JP2006052420A - 溶鋼昇温時における成分元素濃度の推定方法 - Google Patents

溶鋼昇温時における成分元素濃度の推定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】取鍋内溶鋼と真空槽の間で溶鋼を循環させて溶鋼から脱ガス処理を行う2次精錬炉において、成分分析や温度測定をすることなく、溶鋼昇温時の溶鋼中成分元素濃度を高精度で、かつ迅速に推定できる方法を提供する。
【解決手段】真空槽内部に付着した鋼の地金を加熱溶解除去するのに要する時間(加熱溶解処理時間)を測定し、加熱溶解処理時間から加熱溶解処理後に真空槽内部に残留した地金と共に溶鋼中へ侵入する外乱酸素量を推定し、外乱酸素量と溶鋼中の成分元素濃度との反応モデル式に基づき溶鋼中の成分元素濃度を推定する。
【選択図】なし

Description

本発明は、溶鋼に酸素ガスを供給し酸化発熱反応を利用して溶鋼を昇温する際に、溶鋼中成分元素濃度、特に、アルミニウム濃度の推定方法に関する。
例えばRH真空脱ガス処理において溶鋼中成分調整のための合金投入量を誤り、溶鋼中の成分元素濃度が目標値から外れると、成分調整のために再処理が必要となって、処理時間が延長し、生産効率が悪化する。特に、溶鋼中の酸素濃度は成分濃度推定の精度に大きく影響する。これは、溶鋼中のAl、Si、Mn、C等の成分元素との酸化反応により溶鋼中の成分元素が消費されるためである。
RH真空脱ガス処理においては、真空槽内上部に設けた昇降可能なランスから酸素ガスが溶鋼表面に吹き付けられる。これは、酸素ガスと溶鋼中のAl、Si、Mn、C等の成分元素との酸化発熱反応により溶鋼温度を上昇させるための処理である。この処理を行うと、溶鋼中の成分元素が消費され、その濃度が変化する。このため、通常は、溶鋼中の成分元素濃度を目標の成分元素濃度とすべく、昇温処理後に合金が投入される。また、再処理によって溶鋼温度が降下するのを抑制すべく、再度の昇温を行った場合には、昇温剤(酸素ガス、Al)の使用量が増大して、製造コストが上昇する。
投入すべき合金の量を誤らないためには、昇温処理後の溶鋼中の成分元素濃度をできる限り正確に把握しておくことが重要である。また、生産効率の観点からは、溶鋼中の成分元素濃度の測定時間はできる限り短いことが望ましい。溶鋼中の成分元素濃度を推定する方法としては、下記の方法が開示されている。
特許文献1には、鋼種別の定数・補正パラメータと、溶鋼の成分元素濃度を用いて、所定の式から溶鋼中アルミニウム濃度を推定する方法が開示されている。また、特許文献2には、溶鋼中の物質収支および反応帯での成分酸化反応を考慮したモデルを用いて溶鋼昇温時における成分元素濃度を推定する方法が開示されている。
特開平9−127100号公報 特開2000−336422号公報
特許文献1に開示された方法は、分析結果が判明するまでに時間のかかる溶鋼成分の分析をすることなく、迅速に溶鋼中のアルミニウム濃度を把握することができるという点については評価される。しかし、この方法では、溶鋼中の酸素活量と溶鋼温度を測定する必要があり、プローブの消耗が著しく、製造コストの上昇を抑制できない。
特許文献2に開示された方法は、溶鋼昇温後に、溶鋼成分の分析をする必要がないと共に、溶鋼中の酸素活量・溶鋼温度の測定を行う必要なしに溶鋼昇温後の成分元素濃度を推定することができる点において特許文献1に開示された方法よりも優れているといえる。しかし、この方法では、昇温のためにランスから供給された酸素ガス以外の形態で酸素が溶鋼へ侵入した場合、成分元素の酸化反応量が変動し、ひいては溶鋼中の成分元素濃度の推定精度が悪化する。
