JP2006069706A - エレベータ - Google Patents

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Abstract

【課題】 樹脂被覆ロープを用いるエレベータにおける樹脂被覆ロープの損傷を軽減するとともに、非常停止時等に乗りかごに加わる衝撃を低減する。
【解決手段】 鋼線を撚り合わせてなる鋼線ロープを樹脂で被覆してなる樹脂被覆ロープを用いた場合に、シーブ4の少なくともロープとの接触面15にフッ素樹脂入りのニッケル層16を形成したシーブ4、または少なくともロープとの接触面に不規則で微細な凹凸17が形成されたシーブ4を用いてエレベータを構成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、エレベータに係り、特にエレベータの乗りかごが吊るされたロープを駆動するシーブとロープとの摩擦を適切にする技術に関する。
乗りかごをロープで駆動するロープ式エレベータは、巻上機のモータに取り付けたシーブにロープをかけ、シーブを挟んでロープの一端側に乗りかごを吊るし、他端側に乗りかごとバランスさせるためのカウンターウェイト(錘)を吊るした構造の駆動装置を備えている。
ここで、カウンターウェイトは、乗りかごに定員の例えば半分の乗客が乗ったときに釣り合う質量となっているが、乗りかごに定員の丁度半分だけ乗客が乗ることはまれである。そのため、通常は、乗りかご側の質量とカウンターウェイト側の質量とに差があり、その質量の差をロープとシーブ間の摩擦力で支えることになる。例えば、乗りかご側とカウンターウェイト側での質量が著しく異なる場合は、ロープとシーブ間の摩擦力が不足して滑りが発生するため、エレベータの運転をすることができなくなる。
ここで、乗りかご側のロープ張力をT1、カウンターウェイト側のロープ張力をT2とすると、両者の関係は、ロープとシーブとの摩擦係数μ、ロープのシーブへの巻角θを用いて(1)式のように表される。つまり、張力T1、T2の差をロープとシーブの摩擦で支えているため、ロープとシーブとの摩擦係数は高い方がよい。
μθ=T1/T2 (1)
一方、エレベータは、停電時等の非常時においてブレーキが自動的に作動して安全に停止する構成になっている。このようなブレーキ作動時に、乗りかご内の乗客にかかる衝撃を小さくする必要があり、ブレーキによる減速が強い場合にはロープとシーブが滑ることが好ましい。そのためには、ロープとシーブとの摩擦係数は低い方がよい。
このように、ロープとシーブとの摩擦係数は、乗りかごとカウンターウェイトの質量差を支えるために高いことが望ましく、一方、非常停止を考慮すると低いことが望ましいことから、最適な範囲にすることが好ましい。
さらに、張力T1、T2が異なると、ロープがシーブを通過する時に張力変化でロープが伸縮する。シーブ通過時にロープが伸縮すると、シーブとの間に微小な滑りが発生してロープおよびシーブが摩耗する。一般のエレベータにおいては、鋼の素線を撚り合わせた素線構造体をさらに撚り合わせた鋼線ロープが使用され、シーブには鋳鉄が用いられている。また、鋼線ロープの中心にロープグリスを含浸した麻芯を撚り合わせたものも使用されている。この場合、ロープとシーブは共に金属であり、かつ、ロープとシーブとの摩擦面にロープグリスが滲み出ているから、ロープとシーブ間の摩耗は少ない。さらに、ロープとシーブ間の面圧を増加させて摩擦力を高くするために、シーブの溝の形状をV溝などに加工したものが用いられている。
他方、特許文献1には、鋼素線を撚り合わせた鋼線ロープの外側を樹脂で被覆した樹脂被覆ロープが開示されている。このような樹脂被覆ロープの場合、鋼線ロープの外側が樹脂で被覆されているためにシーブとの間は金属と樹脂との摩擦になる。特に、樹脂の劣化防止を考慮してロープグリスを用いない場合は、樹脂被覆ロープの樹脂とシーブの金属が乾燥状態で摩擦するため摩擦係数が高くなる。摩擦係数が高いと摩耗が生じやすく、被覆樹脂の摩耗が大きくなって、樹脂被覆ロープの被覆が損傷しやすくなる。
