JP2006068831A - 切削加工方法および切削加工工具 - Google Patents

切削加工方法および切削加工工具 Download PDF

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Abstract

【課題】 工具寿命を長くすることができ、高い加工精度を得ることができる切削加工工具および切削加工方法を提供する。
【解決手段】 保持部40により、切削部材30の切れ刃31を、矢印A方向(切削方向)に回転している工作物20に接触させつつ矢印B方向(バイト送り方向)に移動させて切削加工を行う。駆動部50の動力により、切削部材30を工作物20の回転方向に対して略垂直な平面内で矢印C方向に回転させる。切れ刃31の工作物20に対する接触位置が常に変化し、切削により上昇した切れ刃31の表面温度は、工作物20および切り屑21との接触位置から外れると急速に冷却される。切れ刃31の温度上昇が小さくなり、磨耗が抑制される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、鉄鋼あるいは非鉄金属などの金属、またはセラミック,ガラスあるいはプラスチック等の非金属などの切削加工に用いられる切削加工方法および切削加工工具に関する。
旋削加工,フライス加工,平削り,形削り、またはドリル加工あるいは中ぐり等の穴空け等の切削加工技術は、多くの高精度機器の製作において必要不可欠な技術となっている。
図11は、現在行われている切削加工法の代表的加工法である旋削法に用いられる切削加工工具を表している。この切削加工工具110は、例えば、切れ刃131となる切削部材(チップ)130が保持部(シャンク)140の先端に固定された構成を有している(以下、「切れ刃固定型(FIX型)」という。なお、保持部140と切削部材130とが一体のものも含む。)。このような切れ刃固定型の切削加工工具110では、回転している工作物120に切削部材130により矢印A方向(切削方向)に切り込みを与えると共に切削加工工具110を矢印B方向(バイト送り方向すなわち工作物120の軸方向)に送ることにより、切り屑121が生成され、加工が行われる。
しかし、この切れ刃固定型の切削加工工具110では、図11に示したように、切り屑121を出す切れ刃131は常に同じ位置にあるので、図12に示したように、同じ切れ刃すくい面および逃げ面が何時も工作物120と接触している。この場合、図12において斜線を施した領域で示したように、切削熱H1が発生し、その伝熱H2は、図12において矢印で示したように、切り屑121,工作物120および切れ刃131の刃先に熱伝導し、更に、それらの一部が周辺雰囲気(乾式の場合は空気、湿式の場合は切削油剤)に熱伝達することになる。切削温度は、発生熱とその伝熱形態との平衡状態で決まるが、発生熱の熱伝導や周辺への熱伝達が大きくないため、数百度以上の高温になり、工具磨耗が大きくなる。その結果、仕上面粗さが大きくなったり、加工精度が悪化したりするため、工具寿命になる。工具寿命に達すると、切れ刃131の位置を変えたり、切削部材130を交換したりする必要があり、切削加工とは無関係な作業時間が必要になる。
このように、切れ刃固定型の工具について工具寿命を長くすると共に無駄な時間を少なくすることは、加工能率の向上ひいては加工コスト低減のため、常に変わらない重要な課題である。これまで、工具材料,切削加工条件および切削油剤等、多方面から工具寿命の検討がなされると共に、自動化技術の研究が進められ、大きな向上が図られてきたが、まだまだ十分とはいえず、更なる工具寿命の向上が求められている。このようなことから、工具の長寿命化技術の構築ないし連続切削時間の増大を課題として、切削による切れ刃温度上昇の低減法をはじめとする革新的な新技術の開発が期待されている。
例えば、非特許文献1には、切削部材として丸駒型チップを回転軸に取り付け、切削加工の際に発生する切削抵抗により従動的に運動させながら切削加工を行うようにした切削加工工具が開示されている。この切削加工工具では、切削抵抗により切削部材を回転させるため、切削部材を、工作物回転方向に対する垂直面に対して、傾けて取り付けるようにしている。