本発明は、溶鋼成分の分析や溶鋼温度等の測定を必須とせずに、溶鋼昇温時の溶鋼中成分元素濃度を高精度で、かつ迅速に推定する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、まず、RH真空脱ガス装置を用いた溶鋼の昇温時に酸素がどのように消費されるのかについて調査した。この調査では、RH処理開始前にアルミニウム合金を投入して脱酸した溶鋼を対象とした。昇温前後に溶鋼のサンプリングを行い、昇温前後の成分元素の濃度を測定した。昇温前後の成分元素濃度の変化量より、成分元素濃度の変化に必要な酸素量を化学量論的に算出し、実際にランスから溶鋼へ吹き付けた酸素量との比較を行った。
図1は、化学量論的に算出した酸素量と実際に吹き付けた酸素の供給量との関係を示す図である。図1に示すように、成分元素濃度の変化から算出した酸素量は、実際に溶鋼へ吹き付けた酸素量を上回っていた。このことから、溶鋼中にはランスから溶鋼へ吹き付けた酸素ガス以外の酸素が侵入することが分かる。
溶鋼昇温時の溶鋼中の成分元素濃度を高精度に推定するためには、ランスから供給される酸素ガスの供給量に加えて、この酸素以外の形態で溶鋼中へ侵入する酸素量(以下、「外乱酸素量」と呼ぶ)を把握する必要がある。外乱酸素量に影響を及ぼす要因の解析を行った結果、以下の知見を得た。
(1) 真空脱ガス処理装置の真空槽内に付着した地金が外乱酸素量に影響を与える。これは、下記の原理によるものと考えられる。
図2は、RH型真空脱ガス処理装置の真空槽内に付着した地金の溶解処理とその前後の脱ガス処理を示す概略図であり、(a)は地金の溶解処理前の脱ガス処理を示し、(b)は地金の溶解処理を示し、(c)地金の溶解処理後の脱ガス処理を示す。図2(a)に示すように、地金の溶解処理前は、脱ガス処理時に、ランス1から吹き付けられた酸素により溶鋼2が飛び散り、真空槽内面に付着した地金3は、脱ガス処理後にも真空槽内に残存する。このため、脱ガス処理が終了した後には、図2(b)に示すように、地金3はバーナ4により溶解されて取り除かれるが、その一部が真空槽内に残存する。このときに残存した地金3には酸素が多量に含まれる。そして、図2(c)に示すように、地金の溶解処理後の脱ガス処理時に、真空槽内に残存した溶解地金3が真空脱ガス処理開始時の還流により溶鋼2へ流入して、地金に含まれている酸素が溶鋼中に侵入するものと考えられる。
(2)過去(特に前2回分)になされたRH真空脱ガス処理条件(処理時間、鋼種等)が外乱酸素量に影響を与える。これは、直前またはその前のRH脱ガス処理が規格[C]≦20[ppm]の極低炭素鋼に対してなされる場合には、RH処理前に脱酸をせず、RH処理中の溶鋼中酸素濃度を高めに保持した上で、RH処理中に真空脱ガス処理をする必要がある。従って、極低炭素鋼のRH処理後に残存する地金は酸素を多く含有することになり、外乱酸素量が大きくなると考えられる。
(3)RH処理開始前、RH処理中に投入された合金 、冷材、生石灰等の量およびスラグ厚みが外乱酸素量に影響を与える。これは、合金等に含まれる酸素が昇温中にスラグから溶鋼に侵入するためと考えられる。
本発明者らは、これら種々の操業条件を用いて外乱酸素量を推定するモデルを構築した。そして、外乱酸素量の推定値を精錬反応モデルに入力して溶鋼昇温時の溶鋼中成分元素濃度を推定することで、溶鋼昇温時の溶鋼中の成分元素濃度を高精度かつ迅速に推定できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、下記の(a)〜(f)を要旨とする。
(a) 取鍋内溶鋼と真空槽の間で溶鋼を循環させて溶鋼から脱ガス処理を行う2次精錬炉において行う成分元素濃度の推定方法であって、真空槽内部に付着した鋼の地金を加熱溶解除去するのに要する時間(加熱溶解処理時間)を測定し、加熱溶解処理時間から加熱溶解処理後に真空槽内部に残留した地金と共に溶鋼中へ侵入する外乱酸素量を推定し、外乱酸素量と溶鋼中の成分元素濃度との反応モデル式に基づき溶鋼中の成分元素濃度を推定することを特徴とする成分元素濃度の推定方法。
