JP2006055143A - 風味を向上させた米菓の製造方法 - Google Patents

風味を向上させた米菓の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】生地の風味と調味液の風味とを相乗的に向上でき、しかも簡単に製造可能な風味を向上させた米菓の製造方法を提供する。
【解決手段】海産物入りの焼成した米菓生地の表面に醤油ベースの調味液を付着させた後乾燥させ、該乾燥させた米菓生地に150〜190℃の仕上げ油を施す。仕上げ油を施すことにより米菓生地の風味および調味液の風味や香ばしさを楽しむことができ、米菓生地の内部から旨みおよび調味液(特に醤油)の風味を相乗的に向上させることができる。また、海老や烏賊などの海産物を含有した米菓生地を使用しているため、海産物特有の風味を付加することができ、かつ「浜焼き」風の香ばしい風味を楽しむことができる。さらに、簡単に従来の米菓よりも風味を向上させることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、風味を向上させた米菓の製造方法に関し、更に詳しくは米菓生地および調味液の風味を向上させた米菓の製造方法に関する。
従来、米菓の製造方法は、米または澱粉を主原料として、これに適量の水を添加して蒸煮し、所望の形状とした後、これを焼成して米菓生地とし、この米菓生地を各種調味液により味付け後、乾燥することにより行われている。このようにして得られた米菓は焼成されることにより生地の香ばしい風味を付加させることはできるものの、商品の差異化を図る目的などからさらに風味を向上させた米菓が求められていた。
米菓生地の風味を向上させるための方法として、特許公報1,特許公報2,特許公報3が開示されている。
特許公報1には、米粉に微量の塩分を混入して小型に形成した米菓せんべいの一次乾燥した生地を二次乾燥して電気又はガス等の熱を用いて炒り機または運行釜等で280℃前後にて加熱して適当に焼き上げた小型米菓せんべいの生地を170〜250℃の油で揚げて精製塩をふりかけるか又は醤油を塗布することにより、せんべいの風味を倍加する焼き油揚げ米菓せんべいの製造法が開示されている。
特許公報2には、粳米又は粳米およびその他の穀紛からなるアミロースを含有する米菓原料に加水、蒸煮、練合処理をして菓子生地を得て、これを所定形状に成型後一次乾燥させ、然る後予め調温された油浴内で生地を油揚げすると同時に高周波誘電加熱を加えることにより、風味、膨張率、色調等の良い油揚げ膨化米菓の製造法が開示されている。
特許公報3には、粳米及び/又は糯米を原料とする米菓生地を作成し、さらに該生地を乾燥した後、230〜245℃の油で揚げ、室温で放冷してから調味液を含浸させて味付けし、その後仕上げ乾燥することにより、油っぽいしつこさを緩和したあっさりとした風味を有す揚げ米菓とその製造方法が開示されている。
また、米菓に塗布した調味液の風味を向上させる方法として、特許公報4,特許公報5,特許公報6が開示されている。
特許公報4には、醤油ベースとしたタレを付着させた後の焼成煎餅を最終乾燥した後、再度焼成することにより、表面にわずかに焦げた色と香ばしい風味を有す醤油煎餅の製造方法が開示されている。
特許公報5には、焼き上げた米菓生地に調味液を付着させた後凍結させ、凍結状態を維持したまま米菓生地を真空乾燥することにより、調味液の風味を損なうことがなく風味豊かで良質な米菓を製造する方法が開示されている。
特許公報6には、米菓生地を焼成し、その後割って複数の小片とし、続いて調味液に浸し、これを焼成することにより、二度付け等を行うことなく、完成直後における調味料の含有率が全体の12重量%以上の煎餅およびその製造方法が開示されている。
しかしながら、上述の風味を向上させる方法は、風味の向上を目指す対象が米菓生地か、或いは調味液のいずれかであり、米菓生地および調味液の風味の両方を倍加させる方法ではなかった。
一方、特許公報7には、常法により得られた米菓生地を調味液の中に50〜90℃で浸漬した後味付けし、予め味付けした穀粒を油揚げ又は焙煎により表面を褐変化させた穀粒を、味付け直後の米菓生地に被覆添着させることにより、香ばしさを増強した団粒構造をもつ米菓の製造方法が開示されている。しかしながら、この方法は、通常の米菓の製造工程に加え、穀粒の味付け工程,油揚げ又は焙煎工程,穀粒の添着工程などの複数の作業工程を取らねばならず極めて手間のかかるものであった。
