JP2006050979A - 抗アレルギー機能を有する乳酸菌入り発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料、及びその製造方法 - Google Patents

抗アレルギー機能を有する乳酸菌入り発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料、及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造方法において、抗アレルギー活性を有する乳酸菌による乳酸発酵を利用し、抗アレルギー機能を具備し、かつ、乳酸発酵による爽やかな酸味とまろやかな香味を持つ、乳酸菌入り発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料、及びその製造方法を提供すること
【解決手段】 発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造において、抗アレルギー活性を有する乳酸菌を添加し、乳酸発酵を行なった後、酵母によるアルコール発酵を行ない、かつ、発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料のダイアセチル濃度をビール又は発泡酒の閾値以下に抑制することにより、乳酸発酵由来の調和のとれた爽快でまろやかな酸味と酵母によるアルコール発酵由来の穏やかな風味・香味を有し、かつ、乳酸菌の抗アレルギー活性による抗アレルギー機能を有する乳酸菌入り発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料が製造できる。

Description

本発明は、抗アレルギー機能を有する乳酸菌入り発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料、及びその製造方法に関する。特に、発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造において、抗アレルギー活性を有する乳酸菌による乳酸発酵後に、酵母によるアルコール発酵を行うことにより、すっきりとした爽やかな酸味とまろやかな香味を持ち、かつ、抗アレルギー活性を有する乳酸菌を含有するようにした乳酸菌入り発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料、及びその製造方法に関する。
ビールや発泡酒のような発酵麦芽飲料は、主原料として麦芽を、副原料として米、麦、コーン、スターチ等の澱粉質原料、及びこれにホップ、水を原料にして製造されるが、日本の酒税法においては、麦芽使用比率で比較すると、ビールは、水を除く麦芽の使用量が全原料中、67重量%以上と規定されている。一方、発泡酒には、上記原料の内、水を除く麦芽の使用量が50重量%以上66.7重量%未満及び、25重量%以上50重量%未満及び、25重量%未満の3種類が規定されている。
また、最近、発酵麦芽飲料の麦芽に替えて、窒素化合物やミネラル含有率の高い原料を使用し、ビールや発泡酒のような発酵麦芽飲料の製造に類似する方法で、アルコール飲料を製造する麦芽代替発酵飲料が製造されている。このような麦芽代替発酵飲料は、日本の酒税法上は「雑酒」に分類される。日本の酒税法上、「雑酒」は、麦芽又は麦を原料の一部とした「発泡酒」と、発泡酒以外の「その他の雑酒」に分類される。ここで「その他の雑酒」は、麦芽又は麦を使用せず、マメ類、穀類などの植物タンパク質等を酵素分解した窒素源と糖化液を混合し、酵母によりアルコール発酵させるものである。
上記のように、発泡酒は、日本の酒税法上は、麦芽を原料の一部として用いた雑酒に属するものであるが、ビールも発泡酒も、いずれも麦芽の活性酵素や、カビ由来などの精製された酵素を用いて、麦芽や副原料である澱粉質を糖化させ、この糖化液を酵母によりアルコール発酵させて、アルコール、炭酸ガスに分解して、アルコール飲料としているものである点では共通している。従って、ビールの作り方も、発泡酒の作り方も、その基本においては、大きく変わるものでない。また、「その他の雑酒」に属する麦芽代替発酵飲料も、麦芽等の酵素分解に替えて、上記のような植物タンパク質等を酵素分解した窒素源と糖化液を混合し、酵母によりアルコール発酵させるものであり、ビールや発泡酒の作り方と基本的に大きく異なるものではなく、ビール又は発泡酒の製造装置を使用して、類似する方法で製造されるものである。
近年、ビールや発泡酒のような発酵麦芽飲料において、消費者の味の多様化の要求から、種々の香味を有する発酵麦芽飲料の開発の試みが行われている。その香味の多様化のために微生物を利用する試みとして、例えば、特開平6−303959号公報には、麦芽や澱粉質副原料のような発泡酒の製造原料に黄麹菌や白麹菌によって調製した清酒の元や清酒醪を加えて、清酒風味の発泡酒を製造する方法や、発泡酒の製造原料にブドウ果汁、リンゴ果汁、その他の果汁に果実酒用酵母を発酵、増殖させた醪を添加してワイン風味或いはシードル風味を付与した発泡酒の製造方法について開示されている。また、特許第2727048号公報には、麦芽や澱粉質副原料のような発泡酒の製造原料から調製した糖化液に、白麹菌又はリゾープス菌を繁殖させて得た米麹、大麦麹又はトウモロコシ麹を使用して製造したクエン酸に富む元を添加して、クエン酸に富んだ風味を有する発泡酒を製造する方法について開示されている。
