は、画素毎に対応して複数列および複数行に配列されている。各電子放出素子18は、図示しない電子放出部、この電子放出部に電圧を印加する一対の素子電極等で構成されている。第2基板12の内面上には、電子放出素子18に電位を供給する多数本の配線21がマトリック状に設けられ、その端部は真空外囲器15の外部に引出されている。
接合部材として機能する側壁14は、例えば、低融点ガラス、低融点金属等の封着材20により、第1基板10の周縁部および第2基板12の周縁部に封着され、これらの基板同士を接合している。
図2ないし図5に示すように、SEDは、第1基板10および第2基板12の間に配設されたスペーサ構体22を備えている。本実施の形態において、スペーサ構体22は、第1および第2基板10、12間に配設された矩形状の金属板からなるグリッド24と、グリッドの両面に一体的に立設された多数の柱状のスペーサと、で構成されている。
詳細に述べると、支持基板として機能するグリッド24は、第1基板10の内面と対向した第1表面24aおよび第2基板12の内面と対向した第2表面24bを有し、これらの基板と平行に配置されている。グリッド24には、エッチング等により多数の電子ビーム通過孔26が形成されている。電子ビーム通過孔26は、それぞれ電子放出素子18と対向して配列され、電子放出素子から放出された電子ビームを透過する。
グリッド24の第1および第2表面24a、24bにおいて、第1および第2スペーサ30a、30bが立設されるそれぞれの領域70は、第1および第2表面の他の領域よりも表面粗さが粗く形成されている。ここでは、第1および第2表面24a、24bの各領域70には、ハーフエッチングにより複数の凹所72が形成されている。各凹所72は例えば円形に形成され、後述するスペーサのグリッド側の端よりも小さい面積を有している。凹所72の深さdは、グリッド24の板厚tの10〜30%に形成されている。
グリッド24は、例えば鉄−ニッケル系の金属板により厚さ0.1〜0.3mmに形成されている。グリッド24の表面には、金属板を構成する元素からなる酸化膜、例えば、Fe3O4、NiFe2O4からなる酸化膜が形成されている。また、グリッド24の表面24a、24b、並びに、各電子ビーム通過孔26の壁面は、放電電流制限効果を有する高抵抗膜により被覆されている。この高抵抗膜は、ガラスを主成分とする高抵抗物質で形成されている。
グリッド24の第1表面24a上には複数の第1スペーサ30aが一体的に立設され、それぞれ隣合う電子ビーム通過孔26間に位置している。各第1スペーサ30aは第1表面24aの領域70上に立設され、複数の凹所72に重ねて、つまり、複数の凹所72に接触して設けられている。第1スペーサ30aの先端は、ゲッタ膜19、メタルバック17、および蛍光体スクリーン16の遮光層11を介して第1基板10の内面に当接している。
グリッド24の第2表面24b上には複数の第2スペーサ30bが一体的に立設され、それぞれ隣合う電子ビーム通過孔26間に位置している。各第2スペーサ30aは第2表面24bの領域70上に立設され、複数の凹所72に重ねて、つまり、複数の凹所72に接触して設けられている。第2スペーサ30bの先端は第2基板12の内面に当接している。ここでは、各第2スペーサ30bの先端は、第2基板12の内面上に設けられた配線21上に位置している。各第1および第2スペーサ30a、30bは互いに整列して位置し、グリッド24を両面から挟み込んだ状態でグリッド24と一体に形成されている。
図5に示すように、第1および第2スペーサ30a、30bの各々は、グリッド24側から延出端に向かって径が小さくなった先細テーパ状に形成されている。例えば、各第1スペーサ30aはほぼ楕円状の横断面形状を有し、グリッド24側に位置した基端の径が約0.3mm×2mm、延出端の径が約0.2mm×2mm、高さが約0.6mmに形成されている。各第2スペーサ30bはほぼ楕円状の横断面形状を有し、グリッド24側に位置した基端の径が約0.3mm×2mm、延出端の径が約0.2mm×2mm、高さが約0.8mmに形成されている。
上記のように構成されたスペーサ構体22は第1基板10および第2基板12間に配設されている。そして、第1および第2スペーサ30a、30bは、第1基板10および第2基板12の内面に当接することにより、これらの基板に作用する大気圧荷重を支持し、基板間の間隔を所定値に維持している。
