JP2006056746A - アルミナ・ジルコニアセラミックスおよびその製法 - Google Patents

アルミナ・ジルコニアセラミックスおよびその製法 Download PDF

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Abstract

【課題】 高強度、高靭性に加えて耐摩耗性に優れた複合セラミックスとその製法を提供する。
【解決手段】 9〜12モル%のCeOと2.8〜4.5モル%のYとを含むジルコニア結晶相10〜30質量%と、アルミナ結晶相70〜90質量%とからなり、前記ジルコニア結晶相の平均結晶粒径が1μm以下であることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、アルミナ・ジルコニアセラミックスおよびその製法に関し、特に、構造用部品などに好適な高強度、高靭性でかつ耐磨耗性の高いアルミナ・ジルコニアセラミックスおよびその製法に関する。
近年、セラミックスは、その優れた機械的特性並びに耐腐食性などの理由から種々の構造用部品に適用されている。例えば、種々の刃物類や工具類、あるいは軸受けなどの機構部品や生体関連部材等である。こうした用途に適用されるセラミックスとして、特許文献1には、CeOとYとにより安定化されたジルコニア結晶相とアルミナ結晶相とを含むジルコニア系複合セラミックスが開示されており、該複合セラミックスは、ジルコニア結晶相が主として正方晶からなり、強度や靭性などの機械的特性や耐熱水劣化性などに優れていることが記載されている。
特公平7−64631号公報
上記特許文献1に記載されたジルコニア系の複合セラミックスは、安定化ジルコニア当りアルミナを3〜60重量%を含むジルコニアリッチの焼結体であり、平均結晶粒径が3μm以下のものであるが、曲げ強度、靭性及び耐熱水劣化性は高いものの、硬度が低く耐摩耗性の材料として劣っていた。
従って、本発明の目的は、曲げ強度、靭性及び耐熱水劣化性に優れているばかりか、高硬度であり、耐摩耗性材料としても有用な複合セラミックス及びその製法を提供することにある。
本発明によれば、9〜12モル%のCeOと2.8〜4.5モル%のYとを含むジルコニア結晶相10〜30質量%と、アルミナ結晶相70〜90質量%とからなり、前記ジルコニア結晶相の平均結晶粒径が1μm以下であることを特徴とするアルミナ・ジルコニアセラミックスが提供される。
本発明のアルミナ・ジルコニアセラミックスにおいては、
(1)前記アルミナ結晶相の平均結晶粒径が2μm以下であること、
(2)ジルコニア結晶相とアルミナ結晶相との合計量100質量%当り、酸化物換算で3質量%以下の量でZnを含有しているとともに、CeとAlとを構成元素として有する複合酸化物の針状結晶を含有していること、
(3)前記複合酸化物が、式:ZnCeAl1119で表されるマグネトプランバイト型構造を有する複合酸化物であること、
(4)ビッカース硬度が1600以上であり、破壊靭性値が4.5以上であり、且つ熱水劣化試験後の抗折強度が1000MPa以上であること、
が好ましい。
本発明によれば、また、
平均粒径が1μm以下であって且つCeOが固溶しているCe安定化ジルコニア粉末と、平均粒径が1μm以下であって且つYが固溶したY安定化ジルコニア粉末と、平均粒径が2μm以下のアルミナ粉末とを用意する工程、
前記Ce安定化ジルコニア粉末とY安定化ジルコニア粉末とアルミナ粉末とを、下記(a)〜(c)の条件:
(a)Ce安定化ジルコニア粉末とY安定化ジルコニア粉末との質量比が65/35〜
85/15であること、
(b)Ce安定化ジルコニア粉末とY安定化ジルコニア粉末との合計量当り、CeO
濃度が9〜12モル%であり、且つY濃度が2.8〜4.5モル%であるこ
と、
(c)Ce安定化ジルコニア粉末とY安定化ジルコニア粉末との合計量とアルミナ粉末
との質量比が10/90〜30/70であること、
を満足するように混合して成形用混合粉末を調製する工程、
前記成形用混合粉末を所定形状に成形する工程、及び
得られた成形体を1600℃以下の酸化性雰囲気中で焼成する工程、
