JP2006059632A - 偏平形有機電解液電池 - Google Patents

偏平形有機電解液電池 Download PDF

Info

Publication number
JP2006059632A
JP2006059632A JP2004239271A JP2004239271A JP2006059632A JP 2006059632 A JP2006059632 A JP 2006059632A JP 2004239271 A JP2004239271 A JP 2004239271A JP 2004239271 A JP2004239271 A JP 2004239271A JP 2006059632 A JP2006059632 A JP 2006059632A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
positive electrode
pellet
organic electrolyte
battery
gasket
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004239271A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinji Fujii
慎二 藤井
Susumu Yamanaka
晋 山中
Toshihiko Ikehata
敏彦 池畠
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP2004239271A priority Critical patent/JP2006059632A/ja
Publication of JP2006059632A publication Critical patent/JP2006059632A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • Y02E60/12

Landscapes

  • Primary Cells (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Abstract

【課題】フッ化黒鉛リチウム電池は放電の進行とともに正極ペレットは体積膨張するが、大電流放電時においては正極ペレットの膨張率が大きくなるためにガスケットと接触し、正極ペレットの割れ・破壊が生じることで電池の内部抵抗が急激な上昇を引き起こし、所望の電池容量が得られないことがある。
【解決手段】フッ化黒鉛100重量部に対して導電剤であるカーボンを12〜30重量部含有する正極合剤を円柱状に加圧成型した正極ペレットの外周径(w)が、正極端子を兼ねる正極ケース1及び負極端子を兼ねる封口板2を絶縁するために介する環状のガスケット6の内壁部6aの内周径(W)に対して0.70〜0.85の比率であり、かつ正極ペレットの密度を1.10g/cc以上とした。
【選択図】 図2

