JP2006062348A - 液滴噴射装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 被噴射体に対してより微細な液滴を噴射することが可能な液滴噴射装置を提供すること。
【解決手段】 インクジェットヘッド1は、インクが貯留されている圧力室14と、この圧力室14内のインクに圧力を付与する圧電アクチュエータ3と、記録用紙Pに対してメイン液滴Iaを噴射可能であり、さらに、このメイン液滴Iaの噴射動作に伴ってメイン液滴Iaよりも体積の小さいサテライト液滴Ibを噴射するノズル孔20と、ノズル孔20と記録用紙Pとの間であって、ノズル孔20から噴射されたメイン液滴Iaには接触し且つサテライト液滴Ibには接触しない位置に配置され、メイン液滴Iaのみを捕捉する突出部22とを有するため、メイン液滴Iaは突出部22に捕捉され、サテライト液滴Ibだけが記録用紙Pに到達する。
【選択図】 図5

Description

本発明は、記録用紙や基板等の被噴射体に対して液滴を噴射する液滴噴射装置に関する。
記録用紙に対してインクを噴射するインクジェットヘッドにおいては、高画質印字を実現するために、微小なインク滴を噴射する技術が要求されている。また、導電ペーストを噴射して基板上に微細な配線パターンを形成したり、あるいは、有機発光体を基板に噴射して高精細ディスプレイを形成したり、さらには、光学樹脂を基板に噴射して光導波路等の微小光学デバイスを形成する場合などにも、様々な被噴射体に対して非常に小さな液滴を噴射する技術が求められている。
例えば、インクジェットヘッドにおいては、インクを噴射するノズル孔の径を小さくすることにより、噴射されるインク滴をある程度小さくすることは可能である。また、インク滴をノズル孔から吐出させるアクチュエータに供給される吐出パルス信号を調整することにより、ノズル孔から吐出されるインク滴を任意の大きさに設定することが可能なインクジェット記録装置も提案されている。例えば、特許文献1に記載のインクジェット記録装置は、吐出パルス信号を調整することにより、先にノズル孔から吐出されるメインドット(メイン液滴)と、このメインドットの後に吐出されるサテライトドット(サテライト液滴)の重量を互いに等しくするように構成されており、このインクジェット記録装置によれば、主走査方向の解像度を実質的に倍にすることが可能になっている。
特開平7−285222号公報(図1)
しかしながら、製造技術の面及びコスト面からノズル孔の径を小さくするにも限界がある。また、前述の特許文献1に記載されたインクジェット記録装置は、メインドットとサテライトドットの大きさをほぼ等しくすることができるものの、吐出パルス信号を調整することによって、ある程度の大きさの径を有するノズル孔から吐出されるメインドットとサテライトドットの両方を共に微小化することは、実際にはほとんど不可能である。そして、このような従来の液滴噴射技術では、より高画質な画像やより高精細な配線パターン等を被噴射体に形成することが困難になってきている。
本発明の目的は、被噴射体に対してより微細な液滴を噴射することが可能な液滴噴射装置を提供することである。
課題を解決するための手段及び発明の効果
第1の発明の液滴噴射装置は、液体が貯留されている貯留室と、この貯留室内の液体に圧力を付与する圧力付与手段と、前記貯留室に連通したノズル孔であって、メイン液滴及び前記メイン液滴より体積の小さいサテライト液滴が噴射される出射口を有し、前記出射口から前記メイン液滴とサテライト液滴とを連続的に噴射可能なノズル孔と、前記ノズル孔と被噴射体との間であって、前記ノズル孔の出射口から噴射された前記メイン液滴に接触し且つ前記サテライト液滴に接触しない位置に配置され、前記メイン液滴のみを捕捉するメイン液滴捕捉部と、を有することを特徴とするものである。
この液滴噴射装置において、貯留室内の液体に対して圧力付与手段により圧力が付与されると、貯留室に連通するノズル孔から被噴射体に対して液滴が噴射される。このとき、ノズル孔からは、体積の大きいメイン液滴と当該メイン液滴よりも体積の小さいサテライト液滴とが形成され、これらが連続して噴射される。ここで、ノズル孔と被噴射体の間であって、メイン液滴には接触し且つサテライト液滴には接触しない位置にメイン液滴捕捉部が設けられている。従って、メイン液滴捕捉部により体積の大きなメイン液滴のみを捕捉して、体積の小さなサテライト液滴だけを被噴射体に着弾させることができるため、被噴射体に非常に小さなドットを形成することができる。
第2の発明の液滴噴射装置は、前記第1の発明において、前記ノズル孔から噴射される前記サテライト液滴の飛翔軌道を前記メイン液滴の飛翔軌道と異なるように調整する飛翔軌道調整手段を有し、前記メイン液滴捕捉部が、前記メイン液滴の飛翔軌道上に配置されていることを特徴とするものである。従って、飛翔軌道調整手段により、サテライト液滴の飛翔軌道をメイン液滴の飛翔軌道と異ならせることができ、メイン液滴の飛翔軌道上に配置されたメイン液滴捕捉部によりメイン液滴のみを捕捉して、サテライト液滴だけを被噴射体に着弾させることができる。
第3の発明の液滴噴射装置は、前記第2の発明において、前記飛翔軌道調整手段は、ノズル孔の出射口に形成された張出部であって、該張出部を除く出射口の中心点から前記張出部までの距離が、前記中心点からその他の部位における距離より大きくなっており、前記張出部を構成する周縁の曲率がその他の部位の曲率よりも大きいことを特徴としている。噴射の際、ノズルより突出したインクから、体積の大きなメイン液滴が形成され、前記突出したインクのノズル孔の出射口に近接した部位、即ち基端部は張出部に引っ張られ、この引っ張られた基端部からサテライト液滴分離して形成される。そして、メイン液滴はノズル孔の軸線方向に沿って噴射され、サテライト液滴は前記引っ張られた基端部を起点としてノズル孔の軸線から離れる方向に噴射される。
