JP2006065222A - 光学素子及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 分極反転構造を利用した光学素子において、入射面や出射面、反射面等での光学性能を保証して高性能化を図るとともに、そのために著しいコスト上昇を伴わないようにする。
【解決手段】 光学素子1において、分極反転構造をもった主部2と、分極反転構造をもたない端部3、4とが一体に形成される。主部2の分域壁に対して非平行の端面形状を、化学的機械研磨(CMP)により端部に形成する。素子の端面(被加工面)に段差(微視的な凹凸)が生じないか又は許容範囲内に抑えられ、端面での損失や散乱を低減できる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、分極反転構造をもった主部と分域構造をもたない端部とが一体に形成された光学素子、例えば、レーザの光制御素子等への適用において、化学的機械研磨により高い精度をもって端部に光入出射面等を形成するための技術に関する。
レーザ光発生装置等では、周期分極構造をもった非線形光学素子を用いて、第二高調波発生(SHG:Second Harmonic Generation)等の波長変換を行うようにした構成が知られている。
光入出射面において分域構造をもった素子では、分域壁に対して平行でない、少なくとも1つの光入出射面を持つような構造として、例えば、分極反転擬似位相整合素子が挙げられる(擬似位相整合については、例えば、非特許文献1参照。)。該素子の入射面又は出射面において、入射角がブリュースター角をなすようにした複合構造を採用すると、高価な反射防止膜(ARコート)を素子端面に形成することなく、容易に無反射機能を得ることができる(例えば、特許文献1参照。)。
図6は、周期分極反転構造を有する光学素子aを例示した概略図である。
光学素子aは表層及び内部に亘って分極反転構造を有するバルク型とされ、便宜上縞模様を付して示す部分(擬似位相整合部)bは、所定方向(x軸方向)に沿って分極方向が異なる構造(分極反転構造)を有する。尚、本例に示す光学素子aは平行六面体とされ、x軸に直交するz軸方向からみた形状が長方形をなし、y軸方向からみた形状が平行四辺形をなしている。
光学素子aの両端面に形成される光の入射面又は出射面cは、x軸に対して傾斜面とされ、ブリュースター角での入射角をもって入射面から素子内に入射された光がx軸方向に伝播し、出射面からブリュースター角をもって出力される。
入射面又は出射面cは研磨により形成されるが、レーザ用途の光学素子では光の入出射面において高い精度が要求され(所謂「超鏡面」)、機械的研磨のみならず化学作用を伴ったCMP(Chemical Mechanical Polish)法と称する化学的機械研磨技術を用いることが一般的である。尚、CMP法は、超LSIデバイスのプラナリゼーション(多層配線の層間膜の平坦化)を目的として開発され、工作物と研磨液の固液相反応を利用した湿式のメカノケミカル加工法(工作物の表面に加えられた機械的作用により誘起された物理的・化学的変化、所謂メカノケミカル現象を積極的に利用する研磨法)である。
Martin M. Fejer, G. A. Magel, Dieter H. Jundt, Robert L. Byer,"Quasi-Phase-Matched Second Harmonic Generation: Tuning and Tolerances",IEEE JOURNAL OF QUANTUM ELECTRONICS, VOL.28, NO.11,(U.S.A),1992年11月, p.2631 特開2004−46017号公報
ところで、分極反転構造を有する素子の鏡面加工において、CMP法を適用しようとした場合、被加工面に誘電体分域があると、被加工面に段差(微視的な凹凸)が生じてしまい、意図する精度の鏡面が得られず、光散乱や損失を生じてしまうために、精度仕様を満足する素子を製作できないことが問題となる。
一般に、分域構造を持つ誘電体結晶において、分域構造を有する部分を塩基性又は酸性の溶液によって侵食することで面を作る場合に、分極反転に応じた分極の向き(正方向又は負方向)に起因するエッチング速度差が生じる。つまり、分極方向の変化に応じた物理的な段差が生じてしまう。