特開昭52−79057号公報 特開昭55−34076号公報 特開2002−204660号公報 特開平4−287641号公報 特開平11−127788号公報 特許第3487385号公報 特開昭52−79058号公報
本発明は、上記問題点に基づいてなされたものであり、生地の風味と調味液の風味とを相乗的に向上でき、しかも簡単に製造可能な風味を向上させた米菓の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的に鑑みて鋭意検討した結果、常法により米菓生地を製造し、該米菓生地を醤油ベースの調味液で味付けした後乾燥させ、さらに、この乾燥後の米菓生地に150〜190℃の油を掛けるか又は短時間油揚げすることにより、米菓生地の香ばしさと風味、特に海産物を含有する生地を使用することによる海産物と米菓生地との風味を倍加させ、さらに調味液である醤油の焦げた香ばしさを付与させることをを見出し、本発明に想到した。
本発明の請求項1記載の風味を向上させた米菓の製造方法は、焼成した米菓生地の表面に醤油ベースの調味液を付着させた後乾燥させ、該乾燥させた米菓生地に150〜190℃の仕上げ油を施すことを特徴とする。
本発明の請求項2記載の風味を向上させた米菓の製造方法は、請求項1記載の米菓の製造方法において、さらに前記仕上げ油を施した米菓生地に調味液又は調味粉を付着させたことを特徴とする。
本発明の請求項3記載の風味を向上させた米菓の製造方法は、請求項1又は2において、前記仕上げ油を前記米菓生地に掛けることを特徴とする。
本発明の請求項4記載の風味を向上させた米菓の製造方法は、請求項1又は2において、前記仕上げ油で前記米菓生地を短時間油揚げすることを特徴とする。
本発明の請求項5記載の風味を向上させた米菓の製造方法は、請求項1〜4のいずれか1項において、前記米菓生地が海産物を含むことを特徴とする。
本発明の請求項1記載の風味を向上させた米菓の製造方法によれば、仕上げ油を施すことにより米菓生地の風味および調味液の風味や香ばしさを楽しむことができ、米菓生地の内部から旨みおよび調味液(特に醤油)の風味を相乗的に向上させることができる。さらに、油を媒体に醤油を焦がすので油の旨みと醤油の焦げた食欲を促進させるような香ばしい風味や旨みが味わえる従来にない風味豊かな米菓を得ることができる。また、調味液である醤油の中のアミノ酸と砂糖やみりんなどの糖分が加熱によりアミノカルボニル反応を起こし、生地全体に美しい照りを出し、外観的にも優れた米菓を得ることができる。
本発明の請求項2記載の風味を向上させた米菓の製造方法によれば、仕上げ油を施すことにより米菓生地の風味および調味液の風味や香ばしさを楽しむことができ、米菓生地の内部から旨みおよび調味液(特に醤油)の風味を相乗的に向上させることができるとともに、最後に付着させる調味液又は調味粉によりさらに風味および旨みを付加させることができる。さらに、油を媒体に醤油を焦がすので油の旨みと醤油の焦げた食欲を促進させるような香ばしい風味や旨みが味わえる従来にない風味豊かな米菓を得ることができる。また、調味液である醤油の中のアミノ酸と砂糖やみりんなどの糖分が加熱によりアミノカルボニル反応を起こし、生地全体に美しい照りを出し、外観的にも優れた米菓を得ることができる。
本発明の請求項3記載の風味を向上させた米菓の製造方法によれば、簡単かつ短時間に従来の米菓よりも風味を向上させることができる。さらに、少量の油でも十分風味を向上させることができる。
本発明の請求項4記載の風味を向上させた米菓の製造方法によれば、簡単かつ短時間に従来の米菓よりも風味を向上させることができる。