しかし、これらはいずれも清酒風味や果実酒風味等を付与した発泡酒の製造方法であって、麦芽や澱粉質副原料から製造される従来のビールや発泡酒とは、その香味上タイプの異なる発酵麦芽飲料の製造方法となっている。
また、古来より、ビールや発泡酒のような発酵麦芽飲料において、濾過後の発酵麦芽飲料中に酵母を含有させて、いわゆる酵母入り発酵麦芽飲料として、香味豊かな、かつ、まろみのある発酵麦芽飲料として製品化することが行われている。しかしながら、この酵母は、ビールや発泡酒のような発酵麦芽飲料の製造に使用されている発酵材料の範囲に留まるものであるから、その香味の改善の多様性の幅には限度がある。
一方、乳酸菌は、清酒等の分野においては、その酒類の製造のための微生物として利用されている。しかし、ビールや発泡酒のような発酵麦芽飲料の製造においては、むしろ、汚染菌としてその混入を避けることが行われている。したがって、ビールや発泡酒のような発酵麦芽飲料の製造においては、乳酸菌の混入を避けるために、それを検出する手段(特開平7−289295号公報、特開平9−121896号公報、特開2003−251号公報、特表2002−521650号公報)や、それを除去する手段(特開2002−315562号公報、特開2003−144128号公報)等が種々開発されている。
他方、ビールのような発酵麦芽飲料において、乳酸菌を用いて、乳酸菌の産生する酸味を香味に利用する方法も知られている。その例として、ベルギーのランビック(lambic)ビールが知られている(宮地秀夫著「ビール醸造技術」株式会社食品産業新聞社(1999年12月28日)、P494−495)。このランビックビールは、酵母と醸造中に混入する乳酸菌とを利用し、該酵母と乳酸菌との混合状態の微生物により、従来のビールの発酵槽を用いた発酵様式により並列式に発酵を行わせて製造するものである。しかしながら、この方法は、たまたま混入する乳酸菌を利用するものであるから、乳酸菌の濃度のコントロールが難しく、味の安定性に問題があり、また、その発酵期間も長いという問題がある。
そこで、糖液、果汁、麦芽汁、穀類の糖化液の1種以上を発酵原料として、酵母による発酵帯域と乳酸菌のような酸生成菌による発酵帯域とを直列的に連結して、複式発酵を行うことにより、爽快な酸味とエタノール発酵によって生成したエタノールによる芳醇さやボディを有する豊かな風味ないし香味を有する酒類等の発酵飲料を製造する方法が開発されている(特許第2888862号公報)。この方法は、酒類等の製造方法において、乳酸菌等の生成する爽快な酸味を利用するものであるが、これをビールのような発酵麦芽飲料の製造に適用した場合には、乳酸菌による発酵工程が入るために、発酵する際に生成するダイアセチルのコントロールを行わなければならないという必要がある。
一方、近年、飲食品等の分野において飲食品に生理活性物質のような成分を含有させて、機能性飲食品として利用することが盛んに行なわれている。その機能性の一つに抗アレルギー作用がある。この抗アレルギー作用を持つ物質の一つとして乳酸菌が知られている。種々の飲食品の製造に利用されている乳酸菌は、安全性の面から飲食品などへの応用が容易であり、抗アレルギー作用を持つ物質として有用な素材である。しかし、乳酸菌を抗アレルギー作用を持つ物質として、機能性飲食品の製造に利用する場合に、一概に乳酸菌といっても全ての乳酸菌に抗アレルギー作用を増強させる強い効果があるわけではなく、乳酸菌の利用にあたっては、有用な株の選択をすることが必須となってくる。
今までに、乳酸菌を抗アレルギーに利用する試みについては、いくつかのものが知られている。例えば、抗アレルギー乳酸菌として、Lactobacillus rhamnosus LGG株が知られており、妊婦に摂取させることにより、子供のアトピー性皮膚炎発症が抑制されることが示されている(ランセット、2001年、第357巻、1076頁)。また、乳酸菌を抗アレルギー剤として用いることについては、いくつかの特許公報でも開示されている。例えば、特開平9−2959号公報には、L.アシドフィルス、L.ブレビス、L.ブフネリ、及びL.カゼイ等の乳酸菌を添加してマウスリンパ球を培養した際のIgE産生量が30ng/ml以下のものを抗アレルギー剤として用いることについて、特開平10−309178号公報には、ビフィドバクテリウム・インファンティス、ビフィドバクテリウム・ブレーベ、ビフィドバクテリウム・ロンガム及びビフィドバクテリウム・ビフィダム等のビフィズス菌を特に食物アレルギーを治療するための抗アレルギー剤として用いることについて、及び、特開2000−95697号公報には、エンテロコッカス・フェカリス、ラクトバシルス・ロイテリーなどの乳酸菌をアレルギ性気管支喘息、アレルギ性鼻炎及びアトピ−性皮膚炎等のI型アレルギーの抑制剤として用いることについて、それぞれ開示されている。
