上述した本発明の内容を明確にするために、本発明を「セブン機」や「デジパチ」と呼ばれるタイプのパチンコ機(遊技機)に適用した実施例について説明する。尚、実施例において、「前」および「表」は「遊技機を基準とする前方」、つまり「遊技者に近接する方向(遊技者から見て手前側)」を示し、「後」および「裏」は「遊技機を基準とする後方」、つまり「遊技者から離間する方向(遊技者から見て奥側)」を示す。また、「上」とは遊技者から見て「上」であることを示し、「下」とは遊技者から見て「下」であることを示し、「左」とは遊技者から見て「左」であることを示し、「右」とは遊技者から見て「右」であることを示す。
A.パチンコ機の装置構成 :
A-1.装置前面側の構成 :
図1は、本実施例のパチンコ機1の正面図である。図1に示すように、パチンコ機1の前面部には、前面枠4が設けられている。前面枠4は、一端(図1における左側)が中枠3に対して回動可能に軸支されている。中枠3の前面側には遊技盤20(図2参照)が着脱可能に取り付けられており、前面枠4が中枠3に対してパチンコ機1の前方側に回動(開放)されると、遊技盤20が露出した状態となる。中枠3は、一端(図1における左側)が本体枠2に対して回動可能に軸支されている。本体枠2は、木製の板状部材を組み立てて構成された略長方形の枠体であり、パチンコ機1の外枠を形成している。
前面枠4の略中央部には窓部4aが形成されており、この窓部4aにはガラス板等の透明板4bが嵌め込まれている。遊技者は、窓部4a(透明板4b)を通して奥側に配置された遊技盤20の後述する遊技領域を視認可能である。また、前面枠4における窓部4aの右下方には、小窓部4cが形成されており、この小窓部4cには合成樹脂板等の透明板4dが嵌め込まれている。遊技者は、小窓部4c(透明板4d)を通して奥側に配置された遊技盤20の後述するセグメント表示部を視認可能である。
前面枠4における窓部4aの上方には上部ランプ5aが設けられ、窓部4aの右側の周縁部には右サイドランプ5bが設けられ、窓部4aの左側の周縁部には左サイドランプ5cが設けられている。また、窓部4aの上方の左右には一対の上部スピーカー6aが設けられており、本体枠2の下部の前面側には下部スピーカー6bが設けられている。これらの上部ランプ5a、右サイドランプ5b、左サイドランプ5c、上部スピーカー6a、および下部スピーカー6bは、遊技上の演出効果を高めるために駆動される。
前面枠4における窓部4aの下方には、上皿部7が設けられている。上皿部7には、カードユニット242(図3参照)を介して貸し出される遊技球や、パチンコ機1から払い出される遊技球が貯留される。また、上皿部7の下方には下皿部8が設けられており、上皿部7の容量を超えて貸し出された遊技球や、上皿部7の容量を超えて払い出された遊技球が貯留される。
前面枠4における下皿部8の右方には、遊技者による回転操作が可能な発射ハンドル9が設けられている。発射ハンドル9の回転軸は、発射ハンドル9の奥側に搭載された発射装置ユニット261(図3参照)に接続されている。この発射装置ユニット261には、上皿部7に貯留された遊技球が供給される。遊技者が発射ハンドル9を回転させると、その回転が発射装置ユニット261に伝達され、発射装置ユニット261に内蔵された発射モーターが作動して、発射ハンドル9の回転角度に応じた強さで遊技球が発射される。
また、上皿部7の手前側の縁部には、遊技者による押下操作が可能な演出ボタン10aが設けられており、下皿部8の左方には、遊技者による押込操作や回転操作が可能なジョグシャトル10bが設けられている。これらの演出ボタン10aやジョグシャトル10bは、何れも遊技者によって操作される演出操作部であり、所定の条件成立時に遊技者によって操作されると、所定の遊技演出が行われる。
A-2.遊技盤の構成 :
図2は、本実施例の遊技盤20の盤面構成を示す説明図である。前述したように遊技盤20は、中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられている。図2に示すように、遊技盤20の中央には略円形状の遊技領域21が形成されている。発射装置ユニット261(図3参照)から発射された遊技球は、外レール22と内レール23との間を通って遊技領域21に放出され、遊技領域21の上方から下方に向かって流下する。遊技領域21は、前面枠4の窓部4a(透明板4b)を通して遊技者に視認されるので、当然ながら、遊技領域21を流下する遊技球の様子も窓部4aを通して遊技者が視認可能である。
遊技領域21の略中央には中央装置40が設けられており、中央装置40は、演出表示装置41を備えている。演出表示装置41は、液晶表示器によって構成されており、その表示画面上には、演出用の種々の画像を表示することが可能である。尚、演出表示装置41の表示内容については別図を用いて後述する。
また、本実施例の中央装置40は、可動役物100(図2では図示省略)を備えている。可動役物100は、通常時には演出表示装置41の表示画面を覆うことのない初期位置に退避しており、所定条件が成立すると、演出表示装置41の表示画面の前面へと移動することが可能になっている。尚、可動役物100の移動態様については別図を用いて後述する。
遊技領域21における演出表示装置41の右方には、普通図柄作動ゲート27が設けられている。遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過すると、内蔵のゲートセンサー27s(図3参照)によって検知されて、下方へと流下していく。
遊技領域21における演出表示装置41の下方には、第1始動口24が設けられている。第1始動口24は、上方に向けて開口しており、遊技球の入球可能性が不変(一定)であって、遊技球が常時入球可能になっている。第1始動口24に入球した遊技球は、通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれて、第1始動口センサー24s(図3参照)によって検知される。
遊技領域21における第1始動口24の下方には、遊技球の入球可能性が変化可能な第2始動口25が設けられている。本実施例の第2始動口25は、前方に向けて開口していると共に、下端側を軸に上端側を前方に傾けて回動可能な開閉扉26を備えており、開閉扉26が略直立して遊技球が入球不能(または入球困難)な閉鎖状態と、開閉扉26が前方に回動して遊技球が入球可能(または入球容易)な開放状態とに変化可能である。図2では、第2始動口25が開放状態となっている様子が示されている。第2始動口25に入球した遊技球は、通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれて、第2始動口センサー25s(図3参照)によって検知される。
遊技領域21における第1始動口24の右方には、前方に向けて略長方形状に大きく開口した大入賞口28が設けられている。大入賞口28は、下端側を軸に上端側を前方に傾けて回動可能な開閉扉29を備えており、開閉扉29が略直立して遊技球が入球不能な閉鎖状態と、開閉扉29が前方に回動して遊技球が入球可能な開放状態とに変化可能である。図2では、大入賞口28が開放状態となっている様子が示されている。大入賞口28に入球した遊技球は、通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれて、大入賞口センサー28s(図3参照)によって検知される。
遊技領域21における第1始動口24の左方には、その他入賞口30が2つ設けられている。その他入賞口30は、上方に向けて開口しており、遊技球の入球可能性に変化がなく、遊技球が常時入球可能である。その他入賞口30に入球した遊技球は、通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれて、その他入賞口センサー30s(図3参照)によって検知される。
また、上述した各遊技装置の周辺には、遊技球が流下する経路に影響を与える風車型ホイール31や、多数の遊技釘(図2では図示省略)が設けられている。さらに、遊技領域21の最下部には、アウト口33が設けられており、上述した第1始動口24、第2始動口25、大入賞口28、その他入賞口30の何れにも入球しなかった遊技球は、アウト口33から遊技盤20の裏面側に排出される。尚、本実施例のパチンコ機1では、第1始動口24、第2始動口25、その他入賞口30の何れかに遊技球が入球した場合は、賞球として3個の遊技球が払い出され、大入賞口28に遊技球が入球した場合は、13個の遊技球が払い出される。
本実施例のパチンコ機1において、複数の遊技釘の配置などにより、上述した第1始動口24、その他入賞口30には、演出表示装置41の左方の領域を流下する遊技球が入球可能である。これに対して、普通図柄作動ゲート27、第2始動口25、大入賞口28には、演出表示装置41の右方の領域を流下する遊技球が通過または入球可能である。以下では、演出表示装置41の左方の領域を流下させるように遊技球を発射することを「左打ち」とも表現し、演出表示装置41の右方の領域を流下させるように遊技球を発射することを「右打ち」とも表現する。
