JP2002001945A - インクジェットヘッド及びインクジェット式記録装置 - Google Patents

インクジェットヘッド及びインクジェット式記録装置

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JP2002001945A
JP2002001945A JP2000184990A JP2000184990A JP2002001945A JP 2002001945 A JP2002001945 A JP 2002001945A JP 2000184990 A JP2000184990 A JP 2000184990A JP 2000184990 A JP2000184990 A JP 2000184990A JP 2002001945 A JP2002001945 A JP 2002001945A
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ink jet
ink
piezoelectric element
jet head
head
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JP2000184990A
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Hideaki Horio
英明 堀尾
Kazunari Chikanawa
一成 近縄
Osamu Watanabe
修 渡辺
Seishi Tomari
聖之 泊
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Panasonic Holdings Corp
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 振動板22と圧電素子23とを有し、該圧電
素子23の圧電効果により上記振動板22を圧力室4の
容積が減少するように変形させて、該圧力室4内のイン
クをノズル14から吐出させる圧電アクチュエータ21
を備えたインクジェットヘッド1に対して、圧電アクチ
ュエータ21の駆動電圧の低電圧化、振動板22の寿命
破壊の防止並びに印画速度及び解像度の向上化を図る。 【解決手段】 圧電素子23の振動板22に対する厚み
比Ta/Tpを0.25以上0.8未満(好ましくは
0.33〜0.67)に設定する。また、圧電素子23
の厚みTaを0.125〜5μmに、振動板22の厚み
Tpを0.5〜10μmにそれぞれ設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェットヘ
ッド及びインクジェット式記録装置に関し、特に圧電素
子の圧電効果により振動板を圧力室の容積が減少するよ
うに変形させて、該圧力室内のインクをノズルから吐出
させる圧電アクチュエータを備えたものの技術分野に属
する。
【0002】
【従来の技術】従来より、インクジェット式記録装置の
インクジェットヘッドとして、圧電アクチュエータによ
りインクを吐出させるものが知られている。この圧電ア
クチュエータは、ヘッド本体に設けた圧力室用凹部を塞
いで該凹部と共に圧力室を構成する振動板と、該振動板
に接合された圧電素子とを有していて、この圧電素子の
圧電効果により上記振動板を上記圧力室の容積が減少す
るように変形させて、該圧力室内のインクを上記ノズル
から吐出させるように構成されている。
【0003】上記のようなインクジェットヘッドでは、
圧電素子と振動板との厚みの関係がインク吐出特性に大
きく影響する。そこで、従来、例えば特開平5−261
919号公報に示されているように、圧電素子の振動板
に対する厚み比を0.8〜1.2に設定し、このこと
で、圧電素子に印加する電圧(圧電アクチュエータの駆
動電圧)を低く抑えるようにすることが提案されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記インク
ジェットヘッドでは、近年、圧電アクチュエータの駆動
電圧の低電圧化は勿論のこと、インクジェットヘッドの
小型化、印画速度や解像度の向上化等が要求されてい
る。これらの要求を満足させるためには、圧電素子及び
振動板の厚み方向両面の面積や厚みを小さくすると共
に、ノズルから吐出されるインクの吐出量、吐出速度及
び吐出間隔を適切な値にする必要がある。そして、この
場合でも、圧電アクチュエータの駆動電圧の低電圧化を
図るために、圧電素子及び振動板の厚みを上記提案例の