本発明の請求項5記載の風味を向上させた米菓の製造方法によれば、海産物特有の風味も付加することができ、かつ「浜焼き」風の香ばしい風味を楽しむことができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明でいう仕上げ油とは、調理するための油とは異なり、主に香りを際立たせるために仕上げに用いる油をいう。本発明に使用される油としては、食用油脂であれば特に限定されることはなく、例えば、大豆油,米油,ナタネ油,ヒマワリ油,ごま油,綿実油,コーン油,紅花油,落花生油,くるみ油,オリーブ油,パーム油などが挙げられる。これらは1種あるいは2種以上を混合して使用してもよい。また、これらの食用油脂は、ネギやにんにく等の香味野菜や香辛料、香草の抽出成分などの香味成分を含んだものであってもよい。さらに、本発明に使用される油には、風味安定性及び保存性の向上を目的として、抗酸化剤や乳化剤などを添加してもよい。油に使用される抗酸化剤としては、特に制限はなく、例えば、ポリフェノールを含んだ茶抽出物,γ-オリザノール,アスコルビン酸パルミテートなどの一般に知られている酸化防止剤であり、これらは1種または2種以上を併用しても良い。また、乳化剤としては、特に制限はなく、例えば、グリセリン脂肪酸エステル,ソルビタン脂肪酸エステル,プロピレングリコール脂肪酸エステルおよびレシチン等があり、これらは1種または2種以上併用してもよい。
本発明で使用される海産物としては、例えば、海老,烏賊,蟹,蛸,昆布,海苔などが挙げられる。
本発明で使用される醤油ベースの調味液とは、米菓の味付けに使用する醤油(濃口,薄口,溜,再仕込或いは白醤油)ベースの液状あるいはペースト状の調味液であり、醤油の他にみりん,澱粉,砂糖等の調味素材及び調味料,又は油などを必要に応じて適宜配合することも可能である。
次に上述したような各種原材料を用いた本発明の風味を向上させた米菓の製造方法について詳細に説明する。なお、一般に米菓は原料の米の種類によって、粳米からできているせんべいと、糯米からできているあられやおかきとの二種類に分けられ、本発明の製造方法は粳米または糯米の何れの米を用いてもよい。
まず、本発明の風味を向上させた粳米菓の製造方法において、通常の粳米菓を製造するように、順に洗米・水浸漬工程、製粉工程、蒸し工程、練り・搗き工程、成型工程、乾燥工程、焼成工程、味付け工程、乾燥工程の各工程を行う。具体的には、米を洗米、浸漬し製粉を行った米粉を蒸練機などの蒸し設備で蒸して、次いで蒸された生地の組織を均一にしたり、食感を変化させたりするために生地を練ったり搗いたりする。またこの蒸し工程又は練り・搗き工程で海老,烏賊,蟹,蛸,昆布,海苔などの生の海産物又は乾燥した海産物を添加して、海産物特有の風味をもたせることがでる。またこの時に澱粉、その他の穀類を単独あるいは複数種類混合しても良い。蒸練を行った後、必要ならば、温水などで米菓生地の冷却を行い、その後混捏を行う。この様にして常法により米菓原料として用いることができる米菓生地を得る。なお、海産物の配合量は所望とする海産物入り米菓に応じて適宜決定すればよい。
次に、延し機で、海産物入り米菓生地を圧延し、型抜きを行う。圧延した米菓生地の厚さは、任意の厚さでよい。また型抜きを行う型も様々な形状で良く、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、種々の態様が可能である。その後、型抜きされた生地を乾燥する。乾燥方法は通常、米菓製造に用いられている乾燥機を用い、場合によっては多段階乾燥工程をとり、その間に調質工程をとることも可能である。乾燥後、焼成装置で焼成する。焼成装置も通常米菓製造で使用されているものがそのまま利用でき、場合によってはフライなどの他の処理を施してもよい。焼成後、素焼米菓生地に醤油ベースの調味液を付着させ味付け後、乾燥を行う。なお、醤油ベースの調味液を付着させる方法としては、焼成生地にスプレー(噴霧)する方法,焼成生地に刷毛塗りにより付着させる方法,調味液を滴下して焼成生地を攪拌しながら付着させる方法,あるいは焼成生地を調味液に漬け込み、その後振り機(遠心力によって余分な調味液を落とす装置)によって付着量を調整する方法など,通常行われている方法を用いることができる。この際の醤油ベースの調味液の焼成生地への付着量としては、使用する調味液の味などに応じて適宜決定すればよく、特に限定されない。
このようにして醤油ベースの調味液を付着させて乾燥させた後、150〜190℃の仕上げ油を米菓生地に施し、風味を向上させた海産物入り米菓を完成させる。或いは、仕上げ油を施した後に、塩ベースの調味粉や醤油ベースの調味液を用いて再度味付け工程を行い、海産物入り米菓を完成させてもよい。
