JP2006065575A - 液体用レギュレータ - Google Patents

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Abstract

【課題】1次側の圧力変動だけでなく、2次側の圧力変動に対して優れた流量制御の応答性を発揮し、高精度の流量制御が可能になる液体用レギュレータを提供すること。
【解決手段】液体用レギュレータ10は、空気等の気体による操作圧力を第1ダイアフラム14に受けて弁開度の調整力を発生させる第1のダイアフラム室16と、2次側から導入した液体の圧力変動を第2ダイアフラム15に受けて弁開度の調整力を発生させる第2のダイアフラム室17と、第1及び第2のダイアフラム室16,17で各々発生した調整力を受けて軸方向へスライドする軸部12と、軸部12と一体に動作して弁開度の調整を行う弁体13と、第1のダイアフラム室16と第2のダイアフラム室17との間でお互いに干渉しないように遮断する仕切壁11aと、第1及び第2のダイアフラム室16,17間で流体の流通を遮断するベローズ22とを具備して構成した。
【選択図】図1

Description

本発明は、1次側の圧力変動はもとより、2次側の圧力変動にも対応して液体の定流量制御及び減圧制御を行うことができる液体用レギュレータに関する。
従来より、薬液等の各種液体流量を制御する液体用レギュレータ(流量制御弁)が広く使用されている。このような液体用レギュレータの一般的な構成は、1次側(上流側)の圧力変動をダイアフラムに受け、このダイアフラムと一体に動作する弁体が液体流路の開度を調整して流量制御を行うようになっている。
近年では、たとえば半導体製造装置のウエハ洗浄ラインにおける薬液注入等のように、1次側の圧力変動だけでなく、2次側(下流側)の圧力変動にも対応できるようにした高精度の流量制御が求められている。なお、2次側の圧力変動とは、たとえば複数流路の合流や主流側の圧力変動等により生じるバックプレッシャの影響、温度変化に伴う流体粘度の変化等に起因した負荷変動のことである。
このような背景から、上述した2次側の圧力変動にも対応可能な流量制御弁として、上下に有効面積の異なるダイアフラムが存在する差圧室内に2次側の流体を導入して流量制御を行うものが提案されている。この場合、差圧室内では上下のダイアフラムが同じ圧力変動を受けることとなり、従って、ダイアフラムの面積差に応じて弁体を動作させる操作力が発生するので、弁開度の変化により流量制御が行われる。(たとえば、特許文献1参照)
特開平11−85287号公報
しかしながら、上述した特許文献1に記載の従来技術は、同じ圧力変動を受けるダイアフラムの面積差により発生する弁開度の操作力を利用して2次側の圧力変動に対応するように構成されたものであるから、2次側の圧力変動を確実に反映した流量制御を行うためには十分な面積差を確保する必要がある。すなわち、上下のダイアフラムが同じ圧力変動を受けると互いに打ち消しあう上下逆方向の力(弁体の開閉方向において逆向きの力)を発生するので、面積差や圧力変動が小さい制御条件では弁開度を変化させるのに必要となる操作力を十分に得ることができず、結果として流量制御の応答性に問題を生じることが懸念される。
特に、半導体製造装置のウエハ洗浄ラインで薬液注入の流量制御に使用される液体用レギュレータは、配管径の小さい(呼称:1/4インチ〜4/3インチ程度)流路に使用される場合が多く、従って、レギュレータ自体も小型になるため十分な面積差の確保は極めて困難になる。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、比較的小型の液体用レギュレータであっても、1次側の圧力変動だけでなく、2次側の圧力変動に対して優れた流量制御の応答性を発揮し、高精度の流量制御が可能になる液体用レギュレータを提供することにある。
本発明は、上記の課題を解決するため、下記の手段を採用した。
