JP2006060008A - シート状複合磁性体及びシート品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 扁平状で良好な導電性の軟磁性金属磁性粉を、樹脂等を主材とする結合材に混合し、攪拌して複合磁性材ペースト1を作製し、これをリリース用フィルム2に一定厚みで塗布し、乾燥させる。それから、圧延、必要に応じて架橋処理を行ってから、リリース用フィルム2を剥がすことでシート状複合磁性体10が得られる。ここで、シート状複合磁性体10が半導電性となるように、軟磁性金属磁性粉同士の接触が生じる程度に、扁平状の軟磁性金属磁性粉のアスペクト比や混合比率を設定する。
【選択図】 図1
Description
図1で本発明の実施の形態1に係るEMI対策用に適したシート状複合磁性体について説明する。扁平状で良好な導電性の軟磁性金属磁性粉を、樹脂等を主材とする結合材に混合し、攪拌して複合磁性材ペースト1を作製し、これを図1(A)のようにPET等のリリース用フィルム2に一定厚みで塗布し、乾燥させる。それから、圧延、必要に応じて架橋処理を行ってから、リリース用フィルム2を剥がすことで図1(B)のシート状複合磁性体10が得られる。ここで、シート状複合磁性体10が半導電性となるように、換言すれば、導電性金属ほど低抵抗ではなく、かつ絶縁体ほど高抵抗でもない、中間の抵抗値を呈するようにするため、軟磁性金属磁性粉同士の接触が生じる程度に、扁平状の軟磁性金属磁性粉のアスペクト比や混合比率を設定する。
図2で本発明の実施の形態2に係るEMI対策用に適したシート品について説明する。本発明の実施の形態1で述べたシート状複合磁性体10は、ノイズ発生源に直接装着して使用されることが多いが、この場合、ノイズ発生源への装着面については絶縁性が要求される場合がある。つまり、シート状複合磁性体10自体は半導電性であるため、導電体を装着したときにショートが発生する箇所にはそのままでは適用困難である。このため、本実施の形態2では複合磁性体10の表面に、図2(A)に示す絶縁性の誘電体層20を付加している。ここでは、誘電体層20としてPET、PPS、ポリイミド、ポリアミド等の絶縁性樹脂フィルム21の両面に絶縁性粘着剤を塗布して絶縁性粘着層22を形成したものを用いている。絶縁性粘着剤としては、ゴム系樹脂やアクリル系樹脂等の各種粘着剤を用いることができる。誘電体層20を設ける領域は全面でもよいし、必要な領域のみに設けるようにしてもよい。
本発明の実施の形態2で述べたEMI対策用に適したシート品は片面のみに誘電体層を設けたが、両面に誘電体層を設けた構成を本発明の実施の形態3として図3で説明する。
導電性を積極的に利用する用途には、本発明の実施の形態1で述べたシート状複合磁性体に導電体層を設ければよく、この場合を本発明の実施の形態4として図4に示す。この図において、EMI対策用に適したシート品50は、シート状複合磁性体10の片面に導電体層51が一体化されている。この導電体層51は、例えば金属箔52に導電性粘着剤を塗布して導電性粘着層53を形成したものであり、金属箔52の片面はシート状複合磁性体10に固着されている。使用前の状態ではシート品50の粘着面はPET等のリリース用フィルム54で覆われている。
累積50%径約30μmのモリブデンパーマロイアトマイズ粉を出発材料とし、アトライタで累積50%径約100μm、比表面積約1.5m2/g、アスペクト比約80の扁平状に加工した。この加工による歪みを除くために窒素雰囲気中にて600℃で1時間熱処理を実施し、この粉を本実施例の磁性粉として使用した。
結合材として、エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂を主材として用い、その他、添加剤として、水酸化物、赤燐、リン酸エステル等の難燃剤や架橋のための過酸化物等の架橋剤を加えたものを結合材として使用した。
前記結合材をトルエンで溶解し、この溶解したものに前記軟磁性粉を混合攪拌して、ペーストを作成した。このペーストをナイフコーターにてリリース用PETフィルムに塗布乾燥させた後、カレンダーロールで圧延し、ロール状に巻き取った後、加硫釜で架橋を行い、厚さ0.1mmの半導電性のシート状複合磁性体を作成した(試料1とする。)。
表1
軟磁性粉 79重量部
結合材 主材 13重量部
添加剤 8重量部
厚さ4μmのポリアミドフィルム(東レ製ミクトロン)の両面にそれぞれ厚さ5μmのアクリル系粘着剤を塗布し、厚さ75μmのリリース用PETフィルムで裏打ちしたものを作成した。
厚さ4μmのポリアミドフィルム(東レ製ミクトロン)の片面に厚さ5μmのアクリル系粘着剤を塗布し、厚さ75μmのリリース用PETフィルムで裏打ちしたものを作成した。
前記試料1に、リリース用PETフィルムを剥がして誘電体層1を貼り合せし、シート状複合磁性体の片側に誘電体層を一体化した試料2を作成した。