第4の発明の液滴噴射装置は、前記第3の発明において、前記張出部は、少なくとも前記ノズル孔の出射口が開口するインク吐出面において、前記出射口の周縁の一部を該出射口の径方向に切り欠くことにより形成された切欠部であることを特徴としている。従って、このような簡単な構成により、サテライト液滴の飛翔軌道を簡単にメイン液滴の飛翔軌道と異ならせることができる。
第5の発明の液滴噴射装置は、前記第4の発明において、前記切欠部が、前記側壁における前記ノズル孔の軸線方向に沿った全長に亘って形成されていることを特徴としている。その為、製造コストの面で有利である。具体的には、切欠部は、例えばプレス加工等を用いたり、あるいは、インク吐出面上にマスクパターン等を形成してその上からエキシマレーザーを照射したりすることで、その後の加工処理を必要とすることなく容易に形成することが出来る。
第6の発明の液滴噴射装置は、前記第2の発明において、前記ノズル孔の出射口が形成されたインク吐出面には、一部を除いて撥液膜が形成され、前記飛翔軌道調整手段は、前記インク吐出面において、前記ノズル孔の出射口からこのノズル孔の径方向に延び、前記撥液膜が部分的に形成されていない部分である、撥液膜非形成部であることを特徴とするものである。撥液膜非形成部においては液体の濡れ性が高くなるため、ノズル孔から噴出されるメイン液滴の基端部が撥液膜非形成部に引っ張られ、この部分がメイン液滴から分離してサテライト液滴が形成される。そして、このサテライト液滴は撥液膜非形成部を起点としてノズル孔の軸線から離れる方向に飛翔することになる。従って、このような簡単な構成により、サテライト液滴の飛翔軌道をメイン液滴の飛翔軌道と異ならせることができる。
第7の発明の液滴噴射装置は、前記第2の発明において、前記飛翔軌道調整手段は、前記ノズル孔の軸線方向と直交する方向に送風する送風手段であることを特徴とするものである。メイン液滴とサテライト液滴の重量は異なることから、これら液滴に対してその飛翔方向と直交する方向に風圧が作用したときの、メイン液滴とサテライト液滴の飛翔軌道の変化の度合いが異なるため、サテライト液滴の飛翔軌道をメイン液滴の飛翔軌道と確実に異ならせることができる。また、送風手段の風圧の強さを調整することにより、サテライト液滴の着弾位置を調整することも可能になる。
第8の発明の液滴噴射装置は、前記第1の発明において、前記メイン液滴捕捉部の先端部は、前記ノズル孔の軸線方向から見て、前記メイン液滴と部分的に重なり、且つ、前記サテライト液滴とは重ならない領域に配置されていることを特徴とするものである。従って、メイン液滴とサテライト液滴はともにノズル孔の軸線に沿って噴射される場合でも、体積の大きなメイン液滴はメイン液滴捕捉部により捕捉される一方で、体積の小さなサテライト液滴はメイン液滴捕捉部により捕捉されないため、サテライト液滴のみが被噴射体に到達することになる。
第9の発明の液滴噴射装置は、前記第8の発明において、前記メイン液滴捕捉部の先端部は、前記メイン液滴及び前記サテライト液滴の噴射方向下流側ほど、前記ノズル孔の軸線から離れる方向に傾斜する形状に形成されていることを特徴とするものである。このように、メイン液滴捕捉部の先端部が、液滴の噴射方向下流側ほど、ノズル孔の軸線から離れる方向に傾斜していることから、先にノズル孔から噴射されて、メイン液滴捕捉部の先端に絡んだメイン液滴がノズル孔の軸線から離れる方向に移動するため、メイン液滴が、次に噴射されるサテライト液滴に干渉することがない。
第10の発明の液滴噴射装置は、前記第1〜第9の何れかの発明において、前記メイン液滴捕捉部は、前記貯留室に連通していることを特徴とするものである。従って、捕捉されたメイン液滴を貯留室に戻すことができるため、インクを無駄なく使用することができる。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
まず、本発明の第1実施形態について説明する。この第1実施形態は、液滴噴射装置として、記録用紙にインクを噴射するシリアル式のインクジェットヘッドに本発明を適用した一例である。
本実施形態のインクジェットヘッド1を備えたインクジェットプリンタ100について簡単に説明する。図1に示すように、インクジェットプリンタ100は、図1の左右方向(走査方向)に移動可能なキャリッジ101と、このキャリッジ101に設けられて記録用紙P(被噴射体)に対してインクを噴射するインクジェットヘッド1と、記録用紙Pを図1の前方へ搬送する搬送ローラ102等を備えている。インクジェットヘッド1は、キャリッジ101と一体的に左右方向(走査方向)へ移動して、その下面のインク吐出面5に形成されたノズル孔の出射口から記録用紙Pに対してインクを噴射する。そして、インクジェットヘッド1により記録された記録用紙Pは、搬送ローラ102により前方(紙送り方向)へ排出される。
次に、インクジェットヘッド1について詳細に説明する。図2はインクジェットヘッド1の部分平面図、図3は図2のIII-III線断面図である。
図2、図3に示すように、インクジェットヘッド1は、内部に圧力室14を含む個別インク流路が形成された流路ユニット2と、この流路ユニット2の上面に積層された圧電アクチュエータ3とを備えている。
まず、流路ユニット2について説明する。図3に示すように、流路ユニット2はキャビティプレート10、ベースプレート11、マニホールドプレート12、及びノズル孔プレート13を備えており、これら4枚のプレート10〜13が積層状態で接着されている。このうち、キャビティプレート10、ベースプレート11及びマニホールドプレート12はステンレス鋼製の板であり、これら3枚のプレート10〜12に、後述するマニホールド17や圧力室14等のインク流路をエッチングにより容易に形成することができるようになっている。また、ノズル孔プレート13は、例えば、ポリイミド等の高分子合成樹脂材料により形成され、マニホールドプレート12の下面に接着される。あるいは、このノズル孔プレート13も、3枚のプレート10〜12と同様にステンレス鋼等の金属材料で形成されていてもよい。
