JP2006057481A - エンジンのピストン構造 - Google Patents

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弘和 松浦
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Abstract

【課題】
この発明は、エンジンのピストン構造において、ピストンピンを短縮することでピストンの軽量化を図りつつも、ピンボス部への応力集中を回避して、スカート部とシリンダー内壁の接触面積を確保することで、スカッフが発生するおそれもなくすことができるエンジンのピストン構造を提供することを目的とする。
【解決手段】
連結側壁36は、クラウン部31下面から垂直方向に延びる垂直部36aと、垂直部36aの下端から下開きに傾斜する傾斜部36bとで構成している。この垂直部36aと傾斜部36bは、ちょうどピンボス部34の上方位置では垂直部36aが位置し、ピンボス部34の下方位置では傾斜部36bが位置するように設定している。
【選択図】 図11

Description

この発明は、エンジンのピストン構造、特にコネクティングロッドとピストンの連結構造を工夫してピストン質量の軽量化を図りつつも、その際に生じる不具合を対策したピストン構造に関する。
従来、車両等に搭載されるエンジン、特に4気筒エンジンでは、二次慣性力による振動及び騒音を解消するため、バランスシャフトを備えるのが一般的であった。しかし、近年、エンジンの軽量化及び低コスト化のため、このバランスシャフトを削減したいという要求が高まっている。
二次慣性力を低下させることで、バランスシャフトを削減することが可能となるが、この二次慣性力に寄与するピストン質量は、4気筒のように気筒数が少なく、かつ大きな排気量(例えば2200cc以上の排気量)のエンジンでは、重たくならざるを得ず、現状の構造のままでは、アルミ等の軽金属を使用しても、有効に軽量化を図ることができなかった。
そこで、ピストン質量の軽量化を図るため、ピストンとコネクティングロッドを連結するピストンピンを短縮することが考えられる。
しかし、ピストンピンを短縮した場合には、ピストンピンを軸支するピンボス部における軸支面積が小さくなるため、ピストンピン端部及びピンボス部に掛かる面圧が高くなり、ひび割れ等の破損が生じる可能性がある。
そこで、この破損防止対策として、例えば、ピストンのクラウン部の下面に、直接ピストンピン上面を受けるピン受け部を形成することで、ピストンピン上面を全てクラウン部下面に当接させて、面圧を分散させる構造が考えられる。
この面圧を分散させる構造としては、下記特許文献1がある。
特許文献1の構造を図15に示す。この特許文献1では、ピストン100のクラウン部101下面を、全てピストンピン102上面を受けるピン受け部103として構成し、その両側にピストンピン102の両端を軸支するピンボス部104を形成し、このピン受け部103とピンボス部104によりピストンピン102を支持している。
このように構成することで、ピストンピン102の上面を全てクラウン部101下面に当接させることができるため、ピストンピン102端部及びピンボス部104に掛かる面圧を分散することができ、ひび割れ等の破損のおそれをなくすことができる。
もっとも、この特許文献1は、大きな燃焼圧力が掛かるディーゼルエンジンのピストンを前提としているため、ピストンピンをピストンの直径とほぼ同じ長さに設定しており、軽量化を図るためピストンピンを短縮する本願発明とは、前提とする技術思想を異にするものである。
ところで、ピストンには、コネクティングロッドにつられてピストンが傾斜するのを防止するため、スラスト・反スラスト位置にシリンダー内壁に当接摺動するスカート部を設けている。
このスカート部は、一般に上部と下部の周方向幅を一定の幅に設定するが、剛性等を上下で変更したい場合には、上部と下部とで周方向の幅を変更することが知られている。例えば、特許文献2では、スカート部の周方向幅を上部より下部の方を広くしたものが開示され、一方、特許文献3では、逆に下部より上部の方を広くしたものが開示されている。
もっとも、この特許文献2、3は、共に、スカート部だけの剛性等を上下で変更するために、上部と下部で周方向幅を変更しているに過ぎず、その他の部分の要求で、周方向幅を変更しているものではない。