図6において大円枠内に拡大して模式的に示すように、分極反転周期を「Λ」と記し、x軸方向に対する入射面又は出射面の傾斜角を「θ」(ブリュースター角に相当する。)と記すとき、入射面や出射面において「D=Λ/cosθ」の周期をもって段差が生じる。
従って、こうした素子を作製する場合には、やむを得ず機械的研磨を行うが、CMP法で達成されるような超鏡面を得ることはできず、素子性能やプロセスマージン(製造余裕)が制限されてしまう。
そこで、本発明は、分極反転構造を用いた光学素子において、光の入射面や出射面、反射面等での光学性能を保証して高性能化を図るとともに、そのために著しいコスト上昇を伴わないようにすることを課題とする。
本発明に係る光学素子は、上記した課題を解決するために、分極反転構造をもった主部と、分極反転構造をもたない端部とが一体に形成された構成において、該主部の分域壁に対して非平行の端面形状をもって化学的機械研磨(CMP)により端部を形成したものである。
また、本発明に係る光学素子の製造方法は、上記主部を形成した後で、化学的機械研磨によって主部の分域壁に対して非平行の端面形状をもつように上記端部を加工するものである。
従って、本発明では、素子端部を化学的機械研磨で加工した場合に、該端部が極反転構造をもたないので、その端面(被加工面)に段差が生じないか又は表面粗さを許容範囲内に抑えることが可能であり、端面での損失や散乱を低減できる。
本発明によれば、分極反転構造を利用した光学素子の高性能化に有効であり、例えば、入射光に対して非線形光学効果により波長変換された光を得るための波長変換素子等への適用において、高効率化を実現することができる。
そして、本発明は、表層及び素子内部に亘る分極反転構造を有する構成形態への適用において効果的であり、素子端面に係る光学的精度の保証に有効である。つまり、光導波路型(表層部だけに分極反転構造を有する。)に比して、主部全体に分極反転構造を有する形態への適用においては、化学的機械研磨によって形成される端面上の全域に該分極反転構造の影響(加工速度差による段差)が及ばない。
また、端面形状が、分域壁に対して傾斜した屈折面若しくは曲面若しくは全反射面とされるか又はそれらを組み合わせた形態では、分極反転構造をもたない端部に対して機能別に光学作用を付与することができるので、設計自由度が高い。例えば、端面形状が、基本波又は高調波に対してブリュースター角又はほぼブリュースター角に相当する入射角をもった傾斜面である場合に、ARコートなしで反射損失を低減することができる。
散乱損失の低減には、端面での表面粗さが、自乗平均値で0.6ナノメートル以下であることが好ましく、例えば、レーザ共振器内の透過型素子等への適用において、散乱損失を所定レベル以下(0.01%以下)に抑えるのに有効である。
本発明は、研磨によって高精度の端面形状が要求される光学素子において、端面での光学的な損失や散乱等を低減することを目的とする。例えば、レーザ共振器に使用する光制御デバイスや、光学結合デバイス等への適用が可能であり、周期分極反転構造を有する非線形光学素子を用いた例としては、光変調器、光スイッチ、光偏向器が挙げられ、また、パルス圧縮や伸長等の時間制御に用いるデバイス、あるいは、高次高調波発生や和周波発生、差周波発生、光パラメトリック発振等の各種波長制御(OPG、SHG、DFG、SFG、OPOやそれらの組合せ)によるレーザ波長制御用デバイス等が挙げられる。
図1は本発明に係る基本構成を示す概念図である。
光学素子1は、分極反転構造を有する主部2と、光学的作用をもった端部3とが同一基材を用いて一体に形成されている。尚、主部2と端部3とを接着等で接合した構成では、接合部における光学的な影響や温度変化等に対する安定性や機械的強度等が問題とされるため、主部2と端部3とが一体とされた構造が好ましい。
分極反転構造をもたない端部3については、主部2の分域壁に対して非平行の端面形状をもってCMP法により入射面や出射面、反射面等が形成されている。
図1(A)では、主部2の両側の端部3、4について、それらの端面が実線で示す傾斜面又は二点鎖線で示す曲面とされた構成例を示し、図1(B)では、主部2の一方(図の左側)の端部3について、その端面が実線で示す傾斜面又は二点鎖線で示す曲面とされた構成例を示している。
