JP2006053078A - 光学式検出用微小セルおよびその作製方法 - Google Patents

光学式検出用微小セルおよびその作製方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 透過または反射する光の光損失を軽減し、簡単なプロセスで作製可能な光学式検出用微小セルおよびその作製方法を提供すること。
【解決手段】 第1のパイレックス(登録商標)基板21および第2のパイレックス(登録商標)基板22にマスクとして機能するフォトレジスト膜24を形成する(図2(b))。フォトレジスト膜24が形成された各パイレックス(登録商標)基板に対して、試料流路兼光路用の溝25を形成し、溝25にはフォトレジスト膜24が残らないようにする(図2(c))。次いで、溝25の表面の粗さを、エッチングによって、光路に入射される光の波長の1/4以下のサイズに平坦化する(図2(d))。次いで、フォトレジスト膜24を、各パイレックス(登録商標)基板から除去する。こうして得られた各パイレックス(登録商標)基板によって、光ファイバ28を挟持するようにして一体化し(図2(h))、紫外線硬化樹脂29を用いて接合する(図2(i))。
【選択図】 図2

Description

本発明は、光学式検出用微小セルおよびその作製方法に関し、より詳細には、吸収分光分析、蛍光分析、キャピラリー電気泳動、高速液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、化学センサ、バイオセンサなどの微量光学式分析に用いられる光学式検出用微小セルおよびその作製方法に関する。
従来の、大気中のガス等を検出、識別するための検出器としての、光学式検出用微小セルは、パイレックス(登録商標)、石英、ポリジメチルシロキサン等から形成されている。これら材料から形成されるセル表面において、光が透過または反射する部分における表面の粗さを、該セルに入射される光の波長の1/4以下のサイズに平坦化することは困難である。このため、光学式検出用微小セルに入射される光がセル内を透過または反射する際に生じる、セル表面における検出プローブ光の散乱等による損失を十分に小さくすることは困難であった。
特に、短い波長である紫外線(波長:400nm以下)から可視光(波長:400〜800nm)の領域では、それらの波長の光の散乱等による損失を抑えるのに許容されるセル表面の粗さを、100nm〜200nm以下と小さくする必要があり、この問題を解決するのは困難であった。このため、散乱等による損失から生じる分析精度や分析感度の低下を十分に防ぐことができず、分析の微量化や高感度化に限界が生じるという問題があった。
さらに、散乱等による損失を軽減するセルを作製するために、複雑なプロセスを適用した場合、それらセルを複数個作成する際に、その複雑性から再現性を向上させることは難しく、歩留まりが悪くなってしまう。従って、分析精度や信頼性の向上において問題となる。
特開2003−21595号公報
以上から明らかなように、高感度な微量光学式分析を実現するためには、パイレックス(登録商標)、石英、ポリジメチルシロキサン等から形成されるセルに形成される光路において、光が透過または反射する部分における表面の粗さを、散乱等による損失を軽減する程度、すなわち、透過または反射する光の波長の1/4以下のサイズに平坦化する必要がある。また、そのようなセルを作製するための、比較的簡便で、再現性良く、歩留まりの良い作製方法が求められている。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、透過または反射する光の光損失を軽減し、簡単なプロセスで作製可能な光学式検出用微小セルおよびその作製方法を提供することにある。
本発明は、このような目的を達成するために、請求項1記載の発明は、第1の材料を有する第1の基板と第2の材料を有する第2の基板との少なくともいずれか一方に基板を貫通するように試料導入口を設け、前記第1の基板と前記第2の基板との少なくともいずれか一方に基板を貫通するように試料排出口を設け、前記第1の基板と第2の基板とに対して、マスクとして機能する第3の材料を形成するマスク形成工程と、該第3の材料が形成された第1の基板と第2の基板とに対して、試料を通過させるガイドとしての試料流路および光を通過させるガイドとしての光路を形成する工程であって、前記光路の少なくとも1部分が前記試料流路の1部または全部となるように前記試料流路および光路を形成し、かつ前記試料導入口および前記試料排出口が前記試料流路に連通するように前記試料流路および光路を形成するガイド形成工程と、前記第3の材料をマスクとして、前記第1の基板と第2の基板とに形成された光路の表面を、該光路に入射される光の波長の1/4以下のサイズにする処理を施す平坦化工程と、前記第3の材料を、前記第1の基板と前記第2の基板とから