Description

本発明は金属リチウムあるいはこの合金を負極活物質とし、フッ化黒鉛を正極活物質とする偏平形有機電解液電池に関する。
一般に有機電解質電池はエネルギー密度が高く、保存性、耐漏液特性などの信頼性に優れ、また、小型化、軽量化が可能なことから各種電子機器の主電源やメモリーバックアップ用電源として、その需要は年々増加している。この種の代表的な電池としては、負極にリチウム金属、電解液に有機電解液、正極に二酸化マンガン、フッ化黒鉛、塩化チオニール、クロム酸銀などを組み合わせた一次電池、さらに、負極に金属リチウムやリチウムの吸蔵、放出が可能な合金、炭素金属酸化物、ポリアセンなどを用い、電解液に有機電解液を用い、正極にはリチウムイオンと層間化合物を形成する材料、例えば五酸化ニオブ、五酸化バナジウム、二酸化マンガンなどの金属酸化物や、リチウムと金属酸化物の複合酸化物、また二硫化チタン、二硫化モリブデンなどの硫化物、さらにはポリアニリン、ポリアセンなどの導電性高分子などを使用した充電可能な二次電池が知られている。電池の形状としては円筒形や偏平形が主流である。
その中でもフッ化黒鉛リチウム電池は常温で10年以上という長期保存特性に優れていることによりメモリーバックアップ用の電源として広く用いられている。しかしながら、最近では自動車、産業機器などの厳しい温度環境下での使用を要望されており、電気特性に関しても従来のメモリーバックアップなどの微弱電流放電から大電流放電のパルス用途へと変化している。
このような要求を満たすため、例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3には、偏平形のフッ化黒鉛リチウム電池における電池構成材料の検討による高温保存特性の改良について記載されている。また、特許文献3には、正極として活物質のフッ化炭素に、導電剤としてカーボン、結着剤としてフッ素系樹脂を重量比で85:8:7の割合で混合した正極号剤を用いて加圧成型して得た正極ペレットを用いることがいるが記載されている。
一方、同様に商用化された電池として二酸化マンガンを正極活物質とした二酸化マンガンリチウム電池があり、現在最も広く使用されている電池系である。フッ化黒鉛を正極に用いた電池よりもパルス時の電圧降下が小さく、放電特性に優れているという特徴を有している。
その反面、二酸化マンガンリチウム電池を高温環境下で連続的に使用した場合、正極活物質として使用されている二酸化マンガンが微量水分の存在下において、電解液の溶媒であるプロピレンカーボネート(PC)を分解し、炭酸ガス等を発生させる。そのため、偏平形電池の内圧は上昇することで電池が膨れ、内部構成物である正極ペレットと正極端子を兼ねるケースとの接触が取れなくなり、電池特性の低下を引き起こす場合がある。
そのため、60℃以上の高温環境下における使用においては二酸化マンガンリチウム電池に比べてフッ化黒鉛リチウム電池の方が有利であると考えられる。
米国特許第5246795号明細書 特開平8−31429号公報 特開2002−170575号公報
しかし、フッ化黒鉛リチウム電池の大電流放電特性についての改良はほとんど実施されていない。
フッ化黒鉛リチウム電池の放電は負極である金属リチウムから溶解したリチウムイオンが正極であるフッ化黒鉛層間に挿入されることで進行するが、その際にリチウムイオンは電解液と溶媒和された状態で層状化合物であるフッ化黒鉛正極内に挿入される。そのため、フッ化黒鉛を用いた正極は放電の進行と共に体積増加(膨張)するが、微弱電流放電に比べて大電流放電時に膨張率は大きくなる傾向にある。これは溶媒和されたリチウムイオンが急激にフッ化黒鉛層間に進入し、層間を広げるためであると推測される。この際、正極ペレットの体積膨脹は直径方向と厚み方向の両方にに進行するが、直径方向に膨張すると正極ペレットの外径とガスケットの内径のバランスによっては直径方向に膨張した正極ペレットがガスケット内壁に接触し、正極ペレットがガスケットに押されて正極ペレットの割れ・破壊が生じる場合がある。この場合には、電池の内部抵抗が上昇し、閉路電圧(CCV)が低下するという問題が発生する恐れがある。
また、大電流放電特性を向上させるには正極合剤(活物質、導電剤及び結着剤の混合物)中の導電剤の増量が有効な手段であり、増量すればするほど得られる効果も大きい。偏平形有機電解液電池の正極合剤は正極活物質以外にも正極ペレットの導電性を高める役割を果たす導電剤及び正極合剤をつなぎ止める役割を果たす結着剤が主な構成成分として配合されており、導電剤にはカーボンや天然黒鉛などが用いられている。しかしながら、導電剤の増量は同じ質量の正極合剤を加圧成型した場合、正極活物質の配合量は減少するため、放電容量の減少を引き起こす。また、容量を損なうことなく導電剤の増量を行った場合、正極ペレット自体の体積は増加するため、より速く正極ペレットはガスケットの内径に接触しやすくなる恐れがある。
そのため、このような課題を解決する手段の一つとして、正極合剤中の結着剤の増量が挙げられる。結着剤には4フッ化エチレン樹脂(PTFE)やスチレンブタジエンゴム(SBR)などが挙げられ、正極合剤を円柱状の金型内に充填し、加圧成型したときの正極合剤をつなぎ止める役割を果たす。そのため、結着剤の添加量が少量の場合、加圧成型後に正極ペレットの強度は低下する。