図2に示すように、キャビティプレート10には、平面に沿って配列された複数の圧力室14(貯留室)が形成されている。これら複数の圧力室14は、流路ユニット2の表面(後述の振動板30が接合されるキャビティプレート10の上面)において開口している。尚、図2には、複数の圧力室14のうちの一部(8つ)が示されている。各圧力室14は、平面視で略楕円形状に形成されており、その長軸方向が左右方向(走査方向)となるように配置されている。
ベースプレート11の平面視で圧力室14の長軸方向両端部に重なる位置には、夫々連通孔15,16が形成されている。また、マニホールドプレート12には、紙送り方向(図2の上下方向)に延び、平面視で圧力室14の図2における右半分と重なるマニホールド17が形成されている。このマニホールド17には、図示外のインクタンクからインクが供給される。また、平面視で圧力室14の図2における左端部と重なる位置には、連通孔19も形成されている。
ノズル孔プレート13には、平面視で複数の圧力室14の左端部に重なる位置に、複数のノズル孔20が夫々形成されている。ノズル孔20は、例えば、ポリイミド等の高分子合成樹脂の基板にエキシマレーザー加工を施すことにより形成される。このノズル孔20は、水平断面形状が略円形で且つ鉛直断面形状が先細りのテーパー状に形成されている。図4(a),(b)に示すように、ノズル孔プレート13に形成されたノズル孔20の周縁、即ちノズル孔20を画定する側壁に、出射口24の径方向(図3の左方)に切り欠くことにより形成された切欠部21が形成されている。切欠部21は、ノズル孔20の下端から上端まで連続的に、即ち、ノズル孔20を画定する側壁におけるノズル孔20の軸線方向に沿った全長に亘って、形成されている。したがって、ノズル孔プレート13の上面、即ちマニホールドプレート12に接着される面、及び、ノズル孔プレート13の下面、即ちインク吐出面5における切欠部21を含むノズル孔20の開口は、共に、円形形状の縁部から部分的に出射口24の径方向外側(図3、図4(a)、(b)における左方)へとノズル孔20の軸線Lから離れるように膨らんだ形状に形成されている。尚、インク吐出面5の全域には、図3及び図4(a)に示すように、出射口24付近におけるインクの濡れを防止する為の高い撥液性を有する撥液膜25が形成されている。
また、ノズル孔プレート13の下部には、ノズル孔プレート13のマニホールド17が形成された位置から下方へ延び、さらに、図3の右方からノズル孔20の下側の位置まで左方に水平に延びる、断面L字形の突出部22が設けられている。この突出部22の内部には、マニホールド17に連通するインク流路23が形成されている。また、この突出部22の先端部22aは、ノズル孔20の出射口24の略真下(軸線Lの位置)に位置しており、さらに、その下側部分が上側部分よりもノズル孔20の下方へ水平にせり出した形状に形成されている。この突出部22については後ほどさらに詳述する。
そして、図3に示すように、マニホールド17は連通孔15を介して圧力室14に連通し、さらに、圧力室14は、連通孔16,19を介してノズル孔20に連通している。このように、流路ユニット2内には、マニホールド17から圧力室14を経てノズル孔20に至る個別インク流路が形成されている。
次に、圧電アクチュエータ3について説明する。図2、図3に示すように、圧電アクチュエータ3は、流路ユニット2の表面に配置された導電性を有する振動板30と、この振動板30の表面に複数の圧力室14に跨って連続的に形成された圧電層31と、この圧電層31の表面に複数の圧力室14に夫々対応して形成された複数の個別電極32とを備えている。この圧電アクチュエータ3は、圧力室14の容積を変化させることにより圧力室14内のインクに圧力を付加する機能を有し、本願発明の圧力付与手段に相当する。
振動板30は、平面視で略矩形状のステンレス鋼製の板であり、複数の圧力室14の開口を塞ぐ状態でキャビティプレート10の上面に積層された状態で接合されている。また、この振動板30は、複数の個別電極32に対向して個別電極32と振動板30との間の圧電層31に電界を作用させる共通電極を兼ねている。
振動板30の表面には、チタン酸鉛とジルコン酸鉛との固溶体であり強誘電体であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を主成分とする圧電層31が形成されている。この圧電層31は、複数の圧力室14に跨って連続的に形成されている。この圧電層31は、例えば、超微粒子材料を高速で衝突させて堆積させるエアロゾルデポジション法(AD法)を用いて形成できる。その他、ゾルゲル法、スパッタ法、水熱合成法、あるいは、CVD(化学蒸着)法を用いることもできる。さらに、PZTのグリーンシートを焼成することにより得られた圧電シートを振動板30の表面に貼り付けて圧電層31を形成することもできる。
圧電層31の表面には、金,Ptなどの導線性材料からなり、圧力室14よりも一回り小さい楕円形の平面形状を有する複数の個別電極32が形成されている。これら個別電極32は、平面視で対応する圧力室14の中央部に重なる位置に夫々形成されている。また、個別電極32は金などの導電性材料からなる。さらに、圧電層31の表面において、複数の個別電極32の一端部(図2における右端部)からは、夫々、個別電極32の長軸方向に平行に複数の配線部35が延びている。これら複数の配線部35には、複数の個別電極32に対して選択的に駆動電圧を供給するドライバIC(図示省略)が電気的に接続されている。
次に、圧電アクチュエータ3の作用について説明する。