陳 平、他1名,従動式ロータリー切削工具の難削材加工特性,「精密工学会誌57/10/1991」,p.1792−1796
しかしながら、このような従動型の切削加工工具は、以下のような問題を有していた。
(1)切削部材の回転が従動的であるため、切削速度が速くなると切削部材の回転速度も速くなってしまう。取り付け方にもよるが、例えば、切削速度が200m/minになると、切削部材の回転速度は100m/minにもなる。これは、切削部材として直径16mmの丸駒型チップを用いた場合、1分間当たり約2000回転という高速回転になる。そのため、高能率な切削を行うために切削速度を速くすると、切削により上昇した切れ刃温度の冷却期間が短くなり、摩耗量の減少への寄与は小さくなる。よって、工具寿命を十分に延ばすことはできなかった。また、大きな切削抵抗が作用し、かつ、高速回転する切削部材を支持する軸受け機構の製作が難しいという問題も生じていた。
(2)切削部材の回転が従動的であるため、切削部材を、回転軸に取り付けた状態の回転精度を修正できずに、取り付けた回転精度で切削加工を行うことになる。そのため、固定型切削加工に比較して、仕上げ面粗さが悪くなってしまっていた。
(3)切削部材は円形にする必要があり、形状が限られていた。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、工具寿命を長くすることができ、高い加工精度を得ることができる切削加工方法および切削加工工具を提供することにある。
本発明による切削加工方法は、連続した切れ刃を有する切削部材を工作物に接触させると共に切削部材と工作物とを相対移動させ、かつ、切削部材を動力により切れ刃の連続方向に回転または揺動させるようにしたものである。ここで、「連続した切れ刃を有する切削部材」とは、円形の切れ刃を有する丸駒型(丸型)のもののほか、円弧型切れ刃を有するものを含んでいる。
本発明による切削加工工具は、工作物に対する相対移動により工作物を切削加工するためのものであって、以下の(A)〜(C)の要件を備えたものである。
(A)連続した切れ刃を有する切削部材
(B)切削部材を支持し、切削部材の切れ刃を工作物に接触させる保持部
(C)切削部材を動力により切れ刃の連続方向に回転または揺動させる駆動部
本発明による切削加工方法、または本発明による切削加工工具では、切削部材を、切削部材と工作物との相対移動方向に対して略垂直な平面内で回転または揺動させることが好ましい。また、切削部材を、切削部材と工作物との相対移動速度に対して独立した速度で回転または揺動させることが可能となる。
本発明による切削加工方法、または本発明による切削加工工具では、例えば、工作物を回転または平面移動させ、切削部材を、工作物の回転方向または平面移動方向に対して略垂直な平面内で回転または揺動させるようにすることができる。
切削部材は、逆円錐台形状とし、上面周縁部分を前記切れ刃とすることが好ましい。切削部材の切れ刃近傍には、切削油剤を収容するための凹部を設けるようにしてもよい。
本発明の切削加工方法、または本発明の切削加工工具によれば、切削部材を動力により切れ刃の連続方向に回転または揺動させるようにしたので、従来の切れ刃固定型の切削加工方法または工具に対して、以下の(1),(2)の効果を奏し、これにより加工能率を向上させると共に加工コスト低減を実現することができる。
(1)切れ刃の工作物に対する接触位置を常に変化させ、切削により上昇した切れ刃表面温度を急速に低下させることができる。よって、切れ刃すくい面や逃げ面の温度上昇を小さくし、切れ刃の磨耗を抑制すると共に高い加工精度を得ることができる。
(2)従来の切れ刃固定型と比べて、工作物を切削加工するための総切れ刃長さが長くなるので、連続切削加工時間を格段に増加させ、工具寿命を長くすると共に無駄な作業時間を削減することができる。
更に、従来の従動型の切削加工方法または工具に対しては、以下の(3)〜(7)の効果を奏する。
(3)切削部材を動力により回転または揺動させるようにしたので、切削部材を、切削部材と工作物との相対移動速度に対して独立した速度で回転または揺動させることが可能となる。よって、切削速度に応じて切削部材の回転速度を選定することにより、切削により上昇した切れ刃温度の冷却期間を制御することができる。また、高速切削の場合でも切削部材の回転速度を小さくすることが可能となるので、切削部材の回転・支持機構が容易に製作可能となる。
