以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.遊技機の装置構成:
A−1.装置前面側の構成:
A−2.遊技盤の構成:
A−3.装置裏面側の構成:
A−4.制御回路の構成:
A−5.遊技の概要:
B.遊技機の制御内容:
B−1.電源投入直後の動作:
B−2.制御開始準備動作:
B−3.遊技制御の概要:
B−3−1.ウォッチドッグタイマリセット処理:
B−3−2.賞球払出処理:
B−3−3.普通図柄遊技開始判断処理:
B−3−4.普通図柄遊技処理:
B−3−5.普通電動役物遊技処理:
B−3−6.特別図柄遊技開始判断処理:
B−3−7.特別図柄遊技処理:
B−3−8.特別図柄変動パターン設定処理:
B−3−9.特別電動役物遊技処理:
B−4.電源断発生時処理:
C.第1実施例:
C−1.賞球払出処理:
C−2.リーチ有無決定処理:
D.第2実施例:
E.第3実施例:
A.パチンコ機の装置構成 :
A−1.装置前面側の構成 :
図1は、本実施例の遊技機1の正面図である。図1に示すように、遊技機1の前面部は、大きくは、前面枠4、上皿部5、下皿部6、遊技盤10などから構成されている。なお、図1では遊技盤10の詳細な図示を省略している。前面枠4は、図示しない中枠3に取り付けられており、中枠3は図示しない本体枠2に取り付けられている。中枠3はプラスチック材料で成形されており、本体枠2の内側に取り付けられている。本体枠2は、木製の板状部材を組み立てて構成された略長方形の枠体であり、遊技機1の外枠を形成している。前面枠4の一端は、中枠3に対して回動可能に軸支されており、中枠3の一端は本体枠2に対して回動可能に軸支されている。遊技盤10は、中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられており、その前面側が前面枠4で覆われている。
前面枠4は、プラスチック材料で成形されており、略中央部には、円形状の開口部4aが形成されている。この開口部4aにはガラス板等の透明板がはめ込まれており、奥側に配置される遊技盤10の盤面が視認可能となっている。また、前面枠4には、遊技効果を高めるための各種ランプ類4b〜4fが設けられている。更に、前面枠4の上部には、2つの賞球表示LED表示部4gと、エラーLED表示部4hとが設けられている。本実施例のエラーLED表示部4hは、重度のエラー発生の場合は赤色に、軽度のエラー発生の場合はオレンジ色に点灯あるいは点滅する。ここで、重度のエラーとは、例えば復旧のために前面枠4を開放して作業を行う必要があったり、あるいは部品を交換したりする必要があるような場合のエラーであり、軽度のエラーとは、それ以外のエラーである。
また、前面枠4の下方には、上皿部5が設けられており、上皿部5の下方には下皿部6が設けられている。また、前面枠4の右側には施錠装置9が設けられており、前面枠4の左側にはプリペイドカード式の球貸装置13〈CRユニット)が設けられている。
上皿部5には、皿状の凹部と、凹部を取り巻くように形成された皿外縁部5aとが設けられている。遊技球は、上皿部5に形成された凹部に投入されて、発射装置ユニットに供給される。また、皿外縁部5aには、遊技球の球貸スイッチ5b、返却スイッチ5c、投入した遊技球を排出するための排出ボタン5dなど、各種のボタン類が設けられている。さらに、上皿部5の略中央部には複数の長孔とその上部に多数の小穴が形成された第1スピーカ5yが設けられている。また、上皿部5の前面側には、2つの操作スイッチSW1、SW2が設けられている。遊技者は、このスイッチを押すことによって、遊技中にキャラクタや遊技条件を選択するなど、遊技の進行に介入することが可能となっている。
下皿部6には、遊技機1の内部から遊技球を排出するための排出口6aが設けられており、排出された遊技球は下皿部6内に貯留される。また、下皿部6には、図示しない下皿満タンスイッチ6sが設けられており(図6参照)、下皿部6が遊技球で一杯になると、これを検出して遊技球の払い出しが中断されるようになっている。下皿部6に貯まった遊技球を排出するために、下皿部6の底面には、下皿部6内から遊技球を排出するための図示しない球技き穴が設けられており、下皿部6の略中央手前側には、球抜き穴を開閉させる排出ノブ6bが設けられている。排出ノブ6bは通常時は直立状態であるが、下端を奥側に押圧すると上端を回転軸として回転し、球抜き穴が開放状態となって、下皿部6に貯まった遊技球を排出することが可能となっている。また、排出ノブ6bの左右には、第2スピーカ6cが設けられている。
下皿部6の左端には灰皿7が設けられており、下皿部6の右端には発射ハンドル8が設けられている。発射ハンドル8には、遊技者がハンドルに触れていることを検出するタッチスイッチ8aが設けられている。発射ハンドル8の回転軸は、下皿部6の奥側に搭載された図示しない発射装置ユニットに接続されており、遊技者が発射ハンドル8を回転させると、その動きが発射装置ユニットに伝達され、ユニットに内蔵された図示しない発射モータ8mが回転して、回転角度に応じた強さで遊技球が発射される。発射ハンドル8の左側面には、遊技者が操作して遊技球の発射を一時的に停止する発射停止スイッチ8bが配置されている。なお、本実施例の発射停止スイッチ8bは、タッチスイッチ回路内に設けられており、タッチスイッチ8aと電気的に接続されている。
A−2.遊技盤の構成 :
図2は、遊技盤10の盤面構成を示す説明図である。前述したように、遊技盤10は中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられている。図2に示すように、遊技盤10の中央には、外レール14と内レール15とによって囲まれた略円形状の遊技領域11が形成されている。
遊技領域11の略中央には中央装置26が設けられており、また、遊技領域11の下方部分には変動入賞装置18が設けられている。そして、中央装置26と変動入賞装置18との間には始動口(普通電動役物)17が設けられている。始動口(普通電動役物)17は、左右に一対の翼片部が開閉可能に構成されたいわゆるチューリップ式の始動口である。始動口17の内部には、遊技球の通過を検出する始動口(普通電動役物)スイッチ17s(図6参照)と、翼片部を作動させるための普通電動役物(始動口)ソレノイド17m(図6参照)とが備えられている。一対の翼片部が左右に開くと、遊技球の入球可能性が大きくなる開放状態となり、一対の翼片部が立設され、遊技球の入球可能性が小さくなる通常状態となる。
中央装置26には、演出表示装置27が設けられている。演出表示装置27は、液晶画面を搭載しており、キャラクタ図柄や背景図柄などの種々の演出用図柄を変動停止表示することが可能となっている。演出表示装置27の画面構成については後述する。
また、中央装置26の左下には、図柄表示装置28が設けられている。詳細な構成については後述するが、図柄表示装置28では普通図柄や特別図柄などを変動停止表示することが可能となっている。
遊技領域11の左端には、普通図柄作動ゲート36が設けられており、このゲートの内部には、遊技球の通過を検出するゲートスイッチ36sが設けられている。更に、普通図柄作動ゲート36と中央装置26との間には、ランプ風車24が設けられている。これら各遊技装置の間および周辺には、多数の障害釘23が設けられている。
変動入賞装置18のほぼ中央には、大入賞装置31が設けられている。この大入賞装置31は、略長方形状に大きく開口する大入賞口31dと、大入賞口31dを開放あるいは閉鎖する開閉板31pと、開閉板31pを開閉するための大入賞口ソレノイド31m(図6参照)と、図示しない連動杆などから構成されている。大入賞口31dは、後述する所定の条件が成立すると開放状態となる。大入賞口31dが開放すると、遊技球は高い確率で入球することとなり、遊技者にとって有利な遊技状態である特別遊技状態が開始される。尚、大入賞口31dの内部には、図示しない大入賞口スイッチ31sが設けられており、大入賞口31dに入賞した遊技球を検出することが可能となっている。
遊技盤10の下方にはアウト口48が設けられ、そのアウト口48の下部にはバック球防止部材58が設けられている。パック球防止部材58は、遊技領域11に到達せず戻ってきた遊技球が再び発射位置に戻ることを防止する機能を有している。一方、内レール15の先端部には、図示しないファール球防止部材が取り付けられ、ファール球防止部材と略正反対側(遊技盤10の右半分側)には、図示しない返しゴムが外レール14に沿って嵌合状に取り付けられている。
次に、図柄表示装置28および演出表示装置27の構成について説明する。図3は、本実施例の遊技機1に搭載された図柄表示装置28の構成を示す説明図である。本実施例の図柄表示装置28は、大きくは、普通図柄表示部29と、特別図柄表示部30とから構成されている。普通図柄表示部29は、左普通図柄表示部29aと右普通図柄表示部29bとから構成されており、特別図柄表示部30は、左特別図柄表示部30aと右特別図柄表示部30bとから構成されている。2つの普通図柄表示部29a,29bは、いわゆるLED(発光ダイオード)を用いて構成されており、左普通図柄表示部29aは赤色の光を点灯し、右普通図柄表示部29bは緑色の光を点灯することが可能となっている。また、特別図柄表示部30には、いわゆる7セグメントLEDが用いられており、このうちの7セグメント部分が左特別図柄表示部30aを構成し、コンマ部分が右特別図柄表示部30bを構成している。この7セグメント部分およびコンマ部分は、赤色、橙色、緑色のいずれかの光を点灯可能となっている。また、図柄表示装置28には、普通図柄保留表示部29c、および特別図柄保留表示部30cも設けられている。これらは、それぞれ4つのLEDで構成されている。このような構成を有する図柄表示装置28の表示内容については後述する。
図4は、本実施例の遊技機1に搭載された演出表示装置27の構成を示す説明図である。前述したように、演出表示装置27は、主に液晶表示画面を用いて構成されており、液晶画面上には、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cと、その背景に表示される背景図柄27dとが表示されている。このうち、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cは、図3に示した特別図柄30の表示に合わせて種々の態様で変動表示され、遊技を演出することが可能となっている。詳細な演出内容については後述する。
以上、遊技機1の前面側の構成について説明したが、最後に上皿部5の前面左端部に設けられた2つの操作スイッチSW1,SW2の働きについて説明しておく。操作スイッチSW1、SW2は、演出表示装置27の液晶画面上で表示される演出の形態を選択する機能を有している。つまり、遊技者が、所定の条件の下でスイッチSW1、SW2を操作すると、液晶画面上で行われる演出の形態や、背景図柄27dなどを変更することができる。このため、遊技者は、あたかも、演出表示装置27で表示される演出に参加しているような気分を味わうことが可能となっている。
A−3.装置裏面側の構成 :
次に、遊技機1の裏面構造について説明する。図5は、本実施例の遊技機1の裏面構造を示した説明図である。本実施例では、遊技機1の裏面構造は、大きな裏機構盤102の上に各種装置が搭載された構造となっており、裏機構盤102は、一対のヒンジ103によって中枠3に開閉可能に軸支されている。図5では、ヒンジ103は、中枠3右側の上端付近および下端付近に示されている。
裏機構盤102には、遊技球が蓄えられる賞球タンク105と、賞球の払出を行う賞球払出装置109と、前述した演出表示装置27が格納された蓋付きの裏ケース111と、後述する主制御基板200が格納された主制御基板ケース112と、発射装置ユニットを制御する発射制御基板260が格納された発射装置制御基板ケース113と、賞球払出装置109を制御する払出制御基板240が格納された払出制御基板ケース118と、主制御基板200と各種スイッチ類とを中継する中継端子板などが搭載されている。
賞球タンク105には底部にタンクスイッチ104が設けられており、球切れを検出することができる。賞球タンク105と賞球払出装置109とは、タンクレール106によって接続されており、図上でタンクレール106の右側には球抜きレバー107が設けられ、またタンクレール106の下流側には図示しない補給球切れ検知スイッチが設けられている。更に、賞球払出装置109の下流側には、遊技球の振り分け部が設けられている。尚、図5では、図示が煩雑となることを避けるために、振り分け部の表示は省略されている。
また、主制御基板ケース112、中継端子板190や、払出制御基板ケース118などの各種基板類は、裏機構盤102に回動自在に懸架された図示しない金属板に、着脱自在に装着されている。
裏機構盤102の右上端部には、ヒューズボックス119、電源スイッチ120、電源ターミナル基板121および大当り、発射装置制御、球切れ、扉開放、賞球、球貸し用等の遊技機枠用外部接続端子を備えた中継端子板122が設けられている。尚、電源ターミナル基板121には、ラムクリア信号を発生させるためのラムクリアスイッチ(図示を省略)を接続してもよい。また、中継端子板122の上側には、外部からの電力の供給を受けるための電源ケーブル123も配設されている。更に、払出制御基板ケース118からは接続ケーブル124が上方へ延出し、電源ケーブル125を備えた球貸装置13に接続されている。また、裏機構盤102の略中央下端部には、下皿部用球通路部材126が設けられている。
A−4.制御回路の構成 :
