JP2006072260A - 正帯電性磁性一成分トナー及びその製造方法 - Google Patents

正帯電性磁性一成分トナー及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 トナーが小粒径化し、現像装置が高速化した場合においても、層乱れが発生せず、また、高温高湿環境においても、高い画像濃度を得ることができ、さらに、長時間現像器内で攪拌された場合においても、流動性の低下、つまりトナー劣化の少ない正帯電性磁性一成分トナー及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 結着樹脂及び磁性粉を含有するトナー粒子に対して表面処理剤を外添した正帯電性磁性一成分トナーにおいて、前記表面処理剤として、少なくともシリカ微粒子と、フェライトキャリアに対する摩擦帯電量が0μC/gを越えて100μC/g以下の値を有し且つ親水性の酸化チタン微粒子Aと、比抵抗5Ωcm以上で且つ疎水化処理が施されてメタノール疎水化度が30%以上である酸化チタン微粒子Bとを含有させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電子写真法等により像担持体上に形成された静電潜像を現像するために用いられる正帯電性磁性一成分トナー及びその製造方法に関するものである。
電子写真法等における現像方式は、主として一成分現像方式と二成分現像方式とに大別される。これらの現像方式によって使用される現像剤の種類は異なるが、一般的な乾式現像剤は、磁性粉、着色剤、電荷制御剤、及び離型剤等を必要に応じて結着樹脂中に分散させて所定の粒径とし、さらに高い流動性、良好な転写性及び適正な帯電特性が得られるように、外添剤を添加混合して表面処理することが知られている。
このような現像剤には大きく分けて非磁性現像剤と磁性現像剤とがあり、非磁性現像剤はキャリアと混合して二成分現像剤として用いられることが多い。
一方、磁性現像剤はそのまま一成分現像剤として用いられることが多い。一成分現像剤の場合には、キャリアを用いないため装置の小型軽量化が図れ、またキャリア交換といったメンテナンスが不要となることから、低速の小型複写機やプリンタのみならず、最近では中、高速の複写機やプリンタ等にも用いられつつある。
一成分磁性現像剤を用いた現像装置としては、例えば特許文献1(特開昭57−66455号公報)等があるが、該現像装置に用いられる現像スリーブとしては、例えば金属、或いはその合金またはその化合物等からなる材料を円筒状に成型し、その表面を電解、ブラスト、ヤスリ等で所定の表面粗さになるように処理したものが用いられる。尚、一般的なスリーブ基体材料としては、特許文献1に提案されたステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル等が広く用いられている。
しかし、これらの現像スリーブを用いて正帯電トナーの帯電付与を行なう場合においては、トナー帯電量の調整が難しく、例えば、スリーブ基体材料として画像形成速度の高速化に伴って耐摩耗性に優れるステンレス鋼を用いた場合には、帯電付与力が強いため、スリーブ表面近傍に存在するトナーは非常に高い電荷を有することになり、スリーブ表面に鏡映力により強烈に引きつけられてしまい不動層を形成する。これによりそれ以外のトナーの現像スリーブとの摩擦機会が減少し、好適な帯電付与が阻害される。この結果、トナーの不均一帯電や過剰帯電による現像スリーブ上に形成されたトナー層に乱れ(所謂層乱れ)が発生しやすくなり、当然現像特性も劣化する。このような現象はトナーの粒径が小さい程、また現像装置が高速になるほど起こりやすい。
この問題を解決するため、例えば特許文献2(特開平5−66604号公報)ではトナーの表面処理剤として第3級アミノ基を有するシリカ微粒子を用いることが開示されているが、このようにアミノ基を有するシリカを用いると耐湿性が悪くなり、高温高湿環境における現像性の低下を引き起こす。また、効果として十分でなくトナーの小粒径化、現像装置の高速化により層乱れ等の不具合を生じる。
また、特許文献3(特開平11−218966号公報)では、特定の電荷制御剤を用いてトナーの帯電を安定させることが開示されているが、効果として十分でなく、樹脂コートされた現像スリーブの使用が必要となる。このように樹脂コートされた現像スリーブはスリーブ自体の耐久性を損なう可能性がある。
また、トナーの過剰帯電を防ぐため、トナーの表面処理剤として導電性微粒子を添加する手法があるが、この場合高温高湿環境においてトナーの帯電量が下がってしまい画像濃度が出難いという問題が生じる。
高温高湿環境下において良好な帯電性を得るため、例えば特許文献4(特開平9−134028号公報)では、酸化チタンを疎水化処理する手法が開示されているが、このような酸化チタンを正帯電性磁性一成分トナーに使用すると、上記した層乱れという問題が発生してしまう。
一方、一成分現像方式は現像器内のトナー量が多いため、同じトナーが現像器内に留まってしまう。そのため、現像器内のトナーの劣化が大きくなってしまう。
これは、同じトナーが現像器内で長時間攪拌されることにより表面処理剤の埋め込みが起こり、トナーの流動性、帯電性の低下を招くためである。このような問題を防ぐために、比較的粒径の大きい表面処理剤を用いることが一般的に知られているが、その反面トナーの流動性が初期状態から悪くなる傾向がある。