SEDは、グリッド24および第1基板10のメタルバック17に電圧を印加する図示しない電圧供給部を備えている。この電圧供給部は、グリッド24およびメタルバック17にそれぞれ接続され、例えば、グリッド24に12kV、メタルバック17に10kVの電圧を印加する。そして、SEDにおいて、画像を表示する場合、蛍光体スクリーン16およびメタルバック17にアノード電圧が印加され、電子放出素子18から放出された電子ビームをアノード電圧により加速して蛍光体スクリーン16へ衝突させる。これにより、蛍光体スクリーン16の蛍光体層が励起されて発光し、画像を表示する。
次に、以上のように構成されたSEDの製造方法について説明する。始めに、スペーサ構体22の製造方法について説明する。
図6に示すように、スペーサ構体22を製造する場合、まず、所定寸法のグリッド24、このグリッドとほぼ同一の寸法を有した矩形板状の上型36aおよび下型36bを用意する。この場合、Fe−50%Niからなる板厚0.12mmの金属板を脱脂、洗浄、乾燥した後、エッチングにより電子ビーム通過孔26を形成する。また、金属板の両面をハーフエッチングし、それぞれスペーサを立設する領域70に複数の凹所72を形成する。各凹所72は直径80μmの円形として、深さを30μmとした。隣合う凹所72の中心間の距離は110μmとした。その後、金属板全体を酸化処理した後、電子ビーム通過孔26の内面を含めグリッド表面に絶縁膜を形成する。更に、絶縁膜の上に、ガラスを主成分としたコート液を塗布し、乾燥した後、焼成することにより、高抵抗膜を形成する。これにより、グリッド24を得る。なお、凹所72は、ハーフエッチングに限らず、切削、サンドブラスト等の他の方法により形成してもよい。
図6に示すように、スペーサ構体22を製造する場合、まず、所定寸法のグリッド24、このグリッドとほぼ同一の寸法を有した矩形板状の上型36aおよび下型36bを用意する。この場合、Fe−50%Niからなる板厚0.12mmの金属板を脱脂、洗浄、乾燥した後、エッチングにより電子ビーム通過孔26を形成する。また、金属板の両面をハーフエッチングし、それぞれスペーサを立設する領域70に複数の凹所72を形成する。各凹所72は直径80μmの円形として、深さを30μmとした。隣合う凹所72の中心間の距離は110μmとした。その後、金属板全体を酸化処理した後、電子ビーム通過孔26の内面を含めグリッド表面に絶縁膜を形成する。更に、絶縁膜の上に、ガラスを主成分としたコート液を塗布し、乾燥した後、焼成することにより、高抵抗膜を形成する。これにより、グリッド24を得る。なお、凹所72は、ハーフエッチングに限らず、切削、サンドブラスト等の他の方法により形成してもよい。
成形型としての上型36aおよび下型36bは、紫外線を透過する透明な材料、例えば、透明シリコン、透明ポリエチレンテレフタレート等により平坦な板状に形成する。上型36aは、グリッド24に当接される平坦な当接面41aと、第1スペーサ30aを成形するための多数の有底のスペーサ形成孔40aと、を有している。スペーサ形成孔40aはそれぞれ上型36aの当接面41aに開口しているとともに、所定の間隔を置いて配列されている。同様に、下型36bは、平坦な当接面41bと、第2スペーサ30bを成形するための多数の有底のスペーサ形成孔40bと、を有している。スペーサ形成孔40bはそれぞれ下型36bの当接面41bに開口しているとともに、所定の間隔を置いて配列されている。
続いて、上型36aのスペーサ形成孔40aおよび下型26bのスペーサ形成孔40bにスペーサ形成材料46を充填する。スペーサ形成材料46としては、少なくとも紫外線硬化型のバインダ(有機成分)およびガラスフィラーを含有したガラスペーストを用いる。ガラスペーストの比重、粘度は適宜選択する。
図7に示すように、スペーサ形成材料46の充填されたスペーサ形成孔40aがそれぞれ電子ビーム通過孔26間の領域70と対向するように、上型36aを位置決めし当接面41aをグリッド24の第1表面24aに密着させる。同様に、下型36bを、各スペーサ形成孔40bが電子ビーム通過孔26間の領域70と対向するように位置決めし、当接面41bをグリッド24の第2表面24bに密着させる。なお、グリッド24のスペーサ立設位置、すなわち、各領域70には、ディスペンサあるいは印刷により、予め接着剤を塗布しておいてもよい。これにより、グリッド24、上型36aおよび下型36bからなる組立体42を構成する。組立体42において、上型36aのスペーサ形成孔40aと下型36bのスペーサ形成孔40bとは、グリッド24を挟んで対向して配列されている。
次いで、図8に示すように、組立体42を偏平な真空容器50内に配置し、大気圧を利用して上型36aおよび下型36bをグリッド24に密着させる。ここで真空容器50について詳細に説明する。
