JP2006057745A - 差動装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】差動装置1は、副駆動輪50L、Rにそれぞれ独立して連結された2つの出力要素と、2つの出力要素間に差動を発生させる差動モータ40と、ステアリング舵角センサ62と、差動モータ40で発生させる差動トルクを配列したトルクマップを有すると共にトルクマップに基づいて差動モータ40を制御するモータ制御ユニット6とを有してなる。トルクマップとしては、操舵角及び車速に対して回転トルクを配列した第1のトルクマップと、操舵角速度に対して回転トルクを配列した第2のトルクマップとがある。
【選択図】図1
Description
該差動装置は、上記左右輪にそれぞれ独立して連結された2つの出力要素と、該2つの出力要素間に差動を発生させる差動モータと、少なくともステアリング操作量である操舵角及び上記4輪自動車の車速を取り込むように構成した入力部を含むと共に上記差動モータを制御するモータ制御ユニットとを有してなり、
該モータ制御ユニットは、上記操舵角及び上記車速に対する上記差動モータの回転トルクを配列した第1のトルクマップと、操舵角速度に対する上記差動モータの回転トルクを配列した第2のトルクマップとを有し、かつ、
上記モータ制御ユニットは、上記操舵角及び上記車速に基づいて上記第1のトルクマップを参照して得た上記回転トルクである第1の目標トルク値と、上記操舵角速度に基づいて上記第2のトルクマップを参照して得た上記回転トルクである第2の目標トルク値とに基づいて制御目標トルク値を計算すると共に、該制御目標トルク値に従って上記差動モータを制御するように構成してあることを特徴とする差動装置にある(請求項1)。
さらになお、上記第1の目標トルク値と上記第2の目標トルク値とから上記制御目標トルク値を計算する方法としては、例えば、上記の2つの目標トルク値のうちの大きい値の方を上記制御目標トルク値とする方法や、上記2つの目標トルク値の平均をとって上記制御目標トルク値にする方法や、上記2つの目標トルク値の和を上記制御目標トルク値に設定する方法等がある。
上記モータ制御ユニットは、上記操舵角、上記車速及び上記計測値から推定した上記出力トルクに基づいて上記第1のトルクマップを参照して上記第1の目標トルク値を得るように構成してあることが好ましい(請求項2)。
なお、上記主原動機の出力トルクに相関を有する上記計測値としては、例えば、エンジンのスロットル開度や、変速機のシフトポジションを示す値や、エンジン回転数等がある。
上記モータ制御ユニットは、上記操舵角速度及び上記車速に基づいて上記第2のトルクマップを参照して上記第2の目標トルク値を得るように構成してあることが好ましい(請求項3)。
この場合には、上記操舵角速度のみならず、車速を考慮した上記第2のトルクマップを用いて上記差動モータを制御することで、旋回走行中におけるステアリング操作感をさらに良好なものとして、ドライバの感じる違和感をさらに抑制することができる。
上記モータ制御ユニットは、上記操舵角速度、上記車速及び上記操舵角に基づいて上記第2のトルクマップを参照して上記第2の目標トルク値を得るように構成してあることが好ましい(請求項4)。
この場合には、上記操舵角速度のみならず、上記車速及び上記操舵角を考慮した上記第2のトルクマップを用いて上記差動モータを制御することで、上記差動装置による制御をよりきめ細かなものとすることができる。それ故、ステアリング操作感をさらに良好にして、走行安定性を一層向上させることができる。
本例は、4輪自動車100の副駆動輪50L、R間に配設した差動装置1に関する例である。この内容について図1〜図16を用いて説明する。
本例の差動装置1は、図1に示すごとく、4輪自動車100の前輪又は後輪の左右輪(以下、副駆動輪50L、Rと記載する。)の間に配設されたものである。
この差動装置1は、図2に示すとごとく、副駆動輪50L、Rにそれぞれ独立して連結された2つの出力要素と、該2つの出力要素間に差動を発生させる差動モータ40と、少なくともステアリング操作量である操舵角及び4輪自動車100の車速を取り込むように構成した入力部(本例では、図7中のI/O回路部602。)を含むと共に差動モータ40を制御するモータ制御ユニット6とを有してなる。
