JP2006058378A - 導電性ゴムローラ - Google Patents

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Abstract

【課題】抵抗値の環境依存性が小さく、感光体への張り付きがなく、また製造上の加工性に優れた導電性ゴムローラを提供することである。
【解決手段】導電性軸体の外周上に弾性体層を有する導電性ゴムローラは、該弾性体層がゴム成分としてエピクロルヒドリン系ゴム5〜60質量%及びアクリロニトリルブタジエンゴム40〜95質量%で構成され、該ゴム成分100質量部に対して、沃素吸着量5〜20mg/gかつジブチルフタレート(DBP)吸油量40ml/100g以下のカーボンブラックを30〜90質量部含有してなるゴム組成物から成形される。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真複写機や静電記録装置等の画像形成装置で用いられる導電性ゴムローラに関するものであり、特に、感光体に当接して用いられる転写ローラに関するものである。
電子写真複写機や静電記録装置等の画像形成装置においては、電圧印加した導電性ゴムローラを感光体表面に押し当て、帯電する接触帯電方式が主流となっており、画像形成の中心である感光体ドラム廻りに帯電、転写などの各工程別に導電性ゴムローラが用いられている。
近年、このような導電性ゴムローラのゴム成分には、アクリロニトリルブタジエンゴムやエピクロルヒドリン系ゴム等の極性ゴムが用いられている。極性ゴムはポリマー内に極性基が存在するためイオン導電性を示し、ゴム材自身が導電性をもつため抵抗のばらつきが小さく、また電気抵抗の電圧依存性が小さいため導電性ゴムローラに適していることが知られている。
上記の導電性ゴムローラの弾性体層に求められる体積固有抵抗は2×10Ω・cm以下の場合が多く、ゴム成分がアクリロニトリルブタジエンゴム単独の場合は、その加硫物の体積固有抵抗が2×10〜1×1010Ω・cm程度であり、導電性が不十分となってしまう。そのため、加硫物の体積固有抵抗が1×10〜3×10Ω・cm程度であることが知られているエピクロルヒドリン系ゴムをアクリロニトリルブタジエンゴムにブレンドすることで所望の体積固有抵抗が得られるように調整する方法が一般的に用いられている(例えば特許文献1)。
しかしながら、一般にこのようなゴムの弾性体を用いた導電性ゴムローラの場合、温度や湿度の環境変動により抵抗値も変化するため、使用環境により画像品質が変化するといった問題点があった。特にエピクロルヒドリン系ゴムは湿度の影響を受けやすく、抵抗値の環境変動が大きいという問題を有している。
そこで、上記のような問題を解決する方法として、エピハロヒドリン系ゴムと低分子量エピハロヒドリン系重合体をブレンドしたゴム成分に特定のカーボンブラックを配合する方法が提案されている(特許文献2)。しかしながら、このものは低分子量エピハロヒドリン系重合体がゴム部材からブリードしやすく、感光体表面への張り付きや感光体汚染といった問題を生じ易い。
ところで、このような導電性ゴムローラの一般的な製造方法としては、弾性体用の材料としてゴム組成物を押出し機によりチューブ状に押出し、加硫缶や連続加硫炉で加熱し導電性のゴム(弾性体)チューブを作製した後、この導電性ゴムチューブに導電性軸体を挿入して所定の外径になるまで研磨する方法が知られている。上述のような押出し時の加工性や導電性軸体挿入時にゴム(弾性体)チューブが裂けや切れを生じないようゴム強度を確保する為など加工性改善のためにゴム組成物に充填剤を配合することは一般的であるが、このような導電性ゴムローラでは硬度調整や原料コスト削減の役割もする充填剤として炭酸カルシウムが一般的に用いられている(例えば、特許文献3)。
しかしながら、このような導電性ゴムローラに長時間通電を行うとアクリロニトリルブタジエンゴムやエピクロルヒドリン系ゴム等の低分子量成分とともに炭酸カルシウムがローラ表面に移行し、感光体表面への張り付きや感光体汚染といった問題を生じ易い。