端面形状については、主部2における分域壁の法線方向に対して傾斜した屈折面(ブリュースター角での入出射面、ウェッジやプリズム面等)、曲面(球面や非球面等のレンズ面)、全反射面とされるか又は必要な光学作用に応じてそれらの面を組み合わせることが可能である。
また、使用材料には、例えば、タンタル酸リチウム(LT)が挙げられるが、本発明の適用においては各種材料を使用することができ、分極反転結晶として、例えば、化学作用によりエッチングされる S−LiTaO 、S−LiNbO 、C −LiTaO 、LiNbO 、純結晶あるいはそのドープ結晶(ドーパントZnO 、MgO等)、KNbO 、KTiOPO 、RbTiOPO 、KTiOAsO、RbTiOAsO、SiO等が挙げられる。尚、「S」は「Stoichiometric」、「C」は「Congruent」を意味する。
本発明はバルク型の非線形光学素子に限らず、基板表層だけに分極反転層が形成された光導波路型素子において、分極反転層の構造がCMP法での研磨によって端面上に現出される結果、微小な段差が生じてしまう場合にも適用することができる。
図2は、本発明に係る構成例を示すものであり、非線形光学効果を利用した波長変換素子としての、第二高調波発生(SHG)擬似位相整合(QPM)素子を示す(尚、「QPM」は「Quasi-Phase Matching」の略である。)。
光学素子1Aは、分極反転構造をもった主部2と、その両側の端部3、4とが一体に形成されており、本例では、主部(QPM部)2の全体が分極反転構造とされる(図には、縞模様を付すことにより区別して示している。)。
本例では素子形状が平行六面体とされ、図示のようにx、y、z軸を設定した場合に、x軸方向及びz軸方向からみた形状が長方形をなし、y軸方向からみた形状が平行四辺形をなしている。そして、主部2においてx軸方向に沿う周期分極反転構造を有し(分極反転層の分域壁がx軸に対して直交している。)、端部3、4では分極反転構造をもたない。
端部3、4については、その端面形状が基本波又は高調波に対してブリュースター角又はほぼブリュースター角に相当する入射角をもった傾斜面とされる。
x軸に対して傾斜した端面(入射面)3aには、実線の矢印で示す入射光線(基本波)が、ブリュースター角をもって素子内に入射されて伝播し、x軸に対して傾斜した端面(出射面)4aから、一点鎖線の矢印で示す出射光線(第二高調波や基本波を示すが、正確には両者の間には波長差に基づく僅かな角度差が生じる。)がほぼブリュースター角をもって出力される。
このような周期分極反転構造をもったSHG素子における位相整合条件は、分極反転周期を「Λ」、位相整合波長を「λ」、基本波に対する実効屈折率を「nω」、第二高調波に対する実効屈折率を「n2ω」とそれぞれ記すとき、次数を示す自然数変数m(=1、2、…)を用いて、「Λ=m・λ/2/(n2ω−nω)」が満たされることである。尚、該条件において、基本波及び第二高調波で同一偏光(P偏光)である。
一例として、「MgO:SLT」(酸化マグネシウムをドープした化学量論組成タンタル酸リチウム)を結晶材料とし、非線形光学定数d333でQPMを達成する場合を想定すると、基本波と第二高調波とでは屈折率の違いから、それぞれのブリュースター角が異なる(64.8°と65.5°)が、ほぼ同一の角度(約65°)の入射角を持つように端面形状をCMP法で傾斜面として加工することで、両者のブリュースター条件を実用レベルで満たすことができる。つまり、基本波及び第二高調波の2波長において、ほぼ無反射での入射面及び出射面をもった素子を製作することが可能であり、損失低減上有効である(これに対して、複屈折型位相整合では、入出射面のうち片方の面がブリュースター条件を満たさない場合がある。)。
入出射面に分極反転構造が現れないように素子を製作し、鏡面加工をCMP法で行うことにより、レーザ用の鏡面として十分な精度が得られ、波長変換素子として、入出射損失が低く、高い変換効率を実現することができる。