このモータ制御ユニット6は、操舵角及び車速に対する差動モータ40の回転トルクを配列した第1のトルクマップと、操舵角速度に対する差動モータ40の回転トルクを配列した第2のトルクマップとを有している。モータ制御ユニット6は、計測した操舵角及び車速に基づいて第1のトルクマップを参照して得た上記回転トルクである第1の目標トルク値と、操舵角速度に基づいて第2のトルクマップを参照して得た上記回転トルクである第2の目標トルク値とに基づいて制御目標トルク値を計算すると共に、該制御目標トルク値に従って差動モータ40を制御するように構成してある。
以下に、この内容について詳しく説明する。
この差動装置1は、サンギア23、該サンギア23の外周側に同軸配置されたリングギア22及び、該リングギア22とサンギア23とにギア係合するプラネタリギア24を保持するキャリア21の3つの歯車要素である選択構成要素を含む遊星歯車機構20を2個(20aと20b)組み合わせた遊星歯車機構組2と、該遊星歯車機構組2を収容するハウジング25と、一方の遊星歯車機構20bにおけるリングギア22、サンギア23及びキャリア21の各構成要素のうちのいずれかを回転させる差動モータ40(本例では、副原動機を兼用している。以下、副原動機40と記載する。)と、他方の遊星歯車機構20aにおける上記各構成要素のうちのいずれかの回転を停止させるように構成したブレーキ機構251とを有してなる。なお、図2では、車両エンジン8及び主駆動輪80L、80R(図1)は、省略して示してある。
そして、上記各選択構成要素のうちの第1要素であるキャリア21は、各遊星歯車機構20a、20bのキャリア21a、21bが相互に連結されている。
また、各選択構成要素のうちの第2要素であるリングギア22は、一方の遊星歯車機構20aのリングギア22aがブレーキ機構251により回転を停止可能なように構成されていると共に他方の遊星歯車機構20bのリングギア22bが副原動機40のモータ軸に連結されている。
さらに、各選択構成要素のうちの第3要素であるサンギア23は、各遊星歯車機構20a、20bのサンギア23a、23bが、それぞれ、出力軸32L又は32Rと直接的又は間接的に連結されている。
副駆動輪50L、50Rの各ドライブシャフト51L、51Rは、差動装置1における等配分デファレンシャル30の各出力軸32L、32Rに、それぞれ連結してある。また、副原動機40のモータ軸は、クラッチ機構41を介して等配分デファレンシャル30の入力軸31と連結してある。また、主駆動輪80L、80Rは、動力伝達ユニット82を介して車両エンジン8と連結してある。
また、本例では、リングギア22を上記第2要素として構成してある。すなわち、一方の遊星歯車機構20aのリングギア22aが、ブレーキ機構251によって停止可能なように構成されており、かつ、他方の遊星歯車機構20bのリングギア22bが、差動モータのモータ軸に連結されている。なお、本例では、差動モータと副原動機40とを共用してあるため、副原動機40のモータ軸をリングギア22bに連結してある。
また、上記クラッチ機構33としては、多板式クラッチや、単板式クラッチや、油圧式クラッチや、電磁式クラッチ等、さまざまな構造のクラッチを適用することができる。
第2のトルクマップは、操舵角速度dθに対して回転トルクを配列したものである。なお、同図では、横軸に操舵角速度dθを規定し、縦軸に回転トルクを規定してある。本例では、操舵角速度dθとしては、ステアリング舵角センサ62で計測した操舵角を時間微分したものを利用した。
モータ制御ユニット6は、ステップS110に示すごとく、まず、車速Vと操舵角θとを取り込む。そして、ステップS120では、前回サンプリング時の操舵角の値θoと、今回サンプリングした操舵角θとの差分を計算し、この差分値を操舵角速度dθとして得る。
すなわち、本例では、上記操舵角等に基づいて上記第1のトルクマップを参照して得た上記第1の目標トルク値と、上記操舵角速度に基づいて上記第2のトルクマップを参照して得た上記第2の目標トルク値とに基づいて得た上記制御目標トルク値を用いて副原動機40を制御することで、反応速度と制御安定性とを高いレベルで両立しているのである。
さらに、上記各トルクマップとしては、操舵角或いは操舵角速度等に応じて回転トルクのデータを配列したデータマップのほか、上記操舵角等に基づいて回転トルクを計算する計算式や論理式等であっても良い。すなわち、本発明におけるトルクマップとは、上記操舵角等に基づいて回転トルクを決定し得るように構成されたすべてのものを意味している。