ような厚み比に設定することが考えられる。
【0005】しかしながら、上記提案例の厚み比では、
圧電アクチュエータの駆動電圧の低電圧化を図ることは
できても、振動板の厚みが圧電素子の厚みの割には小さ
すぎて、長期間使用していると、振動板がその変形に伴
って生じる応力により破壊してしまうという問題があ
る。この問題は、特に圧電素子の厚みを5μm以下(上
記厚み比では、振動板の厚みとしては6.25μm以下
になる)にする場合に顕著となる。
【0006】一方、上記厚み比のままで振動板の変形部
分の面積を大きくする(圧力室用凹部の開口面積を大き
くする)ことで、該振動板に生じる応力を低下させるよ
うにすることが考えられるが、こうすると、小型化に反
すると共に、圧力室内においてインクを吐出させるため
の圧力が不十分となってインクの吐出速度が低下し、し
かも、圧電アクチュエータの固有振動数が低下して、イ
ンク吐出後の振動が収まるまでに長時間を要し、1つの
ノズルにおけるインクの吐出間隔が長くなる(駆動周波
数が小さくなる)という問題がある。
【0007】本発明は斯かる点に鑑みてなされたもので
あり、その目的とするところは、圧電素子の振動板に対
する厚み比を見直すことによって、圧電アクチュエータ
の駆動電圧の低電圧化を維持しつつ、圧電素子及び振動
板の厚みを小さくしても、振動板に寿命破壊が生じない
ようにして、インクジェットヘッドを小型化し、しか
も、印画速度及び解像度の向上化をも図ることができる
ようにすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、この発明では、圧電素子の振動板に対する厚み比
を0.25〜0.8に設定するようにした。
【0009】具体的には、請求項1の発明では、インク
を供給するための供給口及びインクを吐出するための吐
出口を有する圧力室用凹部と、該圧力室用凹部の吐出口
に連通するノズルとが形成されたヘッド本体と、上記ヘ
ッド本体の凹部を塞いで該凹部と共に圧力室を構成する
振動板と、該振動板に接合された圧電素子とを有し、該
圧電素子の圧電効果により上記振動板を上記圧力室の容
積が減少するように変形させて、該圧力室内のインクを
上記吐出口を介して上記ノズルから吐出させる圧電アク
チュエータとを備えたインクジェットヘッドを対象とす
る。
【0010】そして、上記圧電アクチュエータにおける
圧電素子の振動板に対する厚み比が、0.25以上0.
8未満に設定されているものとする。
【0011】すなわち、圧電素子の振動板に対する厚み
比は、0.25よりも小さいと、振動板においてインク
を吐出させるための撓み量が十分に得られない一方、
0.8以上であると、圧電素子が厚みが大きすぎる場合
には、インクを吐出させるための十分な撓み量を得るに
は比較的高い電圧を圧電素子に印加する必要があり、振
動板の厚みが小さすぎる場合には、振動板が寿命破壊し
易くなると共に、振動板が寿命破壊しないように振動板
の変形部分の面積を大きくすると、インク吐出速度が低
下し、また圧電アクチュエータの固有振動数が低下し
て、1つのノズルでのインク吐出間隔が長くなるので、
0.25以上0.8未満に設定している。したがって、
圧電素子の振動板に対する厚み比を0.25以上0.8
未満に設定することにより、圧電素子及び振動板の厚み
を小さくしても、振動板に寿命破壊が生じないので、振
動板の変形部分の面積を大きくしなくても済み、インク
ジェットヘッドを小型化することができ、しかも、圧電
アクチュエータの駆動電圧の低電圧化を図ることができ
る。そして、インクジェットヘッドの小型化により多数
のノズルを高密度に配置することができ、このことで、
その多数のノズルによる印画が可能になるため、1つの
ノズルでの吐出間隔を短くできることと相俟って印画速
度を向上させることができると共に、解像度の向上化を
も図ることができる。
【0012】請求項2の発明では、請求項1の発明にお
いて、圧電素子の振動板に対する厚み比が、0.33〜
0.67に設定されているものとする。このことで、圧
電アクチュエータの駆動電圧の低電圧化、振動板の寿命
破壊の防止並びに印画速度及び解像度の向上化を図る上
で、最適なインクジェットヘッドが得られる。
【0013】請求項3の発明では、請求項1又は2の発
明において、圧電素子の厚みが、0.125〜5μmに
設定され、振動板の厚みが、0.5〜10μmに設定さ
れているものとする。このことにより、振動板の寿命破
壊の防止効果を有効に発揮させることができると共に、
インクジェットヘッドを効果的に小型化することができ
る。