真空容器50は、それぞれ矩形板状に形成された第1主壁52および第2主壁54を有し、これらの第1および第2主壁は隙間をおいて対向配置されている。第1および第2主壁52、54の周縁部間には矩形枠状の側壁55が設けられている。側壁55は第1主壁52の内面周縁部に気密に固定され、第1主壁に対してほぼ垂直に立設されている。側壁55の自由端、ここでは、上端は、Oリング56を介して第2主壁54の内面周縁部に気密に当接している。このように構成された真空容器50内部は、第2主壁54の周縁部に設けられた排気バルブ57を介して、真空ポンプ58に接続されている。
真空容器50は、それぞれ矩形板状に形成された第1主壁52および第2主壁54を有し、これらの第1および第2主壁は隙間をおいて対向配置されている。第1および第2主壁52、54の周縁部間には矩形枠状の側壁55が設けられている。側壁55は第1主壁52の内面周縁部に気密に固定され、第1主壁に対してほぼ垂直に立設されている。側壁55の自由端、ここでは、上端は、Oリング56を介して第2主壁54の内面周縁部に気密に当接している。このように構成された真空容器50内部は、第2主壁54の周縁部に設けられた排気バルブ57を介して、真空ポンプ58に接続されている。
第1および第2主壁52、54は、グリッド24よりも大きな平面寸法に形成されている。また、第1および第2主壁52、54は、弾性変形可能であるとともに紫外線を透過可能な材料、例えば、透明シリコン、透明ポリエチレンテレフタレート、ガラス等によって形成されている。後述するように、組立体42全体が均一に加圧されるように、第1および第2主壁52、54の内面には、ほぼ全面に渡って凹凸部が形成されている。
前記のように構成された真空容器50を用いて組立体42を挟持する場合、まず、第2主壁54を取り外した状態で、第1主壁52の内面上に圧力拡散板60aを敷設する。この圧力拡散板60a上に組立体42を載置し、例えば、下型36bを第1主壁52と対向させる。
次に、組立体42の上に圧力拡散板60bを配置し、更に、第2主壁54を重ねて配置し、組立体42の上型36aと対向させるとともに周縁部をOリング56に重ね合わせる。なお、圧力拡散板60a、60bは紫外線透過材料により形成されている。
この状態で、排気手段としての真空ポンプ58を作動させ、真空容器50内を所定の真空度となるまで排気した後、排気バルブ57を閉じて真空容器内を真空に維持する。真空容器50内が真空になると、真空容器の第1および第2主壁52、54に対して大気圧が作用する。そのため、第1および第2主壁52、54は、内部には配置された組立体42を両面側から押圧し、上型36aおよび下型36bをグリッド24に密着させる。
この際、前述した通り、真空容器50の第1および第2主壁52、54は弾性変形可能な材料で形成されているため、組立体42に沿って弾性変形し上型36aおよび下型36bに密着する。また、第1および第2主壁52、54の内面は凹凸に形成されている。そのため、大気圧はそれぞれ圧力拡散板60a、60bを介して上型36aおよび下型36bの全面に均一に作用する。従って、グリッド24、上型36aおよび下型36bは、極めて良好な密着状態に維持される。
前記のように大気圧を利用してグリッド24、上型36aおよび下型36bを密着させた状態で、真空容器50の外側に配置された紫外線ランプ62a、62bから第1および第2主壁52、54に向けて紫外線(UV)を照射する。ここで、真空容器50の第1および第2主壁52、54、圧力拡散板60a、60b、上型36aおよび下型36bはそれぞれ紫外線透過材料で形成されている。そのため、紫外線ランプ62a、62bから照射された紫外線は、真空容器50の第1および第2主壁52、54、圧力拡散板60a、60b、上型36aおよび下型36bを透過し、充填されたスペーサ形成材料46に照射される。これにより、組立体42の極めて良好な密着を維持した状態で、スペーサ形成材料46を紫外線硬化させることができる。
続いて、真空容器50の真空を解除し、組立体42を真空容器から取り出す。その後、図9に示すように、硬化したスペーサ形成材料46をグリッド24上に残すように、上型36aおよび下型36bをグリッド24から剥離する。次に、スペーサ形成材料46が設けられたグリッド24を加熱炉内で熱処理し、スペーサ形成材料内からバインダを飛ばした後、約500〜550℃で30分〜1時間、スペーサ形成材料を本焼成する。これにより、グリッド24上に第1および第2スペーサ30a、30bが作り込まれたスペーサ構体22が得られる。