次に、本実施例の遊技機1の制御回路の構成について説明する。図6は、本実施例の遊技機1における制御回路の構成を示したブロック図である。図示されているように遊技機1の制御回路は、多くの制御基盤や、各種基盤、中継端子板などから構成されているが、その機能に着目すると、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否についての制御を司る主制御基板200と、図柄やランプや効果音を用いた遊技の演出の制御を司るサブ制御基板220と、貸球や賞球を払い出す動作の制御を司る払出制御基板240と、遊技球の発射に関する制御を司る発射制御基板260などから構成されている。これら制御基板は、各種論理演算および算出演算を実行するCPUや、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAM、周辺機器とのデータのやり取りを行うための周辺機器インターフェース(PIO)、CPUが演算を行うためのクロックを出力する発振器、CPUの暴走を監視するウォッチドッグタイマ、定期的に割り込み信号を発生させるCTC(カウンター・タイマ・サーキット)など、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。また、図6中に示した矢印の向きは、データあるいは信号を入出力する方向を表している。尚、図6では、主制御基板200に搭載されたCPU201およびRAM202のみ図示されており、主制御基板200に搭載されているROMやPIO、更には、他の制御基板に搭載されているCPUや、RAM,ROMなどについては図示が省略されている。
図示されているように主制御基板200は、始動口スイッチ17sや、大入賞口スイッチ31s、ゲートスイッチ36sなどから遊技球の検出信号を受け取って、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否を決定した後、サブ制御基板220や、払出制御基板240、発射制御基板260などに向かって、後述する各種のコマンドを出力する。また、主制御基板200には、発射装置ユニットから発射された遊技球を検出するカウントスイッチ8sも接続されている。更に、主制御基板200は、始動口17に設けられた一対の翼片部を開閉させるための普通電動役物ソレノイド17mや、大入賞口31dを開閉させるための大入賞口ソレノイド31m、普通図柄や特別図柄の変動停止表示を行う図柄表示装置28に信号を出力することにより、これらの動作を直接制御している。
サブ制御基板220は、主制御基板200からの各種コマンドを受け取ると、コマンドの内容を解析して、その結果に応じた遊技の演出を行う。すなわち、前述した演出表示装置27を駆動する演出表示基板や、各種のスピーカ5y、6cを駆動するアンプ基板、装飾用の各種LEDやランプを駆動する装飾駆動基板に駆動信号を出力することにより、遊技の演出を行う。また、前述した操作スイッチSW1,SW2からの操作信号は、演出ボタン基板を介してサブ制御基板に入力される。サブ制御基板の詳細な入出力関係については後述する。
払出制御基板240は、いわゆる貸球や賞球の払い出しに関する各種の制御を司っている。例えば、遊技者が前述した上皿部5に設けられた球貸スイッチ5bや返却スイッチ5cを操作すると、この信号は、球貸表示基板242から中継端子板を介して、球貸装置13に伝達される。球貸装置13は、払出制御基板240とデータをやり取りしながら、貸球の払出を行う。また、主制御基板200が賞球の払出コマンドを出力すると、このコマンドを払出制御基板240が受け取って、払出モータ109mに駆動信号を出力することによって賞球の払い出しが行われる。払い出された賞球は、2つの払出スイッチ(前側払出スイッチ109a、後ろ側払出スイッチ109b)によって検出されて、払出制御基板240に入力される。また、払い出された賞球数はカウントスイッチ109cによっても検出されて、主制御基板200でも計数されている。
更に、前述した賞球タンク105に設けられたタンクスイッチ104からの信号や、賞球タンク105に供給する遊技球が蓄えられる図示しない外部タンクに設けられた外部タンクスイッチ124からの信号も、払出制御基板240に入力されている。このため、払出制御基板240は、球切れのため賞球の払い出しができなくなる前に、前述したエラーLED4g,4hによって異常を報知することが可能となっている。また、下皿部6に設けられた下皿満タンスイッチ6sからの信号も払出制御基板240に入力されている。このため、下皿部6が遊技球で一杯となった場合にも、下皿満タンスイッチ6sで検出された信号を受けて、払出制御基板240が賞球の払い出しを一時的に停止することが可能となっている。加えて、前面枠4が開放状態となっていることを検出する前面枠スイッチ4sからの信号も、払出制御基板240に入力されている。このため、何らかの理由で前面枠4が開けられた場合には、賞球の払い出し、あるいは遊技球の球貸し等の動作を中止することが可能となっている。また、払出制御基板240は、主制御基板200からの制御の元で、遊技球の発射を許可する信号(発射許可信号)を発射制御基板260に向かって出力しており、発射制御基板260は、この発射許可信号を受けて、後述するように、遊技球を発射するための各種制御を行っている。
次に、サブ制御基板220に対する信号あるいはコマンドの入出力関係について説明する。図7は、サブ制御基板220についての入出力関係を示したブロック図である。図示されているように、サブ制御基板220には、演出表示基板222と、アンプ基板224、装飾駆動基板226、演出ボタン基板228などの各種基板が接続されている。
サブ制御基板220は、前述したように主制御基板200から各種の演出用のコマンドを受け取ると、コマンドの内容を解釈して、前述した演出表示装置27での具体的な表示内容や、各種スピーカ5y,6cで出力する効果音、更には、各種LEDやランプ類4b〜4fの点灯もしくは点滅の具体的な態様を決定する。次いで、演出表示装置27の駆動信号を演出表示基板222に出力して、演出用図柄の変動停止表示を行う。このとき、表示されるキャラクタ図柄や背景図柄などの一部データについては、演出表示装置27あるいは演出表示基板222に内蔵された演出表示ROM27rに格納されているデータを使用する。また、演出用図柄の変動停止表示に合わせて、音声信号をアンプ基板224に出力することによって、各種スピーカ5y,6cから効果音を出力する。加えて、装飾駆動基板226に信号を供給し、装飾駆動基板226から各種LEDやランプ類4b〜4fの駆動信号を出力することによって、各種LEDやランプ類の点灯・点滅動作を制御する。更に、前述したように、上皿部5の前面側に設けられた操作スイッチSW1,SW2を、遊技者が操作すると、この操作信号がサブ制御基板220に供給される。サブ制御基板220は、供給された操作信号に基づいて、上述した演出表示装置27を初めとする各種の演出内容に操作結果を反映させることが可能に構成されている。
図8は、発射制御基板260についての入出力関係を示したブロック図である。図示されているように発射制御基板260には、発射装置ユニットを直接制御する発射駆動基板262や、発射装置ユニットに1球ずつ遊技球を供給するための球送りソレノイド8tなどが接続されている。また、発射駆動基板262には、発射装置ユニットに内蔵されて遊技球を発射するための発射モータ8mや、遊技者が発射ハンドル8にふれていることを検出するタッチスイッチ8a、更には、遊技者が遊技球の発射を一時的に停止する際に操作する発射停止スイッチ8bなどが接続されている。発射制御基板260は、払出制御基板からの発射許可信号を受け取ると、発射駆動基板262とデータをやり取りしながら発射モータ8mを駆動して、遊技球を発射する制御を行う。
A−5.遊技の概要 :
次に、上述した構成を有する本実施例の遊技機1で行われる制御の内容について説明するが、その準備として、先ず初めに、遊技の概要について簡単に説明しておく。
本実施例の遊技機1では、次のようにして遊技が行われる。先ず、遊技者が上皿部5の凹部に遊技球を投入して発射ハンドル8を回転させると、上皿部5に投入された遊技球が、1球ずつ発射装置ユニットに供給されて、図2を用いて前述した遊技領域11に発射される。遊技球が打ち出される強さは、発射ハンドル8の回転角度によって調整することが可能となっており、遊技者は発射ハンドル8の回転角度を変化させることによって、遊技球の狙いを付けることができる。
発射した遊技球が、遊技領域11の左側に設けられた普通図柄作動ゲート36を通過すると、図柄表示装置28において普通図柄の変動表示が開始される。図3を用いて前述したように、図柄表示装置28には左普通図柄表示部28aと、右普通図柄表示部28bとが設けられている。左普通図柄表示部28aは赤色の光を点灯可能に構成されており、右普通図柄表示部28bは緑色の光を点灯可能に構成されている。普通図柄の変動表示が開始されると、左右の普通図柄表示部28a,28bが点滅表示を行う。
図9は、普通図柄が変動表示している様子を概念的に示した説明図である。変動表示中の普通図柄は、図示されている4つの状態を取ることができる。先ず、図9(a)に示した状態は、左普通図柄表示部28aが点灯して、右普通図柄表示部28bが消灯している状態を表している。図9(b)は、左普通図柄表示部28aおよび右普通図柄表示部28bがいずれも点灯した状態を表している。図9(c)は、左普通図柄表示部28aが消灯し、右普通図柄表示部28bが点灯した状態を表しており、図9(d)は、左普通図柄表示部28aおよび右普通図柄表示部28bがいずれも消灯した状態を表している。普通図柄の変動表示中は、これら4つの表示状態が速い速度で次々と切り換わる態様で表示され、そして、所定時間が経過すると、4つの表示状態のいずれかの状態で停止表示される。このとき、所定の表示状態で停止表示されると、いわゆる普通図柄の当たりとなって、始動口17が所定時間(例えば0.5秒間)だけ開放状態となる。本実施例では、図9(c)に示した表示状態、すなわち、左普通図柄表示部28aが消灯し、右普通図柄表示部28bが点灯している状態が、普通図柄の当たりに設定されている。
尚、普通図柄の変動表示中に遊技球が普通図柄作動ゲート36を通過した場合は、この遊技球の通過が保留数として蓄えられて、現在の普通図柄の変動表示が終了後に、変動表示が行われる。普通図柄の保留は最大4個まで蓄えることが可能となっており、蓄えられている普通図柄の保留数は、普通図柄保留表示部29cに表示される。
次いで、開放状態となった始動口17に遊技球が入球すると、今度は、特別図柄の変動表示が開始される。特別図柄は、図3を用いて説明したように特別図柄表示部30によって表示される。尚、前述したように、本実施例の特別図柄表示部30は、7セグメントLEDからなる左特別図柄表示部30aと、コンマ部分の右特別図柄表示部30bから構成されており、これら左右の特別図柄表示部30a,30bは、赤色、橙色、緑色のいずれかで点灯可能となっている。
図10は、特別図柄が変動表示している様子を概念的に示した説明図である。特別図柄の変動表示中は、左特別図柄表示部30aでは、「A」、「Y」、「−」のいずれかの図柄が表示され、右特別図柄表示部30bでは常にコンマ「.」が表示されている。また、左特別図柄表示部30aの「A」および「Y」、右特別図柄表示部30bのコンマ「.」は、赤色、橙色、緑色の3つの状態を取ることができ、左特別図柄表示部30aの「−」は、赤色または緑色のいずれかの状態を取ることができる。本実施例の特別図柄表示部30では、これらの表示状態が組み合わされて、図10に示す12種類の状態を表示することができる。図中で7セグメントLEDあるいはコンマ部分に細かいハッチングが付されているのは、赤色の状態で点灯されていることを表している。また、少し粗いハッチングが付されているのは橙色の状態で点灯表示されていることを表しており、粗いハッチングが付されているのは緑色の状態で点灯表示されていることを表している。特別図柄の変動表示が開始されると、これら12種類の表示状態が速い速度で次々と切り換わる態様で表示され、所定時間が経過すると、いずれかの状態で停止表示される。
停止表示された図柄が「−」である場合は、特別図柄は外れとなるが、それ以外の図柄の組合せが停止表示された場合は特別図柄の当たりとなって、遊技者にとって有利な遊技状態である特別遊技状態が開始される。すなわち、特別図柄が当たりとなる図柄の組合せは、図10に示した12種類の図柄から、「−」を除いた10種類の組合せが存在することになる。また、本実施例の特別遊技状態は、大入賞口31dが所定回数だけ開放状態となる遊技状態(ラウンド)が、所定ラウンドだけ繰り返されるように構成されている。大入賞口31dは大きく開口するために、遊技球は高い確率で入球することとなる。その結果、所定回数のラウンドが繰り返される間に遊技者は多くの賞球を獲得することが可能となっている。
尚、特別図柄の変動表示中に遊技球が始動口17に入球した場合は、この遊技球の入球が特別図柄の保留数として蓄えられて、現在の特別図柄の変動表示が終了後に、変動表示が行われる。特別図柄の保留も最大4個まで蓄えることが可能となっており、蓄えられている特別図柄の保留数は、特別図柄保留表示部30cに表示される。
また、図10に示した特別図柄が当たりとなる10種類の組合せのうち、実線で囲った5種類の組合せは、いわゆる「確変図柄」と呼ばれる組合せであり、変動表示された特別図柄が、これら確変図柄の組合わせのいずれかで停止すると、特別遊技が終了してから次の特別遊技が開始されるまでの間は、当たり図柄で停止表示される確率が通常の状態よりも高くなる。このような遊技状態は、確率変動機能(以下、確変機能ともいう)が作動することにより実現される。また、確変機能が作動している遊技状態のことを確変状態という。
更に、図10に示した特別図柄が当たりとなる10種類の組合わせのうち、破線で囲った5種類の組合せは、いわゆる「時短図柄」と呼ばれる組合せであり、変動表示された特別図柄が、これら時短図柄の組合せのいずれかで停止すると、特別遊技の終了後、特別図柄が所定回数(本実施例では100回)変動表示されるか、若しくは次回の特別遊技状態が開始されるまでの間、特別図柄の変動時間が短くなるとともに、始動口17の開放時間が若干長くなる。このような遊技状態は、変動時間短縮機能(以下、時短機能ともいう)および普通電動役物開放時間延長機能(以下、開放延長機能ともいう)が作動することによって実現される。これら時短機能および開放延長機能が作動している遊技状態のことを時短状態という。尚、本実施例の遊技機1においては、こうした時短機能および開放延長機能は、時短図柄で停止表示された場合だけでなく、確変図柄で停止表示された場合(すなわち確変機能が作動した場合)にも作動するようになっており、この場合、確変機能が作動終了するまで作動するようになっている。結局、特別図柄が、図10に示した10種類の当たり図柄のいずれかで停止表示された場合は、特別遊技状態の終了後、必ず時短機能および開放延長機能が作動することになる。