特開昭57−66455号公報 特開平5−66604号公報 特開平11−218966号公報 特開平9−134028号公報
従って、本発明は上述のごとき従来技術における問題点を解決した正帯電性磁性一成分トナー及びその製造方法を提供することを目的とする。即ち、本発明の第1の目的は、トナーの小粒径化や装置を高速化した場合でも層乱れが発生しない正帯電性磁性一成分トナー及びその製造方法を提供することにある。さらに本発明の第2の目的は、高温高湿環境においても高い画像濃度を得ることのできる正帯電性磁性一成分トナー及びその製造方法を提供することにある。さらに本発明の第3の目的は、長時間現像器内で攪拌されても流動性の低下、即ちトナー劣化の少ない正帯電性磁性一成分トナー及びその製造方法を提供することにある。
そこで、本発明はかかる課題を解決するために、結着樹脂及び磁性粉を含有するトナー粒子に対して表面処理剤を外添した正帯電性磁性一成分トナーにおいて、
前記表面処理剤として、少なくともシリカ微粒子と、フェライトキャリアに対する摩擦帯電量が0μC/gを越えて100μC/g以下の値を有し且つ親水性の酸化チタン微粒子Aと、比抵抗5Ωcm以上で且つ疎水化処理が施されてメタノール疎水化度が30%以上である酸化チタン微粒子Bとを含有していることを特徴とする。
また、前記表面処理剤のうち、前記酸化チタン微粒子Aを前記酸化チタン微粒子Bよりトナー粒子表面の内層側に多く存在させることが好適である。
さらに、結着樹脂及び磁性粉を含有するトナー粒子に対して表面処理剤を外添した正帯電性磁性一成分トナーの製造方法において、
前記表面処理剤は、少なくともシリカ微粒子と、フェライトキャリアに対する摩擦帯電量が0μC/gを越えて100μC/g以下の値を有し且つ親水性の酸化チタン微粒子Aと、比抵抗5Ωcm以上で且つ疎水化処理が施されてメタノール疎水化度が30%以上である酸化チタン微粒子Bと、を含有し、
前記トナーの表面処理工程にて、前記トナー粒子に前記酸化チタン微粒子Aを外添処理した後に、前記シリカ微粒子及び前記酸化チタン微粒子Bを順次或いは同時に外添処理することを特徴とする。
これらの発明によれば、トナー粒子表面にシリカ微粒子を添加することによりトナーの流動性が確保され、さらに所定の比抵抗、メタノール疎水化度、及び鉄粉(フェライトキャリア)に対する摩擦帯電量を夫々有した異なる2種類の酸化チタン微粒子を添加混合することにより、トナーの過帯電を防止しながら、高温高湿環境下におけるトナー帯電量不足を防止できる。即ち、本発明によれば、帯電安定性に優れたトナーを得ることができ、トナーの小粒径化や現像装置を高速化した場合でも安定して薄層形成が可能で、さらには高温高湿環境においても高い画像濃度を得ることができる。
また、前記トナー粒子表面の内層側に前記酸化チタン微粒子Aを多く存在させること、或いは、前記表面処理工程にて前記酸化チタン微粒子Aを他の表面処理剤より先に添加することにより、前記シリカ微粒子がトナー粒子表面に直接付着することが少ないため、シリカ微粒子のトナー粒子表面への埋め込みが防止され、適度な流動性を保つことができ、延いては長時間現像器内で攪拌されても流動性の低下、即ちトナー劣化の少ない正帯電性磁性一成分トナーを提供することができる。
以上記載したごとく本発明によれば、トナーの帯電安定性が優れているため、トナーの小粒径化や現像装置を高速化した場合でも安定して薄層形成が可能である。また、その優れた帯電安定性のためトナーが過剰帯電し易いステンレス鋼を現像スリーブとして用いることができ、現像器の長寿命化が可能である。また、その高い帯電性のため高温高湿環境においても高い画像濃度を得ることができる。さらに、トナーの現像器内での劣化が抑制され、現像剤の長寿命化が可能である。
以下、本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。
本実施例に係る正帯電性磁性一成分トナーは、電子写真方式を用いた複写機、プリンタ、ファクシミリ、又はそれらの複合機等の画像形成装置に使用できるものであり、特に好適には、前記正帯電性磁性一成分トナーは、アモルファスシリコン系感光体と、ステンレス製の現像スリーブを具備した画像形成装置等に適用できる。しかしながら、これらの構成に限定するものではなく、正帯電性磁性一成分トナーを使用する画像形成装置であれば何れに適用してもよい。
図1に本実施例に係る正帯電性磁性一成分トナーの粒子モデルの模式図を示し、図2に比較例として製造方法を異ならせた場合の正帯電性磁性一成分トナーの粒子モデルの模式図を示す。
図1に示されるように、本実施例に係る正帯電性磁性一成分トナー10は、少なくとも磁性粉を結着樹脂中に分散担持させたトナー粒子11に、表面処理剤である酸化チタン微粒子A12と、酸化チタン微粒子B13と、シリカ微粒子14とが外添されて構成される。
本実施例において、前記チタン微粒子A12の特徴は、フェライトキャリアに対する摩擦帯電量が0μC/gを越えて100μC/g以下の値を有するとともに親水性を有し、前記チタン微粒子Bは比抵抗5Ωcm以上で且つ疎水化処理が施されてメタノール疎水化度が30%以上を有する。
前記酸化チタン微粒子A12は、前記酸化チタン微粒子B13及び前記シリカ微粒子14よりトナー粒子表面の内層側に分布し、より強固にトナー粒子11に固着している。前記シリカ微粒子14は、トナー粒子11の表面に直接付着しているものは少なく、前記酸化チタンA12を介して付着しているものが多い。