一方、SEDの製造においては、予め、蛍光体スクリーン16およびメタルバック17の設けられた第1基板10と、電子放出素子18および配線21が設けられているとともに側壁14が接合された第2基板12と、を用意しておく。続いて、前記のようにして得られたスペーサ構体22を第2基板12上に位置決め配置する。この状態で、第1基板10、第2基板12、およびスペーサ構体22を真空チャンバ内に配置し、真空チャンバ内を真空排気した後、側壁14を介して第1基板を第2基板に接合する。これにより、スペーサ構体22を備えたSEDが製造される。
以上のように構成されたSEDによれば、グリッド24表面のスペーサ立設領域に複数の凹所72を設け、他の領域よりも表面粗さを粗くすることにより、スペーサとグリッド表面との接触面積を増大し、スペーサとグリッド表面との密着性を高くすることができる。これにより、スペーサ構体22の製造において、グリッドから成形型を離型する際、スペーサがグリッドから剥がれてしまうことを防止でき、製造歩留まりの向上を図ることができる。同時に、スペーサとグリッドとの結合力が高まり、スペーサの強度向上を図ることができる。従って、スペーサの折れ等を防止し、第1および第2基板に作用する大気圧を安定して支持することができ、信頼性の高いSEDが得られる。
前述した実施の形態において、スペーサ構体22は、第1および第2スペーサおよびグリッドを一体的に備えた構成としたが、第2スペーサ30bは第2基板12上に形成する構成としてもよい。また、スペーサ構体は、グリッドおよび第2スペーサのみを備え、グリッドが第1基板に接触した構成としてもよい。
図10に示すように、この発明の第2の実施形態に係るSEDによれば、スペーサ構体22は、矩形状の金属板からなる支持基板24と、支持基板の一方の表面のみに一体的に立設された多数の柱状のスペーサ30と、を有している。支持基板24は第1基板10の内面と対向した第1表面24aおよび第2基板12の内面と対向した第2表面24bを有し、これらの基板と平行に配置されている。グリッド24には、エッチング等により多数の電子ビーム通過孔26が形成されている。電子ビーム通過孔26は、それぞれ電子放出素子18と対向して配列され、電子放出素子から放出された電子ビームを透過する。
支持基板24の第1および第2表面24a、24b、各電子ビーム通過孔26の内壁面は、絶縁層として、ガラス、セラミック等を主成分とした絶縁性物質からなる高抵抗膜により被覆されている。そして、支持基板24は、その第1表面24aが、ゲッタ膜、メタルバック17、蛍光体スクリーン16を介して、第1基板10の内面に面接触した状態で設けられている。支持基板24に設けられた電子ビーム通過孔26は、蛍光体スクリーン16の蛍光体層R、G、Bと対向している。これにより、各電子放出素子18は、電子ビーム通過孔26を通して、対応する蛍光体層と対向している。
支持基板24の第2表面24b上には複数のスペーサ30が一体的に立設されている。各スペーサ30の延出端は、第2基板12の内面、ここでは、第2基板12の内面上に設けられた配線21上に当接している。支持基板24の第2表面24bにおいて、スペーサ30が立設された領域70は、第2表面の他の領域よりも表面粗さが粗く形成されている。ここでは、第2表面24bの各領域70には、ハーフエッチングにより複数の凹所72が形成されている。各凹所72は例えば円形に形成され、スペーサ30の支持基板側の端よりも小さい面積を有している。凹所72の深さは、支持基板24の板厚の10〜30%に形成されている。各スペーサ30は複数の凹所72に重ねて形成されている。スペーサ30の各々は、グリッド24側から延出端に向かって径が小さくなった先細テーパ状に形成されている。例えば、スペーサ30は高さ約1.4mmに形成されている。グリッド表面と平行な方向に沿ったスペーサ30の断面は、ほぼ楕円形に形成されている。
上記のように構成されたスペーサ構体22は、グリッド24が第1基板10に面接触し、スペーサ30の延出端が第2基板12の内面に当接することにより、これらの基板に作用する大気圧荷重を支持し、基板間の間隔を所定値に維持している。
第2の実施形態において、他の構成は前述した第1の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明は省略する。第2の実施形態に係るSEDおよびそのスペーサ構体は前述した実施の形態に係る製造方法と同様の製造方法によって製造することができる。そして、第2の実施形態においても、前述した第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
支持基板のスペーサ立設領域に設けた凹所は円形に限らず、任意の形状とすることができる。凹所の径、ピッチ、形成数は必要に応じて増減可能であり、各スペーサ立設領域に少なくとも1つの凹所が形成されていれば、スペーサと支持基板との接触面積が増大し、これらの間の密着力を向上することができる。また、前述した実施の形態において、凹所は、支持基板表面のスペーサ立設領域のみに設ける構成としたが、スペーサ立設領域を越えた領域に形成してもよく、あるいは、表面全体に形成してもよい。