特開2003−343724号公報 登録実用新案第2549460号公報 特開平4−216570号公報
ところで、ピストンピンを短縮することで、ピンボス部はピストンの外周端部より内方側に短いスパン(軸支間隔)で設けられることになるが、このピンボス部も支持剛性を確保するため、スカート部の端部に連結側壁を介して連結することになる。
この場合、ピンボス部をピストンの外周端部より内方側に設けているため、所定の周方向幅を有するスカート部の端部に連結するには、連結側壁を上面視でピストン中心から放射状に傾斜させて連結することが考えられる。
しかし、このように連結側壁を上面視で放射状に傾斜させた場合、図14に示すように、燃焼圧力Pでクラウン部110の外周端が下側に変形することにより、連結側壁111には、ピンボス部112を内側に押し込もうとする力Fが発生する。このため、ピンボス部112には、過大な内向きの応力が掛かることになる。
そこで、連結側壁111´を、上面視でピンボス部112の軸方向(ピストンピン113の配置方向)に直交する方向に設けることで、ピンボス部112に掛かる応力を軽減することが考えられる。しかし、この場合には、さらに別の問題が発生する。
それは、ピンボス部をピストンの外周端部より内方側に設けているため、そのまま、連結側壁を上面視で直交方向に延ばすと、スカート部の所定の周方向幅を確保できなくなり、シリンダー内壁の接触面積が減少し、かつスカート部の背部が連結側壁で支えられていることによりスカート部が弾性変形し難くなっており、局部面圧が高ってしまい、結果的に、スカート部とシリンダー内壁との間の油膜が切れて金属接触することになり、スカッフ(引っかき傷)が発生するおそれが生じるという問題である。
そこで、この発明は、エンジンのピストン構造において、ピストンピンを短縮することでピストンの軽量化を図りつつも、ピンボス部への応力集中を回避して、スカート部とシリンダー内壁の接触面積を確保することで、スカッフが発生するおそれもなくすことができるエンジンのピストン構造を提供することを目的とする。
この発明のエンジンのピストン構造は、コネクティングロッドの先端にピストンピンを一体化し、該ピストンピンを、ピストンのクラウン部下面に形成したピンボス部で軸支して、ピン受け部でピストンピンの上面を受けて、ピストンとコネクティングロッドを連結するエンジンのピストン構造において、前記ピストンの外周端部よりも内方側に設定したピンボス部と、前記ピストンのスラスト・反スラスト位置に設けた所定の周方向幅を有するスカート部と、前記ピンボス部と前記スカート部端部を前記ピストンピンと略直交する方向に延びて連結する連結側壁とを備え、該連結側壁を、ピンボス部上方位置で垂直方向に延びる垂直部とピンボス部下方位置で下開きに傾斜する傾斜部とで構成し、前記スカート部の周方向幅を、該傾斜部に応じてスカート部下端に向かい拡大する形状としたものである。
上記構成によれば、ピンボス部を、ピストンの外周端部よりも内方側に設定し、所定の周方向幅を有するスカート部を、ピストンのスラスト・反スラスト位置に設け、ピンボス部とスカート部端部を、ピストンピンと略直交する方向に延びる連結側壁で連結すると共に、その連結側壁を、ピンボス部上方位置では垂直方向に延びる垂直部とピンボス部下方位置では下開きに傾斜する傾斜部とで構成して、スカート部の周方向幅を、その傾斜部に応じてスカート部下端に向かい拡大形成することになる。
これにより、ピストンピンを短縮してピンボス部をピストンの外周端部よりも内方側に設けたものであっても、ピストンピンと略直交する方向に延びる連結側壁で連結するため、ピンボス部に掛かる応力を軽減することができる。特に、ピンボス部の上方位置では、垂直方向に延びる垂直部で連結しているため、ピンボス部には内向きに掛かる力が作用しない。よって、ピンボス部の応力を確実に軽減できる。
また、この連結側壁のピンボス部の下方位置では、下開きに傾斜する傾斜部を設け、スカート部の周方向幅をこの傾斜部に応じてスカート部下端に向かい拡大形成するため、スカート部の下方側では周方向幅を広げることができ、シリンダー内壁の接触面積を確保することができる。よってシリンダー内壁との間の局部面圧を低めることができる。
この発明の一実施態様においては、前記スカート部の周方向幅を、ピンボス部上方位置で、ピストンのクラウン部に向かい拡大する形状としたものである。
