JP2006056925A - ポリアセタール樹脂組成物および成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 寸法安定性と機械的強度に優れたポリアセタール樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 ポリアセタール樹脂(a)100重量部に対し、ポリグリコール酸単位が主鎖の70〜100モル%を占めるポリエステル樹脂(b)0.5〜100重量部を配合する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、寸法安定性と機械的強度に優れたポリアセタール樹脂組成物およびその成形品に関する。
ポリアセタール樹脂は、機械的性質、電気的性質などの物理的性質及び耐薬品性、耐熱性などの化学的特性が優れた代表的なエンジニアリング樹脂として、近年極めて広汎な分野において利用されている。その利用される分野の拡大に伴い、材料としての性質にも、更に一層の改良が要求されてきている。
そのような要求特性の一つとして寸法安定性がある。即ち、ポリアセタール樹脂は一般には射出成形法、押出成形法等により成形され、成形品として工業的な使用に供せられているが、近年の工業製品の高精度化に伴い、ポリアセタール樹脂からなる成形品に対しても高度の寸法安定性が要求される場合がある。又、ポリアセタール樹脂の機械的強度の向上についても、市場からの改善要望が多い。
従来、ポリアセタール樹脂の寸法安定性の改善に関しては、例えば、添加剤とポリオレフィンを配合した特定の結晶化時間を有するポリアセタール樹脂成形材料(特許文献1)、ポリ乳酸樹脂、ポリアセタール樹脂およびその他の熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物(特許文献2)などが提案されている。しかしながらこれらの樹脂組成物は効果にばらつきを生じやすく、又、その効果の再現性が不十分である場合がある。また、これらの組成物における配合成分はいずれもポリアセタール樹脂に対し相溶性、分散性が悪い場合が多く、これが成形品の表面状態にも影響し、その外観を著しく損なう場合も多い。
一方、ポリアセタール樹脂の機械的強度を改良する方法としてはガラス繊維等の無機充填材を配合する方法が一般的であるが、無機充填材を配合する方法では成形品の表面特性や外観を損なうことになり、利用分野が制約されたものになる。また、成形性や成形品の寸法精度を損なう場合もある。このような無機充填材の配合によらない方法、特に他の熱可塑性樹脂の配合によってポリアセタール樹脂の機械的強度を改良することを開示した文献は少ない。
特開平6−207080号公報 特開2003−342460号公報
本発明はかかる実状に鑑み、寸法安定性と機械的強度に優れたポリアセタール樹脂組成物および成形品を提供することを目的とする。
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、ポリアセタール樹脂に特定のポリエステル樹脂を配合してなる樹脂組成物および成形品によって、上述の課題が解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、ポリアセタール樹脂(a)100重量部に対し、ポリグリコール酸単位が主鎖の70〜100モル%を占めるポリエステル樹脂(b)0.5〜100重量部を配合してなるポリアセタール樹脂組成物、並びに
上記ポリアセタール樹脂組成物を成形してなる成形品、特に平均球晶径が10μm以下である成形品に関する。
本発明により、寸法安定性と機械的強度に優れた樹脂組成物および成形品を提供することが可能となり、ポリアセタール樹脂の更なる品質向上を図ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明に用いられるポリアセタール樹脂(a)はオキシメチレン基(−CH2O−)を主たる構成単位とする高分子化合物で、ポリオキシメチレンホモポリマー、オキシメチレン基以外に他の構成単位を含有するコポリマー(ブロックコポリマーを含む)等の何れにてもよく、又、分子が線状のみならず分岐、架橋構造を有するものであってもよい。
一般に、ホモポリマーは、無水ホルムアルデヒドの重合、もしくはホルムアルデヒドの環状三量体であるトリオキサンの重合により製造される。通常、末端キャップにより、熱分解に対して安定化されている。
又、コポリマーは一般的には、ホルムアルデヒド又は一般式(CH2O)n[但し、nは3以上の整数]で表されるホルムアルデヒドの環状オリゴマー、例えばトリオキサンと、環状エーテル及び/又は環状ホルマールとを共重合することによって製造され、通常、加水分解によって末端の不安定部分を除去して熱分解に対して安定化される。本発明に用いられるポリアセタール樹脂(a)としては、調製される樹脂組成物およびその成形品の色相の安定性の観点から、ポリアセタール樹脂コポリマーが特に好ましい。
ポリアセタール樹脂コポリマーの主原料として使用されるトリオキサンは、一般的には酸性触媒の存在下でホルムアルデヒド水溶液を反応させることによって得られ、これを蒸留等の方法で精製して用いられる。重合に用いるトリオキサンは、水、メタノール、蟻酸などの不純物を極力含まないものが好ましい。
