JP2006066286A - リチウム二次電池の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 電極と電解液との接触状態を効率よく高めることのできるリチウム二次電池製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明の製造方法では、正極と負極と非水系電解液とを備えた電池組立体を、正極活物質(例えばリチウム遷移金属酸化物)の格子体積が電池の通常の使用状態における格子体積の範囲よりも減少または増大した状態に調整する。かかる状態に調整された電池組立体を少なくとも凡そ6時間放置する。これにより、正極活物質の粒子間および/または粒子内に電解液を効率よく浸透させることができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、リチウム二次電池の製造方法に関する。詳しくは、リチウム二次電池を効率よく製造する方法に関する。
正極と負極との間をリチウムイオンが行き来することによって充電および放電するリチウム二次電池が知られている。かかる二次電池の一つの典型的な構成では、リチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出し得る材料(活物質)を有する正極を備える。正極活物質の代表例としては、リチウムと一種または二種以上の遷移金属元素とを構成元素とする酸化物(以下、「リチウム遷移金属酸化物」ともいう。)が挙げられる。負極の代表的な構成としては、リチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出し得る活物質(例えば、グラファイト等の炭素質材料)を備えた構成が挙げられる。電解液の代表的な組成としては、非水系溶媒にリチウム塩(支持塩)を溶解させた組成が挙げられる。特許文献1には、そのような組成の電解液に対して非膨潤性の水溶性高分子が正極活物質の表面を被覆しているリチウム二次電池が記載されている。リチウム二次電池に関する他の従来技術文献として特許文献2および3が挙げられる。
特開平10−289733号公報 特開2002−42817号公報 特開2003−36887号公報
ところで、リチウム二次電池を構成する電極と電解液との接触状態は、該電池の性能(例えば内部抵抗の大きさ)に影響し得る。したがって、電極と電解液との良好な接触状態が実現されるまでの期間を短縮することができれば、安定して高性能を発揮する電池をより効率よく製造し得る。また、電極と電解液とをよりよく接触させた電池を製造することができれば、より電池性能の高い(例えば内部抵抗の小さい)電池を提供し得る。
そこで本発明は、電極(特に正極)と電解液との接触状態を効率よく高めることのできるリチウム二次電池製造方法を提供することを目的とする。
ここに開示される一つのリチウム二次電池製造方法は、リチウムイオンの吸蔵および放出により結晶格子の体積が変化する正極活物質を有する正極と、リチウムイオンを吸蔵および放出し得る負極と、非水系電解液と、を備えた電池組立体を得る工程を含む。該製造方法は、その電池組立体を、前記正極活物質の格子体積が電池の通常の使用状態における格子体積の範囲よりも減少または増大した状態に調整する工程を含む。さらに、かかる状態に調整された電池組立体を凡そ6時間以上放置する工程を含む。この放置期間は、例えば、凡そ5日間以上とすることが好ましい。
上記状態に調整された電池組立体では、電池の通常の使用状態よりも正極活物質が膨張または収縮した状態で正極と電解液とが接触している。そのような状態の正極には(例えば正極活物質の粒子間および/または粒子内には)電解液が浸透しやすい。したがって、かかる状態を維持する(その状態で放置する)ことによって、正極と電解液との接触状態を効率よく高めることができる。これにより正極と電解液との接触状態のよい電池を効率よく製造することができる。
電池組立体を上記状態に調整する方法としては、例えば、該組立体の極間電圧を凡そ4.1Vよりも大きく且つ凡そ4.3V以下(好ましくは、凡そ4.15V以上4.3V以下)に調整する方法を採用することができる。
上記方法は、正極活物質と親水性ポリマーとを含む正極合剤が集電体に保持された構成の正極を備えるリチウム二次電池の製造に対して好ましく適用され得る。一般に親水性ポリマー(例えば水溶性ポリマー)を含む組成の正極合剤には非水系電解液が浸透しにくいところ、上記方法によれば、かかる組成の正極合剤にも該電解液を効率よく浸透させることができる。これにより正極と電解液との接触状態のよい電池を効率よく製造することができる。
