JP3564249B2 - ディーゼル機関の主軸受構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はディーゼル機関のクランク軸を保持する主軸受構造に係り、特に主軸受メタル内周面とクランク軸外周面との間に、安定した軸変機能を与える為の潤滑用のクリアランスを調整する、調整ライナを、主軸受メタルの上/下分割面間に介装させた主軸受構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ディーゼル機関のクランク軸を保持する主軸受構造は、主軸受メタルの上/下分割面には、図3のごとくクランク軸19と主軸受メタル1A、1Bとの間のクリアランスdを最適量に調整する為の調整ライナ120が装着され、調整ライナ120の厚みは、実際に主軸受メタル1A、1Bを組み立てた時のクランク軸19と主軸受メタル1A、1Bのクリアランスを計測した後、このクリアランスが初期設計値に入っていない時には、調整ライナ120の厚みを厚くしたり、薄くしたりしてクリアランスが設計値内に入る様にしているが、この調整ライナ20は同一肉厚で平面加工したものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一般に大型ディーゼル機関は図4に示すごとく、ディーゼル機関の本体を構成するシリンダジャケット12、架構13、台板2の3部品を上/下方向にテンションボルト11にて締付結合されている。尚、図中、3は主軸キャップ、14は台板2内に設けられた台板軸受台、15はシリンダジャケット12側部に設けられたカム軸、16は排気管、17はピストン棒、18は連設棒、19はクランク軸、Fは燃焼室である。
【0004】
かかる構成において、台板2の主軸受メタル1A、1Bを保持する台板軸受台14の主軸受メタル部1の加工面D1は台板単体で機械加工時に真円になるように加工されておるためにテンションボルト11で締め付けられると架構13及び台板2の変形のため、図5に示す如く台板軸受台14の主軸受メタル受け部D1半円上端部側が外径側に変形拡開し、真円に対して偏差δ1 だけ外方に拡開してしまうことになる。
この為前記主軸受メタル受け部D1に主軸受メタル1Bを収納しても前記外径D1に沿って上端部側が外径側に変形拡開してしまう。尚、Diはメタル内径、若しくはクランク軸外径を示す。
【0005】
これに対して主軸受メタル1A、1Bは図6に示すごとく、台板軸受台14のメタル受け部D1の加工内径D1’を基準にしてその分割面が水平となるように半円リング円状に2つ割り加工されている。
この様な台板軸受台14と主軸受キャップ3に図7(A)に示すように、同一肉厚の調整ライナ120を上主軸受メタル1Aに保持した状態で、クランク軸19を介して下主軸受メタル1Bを夫々嵌合させた状態で締付ナット22/ボルト21により主軸受メタル1A/1B同士を締め込んでいくと、図7(B)に示すごとく主軸受メタル1A、1Bの分割面10は、まず調整ライナ120の内径側9と下主軸受メタル1B内径側が接触(接触点a)し、更に締め込んでいく事により、分割面全体の一様に接触する締め込みが行なわれていく。
この為、主軸受メタル内周面側には、主軸受メタルを内周面側に曲げようとする圧縮曲げ応力ΔS3 が発生する。
【0006】
さて一般的に図4に示すディーゼル機関を運転した場合、運転中にクランク軸19を介して負荷される荷重は図3に示すごとくF1 、F2 方向に発生する。
このF1、F2方向の荷重により、主軸受メタル1B/1A内周面部(図3の想像線円で示されるA部)には荷重F1により内周面には圧縮曲げ応力S1が、また、荷重F2により主軸受メタル1B/1A外周面には引張り曲げ応力S2が発生する。
ゆえに、主軸受メタル円面に発生する繰り返し応力の振幅Sは上記曲げ応力の和(S1+S2)の値となり、この振幅値Sが、メタル繰返し許容応力以上になると主軸受メタルに損傷が発生する。
【0007】
そして従来の主軸受構造における問題点は、組立時の変形による主軸受メタル内周面側が先に接触して発生する圧縮曲げ応力ΔS3 が主軸受メタル内周面に発生する繰り返し応力S(S1+S2)に圧縮曲げ応力ΔS3が更に付加され、
S:S1+S2+ΔS3
として繰り返し応力の振幅が増大し、結果として主軸受メタルの寿命が短くなる。
【0008】