さらに、図14に示す前後輪駆動装置10から等配分デファレンシャルを省略して、図15に示す差動装置1を構成することもできる。この差動装置1の出力要素は、従動輪57L、57Rに連結されたシャフト571L、571Rである。そして、このシャフト571L、571Rに対しては、第3要素であるサンギア23a、23bがそれぞれ直結されている。この差動装置1によれば、差動モータ45を用いて、従動輪57L、57R間の差動を制御することができる。
本例は、実施例1の差動装置を基にして、主原動機8(図1参照。)が発生する出力トルクを考慮した制御を実施した例である。この内容について、図18を用いて説明する。
本例のモータ制御ユニット6は、自動変速機を制御するトルコンECU402(図20参照。)及び、主原動機8を制御するエンジンECU401(図20参照。)と電気的に接続してある。そして、モータ制御ユニット6は、自動変速機で選択されているギアポジション(シフトポジション)をトルコンECU402から取り込むと共に、スロットル開度及びエンジン回転数をエンジンECU401から取り込む。そして、本例のモータ制御ユニット6は、取り込んだシフトポジション、スロットル開度及びエンジン回転数に基づいて主原動機8が発生する出力トルクを推定するように構成してある。
さらに、本例の第2のトルクマップは、車速及び操舵角速度に対して副原動機40の回転トルク値を配列したものである。そして、本例では、上記第2の目標トルク値を得るに当たっては、車速及び操舵角速度に基づいて第2のトルクマップを参照した。
なお、その他の構成及び作用効果については、実施例1と同様である。
本例は、実施例2を基にして、自転角速度(ヨーレート)による補正を加えた例である。この内容について、図19及び図20を用いて説明する。
本例のモータ制御ユニット6は、ヨーレートセンサ403を電気的に接続してあり、このヨーレートセンサ403から4輪自動車のヨーレート(自転角速度)を取り込むように構成してある。
なお、その他の構成及び作用効果については実施例2と同様である。
本例は、実施例1の前後輪駆動装置に基づいて、遊星歯車機構組2の構成を変更した例である。この内容について、図21〜図25を用いて説明する。
実施例1の遊星歯車機構組2(図1参照。)では、キャリア21を第1要素とし、リングギア22を第2要素とし、さらに、サンギア23を第3要素としている(図21に示す構成。)。この構成は、構造が比較的、単純であり、低コスト、コンパクトに実現できるという特徴がある。特に、この構成では、入力に対して出力が増速されるため、タイヤ径が小さい車両など、左右輪の回転数差が大きい場合に特に有効となる。
なお、その他の構成及び作用効果については実施例1と同様である。さらになお、上記のほかには、構造が複雑になるが、キャリアを第1要素として、サンギアを第2要素として、リングギアを第3要素とすることもできる。
本例は、実施例1における図17に示した差動装置の他の適用例である。この内容について図26を用いて説明する。
本例の差動装置1は、2輪駆動の4輪自動車の主駆動輪60L、60Rに回転差を付与するためのものである。この差動装置1では、車両エンジン8により駆動されるプロペラシャフト310と等配分デファレンシャル30の入力軸31とがハイポイドギア等を介して連結されている。この差動装置1によれば、差動モータ45を用いて、主駆動輪60L、60R間の回転差を制御することができる。
なお、その他の構成及び作用効果については、実施例1の図17に示す差動装置と同様である。
なおまた、本例の差動装置1は、上記のほか、4輪駆動の4輪自動車の主駆動輪或いは、副駆動輪の差動装置として利用できる。さらに、4輪駆動の4輪自動車の前後輪間に回転差を付与する差動装置として利用することもできる。
本例は、実施例1の前後輪駆動装置を基にして、差動装置1の構成を変更した例である。この内容について、図27を用いて説明する。
本例の差動装置1では、同図に示すごとく、一方の遊星歯車機構20aのリングギア22aの回転を規制してある。そして、他方の遊星歯車機構20bのリングギア22bと、副原動機40の回転を減速する減速機42との間に、トルク伝達を断続するための差動クラッチ機構252を配設してある。なお、本例の差動装置1では、ハウジング25とリングギア22aとを間接的に係合させることで、リングギア22aの回転を規制してある。