複数の個別電極32に対してドライバICから選択的に駆動電圧が供給されると、駆動電圧が供給された圧電層31上側の個別電極32とグランド電位に保持されている圧電層31下側の共通電極としての振動板30の電位が異なる状態となり、個別電極32と振動板30の間に挟まれた圧電層31の部分に上下方向の電界が生じる。すると、駆動電圧が印加された個別電極32の直下の圧電層31の部分が分極方向である上下方向と直交する水平方向に収縮する。このとき、この圧電層31の収縮に伴って振動板30が圧力室14側に凸となるように変形するため、圧力室14内の容積が減少して圧力室14内のインクに圧力が付与され、圧力室14に連通するノズル孔20からインクが噴射される。
このノズル孔20からのインク滴の噴出動作について、図5を参照してさらに説明する。図5(a)のようにノズル孔20の出射口24付近にメニスカスが形成された状態から、圧電アクチュエータ3により圧力室内14のインクに圧力が付与されると、図5(b)に示すように、ノズル孔20の出射口24からインクが突出する。当該突出したインクはノズル孔20と接続されており、突出したインクにおけるノズル孔20の出射口24に近接した部分、即ち基端部Itが液滴の噴射方向と反対方向(図5(a)〜(e)における上方向)に引っ張られると、基端部It以外の部分が分離してメイン液滴Iaとして(図5(c)参照)、基端部Itがサテライト液滴Ibとして(図5(d)参照)、それらの液滴が連続的に噴射される。メイン液滴Iaの体積は、例えば、数pl程度であり、一方のサテライト液滴Ibの体積は、例えば、2〜500fl(フェノム・リットル)程度である。
メイン液滴Iaは、ノズル孔20の軸線Lに沿って下方に飛翔する。ここで、図3、図4に示したように、ノズル孔プレート13の下部には突出部22が設けられており、この突出部22は図3の右方からノズル孔20の略真下まで張り出している。また、突出部22の先端部22aの下側部分は、ノズル孔20の軸線Lを超える位置まで、その上側部分に対してさらに水平にせり出した形状に形成されている。従って、ノズル孔20の軸線Lに沿って飛翔するメイン液滴Iaは、突出部22の先端部22aに確実に捕捉され、記録用紙Pに到達することはない。尚、この突出部22が本願発明のメイン液滴捕捉部に相当する。
サテライト液滴Ibは、切欠部21の存在のため、メイン液滴Iaとは異なり、軸線Lから離れるように軸線Lに対して傾斜した方向に沿って飛翔する(図5(d)参照)。詳細には、図5(c)に示すように、メイン液滴Iaの基端部Itが切欠部21内へと引き寄せられ、メイン液滴Iaの噴射後にこの基端部Itにより分離・形成されたサテライト液滴Ibは、図5(d)に示すように切欠部21を起点として飛翔する。さらに、切欠部21がノズル孔20の軸線Lに対して突出部22とは反対側に形成されているため、サテライト液滴Ibは突出部22から離れる方向に飛翔する。
したがって、メイン液滴Iaの飛翔軌道及びサテライト液滴Ibの飛翔軌道は互いに異なり、メイン液滴Iaが突出部22の先端22aに補足される一方、サテライト液滴Ibは先端22aから離れる方向に飛翔し、図5(e)に示すように、突出部22の先端部22aに捕捉されることなく記録用紙Pに到達する。
ここで、以上の第1実施形態の具体的な実施例について説明する。この実施例において、圧力室14の寸法は、深さ50μm、幅(短軸方向寸法)250μm、長さ(長軸方向寸法)2.5mmである。また、ノズル孔20の出射径は20μmであり、このノズル孔20に形成された切欠部21の幅及び深さは共に4μmである。さらに、インクは、水系染料インクを用い、その粘度は3.0cP、表面張力は39mN/mである。この条件下でノズル孔20からインクを噴射させたときの、メイン液滴Ia及びサテライト液滴Ibの計測結果を表1に示す。
Figure 2006062348
表1に示すように、メイン液滴Iaに対して体積が非常に小さいサテライト液滴Ibの飛翔方向は軸線Lからずれているため、ノズル孔20の出射口24の直下の突出部22により、メイン液滴Iaのみを捕捉し、サテライト液滴Ibだけを記録用紙Pに着弾する。
以上述べたように、第1実施形態のインクジェットヘッド1によると、圧力室14内のインクに対して圧電アクチュエータ3により圧力が付与されると、圧力室14に連通するノズル孔20から液滴が噴射される。ノズル孔20からは、まず体積の大きいメイン液滴Iaが噴射され、メイン液滴Iaに続いて、メイン液滴Iaよりも体積の小さいサテライト液滴Ibが噴射される。ここで、ノズル孔20と記録用紙Pとの間であってメイン液滴Iaに接触し且つサテライト液滴Ibには接触しない位置に、突出部22が設けられている。メイン液滴Iaは突出部22により捕捉されるので、記録用紙Pに対して体積の小さなサテライト液滴Ibのみを噴射することが可能であり、これにより記録用紙Pに微小なドットを形成することが出来る。
ノズル孔プレート13に形成された切欠部21により、サテライト液滴Ibの飛翔軌道をメイン液滴Iaの飛翔軌道と異ならせることにより、より確実に、突出部22にメイン液滴Iaを捕捉させ且つサテライト液滴Ibのみを記録用紙Pに到達させることが出来る。
さらに、ノズル孔20を画定する側壁に切欠部21を形成するという簡単な構成によってサテライト液滴Ibの飛翔軌道をメイン液滴Iaの飛翔軌道と異なる軌道とすることができるので、製造コストの面で有利である。
切欠部21は、ノズル孔20を画定する側壁におけるノズル孔20の軸線方向に沿った全長に亘って形成されていることから、製造上有利である。詳細には、切欠部21は、例えばプレス加工等を用いたり、あるいは、ノズル孔プレート13上にマスクパターン等を形成してその上からエキシマレーザーを照射したりすることで、その後の加工処理を必要とすることなく容易に形成することが出来る。
しかも図3に示すように、この第1実施形態のインクジェットヘッド1では、メイン液滴Iaを捕捉する突出部22の内部に形成されたインク流路23は、マニホールド17を介して圧力室14に連通している。そのため、インクを噴出した後にマニホールド17から圧力室14へインクが供給されるときに、突出部22に捕捉されたメイン液滴Iaを形成していたインクは、突出部22内のインク流路23及びマニホールド17を介して圧力室14へ流れ、再びノズル孔20から噴出されるため、インクを無駄なく使用することができる。
