JP2000212884A - ロ―プ用コ―ティング及びその形成方法 - Google Patents

ロ―プ用コ―ティング及びその形成方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、請求項1の前文に従ったコーティ
ングを含む合成繊維ロープ、好ましくは芳香族ポリアミ
ドのロープに関する。 【解決手段】 撚られた荷重支持アラミド繊維ストラン
ドの複数の層(9、10、11)を有する合成ロープで
あって、これまでの押出合成保護シースの代わりに、含
浸物質及びUV安定剤、短繊維、酸化還元防止剤の添加
物がストランドの最外層(6)にある合成繊維ストラン
ド(4、5)へ、単なる追加コーティング(19)とし
て塗布され、それによって、ロープに有害な環境の影響
に対する保護が信頼性をもって確保され、また磨耗に対
する合成繊維ロープ(1)の変わらぬ十分な耐性も確保
される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、請求項1の前文に
従ったコーティングを含む合成繊維ロープ、好ましくは
芳香族ポリアミドのロープに関する。
【0002】
【従来の技術】ロープは、特に、例えばエレベータのよ
うな運搬技術、クレーンによる建設作業、及び露天掘り
などで使用され、移動するロープは機械装置の重要な部
品であり過酷な用途に使用されている。特に複雑な様相
は、例えばエレベータ構造体及び懸架されたケーブル・
カーに使用される場合のように、駆動されるロープの荷
重の問題に見られる。これらの例においては、必要なロ
ープの長さは長いが、一方エネルギーを考慮すると、ロ
ープの質量は可能な限り小さいことが要求される。高張
力合成繊維ロープ、例えば高度に配向された分子鎖を有
する芳香族ポリアミド又はアラミドのロープは、通常の
スチール・ロープよりも、これらの要件を良好に充足す
る。しかし、アラミドのような物質は、破断応力及び作
業能力を低下させる紫外線(UV)光、及び酸化又は還
元効果を有する環境に特に敏感である。この理由によっ
て、アラミド・ロープは、通常、光に安定な物質のシー
ス又はブレードで覆われている。
【0003】例えば、出願人のEP0672781A1
から、エレベータ昇降路の中を案内されるエレベータ・
ボックスのフレームを平衡錘へ連結するために、そのよ
うなシース付きの合成繊維ロープをエレベータ設備の懸
架部品として使用することが知られている。エレベータ
・ボックス及び平衡錘を上下させるために、ロープは駆
動モータによって駆動される牽引綱車の上を走行する。
駆動トルクは、常に巻きつけ角にあるロープ部分の摩擦
によって伝達される。
【0004】ストランドの全体の被覆層を取り巻く1つ
のシースを設ける代わりに、この層の個々のストランド
に、好ましくはポリウレタン又はポリアミドのような合
成物質からなる継目のない押出シースが被せ、これらシ
ースが合わさってロープを磨耗から保護し、牽引綱車の
上で所望の摩擦係数を確保する。
【0005】その場合、ストランド間のすべての隙間が
充填され、広範囲にわたって粘着領域を有する形態適合
が作り出されるように、合成物質のシースを圧力下で押
し出すことによって、合成物質のシースと合成繊維スト
ランドの最外層との間の粘着力が達成される。しかし、
或る条件の下では、ロープに負荷がかかったときに生じ
る横断力により、合成シースのずれ又は重なりが生じる
可能性がある。ロープにおけるそのような変化は、ロー
プの破損を生じるかも知れないので望ましくない。しか
し、押出プロセスを使用して、ストランドとシースとの
間に必要な粘着力を作り出すシースをストランドに適用
することは、費用がかかる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記の理由のため、本
発明の目的は、変わらぬ高レベルの機能を確保しなが
ら、合成繊維ロープの製造コストを低減することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に従えば、上記の
目的は、最初に言及したタイプの、請求項1に記載の特
徴を有する合成繊維ロープによって達成される。
【0008】これまでの押出保護シースの代わりに、U
V安定剤及び、磨耗並びにロープに有害な環境の影響か
ら保護するための他の添加物を含む液体でストランドの
最外層にある合成繊維ストランドを被覆するだけで、U
Vに対する信頼性のある保護がなされ、かつ磨耗に対す
るロープの十分な耐性が継続的に保証されることが出願