本発明に係る液体用レギュレータは、弁開度を調整して通過する液体の流量が一定となるよう制御する液体用レギュレータであって、気体による操作圧力をダイアフラムに受けて弁開度の調整力を発生させる第1のダイアフラム室と、2次側から導入した前記液体の圧力変動をダイアフラムに受けて弁開度の調整力を発生させる第2のダイアフラム室と、前記第1及び第2のダイアフラム室で各々発生した前記調整力を受けて軸方向へスライドする軸部と、該軸部と一体に動作して弁開度の調整を行う弁体と、前記第1のダイアフラム室と前記第2のダイアフラム室との間でお互いに干渉しないように遮断する仕切壁と、
前記第1のダイアフラム室と前記第2のダイアフラム室との間で流体の流通を遮断するシール手段と、を具備して構成したことを特徴とするものである。
このような液体用レギュレータによれば、気体による操作圧力をダイアフラムに受けて弁開度の調整力を発生させる第1のダイアフラム室と、2次側から導入した前記液体の圧力変動をダイアフラムに受けて弁開度の調整力を発生させる第2のダイアフラム室と、前記第1及び第2のダイアフラム室で各々発生した前記調整力を受けて軸方向へスライドする軸部と、該軸部と一体に動作して弁開度の調整を行う弁体と、前記第1のダイアフラム室と前記第2のダイアフラム室との間でお互いに干渉しないように遮断する仕切壁と、
前記第1のダイアフラム室と前記第2のダイアフラム室との間で流体の流通を遮断するシール手段と、を具備して構成したので、2次側の圧力変動は、仕切壁とシール手段とによって遮断されて第1のダイアフラム室側に影響するようなことはない。このため、第2のダイアフラム室に導入した2次側の圧力変動は、そのほとんど全てが2次側の圧力変動に起因する弁開度の調整力として軸部に作用し、この調整力を打ち消す逆向きの方向の力をなくすか、あるいは最小限に抑えることができる。
この場合、前記ダイアフラムが補強部材を備えていることが好ましく、これにより、ダイアフラムの破損や変形を防止することができる。
上述した本発明の液体用レギュレータによれば、2次側の圧力変動が弁開度の調整力に悪影響を及ぼす逆向きの力となって作用するのを防止または最小限に抑え、比較的小型の液体用レギュレータであっても、1次側の圧力変動だけでなく、2次側の圧力変動に対して優れた流量制御の応答性を発揮し、高精度の流量制御が可能になるという顕著な効果が得られる。
以下、本発明に係る液体用レギュレータの一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2は、弁開度を調整して通過する液体の流量が一定となるよう制御する液体用レギュレータの構成例を示す断面図である。なお、図1は流量制御中の状態、図2は全閉の状態を示している。
液体用レギュレータ(以下、「レギュレータ」と呼ぶ)10のハウジング11内には、軸部12と一体に上下方向の開閉動作を行って液体流路の断面積を調整する弁体13が設けられている。軸部12は上下に2分割され、上方に位置する上部軸12Aには第1ダイアフラム14の中央部が固定支持され、下方に位置する下部軸12Bには第2ダイアフラム15の中央部が固定支持されている。
ハウジング11内には3つの空間部が形成され、軸部12に沿って上方から順に、第1ダイアフラム14を収納設置した第1ダイアフラム室16と、第2ダイアフラム15を収納設置した第2ダイアフラム室17と、弁体13を収納設置した流量制御室18とに分割される。
第1ダイアフラム室16の内部は、第1ダイアフラム14の周囲を全周にわたってハウジング11に固定支持させることにより、上下の空間に二分割されている。第1ダイアフラム14の上面側空間16Aには、空気等の操作気体を供給する操作圧連結口19が設けられている。この操作圧連結口19には、図示省略の操作気体供給管が接続されるようになっており、不活性ガスである窒素などが使用される。なお、以下の説明では、操作気体供給管が供給する操作気体として空気を使用するものとする。
第1ダイアフラム14の中央部14aは厚肉とされ、上部軸12Aと一体に形成された円盤状のダイアフラムベッド20上に固定支持されている。このダイアフラムベッド20は、第1ダイアフラム14の補強部材として機能する剛性部材である。また、第1ダイアフラム14の外周部には、スムーズな上下動を可能にするためダイアフラムベッド20の補強を受ける薄肉部14bがドーナツ形状に設けられている。このダイヤフラムベッド20は、操作圧をできるだけ有効に受圧できるように、また、薄肉部14bを補強できるように、第1ダイヤフラム14の上下運動を妨げない範囲以内で、できるだけ大きくするのが好ましい。ダイアフラムベッド20は、最低でも第1ダイヤフラム14の厚肉部である中央部14aより大きい直径とする必要がある。