【0014】請求項4の発明では、請求項1〜3のいず
れかの発明において、ヘッド本体の圧力室用凹部は、該
ヘッド本体の一側面において所定の方向に延びるように
開口され、圧電素子は、振動板における上記凹部開口の
幅方向略中央部において該凹部開口と同じ方向に延びる
ように設けられ、上記凹部開口の幅が、50〜250μ
mに設定され、上記圧電素子の幅が、上記凹部開口の幅
の0.5〜0.7倍に設定されているものとする。
【0015】すなわち、凹部開口の幅は、50μmより
も小さいと、振動板が寿命破壊し易くなる一方、250
μmよりも大きいと、圧電アクチュエータの固有振動数
が大きくなるので、50〜250μmに設定している。
また、圧電素子の幅は、凹部開口の幅の0.5倍よりも
小さいと、十分なインク吐出速度が得られない一方、
0.7倍よりも大きいと、振動板における圧電素子の幅
方向両端部に相当する部分に応力集中が生じて寿命破壊
し易くなるので、凹部開口の幅の0.5〜0.7倍に設
定している。よって、十分なインク吐出速度を確保しつ
つ、振動板の寿命破壊を確実に防止することができる。
【0016】請求項5の発明では、請求項1〜4のいず
れかの発明において、ヘッド本体のノズルから吐出され
るインクの吐出量が、0.5〜3plに設定されている
ものとする。
【0017】すなわち、インクの吐出量は、0.5pl
よりも少ないと、インク滴が記録紙に向かって真っ直ぐ
に飛翔しなくなって着弾精度が悪化する一方、3plよ
りも多いと、記録紙に形成されるドット径が大きくなっ
て解像度の向上化を図ることが困難になるので、0.5
〜3plに設定している。よって、インク滴の記録紙4
1への着弾精度を良好に維持しつつ、解像度を確実に向
上させることができる。
【0018】請求項6の発明は、インクジェット式記録
装置の発明であり、この発明では、請求項1〜5のいず
れかに記載のインクジェットヘッドと、上記インクジェ
ットヘッドと記録媒体とを相対移動させる相対移動手段
とを備え、上記相対移動手段によりインクジェットヘッ
ドが記録媒体に対して相対移動しているときに、該イン
クジェットヘッドのヘッド本体のノズルからインクを記
録媒体に吐出させて記録を行うように構成されているも
のとする。この発明により、請求項1〜5のいずれかの
発明と同様の作用効果が得られる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係るイ
ンクジェット式記録装置を概略的に示し、このインクジ
ェット式記録装置は、後述の如くインクを記録媒体とし
ての記録紙41に吐出するインクジェットヘッド1を備
えている。このインクジェットヘッド1はキャリッジ3
1に支持固定され、このキャリッジ31には、図示を省
略するキャリッジモータが設けられ、このキャリッジモ
ータにより上記インクジェットヘッド1及びキャリッジ
31が主走査方向(図1及び図2に示すX方向)に延び
るキャリッジ軸32にガイドされてその方向に往復動す
るようになっている。このキャリッジ31、キャリッジ
軸32及びキャリッジモータにより、インクジェットヘ
ッド1と記録紙41とを相対移動させる相対移動手段が
構成されている。
【0020】上記記録紙41は、図示を省略する搬送モ
ータによって回転駆動される2つの搬送ローラ42に挟
まれていて、この搬送モータ及び各搬送ローラ42によ
り、上記インクジェットヘッド1の下側において上記主
走査方向と垂直な副走査方向(図1及び図2に示すY方
向)に搬送されるようになっている。
【0021】上記インクジェットヘッド1は、図2〜図
4に示すように、インクを供給するための供給口3a及
びインクを吐出するための吐出口3bを有する複数の圧
力室用凹部3が形成されたヘッド本体2を備えている。
このヘッド本体2の各凹部3は、該ヘッド本体2の上面
に上記主走査方向に延びるように開口されていて、互い
に上記副走査方向に略等間隔をあけた状態で並設されて
いる。尚、上記各凹部3の開口の両端部は、略半円形状
をなしている。
【0022】上記ヘッド本体2の各凹部3の側壁部は、
約200μm厚の感光性ガラス製の第1基板6で構成さ
れ、各凹部3の底壁部は、この第1基板6の下面に接着
固定された第2基板7で構成されている。この第2基板
7は約30μm厚のステンレス鋼からなり、該第2基板
7に上記供給口3a及び吐出口3bが形成されている。
【0023】上記第2基板7の下面には、約300μm
厚のステンレス鋼製の第3基板8が接着固定され、この
第3基板8には、上記各凹部3の供給口3aと接続され