さらに、エレベータの設置工事等では、巻上機、乗りかご、カウンターウェイトなどを昇降路内に搬入後、ロープを1本づつプーリを通して乗りかごとカウンターウェイトに取り付ける作業がある。この作業の場合、ロープとプーリとの摩擦係数が高いとプーリーを通しづらくなり、作業に余分な手間がかかる。
また、特許文献2には、荷重伝達コードを樹脂でコーティングしたエレベータ用引張部材が示され、このエレベータ用引張部材の損傷を低減するために、ポリウレタンのライニングをシーブに設けることが開示されている。また、摩擦係数を下げる方法としては、特許文献3に、樹脂繊維製のロープにフッ素樹脂が含浸された繊維を用いてロープ内の繊維間摩擦係数を低減する方法が開示されている。
特開2001−262482号公報 特表2002−505240号公報 特開平11−293574号公報
上述したように、エレベータのロープとシーブとの間の摩擦係数は、一定の適切な範囲にあることが望ましい。この点、従来の鋼の素線を撚り合わせて、中心にロープグリスを含浸した麻芯を撚り合わせた従来の鋼線ロープの場合は、金属製のシーブとの間の摩擦係数を適切な範囲に収めることが可能である。
ところが、樹脂被覆ロープを用いる場合、金属製のシーブとの間の摩擦係数が樹脂と金属との摩擦になることから、摩擦係数が著しく高くなり、非常停止時に乗りかごに加わる衝撃が大きくなるという問題がある。また、摩擦係数が高いと樹脂が摩耗しやすいから、経時変化によって被覆が損傷することがある。
このような損傷を回避するために、樹脂被覆ロープの被覆樹脂にフッ素樹脂を含浸させて、シーブとの摩擦係数を低減させることが考えられるが、1台のエレベータで少なくとも数本(例えば、3本)以上用いられるロープをフッ素樹脂で被覆するのはコスト増加の点から実用的でない。
このような樹脂被覆ロープとシーブとの間の摩擦の問題は、ロープを適宜掛け渡して用いられるプーリと樹脂被覆ロープとの摩擦にも同様の問題がある。
本発明は、樹脂被覆ロープを用いるエレベータにおける樹脂被覆ロープの損傷を軽減するとともに、非常停止時等に乗りかごに加わる衝撃を低減することを課題とする。
本発明は、上記課題を解決するため、鋼線を撚り合わせてなる鋼線ロープを樹脂で被覆してなる樹脂被覆ロープを用いた場合に、シーブおよび/またはプーリは少なくともロープとの接触面にフッ素樹脂入りのニッケル層を形成したものを用いて、エレベータを構成することを特徴とする。
すなわち、本発明は、摩擦係数が低いフッ素樹脂を用いてシーブおよび/またはプーリと樹脂被覆ロープ間の摩擦係数を低減するにあたり、エレベータ全体から見たときにロープに比べて表面積がはるかに小さいシーブまたはプーリのロープとの接触面にフッ素樹脂を用いることにより、コストアップを抑えて実用化可能にしたのである。
特に、フッ素樹脂をニッケル層に混入することにより、安定した摩擦係数を得るようにしたことを本旨とする。つまり、フッ素樹脂は、特有の微細組織であるバンド構造が相互に滑ることで、剪断されやすいことから低摩擦係数を実現できるが、同時に摩耗が多いためにフッ素樹脂層単独の場合は寿命が短いため、安定した摩擦係数を保持できない。そこで、ニッケルなどのメッキ層にフッ素樹脂を混入することにより、安定した摩擦係数を得るようにしたのである。その結果、シーブおよび/またはプーリとの間の摩擦係数を好ましい範囲にすることができ、エレベータの樹脂被覆ロープの損傷を軽減するとともに、非常停止時等に乗りかごに加わる衝撃を低減することができる。なお、混入するフッ素樹脂としては、四フッ化エチレン(PTFE:テフロン(登録商標))が特に好ましい。
また、上記の場合において、シーブまたはプーリにロープがかけられる溝を形成し、その溝の断面を半円状に形成することが好ましい。これによれば、樹脂被覆ロープが溝内に収まるとともに、初期磨耗によって樹脂被覆ロープと溝が馴染み、経時変化の少ない一層安定した摩擦係数を実現することができる。特に、溝の円形断面は、樹脂被覆ロープの外径と同等もしくは若干大きい形状にすることが好ましい。