一方、第1ダイアフラム14の下面側空間16Bは、ハウジング11を貫通する連通口21により大気開放されている。従って、第1ダイアフラム室16では、第1ダイアフラム14の上面が操作圧連通口19から供給される下向きの操作圧力Pを受け、かつ、第1ダイアフラム14の下面側が大気開放された状態となるため、操作圧力Pと受圧面積との積により求められる操作力(弁開度の調整力)が上部軸12Aに作用する。
上述した上部軸12Aは、第1ダイアフラム室16と第2ダイアフラム室17との間に設けられた仕切壁11aを貫通し、第2ダイアフラム15の上端面に載置される。仕切壁11aを貫通する上部軸12Aには、シール手段として機能し、また上下運動に適しており、上下運動をした際にもゴミの発生が非常に少ないベローズ22が介挿されている。仕切壁11aは、後述する2次側より受ける圧力変動を第1ダイアフラム室20に影響を与えず、操作圧連通口19より加えられる操作圧力を有効に作用するために存在し、できるだけ仕切壁11aの内側にできる貫通口11bを小さくするのがよい。ただし、この貫通孔11bは、軸12aの強度を考え、あまり小さくしすぎてしまうのは好ましくない。
また、ベローズ22を介挿したことにより、第1ダイアフラム室16と第2ダイアフラム室17との間で流体(後述する2次側から導入した液体及びその圧力変動)が流通して影響するのを阻止することができる。その際、第1ダイヤフラム室16は流体より隔離することができるので、耐薬品性を考慮しなくてすむようになり、第1ダイヤフラム室16を安価な汎用樹脂で構成できるようになる。
なお、図示の実施形態ではベローズ22をシール手段として採用したが、Oリングなど他のシール部材を採用可能なことは言うまでもない。
第2ダイアフラム室17の内部は、第2ダイアフラム15の周囲を全周にわたってハウジング11に固定支持させることにより、上下の空間に二分割されている。第2ダイアフラム15の上面側空間17Aには、流量制御室18を通過した2次側の液体を導入する2次圧同入口23が設けられている。この2次圧導入口23には、分岐配管24が接続されるようになっている。この分岐配管24は、レギュレータ10の2次側出口配管25に設けられているオリフィス26の下流から分岐させたものである。このオリフィス26は、所望の設定流量に対応したオリフィス径を適宜選択して使用される。
第2ダイアフラム15の中央部15aは厚肉とされ、その中央部上面に重ねるように一体化して、円盤状のダイアフラムベッド27が固定されている。このダイアフラムベッド27は、第2ダイアフラム15の補強部材として機能する剛性部材である。また、第2ダイアフラム15の外周部には、スムーズな上下動を可能にするためダイアフラムベッド27の補強を受ける薄肉部15bがドーナツ形状に設けられている。このダイアフラムベッド27は、第2ダイヤフラム15の上下の動きを妨げないように、先端部に第2ダイヤフラム15とクリアランスができるように丸み27aを加えている。
第2ダイアフラム15の中央部15aには、下部軸12Bの上端部が連結されている。この下部軸12Bには、下端部側に弁体13が一体に設けられている。
従って、第2ダイアフラム室17では、2次側の圧力変動が第2ダイアフラム15に作用することにより発生する操作力(弁開度の調整力)が下部軸12Bに作用する
一方、第2ダイアフラム15の下面側空間17Bは、弁体13と弁座28との間に形成される液体流路(隙間S)の開口面積を介して、流量制御室18と連通している。
流量制御室18内では、弁体13の下端部側に下部ベローズ29を介して下部弁軸30が連結されている。ハウジング11と下部弁軸30の下端部との間には下部スプリング31が配設され、この結果、弁体13が下部スプリング31から常時上向きの付勢を受けるように構成されている。なお、図中の符号32は、流量制御室18に連通する1次側の液体導入管である。
