JP2006054108A - アーク放電用陰極及びイオン源 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】中心導体部1と、これに外嵌された筒形導体部2と、これら両者の先端部を接続する接続導体部3とを含み、中心導体部1と筒形導体部2とで加熱電流が逆方向に流されるアーク放電用陰極10、及びかかる陰極10を採用したイオン源A。
【選択図】 図1
Description
また、この局所的な加熱はフィラメント上の、選択的にプラズマ照射を受ける部分に生じるが、この加熱部分は外部から加えられた磁場とフィラメント自身が加熱電流によって周囲に作る磁場との結合、及びフィラメントを通しての熱伝導によって決定されるので、プラズマの空間分布や安定性の面においても影響を与える。
(1)アーク放電用陰極
アーク放電用の陽極と陰極間に放電電圧を印加するとともに該陰極に加熱電流を流して該陰極から熱電子を放出させつつアーク放電を発生させ、該アーク放電のもとで目的とするイオンを得るためのプラズマを生成させる該アーク放電用陰極であり、筒形導体部と該筒形導体部の内部に配置された1本又は複数本の導体からなる中心導体部と、該筒形導体部及び中心導体部の先端部を電気的に接続する接続導体部とを含み、該筒形導体部と中心導体部とで陰極加熱電流が逆方向に流されるアーク放電用陰極。
アーク放電用の陽極と陰極間に放電電圧を印加するとともに、該陰極に加熱電流を流して該陰極から熱電子を放出させつつアーク放電を発生させ、該アーク放電のもとで目的とするイオンを得るためのプラズマを生成させ、該プラズマから該イオンを引き出すイオン源であり、該アーク放電用陰極は筒形導体部と該筒形導体部の内部に配置された1本又は複数本の導体からなる中心導体部と、該筒形導体部及び中心導体部の先端部を電気的に接続する接続導体部とを含み、該筒形導体部と中心導体部とで陰極加熱電流が逆方向に流される陰極であるイオン源(要するに上記(1)記載のアーク放電用陰極を採用したイオン源)。
また、外部から該陰極の長さ方向に沿って直線磁場が与えられる場合には、放出された熱電子は該直線磁場に束縛され、該陰極の長さ方向に運動する。そのため、接続導体部とそれに続く中心導体部及び筒形導体部の先端部を含む部分(以下、「陰極先端部」ということがある。)に集中してプラズマが生成される。このためプラズマから陰極への電流の流入は該陰極先端部に集中し、該陰極先端部の局部的加熱が生じるが該接続導体部の厚みを筒形導体部厚みに対して十分厚くすることによって陰極寿命を所望の時間まで長くすることができる。
かかる電気抵抗調整の目的で、例えば、該筒形導体部各部の肉厚、前記中心導体部各部の太さ及び前記接続導体部の体積のうち少なくとも一つを調整することができる。また、このような筒形導体部各部の肉厚等の調整とともに、或いはこのような調整に代えて、筒形導体部の形状(断面形状等)、中心導体部の形状(断面形状等)及び接続導体部の形状(断面形状等)のうち少なくとも一つを調整することもできる。
すなわち、モリブデン、タンタル、タングステン、レニウム、イリジウムから選ばれた単体金属材料、又はこれら金属のうち少なくとも二つを含む合金からなる金属材料、又はかかる金属材料を母材として該母材をアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ金属の炭化物、アルカリ土類金属の炭化物のうち1種で被覆した材料である。
なお、中心導体部、筒形導体部及び接続導体部の形状は上記したものに限定されることはなく、支障のない範囲で各種形状を採用できる。例えば、中心導体部や筒形導体部は断面輪郭が円形である必要はなく、例えば、支障のない範囲で多角形を呈するものでもよい。また、接続導体部にしても円形リング形状のものに限定されることはなく、中心導体部や筒形導体部の断面形状等に応じた適当な形状のものとすることができる。
図1は本発明に係るアーク放電用陰極の1 例を採用したイオン源の1 例(イオン源A)を示している。図2は該陰極の断面構造等を示している。
イオン源Aはプラズマ生成領域を囲む容器C内にアーク放電用陰極10を設置し、容器Cの開口部に対向させてイオン引出し電極Eを設置し、容器C外に永久磁石或いは電磁石によって構成される磁石Mを設けたものであるが、図示例のイオン源Aの容器Cはさらに真空容器CH内に配置されており、該真空容器CH内が図示省略の排気装置により減圧されることで、容器C内も減圧されるようになっている。また、磁石Mは真空容器CHを介して容器Cの外周に対し設置されている。真空容器CHは例えばイオン注入装置においてイオン注入されるべき基板等をイオン源に対向させて収容する容器である。
磁石Mは容器C内に形成されるプラズマを閉じ込めるために、イオン引出し電極系Eによるイオン引出し方向Xに垂直且つアーク放電用陰極10に沿う方向Yの直線磁場を容器
C内に形成する。