上述した特別図柄の変動停止表示に合わせて、演出表示装置27では演出用図柄を用いた各種の演出が行われる。図11は、演出表示装置27で行われる演出の一態様を例示した説明図である。図4を用いて前述したように、演出表示装置27を構成する液晶表示画面には、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cが表示されている。前述した図柄表示装置28で特別図柄の変動表示が開始されると、これら3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cが一斉に変動表示を開始する。本実施例では、キャラクタ図柄として「1」〜「9」までの9つの数字を意匠化した図柄が用意されている。
図11(a)には、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cが一斉に変動表示している様子が概念的に示されている。変動表示が開始された後、所定時間が経過すると、初めに左キャラクタ図柄27aが「1」〜「9」のいずれかの図柄で停止表示され、次いで、右キャラクタ図柄27cが停止表示され、最後に中キャラクタ図柄27bが停止表示される。
これら演出表示装置27で停止表示される3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cの組合せは、前述した図柄表示装置28で停止表示される特別図柄の組合せと連動するように構成されている。たとえば、図柄表示装置28の特別図柄が当たり図柄で停止する場合は、演出表示装置27の3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cが同じ図柄で停止表示される。特に、図柄表示装置28の特別図柄が、前述した確変図柄で停止する場合は、演出表示装置27の3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cが、奇数を表す同じ図柄で停止表示される。一方、図柄表示装置28の特別図柄が外れ図柄で停止する場合は、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cは同じ図柄で揃わない任意の組合せで停止表示される。
このように、図柄表示装置27で表示される特別図柄と、演出表示装置28で表示される3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cとは、表示内容が互いに対応しており、それぞれの表示図柄が確定するタイミングも同じに設定されているため、どちらの表示を見ながら遊技をすることも可能である。しかし、図2に示すように、図柄表示装置28よりも演出表示装置27の方が目に付き易い位置に設けられており、表示画面も大きく、更に表示内容も分かり易いので、遊技者は演出表示装置27の画面を見ながら遊技を行うことが通常である。従って、演出表示装置27の表示画面上で初めに停止表示される左キャラクタ図柄27aと、続いて停止表示される右キャラクタ図柄27cとが同じ図柄であった場合には、最後に停止表示される中キャラクタ図柄27bも同じ図柄で停止して、いわゆる大当たり状態になるのではないかと、遊技者は図柄の変動を注視することになる。本実施例では、このように2つのキャラクタ図柄が同じ図柄で停止表示されて、最後のキャラクタ図柄が変動表示されている状態を「リーチ状態」と呼ぶ。このようなリーチ演出を行うことで、遊技者の興趣を高めることが可能となっている。また、リーチ演出にも種々の演出態様が用意されており、遊技者の興趣を一層、効果的に高めることが可能である。
B.遊技機の制御内容 :
以下では、本実施例の遊技機1が、上述した遊技を実現するために行っている制御内容について詳しく説明する。
B−1.電源投入直後の動作 :
図12は、遊技機1に電源を投入後、主制御基板200によって遊技の制御が開始されるまでの大きな流れを示した説明図である。図6を用いて前述したように、遊技機1の制御回路は主制御基板200の他にも多くの制御基板が搭載されているが、これら制御基板についても、電源投入後はほぼ同様の動作が行われた後、それぞれの制御が開始される。図12に示されているように、遊技機1に電源が投入されると、先ず初めにCPUが初期化される。かかる動作は、システム初期化動作(あるいはシステムリセット)と呼ばれ、図示しない電源回路から各制御基板のCPUに向かって初期化信号が供給されることによって行われる。CPUの初期化を行うと、今度はセキュリティチェックが行われる。セキュリティチェックとは、各制御基板に搭載されたCPUが制御を開始するに当たって、プログラムや各種制御パラメータの格納された領域を含むメモリの内容をチェックして、プログラムや制御パラメータなどが不正に改変されていないかどうかを確認する作業である。遊技機1は、メーカーからの出荷後に不正に改造されるようなことがあってはならないため、遊技の制御を開始する前にセキュリティチェックを行うのである。尚、セキュリティチェックは、広いメモリ領域をチェックするため、チェック完了までにはある程度の時間が必要となる。
セキュリティチェックが終了すると、各制御基板に搭載されたCPUは、それぞれの制御プログラムを開始する。制御プログラムは、各制御基板に搭載されたROMの所定のメモリ領域に記憶されており、大きくは、制御を開始するための準備を行う処理(制御開始準備処理)と、制御開始準備処理の終了後に起動されて遊技中に実行される処理とから構成されている。主制御基板200に搭載されたCPU201では、図12に示したように、制御開始準備処理の終了後は遊技制御処理が開始されるが、他の各種制御基板に搭載されたCPUについてもほぼ同様な処理を行う。また、遊技中に行われる制御は、各制御基板に搭載されたタイマからの割込信号を受けて、一定の時間間隔で周期的に遊技機の状態(例えば、各入球口への入球や作動ゲートへの通過など)を検出していることから、各制御基板で行われる制御開始準備処理では、タイマ割込を発生させるための準備動作も行われる。
B−2.制御開始準備動作 :
図13は、主制御基板200に搭載されたCPU201が起動直後に実施する制御開始準備処理の流れを示すフローチャートである。以下、フローチャートに従って、説明する。制御準備処理を開始すると、先ず初めにCPU201は、割込を受け付けない状態に設定する(S10)。これは、以下に行う制御準備処理は、適切な制御を行うための準備として実施するものであり、準備動作が完了する前は、例え割込が発生しても制御を適切な実行することができないので、準備動作が完了するまでは割込を受け付けない設定にしておくのである。
次いで、スタックポインタを設定する(S12)。スタックポインタとは、簡単に言えば、現在の処理を中断して別の処理を実施するときに、処理中のデータを一時的に退避するためのメモリ領域を指示する変数である。遊技制御が開始されると、割込が発生して処理が中断されることがあるので、そのときに中断した処理を再開するための各種データを退避しておくメモリ領域を設定しておくのである。
次いで、主制御基板200に搭載されたCPU201は、周辺ディバイスの初期設定を行う(S14)。ここでは、CTC(カウンター・タイマー・サーキット)やPIO(周辺機器インターフェース)などの各種ディバイスの初期設定を行う。遊技制御が実施されると、CTCを用いて定期的に(代表的には2msec毎)にタイマ割込を発生させ、各種スイッチの状態を検出したり、各種の乱数値を更新している。従って、CTCに、こうしたタイマ割込を発生させるための設定も、制御開始準備処理のS14において行う。
CPU201は、周辺ディバイスの設定に続いて、RAMクリアスイッチがONになっているか否かを検出する(S16)。電源投入時にRAMクリアスイッチがONになっていれば、遊技店の開店時に、店員がRAMクリアスイッチをONにしながら電源を投入したものと推測される。しかし、RAMクリアスイッチがONでない場合は(S16:no)、停電などの理由で電源が切断された可能性もあるので、バックアップフラグがONになっているか否かを検出する(S18)。そして、バックアップフラグがONになっている場合は(S18:yes)、停電などの理由で電源が切断されたため遊技が正常に終了されておらず、切断前の遊技状態を復旧する必要があると考えられる。そこで、以下のような、復旧動作を行う。
復旧動作を開始すると、初めにチェックサムを算出する(S20)。チェックサムは、大まかには次のようにして算出される。予め、所定のチェックサムデータを設定しておく。そして、RAM202上の対象領域に記憶されているデータについて、順次データを読み出してチェックサムデータとの排他的論理和を算出し、得られた値をチェックサムデータエリアに順次書き込んでいく。こうしてRAM202の対象領域に記憶されている全データについての排他的論理和を書き込んだら、書き込んだ領域の各ビットの値を反転させ、得られたデータをチェックサムとする。停電などの電源切断時に行われる電源断処理では、バックアップRAM領域のデータについてチェックサムが算出されて保存されている。従って、バックアップRAM領域に記憶されているデータが変更されていなければ、復旧動作時に算出したチェックサムは、電源断時に算出したチェックサムと同じ値になるはずである。
そこで、S20で算出したチェックサムと電源断時に保存しておいたチェックサムとが一致するか否かを判断する(S22)。両者が一致していれば(S22:yes)、バックアップRAM領域のデータは正しく保存されていると考えられる。この場合は、保存されているデータを読み出して電源断時の遊技状態を取得した後(S24)、バックアップフラグをOFFに設定する(S26)。そして、サブ制御基板220や、払出制御基板240、発射制御基板260などを電源断前の遊技状態に復旧させるべく、これら各種制御基板に対して電源断復旧時のコマンドを送信する(S28)。コマンドを送信する方法については別図を用いて後述する。その結果、電源断前の遊技状態が復元され、以降、遊技が継続される。
一方、S16においてRAMクリアスイッチがONであることが検出された場合は、通常の電源投入動作であると考えられるので、以下に示す通常の初期化動作を行う。また、RAMクリアスイッチはONになっていないが、バックアップフラグがONになっていない場合(S18:no)は、バックアップデータが存在しないと思われる。従って、この場合は、通常の電源投入動作ではないと考えられるが、やはり通常の初期化動作を行う。更に、バックアップフラグがONであり、バックアップデータが存在する場合でも、チェックサムが一致していない場合は(S22:no)、もはや、そのバックアップデータを使用することはできないので、やはりこの場合も通常の初期化動作を行うことになる。
通常の初期化動作では、先ず初めにRAM202の初期化を行う(S30)。すなわち、RAMの全データ領域に一旦「0」を書き込んだ後、RAM上の所定のアドレスに初期データを設定する処理を行う。
次いで、サブ制御基板220に向かって、初期コマンドを送信する(S32)。すなわち、主制御基板200で新たな遊技制御が開始されることに合わせて、演出表示装置27の表示画面や、効果音、ランプ類の点灯・点滅などによる各種の演出制御も新たな制御を開始するべく、サブ制御基板220に向かって制御状態を初期化するコマンドを送信するのである。
前述したように、制御開始準備処理では初めに割込が禁止状態に設定されているので、以上に説明した一連の動作を、確実に実施することができる。そして、全ての準備動作が終了したら、割込を許可状態に設定して(S34)、制御開始準備処理を終了し、遊技制御を開始する。
ここで、主制御基板200からサブ制御基板220に向かってコマンドを送信する様子について説明しておく。図14は、主制御基板200からサブ制御基板220に向かって、各種のコマンドが出力される様子を概念的に示した説明図である。尚、図14は、主制御基板200からサブ制御基板220に向かってコマンドを出力する場合について示しているが、主制御基板200から払出制御基板240など、他の制御基板に向かってコマンドを出力する場合も同様にして出力されている。主制御基板200とサブ制御基板220とは、9ビット幅のパラレル信号ケーブルで接続されており、このうちの1ビット分はストローブ信号の出力用に割り当てられており、残りの8ビット分がコマンド出力用に割り当てられている。主制御基板200からサブ制御基板220にコマンドを出力する際には、先ず初めに、コマンド出力用に割り当てられた8ビット幅の信号ケーブルに8ビット分のコマンドデータが出力され、続いて1ビットのストローブ信号が出力される。サブ制御基板220は、ストローブ信号の立ち上がりのタイミングでコマンドデータを読み取ることにより、主制御基板200から送信されたコマンドを確実に読み取ることができる。
本実施例の遊技機1では、コマンドデータは2バイトデータ(すなわち、16ビット分のデータ)となっている。そこで主制御基板200は、8ビット分のコマンドデータを出力したら、残りの8ビット分のコマンドデータを出力し、続いて1ビットのストローブ信号を出力する。サブ制御基板220はストローブ信号が立ち上がると、残りの8ビット分のコマンドデータを読み取る。このようにして、主制御基板200からサブ制御基板220に向かって、16ビット分のコマンドを確実に供給することができる。尚、1バイト(すなわち、8ビット)のコマンドを供給する場合は、ストローブ信号を1回だけ出力すればよい。前述した電源断復旧動作において出力される電源断復旧時のコマンドや、通常の初期化動作において出力される初期コマンドは、このようにして各種の制御基板に出力される。その結果、遊技盤面上に設けられた演出表示装置27では適切な演出用図柄が表示され、各種ランプ類やスピーカーは適切な状態に制御されることになる。