特開平11−065269号公報 特開2002−105304号公報 特開2004−144906号公報
本発明は、このような事情を背景になされたものであり、その解決課題とするところは、抵抗値の環境依存性が小さく、感光体への張り付きがなく、また製造上の加工性に優れた導電性ゴムローラを提供することである。
即ち、本発明者は、以下の手段により、本発明の目的を達成したものである。
導電性軸体の外周上に弾性体層を有する導電性ゴムローラにおいて、該弾性体層がゴム成分としてエピクロルヒドリン系ゴム5〜60質量%及びアクリロニトリルブタジエンゴム40〜95質量%で構成され、該ゴム成分100質量部に対して、沃素吸着量5〜20mg/gかつジブチルフタレート(DBP)吸油量40ml/100g以下のカーボンブラックを30〜90質量部含有してなるゴム組成物からなることにより、
上記エピクロルヒドリン系ゴムが、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル3元共重合体であり、前記エピクロルヒドリン系ゴム中の前記エチレンオキサイドの共重合割合が40mol%以上であることにより、または
上記アクリロニトリルブタジエンゴムが、前記アクリロニトリルブタジエンゴム中のアクリロニトリルの含量が15〜25質量%であることにより、本発明の目的を達成した。
抵抗値の環境依存性が小さく、感光体への張り付きがなく、また製造上の加工性に優れた導電性ゴムローラを提供することが可能となった。
以下、本発明の導電性ゴムローラについて詳述する。本発明に使用する弾性体層は、ゴム成分としてエピクロルヒドリン系ゴム5〜60質量%及びアクリロニトリルブタジエンゴム40〜95質量%で構成され、該ゴム成分100質量部に対して、沃素吸着量5〜20mg/gかつジブチルフタレート(DBP)吸油量40ml/100g以下のカーボンブラックを30〜90質量部含有してなるゴム組成物から構成される。
本発明で用いるゴム成分としてはエピクロルヒドリン系ゴム及びアクリロニトリルブタジエンゴムを使用する。なお、ゴム成分中のエピクロルヒドリン系ゴムの含量は5〜60質量%、アクリロニトリルブタジエンゴムの含量は40〜95質量%であることが重要である。ここで、(エピクロルヒドリン系ゴムの含量)+(アクリロニトリルブタジエンゴムの含量)=100質量%である。
エピクロルヒドリン系ゴムの含量が5質量%に満たない場合、抵抗値はほとんど変化せず、また、60質量%を超える場合、抵抗の環境変動が大きいエピクロルヒドリン系ゴムの割合が増すため、ローラ抵抗の環境変動が大きくなる。ローラ抵抗の環境変動が大きい場合、抵抗の変化に合わせて印加電圧を制御する必要があり、また、抵抗変化に耐えうる電源を搭載する必要があり、コスト面や装置の小型化に影響する。そのため、ローラ抵抗の環境変動は低温・低湿下と高温・高湿下の抵抗変動桁で1.20以下が好ましい。
また、上述のゴムに配合されるカーボンブラックとしては、沃素吸着量5〜20mg/gかつジブチルフタレート(DBP)吸油量40ml/100g以下のものを用い、ゴム成分100質量部に対し、このカーボンブラックを30〜90質量部、より好ましくは40〜60質量部含有する。
ここで、沃素吸着量は、カーボンブラックの粒子径の指標となるものであり、沃素吸着量が5〜20mg/gの範疇であることは、粒子径の大きいカーボンブラックであることを意味する。また、ジブチルフタレート(DBP)吸油量はストラクチャー(カーボンブラック粒子のつながり)の大きさの指標となるものであり、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が40ml/100g以下であることは、ストラクチャー構造をほとんどとっていないことを意味する。沃素吸着量が20mg/gよりも大きい、あるいは、ジブチルフタレート(DBP)吸油量40ml/100gよりも大きいと少量の添加量でパーコレーション限界に達しやすく、電子導電機構により導電性を示す可能性が高い。