除去する除去工程と、前記光路に光を入射させるための入射手段を前記第1の基板または前記第2の基板に形成された光路の一方端に、かつ前記光路から光を出射させるための出射手段を前記入射手段が連結された光路の他方端に連結する連結工程と、前記第1の基板と前記第2の基板とを、前記光路が合わさるように一体化して接合する接合工程とを有することを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記除去工程に先立って、前記第3の材料と試料流路および光路とが形成された第1の基板と第2の基板とに対して、前記入射される光に対して光反射率の高い単一または複数の材料からなる膜を形成する膜形成工程をさらに有し、前記除去工程は、前記第3の材料を、前記第1の基板と前記第2の基板とから除去し、さらに、前記光路にのみ前記膜が残るように、前記第1の基板と前記第2の基板とから、前記膜を除去することを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記膜を形成する材料は、アルミニウム、白金、金またはこれらの組み合わせであることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、前記第1の材料および第2の材料は、パイレックス(登録商標)、石英、ポリジメチルシロキサンのいずれかであることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明において、前記第3の材料は、フォトレジストであることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の発明において、前記平坦化工程は、ウェットエッチング、反応性イオンエッチング、サンドブラスト法またはこれらの組み合わせにより行われることを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の発明において、前記入射手段および出射手段は、光ファイバ、コリメートレンズ、前記第1の基板および第2の基板よりも屈折率の高い光透過材料であることを特徴とする。
請求項8記載の発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載の作製方法によって作製されたことを特徴とする。
以上説明したように、本発明によれば、第1の基板と第2の基板とに対して、マスクとして機能する第3の材料(例えばフォトレジスト)を形成して試料流路兼光路を形成し、その光路の表面を、該光路に入射される光の波長の1/4以下のサイズに平坦化したので、光路を通過する光の光損失を軽減した光学式検出用微小セルを作製可能であり、またそのようなセルを複雑なプロセスを要せずに作製することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る光学検出用微小セルの試料流路兼光路に沿った断面を示す図である。
図1において、本発明の一実施形態に係る光学式検出用微小セルは、光学式検出用微小セル中で、ガス等の試料および光を通過させるガイドとしての試料流路兼光路5用の溝が片面に形成された、第1の基板1と第2の基板とを、各溝を合わせるように一体化して形成されている。ここで、第1の基板1と第2の基板2とに形成された溝を合わせるようにすることで、試料流路兼光路5が形成される。第2の基板2には、該基板を貫通し、試料流路兼光路5に連通するように試料導入口3および試料排出口4が形成されている。ここで、試料導入路3は、セル外部から試料流路(図1では試料流路兼光路5)へと試料を導入するためのガイドであり、試料排出路4は、試料流路(図1では試料流路兼光路5)からセル外部へと試料を排出するためのガイドである。
形成された試料流路兼光路5の一方端には、光源からの光の光学式検出用微小セルへの入射手段としての第1の光ファイバ6を連結し、他方端には、試料流路兼光路5を通過した光の光学式検出用微小セルからの出射手段としての第2の光ファイバ7を連結する。このとき、第1の光ファイバ6および第2の光ファイバ7を、試料流路兼光路5に対して互いに同軸上に形成する。
このような構成において、本発明の一実施形態で重要なことは、可視光領域以上の波長(400nm以上の波長領域)の光に加え、紫外領域の波長(400nm以下の波長領域)の光においても、光路を通過する光の光損失を軽減し、透過率を向上させるために、光路部分の表面の粗さを光源からの入射光の波長の1/4以下に平坦化させることである。好ましくは、平坦化された光路に、入射光に対して光反射率の高い単一または複数の材料から成る薄膜を形成することが好ましい。光反射率の高い材料としては、アルミニウム、白金または金等を用いれば良い。