リチウムイオンの吸蔵および放出により結晶格子の体積が変化する正極活物質としては、リチウムと遷移金属元素とを構成元素として含む酸化物(以下、「リチウム遷移金属酸化物」ともいう。)を好ましく用いることができる。ここに開示されるリチウム二次電池製造方法の一つの好ましい態様では、前記酸化物を構成する主たる遷移金属元素がニッケルである。この場合、前記調整工程では、前記正極の電位(対Li/Li+)が例えば4.25V以上4.4V以下の範囲となるように前記電池組立体を調整するとよい。他の一つの好ましい態様では、前記酸化物を構成する主たる遷移金属元素がコバルトである。この場合、前記調整工程では、前記正極の電位(対Li/Li+)が例えば4.35V以上4.4V以下または2.8V以上3.6V以下の範囲となるように前記電池組立体を調整するとよい。さらに他の一つの好ましい態様では、前記酸化物を構成する主たる遷移金属元素がマンガンである。この場合、前記調整工程では、前記正極の電位(対Li/Li+)が例えば4.25V以上4.4V以下または2V以上3.3V以下の範囲となるように前記電池組立体を調整するとよい。これらの態様によると、リチウム遷移金属酸化物を正極活物質とする電池であって、正極と電解液との接触状態がよいリチウム二次電池を効率よく製造することができる。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
ここに開示される技術は、リチウムイオンの吸蔵および放出により結晶格子の体積が変化(結晶格子が変形)する正極活物質を備える各種のリチウム二次電池(典型的には、リチウムイオン二次電池)に適用することができる。好ましくは、正極活物質としてリチウム遷移金属酸化物を用いたリチウム二次電池の製造に適用される。例えば、該酸化物を構成する主たる(第一の)遷移金属元素がニッケル(Ni)であるリチウム遷移金属酸化物(以下、「リチウムニッケル系酸化物」ともいう。)、その主たる遷移金属元素がコバルト(Co)であるリチウム遷移金属酸化物(以下、「リチウムコバルト系酸化物」ともいう。)、その主たる遷移金属元素がマンガン(Mn)であるリチウム遷移金属酸化物(以下、「リチウムマンガン系酸化物」ともいう。)等を好ましく採用することができる。
ここで「リチウムニッケル系酸化物」とは、リチウム(Li)とニッケル(Ni)とを構成金属元素とする酸化物の他、LiおよびNi以外に他の少なくとも一種の金属元素(すなわち、LiおよびNi以外の遷移金属元素および/または典型金属元素)をNiよりも少ない割合(原子数比)で含む組成の酸化物をも包含する意味である。その金属元素は、例えば、Co,Al,Mn,Cr,Fe,V,Mg,Ti,Zr,Nb,Mo,W,Cu,Zn,Ga,In,Sn,LaおよびCeからなる群から選択される一種または二種以上であり得る。リチウムコバルト系酸化物およびリチウムマンガン系酸化物についても同様である。
このようなリチウム遷移金属酸化物は、例えば、平均粒子径が0.5〜50μm(好ましくは3〜15μm)の粒子からなる粉末状の材料として正極の製造に使用される。かかる正極活物質粒子の典型的な性状では、一次粒子が集まって二次粒子を形成している。
上記電池組立体は、上述のような正極活物質が金属等からなる導電性部材(正極集電体)に保持された構成の正極を用いて構築されたものであり得る。正極集電体としては、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)等を主体とする棒状体、板状体、箔状体、網状体等を使用することができる。かかる正極の一つの好ましい態様としては、上述のような正極活物質と必要に応じて用いられる他の成分とを含む正極合剤が上記正極集電体に保持された態様の正極を例示することができる。例えば、上記正極集電体の片面または両面に正極合剤の層(正極合剤層)が設けられた構成の正極であり得る。
正極合剤に含まれ得る正極活物質以外の成分(上記「他の成分」)の一例として導電材が挙げられる。該導電材としては、例えば、カーボンブラック(アセチレンブラック等)のような炭素材料、ニッケル粉末等の導電性金属粉末等を用いることができる。
正極合剤に含まれ得る正極活物質以外の成分の他の例としては、各種の有機ポリマーが挙げられる。例えば、メチルセルロース(MC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等のセルロース類、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、ポリアルキレンオキサイド(例えばポリエチレンオキサイド)等の親水性ポリマーから選択される一種または二種以上のポリマーを、正極合剤の構成成分として好ましく採用することができる。ここで「親水性ポリマー」とは、水溶性ポリマーおよび水膨潤性(水で膨潤する性質を有する)のポリマーを含む概念である。正極合剤に含ませ得る他の材料としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF−HFP)、スチレンブタジエンブロック共重合体(SBR)等のポリマーが挙げられる。熱可塑性のポリマーを用いることが好ましい。このようなポリマーは、例えば、正極合剤におけるバインダ(結着剤)等として機能し得る。