電子導電系の場合、抵抗の環境依存性が小さいという利点もあるが、抵抗の電圧依存性が生じるといった問題点があり導電性ゴムローラには好ましくない。また、沃素吸着量が5mg/gよりも少ないと弾性体を所定の硬度にするために多量のカーボンブラックが必要となり、練り加工性に劣る。また、前記沃素吸着量5〜20mg/gでかつジブチルフタレート(DBP)吸油量40ml/100g以下のカーボンブラックの添加量は、ゴム成分100質量部に対し30〜90質量部、より好ましくは40〜60質量部の範疇である。添加量が30質量部未満では、充填剤としての効果が十分ではなく得られる加硫ゴムの強度が弱く、導電性軸体挿入時に加硫ゴムが裂けたり、切れたりしてしまう。また添加量が90質量部を超えるとこのカーボンブラックを用いても電子導電性が発現する可能性がある他、硬さが高くなり過ぎて好ましくない。
また、本発明に使用するエピクロルヒドリン系ゴムは特に限定されず、エピクロルヒドリン単独重合体(ECH)、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体(ECH−EO)、エピクロルヒドリン−アリルグリシジルエーテル共重合体(ECH−AGE)及びエピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体(ECH−EO−AGE)などが市販されている。中でも、イオウ加硫または有効加硫が可能であるエピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル3元共重合体が好ましく、エピクロルヒドリン系ゴム中のエチレンオキサイドの共重合割合が40mol%以上であることがより好ましい。エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル3元共重合体は、エチレンオキサイドの共重合割合が多くなるに従い加硫ゴムの体積固有抵抗値が小さくなる傾向がある。このため、エチレンオキサイドの共重合割合が40mol%よりも小さいと導電性ゴムローラの弾性体に必要な電気抵抗値が得にくく、エピクロルヒドリン系ゴムの配合割合が多くなり、環境依存性を高くしてしまう。より好ましくは、エピクロルヒドリン系ゴム中のエチレンオキサイドの共重合割合が38〜58mol%である。なお、上記エピクロルヒドリン系ゴムは単独あるいは2種以上のブレンドのいずれであってもよい。
また、本発明に使用するアクリロニトリルブタジエンゴムは特に限定されず、市販のアクリロニトリルブタジエンゴムが使用可能であるが、中でもアクリロニトリル含量が15〜25質量%であるアクリロニトリルブタジエンゴムがより好ましい。平均アクリロニトリル含量が15質量%未満では、所定の抵抗値を得ることが難しく、アクリロニトリル含量が25質量%を超えると抵抗の環境依存性が大きくなる傾向にある。なお、上記アクリロニトリルブタジエンゴムは単独あるいは2種以上のブレンドのいずれであってもよい。
また、本発明で用いる弾性体層は導電性発泡ゴムである方がより好ましい。導電性ゴムローラ、特に転写ローラでは、感光体と充分な接触性を保持するために比較的低硬度な所定の硬さであることが望まれる場合が多い。そのため、ローラの硬度としては、φ6mmの導電性芯材に4mm厚の発泡ゴム層を設けた導電性ゴムローラにおいては、アスカーC硬度で20〜40°が好ましい(より好ましくは25〜35°)。なお、硬さの調整方法としては、弾性体の発泡状態をコントロールすることによって所定の硬さの弾性体を得ることが出来る。
また、本発明の導電性ゴムローラに使用されるゴム組成物には、一般のゴムに使用されるその他の成分を必要に応じて含有させることが出来る。例えば、硫黄や有機含硫黄化合物等の加硫剤、各種加硫促進剤、各種滑剤やサブ等の加工助剤、各種老化防止剤、p,p’−オキシビススルホニルヒドラジド(OBSH)やアゾジカルボンアミド(ADCA)、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)等の各種発泡剤、尿素等の各種発泡助剤、酸化亜鉛やステアリン酸等の加硫助剤、導電性調整のための各種イオン導電剤などが必要に応じて含有される。なお、タルク、シリカ、クレーなどの充填剤に関しては、本発明の効果を阻害しない範疇であれば配合することが可能であるが、炭酸カルシウム,炭酸マグネシウム等の炭酸塩類,水酸化アルミニウム,水酸化マグネシウム等の水酸化物類はアクリロニトリルブタジエンゴムやエピクロルヒドリン系ゴム等の低分子量成分とともにローラ表面に移行し、感光体表面への張り付きや感光体汚染といった問題を生じ易い為、用いない方が好ましい。
