JP2006061947A - 溶接ビード加工軌道作成方法と溶接ビード成形装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 種々の溶接部における溶接ビードを母材と滑らかに接続できるように溶接ビードを加工する方法がない。
【解決手段】 溶接部3の溶接線方向と交差する方向の母材1,2と溶接ビード4との境界点を溶接線方向に複数求め、この境界点の最も接合中心側に位置する内側の境界点を加工部断面形状の特徴点P1,P2として定め、この特徴点P1,P2の位置で溶接ビード4と母材1,2との滑らかな接続を実現するために、変換前後の幾何学的性質を保ったままで形状を変えるアフィン変換を適用して、実測した加工部断面形状に予め準備した曲線の加工軌道の基本軌道形状を嵌めあわせることにより加工軌道6を作成する。
【選択図】 図2

Description

本願発明は、隅肉溶接部等の溶接ビードを産業用ロボット等の機械で仕上げる溶接ビード加工軌道作成方法とその成形装置に関する。
従来より、種々の構造物を接合するための手段として溶接が利用されている。このような構造物の溶接は、平面的な溶接部であれば自動溶接も行われているが、複雑な形状の溶接部等は人手によって溶接されている。この人手によって溶接された溶接部の場合、溶接ビードを手作業によって肉盛りするため均一に仕上げることは難しく、その表面は凹凸状となってしまう。
このような溶接部は、通常、その溶接ビード端部などへの応力集中を避けるために仕上げ作業によって円滑な表面に仕上げられるが、この溶接ビード表面を円滑に仕上げる作業は、従来より人手によって行われている。
しかし、このような溶接ビードの仕上げ作業は、表面をグラインダ等の研削機で研削して仕上げることとなるため、粉塵が舞う環境の悪い作業であるとともに多くの時間と労力を要する作業であり、環境改善が望まれている。
しかも、この溶接ビードの仕上げ作業は、人手によって溶接ビード止端部と母材とを滑らかに接続するとともに、この止端部だけではなく溶接線方向の加工部全体で滑らかにつながるように仕上がり形状をイメージしながら、作業者がそれを実現するように工具を動かす必要があり、高度な技術と熟練を要する作業である。
例えば、このような溶接ビードの仕上げ作業を機械的に行う従来技術として、平面上の突き合わせビードラインを計測により検出し、この検出結果から、溶接ビードの縁部を削り残すことなく溶接ビードの幅に応じて研削経路を生成できるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
また、他の従来技術として、突き合わせ溶接部の段差を特定し、その段差により一義的に定めた研削ツールの作動情報からロボット経路を生成して、溶接部位周囲を平滑に仕上げるものがある(例えば、特許文献2参照。)。
さらに、他の従来技術として、隅肉溶接部の加工面と研磨工具との距離が常に一定となるように、研磨工具を加工面の表面に倣わせることにより隅肉溶接部の仕上げを行おうとするものがある(例えば、特許文献3参照。)。
また、その他の従来技術として、自走式台車に設けた枠にグラインダ本体の動作制御を行う制御盤を設けて、円弧状の隅肉溶接部の研削が行えるようにしたものがある(例えば、特許文献4参照。)。
特開平5−345255号公報(第2,3頁、図5) 特開2000−61778号公報(第2,3,5頁、図9) 特開平10−109261号公報(第2頁、図2) 特開2002−154043号公報(第2頁、図1)
しかしながら、前記特許文献1では、隅肉溶接部における溶接ビードの仕上げ処理には対応することができず、また、前記特許文献2でも、基本的に平面上の突き合わせ溶接ビードを対象としているので、隅肉溶接ビードの仕上げ処理への対応には無理がある。
さらに、前記特許文献3では、隅肉溶接部を加工することはできるが、加工部全体を滑らかにつなぐ形に仕上げることはできず、また、前記特許文献4では、工具が描く円弧の形状を加工部形状に応じて適応させることは難しく、様々な溶接部に適応させるのは難しい。
しかも、これらの文献に記載された発明は、いずれも溶接ビードの加工部断面形状に応じて加工軌道を作成することができない。
このように、従来の技術では、溶接部のビードの状態に応じて表面を滑らかに仕上げる加工軌道を容易に作成することができない。
そこで、本願発明は、種々の溶接部における溶接ビードを母材と滑らかに接続できる溶接ビード加工軌道作成方法と成形装置とを提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本願発明の溶接ビード加工軌道作成方法は、複数の母材を溶接で接合した溶接部における溶接ビード表面を成形する溶接ビード加工軌道作成方法であって、前記溶接部の溶接線方向と交差する方向の母材と溶接ビードとの境界点を溶接線方向に複数求め、該境界点の最も接合中心側に位置する内側の境界点を加工部断面形状の特徴点として定め、該特徴点の位置における接線の傾きを求めて該特徴点の位置で溶接ビードと母材との滑らかな接続を実現する曲線の加工軌道を作成するようにしている。
また、他の溶接ビード加工軌道作成方法としては、複数の母材を直交させて溶接で接合した溶接部における溶接ビード表面を成形する溶接ビード加工軌道作成方法であって、前記溶接部の溶接線方向と交差する方向の母材と溶接ビードとの境界点を溶接線方向に複数求め、該境界点の最も接合中心側に位置する内側の境界点を加工部断面形状の特徴点として定め、該特徴点を頂点とする楕円を求めて該特徴点の位置で溶接ビードと母材との滑らかな接続を実現する楕円弧の加工軌道を作成するようにしている。