また、フッ素樹脂入りのニッケル層は、四フッ化エチレンの粉を10〜30vol%混入してなるニッケルメッキ液中に前記シーブ又はプーリを浸漬して形成することができる。
さらに、本発明は、フッ素樹脂入りのニッケル層に代えて、シーブまたはプーリの少なくともロープとの接触面に、不規則で微細な凹凸を形成することにより、上記の課題を解決することができる。
つまり、不規則で微細な凹凸により、シーブまたはプーリのロープとの接触面に空気溜りが形成され、その空気溜りによって摩擦係数を低減することができる。このような不規則で微細な凹凸は、シーブまたはプーリのロープとの接触面に微粒子を高速で衝突させる、例えばショットピーニング処理により形成できる。この方法によれば、表面のごく薄い層を加工硬化させることができるから、シーブまたはプーリ全体の靭性を損なわずに接触面の硬度を上げることができ、疲労寿命を延長させることができる。また、微粒子には、セラミック、金属、ガラスなどの微粒子を用いることができる。
本発明によれば、樹脂被覆ロープとシーブおよび/またはプーリとの間の摩擦係数を好ましい範囲にすることができ、エレベータの樹脂被覆ロープの損傷を軽減するとともに、非常停止時等に乗りかごに加わる衝撃を低減することができる。
以下、本発明を実施の形態に基づいて説明する。
(実施形態1)
図1に本発明の特徴部であるシーブの一実施形態を示し、図2に図1のシーブを用いてなる一実施形態のエレベータの駆動装置の主要部の概念構成図を示す。図1に示すように、乗客を乗せる乗りかご1はロープ2の一端に連結され、ロープ2は駆動装置3により回転駆動されるシーブ4に巻き付けられ、ロープ2の他端はプーリー5を介してカウンターウェイト6に連結されている。駆動装置3によってシーブ4を回転させることにより、乗りかご1は図示していない昇降路内を上下に移動するようになっている。
本実施形態のシーブ4は、図1に示すように形成されている。図1(a)はシーブ4の正面図であり、図1(b)は線1b−1bにおけるシーブ4の断面図である。図1(b)に示すように、シーブ4の外周面に複数本(図示例では、3本)の溝15が設けられており、溝15の断面は半円状に形成されている。特に、溝15の少なくとも内面には、フッ素樹脂入りニッケルメッキ処理を施して形成されたフッ素樹脂入りのニッケル層16が設けられている。このニッケル層16は、フッ素樹脂の粉を混入してなるニッケルメッキ液中にシーブを浸漬することにより形成することができる。なお、シーブ4の母材は、例えばFC250等の鋳鉄が用いられる。
また、本実施形態のロープ2は、図3の断面図に示すように、鋼の素線7を束ねた素線構造体をさらに撚り合わせた鋼線ロープの外周に被覆樹脂11を有して形成された樹脂被覆ロープが用いられている。なお、被覆樹脂11としては、例えば特許文献1に記載のように、ウレタン樹脂を用いることができる。図示のように、樹脂被覆のロープ2はシーブ4の溝15内にかけられており、樹脂被覆11が摩耗しやすいことから、シーブ4の溝15の形状はロープ2の外径に合わせて半円形の丸溝に形成され、ロープ2との接触面圧を低くするようにしている。
このように、図1の実施形態によれば、樹脂被覆を有するロープ2と接触するシーブ4の溝15の内面にフッ素樹脂が混入されたニッケル層16を有することから、ロープ2の樹脂被覆の磨耗を抑えるとともに、ロープ2とシーブ4との間の摩擦係数を適切な範囲に、かつ安定に保持することができる。その結果、ロープ2の樹脂被覆の磨耗を抑えることができる。
特に、ニッケルなどのメッキ層にフッ素樹脂を混入しているから、磨耗しやすいフッ素樹脂の磨耗をニッケル層によって抑制できるため、安定した摩擦係数を保持することができる。また、ロープ2とシーブ4との間の摩擦係数を好ましい範囲にすることができる。その結果、エレベータの樹脂被覆ロープの損傷を軽減するとともに、非常停止時等に乗りかごに加わる衝撃を低減することができる。
また、エレベータ全体から見たとき、ロープ2に比べてシーブ4の表面積がはるかに小さいから、シーブ4の接触面に四フッ化エチレンなどの高価なフッ素樹脂を用いても、ロープ2の樹脂被覆を四フッ化エチレンとする場合に比べて、コストアップを抑えて実用化することができる。