ここで、本明細書において、「平坦化」とは、光源から入射される所定の波長の光に対して、表面の凸凹形状による乱反射、回折、散乱等による光損失を十分に低減できる表面の状態のことを指す。すなわち、所定の波長の入射光に対して、光路表面による光損失を十分に低減できる程度まで、表面の凸凹形状を抑えた状態である。
また、本明細書において、「光路」とは、第1の光ファイバ6等の入射手段から入射された光を、光学式検出用微小セル中を通過させて第2の光ファイバ7等の出射手段から出射させるための光ガイドを指す。本明細書において、「試料流路」とは、試料導入口から導入した試料を、光学式検出用微小セル中を通過させて試料排出口から排出させ、その途中で光路と合流する領域を有する試料ガイドを指す。
なお、本発明の一実施形態では、上述の基板として、パイレックス(登録商標)、石英、ポリジメチルシロキサン(PDMS)のいずれかを用いることができる。
また、図1では、試料流路と光路とが同一のガイド(試料流路兼光路5)であるが、これに限定されず、別個のガイドであってもよい。別個のガイドの場合は、光路の少なくとも1部分が試料流路の1部または全部となるように、試料流路および光路を各基板に形成すればよい。すなわち、光学式検出用微小セル内に、試料流路と光路とが形成され、光路のうち少なくとも1部分が、試料流路と併用されればよい。
また、図1では、第2の基板2に試料導入口3および試料排出口4が形成されているが、これに限定されず、試料導入路3および試料排出路4を、第1の基板1および第2の基板にそれぞれ1個ずつ設けるようにしてもよい。
さらに、本発明の一実施形態では、入射手段および出射手段は、光ファイバに限定されることはなく、例えば、コリメートレンズ、基板よりも屈折率の高い光透過材料等、効率良く光を光学式検出用微小セルから入出射することができるものであればいずれのものを用いても良い。
以下、本発明の一実施形態に係る光学式検出用微小セルの作製方法を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明は、下記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々変更可能であることは言うまでもない。
(実施例)
図2(a)〜(i)は、本実施例に係る光学式検出用微小セルの作製方法を示す図であり、図2(j)は、本実施例に係る光学式検出用微小セルの斜視図であり、図2(k)は、本実施例に係る光学式検出用微小セルのA−A'断面図である。図2において、符号21は第1のパイレックス(登録商標)基板、符号22は第2のパイレックス(登録商標)基板、符号23は試料導入、排出口、符号24はフォトレジスト膜、符号25は試料流路兼光路用の溝(本明細書では、単に「溝」とも呼ぶ)、符号26は表面の凸凹、符号27は金属反射膜、符号28は光ファイバ、符号29は紫外線硬化樹脂である。
両面を鏡面研磨した直径3インチ、厚さ0.5mmである第1のパイレックス(登録商標)基板21、および同様に両面を鏡面研磨した直径3インチ、厚さ0.7mmである第2のパイレックス(登録商標)基板22を用意した。第2のパイレックス(登録商標)基板22には、後工程によって溝25が形成される部分に、電着ダイヤモンドドリルを用いて試料導入口および試料排出口23となる0.5mm径の穴を基板を貫通するように作製した(図2(a))。
以下で説明する工程1〜5は、第1および第2のパイレックス(登録商標)基板とも共通に行われる。
工程1
工程1は、第1のパイレックス(登録商標)基板21および第2のパイレックス(登録商標)基板22に対して、フォトレジストを塗布する工程である。
パイレックス(登録商標)基板とフォトレジストとの接着を良くするために、フォトレジストの塗布に先立って、第1のパイレックス(登録商標)基板21および第2のパイレックス(登録商標)基板22に対して、HDMS(ヘキサメチルジシラザン)をスピンコータにて4000rpmの条件で30秒塗布した。次に、フォトレジストTSMR−V3(東京応化社製)をスピンコータにて2500rpmの条件で30秒塗布し、各パイレックス(登録商標)基板上に約1μmの厚さのフォトレジスト膜24を形成した(図2(b))。これら基板をホットプレートに乗せ、90℃で90秒間ベイクした後、室温にて冷却した。
工程2
工程2は、フォトレジスト膜24が形成された第1のパイレックス(登録商標)基板21および第2のパイレックス(登録商標)基板22に対して、試料流路兼光路用の溝4を形成する工程である。
次に、フォトレジスト膜24が形成された第1のパイレックス(登録商標)基板21および第2のパイレックス(登録商標)基板22に対して、ダイシングソー装置(ディスコ社製)により、400μm厚のブレードを用いて、深さが250μm(第1のパイレックス(登録商標)基板21)と200μm(第2のパイレックス(登録商標)基板22)とで、幅がそれぞれ400μmとなるように、溝25を形成した(図2(c))。このとき、第2のパイレックス(登録商標)基板22に対して溝25を形成する際、該基板に予め形成された試料導入口および試料排出口23と溝25とがそれぞれ連通するように溝25を形成することになる。