したがって、結着剤の配合量を増加させれば正極ペレットの強度を高めることは可能であり、フッ化黒鉛リチウム電池の大電流放電における正極ペレットの体積膨脹を抑制することができると考えられる。
しかし、結着剤の増量は上記の導電剤の増量と同様に同じ質量の正極合剤を加圧成型した場合、正極合剤内の正極活物質の配合量は減少するため、放電容量の減少を引き起こす。また、放電反応は負極である金属リチウムから溶解したリチウムイオンが正極であるフッ化黒鉛層間に挿入されることで進行するが、結着剤を増量することでリチウムイオンのフッ化黒鉛層間への挿入を阻害する恐れがあるため、過剰な結着剤の増量は電池自体の特性低下を引き起こす可能性がある。
本発明はこれらの問題点を解決するためのもので、従来の特性を低下させることなく、大電流放電特性を向上させるとともに、大電流放電しても正極ペレットがガスケットにあたって性能低下を引き起こすことのない偏平形有機電解液電池を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の偏平形有機電解液電池は、金属リチウムを負極活
物質とする負極と、フッ化黒鉛を正極活物質する正極と、有機電解液と、前記負極と前記正極との間に介在して前記有機電解液を保持するセパレータからなる発電要素と、前記負極に接触する負極端子を兼ねる封口板と、前記正極に接触する正極端子を兼ねる正極ケースと、前記正極ケースと前記封口板の間に介在されるL字状の断面形状で環状の絶縁性のガスケットとを具備していて、前記正極ケースの開口部を内側にかしめて前記発電要素を密閉した偏平形有機電解液電池において、前記正極は、前記フッ化黒鉛と前記フッ化黒鉛100重量部に対し12〜30重量部のカーボンを導電剤として含む正極合剤を円柱状に加圧成型されてなる正極ペレットであり、その外周径は前記ガスケットの前記発電要素に面する内壁部の内周径の0.70〜0.85であり、かつその密度が1.10g/cc以上であることを特徴とし、大電流放電時の正極ペレットの体積膨脹を考慮し、ガスケット内径に対する正極ペレットの直径及び成型密度の最適化を図ったものである。
ガスケットは正極端子を兼ねる正極ケース及び負極端子を兼ねる封口板を絶縁するために環状で断面がL字形の形状をしているが、正極ペレットが直径方向に膨張もしくは正極ペレットが中心からずれた時に封口板と接触して短絡する恐れがあるために、電池内空間にリブ状の内壁部を有し、内壁部が発電要素に面する構造となっている。
正極ペレットの外周径は小さいほど放電末期までガスケットに接触することを回避できるが、正極ペレットの径を極端に小さくすることは負極であるリチウム金属もしくは合金との対向面積が減少し、閉路電圧(CCV)特性の低下を引き起こす。また、電池容量を損なうことなく、正極ペレットの外周径を小さくすることは正極ペレット自体の厚みが増加してしまうため、カシメ封口時に押圧力により電池ケースもしくは封口板の変形を引き起こす。そのため、カシメ部分の密封性は低下し、耐漏液特性及び保存特性に悪影響を及ぼすことから、正極ペレットの外周径はできるだけ大きい方が好ましく、できれば負極と同径であることが望ましい。そこで正極ペレットの密度を1.10g/cc以上とし、正極ペレットの外周径はこのリブ状の内壁部の内周径との比率が0.70〜0.85になるように設定することで大電流放電時の急激な電解液のフッ化黒鉛層間への侵入を抑制し、正極ペレットの膨張を抑えることができる。
この構成によれば、導電剤の増量により大電流放電特性を向上させるとともに大電流放電に伴う正極ペレットの過度な膨張にともなう容量低下を引き起こすことなく、従来のフッ化黒鉛リチウム電池に比べて大電流放電特性を向上させた偏平形有機電解液電池を提供することが可能となる。
本発明によれば、コイン形フッ化黒鉛リチウム電池において正極活物質であるフッ化黒鉛100重量部に対して導電剤であるカーボンを12〜30重量部の範囲で含有する正極合剤を加圧成型することで作製された正極ペレットの外周径をガスケットの内壁部の内周径に対して0.70〜0.85の比率に規定し、正極ペレット密度を1.10g/cc以上とすることで大電流放電特性に優れた偏平形有機電解液電池を提供することが可能である。
本発明は、金属リチウムまたはリチウム合金を負極活物質とする負極と、フッ化黒鉛を正極活物質する正極と、有機電解液と、前記負極と前記正極との間に介在して前記有機電解液を保持するセパレータからなる発電要素と、前記負極に接触する負極端子を兼ねる封口板と、前記正極に接触する正極端子を兼ねる正極ケースと、前記正極ケースと前記封口板の間に介在されるL字状の断面形状で環状の絶縁性のガスケットとを具備していて、前記正極ケースの開口部を内側にかしめて前記発電要素を密閉した偏平形有機電解液電池において、前記正極は、前記フッ化黒鉛と前記フッ化黒鉛100重量部に対し12〜30重
量部のカーボンを導電剤として含む正極合剤を円柱状に加圧成型されてなる正極ペレットであり、その外周径は前記ガスケットの前記発電要素に面する内壁部の内周径の0.70〜0.85であり、かつその密度が1.10g/cc以上であることを特徴とする。