(4)切削部材を保持部に取り付けた状態で、例えば研削における砥石の形直しのようなことができる機構を付加することにより、切削部材の回転精度を高めることができ、切削加工開始より、高い精度の切削加工を行うことが可能となる。この点は、近年の超精密切削加工を行う場合に必須の事柄であり、本効果は極めて重要である。
(5)切削部材は円形に限られない。よって、丸駒型切削部材を用いた回転型切削加工のほか、例えば、円弧型切削部材を用いた揺動切削加工も可能となる。
(6)従動型切削加工方法と異なり、切削部材の取り付け角度は限定されない。特に、切削部材を、切削部材と工作物との相対移動方向に対して略垂直な平面内で回転または揺動させるようにすれば、同じバイト送り速度では、従動型の場合よりも仕上げ面粗さを小さくすることができる。また、(3)および(5)は、超精密切削加工で用いるダイヤモンドバイトのように、容易に製作可能な円弧状切れ刃を有する切削部材を用いる場合において極めて大きな効果を発揮する。
(7)また、特に、切削部材の切れ刃近傍に、切削油剤を収容するための凹部を設けるようにすれば、切削部材の回転または揺動により、切削油剤を効率的に切削点に到達させることができる。よって、切削油剤による冷却効果または潤滑効果を更に効果的に利用することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る切削加工工具の全体構成を表すものである。この切削加工工具10は、例えば、矢印A方向(切削方向)に回転している工作物20に対して旋削法による切削加工を施すために用いられるものであり、切削部材(チップ)30を保持部40に支持させた構成を有している。工作物20は、例えばS45Cにより構成され、略丸棒状の形状を有している。
切削部材30は、例えばP30よりなる逆円錐台形状の部材であり、その上面周縁部分が連続した切れ刃31となっている。このような切削部材30は、例えば丸型チップにより構成することができ、切削部材30の直径は例えば16mm、円周すなわち切れ刃31の長さは例えば約50mmである。
切削部材30の取り付け角度は、従動型切削加工方法と異なって特に限定されないが、例えば、固定型切削加工工具における切削部材の取り付け角度と同じ角度で保持部40に取り付けられている。すなわち、切削部材30は、切れ刃31が工作物20の回転方向に対して略垂直な平面内にあるように取り付けられている。
保持部40は、例えば、S55Cなどよりなる本体部(ホルダまたはシャンク)41と、この本体部41の先端に設けられたラジアル・スラスト軸受け(図示せず)に取り付けられた回転軸42とを有しており、この回転軸42に切削部材30が装着固定されている。保持部40は、図示しない移動機構により移動可能となっており、切削部材30の切れ刃31を工作物20に接触させると共に矢印B方向(バイト送り方向すなわち工作物20の軸方向)に移動させるようになっている。
また、この切削加工工具10では、切削部材30を動力により回転させる駆動部50が設けられている(以下、「切れ刃運動型切削加工法(EMT;Edge Moving Type of Cutting Method))」という。)。これにより、この切削加工工具10では、切れ刃31の工作物20に対する接触位置を常に変化させ、切れ刃31の磨耗を抑制して工具寿命を長くすると共に高い加工精度を得ることができるようになっている。
また、駆動部50を備えたことにより、この切削加工工具10では、切削部材30を、工作物20の回転速度(切削速度)に対して独立した速度で回転させることが可能となっている。よって、切削速度に応じて切削部材30の回転速度を選定することにより、切削により上昇した切れ刃31の温度の冷却期間を制御することができるようになっている。
駆動部50は、切削部材30を、切削部材30と工作物20との相対移動方向すなわち工作物20の回転方向に対して略垂直な平面内で回転させることが好ましい。同じバイト送り速度では、従動型の場合よりも仕上げ面粗さを小さくすることができるからである。