これにより、各パイレックス(登録商標)基板について溝25以外の部分は、フォトレジスト膜24で被覆されている状態が形成される。この被覆されたフォトレジスト膜24は、後工程であるセル表面の平坦化工程で用いられるエッチング種等に対するマスクとして機能することになる。
なお、工程1でHDMSを用いない場合、ダイシングソー装置の運転時に用いるブレード冷却用の水により、フォトレジスト膜24が溝25以外の部分からも剥離してしまうという問題があった。しかしながら、本実施例では、工程1でフォトレジストの接着性の向上のためにHDMSを用いているので、上記問題は解決される。また、溝25の形成に先立ってフォトレジスト膜24を形成することで、フォトレジスト塗布の際に精密なアライメントが不要となるという利点がある。すなわち、パイレックス(登録商標)基板に対して、溝以外にフォトレジストを正確に塗布する必要があるが、そのための精密で複雑なプロセスを必要としない。
工程3
工程3は、試料流路兼光路用の溝内の微小な表面の凸凹26(表面の粗さ)を光学式検出用微小セルに入射される光の波長の1/4以下のサイズに平坦化する工程である。なお、工程3では、紫外線領域以下の波長(400nm以下の波長域)の光に対しても、溝25の表面の粗さを、該波長の1/4以下のサイズにすることができる。
まず、溝25が形成された第1のパイレックス(登録商標)基板21および第2のパイレックス(登録商標)基板22に対して、溝25表面の平坦化処理の物理的処理として高速イオンエッチング法を用いた。本実施例では、CFガスと10%のOガスとを用いて、ガス流速100〜200sccm、圧力約5〜15Pa、パワー50〜200Wの条件で約1時間処理を行った。次いで、第1のパイレックス(登録商標)基板21および第2のパイレックス(登録商標)基板22に対して、平坦化処理の化学的処理としてフッ酸/フッ化アンモニウム水溶液緩衝液による処理を行った。該緩衝液に、物理的処理を施した各パイレックス(登録商標)基板を約3時間浸し、表面の粗さを約500nm程度まで小さくした。フッ酸/フッ化アンモニウム水溶液緩衝液による処理は、比較的短時間で構造を変化させることが可能であることが利点である。また、大きな装置を必要としないため、比較的安価で簡便な手法であることも特徴である。以上の手法により、表面の粗さを最大で約30nm程度まで小さくした(図2(d))。
工程3では、上述の物理的処理および/または化学的処理における各条件を変えることで、表面粗さを制御することができるので、光学式検出用微小セルへの入射光の波長に応じて、溝25の表面の粗さを最適化することができる。また、表面の粗さを最大で約30nm程度まで小さくすることができるので、可視光以上の波長域の光はもちろん、紫外線領域以下の波長の光に対しても、光損失を低減した光学式検出用微小セルを提供することが可能である。
工程4
工程4は、溝25が平坦化された第1のパイレックス(登録商標)基板21および第2のパイレックス(登録商標)基板22に対して、金属反射膜27を形成する工程である。
工程4では、金属反射膜の形成は、スパッタにより行った。スパッタ法は蒸着法と比較して段差の被膜特性が良いため、溝25の側面についても均一な膜を形成することが可能である。この段差に対する被膜特性は、溝のアスペクト比にも依存する。工程2で形成した溝25のアスペクト比はほぼ0.5である。これにより、従来の片面の溝だけに光ファイバを埋め込む場合のアスペクト比が1.0であるのに対して、被膜による溝構造の変化をより小さく抑えることが可能である。
例えば、紫外〜可視領域で良好な反射特性を付与したい場合、被膜材料、すなわち金属反射膜27としてアルミニウムが考えられる。ガラスと金属反射膜との密着性を高めるために、パイレックス(登録商標)基板にまず、スパッタによってチタン膜を10nm形成した。次いで、形成されたチタン膜に対して、スパッタによって白金を約200nm積層した。次いで、形成された白金に対して、スパッタによって、アルミニウムを約200nm積層した(図2(e))。
工程5
工程5は、溝25以外の第1のパイレックス(登録商標)基板21および第2のパイレックス(登録商標)基板22に形成されたフォトレジスト膜24および金属反射膜27を各パイレックス(登録商標)基板から除去する工程である。
平坦化された溝25にのみ金属反射膜27が形成されるように、工程4にて積層された金属反射膜27について、溝25以外に積層した金属反射膜27を、下層のフォトレジスト膜24と共にリフトオフ法によって除去した。このリフトオフ法による除去処理として、アセトンもしくは2−ブタノール中で超音波洗浄を1時間程度行った。この処理によって、溝25以外の表面の金属反射膜27は除去され、溝25の底面および側面の金属反射膜27のみが残っていることを確認した(図2(f))。