B−3.遊技制御の概要 :
主制御部基板200に搭載されたCPU201は、図13に示した制御準備開始処理を終了すると、遊技機1の遊技制御を開始する。図15は、主制御基板200に搭載されたCPU201が実行する遊技制御処理の大まかな流れを示すフローチャートである。図示されるように、遊技制御処理では、普通図柄遊技処理、普通電動役物遊技処理、特別図柄遊技処理、特別電動役物遊技処理などの各処理が繰り返し実行されている。一周の処理に要する時間は、ほぼ4msecとなっており、従って、これら各種の処理は約4msec毎に繰り返し実行されることになる。
また、前述したように、CTCは約2msec毎に割込を発生させるように設定されており、CTCによる割込が発生すると、各種乱数値の更新や、各種の遊技球検出スイッチなどの状態を検出する処理などが行われる。図15に示す遊技制御では、制御が一周する間に、ほぼ2回ずつ割込を発生させて各種乱数の更新や遊技状態の検出を行いつつ、普通図柄遊技処理、普通電動役物遊技処理、特別図柄遊技処理、特別電動役物遊技処理を実施する。そして、これら各処理中で、サブ制御基板220を初めとする各種制御基板に向けて各種のコマンドを送信する。こうすることにより、遊技機1全体の遊技が進行することになる。以下、図15のフローチャートに従って、遊技制御処理について説明する。
B−3−1.ウォッチドッグタイマリセット処理 :
主制御基板200に搭載されたCPU201は、遊技制御処理を開始すると、制御基板上に搭載されたウォッチドッグタイマをリセットする処理を行う(S70)。前述したように、ウォッチドッグタイマからはCPU201を初期化する信号が出力されており、ウォッチドッグタイマから初期化信号が出力される前に、ソフトウェアプログラム上でウォッチドッグタイマをリセットするようになっている。こうすれば、仮にCPU201が暴走した場合にはウォッチドッグタイマをリセットすることができなくなるので、ウォッチドッグタイマが出力する初期化信号によってCPU201が初期化され、直ちに暴走から復帰することが可能となる。そこで、CPU201はS80において、ウォッチドッグタイマをリセットする処理を行う。
B−3−2.賞球払出処理 :
次いで、主制御基板200に搭載されたCPU01は、遊技球を賞球として払い出す処理(賞球払出処理)を行う(S80)。すなわち、主制御基板200に接続されている始動口スイッチ17sあるいは大入賞口スイッチ31sの状態を検出して、遊技球が入球したか否かを判断し、遊技球が入球していた場合は、この情報を、主制御基板200に搭載されているRAM202の所定領域に記憶する。そして、RAM202上に記憶されている情報に基づいて、賞球の払い出し個数を算出した後、払出個数を指定して、払出制御基板240に向かって払出コマンドを出力する。尚、本実施例の遊技機1では、たとえ特別遊技状態で払い出された遊技球を、その後の遊技に全て使ってしまった場合でも、遊技者に後味の悪い思いをさせることがないように、後述するような特別な制御を行っている。そして、かかる制御で用いるために、本実施例の賞球払出処理では、特別遊技中に払い出された遊技球の数を計数する処理も行っている。賞球払出処理の詳細については、別図を用いて後述する。
主制御基板100から払出制御基板240へ払出コマンドを出力するに際しては、図14を用いて前述したように、先ず、払出制御基板240に向かってストローブ信号を出力し、続いてコマンドデータを出力する。払出制御基板240に搭載されたCPUは、払出コマンドを受け取るとコマンドの内容を解釈し、賞球払出装置109に搭載された払出モータ109mに駆動信号を出力して賞球の払い出しを行う。賞球払出装置109には、払い出された遊技球を検出する2つの払出スイッチ(前側払出スイッチ109a、後側払出スイッチ109b)が設けられているので、これらスイッチで遊技球を1球ずつ検出しながら、払出コマンドで指定された個数の賞球を払い出す処理を行う。
B−3−3.普通図柄遊技開始判断処理 :
次いで、主制御基板200に搭載されたCPU201は、普通図柄遊技処理を開始するか否かを判断する(S100)。図16は、CPU201が普通図柄遊技処理を開始するか否かを判断するために行う処理(普通図柄遊技開始判断処理)を示したフローチャートである。普通図柄遊技処理を開始するか否かの判断に当たっては、先ず初めに、遊技球が普通図柄作動ゲート36を通過したか否かを判断する(S102)。普通図柄作動ゲート36にはゲートスイッチ36sが組み込まれており、CPU201はゲートスイッチ36sからの信号に基づいて遊技球の通過を検出することが可能である。
遊技球が普通図柄作動ゲート36を通過していれば(S102:yes)、普通図柄の保留数が「4」以上か否かを判断する(S104)。主制御基板200に搭載されたRAM202の所定アドレスには、普通図柄保留数のデータが書き込まれており、S104では、このアドレスに設定されているデータを読み出して、この値が「4」か否かの判断を行う。そして、保留数が「4」に達していなければ(S104:no)、普通図柄の当否判定用乱数を取得し、この乱数値をRAM202の所定アドレスに記憶するとともに、普通図柄保留数の値を1つ加算する(S106)。詳細には後述するが、普通図柄の当否判定は、こうして記憶した普通図柄当否判定用乱数を用いて行われる。また、普通図柄保留数は、上述したようにRAM202の所定アドレスに記憶されている。尚、普通図柄の当否判定用乱数は、乱数発生用のプログラムによってソフトウェア的に発生させてもよいし、乱数発生用の専用ICを用いてハードウェア的に発生させてもよい。更に簡便には、発振器とカウンタとを組み合わせることによって、ハードウェア的に発生させた疑似乱数を用いることとしても良い。
一方、S104において、保留数が「4」に達している場合は(S104:yes)、普通図柄の当否判定用乱数の取得は行わない。すなわち、普通図柄の当否判定用乱数は、最大4つまで記憶することが可能となっており、このことに対応して、普通図柄保留表示部29cにも、最大4つまでの保留を表示可能となっている(図3参照)。
最後に、図柄表示装置28の普通図柄保留表示部29cで普通図柄の保留数を表示するべく、LEDの駆動信号を出力する。すなわち、普通図柄保留数が4個であれば、普通図柄保留表示部29cに設けられた4つのLEDを全て点灯させる。また、普通図柄保留数が3個であれば3つのLEDを点灯させ、普通図柄保留数が2個であれば2つのLEDを、普通図柄保留数が1個であれば1つのLEDを点灯させる。普通図柄保留数が0個であれば、4つのLEDをすべて消灯させる。
以上のようにして、図柄表示装置28を駆動して普通図柄保留表示部29cに、普通図柄保留の個数を点灯させたら、普通電動役物が作動中か否かを判断する(S110)。普通電動役物は、普通図柄遊技を行った結果として作動する役物である。従って、普通電動役物が作動中であれば(S110:yes)、重ねて普通図柄遊技を開始する必要はないので、普通図柄遊技は開始しないと判断する(すなわち、S100:no)。一方、普通電動役物が作動中でない場合は(S110:no)、普通図柄遊技を開始すると判断する(すなわち、S100:yes)。
図15に示した遊技制御処理のステップS100では、普通図柄遊技を開始するか否かを、以上のようにして判断する。そして、普通図柄遊技を開始すると判断した場合は(S100:yes)、以下に説明する普通図柄遊技処理を開始する(S150)。一方、普通図柄遊技を開始しないと判断した場合は(S100:no)、普通図柄遊技処理はスキップする。
B−3−4.普通図柄遊技処理 :
図17は、普通図柄遊技処理の流れを示したフローチャートである。普通図柄遊技処理を開始すると、先ず初めに、普通図柄が変動中か否かを判断する(S152)。図2を用いて前述したように、本実施例の遊技機1では図柄表示装置28に普通図柄表示部29が設けられており、図9に示した態様で普通図柄を変動表示することが可能となっている。図17に示す普通図柄遊技処理を開始したら、先ず初めに、普通図柄が変動表示中か否かを判断するのである。
普通図柄が変動中でない場合は(S152:no)、普通図柄が未だ変動していないか、若しくは変動表示後に停止図柄で停止表示されているかのいずれかであると考えられる。そこで、現在の状態が、普通図柄の停止図柄を所定期間表示させるべく設定された時間(停止表示時間)中であるか否かを判断する(S154)。後述するように、普通図柄の変動表示開始や変動表示の停止は、主制御基板200に搭載されたCPU201が制御している。このためCPU201は、現在の状態が普通図柄の停止表示時間中であるか否かを、内部の制御状態に基づいて容易に判断することができる。
普通図柄の停止表示時間中ではないと判断された場合(S154:no)、すなわち、普通図柄が変動表示されておらず且つ普通図柄の停止図柄を表示中でもない場合は、普通図柄の保留数が「0」であるか否かを判断する(S156)。普通図柄保留数が「0」でない場合、換言すれば、普通図柄の保留が残っている場合は(S156:no)、普通図柄の当否判定を行う(S158)。普通図柄の当否判定は、普通図柄の保留時に記憶しておいた当否判定用乱数値が、予め定めておいた当たり値と一致するか否かを判断することによって行う。すなわち、前述した図16のS106で記憶した乱数値が、所定の当たり値と一致していれば普通図柄の当たりと判断し、一致していなければ普通図柄の外れと判断する。
こうして普通図柄の当否判定を行ったら、主制御基板200のCPU201は、図3に示した普通図柄表示部29において普通図柄の変動表示を開始する(S160)。次いで、普通図柄保留数から1を減算したら(S162)、図17に示した普通図柄遊技処理を終了して、図15に示す遊技制御処理に復帰する。一方、S156で「yes」と判断された場合、すなわち、普通図柄の変動表示中ではなく、且つ普通図柄の停止表示時間中でもないが、普通図柄の保留数が「0」である場合は、S158ないしS162の処理を行うことなく、そのまま普通図柄遊技処理を終了して図15に示す遊技制御処理に復帰する。
またS152において、普通図柄が変動中であると判断された場合は(S152:yes)、既に行われた普通図柄遊技処理の中で、普通図柄の変動表示が開始されているものと考えられる。そこで、普通図柄変動時間が経過したか否かを判断する(S164)。普通図柄の変動表示時間は、変動表示が開始された段階で予め定められており、主制御基板200に搭載されたCPU201は、所定の変動時間が経過したか否かを判断する。
そして、未だ変動時間が経過していない場合は(S164:no)、そのまま普通図柄遊技処理を終了して、図15に示す遊技制御処理に復帰する。一方、変動時間が経過したと判断された場合は(S164:yes)、普通図柄表示部28において変動表示している普通図柄を停止表示させる(S166)。このときの停止図柄は、普通図柄の当否判定結果に応じた図柄で停止表示させる。すなわち、S160で普通図柄の変動表示を開始するに先だって既に普通図柄の当否が決定されており(S158)、当否判定結果が当たりの場合は、図9(c)に示した図柄の組合せで停止表示させ、当否判定結果が外れの場合は、それ以外の図柄の組合せで停止表示させる。更に、停止表示された図柄を遊技者が確認することができるように、停止図柄の表示時間を設定する(S168)。
次いで、停止図柄の表示時間が経過したか否かを判断し(S170)、設定された停示時間が経過していない場合は(S170:no)、そのまま普通図柄遊技処理を終了して図15に示す遊技制御処理に復帰する。一方、停止図柄の表示時間が経過したと判断された場合は(S170:yes)、停止表示された図柄が普通電動役物を作動させることとなる図柄(本実施例では図9(c)に示した図柄)であるか否かを判断する(S172)。停止表示された普通図柄が普通電動役物を作動させる図柄でない場合は(S172:no)、そのまま普通図柄遊技処理を終了して図15に示す遊技制御処理に復帰する。一方、停止表示された普通図柄が普通電動役物の作動図柄である場合は(S172:yes)、普通電動役物の作動を開始し(S174)、その後、普通図柄遊技処理を終了して図15に示す遊技制御処理に復帰する。本実施例のパチンコ機1では普通電動役物が作動すると、始動口17の内部に設けられた普通電動役物ソレノイド(始動口ソレノイド)17mが駆動され、始動口の翼片部が外側の回動して始動口17が開放状態となる。
図15に示すように、遊技制御処理では、普通図柄遊技処理から復帰すると普通電動役物が作動中か否かを判断する(S190)。主制御基板200のCPU201は、普通電動役物が作動中であれば、内部の制御状態に基づいてこれを容易に検出することができる。普通電動役物が作動中でなければ(S190:no)、普通電動役物遊技処理(S200)はスキップするが、普通電動役物が作動中であれば(S190:yes)、以下に説明する普通電動役物遊技処理を開始する(S200)。
B−3−5.普通電動役物遊技処理 :
図18は、普通電動役物遊技処理の流れを示すフローチャートである。以下、フローチャートに従って説明する。普通電動役物遊技処理では、先ず初めに、普通電動役物が所定の作動時間が経過したか否かを判断する(S202)。前述したように、普通電動役物が作動すると、始動口17に設けられた一対の翼片部が外側に向かって回動し、始動口が開放状態となるが、所定時間が経過すると、再び一対の翼片部が直立した通常の状態に復帰する。そこで、S202では、普通電動役物が予め設定しておいた作動時間に達したか否かを判断する。そして、作動時間に達したと判断された場合は(S202:yes)、普通電動役物の作動を停止した後(S206)、普通電動役物遊技処理を終了して図15に示した遊技制御処理に復帰する。
一方、始動口17は開放中に規定数の遊技球が入球すると、開放時間が設定時間に達していない場合でも、通常状態に復帰してしまう。このことと対応して、普通電動役物の作動時間が所定時間に達していない場合は(S202:no)、普通電動役物に規定数の遊技球が入球したか否かを判断し(S204)、規定数の遊技球が入球したと判断された場合は(S204:yes)、普通電動役物の作動を停止して、図18に示した普通電動役物遊技処理を終了する。逆に、規定数の入球がないと判断された場合は(S204:no)、普通電動役物を作動させたまま、図18に示した普通電動役物遊技処理を終了して、図15に示す遊技制御処理に復帰する。