上記構成によれば、スカート部の周方向幅を、ピンボス部の上方位置でも、ピストンのクラウン部に向かい拡大する形状とすることにより、連結側壁の垂直部の部分において、クラウン部がスカート部によって支持されることになる。
このため、ピンボス部の上方位置の拡大したスカート部によって、燃焼圧力による変形を防止してクラウン部の剛性を高めることができるため、クラウン部をさらに薄肉にして軽量化を図ることができる。また、スカート部自体の剛性も高まるため、スカート部によるピンボス部の支持剛性もさらに高めることができる。
この発明の一実施態様においては、前記スカート部の周方向幅を、ピンボス部中心位置を最狭部とし、上方及び下方にそれぞれ漸次に拡大するテーパー形状としたものである。
上記構成によれば、スカート部の周方向幅を、ピンボス部中心位置を最狭部とし、上方及び下方にそれぞれ漸次に拡大するテーパー形状とすることにより、シリンダー内壁との接触面積は漸次変化し、スカート部自体の剛性も漸次変化することになる。
このため、スカート部の軽量化を図りつつも、シリンダー内壁との間の面圧の急変及びスカート部の応力の急変を避けることができるため、油膜切れや、スカート部の破損等を防止することができる。
この発明の一実施態様においては、前記コネクティングロッド先端のピストンピンへの締結位置を、ピストンの中心を通るピストン揺動方向面内で、揺動方向の両端部の二箇所に設定したものである。
上記構成によれば、コネクティングロッド先端のピストンピンへの締結位置を、ピストンの中心を通るピストン揺動方向面内で、揺動方向の両端部の二箇所に設定したため、締結固定のスペースを、ピストンピンの長手方向に設ける必要がない。
よって、よりピストンピンを短縮することができ、ピストンピンの一層の軽量化を図ることができる。また、このようにピストンピンを短縮した場合にはピンボス部のスパン(軸支間隔)も短縮することになるが、前述の構成を組み合わせることで、ピンボス部の短縮化による不具合を解消することができるため、より効果的に、前述の構成の効果を得ることができる。
この発明によれば、ピストンピンを短縮してピンボス部をピストンの外周端部よりも内方側に設けたものであっても、ピストンピンと略直交する方向に延びる連結側壁で連結するため、ピンボス部に掛かる応力を軽減することができる。特に、ピンボス部の上方位置では、垂直方向に延びる垂直部で連結しているため、ピンボス部には内向きに掛かる力が作用しない。よって、ピンボス部の応力を確実に軽減できる。
また、この連結側壁のピンボス部の下方位置では、下開きに傾斜する傾斜部を設け、スカート部の周方向幅をこの傾斜部に応じてスカート部下端に向かい拡大形成するため、スカート部の下方側では周方向幅を広げることができ、シリンダー内壁の接触面積を確保することができる。よって、シリンダー内壁との間の局部面圧を低めることができる。
したがって、エンジンのピストン構造において、ピストンピンを短縮することでピストンの軽量化を図りつつも、ピンボス部への応力集中を回避して、スカート部とシリンダー内壁の接触面積を確保することで、スカッフが発生するおそれもなくすことができる。
以下、図面に基づいてこの発明の実施形態を詳述する。
図1は、本実施態様のエンジンのピストン構造を採用したピストン組立体1をクランク軸方向から見た正面図、図2はそのピストン組立体1の側面図、図3は図1のA−A線矢視断面図、図4は図2のB−B線矢視断面図である。
本実施態様のピストン組立体1は、直列四気筒エンジンのシリンダー内で、上下方向に往復運動をして、図示しないクランク軸をコネクティングロッド2を介して回転駆動するように構成している。
このピストン組立体1は、上部にクラウン部31を有する略円筒カップ状のピストン本体3と、このピストン本体3のクラウン部31下方でクランク軸と平行配置したピストンピン4と、上端をピストンピン4に締結固定して下端をクランク軸に嵌合固定したコネクティングロッド2と、からなる。
ピストン本体3は、軽量化のためアルミニウム合金製とされ、ピストン本体3上部に設けた円盤状のクラウン部31と、ピストン本体3のスラスト・反スラスト位置にそれぞれ設けた円弧形状のスカート部32,33と、クラウン部31下面でピストンピン4の両端を軸支するピンボス部34と、ピンボス部34の間でピストンピン4の上面を受けるピン受け部35と、スカート部32,33の両側端部とピンボス部34をピストンピン4と直交する方向に延びて連結する連結側壁36…と、を有する。