かつ上記副走査方向に延びる1つの供給用インク流路1
1と、上記吐出口3bとそれぞれ接続された複数の吐出
用インク流路12とが形成されている。上記供給用イン
ク流路11は図外のインクタンクと接続されて、そのイ
ンクタンクより供給用インク流路11内にインクが供給
されるようになっている。
【0024】上記第3基板8の下面には、インクジェッ
トヘッド1の下面を構成する第4基板9が接着固定され
ている。この第4基板9は、約70μm厚のステンレス
鋼からなっていて、インク滴を上記記録紙41に向けて
吐出するための直径約20μmの複数のノズル14を有
している。この各ノズル14は、上記吐出用インク流路
12とそれぞれ接続されていて、この吐出用インク流路
12を介して上記各凹部3の吐出口3bにそれぞれ連通
されており、インクジェットヘッド1の下面に、上記副
走査方向に列状に並ぶように設けられている。
【0025】上記ヘッド本体2の各凹部3の上側には、
圧電アクチュエータ21がそれぞれ設けられている。こ
の各圧電アクチュエータ21は、上記ヘッド本体2の上
面に接着固定された状態で該ヘッド本体2の各凹部3を
塞いで該凹部3と共に圧力室4を構成するCr製の振動
板22を有している。この振動板22は、全ての圧電ア
クチュエータ21に共通の1つのものからなっていて、
後述の全圧電素子23に共通の共通電極としての役割を
も果たしている。
【0026】また、上記各圧電アクチュエータ21は、
上記振動板22の上記圧力室4と反対側面(上面)にお
いて圧力室4に対応する部分(凹部3開口に対向する部
分)にそれぞれ接合されかつチタン酸ジルコン酸鉛(P
ZT)からなる圧電素子23(圧電定数8×10-11
/V程度)と、この各圧電素子23の上記振動板22と
反対側面(上面)にそれぞれ接合され、該振動板22と
共に各圧電素子23に電圧(駆動電圧)をそれぞれ印加
するための約0.1μm厚のPt製個別電極24とを有
している。上記各圧電素子23及び個別電極24は、互
いに重なった状態で、上記ヘッド本体2の凹部3開口の
幅方向略中央部において該凹部3開口と同じ方向(主走
査方向)に延びるように設けられており、その長さは凹
部3開口よりも僅かに短く、両端部は、凹部3開口と同
様に略半円形状をなしている。尚、上記振動板22、圧
電素子23及び個別電極24は、後述の製造方法で示す
ように、スパッタ法により薄膜で形成されてなってい
る。
【0027】上記各圧電素子23の振動板22に対する
厚み比Ta/Tpは、0.25以上0.8未満に設定さ
れている。これは、各圧電素子23の振動板22に対す
る厚み比Ta/Tpが0.25よりも小さいと、振動板
22においてインクを吐出させるための撓み量が十分に
得られない一方、0.8以上であると、各圧電素子23
の厚みTaが大きすぎる場合には、インクを吐出させる
ための十分な撓み量を得るには比較的高い電圧を圧電素
子23に印加する必要があり、振動板22の厚みTpが
小さすぎる場合には、振動板22が寿命破壊し易くなる
と共に、振動板22が寿命破壊しないように振動板22
の変形部分(凹部3開口部分)の面積を大きくすると、
インク吐出速度が低下し、また各圧電アクチュエータ2
1の固有振動数が低下して、1つのノズル14でのイン
ク吐出間隔が長くなるからである。そして、各圧電素子
23の振動板22に対する厚み比Ta/Tpの特に好ま
しい範囲は、0.33〜0.67である。また、上記振
動板22の厚みTpは、0.5〜10μmに設定するの
が望ましく、各圧電素子23の厚みTaは、0.125
〜5μmに設定するのが好ましい。
【0028】さらに、上記ヘッド本体2の各凹部3開口
の幅D1は、50〜250μmに設定するのがよく、各
圧電素子23の幅D2は、上記各凹部3開口の幅D1の
0.5〜0.7倍に設定するのが望ましい。これは、各
凹部3開口の幅D1が50μmよりも小さいと、振動板
22が寿命破壊し易くなる一方、250μmよりも大き
いと、各圧電アクチュエータ21の固有振動数が大きく
なるからであり、また、各圧電素子23の幅D2が各凹
部3開口の幅D1の0.5倍よりも小さいと、十分なイ
ンク吐出速度が得られない一方、0.7倍よりも大きい
と、振動板22における各圧電素子23の幅方向両端部
に相当する部分に応力集中が生じて寿命破壊し易くなる
からである。尚、上記各凹部3開口の長さは、300〜
2000μmに設定するのがよい(各凹部3の開口面積
としては、0.1mm2程度とするのがよい)。
【0029】上記各圧電アクチュエータ21は、その振
動板22と各個別電極24とを介して各圧電素子23に