本実施例に係る正帯電性磁性一成分トナー10は、前記トナー粒子11の表面処理工程にて、前記トナー粒子11に前記酸化チタン微粒子A12を外添処理した後に、前記シリカ微粒子14及び前記酸化チタン微粒子B13を順次或いは同時に外添処理することにより製造される。
これに対して、図2の比較例の正帯電性磁性一成分トナー10では、前記トナー粒子11の表面処理工程にて、前記トナー粒子11に、前記酸化チタン微粒子A12、前記シリカ微粒子14及び前記酸化チタン微粒子B13を同時に外添処理することにより製造した。
図にも明瞭なように、前記比較例の正帯電性磁性一成分トナー10は、前記トナー粒子11の表面に、前記酸化チタン微粒子A12、前記シリカ微粒子14及び前記酸化チタン微粒子B13が均一な層状に付着している。
図1に示した正帯電性磁性一成分トナー10によれば、図2に示した比較例に比べてトナー粒子11の表面内層側に酸化チタン微粒子A12が強固に付着しているため、トナー表面の電荷を逃がしやすく、トナーの過剰帯電を防止することができる。また、本実施例では、トナー粒子表面に、所定の比抵抗、メタノール疎水化度、フェライトキャリアとの摩擦帯電量を夫々有した異なる2種類の酸化チタン微粒子A、Bを添加することにより、トナーの過剰帯電を防止しながら高温高湿環境下におけるトナー帯電量不足を防止できるという効果を有する。さらにまた、シリカ微粒子14がトナー粒子表面に直接付着することが少ないため、シリカ微粒子14のトナー粒子表面への埋め込みが防止され、適度な流動性を保つことができる。
次に、本実施例に係る正帯電性磁性一成分トナーの詳細な構成につき説明する。
前記正帯電性磁性一成分トナーは、まず、トナー粒子の表面が、フェライトキャリアに対する摩擦帯電量が0μC/gを越えて100μC/g以下の値を有し且つ親水性の酸化チタン微粒子Aを含有する表面処理剤によって処理される。
前記酸化チタン微粒子Aは親水性を有するため、低温低湿環境にて過剰帯電を防止でき、層乱れを防ぐことができる。また、鉄粉(フェライトキャリア)との摩擦帯電量とトナー物性との関係における詳細なメカニズムは明らかではないが、後述する試験結果から明らかなように、酸化チタンの帯電量が負帯電性であるとトナーの帯電立ち上がりが良くなり、逆に酸化チタンの帯電量が正帯電性だとトナーの帯電立ち上がりが悪くなる。即ち、酸化チタンの帯電量が0μC/gを越える値、つまり正帯電性であるため、トナーの帯電立ち上がりが高すぎることによる低温低湿環境下での層乱れを防止でき、かつ帯電量を100μC/g以下の値としているため、トナーの帯電立ち上がりが悪いことによるカブリの発生を防止できる。
本実施例において使用される酸化チタン微粒子Aは、当該分野で公知の方法、例えば、四塩化チタンと酸素ガスとの混合物を気相で反応させることにより得ることができる。この反応は、例えば800〜1200℃程度の温度範囲で行うことができる。得られた反応物は、粉砕及び微粉砕を行い、任意に分級することが適当である。酸化チタン微粒子Aは、粒状、針状等のどのような形状のものでもよく、結晶形は、アナターゼ型、ルチル型、非晶質の何れでもよい。
また、前記酸化チタン微粒子Aは、正帯電性に制御されるものであり、該酸化チタン微粒子Aに次の電荷制御剤を添加することが好ましい。
ニグロシン染料、脂肪酸金属塩、第4級アンモニウム塩等の電子供与性物質で、例えば、ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変生物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートなどの四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など)、高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドなどのジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートなどのジオルガノスズボレート類;グアニジン化合物、イミゾダール化合物、又は帯電制御樹脂等が挙げられ、これらを単独で或いは2種類以上組み合わせて用いることができる。
また、上記した電荷制御剤を添加した後、任意に、洗浄、不要な成分を除去するための焼成、所望の粒径を得るための粉砕及び分級の1種以上を行ってもよい。
洗浄は、デカンテーション等の一般的な洗浄法による水洗が挙げられる。
焼成は、トンネルキルン、ロータリーキルン、電気炉、マッフル炉、減圧乾燥機などを使用することができ、焼成雰囲気は、大気雰囲気、酸化雰囲気、還元性雰囲気、不活性雰囲気等、種々の雰囲気を採用することができる。焼成温度は、例えば、500〜800℃程度が挙げられる。
粉砕は、ボールミル、振動ミル、ジェットミル、ピンミル等の各種粉砕装置、破砕装置を用いて行うことができる。
分級は、例えば、ふるい、コアンダ効果を利用したエルボーショット、ローターを用いたATP、TSP、TTSP、遠心力分級方式のDSセパレータ等である気流式分級機等を用いて行うことができる。
尚、前記酸化チタン微粒子Aには親水性をもたせるため、疎水化処理等の表面処理は行なわない。
本実施例では、上記した酸化チタン微粒子Aをトナー粒子に添加混合した後、シリカ微粒子及び酸化チタン微粒子Bを前記トナー粒子に添加混合する。