ここで、本実施形態の実施例1のシーブ4は、シーブ本体を鋳鉄(FC250)で形成し、ニッケル層16にフッ素樹脂として四フッ化エチレンを混入して形成した。つまり、四フッ化エチレンの粉を混入してなるニッケルメッキ液中にシーブを浸漬して、ニッケル層16を形成した。この四フッ化エチレンは、バンド構造の特有の微細組織が相互に滑ることにより剪断されやすいことから、溝15の表面の摩擦係数を低くできる。
(実施形態2)
図4に、本発明に係るシーブ4の他の実施形態を示す。図4(a)はシーブ4の正面図であり、図4(b)は図4(a)の線4b−4bにおける断面図である。本実施形態が図1の実施形態と異なる点は、溝15の内面の四フッ化エチレン入りニッケル層16に代えて、不規則で微細な凹凸17を形成したことにある。このような不規則で微細な凹凸は、シーブ4のロープ2との接触面である溝15の内面に、例えば、微粒子を高速で衝突させる、例えばショットピーニング処理により形成できる。この方法によれば、表面のごく薄い層を加工硬化させることができるから、シーブ全体の靭性を損なわずに接触面の硬度を上げることができ、疲労寿命を延長させることができる。また、微粒子には、セラミック、金属、ガラスなどの微粒子を用いることができる。
ここで、本実施形態の実施例2のシーブ4は、シーブ本体を鋳鉄(FC250)で形成し、溝15の内表面に微粒子を高速で衝突させるショットピーニング処理を施して、不規則で微細な凹凸17を形成した。
(考察)
ここで、実施例1、2のシーブ4とロープ2との間の摩擦係数を実測した結果について、図5〜図9を参照して説明する。図5は、本実施例におけるロープ2とシーブ4との摩擦係数の評価試験に使用したトラクション評価装置の構成を示している。図6は、従来の鋼線ロープ9を従来のシーブ10にかけた比較例1の構成を示すものである。比較例1の鋼線ロープ9は、鋼の素線7を撚り合わせて、中心にロープグリスを含浸した麻芯8を撚り合わせたものであり、シーブ10は耐摩耗性が良好なFCD700の鋳鉄にV字状の溝形11を形成したものである。これにより、鋼線ロープ9とシーブ10の接触面圧を増加させ、摩擦力を増加させている。面圧が高いために、シーブ10が摩耗しやすくなるが、麻芯8に含浸されたロープグリスが滲み出てくるために、摩耗は最小限に抑えられる。
図5に示すように、トラクション評価装置は、シーブ4、10を回転駆動するモータ12とロープ2、9に荷重を負荷するデッドウェイト13、シーブを介したロープの張力を測定するロードセル14で構成される。ロープ2、9の一端がデッドウェイト13に接続され、シーブ4、10に180度の角度で巻き掛けられる。そして、ロープ2、9の他端にはロードセル14が接続されている。
本トラクション評価装置を用いた摩擦係数の測定は、まず、一定質量のデッドウェイト13をロープ2、9に吊り下げ、モータ12によりシーブ4、10をゆっくり回転させる。そのときのロープ2、9の張力変化をロードセル14にて測定し、ロープ2、9とシーブ4、10とが明らかに滑り始めたときの張力を記録する。例えば、シーブ4、10を反時計回りに回転させた場合、このときのロードセル14が測定した張力をT1、デッドウェイト13の質量をT2、ロープ2、9のシーブ4、10への巻角を180度とし(1)式により摩擦係数を計算する。
摩擦係数の測定結果の一例を図7に示す。図において実施例1、2および比較例1、2の条件を表1に示す。
Figure 2006069706
図7に示す摩擦係数は、試験回数の第1回目の比較例1の摩擦係数を1として、相対値で示している。同図は、試験回数と摩擦係数を示したものであり、同一のロープとシーブとを用いて複数回、摩擦係数を測定した。
図7から判るように、比較例2の樹脂被覆ロープと表面処理なしシーブの摩擦係数は、比較例1の鋼線ロープと表面処理なしシーブの摩擦係数の2倍以上である。しかも、比較例2の摩擦係数は、試験回数とともに増加する傾向があることがわかった。このように摩擦係数が高いと、停電時のブレーキによる乗りかごの非常停止等でブレーキによる減速が強い場合、ロープとシーブとが滑らないために乗客に大きな衝撃が加わることになる。