正極活物質に用いるフッ化炭素は、コークスや黒鉛などの炭素材料とフッ素ガスとを250〜650℃程度の温度で反応させることにより得ることができる。フッ素化処理に応じて、(CFxn(但し、x=0.5〜1)、(C2F)nあるいはこれらの混合物を得ることができる。非水電解液との組み合わせにおいて、フッ化炭素の形状や粒径等に特段の限定はないが、好ましくは、ニードルコークスを出発炭素材料とし、これを600℃でフッ化処理したものである。また、正極を構成するにあたって、導電剤や結着剤を混合して正極合剤とし、これを円柱状に加圧成型した後、乾燥して正極ペレットとする。導電剤は、カーボンを用い、フッ化黒鉛100重量部に対し12〜30重量部混合することが、大電流放電特性を向上させるうえで好ましい。結着剤は、スチレンブタジエンゴム、フッ素系樹脂などが用いられる。
正極ペレットは、後述するように、外周径が正極ケースと封口板の間に介在されるL字状の断面形状で環状の絶縁性のガスケットの発電要素に面する内壁部の内周径の0.70〜0.85とし、また密度が1.10g/cc以上となるように加圧成型される。
負極は、金属リチウム、Li−Al、Li−Sn、Li−NiSi、Li−Pbなどのリチウム合金である。
有機電解液に用いる溶媒としては、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、エチレンカーボネート、スルホラン、γ−ブチルラクトンなどの極性溶媒や1,2−ジメトキシエタン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどの低粘度溶媒を使用することができる。極めて高温の環境下で使用するうえでは、γ−ブチルラクトンが好ましい。
有機電解液を構成する溶質には、ホウフッ化リチウム、リチウム六フッ化リン、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、および分子構造内にイミド結合を有するLiN(CF3SO22、LiN(C25SO22、LiN(CF3SO2)(C49SO2)などを用いることができる。中でもホウフッ化リチウムは高温での保存特性が良好で、0.5〜1.5mol/lの濃度で有機溶媒に溶解させた場合にはとりわけ安定した放電特性を発揮することができる。
その他電池を構成するにあたり、セパレータ、正極ケース、封口板、ガスケットなどは公知の材料を使用することができる。
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明における偏平形有機電解液電池(直径24.5mm、厚さ5.0mm)の断面図を示す。この電池は、内部に正極3と負極4と間に介在し有機電解液を保持するセパレータ5からなる発電要素を収納するように、上部が開口した正極ケース1の内部に、封口板2を断面形状がL字状のポリフェニレンスルフィド製ガスケット6を介して組み合わせた後に正極ケース1の開口部を内側にカシメ封口することで製造される。発電要素に面するガスケットの内壁部6aの内周径Wは20.0mmであった。
発電要素中、正極3は正極活物質であるフッ化黒鉛100重量部に対して、導電剤であるカーボンを15重量部、結着剤であるスチレンブタジエンゴムディスパージョンを10重量部加えて混合し、円柱状に所定の直径と密度に加圧成型した後に100℃で24時間
乾燥したものを正極ペレットとして用いた。負極4は金属リチウムからなり、フープ状素材を円形に打抜いた後、封口板2の中央部内面に加圧により圧接している。セパレータ5は正、負極よりも大径な円形に打抜いたポリエチレン(PE)不織布からなり、電解液にはγ−ブチロラクトンにホウフッ化リチウムを1mol/lの割合で溶解したものを使用した。
この電池は以下の手順によって作成される。まず、上部が開口した正極ケース1の内部に、正極3とセパレータ5を配置し、所定量の電解液を注入する。ついで上記の方法で負極4を封口板2の中央部内面に圧着し、正極ケース1内に挿入する。このときセパレータ5を介して正極3、負極4が対向配置された発電要素はガスケット6により絶縁された封口板2と正極ケース1に取り囲まれた電池容器の内空間に収容される。その後正極ケース1はその周縁部をカシメ治具で内方に向けて変形させ、ガスケット6ともども封口板の周縁部に沿って折り返す。これにより、ガスケット6を介して封口板2の周縁部を上下から締付ける内側への折り返し部が正極ケース1に形成され、図1に示すような断面形状を有する電池が得られる。
以下、種々の条件にて偏平形有機電解液電池を作成し、検討を行った。
まず、正極ペレットの外周径(w)のガスケットの内壁部の内周径(W)に対する比率(w/W)の比率を0.65〜0.90の範囲で、正極ペレット密度を0.90〜1.70g/ccの範囲で作成した電池の各条件を(表1)に示す。また、正極ペレットはすべての条件で本実施例における電池(直径24.5mm、厚さ5.0mm)の理論容量が正極で規制されて550mAhとなるように一定質量とし、正極ペレット密度の違いによる厚みの変化は負極の厚み調節して電池を作製した。正極ペレット密度の1.70g/ccは正極合剤を加圧成型するうえでの限界と思われ、これを上回る密度で加圧成型することは困難であった。
Figure 2006059632
次に、作製した30種類の電池に放電負荷2.7kΩの抵抗を接続して大電流放電させ、終止電圧2.0Vまで放電して放電容量を測定した。図2は、その結果を、縦軸に放電容量、横軸に正極ペレット外周径(w)/ガスケット内壁部内周径(W)の比率(w/W)、正極ペレット密度をパラメータに、測定サンプル数10個の平均値で示したものである。