さらに、他の溶接ビード加工軌道作成方法としては、複数の母材を溶接で接合した溶接部における溶接ビード表面を成形する溶接ビード加工軌道作成方法であって、前記溶接部の溶接線方向と交差する方向の母材と溶接ビードとの境界点を溶接線方向に複数求め、該境界点の最も接合中心側に位置する内側の境界点を加工部断面形状の特徴点として定め、該特徴点の位置で溶接ビードと母材との滑らかな接続を実現するために、変換前後の幾何学的性質を保ったままで形状を変える変換を適用して、実測した加工部断面形状に予め準備した曲線の加工軌道の基本軌道形状を嵌めあわせることにより加工軌道を作成するようにしている。
また、この溶接ビード加工軌道作成方法において、前記加工部断面形状の特徴点の位置関係から加工部断面形状を分類し、該分類した加工部断面形状毎に基本軌道形状を予め準備し、前記実測した加工部断面形状に応じて、分類した基本軌道形状を嵌めあわせることにより加工軌道を作成するようにしてもよい。
さらに、この溶接ビード加工軌道作成方法において、前記基本軌道形状を、その両端位置と該両端位置での傾きを任意に設定でき、且つ形状を調整できる曲線とし、該基本軌道形状を調整することによって加工軌道の加工量を調整できるようにしてもよい。
また、これらの溶接ビード加工軌道作成方法において、前記基本軌道形状を、長方形を基盤とした4次曲線を利用し、基盤となる長方形の縦横比と対角線上の通過点を操作することにより、加工量と加工形状とを調整するようにしてもよい。
さらに、これらいずれかの溶接ビード加工軌道作成方法において、前記変換前後の幾何学的性質を保ったまま形状を変える変換として、アフィン変換又は射影変換もしくは相似変換を適用するのが好ましい。
また、本願発明の溶接ビード加工方法は、前記いずれかの溶接ビード加工軌道作成方法を用いて加工する溶接ビード加工方法であって、前記溶接ビード加工軌道作成方法によって得られた加工軌道に沿って加工工具を動作させ、溶接ビードを溶接線方向に所定の断面形状に成形するようにしている。
一方、本願発明の溶接ビード成形装置は、前記いずれかの溶接ビード加工軌道作成方法を実施するための溶接ビード成形装置であって、前記溶接ビード加工軌道作成方法によって得られた加工軌道に沿って加工工具を動作させる自動化機械を備え、該自動化機械で溶接ビードを所定の断面形状に成形するようにしている。
また、この溶接ビード成形装置において、前記自動化機械を、加工工具を3次元的に動作させることができる多軸加工機で構成してもよい。多軸加工機としては、マシニングセンタや産業用ロボット等が用いられる。
本願発明は、以上説明したような手段により、溶接ビードの状態に応じて溶接ビードの最も接合中心側に位置する境界点で母材と溶接ビードとを滑らかに接続するように溶接ビード表面を成形することが可能となる。
以下、本願発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本願発明の溶接ビード加工軌道作成方法を適用する一実施形態に係る加工対象部の一例を示す斜視図であり、図2は同加工対象部における計測結果の処理を示す説明図である。この実施形態では、加工部断面形状を複数に分類し、その分類した加工部断面形状毎に基本軌道形状を予め準備する例を説明する。
図1に示すように、この実施形態では、2つの母材1,2の間の2平面に挟まれた隅肉溶接部3を加工対象の溶接部の例としている。母材1側を基準平面S1とし、母材2側を傾斜平面S2として説明する。以下、このような溶接部3(以下の説明では、「加工対象部3」ともいう。)の溶接ビード4を成形するための加工軌道を作成する方法について説明する。
(A) 加工部の断面形状計測と特徴点
まず、加工対象部3の断面形状を溶接線方向に計測する。この断面形状とは、溶接部の溶接線方向と交差する方向の母材1,2と溶接ビード4との断面の形状であり、この断面形状を計測する方法としては、基準平面S1と傾斜平面S2との双方に垂直な平面で加工対象部3の断面形状を計測する。一般に溶接ビード4の境界は直線ではないので、断面形状は溶接線方向に複数計測(ここではn断面計測とする。)し、各断面におけるビード端点を求める。
この実施形態では、光切断法を用いるレーザスリット光投射型センサで計測している。図示する二点鎖線がスリット光5を示しており、このレーザスリット光投射型センサを用いることにより、図示するようなスリット光5で加工対象部3の断面形状を計測するので、溶接ビード4の断面方向における同一面内の複数箇所を一度に計測することができる。このような計測を実現するための方法としては、前記レーザスリット光投射型センサが適しているが、レーザスポット光型距離センサや接触式変位センサなどを用いてロボット等で走査して計測する方法であってもよい。
図2に示すように、このような方法で得られた溶接線方向の複数の断面形状計測データはコンピュータ等で処理され、抽出された溶接部の溶接線方向と交差する溶接ビード断面方向の母材と溶接ビードとの境界点(端点)に基づいて、以下のようにして加工軌道6が作成される。