尚、サテライト液滴Ibの飛翔軌道をメイン液滴Iaの飛翔軌道と異ならせるための、ノズル孔の形状は、前記第1実施形態のものに限られない。例えば、切欠部21がノズル孔の下端から上端まで連続的に切欠状に形成されている必要はなく、図6(a)、(b)に示す切欠部21Aのようにノズル孔20Aの下端のインク吐出面5Aに開口する出射口24Aの周縁から上方に向けて漸進的に小さくなり、ノズル孔プレート13Aの上面には形成されなくても良い。つまり切欠部は、少なくともノズル孔の出射口が形成されたインク吐出面(ノズル孔プレートの下面)において、ノズル孔の出射口周縁に形成されていれば良く、図示されたもの意外の様々な形状であってよい。
更に、第1の実施形態の第2の変形形態として、図7(a)及び図7(b)に示すように、ノズル孔プレート13Bに卵形状の周縁を有する出射口24Bを備えたノズル孔20Bが形成されたものであっても良い。この実施形態においても、同様に、出射口24Bから噴射されるサテライト液滴Ibの飛翔軌道をメイン液滴Iaの飛翔軌道と異なる軌道とすることができる。出射口24Bの形状は、真円形状124と当該真円形状124の一部分(本実施形態では、特に、真円形状124の半分(0〜180°)の領域)を外に膨らませた部位(膨出部)224とを合成したような形状となっている。尚、前記膨出部224の頂点224aは真円形状124の曲率よりも大きい曲率を有するように形成されている。
図4(a),(b)及び図6(a),(b)に示されるような、側壁に切欠部21,21Aが形成された上記ノズル孔20,20Aも、図7(a),(b)に示される本変形形態にあるような、卵形状の周縁を有する出射口24Bを備えたノズル孔20Bも、以下に示す共通点を有している。
(1)ノズル孔の出射口には、その周縁に形成された張出部(具体的には、切欠部や膨出部が対応)を有しており、(2)その張出部は、張出部を除く出射口の中心点からの距離が、その他の部位における前記中心点からの距離より大きくなっており、(3)前記張出部を構成する周縁の曲率がその他の部位の曲率よりも大きくなっている。尚、前記「張出部を除く出射口の中心点」とは、切欠部21,21Aが形成されたノズル孔20,20Aにおいてはノズル孔20,20Aの「軸線L」が対応し、卵形上の周縁を有する出射口24Bを備えたノズル孔20Bにおいては、「真円形状124の中心O」が対応する。また、「その他の部位」とは、前記ノズル孔20,20A、20Bのいずれにおいても、その内部で真円形状を成す部位が対応する。
上に挙げた条件を満たせば、サテライト液滴Ibの飛翔軌道をメイン液滴Iaの飛翔軌道と異なる軌道とすることができる。つまり、インク吐出面(ノズル孔プレートの下面)に形成されたノズル孔の出射口周縁の形状により、サテライト液滴Ibの飛翔軌道をメイン液滴Iaの飛翔軌道と異なる軌道とすることができればよいのであり、図4、6,7に図示されたもの意外の様々な形状であってもよい。
また、ノズル孔を画定する側壁に切欠部を形成せず、その他の方法により、サテライト液滴Ibの飛翔軌道をメイン液滴Iaの飛翔軌道と異ならせても良い。例えば、図8(a)、(b)に示すように、ノズル孔20Bは、図4(a)及び図4(b)に示す第1の実施形態のノズル孔20と同様にその水平断面形状が円形で且つ鉛直断面形状が先細りのテーパー状であるが、第1の実施の形態とは異なり、ノズル孔20Bを画定する側壁に切欠部21が形成されておらず、インク吐出面5Bに、撥液膜25が部分的に形成されていない撥液膜非形成部40が設けられている。撥液膜非形成部40は、図8(b)に示すように、先細形状であって、ノズル孔20Bの出射口24Bから当該出射口24Bの径方向に延在している。撥液膜非形成部40を設けるには、インク吐出面5Bの全面に撥液膜25を形成してから撥液膜25を部分的に除去するようにしても良いし、レジスト法等を用いて撥液膜非形成部40以外の領域のみに撥液膜25を形成するようにしても良い。撥液膜非形成部40のインクの濡れ性は撥液膜25が形成された部分よりも高くなるため、メイン液滴Iaがノズル孔20Bから噴射されるときに、その基端部Itが撥液膜非形成部40に引き寄せられる。そして、この基端部Itがメイン液滴Iaから分離して形成されたサテライト液滴Ibは撥液膜非形成部40を起点に軸線Lから離れるように軸線Lに対して傾斜した方向に沿って飛翔する。従って、図8(a)及び図8(b)に示す例では、この撥液膜非形成部40を設けるという簡単な構成によって、サテライト液滴Ibの飛翔軌道をメイン液滴Iaの飛翔軌道と異ならせることができるため、構成が簡単なものとなり、製造コストの面で有利である。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。但し、前記第1実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
図9に示すように、第2実施形態のインクジェットヘッド51は、流路ユニット52と圧電アクチュエータ3とを備えている。流路ユニット52は、キャビティプレート10、ベースプレート11、マニホールドプレート12及びノズル孔プレート63が順に積層された構造を有し、これら4枚のプレート10,11,12,63により、マニホールド17から圧力室14を経てノズル孔70に至る個別インク流路が形成されている。前記4枚のプレートのうちノズル孔プレート63のみが第1実施形態のものと異なる。また、圧電アクチュエータ3は、前記第1実施形態と同様に、振動板30、圧電層31及び個別電極32等で構成されたものであり、その説明は省略する。
図10(a)、(b)に示すように、ノズル孔プレート63に形成されたノズル孔70は、その軸線Lは上下方向に延び、図4(a)及び図4(b)に示す第1の実施形態のノズル孔20と同様にその水平断面形状が円形で且つ鉛直断面形状が先細りのテーパー状であるが、第1の実施の形態とは異なり、ノズル孔20Bを画定する側壁に切欠部21が形成されていない。尚、このノズル孔70の出射口74が形成されたインク吐出面55(ノズル孔プレート63の下面)には撥液膜25が形成されている。