さらに、遊技盤20における遊技領域21の右下方には、複数のLEDの組み合わせによって遊技に係る情報を表示するセグメント表示部50が設けられている。セグメント表示部50は、前面枠4に設けられた小窓部4c(図1参照)を通して遊技者が視認可能である。尚、セグメント表示部50の表示内容については別図を用いて後述する。
A-3.制御回路の構成 :
次に、本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成について説明する。図3は、本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成を示したブロック図である。図示されているようにパチンコ機1の制御回路は、多くの制御基板や、各種基板などから構成されている。機能に着目して大別すると、遊技の基本的な進行に係る制御を司る主制御基板200と、遊技の演出に係る制御を司るサブ制御基板220と、サブ制御基板220の制御下で画像の表示や音声の出力に係る制御を司る画像音声制御基板230と、サブ制御基板220の制御下でランプの発光に係る制御を司るランプ制御基板226と、遊技球の貸し出しや払い出しに係る制御を司る払出制御基板240と、遊技球の発射に係る制御を司る発射制御基板260などから構成されている。これら制御基板は、各種論理演算および算出演算を実行するCPU(図3におけるCPU201、221、231等)や、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM(図3におけるROM202、222、232等)、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAM(図3におけるRAM203、223、233等)、入出力用回路など、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。
主制御基板200には、第1始動口24へ入球した遊技球を検知する第1始動口センサー24sや、第2始動口25へ入球した遊技球を検知する第2始動口センサー25s、普通図柄作動ゲート27を通過する遊技球を検知するゲートセンサー27s、大入賞口28へ入球した遊技球を検知する大入賞口センサー28s、その他入賞口30へ入球した遊技球を検知するその他入賞口センサー30sなどが接続されている。主制御基板200のCPU201は、第1始動口センサー24sや、第2始動口センサー25s、ゲートセンサー27s、大入賞口センサー28s、その他入賞口センサー30sなどから遊技球の検知信号の入力があると、その検知信号の入力のあったセンサーに対応したコマンドを、サブ制御基板220や、払出制御基板240などに向けて送信する。
また、主制御基板200には、第2始動口25の開放状態と閉鎖状態とを切り換え可能な開閉扉26を駆動する始動口ソレノイド26mや、大入賞口28の開放状態と閉鎖状態とを切り換え可能な開閉扉29を駆動する大入賞口ソレノイド29m、セグメント表示部50などが接続されている。主制御基板200のCPU201は、始動口ソレノイド26m、大入賞口ソレノイド29m、セグメント表示部50に駆動信号を送信することにより、これらの動作の制御を行う。
サブ制御基板220には、画像音声制御基板230や、ランプ制御基板226、演出操作基板228などが接続されている。サブ制御基板220のCPU221は、主制御基板200からの各種コマンドを受信すると、コマンドの内容を解析して、その内容に応じた遊技演出を行う。すなわち、画像音声制御基板230に対して、表示画像や出力音声を指定するコマンドを送信したり、ランプ制御基板226に対して、上部ランプ5a、右サイドランプ5b、左サイドランプ5c(以下「各種ランプ5a~5c」ともいう)の発光パターンを指定するコマンドを送信したりすることによって、遊技演出を行う。また、サブ制御基板220のCPU221は、演出操作基板228を介して、演出ボタン10aやジョグシャトル10b(以下「演出操作部10a,10b」ともいう)に対する遊技者の操作を検知すると、その操作に対応する遊技演出を行う。
画像音声制御基板230は、CPU231、ROM232、RAM233に加えて、VDP234、画像ROM235、音声ROM236を備えている。画像音声制御基板230のCPU231は、サブ制御基板220からコマンドを受信すると、そのコマンドに対応した画像の表示をVDP234に指示する。VDP234は、指示された画像の表示に利用する画像データ(例えば、スプライトデータや動画データなど)を画像ROM235から読み出して画像を生成し、演出表示装置41の表示画面に出力する。また、画像音声制御基板230のCPU231は、サブ制御基板220からコマンドを受信すると、そのコマンドに対応した音声データを音声ROM236から読み出して、その音声データの信号をアンプ基板224に送信することにより、上部スピーカー6aおよび下部スピーカー6b(以下「各種スピーカー6a,6b」ともいう)から音声を出力する。
また、本実施例のサブ制御基板220には、可動役物100を駆動する駆動モーター100mが接続されている。サブ制御基板220のCPU221は、駆動モーター100mに駆動信号を送信することにより、駆動モーター100mを動作させて可動役物100の移動を制御する。尚、本実施例の可動役物100は、本発明の「可動部材」に相当しており、本実施例のサブ制御基板220のCPU221は、本発明の「移動制御手段」に相当している。
払出制御基板240には、上皿部7に設けられた球貸ボタン241(図1では図示省略)や、パチンコ機1に並設されたカードユニット242、払出モーター243などが接続されている。球貸ボタン241が操作されると、その検知信号は、払出制御基板240を介してカードユニット242に伝達される。カードユニット242は、払出制御基板240とデータを通信しながら、払出モーター243を駆動して遊技球の貸し出しを行う。また、払出制御基板240は、主制御基板200から遊技球の払い出しを指示する払出コマンドを受信すると、払出モーター243を駆動して遊技球の払い出しを行う。
また、払出制御基板240には発射制御基板260が接続されており、発射制御基板260には発射装置ユニット261が接続されている。発射装置ユニット261は、遊技球を発射するための発射モーター262や、遊技者が発射ハンドル9に触れていることを検知するタッチスイッチ263などを有している。遊技者が発射ハンドル9に触れていることをタッチスイッチ263で検知すると、発射モーター262の作動が可能となり、発射ハンドル9の回転角度に応じた強さで遊技球を発射する。
B.遊技の概要 :
本実施例のパチンコ機1では、次のようにして遊技が進行する。上皿部7に遊技球が貯留された状態で遊技者が発射ハンドル9を回転させると、上皿部7に貯留された遊技球が1球ずつ発射装置ユニット261に供給されて、図2を用いて前述した遊技領域21に向けて発射される。遊技球を打ち出す強さは発射ハンドル9の回転角度に対応するので、遊技者は発射ハンドル9の回転角度を変化させることによって、所望の領域に遊技球を流下させることができる。例えば、演出表示装置41の左方の領域に流下させるように遊技球を発射したり(左打ちを行ったり)、演出表示装置41の右方の領域に流下させるように遊技球を発射したり(右打ちを行ったり)することができる。
前述したように第1始動口24には、左打ちされた遊技球が入球可能である。遊技球が第1始動口24に入球して、第1始動口センサー24sによって検知されると、所定の判定乱数(大当り判定乱数など)を取得し、その判定乱数の値に基づいて大当りか外れかを判定する大当り判定を行った後、セグメント表示部50にて第1の特別図柄(以下「第1特図」ともいう)の変動表示を行う。また、第2始動口25には、右打ちされた遊技球が入球可能である。遊技球が第2始動口25に入球して、第2始動口センサー25sによって検知されると、判定乱数を取得して大当り判定を行った後、セグメント表示部50にて第2の特別図柄(以下「第2特図」ともいう)の変動表示を行う。尚、以下では、第1特図と第2特図とを特に区別する必要がない場合には、単に「特別図柄」と称することがある。また、本実施例の第1始動口センサー24sおよび第2始動口センサー25sは、本発明の「検知手段」に相当している。
図4は、セグメント表示部50を拡大して示した説明図である。前述したようにセグメント表示部50は、前面枠4に設けられた小窓部4c(図1参照)を通して遊技者が視認可能である。図示されるようにセグメント表示部50には、第1特図を表示する第1特図表示部51と、第2特図を表示する第2特図表示部52とが設けられており、それぞれ9個のLEDで構成されている。第1特図および第2特図は、対応する表示部51,52で9個のLEDを点滅させる(点灯させるLEDを切り換える)ことによって変動表示され、所定の組み合わせのLEDを点灯させた状態で停止表示される。このとき、大当り判定の結果が大当りであれば、大当り図柄に対応する組み合わせのLEDを点灯させ、外れであれば、外れ図柄に対応する組み合わせのLEDを点灯させる。