ピストン本体3の詳細構造については、後述の単品図によって説明する。
ピストンピン4は、ピンボス部34で両端が軸支される円柱部材で構成して、両端面には、凹設した肉抜き部41を形成している。また、ピストンピン4の中央には、コネクティングロッド2を締結固定する締結固定孔42を、ピン下端を中心とした扇状位置(α:約90度)に二箇所穿設している。
なお、この扇状位置は、この角度に限定されるものではなく、ピストン本体3とコネクティングロッド2の相対揺動変位角や製作の容易さ等を考慮して、80度や60度といった鋭角をもって構成される扇状領域に設定してもよい。
このように鋭角の扇状領域に締結固定位置を設定することで、コネクティングロッド2が揺動した際の、ピン受け部35との干渉を防ぐことができる。
また、この締結固定位置は、ピストン本体3の揺動方向であるため、締結固定のスペースをピストンピン4の長手方向に設定しなくてもよい。よって、ピストンピン4をさらに短縮することができる。
コネクティングロッド2は、揺動方向の両側に設けた平板部21,21とその平板部を連結する連結部22とからなるH型断面のロッド部23と、その上端でピストンピン4を締結固定する締結受け部24とを備える。このコネクティングロッド2は、これら両者を一体に成形した鍛造品で構成され、ピストン本体3からの大きな荷重を確実にクランク軸に伝達するように構成している。
上端の締結受け部24は、ロッド部23の平板部21,21を上方に延設して、ピストンピン4の締結固定位置まで延びる二又形状とされ、その二又形状部分でピストンピン4を挟み込むようにしてピストンピン4を締結固定している。
このように、平板部21,21を延設して、締結受け部24を二又形状としてピストンピン4から荷重を受けるように構成したため、剛性の高い平板部21,21でピストンピン4からの荷重を効率的に受けることができる。
このように構成することで、コネクティングロッド2においても軽量化を図って、効率的な荷重伝達を行うことができる。
また、この締結固定で用いる締結ボルト5,5は、二本の六角穴ボルトである。このような穴ボルトで締結固定を行なうことで、通常のソケットレンチ等では締結作業が困難である鋭角扇状領域にボルトの締結位置を設定したとしても、コンパクトな六角棒レンチで容易に締結作業を行なうことができる。
なお、この六角穴ボルトに換えて四角穴ボルトにしても同様の効果を得ることができる。
図5〜図13に、ピストン本体3の単品図を示す。図5は正面図、図6は側面図、図7は平面図、図8は底面図、図9は図6のC−C線矢視断面図、図10はD−D線矢視断面図、図11は図7のE−E線矢視断面図、図12はF−F線矢視断面図、図13はG−G線矢視断面図である。
このピストン本体3は、前述のようにクラウン部31と、スカート部32,33と、ピンボス部34と、ピン受け部35と、連結側壁36…と、からなる。以下それぞれについて詳細に説明する。
まず、クラウン部31は、その上面に燃焼室を構成する平坦な上面凹部31aを形成しており、その周囲の外周部31bにはピストンリング等を装着するリング溝31cを形成している。また、クラウン部31の下面には、クラウン部31の厚みを薄肉にして軽量化を図るため、外周部31bよりも凹ませた下面凹部31dを設けている。
ただし、燃焼圧力に対するクラウン部31の剛性を確保するため、外周部31bと同じ厚みを有する補強リブ31eを、ピストンピン4と同一方向に延設することで、外周部31bとピンボス部34を連結している。
また、この補強リブ31eとピンボス部34との間に、三角錐状の肉盛り部31fを設けることで、補強リブ31eとピンボス部34との間に応力集中が生じないように構成している。
スカート部32,33は、ピストン本体3がシリンダー内で上下方向に適切に移動するよう、クラウン部31の外周部31bからそのまま下側に延びる円弧形状に構成している。
スカート部32,33の周方向幅Hの形状は、後述のようにピンボス部34に過大な応力が生じないようにしつつも、シリンダー内壁との接触面積を確保するため、ピンボス部34の中心位置に対応する高さ位置Qを最狭部として、その上方及び下方にそれぞれ漸次に拡大するテーパー形状とした、所謂「鼓」形状としている。
このように、スカート部32,33を「鼓」形状とすることで、スカート部32,33自体の軽量化を図りつつ、漸次に周方向幅Hを変更することで、スカート部32,33自体の剛性の急変や、シリンダー内壁との間の急激な面圧の変化を抑制することができる。