また、本発明の導電性ゴムローラは、製造方法として、未加硫の導電性ゴム組成物を押出し機によりチューブ状に押出し、加硫缶や連続加硫炉で加熱し導電性のゴム(弾性体)チューブを作製した後、この導電性ゴムチューブに接着剤を塗布した導電性軸体を挿入して、更に加熱することにより導電性軸体と導電性ゴムチューブを接着した後、所定の外径になるまで研磨することにより得られるが、未加硫のゴム組成物と接着剤を塗布した導電性軸体との同時押出しや押出したゴム組成物を金型に装填して加硫する等の従来公知の各種製造方法が適用可能である。また、本発明の導電性ゴムローラには、必要に応じて弾性体層の外周上に樹脂等の層を設けることも出来る。
[実施例]
以下に実施例及び比較例を用いて、本発明を詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
各実施例、比較例に用いたゴム組成物の配合割合及び試験結果は表1の通りである。なお、配合量の単位は質量部である。
はじめに、表1に示す原材料をオープンロールで混練を行い各実施例及び比較例のゴム組成物を作製した。
なお、各実施例及び比較例で使用した資材は以下の通りである。
アクリロニトリルブタジエンゴム
[アクリロニトリル含量18質量%;商品名 Nipol DN401LL 日本ゼオン(株)社製]
[アクリロニトリル含量15質量%;商品名 JSR260S JSR(株)社製]]
[アクリロニトリル含量26質量%;商品名 JSR240S JSR(株)社製)]
エピクロルヒドリン系ゴム
[エチレンオキサイド含量56mol%;商品名 ゼクロン3106 日本ゼオン(株)社製]
[エチレンオキサイド含量38mol%;商品名 ゼクロン3105 日本ゼオン(株)社製]
カーボンブラック
[沃素吸着量14mg/g DBP吸油量29ml/100g;商品名 旭#8 旭カーボン(株)社製]
[沃素吸着量12mg/g DBP吸油量37ml/100g;商品名 Thermax MT Cancarb(株)社製]
[沃素吸着量27mg/g DBP吸油量28ml/100g;商品名 アサヒサーマル 旭カーボン(株)社製]
[沃素吸着量27mg/g DBP吸油量68ml/100g;商品名 シーストS 東海カーボン(株)社製]
充填剤
[炭酸カルシウム;商品名 スーパー3S 丸尾カルシウム(株)社製]
加硫剤
[イオウ(S);商品名 サルファックスPMC 鶴見化学工業(株)社製]
加硫促進剤
[ジベンゾチアジルジスルフィド(DM);商品名 ノクセラーDM 大内新興化学工業(株)社製]
[テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT);商品名 ノクセラーTOT 大内新興化学工業(株)社製]
加硫促進助剤
[酸化亜鉛;商品名 亜鉛華2種 ハクスイテック(株)社製]
[ステアリン酸;商品名 ルナックS 花王(株)社製]
なお、実施例及び比較例の導電性ゴムローラは押出し機を用いてチューブ状にゴム組成物を押出した後、加硫缶にて表1に記した加硫温度で30分加硫を行いチューブ状のゴム加硫物を作製し、次いでφ6mmの導電性軸体を前記チューブ状のゴム加硫物の内径部に挿入しローラ状の成形体を得た。この成形体を外径がφ14mmになるように研磨し作製した。
また、ローラ抵抗、ローラ抵抗の印加電圧依存性、周方向ローラ抵抗むらなどローラ特性の評価は、以下の方法で行った。
<ローラ抵抗測定(環境依存性)>