からなることを特徴とするアルミナ・ジルコニアセラミックスの製法が提供される。
本発明の製法においては、
(5)前記成形用混合粉末には、Ce安定化ジルコニア粉末とY安定化ジルコニア粉末とアルミナ粉末との合計量100質量部当り、3質量部以下の量で酸化亜鉛粉末が混合されていること、
(6)前記焼成工程後に、更に1500℃以下の熱間静水圧焼成を行うこと、
が好ましい。
本発明の複合セラミックスは、アルミナリッチのアルミナ・ジルコニアセラミックスであり、アルミナ含量が70〜90質量%と多いため、硬度が高く、優れた耐摩耗性を示すばかりか、ジルコニア結晶相がCeO及びYにより安定化された正方晶を主体としており、しかもジルコニア結晶粒の粒成長が平均して1μm以下に抑制されているため、アルミナの増量に起因する強度低下を有効に回避することができ、強度や靭性にも優れ、さらには耐熱水性も高く、例えば、1600以上のビッカース硬度、4.5以上の破壊靭性値を示し、且つ熱水劣化試験後においても1000MPa以上の抗折強度を示す。
このように、本発明のアルミナ・ジルコニアセラミックスは、高強度、高靭性で且つ硬度が高く、耐摩耗性に優れており、しかも耐熱水劣化性にも優れていることから、種々の構造用部品や、種々の刃物類や工具類、あるいは軸受けなどの機構部品、生体関連部材等の用途に極めて有用である。
(アルミナ・ジルコニアセラミックス)
本発明のアルミナ・ジルコニアセラミックスは、結晶相として、ジルコニア結晶相とアルミナ結晶相とを有しており、アルミナリッチであるという基本構造を有している。即ち、アルミナ結晶相含有量は70〜90質量%、特に75〜85質量%であり、ジルコニア結晶相の含有量は30〜10質量%、特に15〜25質量%の範囲にあり、このようにアルミナリッチの組成とすることにより、高硬度化を実現し、耐摩耗性を向上させることができる。例えば、アルミナ結晶相の含有量が70質量%未満の場合(或いはジルコニア結晶相の含有量が30質量%を越える場合)には、高硬度化を達成することができず、例えばビッカース硬度を1600以上とすることができない。また、アルミナ結晶相含有量が90質量%を越える場合(ジルコニア結晶相含有量が10質量%未満の場合)には、例えばアルミナ結晶が大きく成長してしまい、機械的特性のうち特に靭性が低下する。なお、本発明においては、上記のようにアルミナリッチの組成を有しているため、通常、ジルコニア結晶相がアルミナ結晶相の粒界に分散して存在しており、このような分散構造も、アルミナ結晶相による高硬度化を実現させる上で有利となっている。
また、本発明においては、ジルコニア結晶相の平均結晶粒子径は、アルミナの平均粒径よりも小さく、特に1μm以下、好ましくは0.3〜0.7μmの範囲にあることが極めて重要である。即ち、本発明においては、ジルコニア結晶の粒成長が有効に抑制された組織構造を有しているため、微粒化或いは高密度化によって、高強度化や高靭性化を実現できるのである。また、高強度化や高靭性化の点で、アルミナ結晶の粒成長も抑制されていることが好ましく、例えばアルミナ結晶相の平均結晶粒径は2μm以下、特に0.8〜1.3μmの範囲にあることが好ましい。
さらに、本発明においては、ジルコニア結晶相が、CeOを9〜12モル%、特に10〜11モル%の量で含み、且つYを2.8〜4.5モル%、特に2.9〜3.3モル%の量で含んでいることも重要である。即ち、本発明においては、特にCeOの固溶により安定化されたジルコニア結晶粒子とYの固溶により安定化されたジルコニア結晶粒子とから構成されており、上記のような量でCeO及びYが存在しているため、このジルコニア結晶相が正方晶として安定化され、単斜晶および立方晶の析出が抑制され、この結果として、強度(例えば抗折強度)や靭性を高め、さらには硬度を高めることもできる。
例えば、CeO量或いはY量が上記範囲よりも少ないと、準安定相である単斜晶が析出しやすくなり、また、CeO量或いはY量が上記範囲よりも多いと、立方晶が増加し、何れの場合も、抗折強度、靭性、硬度が低下してしまう。