前記酸化チタン微粒子Bは、比抵抗5Ωcm以上で且つ疎水化処理が施されてメタノール疎水化度が30%以上を有する。本発明において添加される酸化チタン微粒子Bは、疎水化度30%以上であれば特に制限されるものではない。
前記酸化チタン微粒子Bは、上記した酸化チタン微粒子Aと略同様の製法で作製することができ、例えば四塩化チタンと酸素ガスとの混合物を気相で反応させることにより得ることができる。得られた反応物は、粉砕及び微粉砕を行い、任意に分級することが適当である。該酸化チタン微粒子Bは、前記作製された酸化チタン微粒子Bの表面に導電層を形成することによって比抵抗を調節することができる。
導電性処理は、例えば、スズ、アンチモン、タングステン等を含む化合物溶液を用い、加水分解する湿式法により行うことができる。また、任意に、導電性処理の後、洗浄、不要な成分を除去するための焼成、所望の粒径を得るための粉砕及び分級の1種以上を行ってもよい。
スズを含む化合物としては、塩化スズ(第一、第二)、硫酸スズ、硝酸スズ、オキシ塩化スズ、スズ酸、スズ酸カリウム、スズ酸ナトリウム、有機スズ化合物(例えば、スズアルコキシド化合物)などが挙げられる。アンチモンを含む化合物としては、三塩化アンチモン、五塩化アンチモン、硫酸アンチモン、硝酸アンチモン、オキシ塩化アンチモン、アンチモン酸、アンチモン酸カリウム、アンチモン酸ナトリウム、有機アンチモン化合物(例えば、アンチモンアルコキシド化合物)などが挙げられる。タングステンを含む化合物としては、塩化タングステン、硫酸タングステン、硝酸タングステン、オキシ塩化タングステン、タングステン酸、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸カリウム、タングステン酸カルシウム、有機タングステン化合物などが挙げられる。加水分解は、例えば、水酸化ナトリウム、アンモニア水、炭酸アンモニウム等のアルカリ性水溶液を用いて行うことができる。
洗浄、焼成、粉砕、分級については、上記した酸化チタン微粒子Aと略同様の手段を用いることができる。
酸化チタン微粒子Bの比抵抗は、用いたスズ、アンチモン及び/タングステン等のモル濃度、これら元素を含む層の膜厚等によって調整することができる。また、上述したような導電性処理を施した前後、好ましくは後に、各種の処理剤を用いて、さらに比抵抗を調整するための疎水化又は親油化処理を行ってもよい。
このような疎水化又は親油化処理としては、例えば、チタネートカップリング剤、シランカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等のカップリング剤や、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル等のシリコーンオイル等を、単独又は併用して表面処理する方法が挙げられる。特に、チタネートカップリング剤のようなカップリング剤で表面処理することが好ましい。
チタネートカップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロペルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート等が挙げられる。
シランカップリング剤としては、疎水性基、アミノ基又はエポキシ基等を有するものが挙げられる。疎水性基を有するシランカップリング剤としては、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、フェニル基、ハロゲン化フェニル基又はアルキルフェニル基等を有するシランカップリング剤が挙げられる。なかでも、RSiYn〔式中、Rはアルコキシ基を示し、mは1〜3の整数を示し、Yはアルキル基又はビニル基を示し、nは1〜3の整数を示す〕で示されるアルコキシシランが好ましい。
具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシ)シラン等が挙げられる。また、ビニルトリクロルシラン、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシランであってもよい。
アミノ基を有するシランカップリング剤としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメトキシジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。エポキシ基を有するシランカップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)トリメトキシシラン等が挙げられる。
アルミニウムカップリング剤としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等が挙げられる。
これらのカップリング剤は、用いるカップリング剤の種類や処理方法等によって、その使用量を適宜調整することができるが、例えば、酸化チタン100重量部に対して、0.1〜10重量部程度用いることが適当である。
これらカップリング剤で処理する方法は、例えば、撹拌羽根を有する混合機(アトライター、TKホモミキサー等の高剪断力混合装置)を用いて、酸化チタンが水系媒体中で、一次粒子になるように行うことが適当である。
シリコーンオイルは、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が挙げられる。