作製した導電性ゴムローラの導電性支持体の両側に各500gの荷重がかかるように、導電性ゴムローラを外径30mmのステンレススチール製ドラムに圧着し0.5Hzで回転させた状態で、導電性支持体とステンレススチール製ドラムとの間に2000Vの電圧を印加して10℃/15RH%(L/L)、23℃/55%RH(N/N)及び35℃/95%RH(H/H)の環境下で電流値を測定し、オームの法則により抵抗値を算出した。測定したL/Lの抵抗値をH/Hの抵抗値で除し、対数変換し変動桁とした。本実施例及び比較例においては、抵抗値の変動桁は以下の評価基準に基づき評価した。
○:環境変動桁≦1.10(環境依存性良好)
△:1.10<測定値≦1.20(環境依存性小)
×:1.20<測定値(環境依存性大)
<ローラ抵抗の印加電圧依存性>
23℃/55%RH(N/N)環境において、作製した導電性ゴムローラの導電性支持体の両側に各500gの荷重がかかるように、導電性ゴムローラを外径30mmのステンレススチール製ドラムに圧着し0.5Hzで回転させた状態で、導電性支持体とステンレススチール製ドラムとの間に100Vの電圧を印加した時の抵抗値を2000Vの電圧を印加した時の抵抗値で除し、以下の評価基準に基づき評価した。
○:1.0≦測定値≦2.0(印加電圧依存性小)
△:2.0<測定値<2.5(印加電圧依存性中)
×:2.5≦測定値(印加電圧依存性大)
<ローラ電気抵抗ムラ>
23℃/55%RH(N/N)環境において、作製した導電性ゴムローラの導電性支持体の両側に各500gの荷重がかかるように、導電性ゴムローラを外径30mmのステンレススチール製ドラムに圧着し0.5Hzで回転させた状態で、導電性支持体とステンレススチール製ドラムとの間に2000Vの電圧を印加して抵抗値の最大値と最小値の差を求めることで抵抗ばらつきの指標とした。また、以下の評価基準に基づき評価した。
○:測定値≦1.1(ローラ電気抵抗ムラ小)
△:1.1<測定値<1.2(ローラ電気抵抗ムラ中)
×:1.2≦測定値(ローラ電気抵抗ムラ大)
<感光体への張り付き>
導電性ゴムローラをヒューレッドパッカード製レーザージェット4050用の感光ドラムに片側荷重500gとなるように接触させ、40℃×95%RH環境下に240時間放置した後荷重を開放し、自重で落下した場合を○、感光体へ張り付き自重で落下しない場合を×とした。
<加工性>
前記チューブ状のゴム加硫物をφ6mmの導電性軸体に挿入する際、ゴム加硫物に切れや裂けが発生しなかった場合を○とし、切れや裂けが発生した場合を×とした。
実施例1〜3、比較例2〜4より、エピクロルヒドリン系ゴムとアクリロニトリルブタジエンゴムの割合は、本発明の範囲内が適していることがわかる。
比較例3、4のようにエピクロルヒドリン系ゴムが本発明の範囲より少ないと全環境下で体積抵抗率が高くなり、例えば、転写ローラの場合、L/Lで転写ムラが生じる原因となる。比較例2のようにエピクロルヒドリン系ゴムが本発明の範囲より多いと環境依存性が高くなり好ましくない。
つぎに、実施例1、4及び比較例1、5、6より、充填剤として沃素吸着量5〜20mg/g、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が40ml/100g以下のカーボンブラックを用いることが適していることが分かる。すなわち、充填剤として炭酸カルシウムを用いた比較例1は上記カーボンブラックを充填剤に用いた実施例1、4の方より抵抗の環境依存性が劣る他、感光体への張り付きがあり好ましくない。また、沃素吸着量が5〜20mg/gより大きく、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が40ml/100g以下のカーボンブラックを用いた比較例5は、抵抗の環境依存性は良好なものの電圧依存性、ローラ電気抵抗ムラが大きく好ましくない。また、また、沃素吸着量が5〜20mg/gより大きく、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が40ml/100gを超えるカーボンブラックを用いた比較例6も、抵抗の環境依存性は良好なものの電圧依存性、ローラ電気抵抗ムラが大きく好ましくない。これに対し、沃素吸着量5〜20mg/g、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が40ml/100g以下のカーボンブラックを用いた実施例1、4は抵抗の環境依存性、電圧依存性、抵抗ムラが小さく良好である。