加工部の各点を抽出するために、溶接線方向に断面形状をn断面分計測する。各計測断面において、前記基準平面S1側のビード端点(溶接ビード4と母材1との境界点)をP1n(n=1〜n)、傾斜平面S2側のビード端点(溶接ビード4と母材2との境界点)をP2n(n=1〜n)とし、それぞれの点の中で最も接合中心側に位置する内側の点をP1およびP2とし、最も外側の点をQ1およびQ2とする。さらに、ここで求めた点P1、P2に加え、これら基準平面S1と傾斜平面S2との接線方向の交点が、交点P0として求められる。このようにして定めたP0、P1、P2の3点を、加工部形状の特徴点としている。
なお、この図における軸としては、紙面直角方向をXc、紙面右方向をYc、紙面上方向をZcとしている。
(B) 加工部形状の分類
この実施形態では、図2に示す特徴点P1におけるQ1−P1間軌道とP1−P2間軌道、および特徴点P2におけるQ2−P2間軌道とP1−P2間軌道を滑らかに接続することにより、特徴点(端点)P1、P2およびP1−P2区間への応力集中を避けるようにする。
そこで、Q1−P1間軌道とQ2−P2間軌道を隣接軌道とし、この隣接軌道と滑らかに接するP1−P2間軌道を簡単に求めるために、上記断面形状計測で求めた特徴点3点の位置関係から、加工部形状を図3に示す分類表のように分類している。
図3は本願発明の溶接ビード加工軌道作成方法における加工部断面形状と基本軌道形状との加工部分類表の一例を示す図面である。加工部断面形状は図1に示す形状とは限られず、この実施形態では、前記図1に示す加工部断面形状の分類1以外に分類2〜4に示す形状の4種類に分類している。図では、特徴点P1の基準平面S1の接線をtl1とし、特徴点P2の傾斜平面S2の接線をtl2として示している。
分類2は、基準平面S1の接線tl1と傾斜平面S2の接線tl2との交点が特徴点P1,P2の間に無い場合であり、この分類2の場合には、2接線の交点をP00とし、特徴点P2から特徴点P1の基準平面S1における接線に下ろした垂線の足の交点を特徴点P0とする。
また、分類3は、基準平面S1の接線tl1と傾斜平面S2(この分類では傾斜していないが前記分類と同様に呼ぶ。)の接線tl2とが平行で交わらない場合であり、この分類3の場合には、2接線は交わらないので、特徴点P2から特徴点P1の基準平面S1における接線に下ろした垂線の足の交点を特徴点P0とする。
さらに、分類4は、基準平面S1の接線tl1と傾斜平面S2(この分類でも傾斜していないが前記分類と同様に呼ぶ。)の接線tl2とが同一線上にある場合であり、この分類4の場合には、2接線は同一線上にあるので、特徴点P2と特徴点P1との中間位置から突出した溶接ビードの最も低い点を特徴点P0とする。この分類4の場合、肉盛りした溶接ビードが母材表面から突出した状態で円滑な表面に成形するような場合に適用される。これらの分類2〜4で定められたP0、P1、P2の3点が、加工部形状の特徴点である。
そして、分類毎にあらかじめ接続点2点間を補間する曲線を決める。この曲線が基本軌道であり、この基本軌道の形状が基本軌道形状7である。この決め方は、加工部形状の特徴点P0,P1,P2として求めた3点に対応するように、接続点をp1、p2として長方形の対角線の端点とする。そして長方形の残り2頂点のひとつをp0として、基本軌道を作成する(図3の「基本軌道形状」欄参照)。つまり、加工部の断面形状計測により加工部をその形状の特徴点で分類し、分類毎にあらかじめ基本軌道形状を作成している。
しかも、このように加工部断面形状を分類し、それぞれの分類に応じた基本軌道形状を予め作成しておくことにより、異なる断面形状の溶接部における溶接ビードの成形を連続的に行うこともできる。例えば、図1に示す傾斜平面S2の側面S3と基準平面S1との間の溶接部や、傾斜平面S2と傾斜方向が逆向きの溶接部(例えば、図3の加工部断面形状2の上段左端等)でも、連続的に溶接ビードの成形を行うことができる。
(C) 加工軌道の作成
前記したように加工部断面形状の分類毎に作成した基本軌道を、その幾何学的性質を保ったまま加工部に嵌め込むことで、特徴点(端点)P1とP2との間の加工軌道を作成する。この例では、基本軌道を4次曲線とし、加工部の特徴点P0、P1、P2と、基本軌道の特徴点p0、p1、p2の各点を一致させる二次元のアフィン変換を適用している。なお、計算を簡単にするために、基本軌道を作成する段階でp0を原点(0、0)としておき、計測で得た加工部の特徴点もP0が原点(0、0)になるようにオフセットした状態でアフィン変換を行うようにしている。
アフィン変換の係数をKa、Kb、Kc、Kdとする。
変換前後の点を、
p0=(0、0)
p1=(x1、y1)
p2=(x2、y2)
P0a=P0−offset=(0、0)
P1a=P1−offset=(X1、Y1)
P2a=P2−offset=(X2、Y2)
とする。ここで、offset=(P0x、P0y)。
前記基本軌道の特徴点(端点)p1およびp2が、P1aおよびP2aに変換されるので、
X1=Ka・x1+Kb・y1
Y1=Kc・x1+Kd・y1
X2=Ka・x2+Kb・y2
Y2=Kc・x2+Kd・y2
となる。これを満たすようにアフィン変換の係数Ka、Kb、Kc、Kdを求める。
基本軌道上の任意の点をpn=(xn、yn)とし、これがアフィン変換により移される点をPna=(Xn、Yn)とすると、
Xn=Ka・xn+Kb・yn
Yn=Kc・xn+Kd・yn
となり、原点を元に戻して、