上記ポリアセタール樹脂コポリマーの製造にあたり、コモノマーとして用いられる環状エーテル及び/又は環状ホルマール化合物としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、オキセタン、テトラヒドロフラン、トリオキセパン、1,3−ジオキソラン、エチレングリコールホルマール、プロピレングリコールホルマール、ジエチレングリコールホルマール、トリエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマール、1,5−ペンタンジオールホルマール、1,6−ヘキサンジオールホルマール等が挙げられる。中でも、エチレンオキシド、1,3−ジオキソラン、1,4−ブタンジオールホルマール、ジエチレングリコールホルマールからなる群から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、特に、1,3−ジオキソランが好ましい。これらの環状エーテル及び/又は環状ホルマール化合物の特に好ましい共重合割合は0.5〜20重量%である。
上記ポリアセタール樹脂コポリマーは、一般には更に適量の分子量調整剤を添加して、カチオン重合触媒を用いてカチオン重合を行う等の方法で得られる。分子量調整剤としては、メチラール、メトキシメチラール、ジメトキシメチラール、トリメトキシメチラール、オキシメチレンジ−n−ブチルエーテル等のアルコキシ基を有する低分子量アセタール化合物、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール類、エステル化合物、酸化合物、水などが例示される。その中でも、アルコキシ基を有する低分子量アセタール化合物が特に好ましい。
上記ポリアセタール樹脂コポリマーの製造に用いられるカチオン重合触媒としては、四塩化鉛、四塩化スズ、四塩化チタン、三塩化アルミニウム、塩化亜鉛、三塩化バナジウム、三塩化アンチモン、五フッ化リン、五フッ化アンチモン、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート、三フッ化ホウ素ジブチルエーテラート、三フッ化ホウ素ジオキサネート、三フッ化ホウ素アセチックアンハイドレート、三フッ化ホウ素トリエチルアミン錯化合物等の三フッ化ホウ素配位化合物、過塩素酸、アセチルパークロレート、t−ブチルパークロレート、ヒドロキシ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の無機及び有機酸、トリエチルオキソニウムテトラフロロボレート、トリフェニルメチルヘキサフロロアンチモネート、アリルジアゾニウムヘキサフロロホスフェート、アリルジアゾニウムテトラフロロボレート等の複合塩化合物、ジエチル亜鉛、トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド等のアルキル金属塩、ヘテロポリ酸、イソポリ酸等が挙げられる。その中でも特に三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート、三フッ化ホウ素ジブチルエーテラート、三フッ化ホウ素ジオキサネート、三フッ化ホウ素アセチックアンハイドレート、三フッ化ホウ素トリエチルアミン錯化合物等の三フッ化ホウ素配位化合物が好ましい。これらの触媒は有機溶剤等で予め希釈して用いることもできる。
上記ポリアセタール樹脂コポリマーの製造において、重合装置は特に限定されるものではなく、公知の装置が使用され、特に2軸のパドル等を付した連続式の重合装置が好適に使用される。また、重合温度は65〜135℃に保つことが好ましい。重合後の失活は、重合反応後、重合機より排出される生成反応物、あるいは、重合機中の反応生成物に塩基性化合物、あるいは、その水溶液等を加えて行う。重合触媒を中和し失活するための塩基性化合物としては、アンモニア、或いは、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、トリブタノールアミン等のアミン類、或いは、アルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物塩類、その他公知の触媒失活剤が用いられる。また、重合反応後、生成物にこれらの水溶液を速やかに加え、失活させることが好ましい。かかる重合方法及び失活方法の後、必要に応じて更に、洗浄、未反応モノマーの分離回収、乾燥等を従来公知の方法にて行う。
本発明のポリアセタール樹脂(a)のメルトインデックスは0.01〜500g/10minの範囲のものが好ましく、特に0.1〜100g/10minの範囲のものが好ましい。
次に、本発明において使用するポリグリコール酸単位が主鎖の70〜100モル%を占めるポリエステル樹脂(b)の製造方法としては、(i)グリコール酸の環状2量体エステルであるグリコリドの開環重合による方法、(ii)グリコール酸及び/又はそのカルボン酸エステルの重縮合による方法、等が例示される。また、上記(i)で使用するグリコリドは、グリコール酸オリゴマーの昇華解重合法、或いは、溶液相解重合法等によって得ることができ、特に高純度のグリコリドを使用するのが好ましい。
本発明で使用するポリエステル樹脂(b)は、ポリグリコール酸単位以外の単位を30モル%を超えない範囲で含むものであってもよく、上記(i)の製造方法においてグリコリド以外の他成分を、(ii)の製造方法においてグリコール酸及び/又はそのカルボン酸エステル以外の他成分を、反応成分の一部に用いてもよい。
ここで言う他成分としては、ジカルボン酸成分、ジオール成分、オキシカルボン酸成分、環状エステル成分、炭酸エステル化合物成分等が挙げられ、これらの成分は、単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