ノズル孔プレート63の下部には、ノズル孔プレート63のマニホールド17が形成された位置から下方へ延び、さらに、図9の右方からノズル孔70の下側の位置まで左方に水平に延びる、断面L字形の突出部72が設けられている。この突出部72の内部には、マニホールド17に連通するインク流路73が形成されている。但し、第1実施形態の突出部22と異なり、突出部72の先端部72aは、インクの噴射方向である下方ほどノズル孔70の軸線Lから離れる方向に傾斜する形状に形成されている。さらに、図10(b)に示すように、この突出部72の先端部72aは、下方(ノズル孔70の軸線方向)から見て、その中心が、ノズル孔70の軸線Lと一致した状態で飛翔するメイン液滴Iaと部分的に重なっており、さらに、その中心がノズル孔70の軸線Lと一致した状態で飛翔するサテライト液滴Ibとは重ならない領域に配置されている。即ち、突出部72の先端部72aは、ノズル孔70の軸線Lが通らない領域に位置している。このような配置は、サテライト液滴Ibの体積がメイン液滴Iaの体積よりも非常に小さく(例えば、数十分の一以下)、液滴径も小さくなることから実現可能である。
ノズル孔70からのインク滴の噴射について、図11を参照して説明する。図11(a)に示すように、ノズル孔70の出射口74付近にメニスカスが形成された状態から、圧電アクチュエータ3により圧力室14内のインクに圧力が付与されると、図11(b)に示すように、まず、ノズル孔70から、体積が比較的大きいメイン液滴Iaが、ノズル孔70の軸線Lに沿って下方へ噴射される。このとき、メイン液滴Iaのノズル孔70側の基端部Itがノズル孔70側へ引っ張られる。そして、図11(c)に示すように、基端部Itがメイン液滴Iaから分離してサテライト液滴Ibが形成され、このサテライト液滴Ibはメイン液滴Iaと同じくノズル孔70の軸線Lに沿って下方へ飛翔する。つまり、本実施形態では第1実施形態のように切欠部21が形成されていないため、サテライト液滴Ibの飛翔軌道は軸線Lに対して傾斜せず軸線Lと平行になる。したがって、メイン液滴Ia及びサテライト液滴Ibの飛翔軌道は同じである。
メイン液滴Ia及びサテライト液滴Ibは、つまり、飛翔軌道が同じであるものの径が異なる。本実施形態では、上述の通り、ノズル孔70の直下には突出部72の先端部72aが位置しているが、この突出部72の先端部72aは、ノズル孔70の軸線Lに沿って飛翔する体積の大きいメイン液滴Iaと部分的に重なる領域であって、ノズル孔70の軸線Lに沿って飛翔する体積の小さいサテライト液滴Ibとは重ならない領域に配置されている。そのため、図11(c)に示すように、メイン液滴Iaは突出部72の先端部72aに捕捉され、記録用紙Pに到達することはない。一方、図11(d)及び図11(e)に示すように、サテライト液滴Ibは突出部72の先端部72aに捕捉されることなく記録用紙Pに到達する。
さらに、突出部72の先端部72aは、インクの噴射方向である下方ほどノズル孔70の軸線Lから離れる方向に傾斜する形状に形成されている。そのため、ノズル孔70から噴射されて、突出部72の先端部72aに絡むようにして捕捉されたメイン液滴Iaが先端72Aの上側から下側へとつたってノズル孔70の軸線Lから離れる方向に移動するため、次に噴射されたサテライト液滴Ibがメイン液滴Iaと干渉されることはない。
この第2実施形態の具体的な実施例について説明する。この実施例において、圧力室14の寸法は、深さ50μm、幅(短軸方向寸法)250μm、長さ(長軸方向寸法)2.5mmであり、ノズル孔70の出射径は20μmである。また、インクは、水系染料インクを用い、その粘度は3.0cP、表面張力は39mN/mである。この条件下でノズル孔70からインクを噴射させたときの、メイン液滴Ia及びサテライト液滴Ibの計測結果を表2に示す。
Figure 2006062348
表2に示すように、メイン液滴Iaとサテライト液滴Ibは共にノズル孔70の軸線Lに沿って飛翔するが、サテライト液滴Ibの液滴径はメイン液滴Iaの液滴径の1/3以下であるため、ノズル孔70の出射口74の直下の突出部72により、メイン液滴Iaのみを捕捉し、サテライト液滴Ibは捕捉されない。そして、サテライト液滴Ibだけを記録用紙Pに着弾させることが可能になる。
尚、突出部72の先端部72aの位置は、サテライト液滴Ibからできるだけ離れ、メイン液滴Iaにわずかに接触するように設定されていることが好ましい。そのためには、メイン液滴Iaとサテライト液滴Ibの噴射を観測し、それらの液滴径を予め計測した上で、先端部72aの位置を決定することが望ましい。
以上に述べたように、この第2実施形態のインクジェットヘッド51によれば、前記第1実施形態と同様に、体積の小さなサテライト液滴Ibだけを記録用紙Pに着弾させて、記録用紙Pに非常に小さなドットを形成することができる。また、出射口74に前記第1実施形態の切欠部21(図4参照)等が形成されていないため、ノズル孔70からインクを安定的に噴射することができ、印字品質をより向上させることが可能になる。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。但し、前記第1実施形態あるいは第2実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
図12に示すように、第3実施形態のインクジェットヘッド81は、流路ユニット52と圧電アクチュエータ3とを備えている。流路ユニットは前記第2実施形態と同様に、4枚のプレート10,11,12,63が順に積層された構造を有し、これら4枚のプレート10,11,12,63により、マニホールド17から圧力室14を経てノズル孔70に至る個別インク流路が形成されている。また、ノズル孔プレート63の下方に設けられた突出部22は第1実施形態のものと同じである。圧電アクチュエータ3は、前記第1、第2実施形態と同様に、振動板30、圧電層31及び個別電極32等で構成されたものであり、その説明は省略する。