Pn=Pna+offset=(Xn+P0x、Yn+P0y)
となって、簡単な計算で、基本軌道上の点が加工軌道上の点に変換される。
しかも、変換前の幾何学的な性質は保たれるので、線分p0−p1および線分p0−p2に接するように基本軌道を作成した場合は、アフィン変換後の軌道も線分P0−P1および線分P0−P2に接する。
このように、基本軌道形状をアフィン変換により実測した加工部形状にあて嵌めることで、加工軌道を簡単に作成できるようにしている。しかも、アフィン変換を利用することによって、基本軌道形状の幾何学的性質をそのまま継承できるので、接続部での滑らかな接続が可能である。
この例ではアフィン変換を適用しているが、アフィン変換以外でも、例えば、射影変換や相似変換等の変換前後の幾何学的性質を保つ変換を適用し、実測した加工部形状に基本軌道形状を嵌めあわせて加工軌道を作成するようにしてもよい。
(D) 基本軌道の作成および調整方法
図3の分類表に示した加工部断面形状の分類毎に予め準備する基本軌道形状は、下記要領にて作成して加工形状を調整する。
(a) 分類1の基本軌道形状
基本軌道の形状は、分類表の基本軌道形状1に示すように、長方形p0−p1−p3−p2の隣り合う2辺p0−p1およびp0−p2に接し、通過点ptを通る4次曲線で作成する。通過点ptは、対角線p0−p3上の点である。
ここで、基本軌道を4次曲線としているのは、長方形の隣り合う2辺と滑らかに接するという条件を満たしつつ、通過点1点を与えることによって基本軌道の形状を調整し、結果として加工量(研削量)を調整可能にするためである。
この基本軌道の4次曲線は、下記の5つの条件を満たすように求める。
1.特徴点p1を通る。
2.特徴点p2を通る。
3.通過点ptを通る。
4.特徴点p1での接線の傾きは、線分p0−p1の傾き。
5.特徴点p2での接線の傾きは、線分p0−p2の傾き。
(a−1) 基本軌道(4次曲線)の具体的な調整方法
分類1の場合について、4次曲線で作成した基本軌道の具体的な形状調整方法を説明する。
基本軌道の形状は、基盤となる長方形p0−p1−p3−p2の縦横比ARと、基本軌道の通過点ptを操作することで調整する。この通過点ptが調整用のパラメータとなる。ここで縦横比ARは、線分p0−p1の長さをa、線分p0−p2の長さをbとし、AR=b/aとしている。
(a−2) 通過点ptによる基本軌道形状の調整
図4は本願発明で作成する加工軌道の例を示す図面であり、(a) は内側溶接部の軌道例を示す断面図、(b) は外側溶接部の軌道例を示す断面図である。図5(a),(b) は、本願発明で作成する加工軌道と母材との関係の一例を示す概念図である。
前記通過点ptは、長方形の頂点p0(0、0)と、2本の対角線の交点p4を結ぶ線分p0−p4の内分点とし、通過点係数Kptを用いることで次のように表す。
pt=Kpt・p4
図4(a) のように隅肉溶接部の内側を処理する場合などで、なるべく加工量(研削量)を少なくしたい時は、Kptの値を大きくし通過点ptを交点p4に近づく方向に移動させる。一方、図4(b) のように外側の処理に適用する場合などで、なるべく加工量(研削量)を少なくしたい時は、Kptの値を小さくしptをp0に近づく方向に移動させる。
このように通過点係数Kptの値を操作し、通過点ptの位置を変えることで基本軌道形状を調整できるが、図4(a) のような内側処理で通過点ptを特徴点p0に近づけ過ぎると基本軌道が図5(a) のように線分p0−p1および線分p0−p2から外にはみ出てしまう。逆に、通過点ptを交点p4に近づけ過ぎると基本軌道が図5(b) のように中央部が盛り上がってしまうので、加工後の形状が好ましい形状となるような基本軌道形状となるように通過点係数Kptの値が操作される。また、図4(b) のような外側処理においても同様であり、図5(a) のように盛り上がったり、図5(b) のように中央が窪んだりしないように、好ましい基本軌道形状となるような通過点係数Kptの値に操作される。
(a−3) 縦横比ARによる基本軌道形状の調整
図6(a),(b) は、本願発明で作成する加工軌道の縦横比を変化させた場合の関係を示す概念図である。
前記縦横比ARが1の時、基本軌道の形状は線分p0−p4に対し対称形となる。基本的にはこのままで対応可能であるが、現実的には非対称形状の場合が多い。そこで、実形状に近い形で基本軌道を作成して直感的に理解しやすくする場合を以下に説明する。
縦横比ARにより基本軌道形状を調整する場合、図6(a) に示すように、0<AR<1の関係にした場合は、特徴点p1側の変化率が緩やかになる。また、AR>1の関係にした場合には、特徴点p2側の変化率が緩やかになる。
この縦横比ARを、計測で得た特徴点3点から線分P0−P1に対する線分P0−P2として、その比に合わせて基本軌道形状を作成するようにしてもよい。また、前記図5(a),(b) のような形状に基本軌道形状がなってしまう可能性がある場合には、好ましい基本軌道形状となるように通過点係数Kptの値を操作すればよい。
このように、基本軌道形状は、長方形を基盤とした4次曲線とし、基盤となる長方形の縦横比ARと、対角線上の通過点ptを操作することで、加工量を考慮した形状に調整することを可能としている。
(a−4) 縦横比ARと通過点係数Kptの操作範囲