人による綿密なテストにより判明した。
【0009】本発明からもたらされる利点は、ストラン
ドの最外層の合成繊維ストランドとコーティングが永続
的に接合することである。なぜなら、コーティング材と
ストランドの合成繊維を接合するマトリックス材は同一
だからである。適切な添加物を混合するだけで、機能は
繊維ロープの全寿命へと容易に延長されることができ
る。本発明に従うと、コーティングは重なりを形成せ
ず、また合成繊維ストランド上でずれることもない。ツ
ール及び機器の追加費用なしに広範囲にわたってコーテ
ィングを形成することができ、しかもその形成方法は簡
単かつ安価である。本発明に従ったコーティングを形成
するために必要なことは、大規模な連続工程により製造
される通常の合成繊維ストランドを出発点として、繊維
ストランドの最外層用の合成繊維ストランドを、何れに
しても設置してある含浸槽を通して延伸するだけであ
る。コーティングの厚さは、合成繊維ストランドの含浸
槽中の滞留時間によって調節することができる。更に、
コーティング・プロセスは無制限に反復することができ
る。
【0010】耐磨耗性が特に優れたコーティングの実施
形態は、例えばアラミドから構成される短繊維を含浸槽
に加えることによって達成される。
【0011】本発明の更に有利な実施形態は、追加の従
属項に記載されている。
【0012】
【発明の実施の形態】液体形状の含浸物質を使用する本
発明の好ましい例示的実施形態を、16のストランドか
ら構成されるロープ1の断面図を参照して以下に説明す
る。コア・ストランド2の周りには、5つの同一ストラ
ンド3が螺旋状に撚られて、それと共に、太めの5つの
ストランド4が、細めの5つのストランド5と交互に並
行撚りを形成するように撚られ、被覆層6を形成してい
る。図示したロープ1に使用される荷重支持ストランド
2、4、5は、アラミド繊維7の個々の束から撚られて
いる。
【0013】ストランド2、3、4、5は、本質的にポ
リウレタンのマトリックスの中へ螺旋状に接合されたア
ラミド・スレッド8から構成される。撚り合わせるため
に、アラミド・スレッド8は保護含浸物質、例えばポリ
ウレタンの溶液で処理される。各ストランド2、4、5
におけるポリウレタンの割合により、ロープ1の逆曲げ
応力による疲労強度が決定される。ポリウレタンの割合
が高くなれば、それだけ逆曲げ性能も高くなる。ポリウ
レタンの割合が増加するにつれて、ロープ1全体の占有
率が減少し、それと共にロープ1の荷重支持能力及び伸
びも減少する。所望のロープ特性により、ストランド
2、4、5の含浸用ポリウレタンの割合は、例えば10
から60%の間に定めることができる。
【0014】例示した実施形態では、7つのアラミド・
スレッド8は含浸によってフィラメント7に相互結合さ
れ接合される。このようにして、含浸により個々のフィ
ラメント7の周りに薄い保護層9が形成される。7つの
フィラメント7がストランド2、3、4、5へと螺旋状
に撚られる。実際の実施形態では、フィラメント7は図
示されたような円形ではなく、隣接したフィラメント及
びストランドの面に適合した形となる。ここまでは、例
示した実施形態で使用されるすべてのストランド2、
3、4、5の構造は概して同一であるが、メートル当た
りの撚り合わせ数は、ストランドの層、及びストランド
の直径によって、異なることがある。
【0015】本発明に従えば、被覆層6に撚られた太め
のストランド4及び細めのストランド5は、含浸物質の
追加保護層10によって取り囲まれる。この保護層は、
太めのストランド4及び細めのストランド5をドロース
ルー・プロセスで含浸物質の槽へ追加的に浸漬すること
によって、これらストランドの表面に形成するのが有利
である。ポリウレタンに加えて、含浸物質は、添加物と
してUV安定剤、好ましくはシリコン結晶と、酸化還元
防止剤とを含む。好ましくはアラミドの短繊維を加える
と、保護層10の磨耗耐性が改善される。
【0016】ここで、個々のストランド4、5の周りの
保護層10の厚さ11は、0.2mmである。しかし、
本発明に従えば、それは所望の保護効果により0.1か
ら1mmの間で選択することができる。保護層10は、
被覆層6の太めのストランド4と細めのストランド5と
の間の磨耗保護の働きをすると共に、被覆層6のすべて
のストランド4、5と共に接合され、その結果安価且つ
効果的にロープ1のコーティングを形成することができ
る。これによって、合成物質の追加のロープ・シースは
不要になる。本発明に従えば、保護層10のコーティン
グで被覆されたストランド4、5は半完成製品として前