図2の結果から明らかなように、正極ペレット外周径(w)/ガスケット内壁部内周径(W)の比率(w/W)が大きくなればなるほど得られる放電容量は小さくなることがわかる。特に正極ペレット外周径(w)/ガスケット内壁部内周径(W)の比率(w/W)が0.85から0.90に変化する際に放電容量の大きな低下が見られ、その際の放電容
量はペレット密度が1.10g/ccの場合で理論容量である550mAhに対して約88%程度まで低下する。
このように正極ペレット外周径(w)/ガスケット内壁部内周径(W)の比率(w/W)が異なることによって、放電容量の低下が起こる原因として正極ペレットの放電の進行に伴う体積膨張により、放電途中でガスケット内径と接触し、正極ペレットが割れ・破壊が生じることで電解液の急激な枯渇が起こり、電池の内部抵抗が上昇したためであると考えられる。正極ペレットは放電反応の進行により径方向及び厚み方向に体積膨張するが、厚み方向に対しては体積膨張に対する電池ケース及び封口板からの弾性力が付与されるのに対し、径方向に対してはガスケットの内壁部に接触するまで自由に体積膨張できるために厚み方向に比べて膨張しやすくなる。そのため、図2に示すように正極ペレット外周径(w)/ガスケット内壁部内周径(W)の比率(w/W)が大きくなるほど、より早い段階で正極ペレットとガスケットの内壁部が接触し、内部抵抗が上昇するために放電容量にこのような差が生じたと推測される。
また、正極ペレット外周径(w)/ガスケット内壁部内周径(W)の比率(w/W)が小さくなることによっても放電容量は低下しており、その差は正極ペレット外周径(w)/ガスケット内壁部内周径(W)の比率(w/W)が0.70から0.65に変化する際に最も大きな低下が見られた。このように正極ペレットの外周径を小さくすることで放電容量の低下が起こる原因は、負極である金属リチウムとの対向面積が大きく減少することで正極ペレットとの対向面以外の金属リチウムが放電に関与せずに未反応のまま残り、負極の利用率が低下したことであると推測される。
以上のことより、正極ペレット外周径(w)/ガスケット内壁部内周径(W)の比率(w/W)を最適化することで大電流放電特性に優れた偏平形有機電解液電池を得ることが可能となる。容量を損なうことなく、大電流放電特性を向上させるには正極ペレット外周径(w)/ガスケット内壁部内周径(W)の比率(w/W)が0.70〜0.85の範囲であることが望ましい。
次に正極ペレットの密度に関しては高密度になるほど得られる放電容量は大きくなることがわかる。特にその差は成型密度が0.90から1.10g/ccに変化することで放電容量に大きな差が見られ、成型密度は1.10g/cc以上であることが好ましい。また、高密度になるに従って放電容量が正極ペレット外周径(w)/ガスケット内壁部内周径(W)の比率(w/W)に依存しなくなることより、正極ペレットの密度が高いことも大電流放電時の正極ペレットの体積膨張を抑制する効果があることが推測される。
このように正極ペレットの密度を上げることによって放電容量に差が生じる原因は、正極ペレットの体積膨張は大電流放電時の急激な電解液のフッ化黒鉛層間への侵入により層間が広がるためだけでなく、その際、正極ペレットに生じた空隙にも電解液が消費されるためであると考えられる。そのため、正極ペレットの密度を高くすることで大電流放電時に正極ペレットに生じる空隙を抑制し、放電途中での正極ペレットとガスケットの接触による正極ペレットの割れ・破壊を防止することで内部抵抗の急激な上昇を抑制していると推測される。
したがって、正極ペレットの密度を高くすることで正極ペレット外周径(w)/ガスケット内壁部内周径(W)の比率(w/W)を小さくすることと同様に大電流放電特性を向上させた偏平形有機電解液電池を得ることが可能となる。正極ペレットの成型密度は高ければ高いほど得られる効果も大きいため、成型密度は1.10g/cc以上であることが望ましい。
次に、正極活物質であるフッ化黒鉛100重量部に対して、導電剤であるカーボンを15重量部混合するに代え、フッ化黒鉛100重量部に対して、カーボンを12重量部、30重量部混合した以外は上記と同様の条件にて電池を作製して、同様の評価を行った。この場合にも、正極ペレット外周径(w)/ガスケット内壁部内周径(W)の比率(w/W)が0.70〜0.85の範囲で、正極ペレット密度が1.10g/cc以上で良好な結果が得られた。
上記実施例においてはガスケット材料にポリフェニレンスルフィド(PPS)を使用したが、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)を用いた場合においても同様の効果が得られた。
また、上記実施例においてはセパレータ材料にポリエチレン(PE)の不織布を使用したが、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)を用いた場合においても同様の効果が得られた。
本発明は二酸化マンガンリチウム電池に比べて長期保存特性及び高温保存特性に優れるフッ化黒鉛リチウム電池の大電流放電特性の向上を提案するものであり、主な用途として利用されているメモリーバックアップ用途以外での利用拡大につながるもので、産業的な利用価値は極めて大なるものである。
本発明の実施例における偏平形有機電解液電池の断面図 正極ペレット密度をパラメータにした正極ペレット外周径(w)/ガスケット内壁部内周径(W)と放電容量の関係を示すグラフ
符号の説明
1 正極ケース
2 封口板
3 正極
4 負極
5 セパレータ
6 ガスケット
6a 内壁部