工程6
工程6は、溝25のみに金属反射膜27が形成された第2のパイレックス(登録商標)基板22に対して、光ファイバ28を連結する工程である。
端面を鏡面研磨したUV透過型マルチモード光ファイバ28(コア径365μm、クラッド径400μm、加オズオプティクス社製)を二本用意し、それら光ファイバ28について、研磨面が向かいあわせになるように第2のパイレックス(登録商標)基板22の溝に挿入した(図2(g))。次いで、第1のパイレックス(登録商標)基板21の溝面を第2のパイレックス(登録商標)基板22の溝面と向かい合わせになるように被せ、両方の溝で光ファイバ28を挟むように固定した(図2(h))。このように、各溝25が合わさることにより、試料流路兼光路が形成される。
これにより、従来の片面の溝だけに光ファイバを埋め込む場合(特許文献1参照)と比較して、光ファイバの位置合わせが2倍、正確にかつ再現性良く行うことが可能となる。また、本実施例に係る作製方法では、後工程として接着剤で光ファイバを固定する必要がないため、光ファイバ端面が汚染されにくいという利点がある。
工程7
工程7は、一体化された第1のパイレックス(登録商標)基板21および第2のパイレックス(登録商標)基板22を接合する工程である。
第1および第2のパイレックス(登録商標)基板の接合方法は、陽極接合による方法や接着剤を用いる方法など様々あるが、本実施例では、光伝播効率に影響の大きい溝位置のアラインメント精度が最も高かった方法について説明する。
すなわち、光学顕微鏡(倍率33倍)を用いて第1のパイレックス(登録商標)基板21および第2のパイレックス(登録商標)基板22の溝位置が合わさるように調整し、クリップで固定した。次いで、第1および第2のパイレックス(登録商標)基板の接合面に、紫外線硬化樹脂29を流し込む。このとき、毛管現象によって接合面全体に紫外線硬化樹脂29が染み込むが、溝部分では毛管現象が起こらないため、溝25中への紫外線硬化樹脂29の染み出しは起こらない。従って、接合面にのみ、紫外線硬化樹脂29を染み込ませることができる。
紫外線硬化樹脂29の硬化の際は、パイレックス(登録商標)基板は紫外線をある程度吸収するため、接合面に染み込んだ紫外線硬化樹脂29を硬化させるための露光時間は基板の厚さに応じて調節し、接合に適当な硬化時間だけ露光する。このとき、紫外線光源として、別個に用意された光ファイバガイドを用いることで、パイレックス(登録商標)基板に対してスポット状に紫外線を照射することができるので、パイレックス(登録商標)基板の任意の場所に露光することが可能となる。上述のように接合面に紫外線を照射することによって紫外線硬化樹脂29を硬化させて、第1のパイレックス(登録商標)基板21および第2のパイレックス(登録商標)基板22を接合する。
最後に、上述のようにして溝25の両側の接合面を接着した後、光ファイバ28のうち余分な部分をカッターで除去し、重ね合わせ接合された基板をダイシングソーで切断して本発明の一実施形態に係る光学式検出用微小セルを得た(図2(j)、図2(k))。紫外線硬化による接着の強度は、ダイシングソーによる切断に十分耐えることができる。仕上げに、光ファイバ端面のある二側面を鏡面に研磨した。
次にこのようにして作製した光学式検出用微小セルの効果について述べる。試料流路兼光路表面の粗さを除去しない、かつ金属反射膜が形成されていない場合(従来)と、本実施例に係る作製方法によって作成された光学式検出用微小セルを用いた場合との紫外可視光の透過特性を比較する(図3)。従来においては、短波長の光において特に損失が大きくなるが、本実施例に係る光学式検出用微小セルでは、短波長領域の光に対しても透過率が50%を超えており、この損失が改善されていることが示された。
本実施例では、入射される光の波長の1/4以下のサイズに平坦化された試料流路兼光路用の溝25に対して、金属反射膜27を形成しているが、これに限らず、金属反射膜27を形成しなくてもよい。その際は、工程3までを行うことによって得られる溝25が平坦化された第1のパイレックス(登録商標)基板21および第2のパイレックス(登録商標)基板22に対して光を照射することによってフォトレジスト膜24を除去し、次いで、工程6と同様にして光ファイバ28を形成し、次いで、工程7と同様にして第1のパイレックス(登録商標)基板21および第2のパイレックス(登録商標)基板22を接合すればよい。
また、本実施例では、工程3にて溝4を平坦化させるための手段として、ウェットエッチング、反応性イオンエッチングを用いているが、これに限定されず、例えば、サンドブラスト法等、基板に対して所定のパターンを形成できるものであればいずれのものを用いてもよい。これら溝25を平坦化させるための手段を組み合わせて用いることができることは言うまでもない。