駆動電圧を印加することにより該振動板22の圧力室4
に対応する部分(凹部3開口部分)を変形させること
で、該圧力室4内のインクを吐出口3bないしノズル1
4から吐出させるようになっている。すなわち、振動板
22と個別電極24との間にパルス状の電圧(最大電圧
30V程度)を印加すると、そのパルス電圧の立ち上が
りにより圧電素子23が圧電効果によりその厚み方向と
垂直な幅方向に収縮するのに対し、振動板22及び個別
電極24は収縮しないので、いわゆるバイメタル効果に
より振動板22の圧力室4に対応する部分が圧力室4側
へ凸状に撓んで変形する。この撓み変形により圧力室4
内に圧力が生じ、この圧力で圧力室4内のインクが吐出
口3b及び吐出用インク流路12を経由してノズル14
よりインク滴として記録紙41へ吐出されて、該記録紙
41面にドット状に付着することとなる。そして、上記
パルス電圧の立ち下がりにより圧電素子23が伸長して
振動板22の圧力室4に対応する部分が元の状態に復帰
し、このとき、圧力室4内には上記インクタンクより供
給用インク流路11及び供給口3aを介してインクが充
填される。尚、各圧電素子23に印加するパルス電圧と
しては、上記のように押し引きタイプのものでなくて
も、第1の電圧から第2の電圧(第1の電圧よりも30
V程度低い電圧)まで立ち下がった後に上記第1の電圧
まで立ち上がる引き押しタイプのものであってもよい。
【0030】上記各圧電素子23への駆動電圧の印加
は、インクジェットヘッド1及びキャリッジ31を主走
査方向において記録紙41の一端から他端まで略一定速
度で移動させているときに所定時間(例えば50μs程
度:駆動周波数20kHz)毎に行われ(但し、インク
ジェットヘッド1が記録紙41におけるインク滴を着弾
させない箇所に達したときには電圧が印加されない)、
このことで、記録紙41の所定位置にインク滴を着弾さ
せる。そして、1走査分の記録が終了すると、搬送モー
タ及び各搬送ローラ42により記録紙41を副走査方向
に所定量搬送し、再度、インクジェットヘッド1及びキ
ャリッジ31を主走査方向に移動させながらインク滴を
吐出させて、新たな1走査分の記録を行う。この動作を
繰り返すことによって、記録紙41全体に所望の画像が
形成される。
【0031】上記各ノズル14から吐出されるインク
(インク滴)の吐出量は、0.5〜3plに設定するの
が好ましい。これは、インクの吐出量が0.5plより
も少ないと、インク滴が記録紙41に向かって真っ直ぐ
に飛翔しなくなって着弾精度が悪化する一方、3plよ
りも多いと、記録紙41に形成されるドット径が大きく
なって解像度の向上化を図ることが困難であるからであ
る。
【0032】次に、上記インクジェットヘッド1の製造
方法の概略手順について、図5を参照しつつ説明する。
尚、図5においては、図3及び図4とインクジェットヘ
ッド1の上下関係が逆になっている。
【0033】先ず、MgOの成膜基板51上全体にPt
膜52をスパッタ法により形成し(図5(a)参照)、
その後、このPt膜52上全体にPZT膜53をスパッ
タ法により形成する(図5(b)参照)。そして、この
PZT膜53上全体にCr膜54をスパッタ法により形
成する(図5(c)参照)。
【0034】次いで、上記Cr膜54の上面に、ヘッド
本体2の第1基板6(予め各凹部3を形成するための孔
を開けておく)を接着固着する(図5(d)参照)。そ
の後、上記成膜基板51を熱燐酸やKOH等で溶融・除
去すると共に、上記第1基板6上に、予め所定形状に形
成しかつ接着により互いに一体化した第2〜第4基板7
〜9を接着固着する(図5(e)参照)。
【0035】続いて、上記Pt膜52及びPZT膜53
をイオンミリング法や反応性イオンエッチング法等のド
ライエッチング法にて圧力室4毎に分割することで、所
定形状の個別電極24及び圧電素子23がそれぞれ得ら
れると共に、Cr膜54の不要部分をドライエッチング
法にて除去することで、所定形状の振動板22が得られ
る(図5(f)参照)。
【0036】次いで、図示は省略するが、各個別電極2
4への配線や他の必要な処理を行うことで、インクジェ
ットヘッド1が完成する。
【0037】したがって、上記実施形態では、各圧電ア
クチュエータ21における圧電素子23の振動板22に
対する厚み比Ta/Tpが、0.25以上0.8未満に
設定されているので、比較的低い駆動電圧でも振動板2
2を十分に撓ませることができると共に、十分なインク
吐出速度(例えば10m/s程度)を確保することがで
き、しかも、インク吐出間隔を50μsと短くすること