Claims (3)

  1. 金属リチウムまたはリチウム合金を負極活物質とする負極と、フッ化黒鉛を正極活物質する正極と、有機電解液と、前記負極と前記正極との間に介在して前記有機電解液を保持するセパレータからなる発電要素と、前記負極に接触する負極端子を兼ねる封口板と、前記正極に接触する正極端子を兼ねる正極ケースと、前記正極ケースと前記封口板の間に介在されるL字状の断面形状で環状の絶縁性のガスケットとを具備していて、前記正極ケースの開口部を内側にかしめて前記発電要素を密閉した偏平形有機電解液電池において、
    前記正極は、前記フッ化黒鉛と前記フッ化黒鉛100重量部に対し12〜30重量部のカーボンを導電剤として含む正極合剤を円柱状に加圧成型されてなる正極ペレットであり、その外周径は前記ガスケットの前記発電要素に面する内壁部の内周径の0.70〜0.85であり、かつその密度が1.10g/cc以上であることを特徴とする偏平形有機電解液電池。
  2. 有機電解液はγ−ブチロラクトンを主成分とする有機溶媒を含む請求項1記載の偏平形有機電解液電池。
  3. 有機電解液は有機溶媒に溶質としてホウフッ化リチウム(LiBF4)を0.5〜1.5mol/lで溶解させてなる請求項1記載の偏平形有機電解液電池。

JP2004239271A 2004-08-19 2004-08-19 偏平形有機電解液電池 Pending JP2006059632A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004239271A JP2006059632A (ja) 2004-08-19 2004-08-19 偏平形有機電解液電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004239271A JP2006059632A (ja) 2004-08-19 2004-08-19 偏平形有機電解液電池