また、第1始動口24または第2始動口25に遊技球が入球しても、第1特図や第2特図の変動表示中などで新たな変動表示の開始条件が満たされていない場合には、第1始動口24への入球で取得した判定乱数の値を第1特図保留として記憶し、第2始動口25への入球で取得した判定乱数の値を第2特図保留として記憶する。その後、特別図柄(第1特図または第2特図)の新たな変動表示の開始条件が満たされると、第1特図保留または第2特図保留に基づいて大当り判定を行い、対応する特別図柄の変動表示を行う。本実施例のパチンコ機1では、このような第1特図保留および第2特図保留を、それぞれ最大4つまで記憶可能である。
図4に示されるようにセグメント表示部50には、第1特図保留の記憶数(第1特図保留数)を表示する第1特図保留表示部53と、第2特図保留の記憶数(第2特図保留数)を表示する第2特図保留表示部54とが設けられており、それぞれ2個のLEDで構成されている。これらの保留表示部53,54では、保留数が0個であればLEDが2個とも消灯し、保留数が1個であれば1個のLEDが点灯し、保留数が2個であれば2個のLEDが点灯し、保留数が3個であれば1個のLEDが点滅し、保留数が4個であれば、2個のLEDが点滅する。
第1特図または第2特図が大当り図柄で停止表示されると、大入賞口28が開放状態となる大当り遊技を実行する。大当り遊技では、開放した大入賞口28を、規定個数(例えば9個)の遊技球が入球するか、あるいは所定の開放時間(例えば30秒)が経過したら閉鎖するラウンド遊技が複数回繰り返される。本実施例のパチンコ機1では、複数の大当り図柄が設けられており、停止表示された大当り図柄の種類によって、大当り遊技で行われるラウンド遊技の回数が異なる(例えば、4回、8回、16回)。前述したように大入賞口28に遊技球が入球すると、賞球として13個の遊技球が払い出されることから、ラウンド遊技の回数(ラウンド回数)が多い大当り遊技であるほど、遊技者は多量の賞球を獲得することが可能である。
図4に示されるようにセグメント表示部50には、3個のLEDで構成された右打ち表示部55が設けられている。前述したように大入賞口28には、右打ちされた遊技球が入球可能であり、大当り遊技中は、遊技者にとって右打ちが有利であることから、右打ち表示部55で3個のLEDを点灯することで遊技者に右打ちを促す。
また、前述したように、演出表示装置41の右方には、普通図柄作動ゲート27が設けられており、右打ちされた遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過可能である。普通図柄作動ゲート27を通過する遊技球がゲートセンサー27sによって検知されると、所定の判定乱数(普図当り判定乱数など)を取得し、その判定乱数の値に基づいて普図当りか外れかを判定する普図当り判定を行った後、セグメント表示部50にて普通図柄の変動表示を行う。
図4に示されるようにセグメント表示部50には、普通図柄を表示する普図表示部56が設けられており、左右2個のLEDで構成されている。普通図柄は、普図表示部56で2個のLEDを点滅させる(点灯させるLEDを切り換える)ことによって変動表示され、一方のLEDを点灯させた状態で停止表示される。このとき、普図当り判定の結果が普図当りであれば、普図当り図柄に対応する左側のLEDを点灯させ、外れであれば、外れ図柄に対応する右側のLEDを点灯させる。そして、普通図柄が普図当り図柄で停止表示された場合は、第2始動口25が所定時間だけ開放状態となった後に閉鎖状態に戻る普図当り遊技が行われるので、第2始動口25に遊技球が入球する可能性(すなわち、第2特図の変動表示が行われる可能性)が高まる。
また、遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過しても、普通図柄の変動表示中などで新たな変動表示の開始条件が満たされていない場合には、取得した判定乱数の値を普図保留として最大4つまで記憶することが可能である。その後、普通図柄の新たな変動表示の開始条件が満たされると、普図保留に基づいて普図当り判定や、普通図柄の変動表示を行う。図4に示されるようにセグメント表示部50には、2個のLEDで構成された普図保留表示部57が設けられており、普図保留の記憶数(普図保留数)は普図保留表示部57に表示される。
普図当り遊技における第2始動口25の開放時間は、「電サポ状態」であるか「非電サポ状態」であるかで異なる。電サポ状態では、非電サポ状態よりも第2始動口25の開放時間が長く設定される。また、電サポ状態では、非電サポ状態よりも普図当り判定の結果が普図当りとなる確率(普図当り確率)が高く、且つ、普通図柄の変動時間が短く設定される。従って、電サポ状態では、非電サポ状態に比べて第2始動口25に遊技球が入球する可能性(すなわち、第2特図の変動表示が行われる可能性)が高まり、電サポ状態中は、遊技者にとって右打ちが有利であることから、大当り遊技中と同様に、右打ち表示部55の3個のLEDを点灯することで遊技者に右打ちを促す。
本実施例のパチンコ機1では、複数設けられた大当り図柄が「通常当り図柄」と「確変当り図柄」とに大別されており、特別図柄が何れの大当り図柄で停止表示された場合でも、大当り遊技の終了後に電サポ状態が設定される。そして、通常当り図柄である場合は、大当り遊技の終了後に、大当り判定の結果が大当りとなる確率(大当り確率)が所定の通常確率(低確率)に設定され、特別図柄の変動回数が所定回数(例えば100回)に達すると非電サポ状態に設定される。一方、確変当り図柄である場合は、大当り遊技の終了後に大当り確率が通常確率よりも高い高確率に設定され、電サポ状態と共に次回の大当り遊技まで継続される。以下では、大当り確率が高確率に設定された状態を「確変状態」と称することがある。また、電サポ状態では、非電サポ状態よりも特別図柄の変動時間が短く設定され易いことから、電サポ状態であって、且つ大当り確率が通常確率に設定された状態を「時短状態」と称することがある。
また、前述した特別図柄(第1特図および第2特図)の変動表示と連動して、演出表示装置41では、演出用の種々の画像が表示される。図5は、演出表示装置41における表示の一態様を例示した説明図である。演出表示装置41の表示画面上には、演出図柄として横方向に並んだ3つの識別図柄41a,41b,41cや、その背景となる背景画像41d(図示した例では自動車の画像)などを表示可能である。セグメント表示部50の第1特図表示部51あるいは第2特図表示部52で特別図柄の変動表示が開始されると、演出表示装置41においても、識別図柄41a,41b,41cが複数の数字(例えば「1」~「9」の9つの数字)を次々と切り換えて変動表示する演出(以下「図柄変動演出」ともいう)が行われる。尚、識別図柄は、数字以外にも、文字、図形、記号等を意匠化した図柄であってもよく、遊技者が種類を識別できる形態であればよい。また、背景画像41dや識別図柄の形態を周期的(例えば、特別図柄の変動回数が30回に達する毎)に切り換えることによって、遊技者に与える遊技の印象を異ならせることができる。
図5(a)には、3つの識別図柄41a,41b,41cが一斉に変動表示している様子が概念的に示されている。変動表示が開始された後、所定時間が経過すると、初めに左識別図柄41aが「1」~「9」の何れかで停止表示され、次に右識別図柄41cが停止表示され、最後に中識別図柄41bが停止表示される。そして、3つの識別図柄41a,41b,41cは、特別図柄(第1特図または第2特図)が外れ図柄で停止表示される場合は、同じ数字で揃わない組み合わせ(バラケ目)で停止表示されるのに対して、特別図柄が大当り図柄で停止表示される場合は、同じ数字で揃った組み合わせ(ゾロ目)で停止表示される。特に、遊技者にとって通常当り図柄よりも有利な確変当り図柄で特別図柄が停止表示される場合は、識別図柄41a,41b,41cが同じ奇数の数字で揃って停止表示される。尚、本実施例の演出表示装置41は、本発明の「表示装置」に相当しており、本実施例の識別図柄41a,41b,41cは、本発明の「識別情報」に相当している。
こうして演出表示装置41における識別図柄41a,41b,41cの表示内容を、特別図柄の表示内容と対応させることにより、図5(b)に示されるように3つの識別図柄のうち2つが停止表示されたときに同じ数字であると、最後に停止表示される識別図柄も同じ数字で揃うのではないかと、遊技者は識別図柄の変動表示(図柄変動演出)を注視することになる。このように2つの識別図柄が同じ図柄で停止表示された状態で最後の識別図柄を変動表示させながら行われる演出は「リーチ演出」と呼ばれており、リーチ演出を発生させることで遊技興趣を高めることが可能である。また、こうしたリーチ演出には、通常のリーチ演出(ノーマルリーチ演出)と、ノーマルリーチ演出よりも長期間に亘るリーチ演出(スーパーリーチ演出)とが設けられており、スーパーリーチ演出に発展することによって、識別図柄41a,41b,41cがゾロ目で停止表示される可能性(大当り信頼度)が高いことを示唆する。
本実施例のパチンコ機1では、演出表示装置41の図柄変動演出におけるスーパーリーチ演出としてバトル演出を実行することが可能となっている。図6は、演出表示装置41で実行されるバトル演出の一例を示した説明図である。図示したバトル演出は、遊技者側キャラクタ43と、対戦キャラクタ44とが格闘するものであり、遊技者側キャラクタ43に「PLAYER」の表示が付されている。