ジカルボン酸成分としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、3,3−ジメチルペンタンジカルボン酸、ダイマー酸等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を有する脂肪族ジカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和結合を有する脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などのナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェノキシエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルケトンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、及び、これらのカルボン酸エステル、酸無水物等が挙げられる。
ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,2−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基を有する脂肪族ジオール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の長鎖状脂肪族ジオール類、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール類等が挙げられる。
オキシカルボン酸成分の具体例としては、乳酸、2−メチル乳酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、3−ヒドロキシ−2、2−ジメチルプロピオン酸、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、3−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、ラクトン開環体、及び、これらのカルボン酸エステル等が挙げられる。
環状エステル成分の具体例としては、ラクチド、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、ピバロラクトン、β−メチル−β−プロピオラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等が挙げられる。又、炭酸エステル化合物の具体例としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート等が挙げられる。
又、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸等の水酸基とカルボキシル基を併せて少なくとも3個以上有するオキシカルボン酸及び、これらのアルキルエステルを少量用いることも可能である。又、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの3価以上のアルコールを少量用いることも可能である。
更に、上記の化合物に光学異性体が存在する場合には、D体、L体、またはラセミ体のいずれでも良い。
本発明で使用するポリグリコール酸単位が主鎖の70〜100モル%を占めるポリエステル樹脂(b)の重合は、通常、触媒の存在下で行われる。触媒は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。重合触媒としては、特に限定はなく、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、イリジウム、ゲルマニウム、スズ、アンチモン、リチウム、ナトリウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ランタン、サマリウム等の元素を含む化合物、例えば、有機酸塩、金属アルコキシド、金属錯体(アセチルアセトナートなど)等の有機金属化合物、金属酸化物、金属水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、硫酸塩、硝酸塩、塩化物等の無機金属化合物、トリアリルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、ベンジルジメチルアミンなどの三級アミン、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、ケイタングステン酸などのヘテロポリ酸およびそのアルカリ金属塩、硫酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1−プロパンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−クロロベンゼンスルホン酸、m−キシレン−4−スルホン酸等のプロトン酸またはその誘導体等が例示される。
上記の金属化合物触媒とともに、有機または無機のリン化合物を併用することもできる。具体例としては、リン酸、無水りん酸、ポリりん酸、メタりん酸、ピロりん酸、亜りん酸、次亜りん酸、トリポリりん酸等とそれらの金属塩、アンモニウム塩、塩化物、エステル化物等、アルキル又はアリール酸性ホスフェート類、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、ジブチルブチルホスホネート、ジブチル水素ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、トリスイソデシルホスファイト等が挙げられる。