乳酸菌のもつ抗アレルギー作用を飲食品の製造に利用することも知られている。すなわち、抗アレルギー効果を有する飲食品として、上述のように特定の乳酸菌を用いたヨーグルトや乳酸菌飲料が、抗アレルギー効果を有する飲食物として一部実用化されている。しかし、このような飲食品類は、もともと乳酸菌を使用してその飲食品を製造していた分野のものであり、前記のものは該飲食品の製造に用いる乳酸菌に、抗アレルギー活性のものを選定したという範囲のものであり、場合によっては、乳酸菌の抗アレルギー効果のみを追求し、味覚の点では、もう一つ満足の行かないものなどもあって、乳酸菌のもつ抗アレルギー活性の利用が、乳酸発酵の特徴及び乳酸菌のもつ抗アレルギー活性をその機能及び味覚の上で、積極的に利用しえたものではなかった。
ところで、前記のような酵母によるアルコール発酵させた発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造において、飲食品材料として安全に利用できる乳酸菌を用いて、乳酸発酵による爽やかな酸味を持つ特有の味覚と、前記のような抗アレルギー活性を利用して、香味に優れ、かつ、有用な機能性を有する発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料を製造することが考えられる。しかし、従来、発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造工程において、乳酸菌を添加して、乳酸発酵を行なった場合に産生するダイアセチル等の問題から、抗アレルギー活性のような機能性を有し、しかも調和のとれたまろやかな酸味と穏やかな香味を実現できる乳酸菌入りの発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料は存在しなかった。
特開平7−289295号公報。 特開平9−2959号公報。 特開平9−121896号公報。 特開平10−309178号公報。 特開2000−95697号公報。 特開2002−315562号公報。 特開2003−251号公報。 特開2003−144128号公報。 特表2002−521650号公報。 特許第2888862号公報。 宮地秀夫著「ビール醸造技術」株式会社食品産業新聞社(1999年12月28日)、P494−495。 ランセット、2001年、第357巻、1076頁。
本発明の課題は、発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造方法において、抗アレルギー活性を有する乳酸菌による乳酸発酵を利用し、抗アレルギー機能を具備し、かつ、乳酸発酵によるすっきりとした爽やかな酸味とまろやかな香味を持つ、乳酸菌入り発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料、及びその製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねたところ、発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造において、抗アレルギー活性を有する乳酸菌を添加し、乳酸発酵を行なった後、酵母によるアルコール発酵を行ない、かつ、発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料のダイアセチル濃度をビール又は発泡酒の閾値以下に抑制することにより、乳酸発酵由来の調和のとれた爽快でまろやかな酸味と酵母によるアルコール発酵由来の穏やかな風味・香味を有し、かつ、乳酸菌の抗アレルギー活性による抗アレルギー機能を有する乳酸菌入り発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料が製造できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明においては、発酵麦芽飲料や麦芽代替発酵飲料の製造において、抗アレルギー活性を有する乳酸菌を利用して、発酵麦芽飲料や麦芽代替発酵飲料に、抗アレルギー機能を具備させると共に、該発酵麦芽飲料や麦芽代替発酵飲料の製造工程において、該乳酸菌による乳酸発酵を行なった後に、酵母によるアルコール発酵を行なうことで、乳酸発酵由来の酸味が、アルコール発酵由来の穏やかな風味・香味と相俟って、調和のとれた爽快でまろやかな酸味とすることができ、更に、乳酸発酵によるダイアセチルの生成を極力抑え、かつ、該乳酸発酵後に酵母によるアルコール発酵を行うことで、酵母のもつダイアセチル還元能の作用により、ダイアセチルを大きく低減することにより、ダイアセチル濃度をビール又は発泡酒の閾値0.1mg/l以下に抑制することにより、異臭の代表的な成分であるダイアセチルのような異臭成分を極力低減した清涼感のある、爽やかな酸味を有した発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料を製造することが可能であることを見い出し、本発明をなした。