このような駆動部50は、例えば、保持部40の本体部41の側方にモータ51を有しており、このモータ51の回転によりベルト52およびプーリ53を介して回転軸42を回転させ、これにより切削部材30にモータ51からの動力を伝達して矢印C方向に回転させるように構成されている。
駆動部50には、更に、切削部材30を保持部40に取り付けた状態で、例えば研削における砥石の形直しのようなことができる機構(図示せず)が付加されていることが好ましい。切削部材30の回転精度を高めることができ、切削加工開始より、高い精度の切削加工を行うことが可能となるからである。この点は、近年の超精密切削加工を行う場合に必須の事柄であり、極めて重要である。
この切削加工工具10では、例えば、保持部40により、切削部材30の切れ刃31が、矢印A方向に回転している工作物20に接触しつつ矢印B方向に移動する。これにより、切れ刃31において切り屑21が生じ、工作物20が丸棒状または円錐状に切削加工される。このとき、駆動部50の動力により、切削部材30が矢印C方向に回転しているので、切れ刃31の工作物20に対する接触位置が常に変化し、切削により上昇した切れ刃31の表面温度は、工作物20および切り屑21との接触位置から外れると急速に冷却される。すなわち、図2において斜線を施した領域で示したように、切れ刃31で切削熱H1が発生し、その伝熱H2は、図2において点線で囲んだ領域で示したように、切削部材30の周方向に沿って熱伝導する。更に、切れ刃31の切削による温度上昇も、切れ刃31の表面温度が低くなることにより、小さくなる。よって、切れ刃31の磨耗が抑制される。
このように本実施の形態では、駆動部50の動力により、切削部材30を回転させるようにしたので、従来の切れ刃固定型の切削加工方法または工具に対して、以下の(1),(2)の効果を有しており、これにより加工能率を向上させると共に加工コスト低減を実現することができる。
(1)切れ刃31の工作物20に対する接触位置を常に変化させて切れ刃31の温度上昇を小さくし、磨耗を抑制すると共に高い加工精度を得ることができる。
(2)従来の切れ刃固定型と比べて、工作物20を切削加工するための総切れ刃長さが長くなるので、連続切削加工時間を格段に増加させ、工具寿命を長くすると共に無駄な作業時間を削減することができる。
更に、従来の従動型の切削加工方法または工具に対して、以下の(3)〜(6)の効果を得ることができる。
(3)切削部材30を動力により回転させるようにしたので、切削部材30を、工作物20の回転速度すなわち切削速度に対して独立した速度で回転させることが可能となる。よって、切削速度に応じて切削部材30の回転速度を選定することにより、切削により上昇した切れ刃31の温度の冷却期間を制御することができる。また、高速切削の場合でも切削部材30の回転速度を小さくすることが可能となるので、回転する切削部材30を支持する保持部40が容易に製作可能となる。
(4)切削部材30を保持部40に取り付けた状態で、例えば研削における砥石の形直しのようなことができる機構を付加することにより、切削部材30の回転精度を高めることができ、切削加工開始より、高い精度の切削加工を行うことが可能となる。この点は、近年の超精密切削加工を行う場合に必須の事柄であり、本効果は極めて重要である。
(5)切削部材30は円形に限られない。よって、丸駒型切削部材を用いた回転型切削加工のほか、例えば、円弧型切削部材を用いた揺動切削加工も可能となる。
(6)切削部材30を、切削部材30と工作物20との相対移動方向すなわち工作物20の回転方向に対して略垂直な平面内で回転または揺動させるようにすれば、同じバイト送り速度では、従動型の場合よりも仕上げ面粗さを小さくすることができる。また、(3)および(5)は、超精密切削加工で用いるダイヤモンドバイトのように、容易に製作可能な円弧状切れ刃を有する切削部材を用いる場合において極めて大きな効果を発揮する。
〔変形例〕
図3は、本発明の変形例に係る切削加工工具の要部を表したものである。この切削加工工具は、切削部材30の上面の切れ刃31近傍に、切削油剤を収容するための凹部32を有することを除いては、第1の実施の形態と同様に構成されている。よって、対応する構成要素には同一の符号を付して説明する。