これらのシリコーンオイルは、用いるオイルの種類や処理方法等によって、その使用量を適宜調整することができるが、例えば、酸化チタン100重量部に対して、0.1〜20重量部程度用いることが適当である。
シリコーンオイルで処理する方法としては、例えば、酸化チタン微粒子とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサー等の混合機を用いて直接混合してもよいし、酸化チタン微粒子にシリコーンオイルを噴霧してもよいし、適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解又は分散させた後、酸化チタン微粒子を加え、混合して溶剤を除去する方法等が挙げられる。
本実施例で用いる各酸化チタン微粒子A、Bの粒径や比表面積などの粒子性状については特に限定はないが、平均粒径は0.03〜2μmの範囲が好ましく、比表面積は5〜100m/gの範囲が好ましい。
酸化チタン微粒子の夫々の添加量は、トナー粒子に対して0.1〜2wt%の範囲が好ましい。酸化チタン微粒子のそれぞれの添加量が0.1wt%より少ないと、本実施例の効果が十分に得られない惧れがある一方、添加量が2wt%を越えると、トナーの流動性が悪くなり、初期から画像濃度不足となる惧れがあるからである。
本実施例に用いられるシリカ微粒子は、通常、当該分野で表面処理剤として使用されているものであれば、特に限定されるものではない。シリカ微粒子は、例えば、一次粒子径で50nm以下が好ましく、より好ましくは20nm以下である。また、別の観点から、窒素吸着によるBET法による比表面積が30m/g以上、特に50〜400m/gの範囲内のものであってもよい。このシリカ微粒子は、必要に応じ、疎水化、帯電性コントロールなどの目的でシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシラン化合物、その他の有機ケイ素化合物等の処理剤で、あるいは、その他の処理剤を併用して処理されていてもよい。なかでも、疎水化したシリカ微粒子が好適である。
このような疎水化シリカ微粒子は、例えば、表面のケイ素原子がシラノール基となっている二酸化ケイ素微粒子を、オクチルトリクロルシランやデシルトリクロルシラン、4−イソプロピルフェニルトリクロルシランなどの化合物と反応させて、二酸化ケイ素微粒子の表面ケイ素原子に酸素原子を介して疎水性基を結合させたものである。このような疎水性シリカで市販されているものとしては、例えば「R972」、「R974」、「R202」、「R805」、「R812」、「REA200」、「NEA50」(以上、アエロジル社製);「M−5」、「MS−7」、「MS−75」、「HS−5」、「EH−5」、「TS−720」、「TG820F」(以上、キャボット社製)などが挙げられる。
次に、前記酸化チタン微粒子A、前記酸化チタン微粒子B、前記シリカ微粒子により表面処理されるトナー粒子について説明する。該トナー粒子は、少なくとも結着樹脂と磁性粉とを含有して構成される。
結着樹脂としては、通常、トナーに使用されるものであればよく、例えば、ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリメチルスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸系共重合体(スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸フェニル共重合体)、スチレン−メタクリル酸系共重合体(スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体)、スチレン−クロロアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単独重合体または共重合体)、ポリ塩化ビニル、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリビニルブチレール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
磁性粉としては、通常、トナーに使用されているものであればよく、例えば、鉄、マンガン、ニッケル、コバルト等の金属粉末、マグネタイト、ニッケル−亜鉛フェライト、銅−亜鉛フェライト、バリウム−亜鉛フェライト、マンガン−亜鉛フェライト、リチウム−亜鉛フェライト、マグネシウム−マンガンフェライト、マグネシウム−銅−亜鉛フェライト、バリウム−ニッケル−亜鉛フェライト等の各種フェライト等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。また、この磁性粉は、任意に、シランカップリング剤、チタン系カップリング剤等で表面処理されていてもよい。
磁性粉は、結着樹脂100重量部に対して50〜150重量部程度含有されていることが適当であり、粒径は0.05〜1.0μm程度が適当である。
また、本実施例の磁性トナーは、結着樹脂及び磁性粉のほかに、ワックス、帯電制御剤、着色剤等の各種添加剤を添加してもよい。これらの添加剤は、当該分野で公知のものを使用することができる。