イオン引出し電極系Eと容器C間にはイオン引出しのための電位を与えるための電源PW3が接続されている。
電気絶縁体ISのうち少なくとも容器C内に位置してプラズマに曝される部分は、アルミナセラミックや窒化ホウ素等で形成されている。これによって、高融点金属によって形成されているとは限らない保持導体部21をプラズマの直接的な照射から保護している。
筒形導体部2は全体にわたり0.1mm〜1mm程度の範囲の均一な厚さを有し、外径3mm〜7mm程度、長さ5mm〜30mm程度の範囲で形成されている。
中心導体部1は外径0.5mm〜3mm程度の範囲の棒状或いは細線を束ねた形態に形成されており、長さは筒形導体部2より長くしている。
そしてここでは、接続導体部3を中心導体部1の外径、筒形導体部2の肉厚より十分厚く形成することで陰極先端部eに集中するプラズマによるスパッタリングによっても長寿命となるようにしてある。
実験では、中心導体部1の外径1.0mm、筒形導体部2は肉厚が一様に0.1mmで外径は3.2mm、中心導体部1の長さ32mm、筒形導体部2の長さ25mm、接続導体部3の厚さが1.5mmである陰極を採用した。残留応力は予め十分除去した。
10 アーク放電用陰極
1 中心導体部
11 保持導体部
2 筒形導体部
21 保持導体部
3 接続導体部
e 陰極先端部
C イオン源容器
E イオン引出し電極系
M 磁石
G ガス或いは蒸気の導入口部
IS 電気絶縁体
PW1 陰極加熱用電源
PW2 放電用電源
PW3 イオン引出し用電源
CH 真空容器
Claims (13)
- アーク放電用の陽極と陰極の間に放電電圧を印加するとともに該陰極に加熱電流を流して該陰極から熱電子を放出させつつアーク放電を発生させ、該アーク放電のもとで目的とするイオンを得るためのプラズマを生成させる該アーク放電用陰極であり、中心導体部と該中心導体部に電気的に絶縁された状態で外嵌された筒形導体部と、該中心導体部及び筒形導体部の先端部を電気的に接続する接続導体部とを含み、該中心導体部と筒形導体部とで前記加熱電流が逆向きに流されることを特徴とするアーク放電用陰極。
- 陰極使用時の前記筒形導体部の加熱表面温度分布調整のために該筒形導体部各部の電気抵抗、前記中心導体部各部の電気抵抗及び前記接続導体部の電気抵抗のうち少なくとも一つが調整されている請求項1記載のアーク放電用陰極。
- 陰極使用時の前記筒形導体部の加熱表面温度分布調整のために該筒形導体部各部の肉厚、前記中心導体部各部の太さ及び前記接続導体部の体積のうち少なくとも一つが調整されている請求項1記載のアーク放電用陰極。
- 前記筒形導体部は各部の肉厚が一定に形成されている請求項1記載のアーク放電用陰極。
- 前記中心導体部、筒形導体部及び接続導体部が同一の材料で形成されている請求項1から4のいずれかに記載のアーク放電用陰極。
- 前記筒形導体部が前記中心導体部より高抵抗材料で形成されている請求項1から4のいずれかに記載のアーク放電用陰極。
- 前記中心導体部、筒形導体部及び接続導体部は、それぞれ高融点材料から形成されており、該高融点材料は、モリブデン、タンタル、タングステン、レニウム、イリジウム、これら金属のうち少なくとも二つを含む合金のうちから選ばれた金属材料、又は該選ばれた金属材料を母材として該母材をアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ金属の炭化物、アルカリ土類金属の炭化物のうち1種で被覆した材料である請求項1から6のいずれかに記載のアーク放電用電源。
- 前記中心導体部が円形断面を有する棒状導体部であり、前記筒形導体部が円筒形導体部である請求項1から7のいずれかに記載のアーク放電用陰極。
- 前記中心導体部が棒状導体の束であり、前記筒形導体部が円筒形導体部である請求項1から7のいずれかに記載のアーク放電用陰極。
- 前記接続導体部が前記中心導体部に外嵌するとともに前記筒形導体部に内嵌するリング形の導体部である請求項1から9のいずれかに記載のアーク放電用陰極。
- アーク放電用の陽極と陰極の間に放電電圧を印加するとともに該陰極に加熱電流を流して該陰極から熱電子を放出させつつアーク放電を発生させ、該アーク放電のもとで目的とするイオンを得るためのプラズマを生成させ、該プラズマから該イオンを引き出すイオン源であり、該アーク放電用陰極として請求項1から10のいずれかに記載のアーク放電用陰極が採用されていることを特徴とするイオン源。
- 前記陰極加熱電流が、前記筒形導体部の根元部より先端部へ、さらに、前記接続導体部を介して前記中心導体部の先端部から根元部へ向け流される請求項11記載のイオン源。
- 前記プラズマから前記陰極に流れ込む放電電流に前記筒形導体部加熱電力の一部を担わせる請求項11記載のイオン源。
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