つぎに、実施例5、6比較例7、8より、沃素吸着量5〜20mg/g、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が40ml/100g以下のカーボンブラックの添加量は30〜90質量部が適していることが分かる。すなわち、20質量部添加した比較例7は、充填量が少なくゴム加硫物の強度が弱く、導電性軸体挿入時にゴムチューブに裂けや切れを生じ、加工性に劣る。また、100質量部添加した比較例8は抵抗の環境変動が良い反面、電圧依存性、ローラ電気抵抗ムラが大きく、好ましくない。これに対し、40質量部添加した実施例5、80質量部添加した実施例6は環境依存性、電圧依存性、抵抗ムラが小さく良好である。
また、実施例1、7、8より、アクリロニトリル含量は15〜25質量%がより好ましいことがわかる。すなわち、アクリロニトリル含量が18質量%の実施例1、アクリロニトリル含量が15質量%の実施例7に対し、アクリロニトリル含量が26質量%の実施例8は、抵抗の環境依存性が大きい傾向にある。
更に、実施例1、9より、エピクロルヒドリン系ゴムのエチレンオキサイドの共重合割合は40mol%以上がより好ましいことがわかる。エチレンオキサイドの共重合割合が40mol%以下の実施例9ではエピクロルヒドリン系ゴムの体積抵抗率が高いため、ブレンドによるアクリロニトリルブタジエンゴムの低抵抗化の効果が得られにくい。

本発明によって、抵抗値の環境依存性が小さく、感光体への張り付きがなく、また製造上の加工性に優れた導電性ゴムローラを提供することが可能となった。本発明に係る導電性ゴムローラの利用拡大が期待できる。

Claims (6)

  1. 導電性軸体の外周上に弾性体層を有する導電性ゴムローラにおいて、該弾性体層がゴム成分としてエピクロルヒドリン系ゴム5〜60質量%及びアクリロニトリルブタジエンゴム40〜95質量%で構成され、該ゴム成分100質量部に対して、沃素吸着量5〜20mg/gかつジブチルフタレート(DBP)吸油量40ml/100g以下のカーボンブラックを30〜90質量部含有してなるゴム組成物からなることを特徴とする導電性ゴムローラ。
  2. 前記エピクロルヒドリン系ゴムが、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル3元共重合体であり、前記エピクロルヒドリン系ゴム中の前記エチレンオキサイドの共重合割合が40mol%以上であることを特徴とする請求項1に記載の導電性ゴムローラ。
  3. 前記アクリロニトリルブタジエンゴムが、前記アクリロニトリルブタジエンゴム中のアクリロニトリルの含量が15〜25質量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の導電性ゴムローラ。
  4. 前記弾性体層が導電性発泡ゴムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性ゴムローラ。
  5. 感光体上の静電荷像を現像剤により現像する画像形成装置に用いられる導電性ゴムローラにおいて、該導電性ゴムローラが該感光体上に相対して配置される転写ローラであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性ゴムローラ。
  6. 画像形成装置において使用される転写ローラとして、請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性ゴムローラが使用されることを特徴とする上記画像形成装置。
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