尚、Yは3価の酸化物であり、4価の酸化物であるZrOに固溶すると、酸素空孔が形成されてしまい、この酸素空孔に水が作用することにより、ジルコニアの結合の切断が生じ、熱水劣化を引き起こす。即ち、ジルコニア結晶相の安定化剤としてYのみを用いて高強度化等の特性向上を達成させようとすると、耐熱水劣化性が著しく低下してしまう。しかしながら、本発明のアルミナ・ジルコニアセラミックスでは、Yとともに、CeOを安定化剤として含有しているため、Y量を耐熱水劣化性が損なわれない程度に抑制しながら、各種の特性向上を実現できる。即ち、CeOは4価の酸化物であり、ZrOに固溶しても酸素空孔を形成せず、熱水劣化を引き起こさないからである。このことから理解されるように、本発明では、CeOが4価のままで保持されていることが必要であり、焼成等の段階でのCeOからCeの形成を防止することが必要である。この手段については、後述する。
また、本発明のアルミナ・ジルコニアセラミックスは、ジルコニア結晶相とアルミナ結晶相との合計量100質量%当り、酸化物換算で3質量%以下、特に0.3質量%以上の量でZnを含有していることが好ましい。即ち、このZnは、セラミック原料粉末に添加される酸化亜鉛(ZnO)に由来するものであり、ZnOの存在下での焼成により、CeとAlとを構成元素として有する複合酸化物の針状結晶が析出することとなり、これにより、靭性を一層向上させることができる。ただし、このような複合酸化物の一部は、式:ZnCeAl1119で表されるマグネトプランバイト型構造を有しており、アルミナよりも低硬度であるため、多量に析出すると、硬度低下を生じ、さらには大きな針状晶が析出することとなり、強度低下にもつながる。従って、硬度低下や強度低下をもたらすことなく、適度な大きさの針状晶を適度な量で析出させて靭性向上効果を発現させるために、この系に存在するZn量は、上記範囲(3質量%以下、特に0.3質量%以上)とすることが好ましいわけである。
尚、本発明のアルミナ・ジルコニアセラミックスは、上述した各成分に加えて、焼結助剤、例えばSrO,BaO,CaOなどの焼結助剤に由来する酸化物成分を含有していてもよく、これらの酸化物成分は、通常、結晶の粒界に存在するが、その一部が結晶相中に固溶することもある。
上述した本発明のアルミナ・ジルコニアセラミックスは、抗折強度等の強度特性や靭性に優れ、さらには硬度も高く、耐摩耗性にも優れ、しかも耐熱水劣化性も良好である。例えば、後述する実施例からも明らかなように、1600以上のビッカース硬度、4.5以上の破壊靭性値を示し、且つ熱水劣化試験後においても1000MPa以上の抗折強度を示す。このような特性を有する本発明の複合セラミックスは、種々の構造用部品、例えば、種々の刃物類や工具類、あるいは軸受けなどの機構部品や生体関連部材用途に極めて有用である。
(アルミナ・ジルコニアセラミックスの製造)
本発明のアルミナ・ジルコニアセラミックスは、前述した組成を満足するように、ジルコニア結晶源、アルミナ結晶源となる各種の原料粉末を用意し、この原料粉末を所定の量比で混合して成形用混合粉末を調製し、次いで、成形及び焼成を行うことにより製造される。
<原料粉末>
ジルコニア結晶源となる原料粉末としては、所定量のCeOが固溶しているCe安定化ジルコニア粉末と、所定量のYが固溶したY安定化ジルコニア粉末とが使用される。これらの安定化ジルコニア粉末は、所定量のCeO或いはYと、ジルコニア粉末とを混合した後に、例えば700〜1100℃程度の温度で仮焼することにより得られる。またCe、Y及びジルコニウムの金属塩やアルコキシドを、pH調整した水溶液中で混合し加水分解することにより(加水分解法)安定化ジルコニア粉末を調製することもできるし、所謂熱分解法により得ることもできる。
また、上記の安定化ジルコニア粉末としては、平均粒径が1μm以下、好ましくは0.7μm以下の微細粉末を用いるべきである。平均粒径の大きな粉末を用いると、ジルコニア結晶の平均粒径が大きくなってしまい、硬度低下等を生じてしまうからである。尚、これらの安定化ジルコニア粉末には、不可避的不純物としてハフニア(HfO)などを含むが、その純度は、99.9質量%以上であることが好ましい。