図7は本願発明の溶接ビード加工軌道作成方法における縦横比と通過点係数の関係を示す線図である。前記縦横比ARと通過点係数Kptの設定にあたっては、基本軌道の形状の条件として、
1.2接線(線分p0−p1および線分p0−p2)からはみ出さない(図5(a) )。
2.途中で窪んだり盛り上がらない(図5(b) )。
という制限を加えると、縦横比ARと通過点係数Kptの操作可能範囲は図7に示す領域1内となる。つまり、図7のAR−Kpt線図において、領域1内で縦横比ARと通過点係数Kptを選択すれば、これら1,2の条件を満たすようにできる。なお、図7の領域2内で縦横比AR、通過点係数Kptを選択すると前記条件1を満たさないし、領域3内で縦横比AR、通過点係数Kptを選択すると前記条件2を満たさない。
また、縦横比ARが、0<AR<1の場合には、その逆数を縦横比ARとすることで図7から対応する通過点係数Kptの操作範囲を同様に求めることができる。このような線図を利用することで、基本軌道形状の調整が好ましい範囲内で簡単に行える。
(b) 分類2の基本軌道形状
分類2の基本軌道は、図3の分類表の基本軌道2に示すように、特徴点p1では長方形p0−p1−p3−p2の1辺p0−p1に接し、特徴点p2では対角線p1−p2に接し、通過点ptを通る4次曲線で作成する。
基本軌道の調整は、前記分類1の場合と同様に、長方形p0−p1−p3−p2の縦横比ARと通過点ptを操作することで調整する。分類2の場合も、縦横比ARは、線分p0−p1の長さをa、線分p0−p2の長さをbとし、AR=b/aとしている。通過点ptは、頂点p0(0、0)と2本の対角線の交点p4を結ぶ線分p0−p4の内分点とし、通過点係数Kptを用いることで、pt=Kpt・p4としている。
この分類2の場合も前記分類1と同じように、基本軌道の形状の条件として、
1.2接線(線分p0−p1および線分p1−p2)からはみ出さない(図5(a) )。
という制限を加えると、分類1の場合と同様に縦横比ARと通過点係数Kptの操作可能範囲が決まるので、この範囲内でパラメータとなる縦横比ARと通過点係数Kptとを操作することにより、その形状を調整することができる。
なお、軌道形状の調整を必要としない場合には基本軌道を3次曲線としても良いが、この場合には基本軌道が線分p0−p1および線分p1−p2からはみ出さないような条件で作成される。
また、この分類2における加工軌道の作成も、前記分類1の場合と同様に、加工部の特徴点P0、P1、P2と、基本軌道の特徴点p0、p1、p2の各点が一致するように、アフィン変換などを用いて基本軌道形状を嵌め込み、加工軌道を作成する。
(c) 分類3の基本軌道形状
分類3は、平行面の突き合わせ部で段差がある場合などである。前記分類1や分類2と同様に、溶接ビード端点の特徴点P1、P2を滑らかに結んだ形状に成形するために、基本軌道3のような4次曲線を作成すれば良い。
この基本軌道は、特徴点p1では長方形p0−p1−p3−p2の辺p0−p1に接し、特徴点p2では辺p2−p3に接し、通過点ptを通る4次曲線で作成する。この場合も、縦横比ARは、線分p0−p1の長さをa、線分p0−p2の長さをbとし、AR=b/aとしている。通過点ptは、頂点p0(0、0)とp3を結ぶ線分p0−p3の内分点とし、通過点係数Kptを用いることで、pt=Kpt・p3としている。この分類3の場合、通過点ptを交点4と頂点p0との線分p0−p4の内分点とする必要はなく、線分p0−p3の間とすればよい。
この分類3の場合も前記分類1や分類2と同様に基本軌道の形状の条件として、
1.2接線(線分p0−p1および線分p2−p3)からはみ出さない(図5(a) )。
といった制限を加えると、分類1,2の場合と同様に縦横比ARと通過点係数Kptの操作可能範囲が決まるので、この範囲内でパラメータとなる縦横比ARと通過点係数Kptとを操作することにより、その形状を調整することができる。
また、この分類3における加工軌道の作成も、前記分類1,2の場合と同様に、加工部の特徴点P0、P1、P2と、基本軌道の特徴点p0、p1、p2の各点が一致するように、アフィン変換などを用いて基本軌道形状を嵌め込み、加工軌道を作成する。
(d) 分類4の基本軌道形状
分類4は、平行面の突き合わせ部で段差が無い場合などである。この分類4の場合、特徴点が溶接ビード端点の特徴点P1、P2のみのため、長方形を基盤とした4次曲線を作成するための特徴点として溶接ビードの最も低い点を特徴点P0とし、特徴点P1,P2を滑らかな曲線で結ぶような4次曲線で基本軌道4を作成する。
この分類4の場合の特徴点P0は、溶接線方向に断面形状をn断面分計測した各計測断面において、溶接ビードの最も高い点をP0nとし、そのn個の点の中で最も低い点をP0としている。
分類4の基本軌道は、図3の分類表の基本軌道4に示すように、分類4に対する基本軌道は、長方形p0−p1−p2−p3を基盤に、4次曲線を使って作成する。
この基本軌道の作成条件は以下の通りである。
1.特徴点p1、特徴点p2、通過点ptを通る。
2.特徴点p1と特徴点p2で、線分p1−p2を通る直線に接する。
通過点ptは、基盤となる長方形の対角線の交点p4と頂点p0(0、0)を結ぶ線分の内分点としている。通過点係数をKptとすると、通過点ptは、pt=Kpt・p4、となる。