この仕上げ油を施す方法としては、油掛け又は油揚げにより行うことができる。油掛けの場合は、150〜190℃の仕上げ油を米菓生地全体に、スプレーで吹き付けても良いし、或いはシャワー等で上掛けするようにしてもよい。また、油揚げの場合は、150〜190℃の仕上げ油に米菓生地を短時間潜らせて油揚げする。なお、短時間に仕上げ油を施すことによって、作業効率を向上させることができる。この場合の短時間とは、具体的には150〜190℃の仕上げ油を1秒から5秒程度の時間施すことであり、より好ましくは3秒間仕上げ油を施すのが好ましい。また、仕上げ油の温度が190℃を超えると米菓生地の表面に付着した調味液が焦げて、食することができなくなり好ましくなく、仕上げ油の温度が150℃以下では、米菓生地や調味液の香ばしい風味を十分に引き出すことができないため好ましくない。なお、従来の揚せんべい等の調理のためのフライ温度は、「改訂フライ食品の理論と実際」(太田静行・湯木悦二著、幸書房、p337)などに開示されているように240〜260℃であり、本発明の仕上げ油の温度150〜190℃とは明らかに異なる。これは本発明の仕上げ油が通常の調理のためのフライ油とは異なる作用、すなわち香りを際立たせるための作用を有するものであることを意味する。
本発明において、仕上げ油を施すことにより米菓生地の風味および調味液の風味や香ばしさを楽しむことができ、米菓生地の内部から旨みおよび調味液(特に醤油)の風味を相乗的に向上させることができる。また、海老や烏賊などの海産物を含有した米菓生地を使用しているため、海産物特有の風味を付加することができ、かつ「浜焼き」風の香ばしい風味を楽しむことができる。さらに、油を媒体に醤油を焦がすので油の旨みと醤油の焦げた食欲を促進させるような香ばしい風味や旨みが味わえる従来にない風味豊かな米菓を得ることができる。また、調味液である醤油の中のアミノ酸と砂糖やみりんなどの糖分が加熱によりアミノカルボニル反応を起こし、生地全体に美しい照りを出し、外観的にも優れた米菓を得ることができる。
また、従来の米菓の製造方法は素焼生地に味付けした後、最終乾燥をして完成品とさせていたが、本発明の方法は従来完成品とされていた米菓に更に上述のような仕上げ油を施すことによって米菓の風味を数段向上させることができる。また、簡単に従来の米菓よりも風味を向上させることができる。
一方、風味を向上させた糯米菓の製造方法において、上記の風味を向上させた粳米菓の製造方法と同一部分の詳細な説明を省略して詳述すると、まず通常の糯米菓を製造するように、順に洗米・水浸漬工程、蒸し工程、練り・搗き工程、成型工程、冷蔵工程、切断工程、乾燥工程、焼成工程、味付け工程、乾燥工程の各工程を行う。具体的には、糯米を洗米し、浸漬、水切りを行う。なお、糯米は、品種、品質に合わせて、浸漬時間を調整し充分吸水するまで浸漬する。また糯米以外に粳米、米澱粉、他種澱粉、他種の穀類、食品素材等を糯米菓の特色を損なわない範囲内で適宜配合してもよい。浸漬後水切りした糯米をせいろ等により蒸煮し、あるいは糯米を製粉し蒸練機で蒸煮し、その後蒸しあがった糯米を食感の調整等のために練ったり・搗いたりする。またこの蒸し工程又は練り・搗き工程で海老,烏賊,蟹,蛸,昆布,海苔などの生の海産物又は乾燥した海産物を添加して、海産物特有の風味をもたせることがでる。
続いて海産物入り米菓餅生地を型に充填し、生地が充分固化するまで冷蔵して切断機などによって切断する。切断後は形状的特徴を付与するとともに、焼成後の食感を軽くすることを目的として、必要に応じて通風乾燥機などの乾燥機により冷風を当てて切断生地の表裏に「目入れ」と呼ばれるヒビを入れることができる。
その後乾燥を行い、乾燥後の生地をガス運行釜などの焼成装置で焼成する。なお、場合によってはフライなどの他の処理を施してもよい。焼成後、素焼米菓生地に醤油ベースの調味液を付着させ味付け後、乾燥を行う。
醤油ベースの調味液を付着させて乾燥させた後、150〜190℃の仕上げ油を米菓生地に施し、風味を向上させた海産物入り米菓を完成させる。或いは、仕上げ油を施した後に、塩ベースの調味粉や醤油ベースの調味液を用いて再度味付け工程を行い、海産物入り米菓を完成させてもよい。