ここに開示される発明の好ましい一つの態様では、上記正極合剤が少なくとも一種の親水性ポリマー(より好ましくは、少なくとも一種の水溶性ポリマー)を含有する。かかる組成の正極合剤層を有する正極を用いてリチウム二次電池を製造する場合には、本発明の適用効果が特によく発揮され得る。特に限定するものではないが、正極合剤全体に占めるポリマーの割合(質量比)は、例えば凡そ0.5〜15質量%程度とすることができる。例えば、正極合剤全体に占める水溶性ポリマーの割合(質量比)が凡そ0.3〜10質量%(より好ましくは凡そ0.5〜5質量%)である正極合剤を備える正極が好ましい。
ここに開示される発明に用いられる正極は、例えば以下のようにして用意されたものであり得る。すなわち、正極活物質(典型的には粉末状)と必要に応じて用いられる他の成分(導電材、ポリマー等)とを所定の割合で適当な溶媒と混合して液状組成物(スラリー)を調整する。該組成物を、シート状の正極集電体(例えばAl箔)の片面または両面に付与する。正極集電体に組成物を付与する方法としては、ロールコーター、バーコーター、ドクターブレード等を用いて塗布(塗工)する方法、スクリーン印刷による方法、転写による方法等を適宜採用することができる。その後、正極集電体に付与された組成物から溶媒を除去し、必要に応じて厚み方向にプレスする。このようにして、正極集電体上の片面または両面に正極合剤層が形成された構成の正極を得ることができる。
上記組成物の調整に用いる溶媒としては水系溶媒を好ましく選択することができる。ここで水系溶媒とは、水または水を主体とする混合溶媒を指す。該混合溶媒を構成する水以外の成分としては、水と均一に混合し得る有機溶媒(比較的低分子量のアルコール類、ケトン類等)の一種または二種以上を選択することができる。例えば、実質的に水からなる水系溶媒を好ましく使用することができる。このような水系溶媒(典型的には水)と、該溶媒に溶解する一種または二種以上のポリマー(水溶性ポリマー)とを含有する液状組成物を用いて形成された正極合剤層を備える正極が好ましい。かかる構成の正極を用いてリチウム二次電池の製造に対しては、本発明の適用効果が特によく発揮され得る。
ここに開示される製造方法では、正極と負極と電解液とを有する電池組立体を形成する。好ましい一つの態様では、該電池組立体が、正極と負極とセパレータとを備える発電要素および電解液がケースに収容された構成を有する。上記発電要素は、例えば、シート状の正極とシート状の負極の間にシート状のセパレータを挟み、これらを長手方向に捲回することにより形成することができる。その捲回体の一部(例えば軸方向の両端)に、必要に応じて集電端子を接続(例えば溶接)した構成の発電要素としてもよい。上記電池組立体は、例えば、上記発電要素をケースに収容し、同ケースに電解液を注入して該発電要素に含浸させることにより形成することができる。
このような電池組立体を構成する負極としては、例えば、金属等からなる導電性部材(負極集電体)にリチウムイオンの吸蔵および放出が可能な負極活物質が保持された構成のものを用いることができる。負極活物質としては、アモルファス構造および/またはグラファイト構造の炭素材料等を用いることができる。例えば、天然黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、高配向性グラファイト(HOPG)、ハードカーボン、ソフトカーボン、金属リチウム等の、一般的なリチウム二次電池の負極に用いられる活物質の一種または二種以上を好ましく用いることができる。負極集電体としては、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)等を主体とする棒状体、板状体、箔状体、網状体等を使用することができる。かかる負極の一つの好ましい態様としては、上述のような負極活物質と必要に応じて用いられる他の材料(導電材、ポリマー等)とを含む負極合剤が上記負極集電体に保持された態様の負極を例示することができる。例えば、上記負極集電体の片面または両面に負極合剤の層(負極合剤層)が設けられた構成の負極を好ましく用いることができる。上記他の材料としては正極と同様の材料等を選択し得る。このような構成の負極は、例えば、正極と同様の方法等により作製することができる。
セパレータとしては、従来のリチウム二次電池に用いられるセパレータと同様のもの等を用いることができる。例えば、樹脂製(典型的には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂製)の多孔質膜を使用することができる。また、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース(MC)等からなる織布または不織布を用いてもよい。
電解液としては、従来のリチウム二次電池に用いられる非水系電解液等を備えることができる。そのような電解液としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の非水系溶媒から選択されるいずれかの溶媒または二種以上の溶媒を含む混合溶媒に、LiCF3SO3,LiC49SO3,LiClO4,LiPF6,LiBF4,LiN(CF3SO22,LiC(CF3SO23等の溶質化合物(支持塩)の一種または二種以上を溶解させた組成の電解液等を例示することができる。