(b) 取鍋内溶鋼と真空槽の間で溶鋼を循環させて溶鋼から脱ガス処理を行う2次精錬炉において行う成分元素濃度の推定方法であって、真空槽内部に付着した鋼の地金を加熱溶解除去するのに要する時間(加熱溶解処理時間)を測定し、加熱溶解処理時間から加熱溶解処理後に真空槽内部に残留した地金と共に溶鋼中へ侵入する外乱酸素量を推定し、真空槽内で溶鋼を昇温するときにランスから供給される酸素ガスの供給量と、外乱酸素量と溶鋼中の成分元素濃度との反応モデル式に基づき溶鋼中の成分元素濃度を推定することを特徴とする溶鋼昇温時における成分元素濃度の推定方法。
(c) 外乱酸素量として、上記の加熱溶解処理時間のほか、前回の精錬処理における鋼種および処理時間ならびに今回の精錬処理に際して投入した合金量に基づいて推定した酸素量を用いることを特徴とする上記の(a)または(b)に記載の溶鋼昇温時における成分元素濃度の推定方法。
(d) 溶鋼の物質収支および熱収支に基づいて成分元素濃度を推定することを特徴とする上記の(a)から(c)までのいずれかに記載の溶鋼昇温時における溶鋼中の成分元素濃度の推定方法。
(e) 操業条件から統計的に溶鋼中の成分元素濃度を推定することを特徴とする上記の(a)から(c)までのいずれかに記載の溶鋼昇温時における溶鋼中の成分元素濃度の推定方法。
(f) 上記の(a)から(e)までのいずれかに記載の方法により溶鋼昇温時における溶鋼中のアルミニウム濃度を推定することを特徴とする溶鋼昇温時における溶鋼中のアルミニウム濃度の推定方法。
本発明によれば、溶鋼成分の分析や溶鋼温度等の測定を必要とせずに、溶鋼昇温時の溶鋼中の成分元素濃度を高精度で、かつ迅速に推定できるので、溶鋼中の成分元素濃度の目標値を正確に設定することができ、生産効率を向上させ、コストを低下させる。また、溶鋼成分の分析、プローブによる溶鋼温度等の測定を必須としないので、これらに起因する生産効率の悪化、コスト上昇も抑制することができる。
高炉から運搬された溶銑が溶銑予備処理を経て転炉に注銑され、転炉にて脱炭処理された後、取鍋に出鋼され、出鋼された取鍋内の溶鋼は取鍋精錬装置にて温度調整・成分調整される。取鍋精錬装置における溶鋼の昇温は、ランスから酸素ガスを溶鋼に供給することによって行うが、供給した酸素ガス以外の形態で酸素が溶鋼へ侵入する。このため、溶鋼中の成分元素濃度を推定するためには、ランスから供給される酸素の供給量だけではなく、この酸素ガス以外の形態で溶鋼中に侵入する酸素量も正確に把握する必要がある。
(A)外乱酸素量の推定方法
例えば、RH型真空脱ガス装置であれば、下記の(1)式に基づいて外乱酸素量を推定することができる。
Figure 2006052420
ただし、(1)式中のO2inは外乱酸素量[Nm3]を意味する。 Xiは操業条件で(a) バーナによる真空槽内付着地金の溶解処理時間、(b)前回処理時を含む過去のRH処理条件(処理時間、鋼種等)および(c)現在のRH処理条件(合金投入量、スラグ厚み等)から求められる。またαi、およびγは、モデルパラメータである。
これらのパラメータは、図1の縦軸上の値として示した溶解処理前後の溶鋼中成分元素濃度の変化から化学量論的に算出した酸素量と実際に吹付けた酸素の供給量との差として求まる外乱酸素量の実績値データと、対応する溶解処理における操業条件を用いて式(1)から推定される外乱酸素量の推定値を用いて最小二乗法などにより求めておけばよい。
真空槽を持たない取鍋精錬装置であれば、(1)式において、操業条件から上記(a)の条件を省略すればよい。