図15に示すように、遊技制御処理では、図18に示す普通電動役物遊技処理から復帰すると、特別図柄遊技処理を開始するか否かを判断する(S300)。その結果、特別図柄遊技処理を開始しないと判断された場合には(S300:no)、特別図柄遊技処理(S350)をスキップし、逆に、特別図柄遊技処理を開始すると判断された場合には(S300:yes)、特別図柄遊技処理(S350)を行う。
B−3−6.特別図柄遊技開始判断処理 :
図15に示したように、遊技制御処理では、普通電動役物遊技処理(S200)から復帰すると、特別図柄遊技処理を行うか否かを判断する(S300)。図19は、特別図柄遊技を行うか否かを判断する処理の流れを示したフローチャートである。図16を用いて前述した普通図柄遊技処理を開始するか否かの判断時と同様に、特別図柄遊技処理を開始するか否かの判断に当たっても、先ず初めに、特別図柄の保留数に関わる処理を行う。具体的には、始動口17に遊技球が入球したか否かを判断する(S302)。前述したように、始動口17の内部には遊技球の通過を検出する始動口スイッチ17sが組み込まれており、主制御基板200のCPU201は、かかるスイッチによって始動口17に遊技球が入球したことを検出することができる。
始動口17に遊技球が入球している場合は(S302:yes)、特別図柄の保留数が4以上か否かを判断する(S304)。主制御基板200に搭載されたRAM202の所定アドレスには、特別図柄保留数のデータが書き込まれており、S304では、このアドレスに設定されているデータを読み出して、特別図柄の保留数が4以上か否かの判断を行う。そして、特別図柄保留数が4に達していなければ(S304:no)、特別図柄の当否判定用乱数を取得して、この乱数値をRAM202の所定アドレスに記憶するとともに、特別図柄保留数を1つ加算する(S306)。特別図柄についての当否判定も、前述した普通図柄の当否判定と同様に、こうして記憶された当否判定用乱数に基づいて行われる。一方、特別図柄の保留数が4に達している場合は(S304:yes)、新たな当否判定用乱数の取得は行わない。尚、特別図柄の当否判定用乱数についても、前述した普通図柄の当否判定用乱数と同様に、乱数発生用のプログラムによってソフトウェア的に発生させてもよいし、乱数発生用の専用ICを用いてハードウェア的に発生させてもよい。
最後に、図柄表示装置30で特別図柄の保留数を表示するべく、LEDの駆動信号を出力する(S308)。図3を用いて前述したように、特別図柄保留表示部30cには4つのLEDが設けられており、特別図柄保留数が4個であれば、全てのLEDを点灯させる。また、特別図柄保留数が3個であれば3つのLEDを点灯させ、特別図柄保留数が2個であれば2つのLEDを、特別図柄保留数が1個であれば1つのLEDを点灯させる。特別図柄の保留数が0個であれば、4つのLEDをすべて消灯させる。
以上のようにして特別図柄の保留に関わる処理を終了したら、条件装置が作動中か否かを判断する(S310)。条件装置とは、役物連続作動装置が作動するための条件となる装置であり、特別図柄が図10に示した当たり図柄で停止表示されると作動を開始する装置である。条件装置は役物連続作動装置を作動させ、これによって、大入賞口311が連続して開放する遊技状態(いわゆる特別遊技状態)が開始される。S310において、条件装置が作動中と判断されれば(S310:yes)、重ねて特別遊技状態を開始することを避けるため、特別図柄遊技は開始しないと判断する(すなわち、S300:no)。一方、条件装置が作動中でない場合は(S310:no)、特別図柄遊技を開始すると判断する(S300:yes)。
図15に示した遊技制御処理のステップS300では、以上のようにして、特別図柄遊技を開始するか否かを判断する。そして、特別図柄遊技を開始すると判断した場合は(S300:yes)、以下に説明する特別図柄遊技処理を開始する(S320)。
B−3−7.特別図柄遊技処理 :
図20は、特別図柄遊技処理の流れを示したフローチャートである。特別図柄遊技処理を開始すると、先ず初めに、特別図柄が変動中か否かを判断する(S322)。図3を用いて前述したように、本実施例の遊技機1では図柄表示装置28に特別図柄表示部30が設けられており、特別図柄を変動表示可能となっている。
特別図柄が変動中でない場合は(S322:no)、特別図柄が未だ変動していないか、若しくは変動表示後に停止図柄で停止表示されているかの、いずれかであると考えられる。そこで、特別図柄の停止図柄を表示させる表示時間中であるか否かを判断する(S324)。そして、特別図柄が変動表示されておらず且つ特別図柄の停止図柄を表示している表示時間中でもない場合は(S324:no)、特別図柄の保留数が「0」であるか否かを判断する(S326)。特別図柄保留数は、主制御基板200上に搭載されたRAM202の所定アドレスに記憶されている。S326では、このアドレスに記憶されている特別図柄保留数のデータが「0」か否かを判断する。特別図柄保留数が「0」でない場合、換言すれば、特別図柄の保留が残っている場合は(S326:no)、特別図柄の当否判定を開始する。
本実施例の遊技機1では、特別図柄の当否判定に先立って、現在の遊技状態が確率変動状態(確変状態)か否かを判断する(S328)。前述したように、確変状態とは、図柄表示装置28の特別図柄が当たり図柄で停止表示される確率(すなわち、特別遊技状態が発生する確率)が、通常の確率よりも高くなる遊技状態を言う。確変状態は、図3に示した特別図柄表示部30に表示される図柄の組合せが、図10中で実線で囲ったいずれかの図柄の組合せで停止した場合に、特別遊技状態が終了してから次の特別遊技が開始されるまでの間、継続される。このことから、S328では、現在の遊技状態が確変状態であるか否かを判断して、確変中であれば(S328:yes)、当たりの確率が高めに設定された状態で特別図柄の当否判定を行う(S330)。逆に、確変中でなければ(S328:no)、当たりの確率が通常の値に設定された状態で特別図柄の当否判定を行う(S332)。
特別図柄の当否判定は、次のような当否判定テーブルを参照することによって行う。図22は、本実施例の特別図柄遊技処理において特別図柄の当否判定を行うために参照する当否判定テーブルを概念的に示した説明図である。図示されているように、当否判定テーブルには、確変用のテーブルと非確変用のテーブルとが用意されており、それぞれのテーブルには、当否の判定結果が特別図柄当否判定用乱数に対応付けて記憶されている。ここで特別図柄当否判定用乱数とは、遊技球が始動口17に入球したときに取得されて、主制御基板200上のRAM202に記憶されている乱数である(図19のS306を参照のこと)。図20に示した特別図柄遊技処理のS328〜S332では、特別図柄の当否判定に先立って確変中か否かを判断し、確変中であれば、図22(b)に示した当否判定テーブルを参照して特別図柄の当否判定を行い、確変中でなければ、図22(a)の当否判定テーブルを参照して特別図柄の当否判定を行うのである。尚、このように特別図柄の当否判定は、主に主制御基板200のCPU201によって行われている。従って、CPU201は、抽選実施手段の一態様を構成している。
以上のようにして、特別図柄の当否判定を行ったら、今度は、特別図柄の変動パターンを設定する処理を行う(S338)。詳細な処理内容については後述するが、S338では、先ず初めに、特別図柄を停止表示させる図柄を決定した後、決定した停止図柄に応じて、特別図柄の変動パターンを決定する処理を行う。
主制御基板200のCPU201は、特別図柄の変動パターンを設定すると、図柄表示装置28における特別図柄の変動表示を開始するとともに(S340)、特別図柄保留数から1を減算する(S342)。前述したように、本実施例の図柄表示装置28は、図10に示した12種類の特別図柄を表示可能であり、これら図柄の表示を次々と切り換えることによって変動表示を行う。また、特別図柄の変動表示が開始されて特別図柄保留数が1つ消化されることに伴って、特別図柄保留数から1を減算しておくのである。
主制御基板200のCPU201は、図柄表示装置28の変動表示を開始するとともに、特別図柄保留数から1を減算すると、続いて、サブ制御基板220に向かって、変動パターンの指定コマンドを出力した後(S344)、特別図柄停止情報指定コマンドを出力する(S346)。ここで出力する変動パターン指定コマンドは、S340の特別図柄変動パターン設定処理中で設定された変動パターンを指定するコマンドである。また、特別図柄停止情報指定コマンドは、変動パターンとともに決定された特別図柄の停止図柄を指定するコマンドである。
変動パターン指定コマンドおよび特別図柄停止情報指定コマンドは、図14に示したように、ストローブ信号とともにサブ制御基板220に向かって出力される。ストローブ信号は、サブ制御基板220に搭載されたCPUの割り込み端子に接続されており、サブ制御基板220側のCPUは、ストローブ信号が入力されると直ちにコマンドを受け取って、コマンドの内容を解析する。詳細には後述するが、変動パターンは、リーチ演出を行うか否か、特別図柄を停止表示させる図柄が確変図柄か時短図柄か等の種々の条件を考慮して決定されており、変動パターンが分かれば、特別図柄が変動表示する時間を決定することができる。また、特別図柄停止情報指定コマンドを解析すれば、特別図柄が確変図柄で停止するのか、時短図柄で停止するのか、更には外れ図柄で停止するのかを知ることができる。サブ制御基板220に搭載されたCPUは、これらの情報に基づいて、演出表示装置27での演出態様を決定した後、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cの変動・停止表示を行う。例えば、図柄表示装置28の特別図柄が確変図柄で停止表示する場合は、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cの停止図柄も確変状態に対応する図柄(例えば、奇数を意匠化した同じ図柄)を選択し、あるいは、特別図柄が時短図柄で停止表示する場合は、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cの停止図柄も時短状態に対応する図柄(例えば、偶数を意匠化した同じ図柄)を選択する。また、特別図柄の変動時間に基づいて、演出表示装置27でいわゆるリーチ演出を行うか否か、更にはどのような種類のリーチ演出とするかも決定する。サブ制御基板220は、こうして決定した演出内容に従って、演出表示基板222や、アンプ基板224、装飾駆動基板226などを制御することにより、決定した内容の演出を行うことになる。
主制御基板200のCPU201は、以上のようにして、特別図柄の変動パターンと特別図柄の停止図柄とを決定し、これらに対応する変動パターン指定コマンドと特別図柄停止情報指定コマンドとを出力したら、図20に示した特別図柄遊技処理を終了して、図15に示す遊技制御処理に復帰する。
一方、特別図柄遊技処理を開始した直後のS322の処理で、特別図柄が変動中であると判断された場合は(S322:yes)、既に、特別図柄の変動パターンと停止図柄とが決定されて、特別図柄の変動が開始されているものと考えられる。そこで、特別図柄変動時間が経過したか否かを判断する(S348)。すなわち、特別図柄の変動時間は変動パターンに応じて予め定められているので、特別図柄の変動を開始すると同時にタイマをセットすることにより、所定の変動時間が経過したかを判断するのである。そして、未だ変動時間が経過していない場合は(S348:no)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して、図15に示す遊技制御処理に復帰する。一方、変動時間が経過したと判断された場合は(S348:yes)、サブ制御基板220に向かって演出表示装置27で変動表示されているキャラクタ図柄の図柄停止コマンドを出力する(S350)とともに、図柄表示装置28において変動表示している特別図柄を停止表示する(S352)。そして、図柄表示装置28上で特別図柄を停止表示させる表示時間を設定した後(S354)、設定した表示時間が経過したか否かを判断する(S356)。表示時間が経過していなければ(S356:no)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して図15に示す遊技制御処理に復帰する。尚、このように特別図柄の変動開始や、特別図柄の停止表示は、主に主制御基板200のCPU201によって行われている。従って、CPU201は、図柄変動制御手段の一態様を構成している。
一方、特別図柄の停止表示時間が経過した場合は(S356:yes)、停止表示された特別図柄が条件装置を作動させることとなる図柄であるか否かを判断する(図21のS358)。ここで、条件装置を作動させることとなる図柄とは、図10に示した時短図柄(図中では太い破線の矩形で囲って表示した図柄)あるいは確変図柄(太い実線の矩形で囲って表示した図柄)である。図21のS358では、図柄表示装置28の特別図柄表示部30に停止表示された図柄が、これら時短図柄もしくは確変図柄のいずれかであるか否かを判断する。