尚、被加工物としてLTを用いる場合において、加工剤として光学加工で用いられるダイヤモンドでは、微小傷が残ってしまい、潜傷(加熱プロセス等で浮き出る傷)を残す可能性がある。また、CeO(酸化セリウム)では残留物として加工層(表面直下)に残ってしまうという報告例がある。CMP法においては、半導体素子作成用途のSi(ケイ素)基板用として一般的なコロイダルシリカを使用することが好ましい(半導体加工用として実績があり、研磨パッドや加工機ともに数多く、酸化物の加工についても加工後の洗浄工程を含めたプロセスが確立している。)。
図6に示すように、素子全体が周期分極反転構造を有し、その端面において超鏡面を得るために最終研磨工程でCMP法を用いた場合には、端面においてP−V(Peak to Valley)値で15nm(ナノメートル)程度の段差が生じる。この端面をその法線方向から計測すると周期的な縞模様が観測され、その周期は、分域反転の基本周期(8μm)及びブリュースター角(約65°)を考慮して、端面への正射影として計算される値にほぼ等しいことから、分域構造をもつ部分がCMP法によりエッチングされるために、物理的な段差が顕現したものと結論される。レーザ用途の素子としては、このような表面状態ではその機能を果たすことができない。そこで、この現象を避けるため、表面加工において化学作用を持たない機械研磨のみを行うことが考えられるが、その場合には、表面粗さがrms(自乗平均)1.0nm 程度であるため、レーザ用の鏡面としては、必ずしも十分であるとはいえない。
そこで、光学素子1Aのように、入出射面において分極反転構造の影響による段差が現れない構造にして、鏡面加工をCMPで行った場合に、得られた表面粗さはrms 0.3nm 程度であった。従って、レーザ用の鏡面として十分な範囲であり、QPM素子として端面入出射損失の低い、高変換効率素子を製作できることが判明している。
表面粗さについては表面散乱に関係し、コーティングでの散乱増加や、基板散乱、吸収等を考慮した場合に、表面散乱を極力抑える必要がある。
図3は、横軸に表面粗さをとり、縦軸に1面当たりの表面散乱をとって両者の関係を例示した両対数グラフである。
全積分散乱 (Total integrated Scattering)を「TIS」と記し、波長を「λ」、表面粗さを「rmsX」と記すとき、「TIS = (4π・rmsX/λ)2」である
本例では、波長λ=1064(nm)に対する散乱を示しており、レーザ共振器内の透過型素子(2面)を想定した場合に、1素子当たりの散乱損失を0.01%以下とするには、rms 0.6nm以下にすることが必要である。上記した例では、CMP法によりrms 0.3nm 程度が得られており、レーザ用として充分な値が達成されている。
尚、表面粗さの測定法については、光干渉式、触針式、AFM等が知られている。
光学素子1Aのような構造については、主部2を作製するときのリソグラフィー工程で、予め加工時の切り出しや研磨代の寸法を考慮して、主部(QPM 部)を適宜に配列すること(例えば、マスクパターンの設計)により容易に製作することができる。
気相平衡法処理(VTE)により基板を加工して作製される光学素子については、例えば、化学量論組成周期分極タンタル酸リチウムの場合に、概ね下記の工程を経て作製される。
(1)ウエハー投入
(2)VTE
(3)単分域化
(4)パターニング(電極形成等)
(5)周期分極反転(電圧印加による分極反転処理)
(6)切断、研磨、コート等
先ず、(1)では、結晶基板を装置に投入して設定作業を行い、(2)のVTE工程では、例えば、原料粉末が充填された白金皿等をアルミナ容器に入れて、原料粉末上に基板を配置した後、原料粉末及び基板の周囲を白金るつぼで覆った状態とし、それらをアルミナ容器内に収容して、高温で所定時間加熱する。
そして、高温処理を経た基板を取り出した後、(3)において所定温度で適当な電圧印加により単分域化して、(4)では、リソグラフィーによるパターンニング工程で所定周期(数μm程度)の回折格子状の電極(アルミニウム電極等)を形成する。その際には、マスクパターンを用いて各素子に相当する範囲内に、電極パターンを含むQPM 部と電極パターンの非形成部が形成される(つまり、周期分極反転構造をもつQPM部の予定範囲には、強誘電体基板上において分極周期パターンに一致する電極が形成されるが、分極反転構造をもたない端部には電極が形成されない。)。
(5)において、対をなす電極間(表裏面の電極対等)に外部直流電圧を印加する。これによって、所定の分極反転周期をもったドメイン構造が実現される(光学素子1Aの主部2が形成される。)。