この分類4の場合も、分類1〜3の場合と同様に、基本軌道形状を4次曲線で作成した場合は、通過点係数Kptと、基盤となる長方形の縦横比ARを操作することで、その形状を調整できる。例えば、通過点係数Kpt=1の場合、基本軌道形状は2点の特徴点p1,p2を通る直線となる。1<Kptにすると、母材表面より削り込んでしまうので望ましくない。また、AR=1の場合には、0.2<Kptに設定すれば、基本軌道形状は、直線p0−p1および直線p0−p2からはみ出さないようにできる。これらの条件は好ましい条件で選択すればよい。
また、この分類4における加工軌道の作成も、前記分類1〜3の場合と同様に、加工部の特徴点P0、P1、P2と、基本軌道の特徴点p0、p1、p2の各点が一致するように、アフィン変換などを用いて基本軌道形状を嵌め込み、加工軌道を作成する。
(E) 形状計測結果から直接加工軌道を算出する方法
ところで、前記した溶接ビード加工軌道作成方法では、予め加工軌道の基本軌道形状を準備し、実測した加工部断面形状にこの基本軌道形状を嵌めあわせることにより加工軌道を作成している。そのため、予め準備する基本軌道形状を調整することにより、作成される加工軌道を調整することができる。この加工軌道を調整することにより、加工量(研削量)の調整ができる。
しかしながら、溶接部の形状や溶接方法が特定されている場合等、加工軌道を調整して加工量を調整する必要のない場合がある。また、個々の溶接部において現実の溶接ビードに応じて表面の成形を行いたい場合もある。
そこで、形状計測結果から直接加工軌道を算出するようにして個々の溶接部に応じた加工軌道を作成する溶接ビード加工軌道作成方法を以下に説明する。この説明では、図1に示す平面S1と平面S2の間の隅肉溶接部を対象に説明する。座標系は、図2の座標系を使用する。なお、前述した実施形態における構成と同一の構成には、同一符号を付して引用する。
(a) 加工部の断面形状計測と特徴点
この場合も、まず、基準平面S1と傾斜平面S2との双方に垂直な平面で加工対象部3の断面形状を前記レーザスリット光投射型センサ等で溶接線方向に複数計測し、各計測断面における溶接線方向と交差する方向の母材と溶接ビードとの境界点を求める。そして、基準平面S1側のビード端点(境界点)P1n(n=1〜n)と、傾斜平面S2側のビード端点(境界点)P2n(n=1〜n)の点の中で最も内側の点を特徴点P1およびP2とし、最も外側の点をQ1およびQ2とする。同時に、ここで求めた特徴点P1、P2における接線の傾きを求める。この形状計測により求めるのは、次の4項目である。
特徴点P1の座標:P1(y1、z1)、特徴点P1における接線の傾き:m1
特徴点P2の座標:P2(y2、z2)、特徴点P2における接線の傾き:m2
(b) 特徴点P1−P2間の加工軌道の作成
(b−1) 3次曲線による加工軌道の作成
求める3次曲線を、(1)式とおく。
z=a・y3+b・y2+c・y+d ・・・(1)
この時、接線の式は、(2)式となる。
zz=3a・y2+2b・y+c ・・・(2)
求める3次曲線は、2点P1、P2を通り、両点における傾きがそれぞれm1、m2なので、以下の(3)〜(6)の式を解き、3次曲線の係数a、b、c、dを求めることによって加工軌道を作成する。
z1=a・y13+b・y12+c・y1+d ・・・(3)
z2=a・y23+b・y22+c・y2+d ・・・(4)
m1=3a・y12+2b・y1+c ・・・(5)
m2=3a・y22+2b・y2+c ・・・(6)
この方法の場合は、調整用のパラメータが無いので、加工軌道形状の調整ができない。
(b−2) 4次曲線による加工軌道の作成
求める4次曲線を、(1)式とおく。
z=a・y4+b・y3+c・y2+d・y+e ・・・(1)
この時、接線の式は、(2)式となる。
zz=4a・y3+3b・y2+2c・y+d ・・・(2)
求める4次曲線は、2点P1、P2を通り、両点における接線の傾きがそれぞれm1、m2である。さらに、途中の通過点Pt(yt、zt)を1点与え、以下の(3)〜(7)の式を解き、4次曲線の係数a、b、c、d、eを求めて加工軌道を作成する。
z1=a・y14+b・y13+c・y12+d・y1+e ・・・(3)
z2=a・y24+b・y23+c・y22+d・y2+e ・・・(4)
m1=4a・y13+3b・y12+2c・y1+d ・・・(5)
m2=4a・y23+3b・y22+2c・y2+d ・・・(6)
zt=a・yt4+b・yt3+c・yt2+d・yt+e ・・・(7)
この方法の場合は、通過点ptを調整用のパラメータとして、加工軌道形状の調整ができる。
(b−3) n次曲線(n≧5)による加工軌道の作成
求めるn次曲線を、(1)式とおく。
z=kn+1・yn+kn・y(n-1)+・・・+k3・y2+k2・y+k1 ・・・(1)
この時、接線の式は、(2)式となる。
zz=n・kn+1・y(n-1)+(n−1)・kn・y(n-2)+・・・+2・k3・y+k2 ・・・(2)
求めるn次曲線は、2点P1、P2を通り、両点における接線の傾きがそれぞれm1、m2である。さらに、途中の通過点ptとして(n−3)個の点を与え、連立方程式を解き係数kn+1〜k1を求めて、計画軌道とする。
この方法の場合は、通過点ptを調整用のパラメータとして、加工軌道形状の調整ができる。
(b−4) 楕円による加工軌道の作成