ピンボス部34は、クラウン部31下面の中央で下方に突出して形成した、二つの環状の軸支部34a,34bからなる。
この二つの軸支部34a,34bの間隔Lは、コネクティングロッド2の締結固定部分のみを位置させるだけの間隔しか設定しておらず、ピストンピン4の軸支間隔(スパン)Lを狭めている。このように軸支間隔(スパン)Lを狭めることで、ピストンピン4には余計な曲げ等も生じないため、ピストンピン4に作用する面圧も低下させることができる。
また、ピストンピン4自体も短縮できるため、ピストン組立体1の軽量化も図ることができる。
ピン受け部35は、二つの軸支部34a,34bの間でピストンピン4の上面を受ける円弧曲面35aを形成して構成している。
このピン受け部35をクラウン部31の下面に設けることで、ピストンピン4の上面全体が、クラウン部31下面に当接することになるため、ピストンピン4に掛かる面圧を分散することができ、ピストンピン4のひび割れ等の破損を防止することができる。
また、この円弧曲面35aの中央には、ピストンピン4との間の潤滑を行うオイル溝37を、円弧曲面35aに沿って一条形成している。オイル溝37を形成したことにより、ピストンピン4とピン受け部35との間の焼き付き等を防止することができる。
さらに、このピン受け部35の円弧曲面35aには、中央側を若干大径としたテーパー加工(コニカル加工)を施している(具体的には図示せず)。このように、テーパー加工を施すことにより、ピストンピン4の曲げ変形によって生じるクラウン部31上面の引張応力が軽減されるため、クラウン部31をさらに薄肉にして軽量化を図ることができる。
連結側壁36…は、スカート部32,33の両側端部とピンボス部34の軸支部34a,34bとの間を計4箇所、それぞれピストンピン4と直交する方向に延び、スカート部32,33とピンボス部34を連結するように構成している。
このように、連結側壁36…をピストンピン4と直交する方向に延設することで、クラウン部31の外周端が燃焼圧力によって下側に変形する場合であっても、連結側壁36…が、ピンボス部34の軸支部34a,34bに対して内側に押し込もうとする力を与えなくなるため、ピンボス部34に掛かる応力を軽減することができる(図14の模式図参照)。
また、この連結側壁36は、図13に示すように、クラウン部31下面から垂直方向に延びる垂直部36aと、垂直部36aの下端から下開きに傾斜する傾斜部36bとで構成している。この垂直部36aと傾斜部36bは、図11からも分かるように、ちょうどピンボス部34の上方位置では垂直部36aが位置し、ピンボス部34の下方位置では傾斜部36bが位置するように設定している。
このように、連結側壁36を垂直部36aと傾斜部36bとで構成することにより、相反する二つの要求を満足させることができる。
まず、一つめの要求は、前述したように、ピンボス部34に対する内向きの応力集中を軽減するという要求である。本実施形態では、ピンボス部34の軸支間隔Lを短縮した関係上、ピンボス部34に対して内向きの応力集中が生じやすくなるが、連結側壁36…をピストンピン4と直交する方向に設けたため、連結側壁36…が内側に力を与えず、ピンボス部34に対する応力集中を軽減できるのである。
特に、垂直部36aをクラウン部31下面から直接垂下するように設けたため、クラウン部31の下方への変形に対して突っ張った形となり、クラウン部31の剛性を向上することもできる。
また、ピンボス部34の上方位置を垂直部36aとすることにより、ピンボス部34の応力集中軽減に最も効果的な部分で確実に効果を得ることができる。
もう一つの要求は、スカート部32,33とシリンダー内壁との間の接触面積を確保することで局部面圧を低下させ、スカッフの発生を防止するという要求である。本実施形態では、連結側壁36…に下開きに傾斜する傾斜部36bを設け、この傾斜部36bに応じてスカート部32,33を下方に漸次に拡大する形状としたため、シリンダー内壁との間の接触面積を確保でき、スカッフの発生を防止することができるのである。
特に、ピンボス部34の下方位置を下開きに傾斜させて、スカート部32,33を下方に拡大することで、スカート部32,33の内で面圧が最も高まるスカート部32,33の下端でスカート部32,33の周方向幅Hが広くなるため、より効果的に局部面圧を低下することができる。
