JP2006064533A - カラム保持機構及びこれを用いたクロマトグラフ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 公転軸Pと同軸に配置されると共に回転自在に支持された公転軸パイプ3aと、この公転軸パイプ3aの近傍に配置されて公転軸Pを中心として公転軸パイプ3aと一体的に公転するカラム5aと、公転軸パイプ3aからカラム5aを一回のみ通って再び公転軸パイプ3aに戻るフローチューブ7aとを備え、カラム5aを自転可能に支持すると共に、カラム5aの公転によってフローチューブ7aに生じる捩じれを解消する方向に、カラム5aを自転させる、という構成を採っている。
【選択図】 図1
Description
しかしながら、この向流クロマトグラフ装置を液−液高分子相系(aqueous-aqueous polymer phase system)に適用した場合、これら二液体間の低界面張力及び高粘性のために、適切に固体相を保持することができないという問題があった。
上記目的を達成するために、本発明は、公転軸と同軸に配置されると共に回転自在に支持された公転軸パイプと、この公転軸パイプの近傍に配置されて公転軸を中心として公転軸パイプと一体的に公転するカラムと、公転軸パイプからカラムを一回のみ通って再び公転軸パイプに戻るフローチューブとを備え、カラムを自転可能に支持すると共に、カラムの公転によってフローチューブに生じる捩じれを解消する方向に、カラムを自転させる、という構成を採っている。
[第1の実施形態]
[全体概要]
図1は本発明の第1の実施形態に係るカラム保持機構1Aを、上記した従来のカラム保持機構に対応させて示した概略図である。このカラム保持機構1Aは、図に示すように、公転軸Pに沿って設けられた公転軸パイプ3aと、公転軸Pから所定距離だけ離れて配置された2つのカラム5aと、これら公転軸パイプ3aから各カラム5aを直列的(一方向)に通って再度公転軸パイプ3aに戻るフローチューブ7aを備えている。また、公転軸パイプ3aの両側には、チューブ支持部材9aが設けられている。尚、図では構造を分かり易くするために、公転軸パイプ3aを斜視図にし、各カラム5a及びチューブ支持部材9aを平面図として示している。
公転軸パイプ3aは、公転軸Pの位置においてこの公転軸Pと平行で且つ同軸となっており、中空構造となっている。そして公転軸パイプ3aは、カラム5aの公転と一体となって回転するようになっている。
公転軸パイプ3aの内径は、フローチューブ7aが挿入されてもこのフローチューブ7aが自由に回転できるように、十分な直径が確保されている。具体的に、公転軸パイプ3aの内径は3.5mm〜18mmであるが、より望ましくは6mmである。但し、この値は本発明の範囲を限定するものではない。
本実施形態のカラム保持機構1Aでは、2つのカラム5aが配設されている。各カラム5aは、円筒状のドラム本体5a1と、このドラム本体5a1の両端部近傍に設けられた円盤状の鍔状部材5a2と、ドラム本体5a1の外周面上であって各鍔状部材5a2の間にコイル状に巻き付けられたカラム本体5a3とからなる。
ドラム本体5a1は中空構造を有しており、中心軸に沿って貫通孔が形成されている。また、ドラム本体5a1の両端近傍の壁面にはそれぞれ挿通口5a4が形成されている。このような構造のドラム本体5a1には、貫通孔の一端(図では左端)からフローチューブ7aが挿入され、挿通口5a4を通ってドラム本体5a1の外周面に引き出される。一方、ドラム本体5a1の右端におけるフローチューブ7aは挿通口5a4を通ってドラム本体5a1の右端の貫通孔から引き出される。
円盤状の各鍔状部材5a2には、ドラム本体5a1の表面近傍に所定の挿通口5a5が形成されている。この挿通口5a5にはフローチューブ7aが挿入されている。
公転軸パイプ3aの両側には、筒状のチューブ支持部材9aが設けられている。このチューブ支持部材9aは、中心軸が公転軸Pと交差するように配置されており、相互に2つのチューブ支持部材9aが一直線上に沿って配置されている。また、チューブ支持部材9aの中心軸は、カラム5aのドラム本体5a1の自転軸Qと平行となっている。チューブ支持部材9aはカラム保持機構1Aの公転に伴って、公転軸Pに関して公転できるようになっている。また、チューブ支持部材9aの端部は公転軸パイプ3aの外周面からは離れている。また、本実施形態のチューブ支持部材9aの長さは、ドラム本体5a1の長さとほぼ同等となっている。但し、本発明はこれに限定されるものではなく、ドラム本体5a1より短くても良いし、逆にドラム本体5a1より長くてもよい。
次に、フローチューブ7aについて説明する。フローチューブ7aは成分分析に用いられる対象物をカラムに供給し、又は排出するためのものである。本実施形態では、公転軸Pの上方から移動相溶媒と共に二相溶媒に溶解した対象物(例えば、タンパク質試料溶液)が予め固定相溶媒が充填されたカラムに供給され、カラム内で分配が行われた後に公転軸Pの下方から排出されるようになっている。フローチューブ7aの一連の構成について説明すると、先ず、供給側から下方に向かって公転軸パイプ3a内に挿入される。次に直角に折れ曲がり第1の貫通穴11aから外側に引き出される。公転軸パイプ3aの外側に引き出されたフローチューブ7aは、チューブ支持部材9a内の内部空間を通過し、出口近傍で略直角に折れ曲がる。折り曲げられたフローチューブ7aはカラム5aの方向に向い、ドラム本体5a1の一端部(左端)からドラム本体5a1の内部に入る。ドラム本体5a1の内部に入ったフローチューブ7aは挿通口5a4からドラム本体5a1の外周面に引き出され、ドラム本体5a1にコイル状に巻きつけられて、鍔状部材5a2の挿通口5a5も通過してドラム本体5a1の外に出る。