本発明において、乳酸発酵によるダイアセチルの生成を抑える為に、乳酸発酵を、炭酸ガスや窒素ガスのような不活性ガスを置換した雰囲気により、嫌気性条件の乳酸発酵管理下に行い、ダイアセチル濃度をビール又は発泡酒の閾値以下に抑制する方法を採用することができる。また、ダイアセチルの産生、残存を極力防止するために、アルコール発酵における酵母として、上面発酵酵母を用いアルコール発酵におけるダイアセチルの低減を大きくすることができる。
本発明において、発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料に、アレルギー機能を付与するための抗アレルギー活性を有する乳酸菌としては、乳酸菌が、卵白アルブミンで感作させたマウス脾臓由来リンパ球を卵白アルブミン含有培地に懸濁し被検乳酸菌を添加して培養した場合に、被検乳酸菌としてLactobacillus paracasei KW3110株を用いた場合に比較して、50%以上のインターロイキン12産生量を示し、且つ、乳酸菌無添加コントロールの50%未満のインターロイキン4産生量を示す高抗アレルギー活性を示す乳酸菌を挙げることができ、該乳酸菌としては具体的には、Lactobacillus paracasei KW3110株、Lactobacillus plantarum KW4110株、Lactobacillus paracasei KW3925株、Lactobacillus paracasei KW3926株、又はStreptococcus salivarius KW3210を挙げることができる。
本発明により、常温での長期保存に対して乳酸菌の抗アレルギー活性の低下が生じない発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料を製造することが可能になる。すなわち、本発明の製造方法で提供される発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料は、常温で、製造後の市場滞留期間に相当する製造後6ヶ月以内の期間を経過した該発酵麦芽飲料中又は該麦芽代替発酵飲料中の乳酸菌が示す前記インターロイキン12産生量及びインターロイキン4の産生量が、上記の乳酸菌のインターロイキン12産生量及びインターロイキン4の産生量の範囲内にあり、常温での長期保存に対して抗アレルギー機能を有する乳酸菌入り発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料を提供することが可能である。
すなわち具体的には本発明は、発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造方法において、抗アレルギー活性を有する乳酸菌を添加し、乳酸発酵を行なった後、酵母によるアルコール発酵を行ない、かつ、発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料のダイアセチル濃度をビール又は発泡酒の閾値以下に抑制することを特徴とする抗アレルギー機能を有する乳酸菌入り発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造方法(請求項1)や、ダイアセチル濃度のビール又は発泡酒の閾値が、0.1mg/lであることを特徴とする請求項1記載の抗アレルギー機能を有する乳酸菌入り発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造方法(請求項2)や、乳酸発酵を、嫌気性条件の乳酸発酵管理下に行い、ダイアセチル濃度をビール又は発泡酒の閾値以下に抑制することを特徴とする請求項1又は2記載の抗アレルギー機能を有する乳酸菌入り発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造方法(請求項3)からなる。
また本発明は、乳酸発酵に用いる乳酸菌が、卵白アルブミンで感作させたマウス脾臓由来リンパ球を卵白アルブミン含有培地に懸濁し被検乳酸菌を添加して培養した場合に、被検乳酸菌としてLactobacillus paracasei KW3110株を用いた場合に比較して、50%以上のインターロイキン12産生量を示し、且つ、乳酸菌無添加コントロールの50%未満のインターロイキン4産生量を示す高抗アレルギー活性を示す乳酸菌であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の抗アレルギー機能を有する乳酸菌入り発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造方法(請求項4)や、高抗アレルギー活性を示す乳酸菌が、Lactobacillus paracasei KW3110株、Lactobacillus plantarum KW4110株、Lactobacillus paracasei KW3925株、Lactobacillus paracasei KW3926株、又はStreptococcus salivarius