凹部32は、切削油剤供給パイプ33から供給される切削油剤34を溜めるためのものであり、例えば、切削部材30の上面の切れ刃31近傍に沿って設けられた複数の穴により構成されている。凹部32の形状は特に限定されず、例えば、図3に示したような穴でもよいし、あるいは溝でもよい。
従来の従動型切削加工工具で用いられている丸駒型切削部材の円周先端切れ刃は、単純な平面のすくい面である。しかし、本変形例では、同じく切削部材30として丸駒型チップを用いていても、切削部材30の回転速度を自由に制御できるので、凹部32を設けておけば、切削部材30の回転により切削油剤を効率的に切削点に到達させることができるようになっている。
このように本変形例では、切削部材30の切れ刃31近傍に、切削油剤を収容するための凹部32を設けるようにしたので、切削部材30の回転速度を自由に制御することによって、切削部材30の回転により切削油剤を効率的に切削点に到達させることができる。よって、切削油剤による冷却効果または潤滑効果を更に効果的に利用することができる。
更に、本発明の具体的な実施例について説明する。
(実施例)
上記実施の形態で説明した切削加工工具10を製作した。その際、切削部材30を、直径が16mmであり、円周すなわち切れ刃31の長さが約50mmのP30よりなる丸型チップにより構成した。この切削加工工具10を用いて、S45Cよりなる工作物20を切削加工した。切削条件は、切削速度Vc:95m/min、切り込みtc:0.2mm、バイト送り量fpc:0.4mm/rev、乾式切削とした。また、切削部材30の一分間当たりの回転数は約37回転、切削部材30の外周回転速度は約1.9m/min、すなわち切削速度の50分の1という低速回転とした。
(比較例1,2)
従来の切れ刃固定型の切削加工工具を用意した。その際、切削部材として、比較例1では実施例と同一の丸型チップを用い、比較例2では三角形チップを用いた。これら比較例1,2の切削加工工具を用いて、実施例と同一のS45Cよりなる工作物に対して、実施例と同一の切削条件でそれぞれ切削加工した。
(切れ刃の摩耗状況)
実施例および比較例1,2について、切れ刃の摩耗状況を調べた。その結果を、図4ないし図7に示す。なお、図4(A)および図4(B)は、実施例の切削距離Ll=10km,100kmにおける切れ刃すくい面の摩耗状況を示し、図5(A)および図5(B)は、実施例の切削距離Ll=10km,100kmにおける切れ刃逃げ面の摩耗状況をに示す。また、図6(A)は、比較例1の切削距離Ll=2kmにおける切れ刃すくい面の摩耗状況、図6(B)は、比較例2の切削距離Ll=2kmにおける切れ刃すくい面の摩耗状況、図7(A)は、比較例1の切削距離Ll=2kmにおける切れ刃逃げ面の摩耗状況、図7(B)は、比較例2の切削距離Ll=2kmにおける切れ刃逃げ面の摩耗状況をそれぞれ示す。
図4ないし図7から分かるように、実施例では、切削距離Ll=10kmでは切れ刃すくい面および逃げ面ともにほとんど摩耗が観察されなかったのに対して、比較例1,2では、切削距離Ll=2kmで切れ刃すくい面および逃げ面ともに大きな摩耗を生じ、ほぼ寿命となっていた。これは、実施例では、切削部材30を回転運動させることにより切れ刃31の温度上昇抑制効果が生じているからであると考えられる。なお、実施例においては、切削距離Ll=100kmとなると切れ刃すくい面および逃げ面において切れ刃回転方向に一様な幅の摩耗が観察されたが、寿命には達しておらず、更に切削加工の続行が可能であることが分かった。なお、その摩耗形態は比較例1,2で観察されるものと異なり、比較例1,2で見られる高切削温度により溶融した滑らかな摩耗面ではなく、ざらざらしたアブレイシブ摩耗であるように見うけられた。
(仕上げ面粗さ)
実施例および比較例1,2について、仕上げ面粗さを調べた。その結果を、図8ないし図10に示す。図8(A)ないし図8(G)は、実施例の切削距離10km,20km,30km,40km,50km,60kmおよび100kmにおける仕上げ面粗さをそれぞれ示す。また、図9(A)および図9(B)は、比較例1の切削距離1kmおよび2kmにおける仕上げ面粗さを示し、図10(A)および図10(B)は、比較例2の切削距離1kmおよび2kmにおける仕上げ面粗さを示す。