前記試料2に、リリース用PETフィルムを剥がして誘電体層2を貼り合せし、シート状複合磁性体の両側に誘電体層を一体化した試料3を作成した。
比較的絶縁性の高いシート状複合磁性体として以下のものを使用した。軟磁性粉として表面に酸化皮膜を有するFe−Al−Si合金粉末80重量部、有機結合材としてABS樹脂20重量部を有するもの。厚さ0.1mmとする。
導電性材料としてアルミ蒸着膜付きPETフィルムを使用した。
インピーダンスマテリアルアナライザ(アジレントテクノロジー製4291B)を用いて測定した本実施例の複合磁性体(試料1)の複素透磁率を図5の実線に示すとともに、比較のために、比較試料1の透磁率も同時に示す(但し、μ’:複素透磁率の実数部、μ”:複素透磁率の虚数部)。
本実施例のシート状複合磁性体(試料1)に関し、四探針法(JIS K 7194)にて、表面抵抗率を測定した結果、約10Ω/□であった。さらに、試料2について誘電体層側の表面抵抗率をリング電極法(JIS K 6911)にて測定したところ、約100GΩ/□であった。また、試料3について、試料2とは逆の誘電体層面について表面抵抗率を測定したところ、約1TΩ/□であった。
EMI対策効果を確認するため、ここでは以下の3つの方法にて評価を行った。
評価方法1:マイクロストリップラインでの近傍磁界抑制効果(図6)
マイクロストリップライン上の近傍磁界について、マイクロストリップライン上に試料を装着した場合としない場合について近傍磁界プローブを使って測定する。
評価方法2:マイクロストリップラインでの伝送信号の減衰効果(図7)
マイクロストリップライン上に試料を装着した場合としない場合の伝送信号のレベルを測定する。
評価方法3:同軸線路での伝送信号の減衰効果(図8)
同軸線路の中心導体に試料を巻き付けたときと巻き付けないときの伝送信号のレベルを測定する。
減衰比(dB)=試料未装着時のS21(dB)― 試料装着時のS21(dB)
評価方法1での評価結果を図9に示す。本実施例に係る試料2は比較試料1と比較して、高い近傍磁界抑制効果を示している。また、200MHz以下では、比較試料2よりも高い近傍磁界抑制効果を示している。
評価方法2での評価結果を図10に示す。本実施例に係る試料2は比較試料1,2よりも高い伝送抑制効果を示している。
評価方法3での評価結果を図11に示す。本実施例に係る試料2は比較試料1,2よりも高い伝送抑制効果を示している。
JIS K 6251に基づき評価した結果を以下に示す。なお、引張強度はシートの単位巾あたりの値である。
試料1 0.7N/mm
試料2 1.4N/mm
試料3 2.3N/mm
比較試料1 0.5N/mm
比較試料2 1.5N/mm
試料3についてUL510の方法にて難燃性を評価した結果、難燃性が得られることが確認された。
2,23,28 リリース用フィルム
10 シート状複合磁性体
20,25 誘電体層
21,26 絶縁性樹脂フィルム
22,27 絶縁性粘着層
30,40,50 シート品
51 導電体層
52 金属箔
53 導電性粘着層
Claims (13)
- 少なくとも軟磁性金属磁性粉と結合材とを含み半導電性であることを特徴とするシート状複合磁性体。
- 表面抵抗率が0.01Ω/□〜100Ω/□であることを特徴とする請求項1記載のシート状複合磁性体。
- 前記軟磁性金属磁性粉が、Fe−Ni系合金粉であることを特徴とする請求項1又は2記載のシート状複合磁性体。
- 請求項1,2又は3記載のシート状複合磁性体の表面の少なくとも一部の面に絶縁性誘電体層をもつことを特徴とするシート品。
- 前記誘電体層を配した面の表面抵抗率が1GΩ/□以上であることを特徴とする請求項4記載のシート品。
- 前記誘電体層の少なくとも一部の面が粘着性を有することを特徴とする請求項4又は5記載のシート品。
- 前記誘電体層の一層の平均厚さが3μm〜15μmであることを特徴とする請求項4,5又は6記載のシート品。
- 少なくとも前記誘電体層の一部がポリアミド樹脂からなることを特徴とする請求項4,5,6又は7記載のシート品。
- 請求項1,2又は3記載のシート状複合磁性体の表面の少なくとも一部の面に導電体層をもつことを特徴とするシート品。
- 前記シート状複合磁性体の表面の少なくとも一部の面に導電体層をもつことを特徴とする請求項4,5,6,7又は8記載のシート品。
- 前記導電体層の少なくとも一部の面が粘着性を有することを特徴とする請求項9又は10記載のシート品。
- 塩素並びに臭素系材料を含有せず、かつ難燃性を有することを特徴とする請求項4,5,6,7,8,9,10又は11記載のシート品。
- シート幅1mm当たりの引張強度が1N以上であることを特徴とする請求項4,5,6,7,8,9,10又は11記載のシート品。
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