次に、図2に基づいて、本実施形態に係るカラム保持機構の動作原理について説明する。以下の説明において回転方向を示す場合には、便宜上供給側(又は上方)から排出側(又は下方)に向かってフローチューブ7a又はカラム5aを見た場合を基準として、時計周り又は反時計周りと説明する。
図2は、カラム5aが公転軸Pを中心として反時計回りに公転する場合のカラム保持機構の例を示している。供給側(上側)のフローチューブ7aの上端部及び排出側(下側)のフローチューブ7aの下端部は共に固定されている。即ち、回転はできないようになっている。このような構造において、仮にカラム5a自体が自転できないと仮定すると、フローチューブ7aにはカラム5aの公転に伴って反時計周り方向に捻れが生じてしまう。
次に、図3に基づいて本発明の第2の実施形態について説明する。説明に際し、第1の実施形態と同様の部分は説明を省略し、異なる部分のみ説明する。以下、他の実施形態についても同様である。
本実施形態に係るカラム保持機構1Bの特徴は、カラムを4つ備えている点である。即ち、各カラムは公転軸パイプ3bを中心として、長方形の各角部に相当する位置にそれぞれ配置されている。フローチューブ7bの供給側から排出側に向かって各カラムを特定すると、左上が第1のカラム5b1、左下が第2のカラム5b2、右下が第3のカラム5b3、そして右上が第4のカラム5b4となる。そして、これら各カラムの間がフローチューブ7aで直列に接続されている。
各カラムを本実施形態のように配置することによって、分離に十分なカラム容量を確保すると共に回転バランスを維持することができる。
次に、図4に基づいて本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態に係るカラム保持機構1Cの特徴は、8個のカラムが設けられている点と、それぞれ4つのカラムからなるカラム群が上段と下段に分かれている点である。以下詳しく説明する。
次に、図5に基づいて本発明の第4の実施形態について説明する。当該実施形態に係るカラム保持機構1Dの特徴は、2つのカラムが相互に平行に配置され、更にこの2つのカラムからなるカラム群が公転軸Pを中心として3組配設されている点である。そして、各カラム群の自転軸Qは公転軸Pを中心として相互に120°の角度差で配向されている。
各カラムを本実施形態のように配置することによって、分離に十分な総カラム容量を確保しながら1カラムの長さを短くすることができるので、装置の平面的寸法を小さくすることができ、小型化、省スペース化、温度制御が必要とする分離条件への対応が可能となる。
次に、図6に基づいて本発明の第5の実施形態について説明する。当該実施形態に係るカラム保持機構1Eの特徴は、公転軸Pを中心として5つのカラムが配置されている点である。各カラムの自転軸Qは公転軸Pを通らないような方向を向いており、自転軸Qは互いに並行とはなっていない。そして、供給側のフローチューブ7e1が公転軸パイプ3eを出て、第1のカラム5e1における公転軸Pに近い側の端部につながる。そして、第1カラム5e1の公転軸Pから遠い側の端部から出たフローチューブ7e2は、第2のカラム5e2における公転軸Pから遠い側の端部につながる。次に、第2カラム5e2の公転軸に近い側の端部から出たフローチューブ7e3は、第3のカラム5e3における公転軸Pに近い側の端部につながる。また、第3のカラム5e3における公転軸Pから遠い側の端部から出たフローチューブ7e4は、第4のカラム5e4における公転軸Pから遠い側の端部につながる。更に、第4カラム5e4の公転軸Pに近い側の端部から出たフローチューブ7e5は、第5のカラム5e5における公転軸Pに近い側の端部につながる。最後に、第5のカラム5e5における公転軸Pに遠い側の端部から出たフローチューブ7e6は、公転軸パイプ3eに引き入れられる。
次に、図7〜図9に基づいて、本発明のカラム保持機構の具体的構成について説明する。図7は、カラム保持機構1Fを上方から見た平面図である。この図から分かるように、このカラム保持機構1Fには、公転軸Pを中心として4つのカラムユニットが設けられている。公転軸Pの位置には、公転軸パイプと一体的に回転せず固定された公転軸傘歯車3fが設けられている。そして、この公転軸傘歯車3fの近傍には、カラムユニットを駆動するドライブユニット4fが配設されている。このドライブユニット4fの端部にはドライブ傘歯車4f1が取り付けられ、公転軸傘歯車3fとかみ合っている。各カラムユニットは、供給側から順に第1のカラムユニット5f1、第2のカラムユニット5f2、第3のカラムユニット5f3、そして第4のカラムユニット5f4がフローチューブ7fで接続されている。