停止表示された図柄が、条件装置を作動させることとなる図柄であった場合は(S358:yes)、条件装置および役物連続作動装置を作動させる(S360)。ここで条件装置とは、後述する役物連続作動装置が作動するための条件となる装置であり、特別図柄が前述した確変図柄または時短図柄で停止表示されると作動を開始して大入賞口31dを開放させる装置である。また、役物連続作動装置とは、一旦閉鎖された大入賞口311を再び開放させる装置である。詳細には別図を用いて説明するが、こうして条件装置および役物連続作動装置を作動させることにより、特別図柄遊技処理を抜けて図15の遊技制御処理に復帰すると特別電動役物遊技処理が開始され、特別遊技状態が開始されることになる。本実施例の遊技機1では、条件装置および役物連続作動装置の作動時は、確変機能や時短機能は働かないこととしている。そこで、図21のS360において条件装置および役物連続作動装置を作動させたら、現在の遊技状態が確変中か否かを判断する(S362)。確変中であれば(S362:yes)、確変機能および時短機能が作動しているので、これら機能を停止させる(S364)。一方、現在の遊技状態が確変中ではなかった場合は(S362:no)、時短中か否かを確認し(S368)、時短中であった場合は(S368:yes)、時短機能を停止させる(S370)。また、本実施例の遊技機1では、時短機能が作動している場合は、普通電動役物の開放時間を延長する機能も働いているので、S364あるいはS370において時短機能を停止したら、普通電動役物開放時間の延長機能も停止させた後(S366)、図20および図21に示した特別図柄遊技処理を抜けて、図15の遊技制御処理に復帰する。一方、S360で条件装置および役物連続作動装置を作動させたときの遊技状態が確変中でも時短中でもなかった場合は(S368:no)、そのまま特別図柄遊技処理を抜けて、遊技制御処理に復帰する。
以上、図柄表示装置28で停止表示された特別図柄が、条件装置を作動させることとなる図柄であった場合(S358:yes)の処理について説明したが、停止表示された特別図柄が条件装置を作動させる図柄でなかった場合は(S358:no)、次のような処理を行う。
先ず、現在の遊技状態が確変中か否かを判断する(S372)。前述したように本実施例の遊技機1では、確変状態は、次の特別遊技状態が発生するまでは継続する設定となっている。そこで、現在の遊技状態が確変状態であると判断された場合は(S372:yes)、確変状態を維持したまま、図20および図21に示した特別図柄遊技処理を抜けて、図15の遊技制御処理に復帰する。
また、S372において現在の遊技状態が確変中ではないと判断された場合は(S372:no)、時短中か否かを判断する(S382)。そして、時短中と判断された場合は(S382:yes)、時短中の特別図柄の変動回数を計数した後(S384)、変動回数が所定回数に達したか否かを判断する(S386)。前述したように本実施例の遊技機1では、時短状態は、次の特別遊技状態が発生するか、もしくは特別図柄が所定回数(ここでは100回)回転するまでは継続する設定となっている。そこで、現在の遊技状態が時短中であった場合は(S382:yes)、特別図柄の変動回数が所定回数に達したか否かを判断するのである(S386)。そして、所定回数に達していれば(S386:yes)、時短機能を停止させ(S388)、続いて、普通電動役物開放時間の延長機能も停止させた後(S366)、図20および図21に示した特別図柄遊技処理を抜けて、図15の遊技制御処理に復帰する。一方、特別図柄の変動回数が、未だ所定回数に達していなければ(S386:no)、時短状態を維持したまま、特別図柄遊技処理を抜けて、図15の遊技制御処理に復帰する。
B−3−8.特別図柄変動パターン設定処理 :
ここで、図20に示した特別図柄遊技処理のS340において、特別図柄の変動パターンを設定するために行われる処理(特別図柄変動パターン設定処理)の詳細な内容について説明する。図23は、特別図柄変動パターン設定処理の流れを示すフローチャートである。特別図柄の変動パターンは、後述するパターンテーブルを参照することによって決定されており、パターンテーブルは、特別図柄の当否判定結果や、確変中もしくは時短中か否かなどの組合せによって複数のテーブルが用意されている。特別図柄の変動パターン設定処理では、これら複数のテーブルの中から適切なテーブルを参照して、変動パターンを設定する処理を行う。以下、図23のフローチャートに従って説明する。
主制御基板200のCPU201は、特別図柄変動パターン設定処理を開始すると先ず初めに、特別図柄の当否判定結果が当たりか否かを判断する(S3402)。前述したように、特別図柄の当否は、既に特別図柄当否判定用乱数に基づいて決定されていることから(図20のS330またはS332)、ここでは判定結果を読み出すだけで容易に判断することができる。
次いで、特別図柄乱数を発生させることにより、特別図柄をいずれの図柄で停止表示させるかを決定する処理を行う(S3404、S3420)。特別図柄乱数は、特別図柄の停止図柄を決定するために用いられる乱数であり、本実施例では停止図柄を決定する際にソフトウェア的に発生させる。もちろん、特別図柄乱数は、乱数発生用の専用LSIを用いてハードウェア的に発生させても良いし、発振器とカウンタとを組み合わせて発生させた疑似乱数を用いても良い。
特別図柄の停止図柄は、当否判定用乱数によって決定された当否判定結果と、特別図柄乱数との組合せによって決定される。図24は、特別図柄の当否判定結果と、特別図柄乱数との組合せに応じて、特別図柄の停止図柄が決定される様子を示した説明図である。図示されているように、本実施例の遊技機1では特別図柄乱数は0〜9の値を取ることができ、各々の乱数値に対して、当否判定結果が当たりの場合あるいは外れの場合の停止図柄が設定されている。図中の左側には、当否判定結果が当たりの場合に表示される停止図柄が示されており、図中の右側には、当否判定結果が当たりの場合に表示される停止図柄が示されている。図23に示した変動パターン設定処理のS3402において、当否判定の結果が当たりと判断された場合は(S3402:yes)、特別図柄乱数に対応する停止図柄を、図24の左側に示した対応関係に基づいて決定する(S3404)。逆に、当否判定の結果が外れと判断された場合は(S3402:no)、図24の右側に示した対応関係に基づいて決定する処理を行う(S3420)。
以上のようにして、当否判定結果が当たりの場合の停止図柄を決定したら(S3404)、現在の遊技状態が時短状態か否かを判断する(S3406)。変動パターンの設定にあたって、現在の遊技状態が時短状態か否かを判断するのは、次の理由によるものである。特別図柄の変動時間は短いものから長いものまで種々の時間が設定されており、これらは、特別図柄の変動パターンに対応付けて予め定められている。ところが、前述したように、時短状態では特別図柄の変動時間が短縮されているので、図柄の変動時間があまり長くなるような変動パターンを選ぶことはできない。そこで、変動パターンを設定する際には、現在の遊技状態が時短状態か否かを判断しておくのである。
現在の遊技状態が時短中であると判断された場合は(S3406:yes)、S3404で決定された停止図柄が確変図柄か否かを判断する(S3408)。すなわち、S3404では、必ず当たりの停止図柄が選択されるので、選択された停止図柄が確変図柄(図10を参照のこと)か否かを判断するのである。そして、確変図柄であった場合は(S3408:yes)、変動パターンを設定するためのテーブルとして、パターンテーブルAを選択する(S3410)。一方、確変図柄でなかった場合は(S3408:no)、パターンテーブルBを選択する(S3412)。後述するように、パターンテーブルには、特別図柄変動乱数と特別図柄の変動パターンとの対応関係が設定されており、特別図柄変動乱数を発生させて、かかるテーブルを参照することにより、変動パターンを決定可能となっている。S3410、またはS3412では、複数種類用意されているパターンテーブルの中から、それぞれの条件に応じて適切なテーブルを選択する処理を行う。
また、現在の遊技状態が時短状態ではないと判断された場合は(S3406:no)、S3404で決定された停止図柄が確変図柄か否かを判断し(S3414)、確変図柄であれば(S3414:yes)、パターンテーブルCを選択し(S3416)、確変図柄でなければ(S3414:no)、パターンテーブルDを選択する(S3418)。
一方、特別図柄の当否判定結果が外れであった場合は(S3402:no)、図24を参照しながら説明したようにして特別図柄の停止図柄を決定した後(S3420)、現在の遊技状態が時短状態か否かを判断する(S3422)。そして、時短中であると判断された場合は(S3422:yes)、パターンテーブルEを選択し(S3424)、時短中でないと判断された場合は(S3422:no)、パターンテーブルFを選択する(S3426)。
以上のようにして、特別図柄の当否判定結果や、確変図柄による当たりか否か、現在の遊技状態が時短中か否かなどの組合せに応じて、適切なパターンテーブルを選択したら、今度は、リーチの有無を決定する(S5000)。リーチとは、図11を用いて前述したように、演出表示装置27に表示される3つのキャラクタ図柄のうち、2つのキャラクタ図柄が同じ図柄で停止表示されて、最後のキャラクタ図柄が変動表示されている状態をいう。リーチ演出を行うか否かで演出用図柄の変動時間は大きく異なり、これに連動して図柄表示装置28に表示される特別図柄の変動時間も大きく異なることから、パターンテーブルを参照して変動パターンを決定する前に、リーチ演出を行うか否かを決定しておくのである。
尚、本実施例の遊技機1では、特別遊技中に賞球として払い出された遊技球が残り少なくなってきた場合には、リーチ演出を行う頻度を増加させている。こうすることにより、たとえ持ち球が尽きてしまって、遊技を終了せざるを得なくなった場合でも、遊技者に後味の悪い思いを与えることを回避することが可能となっている。このような、本実施例のリーチ有無決定処理の詳細な内容については別図を用いて後述する。
次いで、選択しておいたパターンテーブルを参照することにより、特別図柄の変動パターンを決定する(S3430)。決定に際しては、先ず初めに、特別図柄変動乱数を発生させる。特別図柄変動乱数とは、特別図柄の変動パターンを決定するために用いられる乱数であり、他の乱数値と同様にして発生させることができる。次いで、先に選択しておいたパターンテーブルの中から、乱数の値に対応付けて設定されている変動パターンを選択する。
図25は、パターンテーブルAに設定されている変動パターンを例示した説明図である。図示されているように、パターンテーブルAには、リーチ演出ありの場合と無しの場合のそれぞれについて、特別図柄変動乱数の値に対応する変動パターンが設定されている。例えば、得られた特別図柄変動乱数が「20」であったとする。この場合、リーチ演出を行うことになっていれば、「パターン特2」という変動パターンが選択され、リーチ演出を行わないことになっていれば、「パターン特6」という変動パターンが選択されることになる。また、図26は、パターンテーブルBに設定されている変動パターンを例示した説明図である。パターンテーブルBについても、リーチ演出ありの場合と無しの場合とについて、特別図柄変動乱数に対する変動パターンが設定されているが、設定内容はパターンテーブルAとは異なった変動パターンが設定されている。パターンテーブルCないしパターンテーブルFの各テーブルについても、このように変動パターンが設定されている。図23のS3430では、先に選択しておいたパターンテーブルを参照することにより、特別図柄変動乱数に対応する変動パターンを決定することができる。こうして特別図柄の停止図柄と変動パターンとを決定したら、特別図柄変動パターン設定処理を終了して、図20に示した特別図柄遊技処理に復帰する。前述した図20のS340では、以上のような処理を行うことにより、特別図柄の停止図柄と変動パターンとを決定しているのである。
尚、図25および図26に例示されているように、特別図柄の変動パターンが決まれば、特別図柄の変動時間も決定される。変動時間は、変動パターンが異なれば種々の値を取るが、リーチ演出を行う場合の変動時間は、リーチ演出を行わない場合の変動時間よりも長い値となっている。このため、変動パターンが決まれば、これに対応する変動時間に基づいて、その変動パターンがリーチ演出ありのパターンか、リーチ演出無しのパターンかを判断することが可能となっている。
B−3−9.特別電動役物遊技処理 :
図15に示すように、遊技制御処理では、特別図柄遊技処理から復帰すると、条件装置が作動中か否かを判断する(S390)。前述したように条件装置は、役物連続作動装置を作動させることにより、いわゆる特別遊技状態を開始させる装置である。そこで、主制御基板200に搭載されたCPU201は、条件装置が作動中であれば、以下に説明する特別電動役物遊技処理を開始する(S400)。一方、条件装置が作動中でなければ(S390:no)、特別電動役物遊技処理(S400)はスキップする。
図27は、特別電動役物遊技処理の流れを示すフローチャートである。このような特別電動役物遊技処理が実行されることによって、いわゆる特別遊技状態が発生する。以下、図27を参照しながら特別電動役物遊技処理について説明するが、その準備として、いわゆる特別遊技状態と呼ばれる遊技の内容について簡単に説明しておく。
図2を用いて前述したように、遊技盤の下方には大入賞口31dが設けられており、この大入賞口31dは通常の遊技状態では閉鎖されている。しかし、特別遊技状態が開始されると、大入賞口31dが開放される。本明細書中で言う「特別電動役物」とは、大入賞口31dを開放させる装置である。大入賞口31dは他の入賞口に比べて大きく開口するため、大入賞口31dが開放されると、遊技球が高い確率で入球することになる。開放された大入賞口31dは、所定の開放時間が経過するか、あるいは所定数の遊技球が入球すると一旦閉鎖されるが、所定の閉鎖時間が経過すると再び開放状態となる。本明細書中で言う「役物連続作動装置」とは、大入賞口31dを再び開放状態とする装置である。また、大入賞口31dが開放してから閉鎖するまでの遊技は、「ラウンド」と呼ばれる。こうしたラウンドを繰り返して、所定回数のラウンドを消化したら特別遊技状態が終了する。こうした遊技状態は、主制御基板200に搭載されたCPU201が、図27に示す特別電動役物遊技処理を行うことで実現されている。以下、図27を参照しながら、詳細な処理内容について説明する。