上述したような本発明の風味を向上させた米菓の製造方法は、これに限定されるものではなく、本発明の思想を逸脱しない範囲で種々の変形実施が可能である。例えば、前述した米菓生地では海産物を添加して、浜焼き風の香ばしい風味を出しているが、これに限定されずゴマ,ナッツ,豆,チーズなどを米菓生地に適宜添加してもよく、ゴマや豆などの特有の香ばしい風味も楽しむことができる。
以下、本発明の実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
粳米を洗米し、浸漬を行い、製粉し、米粉を作り、米粉を蒸練機に投入して蒸練を行った。蒸練機内のだんご生地を取り出した後、練り機によって混捏を行い、このだんご生地に乾燥海老を米菓生地に対して約2%添加して、さらに軽く混捏した。その後、延し機を使い、海老入り米菓生地を圧延した。
圧延した海老入り米菓生地を直径約60mmの円形の切抜型で切り抜き一枚当り水分含みで約10gである円形の米菓生地を得た。
円形の海老入り米菓生地を、素枠に生地を並べ、差し網乾燥機に入れ、70℃の温度設定で約2時間乾燥を行い、乾燥後ネカセとよばれる調質工程をとり、その後同じく差し網乾燥機で乾燥し、ガス運行釜によって焼成を行った。
焼成後、濃口醤油60重量%,砂糖20重量%,及びみりん20重量%を配合し、液温を50℃に加熱しながら攪拌、混合して調製した醤油ベースの調味液を適度に生地表面に付着するように噴霧し、乾燥を行った。なお、この時の付着率は素焼米菓生地重量対比8%〜15%であった。
その後、160℃に加熱された仕上げ油たるサラダ油を米菓生地の両面に掛け、海老入り粳米菓を得た。
このようにして得られた米菓は、「浜焼き」風の香ばしい風味および醤油の焦げた食欲を促進させるような香ばしい風味を有す米菓であった。また、生地全体に美しい照りを出し、外観的にも優れた米菓であり、香ばしく口当たりの良い、風味豊かな米菓であった。
以上のように、本実施例の風味を向上させた米菓の製造方法は、請求項1に対応して、焼成した米菓生地の表面に醤油ベースの調味液を付着させた後乾燥させ、該乾燥させた米菓生地に150〜190℃の仕上げ油を施すため、米菓生地の風味および調味液の風味や香ばしさを楽しむことができ、米菓生地の内部から旨みおよび調味液(特に醤油)の風味を相乗的に向上させることができる。さらに、油を媒体に醤油を焦がすので油の旨みと醤油の焦げた食欲を促進させるような香ばしい風味や旨みが味わえる従来にない風味豊かな米菓を得ることができる。また、調味液である醤油の中のアミノ酸と砂糖やみりんなどの糖分が加熱によりアミノカルボニル反応を起こし、生地全体に美しい照りを出し、外観的にも優れた米菓を得ることができる。
また、本実施例の風味を向上させた米菓の製造方法は、請求項3に対応して、仕上げ油を米菓生地に掛けるため、簡単かつ短時間に従来の米菓よりも風味を向上させることができる。さらに、少量の油でも十分風味を向上させることができる。
また、本実施例の風味を向上させた米菓の製造方法は、請求項5に対応して、米菓生地が海産物を含むため、海産物特有の風味も付加することができ、かつ「浜焼き」風の香ばしい風味を楽しむことができる。
糯米を洗米し、一晩水に浸漬して水切りしたものを製粉し、蒸練機に投入して蒸煮し、米菓餅生地を用意しておき、練り機で混捏を行った後、この米菓餅生地に海老を加え、さらに軽く混捏した。この混合物を練り機に投入して練った後、海老入り米菓餅生地を円盤様型に流し込み充填し、その後48時間冷蔵を行った。
この冷蔵後の海老入り米菓餅生地を4mm幅に切断し、通風乾燥機で冷風を糯切断生地の両面に当てて「目入れ」と呼ばれる、生地表面にヒビを入れる作業を行った。目入れ後、通風乾燥機で乾燥を行い、乾燥水分を28%まで落とし、ネカセと呼ばれる調質工程を設け、低温(10〜20℃)で12時間程度保管した。
その後、再び通風乾燥機で乾燥を行い、再度調質工程を設け、続いてガス運行釜で焼成を行った。
焼成後、上記実施例1と同様の醤油ベースの調味液に漬け込み、その後振り機によって付着量を素焼米菓生地重量対比約10%に調整した。