なお、この連結側壁36…には、明確な稜線や谷線を形成しておらず、垂直部36aと傾斜部36bの間も曲面で構成している。これは、稜線や谷線を形成すると、その部分に応力集中が生じてしまうため、曲面とすることで応力集中を防いでいるのである。
また、スカート部32,33は、前述のように、上方側へも拡大することで「鼓」形状となるように構成している。この上方側への拡大によって、クラウン部31は連結側壁36…の垂直部36aの部分においても、スカート部32,33で支持されることになる。
これにより、燃焼圧力によるクラウン部31の変形を防止してクラウン部31の剛性を高めることができる。
次に、以上のように構成した本実施態様の作用及び効果について詳述する。
この実施態様によるエンジンのピストン構造は、コネクティングロッド2の先端にピストンピン4を一体化し、該ピストンピン4を、ピストン本体3のクラウン部31下面に形成したピンボス部34で軸支して、ピン受け部35でピストンピン4の上面を受けて、ピストン本体3とコネクティングロッド2を連結するエンジンのピストン構造において、前記ピストン本体3の外周端部よりも内方側に設定したピンボス部34と、前記ピストン本体3のスラスト・反スラスト位置に設けた所定の周方向幅Hを有するスカート部32,33と、前記ピンボス部34と前記スカート部32,33端部を前記ピストンピン4と略直交する方向に延びて連結する連結側壁36…とを備え、該連結側壁36…を、ピンボス部34上方位置で垂直方向に延びる垂直部36aとピンボス部34下方位置で下開きに傾斜する傾斜部36bとで構成し、前記スカート部32,33の周方向幅Hを、該傾斜部36bに応じてスカート部32,33下端に向かい拡大する形状としたものである。
上記構成によれば、ピンボス部34を、ピストン本体3の外周端部よりも内方側に設定し、所定の周方向幅Hを有するスカート部32,33を、ピストン本体3のスラスト・反スラスト位置に設け、ピンボス部34とスカート部32,33端部を、ピストンピン4と略直交する方向に延びる連結側壁36…で連結すると共に、その連結側壁36…を、ピンボス部34上方位置では垂直方向に延びる垂直部36aとピンボス部34下方位置では下開きに傾斜する傾斜部36bとで構成して、スカート部32,33の周方向幅Hを、その傾斜部36bに応じてスカート部32,33下端に向かい拡大形成することになる。
これにより、ピストンピン4を短縮してピンボス部34をピストン本体3の外周端部よりも内方側に設けたものであっても、ピストンピン4と略直交する方向に延びる連結側壁36…で連結するため、ピンボス部34に掛かる応力を軽減することができる。特に、ピンボス部34の上方位置では、垂直方向に延びる垂直部36aで連結しているため、ピンボス部34には内向きに掛かる力が作用しない。よって、ピンボス部34の応力を確実に軽減できる。
また、この連結側壁36…のピンボス部34の下方位置では、下開きに傾斜する傾斜部36bを設け、スカート部32,33の周方向幅Hをこの傾斜部36bに応じてスカート部32,33下端に向かい拡大形成するため、スカート部32,33の下方側では周方向幅Hを広げることができ、シリンダー内壁の接触面積を確保することができる。また、スカート部32,33が内側に撓み易くなる。よってシリンダー内壁との間の局部面圧を低めることができる。
したがって、エンジンのピストン構造において、ピストンピン4を短縮することでピストン本体3の軽量化を図りつつも、ピンボス部34への応力集中を回避して、スカート部32,33とシリンダー内壁の接触面積を確保することで、スカッフが発生するおそれもなくすことができる。
また、この実施態様では、前記スカート部32,33の周方向幅Hを、ピンボス部34上方位置で、クラウン部31に向かい拡大する形状としたものである。
上記構成によれば、スカート部32,33の周方向幅Hを、ピンボス部34の上方位置でも、クラウン部31に向かい拡大する形状とすることにより、連結側壁36…の垂直部36aの部分において、クラウン部31がスカート部32,33によって支持されることになる。
このため、ピンボス部34の上方位置の拡大したスカート部32,33によって、燃焼圧力による変形を防止してクラウン部31の剛性を高めることができるため、クラウン部31をさらに薄肉にして軽量化を図ることができる。また、スカート部32,33自体の剛性も高まるため、スカート部32,33によるピンボス部34の支持剛性もさらに高めることができる。