(B)溶鋼中の成分元素濃度の推定方法
次に、上記のように推定した外乱酸素量と、ランスから供給される酸素ガスの供給量とを用いた精錬反応モデルにより溶鋼中の成分元素濃度を推定する。精錬反応モデルとしては、溶鋼内の物質収支および熱収支をモデル化した物理モデルでも良いし、操業条件から統計的に推定する統計モデルでも良い。
(a)物理モデルを用いた方法
まず、取鍋精錬装置がRH型真空脱ガス装置である場合について説明する。
図3に示すように、RH型真空脱ガス装置においては、取鍋内および真空槽内の溶鋼を[1]真空槽内反応領域(図中の領域1)、[2]真空槽内混合領域(図中の領域2)および[3]取鍋内混合領域(図中の領域3)の3領域に分割して、各領域での物質収支および熱収支を求めればよい。なお、各領域における物質収支および熱収支は、下記の(2)式〜(7)式で表されるとおりである。
[1]真空槽内反応領域
Figure 2006052420
[2]真空槽内混合領域
Figure 2006052420
[3]取鍋内混合領域
Figure 2006052420
ただし、Cijは領域iの成分元素jの質量比濃度[-]、Viは領域iの溶鋼重量[ton]、Tiは領域iの溶鋼温度[℃]、Qは溶鋼還流量[ton/min]、QO2 は酸素供給速度[Nm3/min]、Kjは成分元素jの酸素消費係数[ton/Nm3]、αjは成分元素jの燃焼熱係数[℃・ton/Nm3]、εは真空槽内反応領域の真空槽内全領域に対する体積比[-]、ηjは成分元素jの酸素分配比率[-]をそれぞれ意味する。
(2)式の右辺第2項は、成分元素jの酸化反応による消費量を、(3)式の右辺第2項は成分元素の酸化反応による発熱量和を示す。微小時間dtの間に供給酸素と反応する成分元素jの種類は以下の手法により決定する。
<ステップ1>
真空槽内反応領域内の各成分元素jの濃度と、平衡定数の温度依存性の式から、各成分元素jの平衡酸素濃度を求める。平衡定数の温度依存性の式は、例えばAl、Si、Mn、Cについては(8)式〜(11)式となる。

Figure 2006052420
ただし、aAl2O、aSiO2、aMnOおよびPcoは、鋼種毎のパラメータである。Tは真空槽内反応領域の溶鋼温度[K]、[X]は真空槽内反応領域中成分元素Xの質量比濃度[-]を意味する。また、右辺の温度の関数式は各種文献(例えば、「製鋼反応の推奨平衡値」、1984年、日本学術振興会製鋼第19委員会発行)に記載の平衡定数と温度の関係式を用いればよい。
<ステップ2>
前述で求めた各成分元素の平衡酸素濃度を比較し、平衡酸素濃度が小さい成分元素から酸化反応するとして、平衡酸素濃度が小さい成分元素の順に酸素量を割り当てる。酸素量が割り当てられなかった成分元素については酸化反応による消費、発熱はないものとする。
以上のステップで酸化反応する成分元素の種類が決定される。そして、上記の(2)式〜(7)式を時間刻みdtで時間tについて離散化し、昇温終了時間までRunge−Kutta法などの微分方程式初期値問題の数値解法により計算すれば、昇温後の溶鋼中の各成分元素濃度を求めることができる。
昇温終了時間は、昇温用の酸素ガス供給時間と、推定した外乱酸素量とを合計した酸素量をランスからの酸素供給速度QO2で供給した場合の所要時間の合計とする。
(b)統計モデルを用いた方法
次に、昇温時の成分元素濃度を操業条件から統計的に推定する方法について説明する。溶鋼昇温時の各成分元素濃度の変化量は(12)式で表すことができる。
Figure 2006052420