アルミナ結晶源としては、アルミナ粉末が使用されるが、このアルミナ粉末の平均粒径は2μm以下、特に1.5μm以下とすべきである。平均粒径の大きな粗大な粉末を用いると、アルミナ結晶相の平均粒径が大きくなってしまい、強度低下を生じてしまうからである。また、かかるアルミナ粉末の純度も99.9質量%以上であるのがよい。
また、上述した安定化ジルコニア粉末やアルミナ粉末以外に、酸化亜鉛(ZnO)粉末を用いることが好ましい。この酸化亜鉛粉末は、先にも述べたように、靭性を向上させる複合酸化物の針状晶を析出させるためのものであり、微細な針状晶が均一に分散された状態で析出させるために、酸化亜鉛粉末の平均粒径は1μm以下、特に0.5μm以下であることが好ましい。
さらに、焼結性を高めるために、必要により、SrO,BaO,CaOなどの粉末を焼結助剤として用いることもできる。これらの焼結助剤は、酸化物に限定されるものではなく、焼成により酸化物を形成する化合物の形、例えば炭酸塩として用いることもできる。これらの焼結助剤の粉末の平均粒径は、一般に、1μm以下であることが好ましい。
<成形用粉末の調製>
本発明においては、上述した各種の原料粉末を混合して成形用混合粉末を調製するが、この混合粉末は、以下の条件を満足していることが必要である。
まず、Ce安定化ジルコニア粉末とY安定化ジルコニア粉末との質量比が65/35〜85/15、特に70/30〜80/20の範囲でなければならない(条件(a))。即ち、先に述べたように、Y安定化ジルコニアは、耐熱水劣化性が悪いという欠点があるため、正方晶の安定化による強度や靭性の向上を実現させつつ良好な耐熱水劣化性を確保するためには、Ce安定化ジルコニア粉末とY安定化ジルコニア粉末とを上記の量比で使用する必要がある。
また、ジルコニア結晶相中のCeO固溶量及びY固溶量を前述した範囲に保持するために、Ce安定化ジルコニア粉末とY安定化ジルコニア粉末との合計量当り、CeO濃度が9〜12モル%であり、且つY濃度が2.8〜4.5モル%の範囲になければならない(条件(b))。CeO濃度或いはY濃度がこの範囲外であると、正方晶安定化による高強度化や高靭性化が達成レズ、また耐熱水劣化性も不満足となってしまうおそれがあるからである。従って、用いる安定化ジルコニア粉末におけるCe或いはYの固溶量に応じて、この条件(b)を満足するように、上記条件(a)の混合比を選択しなければならない。
さらに、Ce安定化ジルコニア粉末とY安定化ジルコニア粉末との合計量とアルミナ粉末との質量比を10/90〜30/70、特に15/85〜25/75の範囲とすることが必要である(条件(c))。このような量比で安定化ジルコニア粉末とアルミナ粉末とを混合することにより、前述したアルミナリッチの組成を有し、高強度化を実現し、耐摩耗性を向上させることができる。
また、前述した酸化亜鉛粉末を用いて複合酸化物の針状晶を析出する場合には、酸化亜鉛粉末の使用量は、安定化ジルコニア粉末(Ce安定化ジルコニア粉末とY安定化ジルコニア粉末)とアルミナ粉末と合計量100質量部当り、3質量部以下、特に0.3質量部以上とすることが必要である。既に述べたように、酸化亜鉛粉末を多量に使用すると、複合酸化物の針状晶が多量に析出し、硬度低下のおそれがあり、また、針状晶が大きくなって強度低下を生じるおそれもあるからである。
さらに、焼結助剤粉末を用いる場合には、通常、その使用量は、安定化ジルコニア粉末(Ce安定化ジルコニア粉末とY安定化ジルコニア粉末)とアルミナ粉末と合計量100質量部当り、3質量部以下、特に2質量部以下とするのがよい。
<成形>
上述した成形用混合粉末を用いての成形は、必要により、水や有機溶媒等の溶媒、有機バインダーなどを用いてスラリー乃至ペーストを調製し(もしくはスラリー乃至ペーストを乾燥して得られる粉末を調製し)、このようなスラリー、ペーストもしくは粉末を用いて行われる。また、成形手段としては、プレス成形、鋳込み、冷間静水圧成形、或いは冷間静水圧処理など、それ自体公知の手段を採用することができる。
<焼成>