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006059632A true JP2006059632A (ja) 2006-03-02

Family

ID=36106936

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004239271A Pending JP2006059632A (ja) 2004-08-19 2004-08-19 偏平形有機電解液電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006059632A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007034799A1 (ja) * 2005-09-21 2007-03-29 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. 偏平形有機電解液電池
JP2010521782A (ja) * 2007-03-14 2010-06-24 カリフォルニア・インスティテュート・オブ・テクノロジー 高放電率電池
JP2018101582A (ja) * 2016-12-21 2018-06-28 住友金属鉱山株式会社 非水系電解質二次電池用正極材料の容量評価方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5324533A (en) * 1976-08-19 1978-03-07 Matsushita Electric Ind Co Ltd Method of making nonnaqueous electrolyte battery
JPS5325828A (en) * 1976-08-20 1978-03-10 Matsushita Electric Ind Co Ltd Method of making flatttype nonnaqueous electrolyte batteries
JPS6041765A (ja) * 1983-08-18 1985-03-05 Matsushita Electric Ind Co Ltd 扁平型有機電解液電池
JPS60246559A (ja) * 1984-05-18 1985-12-06 Matsushita Electric Ind Co Ltd 扁平形有機電解質電池

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5324533A (en) * 1976-08-19 1978-03-07 Matsushita Electric Ind Co Ltd Method of making nonnaqueous electrolyte battery
JPS5325828A (en) * 1976-08-20 1978-03-10 Matsushita Electric Ind Co Ltd Method of making flatttype nonnaqueous electrolyte batteries
JPS6041765A (ja) * 1983-08-18 1985-03-05 Matsushita Electric Ind Co Ltd 扁平型有機電解液電池
JPS60246559A (ja) * 1984-05-18 1985-12-06 Matsushita Electric Ind Co Ltd 扁平形有機電解質電池

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007034799A1 (ja) * 2005-09-21 2007-03-29 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. 偏平形有機電解液電池
JP2010521782A (ja) * 2007-03-14 2010-06-24 カリフォルニア・インスティテュート・オブ・テクノロジー 高放電率電池
JP2018101582A (ja) * 2016-12-21 2018-06-28 住友金属鉱山株式会社 非水系電解質二次電池用正極材料の容量評価方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7622226B2 (en) Secondary battery having a terminal for surface mounting
US7883797B2 (en) Non-aqueous electrolyte battery
JP5355203B2 (ja) リチウム一次電池およびその製造方法
JP6080284B1 (ja) 非水電解質二次電池
JP2006269374A (ja) 非水電解質電池
JP4649113B2 (ja) 非水電解質二次電池
JP2015088370A (ja) 正極及びリチウムイオン二次電池
JP2009277650A (ja) リチウム一次電池用負極およびリチウム一次電池
JP2010250969A (ja) リチウム電池
EP3236523B1 (en) Nonaqueous electrolyte primary battery and method for producing same
JP4361445B2 (ja) リチウム2次電池
JP2006059632A (ja) 偏平形有機電解液電池
JP2001126684A (ja) 非水電解液電池
US20230187746A1 (en) Cylindrical battery
JP2006260945A (ja) 非水電解液一次電池
CN111164814B (zh) 圆筒形二次电池
JP2012014877A (ja) フッ化黒鉛リチウム電池
JP2011159413A (ja) コイン形電池
US20130236756A1 (en) Lithium bobbin cell with cathode using wrapped metal grid as current collector
WO2007034799A1 (ja) 偏平形有機電解液電池
JP4581378B2 (ja) 非水電解液二次電池
JP2007335284A (ja) リチウム電池
JP2002134072A (ja) 扁平形非水電解質二次電池
JP2005339995A (ja) 扁平形有機電解液電池
JP2013134842A (ja) コイン形リチウム電池

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070731

RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20070820

RD01 Notification of change of attorney

Effective date: 20091120

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

A977 Report on retrieval

Effective date: 20100525

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110201

A02 Decision of refusal

Effective date: 20110705

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02