ただし、(12)式中のΔ[X]は成分元素Xの質量比濃度変化量[-]、O2UTは昇温用供給酸素量[Nm3]、O2inは外乱酸素量[Nm3]をそれぞれ意味する。Xiは酸素量以外の操業条件を意味し、例えば、昇温処理前の合金投入による各成分元素濃度の上昇量、取鍋精錬開始時の初期各成分元素濃度、取鍋精錬開始時の初期溶鋼温度などである。またa1、a2、biおよびdはモデルのパラメータである。
これらのパラメータは、図1の縦軸上の値として示した溶解処理前後の溶鋼中成分元素濃度の変化から化学量論的に算出した酸素量と実際に吹付けた酸素の供給量との差として求まる外乱酸素量の実績値データと、対応する溶解処理における操業条件を用いて式(1)から推定される外乱酸素量の推定値を用いて最小二乗法などにより求めておけばよい。
(12)式中のO2inに(1)式で推定した外乱酸素量を代入すれば、溶鋼昇温時の各成分元素濃度の変化量を推定できる。昇温時の成分元素濃度の変化量が推定できれば、取鍋精錬開始時の初期成分元素濃度と、昇温処理前の合金等の投入による成分元素濃度の上昇量とから、昇温後の成分元素濃度は容易に求めることができる。
物理モデルを用いた推定方法の効果を調査すべく、下記の実験を行った。
RH型真空脱ガス装置において、規格[C]=0.04[%]〜0.17[%]、溶鋼重量=210[ton]〜250[ton]、RH処理開始前に脱酸されている溶鋼123チャージを対象とした。昇温を行ったチャージでは、真空槽内上部に設けた昇降可能なランスから溶鋼表面に酸素ガスを供給速度=32〜41[Nm3/min]で吹き付ける処理を行った。全てのRH処理について、転炉出鋼後合金投入量、スラグ厚みおよび処理鋼種と、RH処理の間に行うバーナによる真空槽内付着地金の溶解処理条件とを調査し、3回目以降のRH処理について前記の(1)式により外乱酸素量を推定した。
なお、(1)式の計算においては、外乱酸素量の推定値を求めるRH真空脱ガスの処理条件と、前々回および前回の処理鋼種の炭素濃度、直前のRH真空脱ガス処理と今回のRH真空脱ガス処理間に真空槽内に付着した地金を溶解除去するのに用いるバーナ使用時間、転炉出鋼後の合金投入量およびスラグ厚みをXiとした。また、αi、βi,jおよびγとしては、前記のように最小二乗法で決定した。
次に、この推定した外乱酸素量とランスから供給した酸素量とに基づいて、前述の(2)式〜(11)式により、昇温処理後の溶鋼中の成分元素濃度を推定し、昇温処理終了後に測定した成分元素濃度と比較した。溶鋼還流量=191[ton/min]、真空槽内溶鋼重量=15[ton]、真空槽内反応領域の真空槽内全領域に対する体積比=0.6として計算した。
図4は、外乱酸素量を考慮した場合と考慮しなかった場合とについて、昇温後のアルミニウム濃度の推定結果を示す図である。図4に示すように、ランスから溶鋼へ吹き込んだ酸素量に外乱酸素量を考慮した本発明例では、昇温後のアルミニウム濃度推定誤差の±0.01[%]以内の的中率が24[%]から70[%]へ大幅に上昇し、推定精度が大幅に向上していた。
統計モデルを用いた推定方法の効果を調査すべく、下記の実験を行った。
実施例1と同じ溶鋼処理チャージを対象に前述の(1)式より外乱酸素量の推定値を求めた。次に、この外乱酸素量の推定値と、前述の(12)式を用いて、昇温後の成分元素濃度を推定し、実施例1と同様に、昇温後に測定した成分元素濃度と比較した。
なお、(12)式中の酸素量以外の操業条件Xiには、昇温処理前の合金投入による成分元素濃度の上昇量、RH処理開始時の初期各成分元素濃度、RH処理開始時の初期溶鋼温度を用いた。そして、(12)式中のO2UTに昇温用酸素供給量の実績値、O2inに外乱酸素量の推定値を代入して、昇温時の成分元素濃度変化量を推定した。
図5は、外乱酸素量を考慮した場合と考慮しなかった場合とについて、昇温後のアルミニウム濃度の推定結果を示す図である。図5に示すように、ランスから溶鋼へ吹き込んだ酸素量に外乱酸素量を考慮した本発明例では、昇温後のアルミニウム濃度推定誤差の±0.01[%]以内の的中率が24[%]から79[%]へ大幅に上昇し、推定精度が大幅に向上していた。