また、演出表示装置41における遊技者側キャラクタ43の下方には、遊技者側キャラクタ43の体力を示すライフゲージ43aが表示される。遊技者側キャラクタ43がダメージを受けると、ライフゲージ43aが減少していき、「0」になったら遊技者側キャラクタ43の敗北となる。同様に、対戦キャラクタ44の下方には、対戦キャラクタ44の体力を示すライフゲージ44aが表示される。対戦キャラクタ44がダメージを受けると、ライフゲージ44aが減少していき、「0」になったら対戦キャラクタ44の敗北となる。
そして、遊技者側キャラクタ43のライフゲージ43aが対戦キャラクタ44のライフゲージ46aよりも減少することによって、遊技者側キャラクタ43の劣勢(遊技者にとって不利)を示唆する。反対に、対戦キャラクタ44のライフゲージ44aが遊技者側キャラクタ43のライフゲージ43aよりも減少することによって、遊技者側キャラクタ43の優勢(遊技者にとって有利)を示唆する。図6では、遊技者側キャラクタ43が劣勢である状態が示されている。
バトル演出では、遊技者側キャラクタ43の勝敗によって、変動表示中の特別図柄が大当り図柄および外れ図柄の何れで停止表示されるかを示唆する。すなわち、遊技者側キャラクタ43が対戦キャラクタ44に勝利すれば、特別図柄が大当り図柄で停止表示されるのに対して、遊技者側キャラクタ43が対戦キャラクタ44に敗北すれば、特別図柄が外れ図柄で停止表示される。このようなバトル演出を実行することで、遊技者側キャラクタ43の勝利を遊技者に期待させ、遊技興趣を高めることができる。
また、バトル演出の実行中も演出表示装置41における識別図柄41a,41b,41cの変動表示を継続しており、バトル演出の表示範囲を広く確保するために、図示されるように縮小した識別図柄41a,41b,41cを演出表示装置41の上部右隅に移動させて表示するようになっている。これらの識別図柄41a,41b,41cは、バトル演出の結果(勝敗)が示されるのに伴って全てが停止表示される。
さらに、演出表示装置41を搭載した本実施例の中央装置40は、前述したように可動役物100を備えている。図7は、本実施例の可動役物100の移動態様を示した説明図である。本実施例の可動役物100は、図中に破線で示されるように、基本的には演出表示装置41の右方の初期位置に退避しており、演出表示装置41の表示画面を覆うことはなく、遊技盤20の裏側に位置しているため、遊技者からは見え難くなっている。
そして、駆動モーター100mの駆動によって可動役物100が左方に移動すると、可動役物100よりも演出表示装置41が後方に設置されているため、演出表示装置41の表示画面の前面に可動役物100が出現して、表示画面の略中央に位置する。本実施例の可動役物100は、縦長に形成されると共に表面に装飾(図示した例では「日本一」の文字)が施されており、演出表示装置41の表示画面を上下に縦断して覆うようになっている。
このような可動役物100は、特別図柄の変動表示の開始時や大当り遊技の開始時などに初期位置から演出表示装置41の表示画面の前面に出現させることにより、遊技者の注目を集めて大きな演出効果を得ることができる。例えば、特別図柄の変動表示の開始時に可動役物100を出現させることで、特別図柄が大当り図柄で停止表示される可能性が高いことを示唆する演出(いわゆる予告演出)を行う。こうして出現した可動役物100は、再び駆動モーター100mの駆動によって右方に移動し、初期位置へと戻る。また、本実施例のパチンコ機1では、後述するように演出表示装置41の表示画面で識別図柄41a,41b,41cの変動表示が所定時間(例えば3分)以上行われていない待機状態であると、可動役物100を演出表示装置41の表示画面の前面へと出現させて目立たせるようになっている。尚、可動役物100の表面にはパチンコ機1のロゴなどを装飾として付してもよい。
C.本実施例のパチンコ機の制御内容 :
C-1.遊技制御処理 :
図8は、主制御基板200のCPU201が、遊技の進行に係る制御として行う遊技制御処理の大まかな流れを示したフロ―チャートである。主制御基板200のCPU201は、所定周期で(例えば、4msec毎に)発生するタイマ割り込みに基づいて図8の遊技制御処理を実行する。尚、以下の説明では、CPU201の初期化処理や、割り込み禁止処理、割り込み許可処理などの周知の処理については説明を省略する。
主制御基板200のCPU201は、遊技制御処理を開始すると、まず、出力処理(S10)を行う。本実施例の主制御基板200では、後述する各処理においてサブ制御基板220を初めとする各種制御基板に向けて送信する各種コマンドを、RAM203に確保された出力バッファに一旦記憶するようになっており、出力処理(S10)では、出力バッファに記憶されている各種コマンドを各種制御基板に向けて送信する。こうすることにより、例えば、サブ制御基板220では、遊技の進行に合わせた演出の制御が行われ、払出制御基板240では、遊技球の払い出しが行われることになる。
主制御基板200のCPU201は、出力処理(S10)に続いて、入力処理(S20)を行う。前述したように、第1始動口24、第2始動口25、大入賞口28、その他入賞口30の何れかに遊技球が入球すると、賞球として遊技球を払い出すようになっている。そこで、入力処理(S20)では、入球を検知する各種センサー(第1始動口センサー24s、第2始動口センサー25s、大入賞口センサー28s、その他入賞口センサー30sなど)について、遊技球を検知したか否かを判断する。そして、遊技球を検知した場合は、遊技球の払い出しを指示する払出コマンドを、上述した出力バッファに記憶する。こうして出力バッファに記憶された払出コマンドは、次回の出力処理(S10)で払出制御基板240に向けて送信される。コマンドを受信した払出制御基板240は、前述したように遊技球の入球が第1始動口24、第2始動口25、その他入賞口30の何れかであれば、3個の遊技球を払出し、大入賞口28であれば、13個の遊技球を払い出す。
入力処理(S20)を終了すると、次に、乱数更新処理(S30)を行う。前述したように、普図当り判定や特別図柄の大当り判定は、所定の判定乱数の値に基づいて行われる。また、これ以外にも、後述する各種の決定が専用の乱数の値に基づいて行われる。乱数更新処理(S30)では、これらの乱数の更新を行う。尚、乱数の更新は、遊技制御処理の中の乱数更新処理(S30)においてだけでなく、遊技制御処理を一旦終了してから次回の遊技制御処理を開始する(タイマ割り込みが発生する)までの間に行うこととしてもよい。また、乱数更新のための専用回路を設けて、この専用回路で乱数を更新してもよい。
乱数更新処理(S30)を終了したら、ゲートセンサー検知処理(S40)を行う。ゲートセンサー検知処理(S40)では、普通図柄作動ゲート27を通過する遊技球をゲートセンサー27sで検知すると、普図保留数が上限値(本実施例では「4」)に達しているか否かを判断して、達していなければ、普図当り判定乱数などを取得し、取得した乱数値を普図保留としてRAM203に記憶する。
ゲートセンサー検知処理(S40)に続いて、始動口センサー検知処理(S50)を行う。始動口センサー検知処理(S50)では、第1始動口24に入球した遊技球を第1始動口センサー24sで検知すると、第1特図保留数が上限値(本実施例では「4」)に達しているか否かを判断して、達していなければ、所定の判定乱数を取得し、取得した乱数値を第1特図保留としてRAM203に記憶する。また、第2始動口25に入球した遊技球を第2始動口センサー25sで検知すると、第2特図保留数が上限値(本実施例では「4」)に達しているか否かを判断して、達していなければ、所定の判定乱数を取得し、取得した乱数値を第2特図保留としてRAM203に記憶する。ここで、判定乱数としては、大当り判定を行うための大当り判定乱数や、大当りの場合に特別図柄で停止表示する大当り図柄の種類を決定するための図柄決定乱数や、特別図柄の変動表示の開始から停止表示までの変動パターンを決定するための変動パターン決定乱数などを取得する。
始動口センサー検知処理(S50)を終了すると、次に、普通動作処理(S60)を行う。普通動作処理(S60)では、主に次のような処理を行う。まず、普通図柄の変動表示中または普図当り遊技の実行中であるか否かを判断する。普通図柄の変動表示中および普図当り遊技の実行中の何れでもない場合は、普通図柄の停止表示から所定の確定時間が経過していることを確認した後、普図保留数が「0」であるか否かを判断する。普図保留数が「0」でなければ(普図保留が記憶されていれば)、最先に記憶された普図保留を読み出し、その読み出した普図保留(普図当り判定乱数の値)に基づいて普図当り判定を行う。この普図当り判定では、普図保留として読み出した普図当り判定乱数の値が所定の当り値であれば、普図当りと判定し、当り値以外の外れ値であれば、外れと判定する。尚、前述したように電サポ状態では、非電サポ状態よりも普図当り確率が高く(当り値が多く)設定され、例えば、非電サポ状態では普図当り確率が100分の1に設定されるのに対して、電サポ状態では普図当り確率が100分の99に設定される。