更に、特開平8−34843号公報、同11−116666号公報の如く、固相重合により分子量を増大させる方法、特開平4−189822号公報、同4−189823号公報、同6−41288号公報、同6−298920号公報、同7−53700号公報、同7−70296号公報、同7−90043号公報の如く、ヘキサメチレンジイソシアナート等のイソシアナート化合物で分子量を増大させる方法、又、エポキシ化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物、多価金属化合物、リン酸エステル、亜リン酸エステル、多価カルボン酸、多価酸無水物等で分子量を増大させる方法、米国特許第5401796号明細書の如く、有機溶媒を使用して脱水縮合反応させる方法等を行うことも可能である。又、他の重合体と加熱下にエステル交換反応させることも可能である。
本発明で使用するポリグリコール酸単位が主鎖の70〜100モル%を占めるポリエステル樹脂(b)の重量平均分子量(Mw)は、10,000〜1,000,000の範囲のものが好ましく、20,000〜500,000の範囲のものが特に好ましい。尚、重量平均分子量(Mw)は実施例で後述する如く、GPC測定装置により求めた、ポリメチルメタクリレートを標準として算出した値である。
本発明では、上記のポリアセタール樹脂(a)及び、ポリグリコール酸単位が主鎖の70〜100モル%を占めるポリエステル樹脂(b)を用いて樹脂組成物を調製する。(a)及び(b)の組成比は、ポリアセタール樹脂(a)100重量部に対し、ポリエステル樹脂(b)が0.5〜100重量部であることが必要である。ポリアセタール樹脂(a)100重量部に対し、ポリエステル樹脂(b)が0.5重量部よりも過少の場合、寸法安定性と機械的強度の十分な改善が得られない。
本発明の組成物調製法としては特に制約はないが、基本的にはポリアセタール樹脂(a)、及び、ポリエステル樹脂(b)を溶融混練処理することによって調製される。処理条件は(a)及び(b)の融点以上、好ましくは210℃以上、250℃以下の温度で少なくとも30秒以上混練することが望ましい。溶融温度が210℃を下回る場合には、後述の平均球晶径が大きくなる傾向があり、寸法安定性と機械的強度の十分な改善が得られず、好ましくない。調製法の具体的態様は特に限定するものではなく、一般に合成樹脂組成物の調製法として公知の設備と方法により調製することができる。即ち、必要な成分を混合し、1軸又は2軸の押出機又はその他の溶融混練装置を使用して混練する方法が一般的である。また、各成分の分散混合をよくするため樹脂成分の一部又は全部を微粉砕し、混合して溶融押出した後、そのペレットを形成する方法、或いは組成物を構成する成分の一部を予め溶融混練し(マスターバッチ)、これを残りの他の成分と更に混練して所定の成分の組成物又は成形品とする方法等を用いることも可能である。
本発明の樹脂組成物は、さらに公知の各種安定剤を添加することが可能である。本発明の組成物に使用する酸化防止剤としては、例えば、フェノール系(ヒンダードフェノール類など)、アミン系(ヒンダードアミン類など)、リン系、イオウ系、ヒドロキノン系、キノリン系酸化防止剤などが挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール類、例えば、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、n−オクタデシル−3−(4’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)プロピオネート、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)プロピオネート、ステアリル−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオネート、ジステアリル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェノール)ブタンなどが挙げられる。
アミン系酸化防止剤としては、ヒンダードアミン類、例えば、トリ又はテトラC1-3アルキルピペリジン又はその誘導体[ 例えば、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−フェノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなど] 、ビス(トリ、テトラ又はペンタC1-3アルキルピペリジン)C2-20アルキレンジカルボン酸エステル[ 例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)オギサレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)マロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アジペート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)テレフタレート] 、1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)エタン、フェニル−1−ナフチルアミン、フェニル−2−ナフチルアミン、N,N’−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−シクロヘキシル−1,4−フェニレンジアミンなどが挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリイソデシルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル)ジトリデシルホスファイト、トリス(分岐C3-6アルキルフェニル)ホスファイト[ 