例えば、ワックスとしては、脂肪酸の多価アルコールエステル又は高級アルコールエステル;パラフィンワックス、石油系ワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス;数平均分子量が1,000〜10,000、特に2,000〜6,000の範囲にあるポリプロピレン、ポリエチレン、プロピレン−エチレン共重合体;アルキレンビス脂肪酸アミド化合物;フィッシャートロプシュワックス等の合成ワックス;モンタンワックス、カルナバワックス等の天然ワックス等が挙げられる。
ワックスは、結着樹脂100重量部に対して0.5〜10重量部程度含有されていることが適当であり、2〜8重量部程度が好ましい。
電荷制御剤としては、当該分野で公知のものを使用することができる。例えば、ニグロシン染料、脂肪酸変性ニグロシン染料、カルボキシル基含有脂肪酸変性ニグロシン染料、四級アンモニウム塩、アミン系化合物、有機金属化合物等の正帯電性電荷制御剤が挙げられる。また、帯電制御樹脂を用いてもよい。帯電制御樹脂としては、例えば、特開平7−134444号、特開平8−152747号、特開平8−334922号、特開平9−204073号、特開平9−152746号、特開2003−280279号等の公報に記載されたものが挙げられる。つまり、後述する結着樹脂に、4級アンモニウム塩などの塩基性窒素原子、イミダゾール等の置換基を導入したものが挙げられる。
帯電制御剤は、結着樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部程度含有されていることが適当であり、0.5〜10重量部程度が好ましい。
磁性トナーにおいては、一般に磁性粉が着色剤としても作用するが、トナーの色味調整のために従来公知の黒色または青色着色剤を添加することができる。この場合、結着樹脂100重量部に対して着色剤0.5〜10重量部が適当である。着色剤は、例えば、黒色顔料として、アセチレンブラック、ランブラック、アニリンブラック等のカーボンブラック;青色顔料として、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBC等が挙げられる。
本実施例の磁性トナーは、粉砕分級法、溶融造粒法、スプレー造粒法、懸濁・乳化重合法等の従来公知の方法で製造することができる。なお、製造設備や生産性などの点からは粉砕分級法が好ましい。粉砕分級法は、例えば、結着樹脂、磁性粉、必要により着色剤、電荷制御剤、ワックス等のトナー組成物を、ヘンシェルミキサー、V型混合機、ボールミル等の混合機などで混合した後、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダー、二軸押出機などの溶融又は熱混練装置を用いて溶融混練する。この溶融混練物を冷却した後、粗粉砕・微粉砕し、必要によりその後分級して、所定の粒径分布を有するトナー粒子とする。
磁性トナーの平均粒径は、画像濃度及びカブリ濃度等を考慮すると、例えば、6.0〜10.0μm程度が好ましい。平均粒径は、例えば、コールターカウンター等により測定することができる。
なお、この磁性トナーは、例えば、その飽和磁化が15〜50Am/kg程度、さらに、20〜40Am/kg程度の範囲が適当である。飽和磁化は、TOEI社製「VSM−P7」を用いて、磁場79.6kA/m(1kOe)で測定することができる。
磁性トナーを、酸化チタン微粒子Aを含有する表面処理剤を用いて表面処理する方法、つまり、磁性トナーの表面に酸化チタン微粒子Aを付着させる方法としては、当該分野で公知の方法を利用することができる。例えば、磁性トナーと表面処理剤とを、ヘンシェルミキサー、V型混合機、ターブラミキサー、ハイブリタイザー等を用いて混合する方法が挙げられる。この際、混合時間および撹拌速度を適宜調整することが好ましい。
本実施例に用いた正帯電性磁性一成分トナー処方を以下に示す。
スチレン-アクリル樹脂:100重量部
磁性粉 :80重量部(8面体,平均粒径=0.20μm,BET=7.1m/g,
σs=83.5Am/g,σr=12.1Am/g)
ニグロシン染料(N07;オリエント化学工業製):3重量部
WAX(ユーメックス100TS;三洋化成工業製):3重量部
前記スチレン−アクリル樹脂の製造例を以下に示す。
スチレン70重量部、アクリル酸ブチル30重量部からなるモノマー溶液を、重合開始剤であるV−65(2,2−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、和光純薬製)6重量部と溶媒としてのトルエン200重量部が入っている溶液中(コンデンサーを具備し、トルエンを還流)に3時間かけて滴下し、滴下後60℃に保った状態で12時間重合した後、トルエンを減圧蒸留して除去し、結着樹脂を得た。
前記トナー処方材料をヘンシェルミキサー(三井三池工業製)にて混合し、池貝社製 PCM−30にて混練した。その後、ターボミル(ターボ工業)を用い粉砕した後、アルピネ分級機を用い分級を行ない平均粒径6.8μmのトナー分級品を得た。
前記トナー分級品に外添剤として、シリカ微粒子(REA200 日本アエロジル製)をトナー分級品に対して0.6wt%、下記表1記載の酸化チタン微粒子A、Bをトナー分級品に対してそれぞれ0.6wt%を表面処理方法i)及びii)で混合を行ないトナー1からトナー12を得た。
表面処理方法i)トナー分級品に上記シリカ微粒子及び下記表1記載の酸化チタン微粒子A、Bを同時にヘンシェルミキサー(三井三池工業製)にて混合する。
表面処理方法ii)まず、酸化チタン微粒子Aを添加混合し、その後、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子Bを添加、混合する。