実施例1の前後輪駆動装置との相違点は、副駆動輪50L、R間の回転差を制御する際に、クラッチ機構33を開放すると共に、差動クラッチ機構252を係合させる点である。この状態で、副原動機40によりリングギア22bの回転を制御すれば、第3要素であるサンギア23a、23b間の差動を制御することができる。本例では、一方のサンギア23aには、上記のごとく、左副駆動輪50Lのドライブシャフト51Lが直接的に連結されている。そして、他方のサンギア23bは、等配分デファレンシャル30の入力軸31と直接的に連結され、等配分デファレンシャル30を介在して右副駆動輪50Rのドライブシャフト51Rに連結されている。それ故、上記のごとく前後輪駆動装置1を制御すれば、副駆動輪50L、50Rの回転差を制御できる。
なお、その他の構成及び作用効果については、実施例1と同様である。
本例は、実施例1のその他の前後輪駆動装置(図17参照。)を基にして、差動装置の構成を変更した例である。この内容について、図28を用いて説明する。
本例の差動装置1では、同図に示すごとく、一方の遊星歯車機構20aのリングギア22aの回転を規制してある。そして、他方の遊星歯車機構20bのリングギア22bと、差動モータ45の回転を減速する減速機42との間に、差動クラッチ機構252を配設してある。
なお、その他の構成及び作用効果については、実施例1と同様である。
10 前後輪駆動装置
2 遊星歯車機構組
20a、20b 遊星歯車機構
21 キャリア
22 リングギア
23 サンギア
24 プラネタリギア
25 ハウジング
251 ブレーキ機構
30 等配分デファレンシャル
31 入力軸
32L、32R 出力軸
33 クラッチ機構
40 副原動機
42 減速機
45 差動モータ
50L、50R 副駆動輪
51L、51R ドライブシャフト
6 モータ制御ユニット
Claims (4)
- 4輪自動車の前輪又は後輪の左右輪の間に配設された差動装置であって、
該差動装置は、上記左右輪にそれぞれ独立して連結された2つの出力要素と、該2つの出力要素間に差動を発生させる差動モータと、少なくともステアリング操作量である操舵角及び上記4輪自動車の車速を取り込むように構成した入力部を含むと共に上記差動モータを制御するモータ制御ユニットとを有してなり、
該モータ制御ユニットは、上記操舵角及び上記車速に対する上記差動モータの回転トルクを配列した第1のトルクマップと、操舵角速度に対する上記差動モータの回転トルクを配列した第2のトルクマップとを有し、かつ、
上記モータ制御ユニットは、上記操舵角及び上記車速に基づいて上記第1のトルクマップを参照して得た上記回転トルクである第1の目標トルク値と、上記操舵角速度に基づいて上記第2のトルクマップを参照して得た上記回転トルクである第2の目標トルク値とに基づいて制御目標トルク値を計算すると共に、該制御目標トルク値に従って上記差動モータを制御するように構成してあることを特徴とする差動装置。 - 請求項1において、上記入力部は、上記4輪自動車の主原動機の出力トルクに相関を有する計測値を取り込むように構成してあり、上記第1のトルクマップは、上記操舵角、上記車速及び上記出力トルクに対して上記回転トルクを配列したものであり、
上記モータ制御ユニットは、上記操舵角、上記車速及び上記計測値から推定した上記出力トルクに基づいて上記第1のトルクマップを参照して上記第1の目標トルク値を得るように構成してあることを特徴とする差動装置。 - 請求項1又は2において、上記第2のトルクマップは、上記操舵角速度及び車速に対して上記回転トルクを配列したものであり、
上記モータ制御ユニットは、上記操舵角速度及び上記車速に基づいて上記第2のトルクマップを参照して上記第2の目標トルク値を得るように構成してあることを特徴とする差動装置。 - 請求項1又は2において、上記第2のトルクマップは、上記操舵角速度、上記車速及び上記操舵角に対して上記回転トルクを配列したものであり、
上記モータ制御ユニットは、上記操舵角速度、上記車速及び上記操舵角に基づいて上記第2のトルクマップを参照して上記第2の目標トルク値を得るように構成してあることを特徴とする差動装置。
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