上記調整工程では、上記電池組立体を、前記正極活物質の格子体積が電池の通常の使用状態における格子体積の範囲よりも減少または増大した状態に調整する。通常、リチウム二次電池が充電されるときには正極側から負極側へとリチウムイオンが移動し、該電池が放電するときには負極側から正極側へとリチウムイオンが移動する。正極活物質は、上記充電の際にはリチウムイオンを放出し、上記放電の際にはリチウムイオンを吸蔵する。このようなリチウムイオンの吸蔵および放出(挿入および脱離)によって正極活物質(典型的にはリチウム遷移金属酸化物)の格子体積が変化し得る。
一般的なリチウム二次電池は、該電池の構成(例えば正極活物質の組成、電解液の組成)等に応じて定められた極間電圧の範囲(以下、「通常使用時の電圧範囲」ともいう。)で使用することが予定されている。かかる電圧範囲は、典型的には、該電池の定格充放電電圧の範囲に相当する。ここでいう「電池の通常の使用状態における格子体積の範囲」とは、通常使用時の電圧範囲で電池の充放電(正極活物質へのリチウムイオンの吸蔵および放出)が行われるときに、該電池の正極活物質の格子体積が変動し得る範囲をいう。
ここに開示される発明の一つの好適な態様では、上記調整工程において、正極活物質(典型的には、リチウム遷移金属酸化物)の格子体積が、電池の通常の使用状態で格子体積が変動し得る範囲の下限の格子体積(以下、この下限の格子体積を「LL」と表すことがある。)よりもさらに減少した状態となるように電池組立体を調整する。かかる状態に調整された電池組立体における正極活物質の格子体積(以下、「LC」と表すことがある。)の、上記格子体積LLに対する体積減少割合は特に限定されない。本発明の効果を適切かつ十分に発揮させるという観点からは、例えば、格子体積の減少割合[1−(LC/LL)]が凡そ0.2〜10%程度(好ましくは凡そ0.5〜5%程度)となるように電池組立体を調整するとよい。なお、これらの格子体積としては、例えば、正極活物質のX線回折データから得られた格子定数に基づいて算出した値を採用することができる。
上記格子体積の減少割合の好適範囲は、正極活物質の種類(組成)等によっても異なる。正極活物質としてリチウムニッケル系酸化物を用いる場合には、上記体積減少割合[1−(LC/LL)]が例えば凡そ0.2〜5%程度(好ましくは凡そ0.5〜3%程度、より好ましくは凡そ1〜2%程度)となるように電池組立体を調整するとよい。正極活物質としてリチウムコバルト系酸化物を用いる場合には、上記体積減少割合が例えば凡そ0.2〜5%程度(好ましくは凡そ1〜3%程度)となるように電池組立体を調整するとよい。正極活物質としてリチウムマンガン系酸化物を用いる場合には、上記体積減少割合が例えば凡そ0.2〜5%程度(好ましくは凡そ1〜2%程度)となるように電池組立体を調整するとよい。
ここに開示される発明の他の一つの好適な態様では、上記調整工程において、正極活物質(典型的には、リチウム遷移金属酸化物)の格子体積が、電池の通常の使用状態で格子体積が変動し得る範囲の上限の格子体積(以下、この上限の格子体積を「LU」と表すことがある。)よりもさらに増大した状態となるように電池組立体を調整する。かかる状態に調整された電池組立体における正極活物質の格子体積LCの、上記格子体積LUに対する体積増加割合は特に限定されない。本発明の効果を適切かつ十分に発揮させるという観点からは、例えば、格子体積の増加割合[(LC/LU)−1]が凡そ0.2〜10%程度(好ましくは凡そ0.5〜5%程度)となるように電池組立体を調整するとよい。正極活物質としてリチウムマンガン系酸化物を用いる場合には、上記体積増加割合が例えば凡そ0.2〜8%程度(好ましくは凡そ1〜2%程度)となるように電池組立体を調整するとよい。
電池の通常の使用状態における格子体積の範囲よりも正極活物質の格子体積が減少した状態(正極活物質粒子が収縮した状態)または増大した状態(正極活物質粒子が膨張した状態)を実現する方法としては、以下の方法を例示することができる。
(1)電池の通常使用時の電圧範囲の上限よりも極間電圧が高い状態に電池組立体を調整する方法。例えば、電池の通常使用時の電圧範囲の上限よりも凡そ0.05〜0.2V程度高い電圧となるように電池組立体を調整する。この状態は、電池の通常使用時と比較すると、正極活物質からリチウムイオンが過剰に放出された状態に相当する。
(2)電池の通常使用時の電圧範囲の下限よりも極間電圧が低い状態に電池組立体を調節する方法。例えば、電池の通常使用時の電圧範囲の下限よりも凡そ0.05〜1.2V程度低い電圧となるように電池組立体を調整する。この状態は、電池の通常使用時と比較すると、正極活物質にリチウムイオンが過剰に吸蔵された状態に相当する。
正極活物質の格子体積を減少させる方法および該格子体積を増大させる方法としては、正極活物質の性質に応じて適切な方法を適宜選択することができる。大まかな傾向として、正極活物質の格子体積を減少させる方法として上記(1)の方法を好ましく選択することができ、該格子体積を増大させる方法として上記(2)の方法を好ましく選択することができる。また、正極活物質の種類によっては、上記(2)の方法によって格子体積を減少させることができる。そのような性質を有する正極活物質としては、リチウムコバルト系酸化物を例示することができる。