例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−アミルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス[2−(1,1−ジメチルプロピル)−フェニル]ホスファイト、トリス[2,4−(1,1−ジメチルプロピル)−フェニル]ホスファイトなど] 、ビス(2−t−ブチルフェニル)フェニルホスファイト、トリス(2−シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチル−4−フェニルフェニル)ホスファイト、ビス(C3-9アルキルアリール)ペンタエリスリトールジホスファイト[例えば、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなど]、トリフェニルホスフェート系安定剤(例えば、4−フェノキシ−9−α−(4−ヒドロキシフェニル)−p−クメニルオキシ−3,5,8,10−テトラオキサ−4,9−ジホスファピロ[5,5]ウンデカン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェートなど)、ジホスフォナイト系安定剤(例えば、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル)−4,4' −ビフェニレンジホスフォナイトなど)などが挙げられる。
又、ヒドロキノン系酸化防止剤としては、例えば、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノンなどが挙げられ、キノリン系酸化防止剤としては、例えば、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンなどが挙げられ,イオウ系酸化防止剤には、例えば、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネートなどが挙げられる。
これらの酸化防止剤は単独で、又は二種以上組み合わせて使用できる。酸化防止剤の含有量は、例えば、樹脂組成物100重量部に対して、0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜2.5重量部、特に0.1〜1重量部程度の範囲から選択することができる。
又、本発明の樹脂組成物に使用する耐熱安定剤としては、金属の水酸化物や無機塩、脂肪酸の金属塩、アミジン化合物やアミド化合物の如き窒素含有化合物等、耐候(光)安定剤としては、ベンゾトリアゾール系物質、ベンゾフェノン系物質、芳香族ベンゾエート系物質、ヒンダードアミン系物質(立体障害性基を有するピペリジン誘導体)等が一般的に用いられる。
更に本発明の組成物には目的とする用途に応じてその物性を改善するため、公知の各種の添加物を配合し得る。添加物の例を示せば、各種の着色剤、滑剤、離型剤、核剤、界面活性剤、異種ポリマー、有機高分子改良剤及び無機、有機、金属等の繊維状、粉粒状、板状の充填剤が挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合使用できる。
又、上記安定剤、添加剤等の配合は任意のいかなる段階、例えば、ポリアセタール樹脂(a)に一旦加えても、ポリエステル樹脂(b)に一旦加えても、或いは樹脂組成物の調整時に加えてもよく、又最終成形品を得る直前で、添加、混合することも可能である。
上記方法にて得られた、本発明の樹脂組成物は、射出成形法、ガスアシスト射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、シート成形法、フィルム成形法等、従来公知の各種分野の成形法を適用して、成形品に成形される。
本発明の組成物を用いた成形品は、その成形品内部に有する球晶が、平均球晶径として10μm以下であることが好ましい。ここで、平均球晶径とは、実施例で後述する方法にて評価される。平均球晶径が10μmを超える場合には、寸法安定性と機械的強度への改善効果が少ないので、好ましくない。
上記の様にして得られた本発明の樹脂組成物を用いた成形品は寸法安定性と機械的強度に優れ、ポリアセタール樹脂の更なる品質向上を図ることができる。又、本発明の樹脂組成物およびその成形品は、ポリアセタール樹脂とポリエステル樹脂との親和性が高く、成形品の表面状態も良好である、
以下、実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
製造例1 ポリアセタール樹脂コポリマー(a−1)の重合
外側に熱(冷)媒を通すジャケットが付き、断面が2つの円が一部重なる形状を有するバレルと、パドル付き回転軸で構成される連続式混合反応機を用い、パドルを付した2本の回転軸をそれぞれ150rpmで回転させながら、トリオキサン100重量部、1,3−ジオキソラン3.2重量部、更に分子量調整剤としてメチラール0.1重量部を連続的に所定の割合で加え、触媒の三フッ化ホウ素0.002重量部を連続的に添加供給し塊状重合を行った。重合機から排出された反応生成物は速やかに破砕機に通しながら、トリエチルアミンを0.05重量%含有する60℃の水溶液に加え触媒を失活した。さらに、分離、洗浄、乾燥後、粗ポリアセタール樹脂を得た。
次いで、この粗ポリアセタール樹脂100重量部に対して、トリエチルアミン5重量%水溶液を3重量部、安定剤のペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕を 0.3重量部添加し、2軸押出機にて 210℃で溶融混練し不安定部分を除去し、ペレット状のポリアセタール樹脂コポリマー(a−1)を得た。得られたポリマーのメルトインデックス(ASTM D−1238に準じて190℃、2160gの荷重下で測定)は9.5g/10minであった。又、ヘキサフルオロイソプロパノールd2を溶媒とするプロトンNMR測定により、共重合組成は3.4重量%と確認された。