本実施形態では、流路ユニット52の下側には、送風機82に接続された送風チューブ83(送風手段)が設けられており、この送風チューブ83の先端部はノズル孔プレート63と突出部22の間において、ノズル孔70の方向に向いた状態で配設されている。そして、ノズル孔70から噴出されるインク滴に向けて送風チューブ83から空気が送られるようになっている。
ノズル孔70からのインク滴の噴射について、図13(a)〜図13(e)を参照して説明する。図13(a)に示すように、ノズル孔70の出射口74付近にメニスカスが形成された状態から、圧電アクチュエータ3により圧力室14内のインクに圧力が付与されると、図5(b)に示したのと同様にノズル孔70の出射口74からインクが突出する。そして、図13(b)に示すように、基端部Itが液滴の噴射方向と反対方向(ノズル孔70側、即ち、図13(a)〜(e)における上方向)に引っ張られると、基端部It以外の部分が分離して、体積が比較的大きいメイン液滴Iaとして噴射され、その後、図13(c)に示すように、基端部Itがサテライト液滴Ibとして噴射される。メイン液滴Ia及びサテライト液滴Ibは、共にノズル孔70の軸線Lに沿って下方に飛翔する。つまり、本実施形態では第1実施形態のように切欠部21が形成されていないため、サテライト液滴Ibの飛翔軌道は軸線Lに対して傾斜せず軸線Lと平行になる。したがって、メイン液滴Ia及びサテライト液滴Ibの飛翔軌道は同じである。
ここで、ノズル孔70から噴出されたメイン液滴Ia及びサテライト液滴Ibには、夫々送風チューブ83から送り出された空気の風圧が図13の右方から作用し、メイン液滴Iaとサテライト液滴Ibの飛翔軌道が夫々変化する。ところで、メイン液滴Iaとサテライト液滴Ibの直径は異なることから、直径の2乗に比例する空気抵抗と直径の3乗に比例する慣性の影響により、メイン液滴Iaとサテライト液滴Ibの飛翔軌道の変化の度合いは異なる。即ち、直径の大きなメイン液滴Iaは飛翔軌道の変化の度合いが小さく、ノズル孔70の軸線Lにほぼ沿って飛翔するのに対し、直径の小さなサテライト液滴Ibは飛翔軌道の変化の度合いが大きく、ノズル孔70の軸線Lから大きくずれた飛翔軌道で飛翔する。
そのため、図13(d)に示すように、メイン液滴Iaは、ノズル孔70の直下に位置する突出部22の先端部22aに捕捉されるが、サテライト液滴Ibは、右方からの風により飛翔軌道が左方へずれるため、突出部22に捕捉されることなく記録用紙Pに到達する。
ここで、第3実施形態の具体的な実施例について説明する。本実施例において、圧力室14の寸法は、深さ50μm、幅(短軸方向寸法)250μm、長さ(長軸方向寸法)2.5mmであり、ノズル孔70の出射径は20μmである。また、インクは、水系染料インクを用い、その粘度は3.0cP、表面張力は39mN/mである。この条件下でノズル孔70からインクを噴射させたときの、メイン液滴Ia及びサテライト液滴Ibの計測結果を表3に示す。
Figure 2006062348
表3に示すように、メイン液滴Iaとサテライト液滴Ibは共にノズル孔70の軸線Lからずれて飛翔するが、重量の大きなメイン液滴Iaよりも重量の小さなサテライト液滴Ibの方が、軸線Lからのずれが大きい。従って、ノズル孔70の出射口74の直下の突出部22により、メイン液滴Iaのみを捕捉し、サテライト液滴Ibのみを記録用紙Pに着弾させることが可能になる。
以上に述べたように、第3実施形態のインクジェットヘッド81によれば、前記第1、第2実施形態と同様に、体積の小さなサテライト液滴Ibだけを記録用紙Pに着弾させて、記録用紙Pに非常に小さなドットを形成することができる。
また、本実施形態では、風圧によりサテライト液滴Ibの飛翔軌道をメイン液滴Iaの飛翔軌道と確実に異ならせることができる。さらに、送風チューブ83からの空気の風圧の強さを調整することにより、サテライト液滴Ibの着弾位置を調整することも可能である。
第3実施形態においては、送風チューブ83から送風された空気以外の、ノズル孔70周辺に滞留した空気の影響によりノズル孔70から噴出されたインク滴の飛翔軌道が変化してしまうのを極力防止するために、メイン液滴Iaとサテライト液滴Ibの飛翔軌道を含むノズル孔70の周辺の空間を減圧しておくことが好ましい。例えば、インクジェットプリンタ100の筐体内にノズル孔70の周辺の空間を減圧するポンプが設けられていてもよい。尚、前述の第1実施形態及び第2実施形態においても、軽量なサテライト液滴Ibが空気抵抗によって減速して、その着弾制度が低下してしまうのを防ぐために、ノズル孔70の周辺の空間を減圧しておくことが好ましい。
第3実施形態では送風機82を用いてメイン液滴Iaとサテライト液滴Ibの飛翔軌道をそれぞれ変化させているが、これに限定されない。例えば、液滴Ia,Ibの飛翔領域に電界を印加することにより、ノズル孔70から噴射されてきた帯電したメイン液滴Ia及びサテライト液滴Ibそれぞれに電気的引力を作用させ、これらの飛翔軌道をそれぞれ変化させても良い。その他様々な方法によって液滴Ia,Ibの飛翔軌道をそれぞれ変化させ、メイン液滴Iaが突出部の先端に捕捉され、且つ、サテライト液滴Ibが突出部に捕捉されることなく記録用紙Pに到達するように調整しても良い。
以上説明した前記第1〜第3実施形態は、シリアル式のインクジェットヘッドに本発明を適用した一例であるが、記録用紙の幅方向に長いライン式のインクジェットヘッドに本発明を適用することもできる。また、プリンタに限定されず、インクジェット式のファクシミリやコピー機に含まれるインクジェットヘッドにも本発明を適用可能である。