上記(1)の状態に調整された電池組立体の正極は、電池の通常の使用状態における正極電位の範囲の上限よりも高い電位となっている。また、上記(2)の状態に調整された電池組立体の正極は、電池の通常の使用状態における正極電位の範囲の下限よりも低い電位となっている。正極活物質としてリチウム遷移金属酸化物を用いる場合には、該正極電位が凡そ4.2V(対Li/Li+、以下同じ。)よりも高く且つ4.4V以下(例えば凡そ4.25V以上4.4V以下)となるように電池組立体を調整することができる。また、該正極電位が凡そ2V以上3.6V以下(好ましくは2.8V以上3.4V以下)となるように電池組立体を調整することができる。上記いずれかの範囲に含まれる正極電位となるように電池組立体を調整することにより、正極活物質の格子体積が適度に減少または増大した状態を実現し得る。
かかる調整工程における正極電位の好ましい範囲は、正極活物質の組成等によっても異なり得る。例えば、正極活物質としてリチウムニッケル系酸化物を用いる場合には、正極電位が凡そ4.25V以上4.4V以下(より好ましくは凡そ4.3V以上4.35V以下)の範囲となるように前記電池組立体を調整することにより、該酸化物の格子体積が適度に減少した状態を実現し得る。正極活物質としてリチウムコバルト系酸化物を用いる場合には、上記正極電位が凡そ4.35V以上4.4V以下または凡そ2.8V以上3.6V以下(典型的には2.9V以上3.5V以下、より好ましくは凡そ3V以上3.4V以下)の範囲となるように前記電池組立体を調整することにより、該酸化物の格子体積が適度に減少した状態を実現し得る。正極活物質としてリチウムマンガン系酸化物を用いる場合には、上記正極電位が凡そ4.25V以上4.4V以下(より好ましくは凡そ4.3V以上4.35V以下)の範囲となるように前記電池組立体を調整することによって該酸化物の格子体積が適度に減少した状態を実現することができ、また、上記正極電位が凡そ2V以上3.3V以下(典型的には2.5V以上3.3V以下、より好ましくは凡そ2.8V以上3.3V以下)の範囲となるように前記電池組立体を調整することによって該酸化物の格子体積が適度に増大した状態を実現することができる。
上記状態に調整された電池組立体の正極は、正極活物質の格子体積が電池の通常の使用時よりも減少または増大していることによって、例えば正極活物質の粒子(二次粒子)相互の間、該粒子を構成する一次粒子の間、正極活物質とポリマー(バインダ等)との間等に隙間が生じがちである。このため電解液が浸透(浸入)しやすい状態となっている。かかる状態に調整された電池組立体を放置することによって、電解液を正極(例えば正極合剤層)に効率よく浸透させることができる。したがって電解液と正極(特に正極活物質)との良好な接触がより短期間のうちに実現され得る。その結果、電池の内部抵抗を効率よく低下させることができる。正極活物質と水溶性ポリマーを含む組成の正極合剤を有する正極(特に、水系溶媒に水溶性ポリマーを溶解させた液状組成物を用いて形成された正極合剤層を有する正極)に対しては、上述のように電解液の浸透性を向上させる効果がより顕著に発揮され得る。
ここに開示される発明の一つの好ましい態様では、上記状態に調整された電池組立体を少なくとも凡そ6時間放置する。該放置工程は、典型的には、両極間を開放した状態(リチウムイオンの吸蔵および放出が実質的に進行しない状態)で行われる。通常は、この放置期間を凡そ24時間以上とすることが適当であり、凡そ3日間以上とすることが好ましく、凡そ5日間以上とすることがより好ましい。例えば、該放置期間を凡そ6時間以上30日間以下の期間とすることができ、凡そ24時間以上20日間以下とすることが好ましく、凡そ3日間以上15日間以下とすることがより好ましく、凡そ5日間以上10日間以下とすることがさらに好ましい。放置期間を上記範囲とすることにより、リチウム二次電池の製造効率と、得られる電池の性能(例えば内部抵抗の値)とをより高度にバランスさせることができる。
上記放置工程における環境温度(放置温度)は特に限定されない。例えば0〜60℃程度の温度域で放置することができる。エネルギーコスト等の観点から、通常は常温付近の温度域(例えば10〜40℃)で放置することが有利である。また、かかる温度域で放置することにより、他の電池性能への影響をよりよく抑制しつつ、電解液の浸透を効果的に促進することができる。
ここに開示されるリチウム二次電池製造方法は、上記放置工程の後に、上記電池組立体を電池の通常使用時の電圧範囲に戻す(再調整する)工程をさらに備えることができる。上記放置工程時における電池電圧によっては、上記放置工程を過剰に長く継続した場合に一部の電池性能が低下しやすくなることがある。放置工程の後に上記再調整工程を設けることにより、かかる不都合を回避することができる。これにより、放置工程時の電池電圧として選択し得る電圧の範囲をより拡げることができる。