本発明はかかる従来技術の欠点に鑑み、機関運転時に発生する圧縮曲げ応力の影響を低減し、これにより運転中の当該部繰返し応力の振幅を低減し、主軸受メタルの耐久性を増大して、寿命を延長することが出来るディーゼル機関の主軸受構造を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、図1に示すように、主軸受メタル1A、1Bの上/下分割面10間に、主軸受メタル内周面とクランク軸19外周面との間のクリアランスd(図2)を調整する調整ライナ20を介装させたディーゼル機関のクランク軸19を保持する主軸受構造において
前記調整ライナ20の上下方向の厚みを、主軸受メタル1A、1Bの内径側より外径側に向うに連れ徐々に厚肉に勾配状に形成したことを特徴とするものである。
即ち、調整ライナ20の厚みを主軸受メタル内径側の厚みt1 、外径側の厚みをt2とすると、t1<t2 とした勾配を有する調整ライナ20を介装したことを本発明の特徴とする。
【0010】
これにより図8(A)及び(B)に示すように、本発明の勾配形調整ライナ20を主軸受メタル1Aの下面(分割面10)に固設した状態で、主軸受メタル1A、1B同士の組付けを行うと、下主軸受メタル1Bの分割面10が、組立時の変形により、内周面側より外周面側に向け下がり傾斜構造になっていても、この下がり傾斜分を補正する勾配を付した調整ライナ20が前記主軸受メタル1Aの分割面10に保持されている為に、該調整ライナ20を介して組立時に、上/下主軸受メタル1A、1Bの分割面10が勾配形調整ライナ20を介して一様に接触するように設計する事が可能となる。
【0011】
かかる発明によれば、上/下主軸受メタル1A、1Bの分割面10は調整ライナ20を介してほぼ均等に接触するために、上/下主軸受メタル1A、1Bの接触面(分割面10)には一様な圧縮応力(ΔS4 )が発生する。
一方、調整ライナ20が同一厚の平板形状の従来技術の場合は、前記したように主軸受メタル内径側が先に接触してその部分より偏荷重を受けながら圧縮応力(ΔS3 )が発生する為に、該従来法による圧縮応力ΔS3 は本発明の圧縮応力ΔS4 よりも当然に大きくなることは自明である。
【0012】
従って本発明は「ΔS4<ΔS3」の圧縮応力の状態で図4に示すディーゼル機関を運転する事が出来、これにより主軸受メタル内周面にかかる繰返し応力振幅S′(S1+S2+ΔS4 )は従来方法による繰返し応力振幅S(S1+S2+ΔS3)よりも小さくする事が出来る。これにより、主軸受メタルの寿命が延長されるという利点が得られる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。
但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がないかぎりは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0014】
図1及び図2に本発明の実施形態に係るディーゼル機関の主軸受構造を示す。図1に示すように主軸受メタルは、その分割面が水平となるように半円リング円状に加工されている、上主軸受メタル1Aと下主軸受メタル1Bからなり、その分割面10に、その上下方向の厚みを主軸受メタル1A、1Bの内径側より外径側に向うに連れ徐々に厚肉に末広がり勾配状に形成した調整ライナ20を介装している。
すなわち、より具体的には前記勾配形調整ライナ20は不図示の保持ボルトにより上主軸受メタル1Aの分割面10に保持され、調整ライナ20の下面が下主軸受メタル1B上面(分割面)と対峙させている。
調整ライナの勾配形状は、図1に示すように、上面側を上主軸受メタル1Aの分割面10に合わせ水平に、下面側を下向き勾配に設定している。
【0015】
即ち具体的には、図5に示すように、台板軸受台14の主軸受メタル受け部D1の半円上端部側が外径側に変形拡開した点に着目し、主軸受け下メタル1Bの分割面の傾き角度αに対応して、図1に示すように調整ライナ20の厚みを主軸受メタル内径側の厚みt1 、外径側の厚みをt2 とすると、t1 < t2 とした下向き勾配を下面側に設定している。
そして前記の主軸受メタル構造は、図2及び図8に示す如く、台板軸受台14上に主軸受け下メタル1Bを装着し、その上にクランク軸19を保持する。(図8(A)参照)