次に、上述した構成のレギュレータ10について、その作用を流量制御の動作とともに説明する。
図3に示す系統図は、レギュレータ10を組み込んだ半導体製造装置のウエハ洗浄ラインの一例を示している。図示の洗浄ラインでは、純水を流す主配管1にレギュレータ10が取り付けられ、レギュレータ10の下流側にはオリフィス26が設けられている。オリフィス26の下流側では、分岐配管24が主配管1から分岐してレギュレータ10の第2ダイアフラム室17に接続されている。
主配管1は、分岐配管24の分岐部より下流側に開閉弁2を備え、同開閉弁2よりさらに下流側には、各々異なる薬液A〜Cを供給する3本の薬液配管3,4,5が合流している。各薬液配管には各々開閉弁3a,4a,5aが設けられ、同開閉弁を選択的に開くことにより主配管1を流量制御して流す純水に所望の薬液を所定量注入することができる。すなわち、主配管1を一定流量で流れる純水に所定の薬液注入をすることで、所望のウエハ洗浄水を調合することができる。
なお、図中の符号6はレギュレータの1次側圧力を測定する圧力計、7はレギュレータの2次側圧力を測定する圧力計である。
さて、上述したレギュレータ10では、まず流体を流し所望の圧力ないし流量を得るために、ある一定の空気圧(操作圧力P)によって第1ダイアフラム14を押し下げる。この空気圧により発生した操作力は軸12に伝達され、この軸12を介して、さらに第2ダイアフラム15を押し下げて弁体13を開けるので、所望の設定流量ないし設定圧力をレギュレータ10の2次側で得ることができる。
この状態では、第2ダイアフラム15の上面には、空気圧による操作圧が第1ダイアフラム14及び軸12を介して第2ダイアフラム15を押し下げる力として作用し、第2ダイアフラム15の下面には、弁体13を上方(全閉方向)に持ち上げている下部スプリング31の付勢力と1次側の流体圧力との和が、第2ダイアフラム15を押し上げる力として作用しており、この状態でバランスをとりながら流体を2次側へ供給している。
なお、弁体13の下部には下部スプリング31が存在するため、操作圧力Pが作用しない場合、弁体13は全閉位置となる。
上述した状態で1次側の操作圧力Pが降下すると、操作圧連結口19より供給され第1ダイアフラム14及び軸12を介して第2ダイアフラム15を押し下げる方向に、第2ダイアフラム15の上面に作用する力が、弁体13を上方に持ち上げている下部スプリング31の力と1次側の流体圧力との和であり、第2ダイアフラム15を押し上げる方向に、第2ダイアフラム15の下面より作用する力よりも大きくなる。このため、第2ダイアフラム15が弁体13を押し下げる方向へ変形し、弁体13と弁座28とによって形成される流体流路(隙間S)が広がって大きくなる状態へと自動的に動いて調整される。
上記の状態になると、たとえ1次側の操作圧力Pが低下したとしても、弁体13が押し下げられて流体流路(隙間S)が大きくなったことにより、2次側へより一層多くの流体を供給できるようになるので、結果としてレギュレータ10の2次側圧力を一定にすることができる。
また、上述したのと逆の状態が生じたとき、つまり、1次側の操作圧力Pが昇圧した際には、操作圧連結口19より供給され、第1ダイアフラム14及び軸12を通して第2ダイアフラム15を押し下げる方向に、第2ダイアフラム15の上面に作用している操作力が、弁体13を上に持ち上げている下部スプリング31の付勢力と1次側の流体圧力との和であり、第2ダイアフラムを押し上げる方向に、第2ダイアフラム15の下面より作用する操作力より小さくなる。このため、第2ダイアフラム15が弁体13を押し上げる方向へ変形し、弁体13と弁座28とによって形成される流体流路(隙間S)を狭めて小さくする状態へと自動的に導くことができる。
そして、たとえ1次側の操作圧力Pが上昇したとしても、弁体13が押し上げられて流体流路(隙間S)が小さくなったことにより、2次側へ過度の圧力が供給されることを防止するので、結果として2次側の圧力を一定に保つことができる。