また、上記放置工程の前および/または後に、上記電池組立体を電池の通常使用時の電圧範囲内で充電および放電する工程を追加的に行ってもよい。例えば、電池の通常使用時の電圧範囲内で1回〜数回程度の充放電を行うことができる。このような充放電は、より性能の安定した電池(製品)を得る等の目的から行われるものであって、コンディショニングと称されることもある。ここに開示されるリチウム二次電池製造方法は、かかるコンディショニング工程を含む態様で実施することができる。通常は、該コンディショニング工程を上記放置工程の前に行うことが好ましい。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<実験例1:リチウムニッケル系酸化物を用いた電池>
本実験例では、正極活物質として、LiNi0.81Co0.16Al0.032で表される組成のリチウムニッケル系酸化物を使用した。該酸化物の粉末(平均粒子径約7μm)を、導電材としてのアセチレンブラック(AB)と、カルボキシメチルセルロース(CMC)およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)とともにイオン交換水と混合して液状組成物を調製した。この組成物中に含まれる活物質:導電材:CMC:PTFEの質量比は、凡そ87:10:2:1である。
正極集電体としてのアルミニウム箔の両面に上記組成物を塗布して乾燥させた。これを全体の厚さが約75μmとなるようにプレスし、所定幅にスリットして、正極集電体の両面に正極合剤層を備えるシート状の正極(正極シート)を作製した。
負極活物質としての人造黒鉛粉末(平均粒径約10μm)を、カルボキシメチルセルロース(CMC)およびスチレンブタジエンゴム(SBR)とともにイオン交換水と混合して液状組成物を調製した。この組成物中に含まれる黒鉛:CMC:SBRの質量比は、凡そ98:1:1である。負極集電体としての銅箔の両面に上記組成物を塗布して乾燥させた。これを全体の厚さが約75μmとなるようにプレスし、所定幅にスリットして、負極集電体の両面に負極合剤層を備えるシート状の負極(負極シート)を作製した。
セパレータとしては厚さ約25μmのポリエチレン製の微多孔性シートを用いた。このセパレータシートを介して正極シートと負極シートとが対向するように重ね合わせ、これを長尺方向に捲回した。このようにして得られた発電要素をアルミニウム製の円筒型容器に収容した。上記容器の上面に設けられた貫通孔(注液孔)から電解液を注入した後、電池容器を密閉した。電解液としては、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)との3:3:4(体積比)混合溶媒に約1mol/リットルの濃度でLiPF6を含むものを用いた。このようにして電池組立体を得た。この電池組立体(電池)は、通常使用時の電圧範囲で約1000mAhの容量を有する。なお、このような構成(正極および負極の構成材料、電解液の組成等)を有するリチウム二次電池は、通常、電池電圧(極間電圧、すなわち正極と負極との電位差)が3〜4.1Vの範囲となる条件で使用される。換言すれば、本実験例に係る電池の通常使用時の電圧範囲は3〜4.1Vである。かかる電圧範囲で電池が使用されるとき、その正極電位は凡そ3.5〜4.2V(対Li/Li+)の範囲で推移する。
電解液を注入してから1時間放置した後、得られた電池組立体に対し、上記通常使用時の電圧範囲で初期充放電(コンディショニング)を行った。具体的には、上限電圧を4.1Vとして電流密度1Cの定電流定電圧充電を行った後、電池電圧が3Vとなるまで1Cで放電させた。次いで、該電池組立体(電池)を上記通常使用時の電圧範囲よりも高い電池電圧に調整した。具体的には、上限電圧を4.2Vとして電流密度1Cの定電流定電圧充電を行った。該電池電圧における正極電位は約4.3V(対Li/Li+)である。このとき正極活物質は、電池組立後(電池組立時)の状態に比べて、該活物質1g当たり約208mAhに相当する量のリチウムイオンを放出した状態にある。
上記と同様にして、初期充電後に電圧4.15V(正極電位4.25V(対Li/Li+))、電圧4.25V(正極電位4.35V(対Li/Li+))、電圧4.3V(正極電位4.4V(対Li/Li+))、および電圧4.35V(正極電位4.45V(対Li/Li+))の各状態に調整した電池を用意した。また、比較のため、初期充電後に通常使用時の電圧範囲である電圧4.1V(正極電位4.2V(対Li/Li+))に調整した電池を用意した。
これら各状態に調整した電池を25℃の環境下に放置し、その放置期間と電池の直流抵抗(内部抵抗)との関係を評価した。直流抵抗値の測定は、25℃の恒温槽内にて、以下の手順で行った。すなわち、所定期間放置後の電池をいったん3Vまで1Cで放電させた後、上限電圧を4.1Vとして1Cの定電流定電圧充電を合計1.5時間行い、次いで3Vまで1Cで放電させた。このときの放電容量を電池容量とした。その後、1Cの定電流定電圧充電を合計で1.5時間行って、各電池を電池電圧3.72V(SOC約60%)まで充電した。かかる充電状態に調整された電池につき、最大12Cで充放電を行い、10秒後の電圧低下量から直流抵抗値を算出した。得られた測定結果を、電圧4.1Vに調整して10日間放置した電池の直流抵抗値を1とする比直流抵抗に換算して図1に示した。