図8から分かるように、実施例では、切削距離50kmまでは約25μm(Rz値)を維持し、切削距離60kmおよび100kmでは約15μmないし約19μm(Rz値)となっており、切削距離が長くなっても仕上げ面が悪化することがなく、かえって切削距離が長くなるに伴って仕上げ面粗さが向上するという特徴的な結果が得られた。これは、切削部材30の真円度が切削により向上したためと考えられる。これに対して、比較例1,2では、図9および図10から分かるように、切削距離が1kmから2kmに増加すると仕上げ面粗さが悪化し、30μm(Rz値)をはるかに超えてしまっていた。特に、切削部材として三角形チップを用いた比較例2では、刃先丸みが小さいこともあり、50μm(Rz値)をも超えていた。
(寿命)
実施例および比較例1の結果から、寿命について考察した。その際、実施例では切削部材30の全円周長さを切れ刃31として使用しているのに対して、比較例1では切削部材の全円周長さの一部を用いて加工していることに着目した。比較例1では、切削部材と工作物との接触円弧長さは約1.8mmであり、使用した丸型チップの円周は約50mmであった。このことから、切れ刃の単位長さ当たりの寿命の比較が一つの課題であると考えられた。実施例では比較例1に対して、50mm/1.8mmで、約30倍の60km以上の寿命をもつことが必要になるところ、上述した切れ刃の摩耗状況の結果から分かるように、実施例では100kmを超えても寿命に達しないという結果が得られていた。これは、切削部材30を回転運動させることにより、切削部材30の上面周縁部分を全周に亘って切れ刃31として使用することができ、その分切削部材30の寿命を長くすることができたことに加えて、切れ刃31の摩耗そのものが、切削温度の減少により低下したものと考えられる。なお、従来の報告では、工作物材料は異なるが、従動型切削加工法において、工具寿命までの切削距離は10kmとされており、100kmを超えても寿命に至らない本実施例の優位性は明らかである。
以上のように、実施例によれば、切れ刃の摩耗状況、仕上げ面粗さ、および切れ刃の単位長さ当たりの寿命のいずれについても、比較例1,2に比べて良好な結果が得られた。すなわち、切削部材30を動力により回転させるようにすれば、切削による切れ刃31の温度上昇を抑制し、磨耗の抑制、加工精度の向上および工具の長寿命化を実現することができることが分かった。
更に、この実施例の結果から、本発明による切削加工方法は、従来の従動型に比較して、工具寿命あるいは連続切削加工時間は劣るものではなく、むしろ凌駕する可能性があると考えられる。また、本発明による切削加工工具10は図1に示したように極めて簡単な構成で実現することができ、旋削法ばかりでなく他の切削加工方法への適用可能性を有しており、未だ一部での利用にとどまる従動型に比較して、一般への普及効果も大きいものと思われる。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態および実施例では、工作物20を回転させ、切削部材30を工作物20の回転方向に対して略垂直な平面内で回転させる場合について説明したが、工作物20と切削部材30の相対移動関係は特に限定されない。例えば、工作物20を平面移動させ、切削部材30を、工作物20の平面移動方向に対して略垂直な平面内で回転または揺動させるようにすることもできる。あるいは、工作物20を静止させて切削部材30を移動させるようにしてもよい。
また、例えば、上記実施の形態および実施例では、切削加工工具10の構成を具体的に挙げて説明したが、全ての構成要素を備える必要はなく、また他の構成要素を更に備えていてもよい。更に、各構成要素の位置関係は上記実施の形態で説明した例に限られず、例えば、回転軸42は本体部41の下方のみでなく上方にも突出するように取り付けられていてもよい。
更に、例えば、上記実施の形態および実施例では、本発明を旋削法に適用した場合について説明したが、本発明は、旋削加工のみならず、フライス加工あるいはドリル加工など他の切削加工方法にも適用可能である。