また本発明は、インクジェットヘッド以外の液滴噴射装置にも適用可能である。例えば、導電ペーストを噴射して基板上に微細な配線パターンを形成したり、あるいは、有機発光体を基板に噴射して高精細ディスプレイを形成したり、さらには、光学樹脂を基板に噴射して光導波路等の微小光学デバイスを形成する場合にも、非常に小さな液滴を噴射する、種々の液滴噴射装置に本発明を適用できる。
本発明の第1実施形態に係るインクジェットプリンタの概略構成図である。 インクジェットヘッドの部分拡大平面図である。 図2のIII-III線断面図である。 ノズル孔周辺の部分拡大図であり、(a)は断面図、(b)は下方から見た図を夫々示す。 ノズル孔からのインク滴の噴出動作を説明する説明図であり、(a)はインク噴出前の状態、(b)はインク噴出開始時の状態、(c)は基端部が分離する直前の状態、(d)はメイン液滴が捕捉されたときの状態、(e)はサテライト液滴が着弾したときの状態を夫々示す。 第1実施形態の第1の変更形態に係るノズル孔周辺の部分拡大図であり、(a)は断面図、(b)は下方から見た図を夫々示す。 第1実施形態の第2の変更形態に係るノズル孔周辺の部分拡大図であり、(a)は断面図、(b)は下方から見た図を夫々示す。 第1実施形態の第3の変更形態に係るノズル孔周辺の部分拡大図であり、(a)は断面図、(b)は下方から見た図を夫々示す。 第2実施形態のインクジェットヘッドの図3相当の断面図である。 ノズル孔周辺の部分拡大図であり、(a)は断面図、(b)は下方から見た図を夫々示す。 ノズル孔からのインク滴の噴出動作を説明する説明図であり、(a)はインク噴出前の状態、(b)はインク噴出開始時の状態、(c)は基端部が分離した直後の状態、(d)はメイン液滴が捕捉されたときの状態、(e)はサテライト液滴が着弾したときの状態を夫々示す。 第3実施形態のインクジェットヘッドの図3相当の断面図である。 ノズル孔からのインク滴の噴出動作を説明する説明図であり、(a)はインク噴出前の状態、(b)はインク噴出開始時の状態、(c)は基端部が分離した直後の状態、(d)はメイン液滴が捕捉されたときの状態、(e)はサテライト液滴が着弾したときの状態を夫々示す。
符号の説明
Ia メイン液滴
Ib サテライト液滴
P 記録用紙
1 インクジェットヘッド
2 流路ユニット
3 圧電アクチュエータ
5,5A,5B インク吐出面
14 圧力室
20,20A,20B ノズル孔
21,21A 切欠部
22a 先端部
22 突出部
24,24A,24B 出射口
25 撥液膜
40 撥液膜非形成部
51 インクジェットヘッド
52 流路ユニット
55 インク吐出面
70 ノズル孔
72 突出部
72a 先端部
74 出射口
81 インクジェットヘッド
83 送風チューブ

Claims (10)

  1. 液体が貯留されている貯留室と、
    この貯留室内の液体に圧力を付与する圧力付与手段と、
    前記貯留室に連通したノズル孔であって、メイン液滴及び前記メイン液滴より体積の小さいサテライト液滴が噴射される出射口を有し、前記出射口から前記メイン液滴とサテライト液滴とを連続的に噴射可能なノズル孔と、
    前記ノズル孔と被噴射体との間であって、前記ノズル孔の出射口から噴射された前記メイン液滴に接触し且つ前記サテライト液滴に接触しない位置に配置され、前記メイン液滴のみを捕捉するメイン液滴捕捉部と、
    を有することを特徴とする液滴噴射装置。
  2. 前記ノズル孔の出射口から噴射される前記サテライト液滴の飛翔軌道を前記メイン液滴の飛翔軌道と異なるように調整する飛翔軌道調整手段を有し、前記メイン液滴捕捉部が、前記メイン液滴の飛翔軌道上に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の液滴噴射装置。
  3. 前記飛翔軌道調整手段は、ノズル孔の出射口に形成された張出部であって、該張出部を除く出射口の中心点から前記張出部までの距離が、前記中心点からその他の部位における距離より大きくなっており、前記張出部を構成する周縁の曲率がその他の部位の曲率よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載の液滴噴射装置。
  4. 前記張出部は、少なくとも前記ノズル孔の出射口が開口するインク吐出面において、前記出射口の周縁の一部を該出射口の径方向に切り欠くことにより形成された切欠部であることを特徴とする請求項3に記載の液滴噴射装置。
  5. 前記切欠部が、前記側壁における前記ノズル孔の軸線方向に沿った全長に亘って形成されていることを特徴とする請求項4に記載の液滴噴射装置。
  6. 前記ノズル孔の出射口が開口するインク吐出面に、一部を除いて撥液膜が形成されており、
    前記飛翔軌道調整手段は、前記インク吐出面において前記撥液膜が部分的に形成されていない部分であって、前記ノズル孔の出射口からこのノズル孔の径方向に延在している撥液膜非形成部であることを特徴とする請求項2に記載の液滴噴射装置。
  7. 前記飛翔軌道調整手段は、前記ノズル孔の軸線方向と直交する方向に送風する送風手段であることを特徴とする請求項2に記載の液滴噴射装置。
  8. 前記メイン液滴捕捉部は、その先端部が、前記ノズル孔の軸線方向から見て、前記メイン液滴と部分的に重なっており、且つ、前記サテライト液滴とは重ならない領域に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の液滴噴射装置。
  9. 前記メイン液滴捕捉部は、その先端部が、前記メイン液滴及び前記サテライト液滴の噴射方向下流側ほど、前記ノズル孔の軸線から離れる方向に傾斜する形状に形成されていることを特徴とする請求項8に記載の液滴噴射装置。
  10. 前記メイン液滴捕捉部は、前記貯留室に連通していることを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の液滴噴射装置。
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