その後、(6)では、表面研磨等の処理工程を経て基板上に形成された個々の素子部分が分離される。そして、CMP法により分域壁に対して非平行の端面形状をもつように素子端部が加工されて、最終的に光学素子(SHG素子等)が完成する。
図4は、本発明の適用例として各種構成を示した側面図である。
(A)図に示す光学素子5Aは、側面形状が台形状をなしており、端部3、4に係るそれぞれの端面3a、4aの形状は、ブリュースター角に相当する入出射角が得られるように傾斜した平面である。
(B)図に示す光学素子5Bは、側面形状が小判形状をなしており、端部3、4に係るそれぞれの端面3a、4aが、外方に突出した凸状レンズ面である。該レンズ面の形成により収束作用が得られ、例えば、対向した平面鏡を用いた共振器内に光学素子5Bを配置して安定な共振器を構成することができる。
尚、本例では、両端面が凸面とされているが、片面だけを凸面としたり、あるいは凹面レンズとする形態が挙げられる(結晶内でのビームスポットの最適化等に有効である)。
(C)図に示す光学素子5Cは、一方の端部3において上下の角隅が切除されて斜面3a、3bが形成されることで内部に全反射面が形成され、他方の端部4についてはその端面4aが主部2の分域壁に平行な平面とされている。
端面4aに垂直入射した光は、主部2を透過して端部3の斜面3aで全反射された後、さらに斜面3bで全反射される。そして、主部2を透過して端面4aから外部に出射される。
本例では端部3の端面において高反射率膜のコーティング処理(HRコート)を施す必要がない。
(D)図に示す光学素子5Dは、端面4aが傾斜平面である点を除いて光学素子5Cと同様の構成を有する。
ブリュースター角に相当する入射角をもって端面4aから入射した光は、主部2を透過して端部3の斜面3aで全反射された後、さらに斜面3bで全反射される。そして、主部2を透過して端面4aからブリュースター角に相当する角度をもって外部に出射される。よって、光学素子5Cとの比較において端面4aでの反射損失を低減することができる。
上記したいずれの構成形態においても、端面に形成される傾斜面やレンズ面、全反射面はCMP法による研磨工程を経て形成される。即ち、光の入出射面や反射面において、それらの面が主部2の分域壁と平行でない場合に、主部2のもつ構造が端面に現われないように加工することで、CMP法による超鏡面加工が可能である。
尚、上記の構成例では、所定の分極反転周期を有する一つのQPM部により主部2が構成された形態を示したが、これに限らず、主部2において、分極反転周期をそれぞれ異にする周期分極反転構造をもった複数のQPM部を有する構成(所謂マルチグレーティング)への適用が可能である。例えば、図4(C)や(D)において、主部2を上下に2分して往路と復路の各光路上にそれぞれ分極反転周期の異なるQPM部を配置させた構成等が挙げられる。
図5は、光路上に3つのQPM部が配置された光学素子6を例示した概略図(基板面に対して直交する方向からみた平面図)である。
本例では、位相整合波長がそれぞれλ0、λ1、λ2とされ、各波長に応じた周期のQPM部7、8、9が配置されている。
光の入射側に位置されたQPM部7は周期Λ0の分極反転構造を有し、QPM部7から間隔「d1」をもって位置されたQPM部8は周期Λ1の分極反転構造を有する。そして、QPM部8から間隔「d2」をもって出射側に位置されたQPM部9は周期Λ2の分極反転構造を有する。尚、各周期については各位相整合波長に比例し、基本波及び高調波のそれぞれに対する実効屈折率の差に反比例した値とされる。
このような複数のQPM部を含む構成では、高調波出力に関して各部がそれぞれ単独に存在するとした場合の、各高調波出力の総和成分と、それ以外の成分、つまり、各部間での干渉による成分を考慮する必要がある。各QPM部で発生する高調波の干渉についてはそれらの位相関係で決まるため、各QPM部の間、つまり、間隔d1、d2に示す範囲に非QPM部(分極反転構造をもたない部分)を設けている。つまり、非QPM部は、各QPM部で発生する高調波の位相調整に用いられ、d1、d2の値は高調波の出力変動を考慮して規定される。
尚、本例においても端部3、4は分極反転構造をもたず、各QPM部の分域壁の法線方向に対して傾斜した屈折面、曲面面等がCMP法によって形成される。