次に、図10に基づいて、本発明の一実施形態に係るクロマトグラフ装置50について説明する。この図に示すように、クロマトグラフ装置50は、上壁51、側壁53及び底壁55を備えている。クロマトグラフ装置50の内部には、上記したカラム保持機構としてのロータリーフレームユニットが収容されている。ロータリーフレームユニットは、底壁55の表面の法線方向を向いた公転軸Pを中心に回転できるように、底面55上に支持されている。また、ロータリーフレームユニットの上方には水平方向に固定された内部フレーム57が設けられている。そして、この内部フレーム57にロータリーフレームユニットの上部回転軸が回転自在に支承されている。底壁55の下面には公転駆動手段59が設けられており、ロータリーフレームユニットに所定の回転駆動力を付与する。
尚、以上の説明で各部材の寸法を示したが、これらはあくまでも例示であって、本発明の範囲を限定するものではない。従って、本発明の思想及び範囲を逸脱することなく、自明な範囲で種々の部材の寸法や構造を変更することは当業者にとって予期されるものである。
3a 公転軸パイプ
5a カラム
7a フローチューブ
P 公転軸
Q 自転軸
Claims (19)
- 公転軸と同軸に配置されると共に回転自在に支持された公転軸パイプと、この公転軸パイプの近傍に配置されて前記公転軸を中心として公転軸パイプと一体的に公転するカラムと、前記公転軸パイプから前記カラムを一回のみ通って再び公転軸パイプに戻るフローチューブとを備え、
前記カラムを自転可能に支持すると共に、カラムの公転によって前記フローチューブに生じる捩じれを解消する方向に、カラムを自転させることを特徴とするカラム保持構造。 - 前記フローチューブは、前記公転軸の一端側に引き入れられ、公転軸の他端側から引き出されることを特徴とする請求項1に記載のカラム保持機構。
- 前記カラムが少なくとも2つ設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のカラム保持機構。
- 前記カラムは、円筒状のドラム本体と、このドラム本体の両端領域に設けられた円盤状の鍔状部材と、各鍔状部材の間に巻き付けられたカラム本体とからなることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のカラム保持機構。
- 前記カラムの自転軸は、前記公転軸と垂直であり且つ公転軸と交差しないことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のカラム保持機構。
- 前記各カラムは、前記公転軸の方向に沿って相互にずれた位置に配置されることを特徴とする請求項3〜5の何れか一項に記載のカラム保持機構。
- 前記各カラムの自転軸は相互に平行であることを特徴とする請求項3〜6の何れか一項に記載のカラム保持機構。
- 前記各カラムのうち自転軸が相互に平行な少なくとも2つのカラムからなるカラム群を少なくとも2組備え、これら2組のカラム群のそれぞれの自転軸が相互に平行でないことを特徴とする請求項3〜6の何れか一項に記載のカラム保持機構。
- 前記各カラムの自転軸が相互に平行でないことを特徴とする請求項3〜6の何れか一項に記載のカラム保持機構。
- 前記公転軸パイプと一体的に回転しない公転軸傘歯車を備え、当該公転軸パイプの回転と当該傘歯車により前記カラムを自転させることを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載のカラム保持機構。
- 前記公転軸傘歯車にかみ合うドライブ傘歯車と、このドライブ傘歯車に固定されたドライブ平歯車を更に備え、これらドライブ傘歯車とドライブ平歯車を介して前記カラムを自転させることを特徴とする請求項10に記載のカラム保持機構。
- 前記カラムの端部領域にカラム平歯車を固定し、当該カラム平歯車に駆動力を付与して自転させることを特徴とする請求項10又は11に記載のカラム保持機構。
- 前記ドライブ平歯車とカラム平歯車との間に中継平歯車を配置することを特徴とする請求項12に記載のカラム保持機構。
- 前記ドライブ平歯車は、同時に2つのカラムを駆動することを特徴とする請求項11〜13の何れか一項に記載のカラム保持機構。
- 前記中継平歯車は、一方のカラム平歯車との間に1つ配置され、他方のカラム平歯車との間に2つ配置されていることを特徴とする請求項14に記載のカラム保持機構。
- 上記請求項1〜15の何れか一項に記載のカラム保持機構を備えたことを特徴とするクロマトグラフ装置。
- 前記カラム保持機構は、上壁,側壁及び底壁によって囲まれ、底壁面の法線方向に配向された公転軸を中心に公転することを特徴とする請求項16に記載のクロマトグラフ装置。
- 前記上壁における前記公転軸と交わる領域に所定の空気孔を形成すると共に、前記側壁にも所定の空気孔を形成することを特徴とする請求項17に記載のクロマトグラフ装置。
- 前記上壁の空気孔の近傍に、空気の流れを制御する制御板を設けたことを特徴とする請求項18に記載のクロマトグラフ装置。
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