続いて、2次側圧力が変動した際について説明する。ここで、2次側に存在する開閉弁3a,4a,5aが開くことにより、流体の注入により2次側圧力が上昇したとする。すると、2次側導入口23より、2次側の変動圧力がフィードバックされ、第2ダイヤフラム15の上面に作用し、バルブの開度、すなわち弁体13と弁座28とによって形成される流体流路(隙間S)を大きくする方向に作用する。よって、2次側の圧力が上昇したとしてもバルブの開度を大きくすることにより、さらに強い圧力にて流体を供給することができるようになり、結果として2次側では、同じ流量を得ることができる。
ただし、2次側導入口23よりフィードバックされた変動圧力は、同様に第1ダイヤフラム14にも作用することとなり、この結果バルブの開度を小さくする方向へと動いてしまう。しかし、仕切壁11aを設け、さらには、仕切壁11aの貫通口11bをできるだけ小さくしていることにより、第1ダイヤフラム14への影響をできるだけ小さくなるように構成し、バルブの開度を大きくする力、すなわち第2ダイヤフラム15の上面のみにフィードバックされた2次側の変動圧力が作用することにより、2次側に一定の同じ流量を得ることができる。
2次側に存在する開閉弁3a,4a,5aが閉まることにより、2次側圧力が降下した際には、上述したのと反対の作用がおき、弁体13を閉める方向に力が作用し、結果として2次側に一定の同じ流量を得ることができる。
ところで、上述した実施形態では、軸部12が、2次側における圧力変動を第1ダイヤフラム14に影響を与えないように設けられた仕切壁11aを貫通し、上下に2分割されている。その際、上部軸12Aに介挿されたベローズ22の下端面22a(図1(b)参照)と第2ダイアフラム15との間に隙間が生じて受圧面となり、この部分では上下両方向に同じ圧力が作用することとなる。このため、2次側の圧力変動に対する第2ダイアフラム15の弁開度調整力を減少させる原因となるが、軸部12の断面積はダイアフラムの受圧面積と比較してかなり小さなものであるから、2次側の圧力変動を反映して十分な操作力を得ることができ、応答性の面で問題になることはない。
なお、軸部12を一体化して上述した弁開度調整力の減少を防止することも可能ではあるが、その際には仕切壁11aとのシール方法が問題となる。前述したように、Oリングとすることも可能ではあるが、上下運動においては摩擦力が発生して応答性を悪くし、また、上下運動の度に、Oリングが磨耗しゴミを発生させるという問題がある。特に、半導体製造ラインなどの高純度が要求される工程においては、ゴミの発生は非常に大きな問題となる。
また、上述したレギュレータ10が弁開度の制御に空気圧を使用する場合には、ベローズ22の下端面22aに作用する2次側の圧力変動が1次側の調整力を打ち消す方向に作用することもあるので、これを考慮に入れて十分な操作力を確保するためには、第1ダイアフラム14の受圧面積を増したり空気圧力供給源の圧力を増して対応することが必要となる。しかし、小径のレギュレータ10ではダイアフラムの大型化は困難であり、また、空気圧力供給源の圧力を高くして対応する場合も、ハウジングやダイアフラム自体等の耐圧性能の問題や供給源確保の問題も生じてくる。
従って、上述した構成のレギュレータ10のように、2次側の圧力変動を受けて操作力を発生する2次ダイアフラム15の有効面積を増すとともに、1次側の第1ダイアフラム室16と2次側の第2ダイアフラム室17との間で流体の流通を遮断し、軸部12を一体化するなどして互いの影響をなくすか、あるいは分割した場合でも影響を最小にすることが重要になる。
また、上述した実施形態においては、剛体のダイアフラムベッド20及び上部軸12Aを一体に連結した傘型形状(断面が略T字形状)を採用し、また仕切壁11aの内側にできるだけ小さくした貫通口11bを設け、上下運動に有利なベローズ22を採用しているため、操作圧力Pによって発生する下向きの操作力をほとんどロスすることなく、弁体13に対して確実に伝達して動作させることができる。
図4は、上述した構成のレギュレータ10について、その性能を検証した実験結果を示している。この実験では、使用流体(液体)を水とし、流体温度が20℃、環境温度が常温の条件で、3種類の操作圧力P(20kPa、35kPa、50kPa)についてバックプレッシャー(P2)と流量(Q)との関係を測定した。なお、初期設定は、1次圧力(P1)を300kPa、オリフィス26の直径を8mmとした。