一方、実施例1の摩擦係数は、比較例1の摩擦係数とほぼ同じで、かつ試験回数にかかわらず安定している。また、実施例2の摩擦係数も比較例1とほぼ同等であり、かつ試験回数にかかわらず安定している。このようにシーブに表面処理を行うことで摩擦係数を低減、安定化することができる。
次に、図8に、実施例1の四フッ化エチレンの含有量を変えた実施例1a、1b、1cの摩擦係数を測定した結果を、比較例1と対比して示す。試験方法および相対値摩擦係数については図7と同様である。同図から、メッキ層16の四フッ化エチレン量が減ると摩擦係数が増加していくことがわかる。四フッ化エチレン(PTFE)は、特有のバンド構造が相互にすべることで、せん断されやすく摩擦係数を低減する効果がある。しかしながら、やわらかいために摩耗しやすくメッキなどに混ぜて使用されることが多い。メッキに混ぜる場合でも、その含有量が増加するとメッキがはがれやすくなるために、メッキ中の四フッ化エチレンの含有量は体積割合で30%以内が望ましい。四フッ化エチレンの含有量を変えることで摩擦係数に差が生じることから、四フッ化エチレン入りニッケルメッキ処理により樹脂被覆ロープとシーブとの摩擦係数を制御することが可能である。また、樹脂被覆ロープは劣化防止の観点からグリスを使用しないため、シーブの溝が腐食する可能性があるが、四フッ化エチレン入りニッケルメッキ処理することによりその腐食を防止する効果もある。
次に、実施例2の摩擦係数について検討する。前述したように、図7の実測結果から、シーブの溝内面に微粒子衝突処理を施して不規則で微細な凹凸17を形成しても、樹脂被覆ロープに対して摩擦係数を適正な範囲に調整することがわかった。ここで、凹凸17の摩擦係数の低減効果について検討する。
図9に、微粒子衝突処理を施してなる凹凸17の表面形状を非接触式の表面粗さ計で測定した結果を斜視図により示す。図9(a)は高速で強力に微粒子を衝突処理した実施例2aの凹凸17の表面形状であり、図9(b)は、それよりも弱い力で微粒子を衝突処理した実施例2bの凹凸17の例である。また、比較のために、図5(c)に微粒子衝突処理を施す前、つまり微粒子衝突処理なしの溝15内面の表面形状の測定結果を示す。それらの図から、図9(c)の微粒子衝突処理なしの溝15の内表面には、旋盤による加工痕が規則正しく残っていることがわかる。一方、図9(a)、(b)の微粒子衝突処理を施した場合は、表面に不規則で微細な凹凸の加工痕ができていることがわかる。それぞれの表面粗さRa(JIS規格)は、図9(c)の微粒子衝突処理なしの場合はRa2.17μm(Rmax16.40μm)、図9(a)の微粒子衝突強処理の場合はRa1.30μm(Rmax12.40μm)、図9(b)の微粒子衝突弱処理の場合はRa1.42μm(Rmax14.57μm)であった。つまり、微粒子衝突処理なしの場合よりも、微粒子衝突処理した場合の方が表面粗さが小さい。
ここで、表面粗さと摩擦係数との関係を実測した例を図10に示す。同図は、横軸に表面粗さRaμmをとり、縦軸に相対表面摩擦係数をとって示したものである。ここで、相対表面摩擦係数とは、表面粗さがRa3.2μmのときの値を1とした相対値である。また、試料の表面粗さRaは、旋盤の加工速度の変更および研摩により調整した。同図から、表面粗さが小さいと摩擦係数が増加する傾向にあることがわかる。
しかしながら、図7に示したように、微粒子衝突処理をすることにより、表面粗さが低下したにもかかわらず、摩擦係数が減少することが実験により確認された。これは、表面形状が旋盤で加工されたような規則正しい凹凸ではなく、微粒子の衝突による不規則な凹凸であるためと考える。つまり、不規則で微細な凹凸により、シーブ4とロープ2との接触面に空気溜りが形成され、その空気溜りによって摩擦係数を低減するものと考えことができる。