製造例2 ポリグリコール酸樹脂(b−1)の重合
窒素雰囲気下、バッチ式攪拌装置に、グリコリド100重量部、及び、触媒として、SnCl4・6.5H2Oを仕込み、175℃の温度にて2時間攪拌して重縮合反応を行った。反応生成物を排出し、水槽で冷却し、カッターで裁断してペレット状とし、更に150℃で減圧乾燥し、ポリグリコール酸樹脂(b−1)を得た。得られたポリマーの重量平均分子量は5.5万であった。尚、重量平均分子量は、以下の方法にて測定した。
[重量平均分子量]
GPC測定装置を用い、溶離液としてHFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール)/10mMのトリフルオロ酢酸ナトリウムを用いることにより40℃で測定した。なお、標準試料としてポリメチルメタクリレートを使用した。
製造例3 ポリグリコール酸樹脂(b−2)の重合
窒素雰囲気下、バッチ式攪拌装置に、グリコール酸メチル100重量部、及び、触媒として、SnCl4・6.5H2Oを仕込み、150℃で3時間反応させ、生成したメタノールを除去した。続いて180℃に昇温し、50mbarの減圧下にて、2時間、重縮合反応を行った。反応生成物を排出し、水槽で冷却し、カッターで裁断してペレット状とし、更に150℃で減圧乾燥し、ポリグリコール酸樹脂(b−2)を得た。得られたポリマーの重量平均分子量は4.6万であった。
製造例4 ポリグリコール酸―乳酸共重合樹脂(b−3)の重合
窒素雰囲気下、バッチ式攪拌装置に、グリコリド100重量部、L−ラクチド2重量部、及び、触媒として、SnCl4・6.5H2Oを仕込み、175℃の温度にて2時間攪拌して重縮合反応を行った。反応生成物を排出し、水槽で冷却し、カッターで裁断してペレット状とし、更に150℃で減圧乾燥し、ポリグリコール酸―乳酸共重合樹脂(b−3)を得た。得られたポリマーの重量平均分子量は4.9万であった。
製造例5 高分子量ポリグリコール酸樹脂(b−4)の重合
製造例3で得られたポリマーを、210℃、0.1mbarの減圧下で30時間、固相重合を行ない、高分子量ポリグリコール酸樹脂(b−4)を得た。得られたポリマーは、重量平均分子量が14.4万であった。
実施例1〜7、比較例1〜2
表1に示す如く、ポリアセタール樹脂(a−1)、及び、ポリエステル樹脂(b−1〜4)を予め混合した後、2軸押出機を用いて、樹脂温度225℃で溶融混練処理し、ペレット状の組成物を調製し、続いて、射出成形機にてISO試験片を成形し、平均球晶径、寸法安定性、機械的強度の評価を行った。結果を表1に示す。又、比較のため、ポリアセタール樹脂(a−1)のみを使用した場合、並びにポリエステル樹脂(b−1)の添加量が本発明規定範囲を下回る場合についても同様に評価を行った。結果を併せて表1に示す。
尚、各評価は、以下の方法にて実施した。
[寸法安定性の評価]
ISO引張試験片を成形し、試験片を温度23℃、湿度50%の空調室に24時間放置した後に、試験片の寸法(縦方向の長さ)を正確に測定した。その後、70℃×2時間の条件にて試験片を処理し、再び上記空調室に24時間放置した後に、寸法を測定した。処理後の寸法と初期の寸法との差(絶対値)に基づき、寸法安定性を以下の指標で表示した。
◎(大変良好):寸法変化量0mm以上〜0.03mm未満
○(良好) :寸法変化量0.03mm以上〜0.05mm未満
△(やや良好):寸法変化量0.05mm以上〜0.10mm未満
×(劣る) :寸法変化量0.10mm以上
[平均球晶径の評価]
ISO引張試験片を成形し、試験片の中央部(樹脂流動方向垂直面)をダイヤモンドミクロトームで切削した。続いて、偏光顕微鏡により切片の球晶観察を行い、観察画像を基に、画像処理装置を用いて平均球晶径の測定を行った。
[機械的強度の評価]
ISO178に基づき曲げ弾性率を測定した。
実施例8
表1に示す如く、ポリアセタール樹脂(a−1)、及び、ポリエステル樹脂(b−1)を予め混合した後、2軸押出機を用いて、樹脂温度195℃で溶融混練処理し、ペレット状の組成物を調製し、続いて、射出成形機にてISO試験片を成形し、平均球晶径、寸法安定性、機械的強度の評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2006056925

Claims (5)

  1. ポリアセタール樹脂(a)100重量部に対し、ポリグリコール酸単位が主鎖の70〜100モル%を占めるポリエステル樹脂(b)0.5〜100重量部を配合してなるポリアセタール樹脂組成物。
  2. ポリアセタール樹脂(a)が、ホルムアルデヒド又は一般式(CH2O)n〔但し、nは3以上の整数〕で表されるホルムアルデヒドの環状オリゴマーと環状エーテル及び/又は環状ホルマールとを共重合することにより得られるポリアセタール樹脂コポリマーである請求項1記載のポリアセタール樹脂組成物。
  3. ポリアセタール樹脂(a)が、環状エーテル及び/又は環状ホルマール化合物を0.5〜20重量%の割合で共重合させてなるポリアセタール樹脂コポリマーである請求項2記載のポリアセタール樹脂組成物。
  4. ポリアセタール樹脂(a)が、ホルムアルデヒドの環状オリゴマーであるトリオキサンと環状ホルマールである1,3−ジオキソランとを共重合させてなるポリアセタール樹脂コポリマーである請求項2又は3記載のポリアセタール樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリアセタール樹脂組成物を成形してなり、平均球晶径が10μm以下である成形品。
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