CPU201は、特別電動役物遊技処理を開始すると先ず初めに、大入賞口31dが開放中か否かを判断する(S402)。大入賞口31dは、通常の遊技状態では閉鎖されており、従って、特別遊技の開始直後は、大入賞口31dは閉鎖状態となっている。そこで、大入賞口は開放中ではないと判断して(S402:no)、特別電動役物の連続作動回数が所定回数に達したか否かを判断する(S404)。前述したように特別電動役物とは、大入賞口31dを開放させる装置であり、特別遊技状態が発生すると特別電動役物が所定の回数作動して、所定回数のラウンドが繰り返されることになっている。このことに対応して、大入賞口31dが閉鎖されている場合は(S402:no)、特別電動役物の作動回数が所定回数に達したか否か、換言すれば、所定回数のラウンドが終了したか否かを判断するのである(S404)。
当然のことながら、特別遊技状態が開始された直後は、特別電動役物の作動回数が所定回数に達していないから(S404:no)、大入賞口の閉鎖時間が経過したか否かを判断する(S406)。大入賞口の閉鎖時間とは、ラウンドとラウンドとの間で大入賞口31dが閉鎖状態となっている時間である。特別遊技状態が開始された直後は、大入賞口31dは閉鎖状態となっているから、当然、大入賞口の閉鎖時間が経過していると判断され(S406:yes)、大入賞口31dを開放させた後(S408)、図27に示した特別電動役物遊技処理を一旦終了して、図15の遊技制御処理に復帰する。
主制御基板200のCPU201は遊技制御処理に復帰すると、図15に示したように、ウォッチドッグタイマリセット処理(S80)に戻って、続く一連の各種処理を行った後、再び特別電動役物遊技処理(S400)を開始する。前述したように、図15に示した遊技制御処理を、主制御基板200のCPU201が一回、実行するために要する時間は、約4msecとなっている。従って、図27に示した特別電動役物遊技処理も、約4msec毎に実行されることになる。そして、特別遊技状態が開始されて、図27の特別電動役物遊技処理が初めて実行された場合には、前述したようにS406において大入賞口31dを開放して、そのまま処理を終了するが、約4msec後に2周目の処理を行う場合には、S402にて、大入賞口31dが開放中と判断されることになる。
次いで、大入賞口31dの開放時間が所定時間に達したか否かを判断する(S410)。前述したように、特別遊技では、大入賞口31dが開放状態となるが、開放時間が所定時間に達するか、または大入賞口31dに所定数の遊技球が入球すると閉鎖される。このことに対応して、S410では大入賞口31dの開放時間が所定時間に達したか否かを判断するのである。そして、開放時間が所定時間に達していれば(S410:yes)、大入賞口31dを閉鎖した後(S414)、図27に示した特別電動役物遊技処理を抜けて、図15の遊技制御処理に復帰する。一方、開放時間が所定時間に達していない場合は(S410:no)、大入賞口31dに入球した遊技球が規定数に達しているか否かを判断する(S412)。そして、遊技球が規定数に達した場合は(S412:yes)、大入賞口31dを閉鎖する(S414)。これに対して、規定数に達していない場合は(S412:no)、大入賞口31dの開放時間が未だ所定時間に達しておらず、しかも大入賞口31dに入球した遊技球も規定数に達していないと考えられるので、大入賞口31dを開放させたまま、図27の特別電動役物遊技処理を抜けて、図15の遊技制御処理に復帰する。
図15の遊技制御処理を何回も繰り返し実行しているうちに、大入賞口31dの開放時間が所定時間に達するか(図27のS410:yes)、もしくは大入賞口31dに所定数の遊技球が入球して(S412:yes)、大入賞口31dが閉鎖される(S414)。こうして、1ラウンドの遊技が終了する。そして、次に特別電動役物遊技処理が実行された時には、S402において大入賞口31dが閉鎖中と判断され(S402:no)、所定回数のラウンドが終了したか否かが判断され(S404)、全てのラウンドが終了していなければ(S404:no)、大入賞口の閉鎖時間が所定時間に達したことを確認した後(S406:yes)、再び大入賞口31dを開放状態として新たなラウンドを開始する(S408)。
一方、S404において、所定回数のラウンドが終了したと判断された場合は(S404:yes)、特別遊技状態を終了させるべく、条件装置および役物連続作動装置の作動を停止させる(S416)。
続いて、条件装置が作動して特別遊技状態が開始されることとなった特別図柄の停止図柄が、確変図柄または時短図柄のいずれであったかを判断する(S418)。前述したように本実施例の遊技機1では、確変図柄によって特別遊技状態が開始された場合には、特別遊技状態の終了後、次の特別遊技状態が発生するまでは、確変状態が維持されるように設定されている。ここで確変状態とは、図柄表示装置28で停止表示される特別図柄が図10に示した当たり図柄となる確率が、通常の状態よりも高く設定されている遊技状態である。そこで、S416において条件装置および役物連続作動装置の作動を停止して、特別遊技状態を終了させたら、条件装置の作動が確変図柄によるものであったか否かを判断するのである(S418)。そして、確変図柄によるものであった場合は(S418:yes)、確変機能の作動を開始する(S420)。その後、時短機能および普通電動役物開放時間延長機能の作動を開始して(S422,S424)、図15に示す遊技制御処理に復帰する。
一方、確変図柄によるものではなかった場合は(S418:no)、確変機能を作動させることなく、直ちに、時短機能の作動を開始する(S422)。前述したように本実施例の遊技機1では、特別遊技状態の終了後は、次の特別遊技状態が発生するか、特別図柄の変動回数が所定回数(本実施例では100回)に達するまでは、時短機能が作動するように設定されている。加えて、本実施例の遊技機1では、時短中は、始動口17の開放時間が若干長くなるように設定されている。そこで、S422で時短機能を作動させると、続いて、普通電動役物開放時間の延長機能の作動を開始させた後(S424)、図27に示した特別電動役物遊技処理を終了して、図15の遊技制御処理に復帰する。結局、特別遊技状態が確変図柄によって始まった場合は、特別遊技の終了後、確変機能と、時短機能と、普通電動役物開放時間延長機能とが作動することになり、一方、特別遊技状態が確変図柄ではない図柄(すなわち時短図柄)によって始まった場合は、特別遊技の終了後、時短機能と、普通電動役物開放時間延長機能とが作動することになる。
主制御基板200に搭載されたCPU201は、以上のような遊技制御処理を繰り返し行うことによって、遊技機1の遊技を進行させることが可能となっている。
B−4.電源断発生時処理 :
次に、遊技機1の遊技中に、停電などが発生して電源が予期せずに切断された場合に、遊技中の状態をバックアップデータとして記憶するための処理、すなわち電源断発生時処理について説明する。
図28は、電源断発生時処理の流れを示すフローチャートである。かかる処理は、電源から供給されている電圧が所定値以下に低下したことが検出されると、主制御基板200のCPU201に向かって割込が発生することによって開始される。かかる処理は、緊急を要する処理であるため、マスク不能の割込に設定されており、割込が発生した場合には直ちに実施される。
電源断発生処理が開始されると、先ず初めに、CPU201の全レジスタの内容が、RAM上のバックアップ領域に記憶される(S900)。次いで、スタックポインタの設定値もバックアップ領域に保存される(S902)。スタックポインタには、プログラムの開始アドレスが設定されている。従って、全レジスタの内容と、スタックポインタの内容とを保存しておけば、再びプログラムを開始する場合にも、同じ条件で、同じ箇所から開始させることができる。
次いで、賞球の払出装置109内に残存している賞球を確認するために、所定期間だけ払出スイッチ109a,109bの出力を監視する処理を行う(S904)。尚、払出装置109内に残存している賞球があれば、この期間に通過した遊技球の数を検出して、記憶しておく。
その後、バックアップ領域に記憶されたバックアップデータについてチェックサムを算出し、得られた結果を記憶した後(S906)、バックアップフラグをONに設定する(S908)。そして最後に、RAMをアクセス禁止状態に設定して(S910)、電源断発生時処理を終了する。図13を用いて前述した制御開始準備処理において、バックアップフラグがONになっていると判断された場合は(図13のS18:yes)、このようにして保存されたバックアップデータを読み出すことにより、電源断前の遊技状態を復旧することが可能となる。
C.第1実施例 :
以上のような構成を有する本実施例の遊技機1では、特別遊技状態が発生すると、所定ラウンドが終了するまで大入賞口31dが開放状態となり、遊技者は、この間に多数の賞球を得ることができる。このように多数の賞球を得た時点で遊技を終了するのも一つの方法であるが、遊技者は、このまま遊技を継続してより多くの賞球を獲得したいと願うものである。また、遊技者が遊技を継続すれば遊技台の稼働率が上がるので、遊技店にとっても、遊技を継続して貰った方がメリットが得られる。
しかし、特別遊技状態が発生する確率はそれほど高いものではなく、従って、特別遊技状態が続けて発生する確率は決して高くはない。このため、より多くの賞球獲得を願って遊技を続けてはみたものの、なかなか特別遊技状態が発生せず、結局は全ての賞球を使ってしまい、結局、遊技者に後味の悪い思いを与えてしまうことも起こり得る。また、遊技者が後味の悪い思いをしたまま遊技店を出たのでは、次回の遊技で特別遊技状態が発生し多くの賞球を獲得した時点で、遊技者が遊技を打ち切ってしまい、遊技台の稼働率が低下してしまうことも起こり得る。
こうしたことを回避するために、本実施例の遊技機1では、特別遊技状態の終了後、持ち球が残り少なくなってきた頃を見計らって、リーチ状態の発生頻度を高くするような演出を行っている。以下では、このような演出を行うために、主制御基板200のCPU201が行う制御内容について説明する。
C−1.賞球払出処理 :
特別遊技状態の終了後に、持ち球が残り少なくなってきた状態を把握するために、本実施例の遊技機1では、賞球払出処理(図15のS80)において、特別遊技中に払い出された遊技球の払出数を計数する。以下、詳細に説明する。
図29は、本実施例の賞球払出処理の流れを示すフローチャートである。尚、かかる処理は、主制御基板200に搭載されたCPU201が、図15に示した遊技制御処理の中で、約4msec周期で実行する処理である。
賞球払出処理を開始すると、先ず初めに、特別遊技状態の開始直後か否かを判断する(S82)。すなわち、図柄表示装置28の特別図柄が確変図柄もしくは時短図柄で停止表示され、前述した条件装置が作動して大入賞口31dが開放された後、最初の周期で実行された賞球払出処理か否かを判断する。そして、特別遊技状態の開始直後に実行された処理であると判断された場合は、大当たり払出数に初期値「0」を代入することにより、大当たり払出数をリセットする(S84)。尚、大当たり払出数とは、大当たり時(すなわち特別遊技状態時)に賞球として払い出された遊技球数を示しており、大当たり払出数は、主制御基板200に搭載されたRAM202の所定のアドレスに記憶されている。
次いで、大入賞口31dに入賞した遊技球数を検出する(S86)。図2および図6を用いて前述したように、大入賞口31dの内部には、大入賞口31dに入賞した遊技球を検出する大入賞口スイッチ31sが設けられており、大入賞口スイッチ31sの信号は中継端子板を介して主制御基板200のCPU201に入力されている。CPU201は、大入賞口スイッチ31sからの信号をカウントすることにより、大入賞口31dに入賞した遊技球数を検出することが可能である。
続いて、大入賞口31dに入賞した遊技球数に基づいて、賞球として払い出す遊技球の個数(払出数)を算出する(S88)。大入賞口31dへ入賞した遊技球1個につき、賞球として払い出される遊技球の個数は予め定められているので、大入賞口31dに入賞した遊技球数から容易に払出数を算出することができる。
CPU201は、こうして求めた払出数(大入賞口31dへの入賞に基づいて払い出される遊技球数)を、大当たり払出数に累積する(S90)。特別遊技状態の開始直後であれば、S84において大当たり払出数はリセットされているから、この場合は、求めた払出数をRAM202の所定アドレスに記憶することになる。また、次の周期では、書き込んでいた払出数を読み出して、新たに算出した払出数を加算し、得られた数値を、RAM202の所定アドレスに記憶させるのである。尚、特別遊技中に賞球として払い出された遊技球を計数する処理は、主制御基板200によって主に実現されている。従って、本実施例において、主制御基板200のCPU201は払出球数計数手段の一態様を構成している。
以上のようにして、大入賞口31dへの入賞による払出数を算出するとともに、算出した払出数を大当たり払出数に累積したら、今度は、始動口17への入賞による賞球数を算出する処理を開始する。すなわち、始動口17への入賞数を検出し(S92)、始動口17への入賞による遊技球の払出数を算出する(S94)。図6を用いて前述したように、始動口17の内部には入賞した遊技球を検出する始動口スイッチ17sが設けられており、始動口スイッチ17sの出力は、主制御基板200のCPU201に入力されている。このためCPU201は、始動口17への入賞数を容易に検出することができる。また、始動口17へ入賞した遊技球1個につき、賞球として払い出される遊技球の個数は予め定められているので、始動口17への入賞による払出数も容易に算出することができる。
こうして算出した始動口17への入賞による払出数と、先に求めておいた大入賞口31dへの入賞による払出数とを合計して、全体の払出数を算出する(S96)。そして、得られた全体の払出数を指定して、払出制御基板240に向かって払出コマンドを出力したら(S98)、図29に示した賞球払出処理を抜けて、図15の遊技制御処理に復帰する。尚、主制御基板200から払出制御基板240に向かって出力される払出コマンドについても、図14に示したように、ストローブ信号とともにコマンドデータとして出力される。ストローブ信号は、払出制御基板240に搭載されたCPUの割り込み端子に接続されており、払出制御基板240のCPUは、ストローブ信号が入力されると直ちにコマンドデータを解釈して、指定された個数の遊技球を賞球として払い出す処理を行う。