Figure 2006072260
上記表1記載の酸化チタン微粒子の製造方法を以下に示す。
塩素法によって得られた四塩化チタンと酸素ガスの混合物を気相酸化反応器に導入し、気相で1000℃の温度で反応させることにより、酸化チタンのバルクを得た。得られた酸化チタンのバルクをハンマーミルにて粉砕して洗浄を行い、110℃の温度で乾燥させた後、ジェットミルで解砕して気相法により生成された酸化チタン微粒子を得た。
そして、得られた酸化チタン微粒子にトリエタノールアミンを添加混合し、乾燥、解砕して正帯電性の酸化チタン微粒子を得た。酸化チタンの正帯電性の高さはトリエタノールアミンの添加量により調整した。同様にトリメチロールプロパンを添加混合し、乾燥、解砕して負帯電性の酸化チタン微粒子を得た。
また、得られた酸化チタン微粒子をヘンシェルミキサーにて130℃の温度でイソプロピルトリイソステアロイルチタネートを酸化チタン微粒子に対して2.6wt%となるように添加混合してカップリング反応させ、乾燥、解砕して抵抗1.0×10〜1.0×1012Ω・cm、且つメタノール疎水化度35%以上の酸化チタン微粒子を得た。抵抗値は製造によってバラツキがある為、所望の抵抗値のものが得られるまで何度か製造を繰り返し作製した。
また、酸化チタン微粒子にスズアンチモン処置を施すことで導電性を持たせることが出来る。例えば、水に分散させた酸化チタンの懸濁液(100g/l)を70℃に加熱して、これに塩化スズ(SnCl・5HO)2gと塩化アンチモン(SbCl)0.1gを2N塩酸水溶液50mlに溶解した溶液と10%水酸化ナトリウム水溶液とを該懸濁液のpHを2〜3に維持するように1時間かけて添加して、酸化スズ及び酸化アンチモンの水和物からなる被覆層を形成した酸化チタンの懸濁液を得、その懸濁液をろ過、洗浄し、600℃の温度で焼成後、ジェットミルで解砕して抵抗50Ω・cm以下,且つ親水性の導電性酸化チタンを得た。
さらに、得られた導電性酸化チタンに上記と同様にチタネートカップリング処理を施して抵抗1〜1.0×10Ω・cm,且つメタノール疎水化度30%から50%の酸化チタン微粒子を得た。抵抗値、疎水化度は上記、スズ、アンチモン処理とチタネートカップリング処理量等で調整を行なうことが出来るが製造バラツキがある為、所望の抵抗値,疎水化度のものが得られるまで何度か製造を繰り返し作製した。
酸化チタンの帯電量は酸化チタン1gとキャリア99gを混合し、ロッキングミキサーにて30min攪拌したときの帯電量をQ/Mメーター(210−HS−2、Trek社製)にて測定する(キャリア:パウダーテック社製 FK-150:フェライトノンコートキャリア(90μm))。ノンコートキャリアを測定に用いる理由は、コートキャリアでは、同じキャリアでもコート層の厚さや特性にばらつきが生じやすく、安定した測定結果が得られないからである。
酸化チタンの抵抗はULTRA HIGH RESISTANCE METER(R8340A、アドバンテスト社製)にて、以下の条件で測定した。
酸化チタン10gを600kg/cmの圧で成型(直径25mmの円柱型)し、1kgの荷重をかけ、印加電圧10Vでの抵抗値を測定した。
メタノール疎水化度はメタノール滴定を利用して測定した。即ち、水に試料を浮かべ、メタノールを滴下していくと、疎水性の低い試料から濡れ始め、試料が沈み始める。そしてメタノールを添加し続け最後に疎水性の高い試料が濡れ試料全てが液中に沈み、この点を終点とし、メタノール疎水化度が定義される。
(実施例1)
前記トナー1を、磁性一成分現像方式を採用し、現像スリーブとしてステンレス鋼を使用している京セラミタ製プリンタLS−9500DNに搭載し、評価を行なった。評価は低温低湿環境(10℃/15%)において1万枚白紙耐刷を行い層乱れの確認、高温高湿環境(35℃/85%)において1万枚耐刷を行い画像濃度(ID)、カブリ(FD)の測定、を行なった。また、常温常湿で10万枚耐刷を行ない画像濃度(ID)、カブリ(FD)、耐刷前後の現像器内トナーの流動性の測定を行なった。
(実施例2)〜(実施例6)
前記トナー2からトナー6をLS−9500DNに搭載し、低温低湿環境(10℃/15%)において1万枚白紙耐刷を行い層乱れの確認、高温高湿環境(35℃/85%)において1万枚耐刷を行い画像濃度(ID)、カブリ(FD)の測定を行なった。
(比較例1)〜(比較例5)
前記トナー7からトナー11をLS−9500DNに搭載し、実施例2と同様に評価を行なった。
(実施例7)
前記トナー12をLS−9500DNに搭載し、実施例1と同様に評価を行なった。
実施例1から実施例7及び比較例1から比較例5の高温高湿環境(35℃/85%)、低温低湿環境(10℃/15%)の評価結果を表2に示す。
Figure 2006072260
尚、画像濃度(ID)、カブリ(FD)は反射濃度計(東京電色(株)製TC−6D)により測定した。ID、FDは以下の判定基準で評価した。
判定基準 ID 1.4以上:優 1.3〜1.4:良 1.2〜1.3:可 1.2未満:不可
FD 0.003以下:優 0.004〜0.008:可 0.009以上:不可
層乱れの評価として低温低湿環境において1万枚の白紙耐刷を行なった。層乱れはトナーの過剰帯電により起こるため、低温低湿環境で非常に起こりやすい。また、白紙耐刷の場合トナーの入替りが無いためトナーがチャージアップし易く、層乱れが起こりやすい。