ができる。また、振動板22の厚みTpを0.5〜10
μmにし、各圧電素子23の厚みTaを0.125〜5
μmにしたとしても、振動板22に寿命破壊が生じるの
を防止することができ、このことで、振動板22の変形
部分の面積を大きくしなくても済み(0.1mm2程度
にすることができ)、インクジェットヘッド1を小型化
することができる。そして、インクジェットヘッド1の
小型化により多数のノズル14を高密度に配置すること
ができ、このことで、その多数のノズル14による印画
が可能になるため、1つのノズル14でのインク吐出間
隔を短くできることと相俟って印画速度を向上させるこ
とができると共に、解像度の向上化をも図ることができ
る(600dpi以上にすることができる)。
【0038】また、各圧電素子23の振動板22に対す
る厚み比Ta/Tpを0.33〜0.67に設定すれ
ば、各圧電アクチュエータ21の駆動電圧の低電圧化、
振動板22の寿命破壊の防止並びに印画速度及び解像度
の向上化を図る上で、最適なインクジェットヘッド1が
得られる。
【0039】さらに、ヘッド本体2の各凹部3開口の幅
D1を50〜250μmに設定し、各圧電素子23の幅
D2を上記各凹部3開口の幅の0.5〜0.7倍に設定
すれば、十分なインク吐出速度を確保しつつ、振動板2
2の寿命破壊を確実に防止することができる。
【0040】また、各ノズル14から吐出されるインク
の吐出量を0.5〜3plに設定すれば、インク滴の記
録紙41への着弾精度を良好に維持しつつ、解像度の向
上化を確実に図ることができる。
【0041】尚、上記実施形態では、各圧電アクチュエ
ータ21の振動板22、圧電素子23及び個別電極24
を、スパッタ法により薄膜で形成したが、CVD法やゾ
ル−ゲル法等の他の方法により薄膜で形成してもよく、
薄膜でなくて予め所定形状に形成した振動板22や圧電
素子23を接着により接合するようにしてもよい。但
し、上記実施形態のように薄膜で形成した方が、各圧電
アクチュエータ21の駆動電圧の低電圧化、振動板22
の寿命破壊の防止並びに印画速度及び解像度の向上化を
図る上で好ましく、しかも、スパッタリング及びエッチ
ングにより多数の圧電アクチュエータ21を容易にかつ
精度良く形成することができる。
【0042】また、上記実施形態では、振動板22を、
全圧電アクチュエータ21に共通の1つのもので構成し
たが、振動板22も、圧電素子23や個別電極24のよ
うに、圧電アクチュエータ21毎に個別に設けるように
してもよい。そして、振動板22を電極と兼用しない
で、圧電素子23と振動板22との間に別途に電極を設
けるようにしてもよい。
【0043】さらに、上記実施形態では、インクジェッ
トヘッド1に、複数のノズル14を設け、これに対応し
て複数の圧力室4や圧電アクチュエータ21等を設けた
が、ノズル14、圧力室4、圧電アクチュエータ21等
が1つであっても本発明を適用することができる。
【0044】加えて、他の種々の変形が可能であり、例
えば、圧電アクチュエータ21の振動板22、圧電素子
23及び個別電極24を、上記実施形態と異なる材料で
構成してもよく、また、ヘッド本体2の第1〜第4基板
6〜9を、上記実施形態と異なる材料や厚みのもので構
成してもよい。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のインクジ
ェットヘッド及びインクジェット式記録装置によると、
圧電アクチュエータにおける圧電素子の振動板に対する
厚み比を0.25以上0.8未満に設定したことによ
り、圧電アクチュエータの駆動電圧の低電圧化を維持し
つつ、圧電素子及び振動板の厚みを小さくしても、振動
板に寿命破壊が生じず、インクジェットヘッドを小型化
することができ、しかも、印画速度及び解像度の向上化
を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るインクジェット式記録
装置を示す概略斜視図である。
【図2】インクジェットヘッドの部分底面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】図2のIV−IV線断面図である。
【図5】インクジェットヘッドの製造方法を示す概略説
明図である。
【符号の説明】