そして、普図当り判定の結果に基づき、普通図柄を普図当り図柄で停止表示するか、外れ図柄で停止表示するかを決定する。さらに普通図柄の変動時間を設定して、普通図柄の変動表示を開始すると共に、普図保留数から「1」を減算する。前述したように電サポ状態では、非電サポ状態よりも普通図柄の変動時間が短く設定され、例えば、非電サポ状態では変動時間が20秒に設定されるのに対して、電サポ状態では変動時間が1秒に設定される。
普通図柄の変動表示中である場合は、変動時間が経過したか否かを判断して、変動時間が経過すると、決定しておいた普図当り図柄または外れ図柄で普通図柄を停止表示する。そして、確定時間の経過を待って、停止表示された普通図柄が外れ図柄である場合は、再び普通図柄の変動表示を開始する処理を行う。一方、停止表示された普通図柄が普図当り図柄である場合は、普図当り遊技を開始する。
普図当り遊技中は、始動口ソレノイド26mを駆動して第2始動口25を開放状態とした後、開放時間が経過したら閉鎖状態に戻す処理を行う。前述したように電サポ状態では、非電サポ状態よりも第2始動口25の開放時間が長く設定され、例えば、非電サポ状態では開放時間が0.3秒(0.1秒×3回開放)に設定されるのに対して、電サポ状態では開放時間が4.5秒(1.5秒×3回開放)に設定される。
普通動作処理(S60)を終了したら、続いて、特別動作処理(S70)を行う。特別動作処理(S70)では、主に次のような処理を行う。まず、特別図柄(第1特図または第2特図)の変動表示中、特別図柄の確定表示中、大当り遊技中の何れかであるか否かを判断する。これらの何れでもない場合は、第1特図保留および第2特図保留数が「0」であるか否かを判断し、第1特図保留または第2特図保留数が「0」でなければ、特図保留として記憶されている前述した各種の判定乱数(大当り判定乱数、図柄決定乱数、変動パターン決定乱数)の値を読み出す。本実施例のパチンコ機1では、まず第2特図保留が記憶されていれば、最先に記憶された第2特図保留を読み出し、第2特図保留が記憶されていなければ、最先に記憶された第1特図保留を読み出す(第2特図保留を優先消化する)ようになっている。
こうして第2特図保留または第1特図保留として読み出した大当り判定乱数の値に基づいて大当り判定を行う。大当り判定では、読み出した大当り判定乱数の値が「大当り」に対応する値(大当り値)であれば、大当りと判定し、「外れ」に対応する値(外れ値)であれば、外れと判定する。前述したように確変状態では、非確変状態よりも大当り確率が高く(大当り値が多く)設定され、例えば、非確変状態では大当り確率が約300分の1に設定されるのに対して、確変状態では大当り確率が約100分の1に設定される。
そして、大当り判定の結果が大当りであれば、停止表示する大当り図柄を決定する。前述したように大当り図柄は複数設けられており、通常当り図柄と確変当り図柄とに大別され、第1特図保留または第2特図保留として読み出した図柄決定乱数の値に基づいて何れかの大当り図柄を決定する。これに対して、大当り判定の結果が外れであれば、停止表示する図柄(停止図柄)として外れ図柄を決定する。
こうして特別図柄の停止図柄を決定したら、特別図柄の変動パターンを決定する。変動パターンとは、特別図柄(第1特図または第2特図)が変動表示を開始してから停止表示するまでの時間(変動時間)を識別するためのものであり、複数設けられた変動パターンは、互いに設定されている変動時間が異なっている。変動パターンの決定は、第1特図保留または第2特図保留として読み出した変動パターン決定乱数の値に基づいて行われ、電サポ状態では、非電サポ状態に比べて変動時間が短めの変動パターンが決定され易くなっている。
変動パターンを決定すると、特別図柄の変動表示を開始すると共に、第2特図であれば第2特図保留数から「1」を減算し、第1特図であれば第1特図保留数から「1」を減算する。また、特別図柄の変動パターンを指定する変動パターン指定コマンドや、停止図柄を指定する停止図柄指定コマンドをRAM203の出力バッファに記憶する。これらのコマンドは、次回の出力処理(S10)でサブ制御基板220に向けて送信される。サブ制御基板220のCPU221は、これらのコマンドを受信することで、特別図柄の変動表示に合わせて演出表示装置41で図柄変動演出を実行する。
特別図柄の変動表示中である場合は、変動時間が経過したか否かを判断する。前述したように特別図柄の変動時間は、変動パターンに設定されており、変動時間が経過すると、決定しておいた停止図柄(大当り図柄または外れ図柄)で特別図柄を停止表示する。また、停止表示した特別図柄を確定表示しておく時間(確定時間)を設定する。さらに、特別図柄の停止表示を示す変動停止コマンドをRAM203の出力バッファに記憶しておき、次回の出力処理(S10)でサブ制御基板220に向けて送信する。サブ制御基板220のCPU221は、変動停止コマンドを受信すると、演出表示装置41での図柄変動演出を終了する。
特別図柄の確定表示中は、確定時間が経過したか否かを判断し、確定時間が経過したら、確定表示された特別図柄が大当り図柄および外れ図柄の何れであるかを判断する。その結果、外れ図柄であった場合は、時短状態であるか否かを判断し、時短状態であれば、時短状態中の特別図柄の変動回数を計数する。そして、計数した変動回数が所定回数(例えば100回)に達すると、電サポ状態を終了して非電サポ状態である通常状態に設定する。また、遊技状態の変更に伴い、遊技状態を示す遊技状態指定コマンドをRAM203の出力バッファに記憶しておき、次回の出力処理(S10)でサブ制御基板220に向けて送信する。
一方、確定表示された特別図柄が大当り図柄であった場合は、大当り遊技における大入賞口28の開放パターン(ラウンド回数、開放時間、閉鎖時間など)を設定して、大当り遊技を開始する。前述したように停止表示(確定表示)された大当り図柄の種類に応じてラウンド回数が異なっている。また、大当り遊技の開始を示す大当り遊技開始コマンドをRAM203の出力バッファに記憶しておき、次回の出力処理(S10)でサブ制御基板220に向けて送信する。
大当り遊技中は、大入賞口ソレノイド29mを駆動して大入賞口28を開放状態とすることでラウンド遊技を開始する。その後、大入賞口28に規定個数の遊技球が入球するか、あるいは開放時間が経過すると、大入賞口28を閉鎖状態としてラウンド遊技を終了し、閉鎖時間の経過を待って次のラウンド遊技を開始する。そして、設定されたラウンド回数を全て消化したら、大当り遊技を終了する。また、大当り遊技の終了を示す大当り遊技終了コマンドをRAM203の出力バッファに記憶しておき、次回の出力処理(S10)でサブ制御基板220に向けて送信する。
さらに、停止表示(確定表示)された大当り図柄の種類に応じて大当り遊技の終了後の遊技状態を設定する。すなわち、大当り図柄が確変当り図柄であれば、確変状態(大当り確率が高確率に設定された電サポ状態)に設定し、大当り図柄が通常当り図柄であれば、時短状態(大当り確率が通常確率に設定された電サポ状態)に設定する。また、遊技状態を示す遊技状態指定コマンドをRAM203の出力バッファに記憶しておき、次回の出力処理(S10)でサブ制御基板220に向けて送信する。
こうして特別動作処理(S70)を終了したら、図8の遊技制御処理を一旦終了し、4msec毎のタイマ割り込みが発生すると、再び図8の遊技制御処理を実行する。主制御基板200のCPU201は、以上のような遊技制御処理を繰り返し行うことによって、パチンコ機1での遊技を進行させる。また、主制御基板200のCPU201は、遊技制御処理を実行する中で各種コマンドをサブ制御基板220に向かって送信する。そして、サブ制御基板220のCPU221は、受信したコマンドに基づいて具体的な演出の内容を決定し、演出表示装置41、各種スピーカー6a,6b、各種ランプ5a~5c、演出操作部10a,10b、可動役物100を用いた様々な遊技演出を実行している。以下では、サブ制御基板220のCPU221が実行する処理について説明する。
C-2.図柄変動演出処理 :
図9は、サブ制御基板220のCPU221が行う本実施例の図柄変動演出処理を示したフローチャートである。この図柄変動演出処理は、所定周期で発生するタイマ割り込みに基づいて行われる。尚、以下の説明では、CPU221の初期化処理や、割り込み禁止処理、割り込み許可処理などの周知の処理については説明を省略する。
サブ制御基板220のCPU221は、図柄変動演出処理を開始すると、まず、主制御基板200から変動パターン指定コマンドを受信したか否かを判断する(S100)。前述したように変動パターン指定コマンドは、セグメント表示部50で変動表示が開始される特別図柄(第1特図または第2特図)の変動パターンを指定するコマンドである。そして、変動パターン指定コマンドを受信した場合は(S100:yes)、待機状態中であるか否かを判断する(S101)。前述したように演出表示装置41で識別図柄41a,41b,41cの変動表示を行わないまま所定時間(例えば3分)が経過すると、遊技者よって遊技が行われていないと判断して待機状態(いわゆる客待ち待機)となり、後述する待機状態演出処理において演出表示装置41や可動役物100を用いた専用の演出(待機状態演出)を実行するようになっている。