図8は本願発明の溶接ビード加工軌道作成方法における楕円で加工軌道を作成する例を示す説明図である。この方法の場合は、特徴点P1とP2における接線が、直交する場合にのみ使える方法であり、特徴点P1、P2の2点を頂点(長軸、短軸の頂点)とする楕円を求め、その1/4弧(楕円弧)を加工軌道としている。
この方法の場合、
a:特徴点P1の接線と特徴点P2の接線とが直交する交点から、特徴点P1までの距離
b:特徴点P1の接線と特徴点P2の接線とが直交する交点から、特徴点P2までの距離
とすると、楕円の式は、
2/a2+z2/b2=1
となり、特徴点P1と特徴点P2が図8の位置関係にある場合は、楕円の左下1/4弧を加工軌道とする。
この方法の場合は、調整用のパラメータが無いので、軌道形状の調整ができない。
(F) 溶接ビード成形装置の構成例
図9は本願発明に係る溶接ビード成形装置の一例を示す構成図である。前記した溶接ビード加工軌道作成方法を実施するための溶接ビード成形装置を以下に説明する。この溶接ビード成形装置は、前記した溶接ビード加工軌道作成方法によって作成された加工軌道に沿って加工工具を動作させることにより、加工部の溶接ビードを所望の形状に成形することができる。この例では、溶接ビードの成形を自動的に行う自動化機械として、加工工具を3次元的に動作させる多軸加工機として機能する産業用ロボットを例に説明する。
図示するように、この溶接ビード成形装置10は、産業用ロボット11を用いた装置を示しており、ロボット11の手先には、加工する時の工具である緩衝機構12を備えたグラインダ13と、加工部の断面形状を計測するための形状計測センサ14とが示されている。この例では加工工具としてグラインダ13を示している。また、図では緩衝機構12を備えたグラインダ13を加工時にロボット11の手先に取り付け、形状計測センサ14を計測時にロボット11の手先に取り付けるようにしているが、これらグラインダ13と形状計測センサ14とを予め手先に取り付け、必要に応じて切換えるようにしてもよい。
前記グラインダ13に緩衝機構12を備えることにより、加工中に過大な加工力が生じた場合にグラインダ13やロボット11に大きな力が作用しないようにしている。この緩衝機構12としては、バネとダンパを組み合わせた受動型の物であってもよいし、サーボモータ駆動直動機構のような能動型の物であってもよい。能動型の場合は、負荷状態を検知して直動機構を制御しなければならないので、ロードセルなど力を検知するセンサやグラインダの負荷電流を検出する電流センサなど負荷状態を検知するセンサと、その制御装置が設けられる。
また、前記したように、形状計測センサ14としては光切断法を用いるレーザスリット光投射型センサが適しているが、ロボットを使って走査することも可能であり、レーザスポット光型距離センサや接触式変位センサなどであっても良い。
一方、加工部断面形状の計測から加工軌道の作成までを行う軌道計画装置15が設けられている。この軌道計画装置15は、前記形状計測センサ14で得た形状情報を処理し、ビード端点など必要な特徴点を抽出する機能を具備している。
そして、加工部断面形状を計測するときには、形状計測センサ14から軌道計画装置15に各段面形状のデータを取り込んで、それに基づいて加工軌道を計画する。軌道計画装置15内では、計測データ入力部16に取り込まれた各断面のデータを計測データ処理部17で処理し、このデータから抽出した特徴点に基づいて、軌道計画部18で前述の方法により加工軌道が作成される。この時、軌道計画装置15内では、必要に応じて、記憶部19にデータベースとして保管されている図3の加工部分類表に示す基本軌道形状の情報や、図7に示したAR−Kpt線図等の関連情報を呼び出して加工軌道を作成する。なお、この軌道計画装置15内の構成は一例である。
このようにして軌道計画装置15によって加工軌道が作成されると、その加工軌道の情報(動作軌跡)が通信部20からロボットコントローラ21に送られ、この動作軌跡に基いてグラインダ13で加工部の溶接ビードが加工される。この加工時には、ロボット11の手先に緩衝機構12を介して設けられたグラインダ13により、軌道計画装置15から受け取った加工軌道に沿ってグラインダ13(加工工具)を動かし、加工対象部が所望の形状に成形される。
しかも、前記した図3のように加工部断面形状を分類し、それぞれの分類毎に基本軌道形状を予め準備した場合、例えば、図1に示す傾斜平面S2の側面S3と基準平面S1との間の溶接部や、傾斜平面S2と傾斜方向が逆向きの溶接部のような異なる断面形状の溶接部における溶接ビードの成形を連続的に行うことが容易にできる。
この例では、加工工具を加工軌道に沿って動かす自動化機械として多軸加工機の機能を備えた産業用ロボット11を例に説明したので、複数の母材間の異なる面の溶接部を連続的に加工することが容易に可能であるが、この自動化機械は加工部形状や使用条件等に応じた機械を用いればよく、産業用ロボットに限定されるものではない。
なお、前記実施形態では、予め加工部断面形状を分類し、その分類毎に基本軌道形状を準備した例を説明したが、これら複数の分類は前記実施形態に限定されるものではない。
さらに、前述した実施形態は一例を示しており、本願発明の要旨を損なわない範囲での種々の変更は可能であり、本願発明は前述した実施形態に限定されるものではない。
本願発明に係る溶接ビード加工軌道作成方法は、隅肉溶接部等の溶接部に応じて溶接ビード表面を研削仕上げする作業の自動化を図るために有用である。