次に主軸受上メタル1Aは、クランク軸19上に装着し、その上に主軸受キャップ3を装着し、主軸受キャップ3を締付ボルト21及び締付ナット22にて締め込んで行き図8(B)に示すように固定する構成にしてある。
【0016】
かかる実施形態による主軸受メタルの締付時の状況と圧縮応力との関係を図8に基づいて詳細に説明すると、図8(A)は締付ナットによる締め付け前の状態を示し、同図において3は主軸受けキャップ、14は台板軸受台、19はクランク軸、21は締付ボルト、22は締付ナットで、主軸受けキャップ3内に設けた上主軸受メタル1Aの分割面10に勾配形調整ライナ20を固定した状態で主軸受けキャップ3を締付ボルト21と締付ナット22とにより締めつけると、図8(B)に示すように下主軸受メタル1Bの分割面10と調整ライナ20間は接触点Cからほぼ均一に圧接され、メタル内周面側に引張曲げ応力を発生させる。
これにより、機関運転中に、当該内周面部に発生する圧縮曲げ応力の影響をΔS4まで低減する事が可能となる。
この結果、運転中の繰返し応力振幅S’(S1 +S2 +ΔS4 )が図7に示す従来技術に比較して低減し、主軸受メタルの寿命が延長する。
【0017】
【発明の効果】
以上記載のごとく本発明によれば、図8(B)に示すように、主軸受メタル締付時に、主軸受メタル内外面に一様にほぼ均等の圧縮応力を発生させておく事が出来、これにより、機関運転時に発生する圧縮曲げ応力の影響を低減し、運転中の当該部繰返し応力の振幅を低減し、主軸受メタルの耐久性を増大して、寿命を延長することが出来る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る主軸受メタルと調整ライナの形状を示す立体斜視図である。
【図2】図1の主軸受メタルと調整ライナを組込んだ本発明の実施形態に係るディーゼル機関の主軸受構造を示す概略図である。
【図3】機関運転時に主軸受メタルにかかる荷重及び応力を示す断面説明図である。
【図4】主軸受が装着されるディーゼル機関の概略構成図である。
【図5】図4の台板軸受台の組立時の変形を示す断面図である。
【図6】従来の主軸受メタル組合せの略図である。
【図7】図6の従来の主軸受メタルの締付時の状況を示す図である。
【図8】本発明の主軸受メタルの締付時の状況を示す図である。
【符号の説明】
1A 上主軸受メタル
1B 下主軸受メタル
19 クランク軸
20 調整ライナ
Claims (1)
- 主軸受メタルの上/下分割面間に、主軸受メタル内周面とクランク軸外周面との間のクリアランスを調整する調整ライナを介装させたディーゼル機関の主軸受構造において、
前記調整ライナの上下方向の厚みを主軸受メタルの内径側より外径側に向うに連れ徐々に厚肉に勾配状に形成したことを特徴とするディーゼル機関の主軸受構造。
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JP34454996A JP3564249B2 (ja) | 1996-12-09 | 1996-12-09 | ディーゼル機関の主軸受構造 |
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JP34454996A JP3564249B2 (ja) | 1996-12-09 | 1996-12-09 | ディーゼル機関の主軸受構造 |
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ID=18370141
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JP34454996A Expired - Lifetime JP3564249B2 (ja) | 1996-12-09 | 1996-12-09 | ディーゼル機関の主軸受構造 |
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1996
- 1996-12-09 JP JP34454996A patent/JP3564249B2/ja not_active Expired - Lifetime
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