上記で得られた成形体の焼成は、大気雰囲気等の酸化性雰囲気中で、1600℃以下で行わなければならない。1600℃を越える温度で焼成を行うとジルコニア結晶相およびアルミナ結晶相が粒成長し、抗折強度及び硬度が低下するからである。また、焼成温度をあまり低温とすると、緻密な焼結体を得ることが困難となってしまうため、通常、1400℃以上で焼成を行うことが好ましい。かかる焼成は、通常、焼結体のアルキメデス法による相対密度が95%以上、特に98%以上となる程度まで行われ、通常、1乃至5時間程度である。
また、本発明において使用されるCeOが固溶したCe安定化ジルコニアでは、高温でCeOがCeに還元し易く、Ceは、ZrOに固溶することができない。従って、Ceの生成は、焼結体の硬度低下や強度低下をもたらしてしまう。従って、このようなCeの生成を防止するために、大気等の酸化性雰囲気中で焼成を行うことが必要である。
また、本発明では、上記の焼成後に、1400℃以下の温度、特に1200乃至1350℃の温度で、通常、1乃至2時間程度、酸化性雰囲気中(例えば少なくとも20%の酸素を含むArガス中)で熱間静水圧焼成を行うことが望ましい。これにより複合セラミックスを構成するジルコニア結晶相およびアルミナ結晶相の粒成長を抑制しつつさらに高密度化を実現でき、例えば焼結体の相対密度を99%以上に高めることができる。また、かかる熱間静水圧焼成においては、雰囲気中の酸素濃度は、15%以上、特に18%以上とすることが好ましく、これにより、Ceが生成した場合においても、これを再酸化しCeOとしてジルコニア結晶相中に固溶させる事が出来る。
また、上記の熱間静水圧焼成の後に、1100℃〜1400℃の温度で、大気等の酸化性雰囲気中で熱処理を行うこともできる。即ち、酸素分圧下での熱処理により、焼結助剤成分の各結晶相中への固溶を促進し、硬度および耐磨耗性を高めることができる。このような熱処理は、通常、1乃至10時間程度行うのがよい。
以上のようにして、前述した組成及び特性を有する本発明のアルミナ・ジルコニアセラミックスを得ることができる。
(実験例1)
加水分解法により、CeOが固溶したCe安定化ジルコニア粉末(第1ジルコニア粉末と呼ぶ)と、Yが固溶したY安定化ジルコニア粉末(第2ジルコニア粉末と呼ぶ)とを、種々調製した。尚、何れの第1ジルコニア粉末及び何れの第2ジルコニア粉末も純度99.9質量%で平均粒径0.2μmとした。
上記の第1ジルコニア粉末と第2ジルコニア粉末とを表1に示す割合で混合してジルコニア原料粉末を調製し、このジルコニア原料粉末とアルミナ粉末(平均粒径0.3μm、純度99.9質量%)とを表1に示す割合で混合して成形用混合粉末を調製した。ジルコニア原料粉末とアルミナ粉末との混合は、高純度耐摩耗アルミナボールとポリエチレン容器を用い、イソプロパノール(IPA)を溶媒としての湿式ボールミル混合(混合時間100時間)により行った。その後乾燥して得られた混合粉末をプレス成形し、大気中、1400〜1650℃、2時間の焼成を行い、棒状の焼結体を作製した(試料No.1〜18)。
次に、一部の焼結体(相対密度が95%以上のもの)については、表1に示す条件(雰囲気及び温度)で熱間静水圧焼成(HIP)を1時間行い、相対密度99.5%以上の緻密焼結体(試料No.19〜25)を得た。さらに一部の緻密焼結体については、大気中、1250℃の温度で熱処理を1時間行った(試料No.22〜24)。
上記で得られた各焼結体を研削加工して、4×3×35mmの試料を作製し、電子顕微鏡による結晶組織観察、及び各種特性評価を行い、その結果を表1に示した。
電子顕微鏡による結晶組織観察では、ジルコニア結晶相およびアルミナ結晶相の平均結晶径を、電子顕微鏡写真の対角線上に沿って存在するものについて求めた。測定箇所は各10点とした。
各特性評価は、JIS−R1601による室温における抗折強度、及び熱水劣化試験後(120℃、100%RHで300時間処理後)の抗折強度、JIS−R1607によるSEPB法による破壊靱性値、並びにJIS−R1610によりビッカース硬度の測定により行った。
Figure 2006056746