もって製造しておくことができ、次に必要に応じて通常
のロープ製造機によって処理することができるため、ア
ラミド繊維ロープ1の製造コストが著しく低減される。
【0017】含浸物質の代わりに、粘着性を有する別の
液体をロープに塗布することもできる。
【0018】純粋に吊り下げ用ロープとして使用される
場合のほかに、ロープは広範囲のマテリアルハンドリン
グ機器に使用することができる。その例はエレベータ、
鉱山の巻き揚げ機、ビルディングクレーン、屋内クレー
ン、船舶クレーン、空中ケーブル、及びスキーリフト、
並びにエスカレータの牽引手段である。駆動力は、牽引
綱車又はケーペ綱車上の摩擦、又は円形ドラムに巻いた
ロープによって伝達される。ホーリング・ロープは、時
には牽引又は懸架ロープとも呼ばれるもので、駆動され
て移動するロープを指すものと理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【図1】16のストランドから構成されたロープの断面
図である。
【符号の説明】
1 ロープ 2 コア・ストランド 3、4、5 ストランド 6 被覆層 7 アラミド繊維(フィラメント) 8 アラミド・スレッド 9、10 保護層 11 厚さ

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 接合された合成繊維(8)、好ましくは
    ポリアミド繊維からなる荷重支持ストランド(2、3、
    5)を有し、荷重支持合成繊維ストランド(2、3、
    5)が、好ましくは層として撚られた荷重支持合成繊維
    ストランド(2、3)から構成されるロープ・コア上に
    ストランドの最外層(6)として撚られ、コーティング
    (10)が少なくともストランドの最外層(6)の荷重
    支持合成繊維ストランド(4、5)を取り巻いているロ
    ープ用コーティングであって、 コーティング(10)が、UV安定剤及び磨耗並びにロ
    ープに有害な環境の影響から保護するための他の添加物
    を含む混合液体から形成されることを特徴とする、ロー
    プ用コーティング。
  2. 【請求項2】 液体が合成繊維(8)を接合するための
    含浸物質を含むことを特徴とする、請求項1に記載のロ
    ープ用コーティング。
  3. 【請求項3】 含浸物質が磨耗から保護するための短繊
    維を含むことを特徴とする、請求項1に記載のロープ用
    コーティング。
  4. 【請求項4】 含浸物質が酸化及び還元防止剤を含むこ
    とを特徴とする、請求項1に記載のロープ用コーティン
    グ。
  5. 【請求項5】 含浸物質がポリウレタン溶液を含むこと
    を特徴とする、請求項1に記載のロープ用コーティン
    グ。
  6. 【請求項6】 コーティング(10)が0.1から1m
    mの層の厚さ(11)を有することを特徴とする、請求
    項1に記載のロープ用コーティング。
  7. 【請求項7】 束ねられた合成繊維(8)、好ましくは
    ポリアミド繊維の合成ロープであって、合成繊維は含浸
    物質によって荷重支持合成繊維ストランド(2、3、
    4、5)に接合されており、これらの荷重支持合成繊維
    ストランド(4、5)は、層として撚られた荷重支持合
    成繊維ストランド(2、3)から作られたロープ・コア
    上に撚られており、コーティング(10)が少なくとも
    ストランドの最外層(6)の荷重支持合成繊維ストラン
    ド(4、5)を取り巻いている合成ロープ(1)のコー
    ティング(10)を形成する方法であって、 ストランドの最外層(6)の合成繊維ストランド(4、
    5)を、磨耗及びロープに有害な環境の影響から保護す
    る添加物を含む含浸物質に浸漬することによって被覆す
    ることを特徴とする、ロープ用コーティングの形成方
    法。
  8. 【請求項8】 最初に浸漬した後、ストランドの最外層
    (6)の合成繊維ストランド(4、5)へ短ストランド
    を加え、次に再び合成繊維ストランド(4、5)を含浸
    物質に浸漬することによって被覆することを特徴とす
    る、請求項7に記載のロープ用コーティングの形成方
    法。
  9. 【請求項9】 請求項1から6のいずれか一項に記載の
    コーティングを有する合成ロープを具備するエレベー
    タ。
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