図4に示す実験結果を見ると、3種類の操作圧力Pのいずれの場合においても、バックプレッシャー(P2)が増加しても流量(Q)が略一定に保たれていることがわかる。すなわち、上述した構成のレギュレータ10を使用することにより、2次側の圧力変動に応じた弁開度の調整が適切に実施され、所望の流量(Q)を維持するよう優れた応答性を有する定流量制御が行われていることがわかる。また、このような定流量制御は、流量と圧力との間に相関関係があることから、2次側の圧力変動に応じた弁開度の調整が適切に実施されて減圧制御を実施できることも意味している。
続いて、上述したレギュレータ10の変形例を図5に示して説明する。なお、上述した実施形態のレギュレータ10と同様の構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この変形例は、ハウジング11の外部となる2次側出口配管25に設けたオリフィス26及び分岐配管24をハウジング11内に内蔵した場合の構成例を示している。図示のレギュレータ10′は、流量制御室18の下流側となるハウジング11′に、オリフィス26′及び分岐配管24′を内蔵した場合のレギュレータ10′について、構成例を示したものである。
このような一体型の構成とすれば、ラインへの組み付けや取り扱いが容易になる。
以上説明したように、本発明の液体用レギュレータ10,10′によれば、2次側の圧力変動が弁開度の調整力に悪影響を及ぼす逆向きの力となって作用するのを防止または最小限に抑えることができるので、比較的小型の液体用レギュレータについても、1次側の圧力変動だけでなく、2次側の圧力変動に対して優れた流量制御の応答性を発揮して高精度の流量制御が可能になる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
本発明に係る液体用レギュレータの一実施形態を示す断面図で、流量制御中の状態である。 図1に示す液体用レギュレータが全閉の状態を示す断面図である。 本発明の液体用レギュレータの適用例として、半導体製造装置のウエハ洗浄ラインの一例を示す系統図である。 本発明による液体用レギュレータについて、その性能を検証した実験結果を示す図である。 本発明に係る液体用レギュレータの変形例を示す断面図で、全閉の状態である。
符号の説明
10 液体用レギュレータ
11 ハウジング
11a 仕切壁
12 軸部
12A 上部軸
12B 下部軸
13 弁体
14 第1ダイアフラム
15 第2ダイアフラム
16 第1ダイアフラム室
17 第2ダイアフラム室
18 流量制御室
19 操作圧連結口
20,27 ダイアフラムベッド
21 連通口
22 ベローズ(シール手段)
23 2次圧導入口
24 分岐配管
25 2次側出口配管
26 オリフィス
28 弁座
29 下部ベローズ
30 下部弁軸
31 下部スプリング
32 液体導入管(1次側)

Claims (2)

  1. 弁開度を調整して通過する液体の流量が一定となるよう制御する液体用レギュレータであって、
    気体による操作圧力をダイアフラムに受けて弁開度の調整力を発生させる第1のダイアフラム室と、
    2次側から導入した前記液体の圧力変動をダイアフラムに受けて弁開度の調整力を発生させる第2のダイアフラム室と、
    前記第1及び第2のダイアフラム室で各々発生した前記調整力を受けて軸方向へスライドする軸部と、
    該軸部と一体に動作して弁開度の調整を行う弁体と、
    前記第1のダイアフラム室と前記第2のダイアフラム室との間でお互いに干渉しないように遮断する仕切壁と、
    前記第1のダイアフラム室と前記第2のダイアフラム室との間で流体の流通を遮断するシール手段と、
    を具備して構成したことを特徴とする液体用レギュレータ。
  2. 前記ダイアフラムが補強部材を備えていることを特徴とする請求項1に記載の液体用レギュレータ。
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