そして、待機状態中ではない場合は(S101:no)、変動パターン指定コマンドで指定された変動パターンに応じて図柄変動演出の内容を決定する(S102)。前述したように変動パターンは特別図柄の変動時間に対応するものであり、多数設けられた図柄変動演出の演出実行時間は、何れかの変動パターンに対応する変動時間と一致している。S102の処理では、多数の図柄変動演出の中から、変動パターンに対応する演出実行時間の図柄変動演出を、今回の図柄変動演出として決定(選択)する。
また、図柄変動演出の内容には、大当り判定の結果(大当りか外れか)が反映される。前述したように変動パターン指定コマンドと共に、主制御基板200からは特別図柄の停止図柄を指定する停止図柄指定コマンドが送信されており、サブ制御基板220のCPU221は、受信した停止図柄指定コマンドに基づいて大当り判定の結果を把握することが可能である。多数の図柄変動演出には、前述したリーチ演出などが含まれており、大当り判定の結果が大当りであると、リーチ演出を行うのが一般的であると共に、外れ時に比べてノーマルリーチ演出からスーパーリーチ演出に発展する可能性が高い。一方、大当り判定の結果が外れであると、変動時間が短い変動パターンが指定されることが多く、当然ながら図柄変動演出の演出実行時間も短いことから、リーチ演出などを行う余裕がない場合には、識別図柄41a,41b,41cを一瞬変動表示させるだけの図柄変動演出となる。
加えて、大当り判定の結果に応じて、図柄変動演出を終了する際の識別図柄41a,41b,41cの停止態様を決定し、外れの図柄変動演出では、同じ数字で揃わないバラケ目を決定する。これに対して、大当りの図柄変動演出では、同じ数字で揃ったゾロ目を決定する。
こうして図柄変動演出の内容を決定すると、図柄変動演出を開始する(S103)。すなわち、サブ制御基板220のCPU221は、決定した図柄変動演出の内容を指定するコマンドを画像音声制御基板230に向けて送信する。コマンドを受信した画像音声制御基板230は、コマンドに対応する画像を演出表示装置41に表示すると共に、コマンドに対応する音声を各種スピーカー6a,6bから出力する。これにより、演出表示装置41では、識別図柄41a,41b,41cの変動表示が開始され、リーチ演出などが付帯して行われる。尚、本実施例のサブ制御基板220のCPU221は、本発明の「表示制御手段」に相当している。
一方、S101の判断において、待機状態中である場合は(S101:yes)、後述する待機状態演出処理において演出表示装置41における識別図柄41a,41b,41cの変動表示を開始するようになっているため、S102~S103の処理を省略し、続いて、主制御基板200から変動停止コマンドを受信したか否かを判断する(S104)。変動停止コマンドを未だ受信していない場合は(S104:no)、図柄変動演出を継続したまま、図9の図柄変動演出処理を一旦終了し、所定周期でタイマ割り込みが発生すると、再び図9の図柄変動演出処理を実行する。
そして、図柄変動演出の実行中(特別図柄の変動表示中)であれば、主制御基板200から新たに変動パターン指定コマンドが送信されることはなく、S100の判断において、変動パターン指定コマンドを受信していないため(S100:no)、前述したS101~S103の処理を省略して、変動停止コマンドを受信したか否かを再び判断する(S104)。
変動停止コマンドを受信した場合は(S104:yes)、演出表示装置41で実行中の図柄変動演出を終了する(S105)。このときの識別図柄41a,41b,41cの停止態様は、大当り判定の結果に応じて予め決定した態様であり、大当り判定の結果が外れであれば、同じ数字で揃わないバラケ目であるのに対して、大当りであれば、同じ数字で揃ったゾロ目である。
こうして図柄変動演出を終了すると、図9の図柄変動演出処理を一旦終了し、所定周期でタイマ割り込みが発生すると、再び図9の図柄変動演出処理を実行する。そして、主制御基板200から新たに変動パターン指定コマンドを受信すると(S100:yes)、S101以降の一連の処理を実行して、新たな図柄変動演出を行う。
C-3.待機状態演出処理 :
図10は、サブ制御基板220のCPU221が行う本実施例の待機状態演出処理を示したフローチャートである。この待機状態演出処理は、所定周期で発生するタイマ割り込みに基づいて行われる。尚、以下の説明では、CPU221の初期化処理や、割り込み禁止処理、割り込み許可処理などの周知の処理については説明を省略する。
サブ制御基板220のCPU221は、待機状態演出処理を開始すると、まず、図柄変動演出の終了(識別図柄41a,41b,41cの停止表示)から所定時間(例えば3分)が経過したタイミングか否かを判断する(S110)。そして、識別図柄41a,41b,41cの変動表示が行われないまま所定時間が経過したタイミングである場合は(S110:yes)、待機状態に設定して演出表示装置41にデモ画像を表示する(S111)。待機状態では、演出表示装置41に識別図柄41a,41b,41cを表示せず、デモ画像として、パチンコ機1の機種名やメーカー名、登場するキャラクタの紹介などを表示するようになっている。
演出表示装置41にデモ画像を表示すると、続いて、駆動モーター100mの駆動によって可動役物100を演出表示装置41の表示画面の前面の出現位置(図7参照)へと移動させる(S112)。これにより、待機状態中は、可動役物100を演出表示装置41の表示画面の略中央に出現させて目立たせることができる。
一方、S110の判断において、図柄変動演出の終了から所定時間が経過したタイミングではない場合は(S110:no)、続いて、可動役物100が初期位置にあるか否かを判断する(S113)。そして、可動役物100が初期位置にある場合は(S113:yes)、図柄変動演出の終了から所定時間が経過しておらず待機状態にはなっていないと判断されるので、そのまま図10の待機状態演出処理を一旦終了し、所定周期でタイマ割り込みが発生すると、再び図10の待機状態演出処理を実行する。
これに対して、既に待機状態となって可動役物100が初期位置から移動している場合は(S113:no)、S111~S112の処理を省略し、続いて、主制御基板200から変動パターン指定コマンドを受信したか否かを判断する(S114)。そして、変動パターン指定コマンドを受信した場合は(S114:yes)、変動パターン指定コマンドで指定された変動パターンに応じて図柄変動演出の内容を決定する(S115)。このS115の処理は、前述した図9の図柄変動演出処理におけるS102の処理と基本的には同様である。
図柄変動演出の内容を決定したら、待機状態を解除して演出表示装置41に特定画像を表示する(S116)。本実施例の特定画像は、演出表示装置41の背景画像41dを切り換える際に表示する画像(背景変化画像)を流用したものである。前述したように背景画像41dは、周期的(例えば、特別図柄の変動回数が30回に達する毎)に切り換えが行われ、従前の背景画像41dを消してから新たな背景画像41dを表示するまでの間に、背景変化画像を表示するようになっている。尚、特定画像は、背景変化画像に限られず、専用の画像を用意してもよく、暗転であってもよい。
こうして特定画像を表示した状態で、縮小した識別図柄41a,41b,41cの変動表示を、演出表示装置41における特定位置で開始する(S117)。この特定位置は、演出表示装置41の表示画面の前面に出現した可動役物100に識別図柄41a,41b,41が隠れない位置に設定されている。また、前述したバトル演出では、縮小した識別図柄41a,41b,41cの表示位置が演出表示装置41の上部右隅(図6参照)であったのに対し、本実施例の特定位置は、演出表示装置41の上部左隅となっている。このように識別図柄41a,41b,41cの表示サイズや表示位置を変更しても、上述のように演出表示装置41の背景画像41dに代えて特定画像41eを表示しておくことによって、遊技者に与える違和感を抑えることができる。
特定位置で縮小した識別図柄41a,41b,41cの変動表示を開始すると、駆動モーター100mの駆動によって可動役物100を演出表示装置41の左方の初期位置(図7参照)へと移動させる(S118)。尚、演出表示装置41に特定画像を表示している間は、S115の処理で決定した図柄変動演出の内容よりも、識別図柄41a,41b,41cを縮小したまま特定位置での表示を優先する。また、本実施例のパチンコ機1では、演出表示装置41の背景画像41dを切り換えるために背景変化画像を表示している場合は、前述した可動役物100を出現させる予告演出を行わないように設定されているため、上述のように特定画像41eとして背景変化画像を表示しておくことにより、可動役物100を初期位置へと戻している途中で、可動役物100の出現を伴う予告演出を発生させるという誤った制御が行われることを回避することができる。