次に、実施例2の不規則な凹凸の表面粗さが摩擦係数に及ぼす影響を、微粒子衝突の強さを変えて行った摩擦係数の測定結果を図11に示す。同図は、図9に示した実施例2aと2bの摩擦係数の測定結果を比較例1と対比して示している。試験方法および相対値摩擦係数については図7と同様である。同図から、微粒子衝突弱処理の実施例2bの摩擦係数が低いことがわかる。
以上のことから、実施形態2のように、溝15の内面に不規則な凹凸があり、かつ表面粗さがRa1.3〜1.5(Rmax12.0〜15.0)の凹凸17が、摩擦係数の低減に望ましいことがいえる。また、微粒子衝突の強さにより表面の凹凸を変えることができるから、微粒子衝突処理により樹脂被覆ロープとシーブとの摩擦係数を制御することが可能である。
本発明の一実施の形態のシーブの構成図である。 本発明に係るエレベータ駆動装置の概略構成図である。 本発明の一実施の形態の樹脂被覆ロープの断面図である。 本発明の他の実施の形態のシーブの構成図である。 ロープとシーブとの摩擦係数の測定に用いたトラクション評価装置の概略構成図である。 比較例の従来の鋼線ロープとシーブとの接触部の断面構成図である。 本発明の実施例1、2のロープとシーブの組み合わせの摩擦係数の測定結果例を、比較例1、2と対比して示す図である。 本発明の実施例1の四フッ化エチレン含有量の相違による摩擦係数の測定結果例を、比較例1と対比して示す図である。 本発明の実施例2のシーブの微粒子衝突強度を変えた場合の表面粗さの測定結果例を、微粒子衝突処理なしの場合の表面粗さの測定結果を対比して示す図である。 微粒子衝突処理なしのシーブの表面粗さを変えた摩擦係数の測定結果を示す図である。 本発明の実施例2のシーブの微粒子衝突強度を変えた場合の摩擦係数の測定結果例を、比較例1と対比して示す図である。
符号の説明
1 乗りかご
2 ロープ
3 駆動装置
4 シーブ
5 プーリー
6 カウンターウェイト
15 溝
16 ニッケル層
17 凹凸

Claims (8)

  1. 巻上機により回転駆動されるシーブと、該シーブにかけられたロープと、該ロープの一端に吊るされた乗りかごと、前記ロープの他端に吊るされた錘とを備え、前記ロープは鋼線を撚り合わせてなる鋼線ロープを樹脂で被覆してなるエレベータにおいて、
    前記シーブの少なくとも前記ロープとの接触面にフッ素樹脂入りのニッケル層を形成してなることを特徴とするエレベータ。
  2. 前記シーブは、前記ロープがかけられる溝を有し、該溝の断面は半円状に形成されてなることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
  3. 前記ロープがかけられるプーリを備え、該プーリの少なくとも前記ロープとの接触面にフッ素樹脂入りのニッケル層が形成されてなることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
  4. 前記プーリは、前記ロープがかけられる溝を有し、該溝の断面は半円状に形成されてなることを特徴とする請求項3に記載のエレベータ。
  5. 前記フッ素樹脂入りのニッケル層は、四フッ化エチレンの粉を10〜30vol%混入してなるニッケルメッキ液中に前記シーブ又はプーリを浸漬して形成されてなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のエレベータ。
  6. 巻上機により回転駆動されるシーブと、該シーブにかけられたロープと、該ロープの一端に吊るされた乗りかごと、前記ロープの他端に吊るされた錘とを備え、前記ロープは鋼線を撚り合わせてなる鋼線ロープを樹脂で被覆してなるエレベータにおいて、
    前記シーブは、少なくとも前記ロープとの接触面に不規則で微細な凹凸が形成されてなることを特徴とするエレベータ。
  7. 前記ロープがかけられたプーリを備え、該プーリの少なくとも前記ロープとの接触面に不規則で微細な凹凸が形成されてなることを特徴とする請求項6に記載のエレベータ。
  8. 前記凹凸は、微粒子を衝突させて形成されてなることを特徴とする請求項6又は7に記載のエレベータ。
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