また、この実施態様では、前記スカート部32,33の周方向幅Hを、ピンボス部34中心位置Qを最狭部とし、上方及び下方にそれぞれ漸次に拡大するテーパー形状としたものである。
上記構成によれば、スカート部32,33の周方向幅Hを、ピンボス部34中心位置を最狭部とし、上方及び下方にそれぞれ漸次に拡大するテーパー形状とすることにより、シリンダー内壁との接触面積は漸次変化し、スカート部32,33自体の剛性も漸次変化することになる。
このため、スカート部32,33の軽量化を図りつつも、シリンダー内壁との間の面圧の急変及びスカート部32,33の応力の急変を避けることができるため、油膜切れや、スカート部32,33の破損等を防止することができる。
また、この実施態様では、前記コネクティングロッド2先端のピストンピン4への締結位置を、ピストン本体3の中心を通るピストン本体3揺動方向面内で、揺動方向の両端部の二箇所に設定したものである。
上記構成によれば、コネクティングロッド2先端のピストンピン4への締結位置を、ピストン本体3の中心を通るピストン本体3揺動方向面内で、揺動方向の両端部の二箇所に設定したため、締結固定のスペースを、ピストンピン4の長手方向に設ける必要がない。
よって、よりピストンピン4を短縮することができ、ピストンピン4の一層の軽量化を図ることができる。また、このようにピストンピン4を短縮した場合にはピンボス部34のスパン(軸支間隔)Lも短縮することになるが、前述の構成を組み合わせることで、ピンボス部34の短縮化による不具合を解消することができるため、より効果的に、前述の構成の効果を得ることができる。
以上、この発明の構成と、前述の実施態様との対応において、
この発明のピストンは、実施態様のピストン本体3に対応するも、
この発明は、前述の実施態様の構成のみに限定されるものではなく、様々なエンジンのピストンに適用する実施態様を含むものである。
本発明を採用したピストン組立体の正面図。 ピストン組立体の側面図。 図1のA−A線矢視断面図。 図2のB−B線矢視断面図。 ピストン本体の正面図。 ピストン本体の側面図。 ピストン本体の平面図。 ピストン本体の底面図。 図6のC−C線矢視断面図。 図6のD−D線矢視断面図。 図7のE−E線矢視断面図。 図7のF−F線矢視断面図。 図7のG−G線矢視断面図。 ピンボス部に作用する応力を説明する(a)正面模式図、(b)底面模式図。 特許文献1の説明断面図。
符号の説明
1…ピストン組立体
2…コネクティングロッド
3…ピストン本体(ピストン)
4…ピストンピン
5…締結ボルト
31…クラウン部
32,33…スカート部
34…ピンボス部
35…ピン受け部
36…連結側壁
36a…垂直部
36b…傾斜部

Claims (4)

  1. コネクティングロッドの先端にピストンピンを一体化し、該ピストンピンを、ピストンのクラウン部下面に形成したピンボス部で軸支して、ピン受け部でピストンピンの上面を受けて、ピストンとコネクティングロッドを連結するエンジンのピストン構造において、
    前記ピストンの外周端部よりも内方側に設定したピンボス部と、
    前記ピストンのスラスト・反スラスト位置に設けた所定の周方向幅を有するスカート部と、
    前記ピンボス部と前記スカート部端部を前記ピストンピンと略直交する方向に延びて連結する連結側壁とを備え、
    該連結側壁を、ピンボス部上方位置で垂直方向に延びる垂直部とピンボス部下方位置で下開きに傾斜する傾斜部とで構成し、
    前記スカート部の周方向幅を、該傾斜部に応じてスカート部下端に向かい拡大する形状とした
    エンジンのピストン構造。
  2. 前記スカート部の周方向幅を、ピンボス部上方位置で、ピストンのクラウン部に向かい拡大する形状とした
    請求項1記載のエンジンのピストン構造。
  3. 前記スカート部の周方向幅を、ピンボス部中心位置を最狭部とし、上方及び下方にそれぞれ漸次に拡大するテーパー形状とした
    請求項2記載のエンジンのピストン構造。
  4. 前記コネクティングロッド先端のピストンピンへの締結位置を、ピストンの中心を通るピストン揺動方向面内で、揺動方向の両端部の二箇所に設定した
    請求項1〜3記載のエンジンのピストン構造。
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