本願発明の溶接ビード加工軌道作成方法を適用する一実施形態に係る加工対象部の一例を示す斜視図である。 図1の加工対象部における計測結果の処理を示す説明図である。 本願発明の溶接ビード加工軌道作成方法における加工部断面形状と基本軌道形状との加工部分類表の一例を示す図面である。 本願発明で作成する加工軌道の例を示す図面であり、(a) は内側溶接部の軌道例を示す断面図、(b) は外側溶接部の軌道例を示す断面図である。 (a),(b) は、本願発明で作成する加工軌道と母材との関係の一例を示す概念図である。 (a),(b) は、本願発明で作成する加工軌道の縦横比を変化させた場合の関係を示す概念図である。 本願発明の溶接ビード加工軌道作成方法における縦横比と通過点係数の関係を示す線図である。 本願発明の溶接ビード加工軌道作成方法における楕円で加工軌道を作成する例を示す説明図である。 本願発明に係る溶接ビード成形装置の一例を示す構成図である。
符号の説明
1,2…母材
3…溶接部(加工対象部)
4…溶接ビード
5…スリット光
6…加工軌道
7…基本軌道形状
10…溶接ビード成形装置
11…産業用ロボット
12…緩衝機構
13…グラインダ
14…形状計測センサ
15…軌道計画装置
16…計測データ入力部
17…計測データ処理部
18…軌道計画部
19…記憶部
20…通信部
21…ロボットコントローラ
S1…基準平面
S2…傾斜平面
P0〜P2…特徴点
p0〜p2…特徴点
p4…交点
pt…通過点
Kpt…通過点係数
AR…縦横比
Q1,Q2…最も外側の点

Claims (10)

  1. 複数の母材を溶接で接合した溶接部における溶接ビード表面を成形する溶接ビード加工軌道作成方法であって、
    前記溶接部の溶接線方向と交差する方向の母材と溶接ビードとの境界点を溶接線方向に複数求め、該境界点の最も接合中心側に位置する内側の境界点を加工部断面形状の特徴点として定め、該特徴点の位置における接線の傾きを求めて該特徴点の位置で溶接ビードと母材との滑らかな接続を実現する曲線の加工軌道を作成する溶接ビード加工軌道作成方法。
  2. 複数の母材を直交させて溶接で接合した溶接部における溶接ビード表面を成形する溶接ビード加工軌道作成方法であって、
    前記溶接部の溶接線方向と交差する方向の母材と溶接ビードとの境界点を溶接線方向に複数求め、該境界点の最も接合中心側に位置する内側の境界点を加工部断面形状の特徴点として定め、該特徴点を頂点とする楕円を求めて該特徴点の位置で溶接ビードと母材との滑らかな接続を実現する楕円弧の加工軌道を作成する溶接ビード加工軌道作成方法。
  3. 複数の母材を溶接で接合した溶接部における溶接ビード表面を成形する溶接ビード加工軌道作成方法であって、
    前記溶接部の溶接線方向と交差する方向の母材と溶接ビードとの境界点を溶接線方向に複数求め、該境界点の最も接合中心側に位置する内側の境界点を加工部断面形状の特徴点として定め、該特徴点の位置で溶接ビードと母材との滑らかな接続を実現するために、変換前後の幾何学的性質を保ったままで形状を変える変換を適用して、実測した加工部断面形状に予め準備した曲線の加工軌道の基本軌道形状を嵌めあわせることにより加工軌道を作成する溶接ビード加工軌道作成方法。
  4. 前記加工部断面形状の特徴点の位置関係から加工部断面形状を分類し、該分類した加工部断面形状毎に基本軌道形状を予め準備し、前記実測した加工部断面形状に応じて、分類した基本軌道形状を嵌めあわせることにより加工軌道を作成するようにした請求項3記載の溶接ビード加工軌道作成方法。
  5. 前記基本軌道形状を、その両端位置と該両端位置での傾きを任意に設定でき、且つ形状を調整できる曲線とし、該基本軌道形状を調整することによって加工軌道の加工量を調整できるようにした請求項3又は請求項4記載の溶接ビード加工軌道作成方法。
  6. 前記基本軌道形状を、長方形を基盤とした4次曲線を利用し、基盤となる長方形の縦横比と対角線上の通過点を操作することにより、加工量と加工形状とを調整するようにした請求項3〜5のいずれか1項に記載の溶接ビード加工軌道作成方法。
  7. 前記変換前後の幾何学的性質を保ったまま形状を変える変換として、アフィン変換又は射影変換もしくは相似変換を適用した請求項3〜6のいずれか1項に記載の溶接ビード加工軌道作成方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の溶接ビード加工軌道作成方法を用いて加工する溶接ビード加工方法であって、
    前記溶接ビード加工軌道作成方法によって得られた加工軌道に沿って加工工具を動作させ、溶接ビードを溶接線方向に所定の断面形状に成形する溶接ビード加工方法。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の溶接ビード加工軌道作成方法を実施するための溶接ビード成形装置であって、
    前記溶接ビード加工軌道作成方法によって得られた加工軌道に沿って加工工具を動作させる自動化機械を備え、該自動化機械で溶接ビードを所定の断面形状に成形する溶接ビード成形装置。
  10. 請求項9記載の溶接ビード成形装置において、
    前記自動化機械を、加工工具を3次元的に動作させることができる多軸加工機で構成した溶接ビード成形装置。
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