1 インクジェットヘッド 2 ヘッド本体 3 圧力室用凹部 3a 供給口 3b 吐出口 4 圧力室 14 ノズル 21 圧電アクチュエータ 22 振動板 23 圧電素子 31 キャリッジ(相対移動手段) 32 キャリッジ軸(相対移動手段) 41 記録紙(記録媒体)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 修 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 泊 聖之 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 2C057 AF55 AF65 AG12 AG39 AG44 AG52 BA04 BA14

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクを供給するための供給口及びイン
    クを吐出するための吐出口を有する圧力室用凹部と、該
    圧力室用凹部の吐出口に連通するノズルとが形成された
    ヘッド本体と、 上記ヘッド本体の凹部を塞いで該凹部と共に圧力室を構
    成する振動板と、該振動板に接合された圧電素子とを有
    し、該圧電素子の圧電効果により上記振動板を上記圧力
    室の容積が減少するように変形させて、該圧力室内のイ
    ンクを上記吐出口を介して上記ノズルから吐出させる圧
    電アクチュエータとを備えたインクジェットヘッドであ
    って、 上記圧電アクチュエータにおける圧電素子の振動板に対
    する厚み比が、0.25以上0.8未満に設定されてい
    ることを特徴とするインクジェットヘッド。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のインクジェットヘッドに
    おいて、 圧電素子の振動板に対する厚み比が、0.33〜0.6
    7に設定されていることを特徴とするインクジェットヘ
    ッド。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のインクジェットヘ
    ッドにおいて、 圧電素子の厚みが、0.125〜5μmに設定され、 振動板の厚みが、0.5〜10μmに設定されているこ
    とを特徴とするインクジェットヘッド。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載のインク
    ジェットヘッドにおいて、 ヘッド本体の圧力室用凹部は、該ヘッド本体の一側面に
    おいて所定の方向に延びるように開口され、 圧電素子は、振動板における上記凹部開口の幅方向略中
    央部において該凹部開口と同じ方向に延びるように設け
    られ、 上記凹部開口の幅が、50〜250μmに設定され、 上記圧電素子の幅が、上記凹部開口の幅の0.5〜0.
    7倍に設定されていることを特徴とするインクジェット
    ヘッド。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載のインク
    ジェットヘッドにおいて、 ヘッド本体のノズルから吐出されるインクの吐出量が、
    0.5〜3plに設定されていることを特徴とするイン
    クジェットヘッド。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載のインク
    ジェットヘッドと、 上記インクジェットヘッドと記録媒体とを相対移動させ
    る相対移動手段とを備え、 上記相対移動手段によりインクジェットヘッドが記録媒
    体に対して相対移動しているときに、該インクジェット
    ヘッドのヘッド本体のノズルからインクを記録媒体に吐
    出させて記録を行うように構成されていることを特徴と
    するインクジェット式記録装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006150955A (ja) * 2004-10-28 2006-06-15 Brother Ind Ltd 圧電アクチュエータの製造方法、液体移送装置の製造方法、及び、圧電アクチュエータの製造装置
JP2008105410A (ja) * 2006-09-29 2008-05-08 Fujifilm Corp 液体吐出ヘッドおよびその製造方法
JP2019151074A (ja) * 2018-03-06 2019-09-12 株式会社リコー 液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット及び液体を吐出する装置

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