表1の結果から明らかなように、本発明の複合セラミックスである試料No.2〜5、8〜10、13、14、16、17、19〜25では、破壊靭性値が4.5GPa以上、ビッカース硬度が1625以上、抗折強度が1062MPa以上、熱水劣化試験後の抗折強度も1003MPa以上であった。これに対して、本発明の範囲外の試料では、破壊靭性、ビッカース硬度、抗折強度、及び熱水劣化試験後の抗折強度のうち、少なくともいずれかについて特性が低かった。
(実験例2)
実験例1で用いた各原料粉末に加え、さらに酸化亜鉛粉末(平均粒径0.3μm、純度99質量%)を、酸化物(ZnO)換算で表2に示す割合(アルミナ粉末とジルコニア粉末との合計量当りの質量%)で使用した以外は、前述した実験例1と同様にして焼結体を作製し、その評価を行い、結果を表2に示した。
Figure 2006056746
表2の結果から明らかなように、本発明の複合セラミックスである試料No.2〜5、7〜11、14〜16、19、20、22、23,15〜27では、破壊靭性値が4.5GPa以上、ビッカース硬度が1625以上、抗折強度が1062MPa以上、熱水劣化試験後の抗折強度も1000MPa以上であった。これに対して、本発明の範囲外の試料では、破壊靭性、ビッカース硬度、抗折強度、及び熱水劣化試験後の抗折強度のうち少なくともいずれかについて特性が低かった。

Claims (8)

  1. 9〜12モル%のCeOと2.8〜4.5モル%のYとを含むジルコニア結晶相10〜30質量%と、アルミナ結晶相70〜90質量%とからなり、前記ジルコニア結晶相の平均結晶粒径が1μm以下であることを特徴とするアルミナ・ジルコニアセラミックス。
  2. 前記アルミナ結晶相の平均結晶粒径が2μm以下である請求項1に記載のアルミナ・ジルコニアセラミックス。
  3. ジルコニア結晶相とアルミナ結晶相との合計量100質量%当り、酸化物換算で3質量%以下の量でZnを含有しているとともに、CeとAlとを構成元素として有する複合酸化物の針状結晶を含有している請求項1または2に記載のアルミナ・ジルコニアセラミックス。
  4. 前記複合酸化物が、式:ZnCeAl1119で表されるマグネトプランバイト型構造を有する複合酸化物である請求項3に記載のアルミナ・ジルコニアセラミックス。
  5. ビッカース硬度が1600以上であり、破壊靭性値が4.5以上であり、且つ熱水劣化試験後の抗折強度が1000MPa以上である請求項1乃至4の何れかに記載の複合セラミックス。
  6. 平均粒径が1μm以下であって且つCeOが固溶しているCe安定化ジルコニア粉末と、平均粒径が1μm以下であって且つYが固溶したY安定化ジルコニア粉末と、平均粒径が2μm以下のアルミナ粉末とを用意する工程、
    前記Ce安定化ジルコニア粉末とY安定化ジルコニア粉末とアルミナ粉末とを、下記(a)〜(c)の条件:
    (a)Ce安定化ジルコニア粉末とY安定化ジルコニア粉末との質量比が65/35〜
    85/15であること、
    (b)Ce安定化ジルコニア粉末とY安定化ジルコニア粉末との合計量当り、CeO
    濃度が9〜12モル%であり、且つY濃度が2.8〜4.5モル%であるこ
    と、
    (c)Ce安定化ジルコニア粉末とY安定化ジルコニア粉末との合計量とアルミナ粉末
    との質量比が10/90〜30/70であること、
    を満足するように混合して成形用混合粉末を調製する工程、
    前記成形用混合粉末を所定形状に成形する工程、及び
    得られた成形体を1600℃以下の酸化性雰囲気中で焼成する工程、
    からなることを特徴とするアルミナ・ジルコニアセラミックスの製法。
  7. 前記成形用混合粉末には、Ce安定化ジルコニア粉末とY安定化ジルコニア粉末とアルミナ粉末との合計量100質量部当り、3質量部以下の量で酸化亜鉛粉末が混合されている請求項6に記載のアルミナ・ジルコニアセラミックスの製法。
  8. 前記焼成工程後に、更に1500℃以下の熱間静水圧焼成を行う請求項6または7に記載のアルミナ・ジルコニアセラミックスの製法。
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