本発明の一実施の形態に係る切削加工工具の全体構造を表す斜視図である。 図1に示した切削加工工具の要部を拡大して表す斜視図である。 本発明の変形例に係る切削加工工具の要部を表す斜視図である。 本発明の実施例の切削距離Ll=10km,100kmにおける切れ刃すくい面の摩耗状況を表す写真である。 本発明の実施例の切削距離Ll=10km,100kmにおける切れ刃逃げ面の摩耗状況を表す写真である。 図6(A)は、比較例1の切削距離Ll=2kmにおける切れ刃すくい面の摩耗状況を表す写真、図6(B)は、比較例2の切削距離Ll=2kmにおける切れ刃すくい面の摩耗状況を表す写真である。 図7(A)は、比較例1の切削距離Ll=2kmにおける切れ刃逃げ面の摩耗状況を表す写真、図7(B)は、比較例2の切削距離Ll=2kmにおける切れ刃逃げ面の摩耗状況を表す写真である。 図8(A)ないし図8(F)は、実施例の切削距離10km,20km,30km,40km,50km,60kmおよび100kmにおける仕上面粗さをそれぞれ示す図である。 図9(A)および図9(B)は、比較例1の切削距離1kmおよび2kmにおける仕上面粗さをそれぞれ示す図である。 図10(A)および図10(B)は、比較例2の切削距離1kmおよび2kmにおける仕上面粗さをそれぞれ示す図である。 従来の切削加工工具による旋削法を表す斜視図である。 図11に示した従来の切削加工工具の問題点を説明するための図である。
符号の説明
10…切削加工工具、20…工作物、21…切り屑、30…切削部材(チップ)、31…切れ刃、40…保持部、41…本体部、42…回転軸、50…駆動部、51…モータ、52…ベルト、53…プーリ、A…切削方向、B…バイト送り方向

Claims (12)

  1. 連続した切れ刃を有する切削部材を工作物に接触させると共に前記切削部材と前記工作物とを相対移動させ、かつ、前記切削部材を動力により前記切れ刃の連続方向に回転または揺動させる
    ことを特徴とする切削加工方法。
  2. 前記切削部材を、前記切削部材と前記工作物との相対移動方向に対して略垂直な平面内で回転または揺動させる
    ことを特徴とする請求項1記載の切削加工方法。
  3. 前記切削部材を、前記切削部材と前記工作物との相対移動速度に対して独立した速度で回転または揺動させる
    ことを特徴とする請求項1記載の切削加工方法。
  4. 前記工作物を回転または平面移動させ、前記切削部材を、前記工作物の回転方向または平面移動方向に対して略垂直な平面内で回転または揺動させる
    ことを特徴とする請求項1記載の切削加工方法。
  5. 前記切削部材を逆円錐台形状とし、上面周縁部分を前記切れ刃とする
    ことを特徴とする請求項1記載の切削加工方法。
  6. 前記切削部材の前記切れ刃近傍に、切削油剤を収容するための凹部を設ける
    ことを特徴とする請求項1記載の切削加工方法。
  7. 工作物に対する相対移動により前記工作物を切削加工するための切削加工工具であって、
    連続した切れ刃を有する切削部材と、
    前記切削部材を支持し、前記切削部材の切れ刃を前記工作物に接触させる保持部と、
    前記切削部材を動力により前記切れ刃の連続方向に回転または揺動させる駆動部と
    を備えたことを特徴とする切削加工工具。
  8. 前記切削部材を、前記切削部材と前記工作物との相対移動方向に対して略垂直な平面内で回転または揺動させる
    ことを特徴とする請求項7記載の切削加工工具。
  9. 前記切削部材を、前記切削部材と前記工作物との相対移動速度に対して独立した速度で回転または揺動させる
    ことを特徴とする請求項7記載の切削加工工具。
  10. 前記駆動部は、前記切削部材を、回転または平面移動する前記工作物の回転方向または平面移動方向に対して略垂直な平面内で回転または揺動させる
    ことを特徴とする請求項7記載の切削加工工具。
  11. 前記切削部材は逆円錐台形状であり、上面周縁部分が前記切れ刃となっている
    ことを特徴とする請求項7記載の切削加工工具。
  12. 前記切削部材は、前記切れ刃近傍に、切削油剤を収容するための凹部を有する
    ことを特徴とする請求項7記載の切削加工工具。
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