さらに、本実施例では、溝25の平坦化に用いられるエッチング種に対するマスクとしてフォトレジストを用いているが、これに限定されず、工程3にて用いられる溝25を平坦化させるための手段に対して、各パイレックス(登録商標)基板の溝25以外の部分に対するマスクとして機能するものであればいずれのものを用いてもよい。
本発明の一実施形態に係る光学検出用微小セルの試料流路兼光路に沿った断面を示す図である。 (a)〜(i)は、本発明の一実施形態に係る光学式検出用微小セルの作製方法を示す図であり、(j)は、本発明の一実施形態に係る光学式検出用微小セルの斜視図であり、(k)は、本発明の一実施形態に係る光学式検出用微小セルの断面図である。 本発明の一実施形態に係る光学式検出用微小セルに対する紫外〜可視光の透過特性を示す図である。
符号の説明
1、2 基板
3 試料導入口
4 試料排出口
5 試料流路兼光路
6、7 光ファイバ
21、22 パイレックス(登録商標)基板
23 試料導入口および試料排出口
24 フォトレジスト膜
25 試料流路兼光路用の溝
26 表面の凸凹
27 金属反射膜
28 光ファイバ
29 紫外線硬化樹脂

Claims (8)

  1. 第1の材料を有する第1の基板と第2の材料を有する第2の基板との少なくともいずれか一方に基板を貫通するように試料導入口を設け、前記第1の基板と前記第2の基板との少なくともいずれか一方に基板を貫通するように試料排出口を設け、前記第1の基板と第2の基板とに対して、マスクとして機能する第3の材料を形成するマスク形成工程と、
    該第3の材料が形成された第1の基板と第2の基板とに対して、試料を通過させるガイドとしての試料流路および光を通過させるガイドとしての光路を形成する工程であって、前記光路の少なくとも1部分が前記試料流路の1部または全部となるように前記試料流路および光路を形成し、かつ前記試料導入口および前記試料排出口が前記試料流路に連通するように前記試料流路および光路を形成するガイド形成工程と、
    前記第3の材料をマスクとして、前記第1の基板と第2の基板とに形成された光路の表面を、該光路に入射される光の波長の1/4以下のサイズにする処理を施す平坦化工程と、
    前記第3の材料を、前記第1の基板と前記第2の基板とから除去する除去工程と、
    前記光路に光を入射させるための入射手段を前記第1の基板または前記第2の基板に形成された光路の一方端に、かつ前記光路から光を出射させるための出射手段を前記入射手段が連結された光路の他方端に連結する連結工程と、
    前記第1の基板と前記第2の基板とを、前記光路が合わさるように一体化して接合する接合工程と
    を有することを特徴とする光学式検出用微小セルの作製方法。
  2. 前記除去工程に先立って、前記第3の材料と試料流路および光路とが形成された第1の基板と第2の基板とに対して、前記入射される光に対して光反射率の高い単一または複数の材料からなる膜を形成する膜形成工程をさらに有し、
    前記除去工程は、前記第3の材料を、前記第1の基板と前記第2の基板とから除去し、さらに、前記光路にのみ前記膜が残るように、前記第1の基板と前記第2の基板とから、前記膜を除去することを特徴とする請求項1記載の光学式検出用微小セルの作製方法。
  3. 前記膜を形成する材料は、アルミニウム、白金、金またはこれらの組み合わせであることを特徴とする請求項2記載の光学式検出用微小セルの作製方法。
  4. 前記第1の材料および第2の材料は、パイレックス(登録商標)、石英、ポリジメチルシロキサンのいずれかであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光学式検出用微小セルの作製方法。
  5. 前記第3の材料は、フォトレジストであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光学式検出用微小セルの作製方法。
  6. 前記平坦化工程は、ウェットエッチング、反応性イオンエッチング、サンドブラスト法またはこれらの組み合わせにより行われることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の光学式検出用微小セルの作製方法。
  7. 前記入射手段および出射手段は、光ファイバ、コリメートレンズ、前記第1の基板および第2の基板よりも屈折率の高い光透過材料であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の光学式検出用微小セルの作製方法。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載の作製方法によって作製されたことを特徴とする光学式検出用微小セル。
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