その後、160℃に加熱された仕上げ油たるサラダ油の中に1〜5秒間潜らせて油揚げを行い、最後に塩を素焼米菓生地重量対比0.3%〜1%付着させて、海老入り糯米菓を得た。
このようにして得られた米菓は、「浜焼き」風の香ばしい風味と、油を媒体に醤油を焦がすので油の旨みと醤油の焦げた食欲を促進させるような香ばしい風味や旨みを有す米菓であった。また、焼き色も食欲を促進させるような美しい照りを呈し、かつ非常に歯触りがよく、風味豊かな米菓であった。
以上のように、本実施例の風味を向上させた米菓の製造方法は、請求項2に対応して、焼成した米菓生地の表面に醤油ベースの調味液を付着させた後乾燥させ、該乾燥させた米菓生地に150〜190℃の仕上げ油を施し、さらに調味液又は調味粉を付着させたため、米菓生地の風味および調味液の風味や香ばしさを楽しむことができ、米菓生地の内部から旨みおよび調味液(特に醤油)の風味を相乗的に向上させることができるとともに、最後に付着させる調味液又は調味粉によりさらに風味および旨みを付加させることができる。さらに、油を媒体に醤油を焦がすので油の旨みと醤油の焦げた食欲を促進させるような香ばしい風味や旨みが味わえる従来にない風味豊かな米菓を得ることができる。また、調味液である醤油の中のアミノ酸と砂糖やみりんなどの糖分が加熱によりアミノカルボニル反応を起こし、生地全体に美しい照りを出し、外観的にも優れた米菓を得ることができる。
また、本実施例の風味を向上させた米菓の製造方法は、請求項4に対応して、仕上げ油で前記米菓生地を短時間油揚げするため、簡単かつ短時間に従来の米菓よりも風味を向上させることができる。
また、本実施例の風味を向上させた米菓の製造方法は、請求項5に対応して、米菓生地が海産物を含むため、海産物特有の風味も付加することができ、かつ「浜焼き」風の香ばしい風味を楽しむことができる。
仕上げ油の温度をそれぞれ140℃,160℃,180℃,200℃に設定した以外は実施例1と同様にして、調味液を付着後乾燥させた米菓生地の両面に仕上げ油を掛けて海老入り米菓を製造した。このようにして得た仕上げ温度の異なる各々の海老入り米菓に対して、5人のパネラーによる官能評価を実施した。その結果を表1に示す。
Figure 2006055143
表1から明らかなように、仕上げ油の温度が140℃および200℃では、生地の風味および醤油の香ばしい風味が消失していた。これに対し、160℃および180℃では、生地および調味液の風味を損なうことなく、従来にない風味が向上した風味豊かな米菓を得ることができた。
仕上げ油の温度をそれぞれ140℃,160℃,180℃,200℃に設定した以外は実施例2と同様にして、調味液を付着後乾燥させた米菓生地を各温度の仕上げ油の中に3秒間潜らせて、海老入り米菓を製造した。このようにして得た仕上げ温度の異なる各々の海老入り米菓に対して、実施例3と同様に5人のパネラーによる官能評価を実施した。
その結果、実施例3の表1に示す結果と同様に、仕上げ油の温度が140℃および200℃では、生地の風味および醤油の香ばしい風味が消失していた。これに対し、160℃および180℃では、生地および調味液の風味を損なうことなく、従来にない風味が向上した風味豊かな米菓を得ることができた。

Claims (5)

  1. 焼成した米菓生地の表面に醤油ベースの調味液を付着させた後乾燥させ、該乾燥させた米菓生地に150〜190℃の仕上げ油を施すことを特徴とする風味を向上させた米菓の製造方法。
  2. 請求項1記載の米菓の製造方法において、さらに前記仕上げ油を施した米菓生地に調味液又は調味粉を付着させたことを特徴とする風味を向上させた米菓の製造方法。
  3. 前記仕上げ油を前記米菓生地に掛けることを特徴とする請求項1又は2記載の風味を向上させた米菓の製造方法。
  4. 前記仕上げ油で前記米菓生地を短時間油揚げすることを特徴とする請求項1又は2記載の風味を向上させた米菓の製造方法。
  5. 前記米菓生地が海産物を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の風味を向上させた米菓の製造方法。
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