上記の構成によって波長許容幅が拡大し、波長変換素子への適用において波長許容度の向上、出力変動の低減等に有効である(基本波の波長変動や温度変動等による位相整合条件への影響が緩和され、許容度が高くなる。)。
例えば、横マルチモードレーザを用いた光源装置への適用において、上記光学素子6と同様の構成を有するSHG素子により緑色又は青色の線状ビームを出力することができ、その構成例として、側面励起方式又は端面励起方式の固体レーザ装置が挙げられる。励起光源として半導体レーザ(LDアレイ)を用い、赤外共振器内に固体レーザ媒質及びSHG素子を備えた構成において、半導体レーザからの楕円状ビームの励起光が固体レーザ媒質に照射される。そして、該固体レーザ媒質による赤外出力光がSHG素子に照射されてSHG光が得られる(例えば、赤外波長1064nmの場合、SHG光の波長は532nmである。)。
SHG素子の端面については、CMP法で形成された傾斜面とされ、基本波及び第二高調波に対するブリュースター角にほぼ等しい角度をもって横マルチモードレーザ光が入出射されることにより反射損失を充分に低減することができる。
尚、このような光源装置は、一次元空間変調型の光変調素子に対する照明において有用である(例えば、一次元方向において均一性の高い緑色レーザ光が得られる。)。プロジェクション型画像表示装置等への適用において、該光変調素子を用いて光を変調して得られる一次元像を、ガルバノメータ等の光走査手段で一次元方向(画素配列方向)に直交する方向に沿って走査しながらスクリーン上に投影することにより、二次元像を形成することができる。
以上に説明した構成によれば、下記に示す利点が得られる。
・CMP法を用いる場合に、被加工面において分極反転構造による加工速度差に起因にした段差が生じないこと(表面粗さを許容範囲内に低減できる。)。
・非分極反転部の端面での損失や散乱の低減により、素子及びシステムの高効率化が可能であること。
・素子のハイブリッド化により、部品点数の削減やコスト低減、小型化が可能となること。
・素子端面にブリュースター角条件での入出射面を形成するか又は全反射面を形成することにより、コーティング処理が不要になること。
・素子性能の向上やプロセスマージンの拡大等に有効であること。
本発明に係る基本構成を示す概念図である。 本発明の構成例を示す図である。 表面粗さと1面当たりの表面散乱との関係を説明するためのグラフ図である。 本発明を適用した場合の各種構成例を示した側面図である。 マルチグレーティングについての説明図である。 従来の構成例を示す説明図である。
符号の説明
1、1A…光学素子、2…主部、3、4…端部、5A、5B、5C、5D…光学素子、6…光学素子

Claims (6)

  1. 分極反転構造をもった主部と、分極反転構造をもたない端部とが一体に形成され、
    上記端部は、化学的機械研磨により上記主部の分域壁に対して非平行の端面形状を有している
    ことを特徴とする光学素子。
  2. 請求項1に記載した光学素子において、
    上記主部全体が分極反転構造を有する
    ことを特徴とする光学素子。
  3. 請求項1に記載した光学素子において、
    上記端面形状が、上記分域壁の法線方向に対して傾斜した屈折面又は曲面又は全反射面とされる
    ことを特徴とする光学素子。
  4. 請求項1に記載した光学素子において、
    上記端面形状が、基本波又は高調波に対してブリュースター角又はほぼブリュースター角に相当する入射角又は出射角をもった傾斜面である
    ことを特徴とする光学素子。
  5. 請求項1に記載した光学素子において、
    端面での表面粗さが、自乗平均値で0.6ナノメートル以下である
    ことを特徴とする光学素子。
  6. 分極反転構造をもった主部と、分極反転構造をもたない端部とが一体に形成された光学素子の製造方法において、
    上記主部を形成した後で、化学的機械研磨によって上記主部の分域壁に対して非平行の端面形状をもつように上記端部を加工する
    ことを特徴とする光学素子の製造方法。
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