層乱れの評価は目視により、以下の判定基準で評価した。
判定基準 ○:1万枚耐刷後、スリーブ上に層乱れが全く見られない
△:1万枚耐刷後、スリーブ上に層乱れが若干見られる
×:耐刷途中でスリーブ上に層乱れが見られる
実施例1及び実施例7の常温常湿の耐刷結果を表3に示す。
Figure 2006072260
トナー流動性は初期状態及び耐刷後の現像器内のトナーをそれぞれ5g秤量し、秤量したトナーをパウダーテスター(ホソカワミクロン社製)を用い次の条件にて振動篩いを行なった。
篩い目開き:106μm(140メッシュ)
レオスタッド目盛:2 篩い時間:30sec
篩上に残ったトナーの重量を測定し、これを初期重量(5g)で割った重量%を流動性の指標をする。流動性が良いほど篩上のトナーは少なく、値は小さくなる。
このように、上記した表2から明らかなように実施例1から実施例6ではフェライトキャリアとの摩擦帯電量が0μC/gを越えて100μC/g以下で且つ親水性の酸化チタン微粒子A、比抵抗5Ωcm以上、且つメタノール疎水化度30%以上の酸化チタン微粒子Bを併用することにより低温低湿環境での層乱れの防止と高温高湿環境での画像濃度の確保を両立することが出来る。
酸化チタン微粒子のフェライトキャリアとの摩擦帯電量とトナー物性との関係は詳細なメカニズムは明らかではないが、酸化チタン微粒子の帯電量が負帯電性だとトナーの帯電立上りが良くなる。逆に、酸化チタンの帯電量が正帯電性だとトナーの帯電立上りが悪くなる。
尚、比較例1では酸化チタン微粒子Aが疎水化処理されているため低温低湿環境にて帯電量が高過ぎて層乱れが発生する。
比較例2では酸化チタン微粒子Aの帯電量が負帯電性のためトナーの帯電立上りが良過ぎて低温低湿環境にて帯電量が高くなり、層乱れが発生する。
比較例3では酸化チタン微粒子Aの帯電量がプラスに高過ぎる為、トナーの帯電立上りが悪くカブリ発生する。
比較例4では酸化チタン微粒子Bの抵抗が低すぎるため高温高湿環境においてトナーの帯電量が低くなり画像濃度が低下する。
比較例5では酸化チタン微粒子Bの疎水化度が低すぎるため高温高湿環境においてトナーの帯電量が低くなり画像濃度が低下する。
また、上記した表3の結果より実施例7では長期耐刷においても濃度の低下が少ない。これは、導電性の酸化チタン微粒子Aを先に表面処理することにより酸化チタン微粒子Aが他の処理剤よりトナー粒子表面近くに存在して、より過剰帯電が抑制されたため、また流動化剤としてのシリカの埋め込みが抑制されているためと考えられる。
本発明の正帯電性磁性一成分トナーは、電子写真法又は静電印刷法を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機等、画像形成装置の全てにおいて適用することが可能である。
本発明の実施例に係る正帯電性磁性一成分トナーの粒子モデルを示す模式図である。 従来の正帯電性磁性一成分トナーの粒子モデルを示す模式図である。
符号の説明
10 正帯電性磁性一成分トナー
11 トナー粒子
12 酸化チタン微粒子A
13 酸化チタン微粒子B
14 シリカ微粒子

Claims (3)

  1. 結着樹脂及び磁性粉を含有するトナー粒子に対して表面処理剤を外添した正帯電性磁性一成分トナーにおいて、
    前記表面処理剤として、少なくともシリカ微粒子と、フェライトキャリアに対する摩擦帯電量が0μC/gを越えて100μC/g以下の値を有し且つ親水性の酸化チタン微粒子Aと、比抵抗5Ωcm以上で且つ疎水化処理が施されてメタノール疎水化度が30%以上である酸化チタン微粒子Bとを含有していることを特徴とする正帯電性磁性一成分トナー。
  2. 前記表面処理剤のうち、前記酸化チタン微粒子Aを前記酸化チタン微粒子Bよりトナー粒子表面の内層側に多く存在させたことを特徴とする請求項1記載の正帯電性磁性一成分トナー。
  3. 結着樹脂及び磁性粉を含有するトナー粒子に対して表面処理剤を外添した正帯電性磁性一成分トナーの製造方法において、
    前記表面処理剤は、少なくともシリカ微粒子と、フェライトキャリアに対する摩擦帯電量が0μC/gを越えて100μC/g以下の値を有し且つ親水性の酸化チタン微粒子Aと、比抵抗5Ωcm以上で且つ疎水化処理が施されてメタノール疎水化度が30%以上である酸化チタン微粒子Bと、を含有し、
    前記トナーの表面処理工程にて、前記トナー粒子に前記酸化チタン微粒子Aを外添処理した後に、前記シリカ微粒子及び前記酸化チタン微粒子Bを順次或いは同時に外添処理することを特徴とする正帯電性磁性一成分トナーの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010198004A (ja) * 2009-01-29 2010-09-09 Mitsubishi Chemicals Corp 静電荷像現像用トナー及び画像形成方法
JP2015206820A (ja) * 2014-04-17 2015-11-19 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 トナー
JP2018163209A (ja) * 2017-03-24 2018-10-18 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 正帯電性トナー

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