図示するように、4.15〜4.3Vの電圧に調整した電池によると、4.1Vに調整した電池に比べて直流抵抗をより速やかに低下させることができた。この結果は、上記電圧に調整した電池を放置することにより、電極(特に正極)に電解液を十分に浸透させるための放置時間を短縮し得ること、これにより電池の製造効率を向上させ得ることを示唆している。上記電圧に調整した電池によると、少なくとも1日以上の放置により明らかな効果が得られ、3日以上の放置によりさらに良好な効果が得られ、5日以上の放置により最も良好な効果が得られた。また、これらの電圧に調整した電池によると、4.1Vに調整した電池よりも低い直流抵抗値を達成することができた。
一方、4.35Vに調整した電池では放置期間の経過につれて直流抵抗が増加した。これは、放置時の電池電圧が比較的高いことにより電解液の分解が引き起こされたためと推察される。4.3Vに調整した電池でも放置期間が長くなると抵抗が増加する傾向が見られた。したがって、本実験例の構成の電池において放置時の電圧として4.3V付近を採用する場合には、放置期間を20日以下とすることが適当である。
なお、リチウムニッケル系酸化物(典型的にはLiNiO2)からリチウムが脱離する場合、リチウムの脱離量が化学量論比の凡そ75%に相当する量以上になると結晶格子のc軸が顕著に減少する。本実験例において電池電圧4.2V以上(正極電位4.3V以上)に調整した電池の正極活物質は、化学量論比の凡そ75%に相当する量以上のリチウムが脱離した状態にあると考えられる。電圧4.2V(正極電位4.3V(対Li/Li+))に調整した電池につき、X線回折によるa軸およびc軸の格子定数から正極活物質の単位格子の体積(格子体積)を算出したところ約96.5Å3であった。この正極活物質の格子体積は、該活物質を有する正極の電位が3.5〜4.2V(対Li/Li+)となる範囲では98〜100Å3の範囲にある。この結果から、電圧4.2Vに調整した電池では、その正極活物質の格子体積が、電池の通常使用時における下限の格子体積(98Å3)よりも1.5%以上減少していることが確認された。
4.15〜4.3Vおよび4.1Vの各電圧に調整して上記条件で10日間放置した電池につき、測定温度60℃、サイクル電圧範囲3〜4.1V、2Cの電流で定電流充放電サイクル試験を行い、サイクル数と電池容量との関係を評価した。その結果を、各電池の初回のサイクルにおける電池容量を1とする比容量に換算して図2に示した。
図示するように、通常使用時の電圧範囲よりも高い4.15〜4.3Vに調整して10日間放置した電池は、いずれも、通常使用時の電圧範囲(4.1V)に調整して同様に放置した電池と同等の耐久性(充放電サイクルに対する容量維持性)を示した。この結果は、電池の製造時において該電池を一時的に通常の使用状態よりも高い電圧(ここでは4.15〜4.3V)に調整して放置しても、正極活物質の結晶構造の不可逆的な変化、結晶の一部崩壊、電池の劣化等の不都合は生じなかったということを示唆している。
<実験例2:リチウムコバルト系酸化物を用いた電池>
本実験例では、正極活物質として、実験例1で用いたリチウムニッケル系酸化物に代えて、LiCoO2で表される組成のリチウムコバルト系酸化物を用いた。その他の点については実験例1と同様にして電池組立体(電池)を作製した。かかる構成の電池の通常使用時の電圧範囲は3〜4.1V(正極電位3.5〜4.2V(対Li/Li+))である。それらの電池を、実験例1と同様にして、それぞれ電圧4.15V(正極電位4.25V(対Li/Li+))、電圧4.2V(正極電位4.3V(対Li/Li+))、電圧4.25V(正極電位4.35V(対Li/Li+))、電圧4.3V(正極電位4.4V(対Li/Li+))、および電圧4.35V(正極電位4.45V(対Li/Li+))に調整した。比較のため、初期充電後に通常使用時の電圧範囲である電圧4.1V(正極電位4.2V(対Li/Li+))に調整した電池を用意した。
上記の各状態に調整した電池を25℃の環境下に3日間放置した後、実験例1と同様にして直流抵抗値を測定した。得られた測定結果を、電圧4.1Vに調製して3日間放置した電池の直流抵抗値を1とする比直流抵抗に換算して図3に示した。
この図から判るように、本実験例の構成を有する電池では、放置期間を3日間とする場合、該放置時の電池電圧を4.25〜4.3V(正極電位としては4.35〜4.45V(対Li/Li+))とすることによって、直流抵抗の低下を促進する効果が得られた。これは、かかる電圧に調整された電池では正極活物質の格子体積(主としてc軸の長さ)が適度に減少していることにより、実験例1と同様に電解液の浸透を促進する効果が得られたものと考えられる。