本発明によれば、溶鋼成分の分析や溶鋼温度等の測定を必要とせずに、溶鋼昇温時の溶鋼中成分元素濃度を高精度で、かつ迅速に推定できるので、溶鋼中成分元素濃度の目標値を正確に設定することができ、生産効率を向上させ、コストを低下させる。また、溶鋼分析や、プローブによる溶鋼温度等の測定を必須としないので、これらに起因する生産効率の悪化、コスト上昇も抑制することができる。
化学量論的に算出した酸素量と実際に吹き付けた酸素の供給量との関係を示す図である。 RH型真空脱ガス処理装置の真空槽内に付着した地金の溶解処理とその前後の脱ガス処理を示す概略図であり、(a)は地金の溶解処理前の脱ガス処理を示し、(b)は地金の溶解処理を示し、(c)地金の溶解処理後の脱ガス処理を示す。 RH型真空脱ガス装置において溶鋼の物質収支および熱収支を求める領域を説明する図である。 実施例1において外乱酸素量を考慮した場合と考慮しなかった場合とについて、昇温後のアルミニウム濃度の推定結果を示す図である。 実施例2において外乱酸素量を考慮した場合と考慮しなかった場合とについて、昇温後のアルミニウム濃度の推定結果を示す図である。
符号の説明
1.ランス、2.溶鋼、3.地金、4.バーナ

Claims (6)

  1. 取鍋内溶鋼と真空槽の間で溶鋼を循環させて溶鋼から脱ガス処理を行う2次精錬炉において行う成分元素濃度の推定方法であって、真空槽内部に付着した鋼の地金を加熱溶解除去するのに要する時間(加熱溶解処理時間)を測定し、加熱溶解処理時間から加熱溶解処理後に真空槽内部に残留した地金と共に溶鋼中へ侵入する外乱酸素量を推定し、外乱酸素量と溶鋼中の成分元素濃度との反応モデル式に基づき溶鋼中の成分元素濃度を推定することを特徴とする成分元素濃度の推定方法。
  2. 取鍋内溶鋼と真空槽の間で溶鋼を循環させて溶鋼から脱ガス処理を行う2次精錬炉において行う成分元素濃度の推定方法であって、真空槽内部に付着した鋼の地金を加熱溶解除去するのに要する時間(加熱溶解処理時間)を測定し、加熱溶解処理時間から加熱溶解処理後に真空槽内部に残留した地金と共に溶鋼中へ侵入する外乱酸素量を推定し、真空槽内で溶鋼を昇温するときにランスから供給される酸素ガスの供給量と、外乱酸素量と溶鋼中の成分元素濃度との反応モデル式に基づき溶鋼中の成分元素濃度を推定することを特徴とする溶鋼昇温時における成分元素濃度の推定方法。
  3. 外乱酸素量として、上記の加熱溶解処理時間のほか、前回の精錬処理における鋼種および処理時間ならびに今回の精錬処理に際して投入した合金量に基づいて推定した酸素量を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の溶鋼昇温時における成分元素濃度の推定方法。
  4. 溶鋼の物質収支および熱収支に基づいて成分元素濃度を推定することを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の溶鋼昇温時における溶鋼中の成分元素濃度の推定方法。
  5. 操業条件から統計的に溶鋼中の成分元素濃度を推定することを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の溶鋼昇温時における溶鋼中の成分元素濃度の推定方法。
  6. 請求項1から5までのいずれかに記載の方法により溶鋼昇温時における溶鋼中のアルミニウム濃度を推定することを特徴とする溶鋼昇温時における溶鋼中のアルミニウム濃度の推定方法。
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