一方、S114の判断において、主制御基板200から変動パターン指定コマンドを受信していない場合は(S114:no)、続いて、既に待機状態が解除されて(識別図柄41a,41b,41cの変動表示を開始して)可動役物100が初期位置へと移動中か否かを判断する(S119)。演出表示装置41の表示画面の前面に出現した可動役物100が初期位置へと戻るまでには、ある程度の時間を要する。そして、未だ待機状態中であり、可動役物100が移動中ではない場合は(S119:no)、待機状態を維持したまま、図10の待機状態演出処理を一旦終了し、所定周期でタイマ割り込みが発生すると、再び図10の待機状態演出処理を実行する。
これに対して、待機状態の解除に伴って可動役物100が初期位置へと移動中である場合は(S119:yes)、S115~S118の処理を省略して、可動役物100が初期位置に復帰したか否かを判断する(S120)。この判断は、可動役物100が初期位置にあることを直接的に検知して行ってもよいし、可動役物100が初期位置に戻るまでに要する時間を予め設定しておき、その時間が経過したら可動役物100が初期位置にあると判断してもよい。未だ可動役物100が初期位置に復帰していない場合は(S120:no)、演出表示装置41の特定位置における縮小した識別図柄41a,41b,41cの表示を維持したまま、図10の待機状態演出処理を一旦終了し、所定周期でタイマ割り込みが発生すると、再び図10の待機状態演出処理を実行する。
そして、可動役物100が初期位置に復帰した場合は(S120:yes)、演出表示装置41における特定画像の表示を終了して背景画像41dに切り換えると共に、識別図柄41a,41b,41cの縮小を解除して表示位置を演出表示装置41の略中央の標準位置(図5参照)に戻す(S121)。こうして識別図柄41a,41b,41cを標準位置に戻すと、図10の待機状態演出処理を一旦終了し、所定周期でタイマ割り込みが発生すると、再び図10の待機状態演出処理を実行する。尚、識別図柄41a,41b,41cが標準位置に戻った後は、S115の処理で決定した図柄変動演出の内容に従ってリーチ演出などが行われ、主制御基板200から変動停止コマンドを受信すると、前述した図9の図柄変動演出処理において図柄変動演出を終了する(S105)。
図11は、サブ制御基板220のCPU221が本実施例の待機状態演出処理を実行することにより、待機状態で出現させた可動役物100を初期位置に戻しながら、識別図柄41a,41b,41cを変動表示させる例を示した説明図である。前述したように本実施例の可動役物100は、初期位置では演出表示装置41の左方に退避しており、待機状態になると、演出表示装置41の表示画面の前面の出現位置へと移動し、出現位置では演出表示装置41の表示画面の略中央を上下に縦断して覆っている。そして、待機状態が解除されると、図11(a)に示されるように可動役物100が出現位置から初期位置へと戻ることにより、演出表示装置41の表示画面の右側半分が可動役物100の移動経路となる。
また、待機状態が解除されると、演出表示装置41の表示画面上には特定画像41e(図示した例では富士山の画像)が表示されると共に、演出表示装置41の上部左隅に設定された特定位置で縮小した識別図柄41a,41b,41cの変動表示が開始される。この特定位置は、出現位置にある可動役物100によって識別図柄41a,41b,41cが隠れることなく、且つ、可動役物100が初期位置へと戻る移動経路を避けるように設定されている。
そして、図11(b)に示されるように、可動役物100が初期位置へと戻った後に、演出表示装置41の表示画面では、特定画像41eの表示が終了して背景画像41d(図示した例では自動車の画像)に切り換わるのに伴い、識別図柄41a,41b,41cの縮小が解除されて大きさが戻ると共に、表示位置が演出表示装置41の略中央の標準位置へと戻る。
以上に説明したように本実施例のパチンコ機1では、待機状態であると可動役物100を演出表示装置41の表示画面の前面の出現位置へと移動させて、待機状態の解除に伴い変動表示を開始する識別図柄41a,41b,41cの表示位置を、演出表示装置41の略中央の標準位置ではなく、可動役物100に隠れない演出表示装置41の上部左隅の特定位置に変更するようになっている。これにより、待機状態で演出表示装置41の表示画面の前面に可動役物100を出現させて目立たせることが可能でありながら、その可動役物100が識別図柄41a,41b,41cを隠してしまうことがないので、遊技者による識別図柄41a,41b,41cの視認性を確保することが可能となる。
また、本実施例のパチンコ機1では、可動役物100が出現位置から初期位置へと戻る移動経路を避けて特定位置を設定している。このため、可動役物100が出現位置から初期位置へと戻る途中に識別図柄41a,41b,41cの変動表示が行われたとしても、可動役物100が識別図柄41a,41b,41cを隠すことがなく、遊技者による識別図柄41a,41b,41cの視認性を確保することができる。
また、本実施例のパチンコ機1では、可動役物100が出現位置にあると、初期位置にある場合よりも、識別図柄41a,41b,41cを縮小して表示するようになっている。このようにすれば、可動役物100が演出表示装置41の表示画面の大半を覆う大きなものであっても、縮小した識別図柄41a,41b,41cを表示することにより、可動役物100に識別図柄41a,41b,41cが隠れないように特定位置を確保することが容易となる。
さらに、本実施例のパチンコ機1では、出現位置から可動役物100が初期位置に戻った後に、識別図柄41a,41b,41cの表示位置を、特定位置から標準位置へと復帰させるようになっている。これにより、サブ制御基板220のCPU221が、出現位置から初期位置に戻るまでの可動役物100の位置について正確に把握していなくても、可動役物100が識別図柄41a,41b,41cを隠してしまうことを確実に回避することが可能となる。
D.変形例 :
以上、本実施例のパチンコ機1について説明したが、実施態様はこれに限られるわけではなく、次のような変形例の態様で実施することも可能である。尚、変形例の説明にあたっては、上述した実施例と同様の構成部分については、実施例と同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図12は、変形例のパチンコ機1で可動役物100を出現位置から初期位置に戻しながら識別図柄41a,41b,41cを変動表示させる例を示した説明図である。変形例のパチンコ機1では、可動役物100が初期位置へと戻った後ではなく、初期位置に向けて移動中の可動役物100が識別図柄41a,41b,41cの標準位置を通り過ぎた時点で、演出表示装置41における特定画像41eの表示を終了して背景画像41dに切り換えると共に、識別図柄41a,41b,41cの縮小を解除して表示位置を特定位置から標準位置に戻すようになっている。
尚、可動役物100が識別図柄41a,41b,41cの標準位置を通り過ぎたか否かの判断は、可動役物100の位置を直接的に検知して行ってもよいし、可動役物100が識別図柄41a,41b,41cの標準位置を通り過ぎるまでに要する時間を予め設定しておき、その時間が経過したら可動役物100が識別図柄41a,41b,41cの標準位置を通り過ぎたと判断してもよい。
このような変形例のパチンコ機1では、初期位置に向けて移動中の可動役物100が既に識別図柄41a,41b,41cの標準位置を通過していれば、その可動役物100が標準位置の識別図柄41a,41b,41cを隠してしまうことはないので、可動役物100が初期位置に戻るよりも前に速やかに識別図柄41a,41b,41cを標準位置に復帰させることができる。
以上、本発明の実施例および変形例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
例えば、前述した実施例では、待機状態に伴って可動役物100が演出表示装置41の表示画面の前面に移動していると、縮小した識別図柄41a,41b,41cの変動表示を演出表示装置41の上部左隅の特定位置で行うようになっていた。しかし、識別図柄41a,41b,41cが可動役物100に隠れないように特定位置を確保できるのであれば、必ずしも識別図柄41a,41b,41cを縮小しなくてもよい。例えば、図13に示されるように識別図柄41a,41b,41cを縦方向に並べて変動表示させることで、出現位置の可動役物100に隠れないようにしてもよい。ただし、前述した実施例のように識別図柄41a,41b,41cを縮小することにより、可動役物100に隠れないように特定位置を確保することが容易となる。
また、前述した実施例では、可動役物100が初期位置へと戻った後に、識別図柄41a,41b,41cの縮小を解除して表示位置を特定位置から標準位置に戻すようになっていた。しかし、初期位置へと戻る可動役物100の移動に応じて、識別図柄41a,41b,41cの大きさを徐々に戻したり、表示位置を特定位置から標準位置へと徐々に戻したりしてもよい。