C−2.リーチ有無決定処理 :
本実施例では、主制御基板200のCPU201は、上述した賞球払出処理を行うことにより、特別遊技中に賞球として払い出された遊技球数(払出数)を計数し、得られた値を大当たり払出数としてRAM202の所定アドレスに記憶している。そして、特別遊技状態の終了後も遊技を続けて、遊技者の持ち球が残り少なくなってきた頃を見計らって、リーチ演出の発生頻度を増加させる処理を行う。前述したように、リーチの発生有無は、特別図柄変動パターン設定処理の中のリーチ有無決定処理で決定されている。以下では、本実施例の遊技機1において行われるリーチ有無決定処理について説明する。
図30は、本実施例の遊技機1で行われるリーチ有無決定処理の流れを示すフローチャートである。かかる処理は、主制御基板200のCPU201によって実行される処理である。処理を開始すると、先ず初めに、CPU201はRAM202の所定アドレスに記憶されている大当たり払出数を取得する(S5002)。次いで、特別遊技状態の終了後から発射された遊技球数(発射球数)を取得する(S5004)。図6を用いて説明したように、主制御基板200には、発射装置ユニットに設けられたカウントスイッチ8sが接続されている。CPU201は、特別遊技状態が終了すると、カウントスイッチ8sからの出力を計数して、RAM202の所定のアドレスに記憶している。S5004では、この値を読み出すことで、特別遊技状態終了後からの発射球数を取得するのである。尚、主制御基板200に搭載されたCPU201は、発射球数計数手段の一態様を構成している。
次いで、CPU201は、大当たり払出数から発射球数を減算することで、差球数を算出し(S5006)、求めた差球数を、予め定めておいた所定個数1および所定個数2と比較する(S5008)。本実施例では、所定個数2は「200個」に設定されており、所定個数1は「−200個」に設定されている。特別遊技中は多くの遊技球が払い出されるから、初めのうちは、「差球数」>「所定個数2」となるので(S5008:no)、通常のリーチテーブルが選択される(S5010)。
図31は、リーチテーブルを概念的に示した説明図である。図示されているように、リーチテーブルには、リーチ判定用乱数と、リーチ演出の有無とが対応付けて記憶されている。ここで、リーチ判定用乱数とは、リーチ演出を行うか否かを判定するために用いられる乱数である。リーチ判定用乱数は、前述した各種乱数と同様に、乱数発生用のプログラムによってソフトウェア的に発生させてもよいし、乱数発生用の専用ICを用いたり、もしくは、発振器とカウンタとを組み合わせてハードウェア的に発生させてもよい。
図31(a)には、通常のリーチテーブルが示されている。通常のリーチテーブルには、リーチ判定用乱数「3」または「4」に対してだけリーチ演出「あり」が対応付けられており、他の乱数値にはリーチ演出「なし」が対応付けられている。一方、図31(b)には、リーチ頻度をアップしたリーチテーブルが示されている。このリーチテーブルには、リーチ判定用乱数が「3」〜「22」の値に対してはリーチ演出「あり」が対応付けられており、他の乱数値にはリーチ演出「なし」が対応付けられている。すなわち、通常のリーチテーブルと比較して、リーチ演出「あり」に対応付けられた乱数の個数が、10倍に増加していることになる。
特別遊技状態の終了後、しばらくの間は、「差球数」>「所定個数2」となるため、通常のリーチテーブルが選択される(図30のS5010)。しかし、遊技を続けるに従って発射球数が増加し、これに伴って差球数は減少していく。そして、長い間、特別遊技状態が発生することなく遊技を継続していると、ついには「差球数」≦「所定個数2」となり、リーチ頻度をアップしたリーチテーブルが選択されることになる(S5012)。
次いで、選択したリーチテーブルを参照して、リーチ演出の有無を決定する(S5014)。すなわち、リーチ判定用乱数を取得して、選択したリーチテーブルを参照することにより、リーチ演出を行うか否かを決定するのである。前述したように、リーチ頻度をアップしたリーチテーブルを参照した場合は、通常のリーチテーブルを参照した場合に比べて、リーチ演出の発生確率が10倍に増加することになる。
こうしてリーチ演出の有無を決定したら、図30に示すリーチ有無決定処理を終了して、図23の特別図柄変動パターン設定処理に復帰する。そして、リーチ演出「あり」と決定されている場合は、リーチ演出を行うための変動時間の長い変動パターンが選択され、この変動パターンを受けて演出表示装置27では、前述したリーチ演出が行われることになる。
尚、上述したリーチ有無決定処理では、特別遊技状態の終了後、持ち球が少なくなってくるとリーチ演出の頻度が増加するため、遊技者がやがて特別遊技状態が発生するものと判断して、新たな貸し球を投入して遊技を続行する場合がある。このような場合、遊技を続行するに従って差球数が更に減少していく。そして、差球数が「所定個数1」よりも小さな値となったら(図30のS5008:no)、再び、図31(a)に示した通常のリーチテーブルを選択してやる(S5010)。こうすれば、次のような理由から、遊技者が疑念を抱くことを確実に回避することが可能である。
リーチテーブルはリーチ演出の有無を決定するテーブルであり、リーチ演出の結果として大当たりが発生するか否かを決定しているわけではない。すなわち、図31(b)に示したリーチ頻度をアップしたリーチテーブルを参照したところで、リーチ演出の頻度は増加するものの、大当たりが発生する確率が増加しているわけではない。このため、リーチ頻度をアップしたリーチテーブルを、いつまでも選択していると、リーチは発生するものの一向に大当たりが発生しない状態となる。長い間、こうした状態を続けていると、やがては遊技者がこのことに気付いて、遊技の公正性に疑念を抱く結果となりかねない。本実施例のリーチ有無決定処理では、差球数が「所定個数1」よりも小さくなった場合には、再び通常のリーチテーブルを選択しているので、このようなおそれを確実に回避することが可能となっている。
以上に説明したように、本実施例の遊技機1では、特別遊技中に払い出された遊技球数を計数しておき、遊技者の持ち球が残り少なくなってくると、リーチ演出の発生頻度を増加させることができる。こうすれば、たとえ持ち球が尽きてしまった場合でも、遊技の終了前のしばらくの期間は、多くのリーチ演出を楽しむことができる。このため、遊技者は遊技に対する興趣が喚起され、満足感を持って遊技を終了することができ、後味の悪い思いを持つことがない。
また、遊技の終了前にリーチ演出が頻出すれば、遊技者は特別遊技状態の発生を予感すうることになる。このため遊技者は、連荘を狙って遊技を続行した判断が、あながち間違いではなかったと考える。たとえ、特別遊技中に払い出された持ち球を使い尽くしてしまった場合でも、たまたま運が悪かっただけで判断ミスを犯したわけではないと考えるので、後味の悪い思いをしたまま遊技を終了することがない。続けて運が悪いことは稀だから、次回にこのようなことがあった場合には必ず連荘できるものと、むしろ前向きな気持ちで遊技を終了させることが可能となる。
更に、遊技者が後味の悪い思いをすることなく、むしろ、このような前向きな気持ちで遊技を終了させることができれば、遊技者は次回の遊技で特別遊技状態が発生した場合に、特別遊技状態の終了後も遊技を継続することになる。このため、遊技店にとっても、遊技台の稼働率の向上や、遊技店全体としての採算改善といった利点を得ることが可能となる。
D.第2実施例 :
上述した第1実施例では、特別遊技中に賞球として払い出された遊技球数(大当たり払出数)から、特別遊技状態終了後の発射球数を減算して差球数を算出した。しかし、遊技機の中には、特別遊技状態の終了後は、所定期間の間、賞球を得やすくして、持ち球が減り難い設定としているものが多い。本実施例の遊技機1では、特別遊技状態の終了後は時短機能が作動して、始動口17の開放時間が延長されるので、時短中は持ち球が減り難くなっている。以下に説明する第2実施例では、時短状態が終了してから計数した遊技球を用いて、差球数を算出し、リーチ演出の発生頻度を変化させている。
図32は、第2実施例のリーチ有無決定処理の流れを示すフローチャートである。かかる処理は、図30を用いて前述した第1実施例のリーチ有無決定処理に対して、時短状態終了後からの発射球数を用いて差球数を算出している点が異なっている。以下、フローチャートに従って簡単に説明する。
第2実施例のリーチ有無決定処理においても、CPU201は、先ず初めにRAM202の所定アドレスに記憶されている大当たり払出数を取得する(S5102)。次いで、時短が終了後から計数しておいた遊技球の発射球数(発射球数)を取得する(S5104)。次いで、大当たり払出数から発射球数を減算することで、差球数を算出し(S5106)、求めた差球数を、予め定めておいた所定個数1および所定個数2と比較する(S5108)。
前述した第1実施例と同様に、時短状態の終了後、しばらくの間は、「差球数」>「所定個数2」となるため(S5108:no)、通常のリーチテーブルが選択される(S5110)。しかし、遊技を続けていると差球数が減少し、ついには「差球数」≦「所定個数2」となり(S5108:yes)、リーチ頻度をアップしたリーチテーブルが選択されることになる(S5112)。更に、遊技を続けていると「差球数」≦「所定個数1」となって(S5108:no)、再び、通常のリーチテーブルが選択される(S5110)。
次いで、選択したリーチテーブルを参照して、リーチ演出の有無を決定する(S5114)。すなわち、リーチ判定用乱数を取得して、選択したリーチテーブルを参照することにより、リーチ演出を行うか否かを決定する。こうしてリーチ演出の有無を決定したら、図32に示した第2実施例のリーチ有無決定処理を終了して、図23の特別図柄変動パターン設定処理に復帰する。
前述したように、時短機能の作動中は、始動口17に遊技球が入球し易く、従って、持ち球が減り難くなっている。換言すれば、特別遊技状態の終了後に遊技を継続した場合でも、実質的に持ち球が減少し始めるのは時短が終了してからとなる。第2実施例のリーチ有無決定処理では、時短が終了したから計数された発射球数を用いて差球数を算出しているため、特別遊技中に払い出された遊技球の残り球数を、より正確に見積もることができる。その結果、リーチ演出の発生頻度を、より適切なタイミングで増加させることが可能となる。
E.第3実施例 :
上述した第1実施例および第2実施例では、特別遊技中に賞球として払い出された遊技球数(大当たり払出数)から、発射球数を減算して差球数を算出した。しかし、特別遊技状態の終了後も、始動口17に遊技球が入球して賞球が払い出されるので、この賞球を考慮すれば、持ち球が少なくなってきたタイミングをより適切に把握することが可能である。以下では、このような第3実施例について説明する。
図33は、第3実施例のリーチ有無決定処理の流れを示すフローチャートである。かかる処理は、図30を用いて前述した第1実施例のリーチ有無決定処理に対して、特別遊技終了後に払い出される賞球を考慮して、遊技者の持ち球を推定している点が大きく異なっている。以下、フローチャートに従って簡単に説明する。
第3実施例のリーチ有無決定処理においても、CPU201は、大当たり払出数を取得する(S5202)。次いで、取得した大当たり払出数に、予め定めておいた見積もり個数を加算して、推定払出数を算出する(S5204)。ここで、見積もり個数とは、特別遊技状態の終了後、特別遊技中に払い出された遊技球を全て使い尽くすまでの間に、賞球として払い出される遊技球の個数を見積もっておいた値である。発射した遊技球が始動口17に入賞する確率は予め求めておくことができる。また、特別遊技中に払い出される遊技球の個数も、大まかには分かるから、特別遊技中に払い出された遊技球を全て発射し尽くすまでに、どれくらいの個数の遊技球が始動口17に入賞するかを見積もることができ、従って、払い出される遊技球数も見積もっておくことができる。S33で、大当たり払出数に加算する見積もり個数とは、このようにして見積もられた遊技球数である。
次いで、特別遊技状態が終了後から計数しておいた遊技球の発射球数(発射球数)を取得して(S5206)、推定払出数から発射球数を減算することで、差球数を算出する(S5208)。このようにして求めた差球数は、特別遊技状態の終了後に賞球として払い出された遊技球の個数も考慮されているので、遊技者の持ち球数をより正確に反映したものとなっている。
次いで、求めた差球数を、所定個数1および所定個数2と比較して(S5210)、差球数が「所定個数2」よりも大きいか、「所定個数1」よりも小さい場合には、通常のリーチテーブルを選択する(S5212)。これに対して、差球数が「所定個数2」よりも小さいが、「所定個数1」よりは大きい場合には、リーチ頻度がアップしたリーチテーブルを選択する(S5214)。
次いで、選択したリーチテーブルを参照して、リーチ演出の有無を決定したら(S5216)、図33に示すリーチ有無決定処理を終了して、図23の特別図柄変動パターン設定処理に復帰する。
以上に説明した第2実施例のリーチ有無決定処理では、特別遊技状態の終了後に賞球として払い出される遊技球も考慮して差球数を算出しているため、特別遊技中に払い出された遊技球の残り球数を、より正確に見積もることができる。その結果、リーチ演出の発生頻度を、より適切なタイミングで増加させることが可能となるので好ましい。
尚、上述した第3実施例のリーチ有無決定処理では、特別遊技状態の終了後に賞球として払い出される遊技球の個数を予め見積もっておき、見積もった遊技球の個数を大当たり払出数に加算している。こうすれば、特別遊技状態の終了後に払い出される遊技球数が考慮された差球数を、簡便な方法で求めることができる。もっとも、払い出される遊技球数を見積もるのではなく、遊技球の実際の払出数を考慮しながら、差球数を算出することとしても良い。こうすれば、遊技者の持ち球をより正確に把握することができ、リーチ演出の頻度をより適切なタイミングで増加させることが可能となる。
以上、本発明について各種の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。