なお、上記構成の電池につき、放置時の電池電圧を通常使用時の電圧範囲よりも低い電圧である2.6V(正極電位3.1V(対Li/Li+))とした点以外は上記と同様にして実験を行ったところ、同様に直流抵抗の低下(電解液の浸透)を促進する効果が得られた。これは、リチウムコバルト系酸化物(典型的にはLiCoO2)からリチウムが脱離する場合、リチウムの脱離量が化学量論比の凡そ80%以上および凡そ10%以下のいずれの範囲でも結晶格子のc軸が減少するためと考えられる。
<実験例3:リチウムマンガン系酸化物を用いた電池>
本実験例では、正極活物質として、実験例1で用いたリチウムニッケル系酸化物に代えて、Li1.1Mn1.94で表される組成のリチウムマンガン系酸化物を用いた。その他の点については実験例1と同様にして電池組立体(電池)を作製した。かかる構成の電池の通常使用時の電圧範囲は3〜4.1V(正極電位3.5〜4.2V(対Li/Li+))である。それらの電池を、実験例1と同様にして、それぞれ電圧4.15V(正極電位4.25V(対Li/Li+))、電圧4.2V(正極電位4.3V(対Li/Li+))、電圧4.25V(正極電位4.35V(対Li/Li+))、電圧4.3V(正極電位4.4V(対Li/Li+))、および電圧4.35V(正極電位4.45V(対Li/Li+))に調整した。比較のため、初期充電後に通常使用時の電圧範囲である電圧4.1V(正極電位4.2V(対Li/Li+))に調整した電池を用意した。
上記の各状態に調整した電池を25℃の環境下に3日間放置した後、実験例1と同様にして直流抵抗値を測定した。得られた測定結果を、電圧4.1Vに調製して3日間放置した電池の直流抵抗値を1とする比直流抵抗に換算して図4に示した。
この図から判るように、本実験例の構成を有する電池では、放置期間を3日間とする場合、該放置時の電池電圧を4.15〜4.3V(正極電位としては4.25〜4.4V(対Li/Li+))とすることによって、直流抵抗の低下を促進する効果が得られた。これは、かかる電圧に調整された電池では正極活物質の格子体積(主としてc軸の長さ)が適度に減少していることにより、実験例1と同様に電解液の浸透を促進する効果が得られたものと考えられる。放置時の電池電圧が4.2〜4.25V(正極電位4.3〜4.35V(対Li/Li+))の範囲では特に良好な結果が得られた。
以上、本発明の好適な実施態様を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した態様を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
リチウムニッケル系酸化物を用いた電池につき、種々の電圧に調整した電池の放置期間と直流抵抗との関係を示すグラフである。 リチウムニッケル系酸化物を用いた電池につき、放置時の電圧とサイクル特性との関係を示すグラフである。 リチウムコバルト系酸化物を用いた電池につき、放置時の電圧と直流抵抗との関係を示すグラフである。 リチウムマンガン系酸化物を用いた電池につき、放置時の電圧と直流抵抗との関係を示すグラフである。

Claims (7)

  1. 以下の工程:
    リチウムイオンの吸蔵および放出により結晶格子の体積が変化する正極活物質を有する正極と、リチウムイオンを吸蔵および放出し得る負極と、非水系電解液と、を備えた電池組立体を得る工程;
    その電池組立体を、前記正極活物質の格子体積が電池の通常の使用状態における格子体積の範囲よりも減少または増大した状態に調整する工程;および、
    かかる状態に調整された電池組立体を少なくとも6時間放置する工程;
    を包含するリチウム二次電池の製造方法。
  2. 前記放置工程では、前記状態に調整された電池組立体を少なくとも5日間放置する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記正極は、前記正極活物質と親水性ポリマーとを含む正極合剤が集電体に保持された構成を有する、請求項1に記載の方法。
  4. 前記正極活物質は、リチウムと遷移金属元素とを構成元素として含む酸化物である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記酸化物を構成する主たる遷移金属元素がニッケルであり、
    前記調整工程では、前記正極の電位(対Li/Li+)が4.25V以上4.4V以下の範囲となるように前記電池組立体を調整する、請求項4に記載の方法。
  6. 前記酸化物を構成する主たる遷移金属元素がコバルトであり、
    前記調整工程では、前記正極の電位(対Li/Li+)が4.35V以上4.4V以下または2.8V以上3.6V以下の範囲となるように前記電池組立体を調整する、請求項4に記載の方法。
  7. 前記酸化物を構成する主たる遷移金属元素がマンガンであり、
    前記調整工程では、前記正極の電位(対Li/Li+)が4.25V以上4.4V以下または2V以上3.3V以下の範囲となるように前記電池組立体を調整する、請求項4に記載の方法。
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