また、前述した実施例では、可動役物100が初期位置にあると、識別図柄41a,41b,41cを演出表示装置41の略中央の標準位置に大きく表示するのに対して、待機状態に伴って可動役物100が出現位置に移動していると、縮小した識別図柄41a,41b,41cを演出表示装置41の上部左隅の特定位置に表示するようになっていた。しかし、可動役物100が初期位置にあると、表示内容が同じで大きさが異なる2種類の識別図柄41a,41b,41cを演出表示装置41に表示することとして、大きい識別図柄41a,41b,41cを演出表示装置41の略中央に表示し、小さい識別図柄41a,41b,41cを演出表示装置41の上部右隅に表示するようにしてもよい。そして、待機状態に伴って可動役物100が移動していると、大きい識別図柄41a,41b,41cを表示せず、小さい識別図柄41a,41b,41cの表示位置を演出表示装置41の上部左隅に変更してもよい。
また、前述した実施例では、待機状態に伴って可動役物100が出現位置に移動していると、演出表示装置41の特定位置で縮小した識別図柄41a,41b,41cの変動表示を行うようになっていた。しかし、特定位置で変動表示を行う図柄は、縮小した識別図柄41a,41b,41cに限られず、セグメント表示部50における特別図柄の変動表示と連動したものであれば、識別図柄41a,41b,41cとは異なる態様であってもよい。例えば、色を変えながら点滅することで変動表示を行う光点であってもよく、特別図柄が大当り図柄で停止表示される場合には、所定の当り色(例えば赤色)で点灯し、特別図柄が外れ図柄で停止表示される場合には、当り色以外の外れ色で点灯するようにしてもよい。
また、前述した実施例では、可動役物100の初期位置が演出表示装置41の右方になっていた。しかし、可動役物100の初期位置は、これに限られず、図14に示されるように演出表示装置41の上方であってもよい。図14の例では、可動役物100が横長に形成されており、出現位置では演出表示装置41の表示画面の略中央を左右に横断して覆っている。そして、可動役物100が出現位置から初期位置へと戻ることにより、演出表示装置41の表示画面の上側半分が可動役物100の移動経路となる。そこで、図示されるように特定位置を演出表示装置41の下部右隅に設定すれば、出現位置にある可動役物100によって識別図柄41a,41b,41cが隠れることはなく、且つ、可動役物100が初期位置へと戻る移動経路を避けることができる。
また、前述した実施例では、可動役物100が初期位置において演出表示装置41の表示画面を覆わないように退避していた。しかし、可動役物100が初期位置において演出表示装置41の表示画面の周縁の一部を覆っていてもよい。
また、前述した実施例では、待機状態中に特別図柄の変動表示が開始されると、待機状態を解除して、縮小した識別図柄41a,41b,41cの変動表示を特定位置で開始すると共に、可動役物100を出現位置から初期位置に戻すようになっていた。しかし、待機状態を解除するタイミングは、特別図柄の変動表示の開始時に限られず、例えば、遊技者が発射ハンドル9に触れていることをタッチスイッチ263で検知すると、待機状態を解除して、可動役物100を初期位置に戻すようにしてもよい。この場合でも、可動役物100が出現位置から初期位置へと戻る途中で識別図柄41a,41b,41cの変動表示が開始されることがあるので、識別図柄41a,41b,41cの表示位置を特定位置に変更することにより、遊技者による識別図柄41a,41b,41cの視認性を確保することができる。
また、前述した実施例では、遊技ホールの島設備から供給される遊技球を払い出すことによって、遊技の結果としての利益(遊技価値)を遊技者に付与するパチンコ機1に本発明を適用した例を説明した。これに限らず、「遊技球の払い出し」とは異なる形態で遊技上の利益を付与するタイプの遊技機にも、本発明を適用することができる。例えば、各種入球口への遊技球の入球が発生することで、その入球に対応する利益の量(遊技価値の大きさ)を示すデータを記憶することによって、遊技上の利益(遊技価値)を遊技者に付与するタイプのパチンコ機にも本発明を適用することができ、この場合にも、上述した実施例と同様の効果を得ることができる。なお、遊技上の利益(遊技価値)をデータ化して遊技者に付与するタイプのパチンコ機としては、パチンコ機に内蔵された複数個の遊技球を循環させて使用する遊技機、具体的には、各種入球口あるいはアウト口を経て遊技盤の裏面に排出された遊技球を、再度、発射位置に戻して発射するように構成されたパチンコ機(いわゆる封入式遊技機)を例示できる。
<上述した実施例および変形例から抽出できる遊技機A1~A5>
上述した実施例および変形例のパチンコ機1は、次のような遊技機A1~A5として捉えることができる。
<遊技機A1>
遊技盤に形成された遊技領域に向けて遊技球を発射することによって遊技を行う遊技機において、
前記遊技領域を流下して所定位置に到達した前記遊技球を検知する検知手段と、
表示画面に種々の画像を表示可能な表示装置と、
前記表示装置での表示を制御し、前記検知手段での前記遊技球の検知に基づいて、前記表示画面で識別情報を変動表示させた後に停止表示させる表示制御手段と、
前記遊技機における配置を、初期位置から前記表示画面の前面へと移動可能な可動部材と、
前記可動部材の移動を制御する移動制御手段と
を備え、
前記移動制御手段は、前記表示画面で前記識別情報の変動表示が所定時間以上行われていない待機状態であると、前記可動部材を前記表示画面の前面へと移動させ、
前記表示制御手段は、前記待機状態に伴って前記可動部材が前記表示画面の前面に移動した場合には、該可動部材に隠れない位置に前記識別情報の表示位置を変更する
ことを特徴とする遊技機。
このような遊技機A1では、待機状態で表示装置の表示画面の前面に可動部材を出現させて目立たせることが可能でありながら、その可動部材が識別情報を隠してしまうことがないので、遊技者による識別情報の視認性を確保することが可能となる。
<遊技機A2>
遊技機A1において、
前記表示制御手段は、前記待機状態に伴って前記表示画面の前面に移動した前記可動部材が前記初期位置に戻る経路を避けた位置に前記識別情報を表示する
ことを特徴とする遊技機。
このような遊技機A2では、可動部材が表示装置の表示画面の前面から初期位置へと戻る途中に識別情報の変動表示が行われたとしても、可動部材が識別情報を隠すことがなく、遊技者による識別情報の視認性を確保することができる。
<遊技機A3>
遊技機A1または遊技機A2において、
前記表示制御手段は、
前記可動部材が前記初期位置にあると、前記識別情報を標準位置に表示するのに対して、
前記待機状態に伴って前記可動部材が前記表示画面の前面に移動すると、前記識別情報を前記標準位置とは異なる特定位置に表示し、
前記可動部材が前記表示画面の前面から前記初期位置へと戻った後に、前記識別情報の表示位置を前記特定位置から前記標準位置へと復帰させる
ことを特徴とする遊技機。
このような遊技機A3では、表示装置の表示画面の前面から初期位置に戻るまでの可動部材の位置について位置制御手段や表示制御手段が正確に把握していない場合でも、可動部材が識別情報を隠してしまうことを確実に回避することが可能となる。
<遊技機A4>
遊技機A1または遊技機A2において、
前記表示制御手段は、
前記可動部材が前記初期位置にあると、前記識別情報を標準位置に表示するのに対して、
前記待機状態に伴って前記可動部材が前記表示画面の前面に移動すると、前記識別情報を前記標準位置とは異なる特定位置に表示し、
前記可動部材が前記初期位置に向けて戻りながら前記標準位置を通り過ぎると、前記識別情報の表示位置を前記特定位置から前記標準位置へと復帰させる
ことを特徴とする遊技機。
このような遊技機A4では、初期位置に向けて移動中の可動部材が既に標準位置を通過していれば、その可動部材が標準位置の識別情報を隠してしまうことはないので、可動部材が初期位置に戻るよりも前に速やかに識別情報を標準位置に復帰させることができる。
<遊技機A5>
遊技機A1ないし遊技機A4の何れか1つの遊技機において、
前記表示制御手段は、前記待機状態に伴って前記可動部材が前記表示画面の前面に移動すると、該可動部材が前記初期位置にある場合よりも、前記識別情報を縮小して表示する
ことを特徴とする遊技機。
このような遊技機A5では、可動部材が表示装置の表示画面の大半を覆う大きなものであっても、縮小した識別情報を表示することにより、可動部材に隠れないように識別情報の表示位置を確保することが容易となる。
<上述した実施例および変形例から抽出できる遊技機B1>
上述した実施例および変形例のパチンコ機1は、次のような遊技機B1として捉えることができる。
<遊技機B1>
遊技盤に形成された遊技領域に向けて遊技球を発射することによって遊技を行う遊技機において、
前記遊技領域を流下して所定位置に到達した前記遊技球を検知する検知手段と、
表示画面に種々の画像を表示可能な表示装置と、
前記表示装置での表示を制御し、前記検知手段での前記遊技球の検知に基づいて、前記表示画面で識別情報を変動表示させた後に停止表示させる表示制御手段と、
前記遊技機における配置を、初期位置から前記表示画面の前面へと移動可能な可動部材と、
前記可動部材の移動を制御する移動制御手段と
を備え、
前記表示制御手段は、前記可動部材の移動に伴って、前記表示画面における前記識別情報の表示位置を変更する
ことを特徴とする遊技機。