スペーサの径や高さ、その他の構成要素の寸法、材質等は上述した実施の形態に限定されることなく、必要に応じて適宜選択可能である。スペーサ形成材料の充填条件は必要に応じて種々選択可能である。また、この発明は、電子源として表面伝導型電子放出素子を用いたものに限らず、電界放出型、カーボンナノチューブ等の他の電子源を用いた画像表示装置にも適用可能である。
10…第1基板、 12…第2基板、 14…側壁、 15…真空外囲器、
16…蛍光体スクリーン、 18…電子放出素子、 22…スペーサ構体、
24…グリッド、 26…電子ビーム通過孔、 30…スペーサ、
30a…第1スペーサ、 30b…第2スペーサ、70…領域、
72…凹所
16…蛍光体スクリーン、 18…電子放出素子、 22…スペーサ構体、
24…グリッド、 26…電子ビーム通過孔、 30…スペーサ、
30a…第1スペーサ、 30b…第2スペーサ、70…領域、
72…凹所
Claims (6)
- 蛍光面が形成された第1基板と、
前記第1基板と隙間を置いて対向配置されているとともに前記蛍光面を励起する複数の電子放出源が設けられた第2基板と、
前記第1および第2基板の間に設けられ前記第1および第2基板に作用する大気圧荷重を支持するスペーサ構体とを備え、
前記スペーサ構体は、前記第1および第2基板に対向しているとともに、それぞれ前記電子放出源に対向した複数の電子ビーム通過孔を有した板状の支持基板と、前記支持基板の少なくとも一方の表面上に立設された複数のスペーサと、を有し、前記支持基板の前記少なくとも一方の表面において、前記スペーサが立設された各領域に、前記スペーサの支持基板側の端よりも小さい面積を有した凹所が形成されている画像表示装置。 - 前記支持基板の前記少なくとも一方の表面において、前記スペーサが立設された各領域に、それぞれ前記スペーサの支持基板側の端よりも小さい面積を有した複数の凹所が形成されている請求項1に記載の画像表示装置。
- 前記凹所は、前記支持基板の板厚の10〜30%の深さを有している請求項1又は2に記載の画像表示装置。
- 蛍光面が形成された第1基板と、
前記第1基板と隙間を置いて対向配置されているとともに前記蛍光面を励起する複数の電子放出源が設けられた第2基板と、
前記第1および第2基板の間に設けられ前記第1および第2基板に作用する大気圧荷重を支持するスペーサ構体とを備え、
前記スペーサ構体は、前記第1および第2基板に対向しているとともに、それぞれ前記電子放出源に対向した複数の電子ビーム通過孔を有した板状の支持基板と、前記支持基板の少なくとも一方の表面上に立設された複数のスペーサと、を有し、前記支持基板の前記少なくとも一方の表面において、前記スペーサが立設された領域は他の領域よりも粗い表面粗さを有している画像表示装置。 - 前記支持基板は、前記第1基板に対向した第1表面と、前記第2基板に対向した第2表面と、を有し、前記スペーサは、前記第1表面上に立設された複数の第1スペーサと、前記第2表面上に立設された複数の第2スペーサと、を含んでいる請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像表示装置。
- 前記支持基板は、前記第1基板に当接した第1表面と、前記第2基板と隙間を置いて対向した第2表面と、を有し、前記スペーサは、前記第2表面上に立設されているとともに前記第2基板に当接した先端部を有している請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像表示装置。
Priority Applications (1)
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JP2003327611A JP2005093323A (ja) | 2003-09-19 | 2003-09-19 | 画像表示装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2005093323A (ja) |
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2003
- 2003-09-19 JP JP2003327611A patent/JP2005093323A/ja active Pending
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