KW3210であることを特徴とする請求項4記載の抗アレルギー機能を有する乳酸菌入り発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造方法(請求項5)や、酵母によるアルコール発酵を、上面発酵酵母を用いて行い、ダイアセチルの濃度を低減したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の抗アレルギー機能を有する乳酸菌入り発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造方法(請求項6)や、請求項1〜6のいずれか記載の発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造方法によって製造された抗アレルギー機能を有する乳酸菌入り発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料(請求項7)からなる。
更に、本発明は、発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料のダイアセチル濃度が、ビール又は発泡酒の閾値0.1mg/l以下であることを特徴とする請求項7記載の抗アレルギー機能を有する乳酸菌入り発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料(請求項8)や、発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料が、300〜3000mg/Lの乳酸と、発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料100mlあたり、10〜1011個の乳酸菌を含んでいることを特徴とする請求項7又は8記載の抗アレルギー機能を有する乳酸菌入り発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料(請求項9)や、発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料が、常温で、製造後の市場滞留期間に相当する製造後6ヶ月以内の期間を経過した該発酵麦芽飲料中又は該麦芽代替発酵飲料中の乳酸菌が示す前記インターロイキン12産生量及びインターロイキン4の産生量が、請求項5記載の乳酸菌のインターロイキン12産生量及びインターロイキン4の産生量の範囲内にあることを特徴とする請求項7〜9のいずれか記載の抗アレルギー機能を有する乳酸菌入り発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料(請求項10)からなる。
本発明の発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造方法によれば、ビールや発泡酒等の発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料であって、すっきり爽快でまろやかな酸味と穏やかな香味を付与することができ、しかも抗アレルギー活性を有する乳酸菌の共存により、抗アレルギー機能性も併せ持った発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料を製造することができる。更に、本発明の発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造方法は、常温での長期保存に対して乳酸菌の抗アレルギー活性低下が生じない発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の提供が可能になる。
また、本発明の発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造方法によれば、乳酸発酵、そして酵母によるアルコール発酵によって得られた発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料を、別途製造した、乳酸発酵を行っていない、通常の発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製法により製造された発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料により調合し、目的とする香味に調整することが可能になる。また、その際、最終的な乳酸菌量を100mlあたり、10〜1011個とするために、別途培養し、生成した同じ菌を添加して調整することも可能となる。
本発明は、発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造方法において、抗アレルギー活性を有する乳酸菌を添加し、乳酸発酵を行なった後、酵母によるアルコール発酵を行ない、かつ、発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料のダイアセチル濃度をビール又は発泡酒の閾値0.1mg/l以下に抑制することにより、乳酸発酵由来の調和のとれた爽快でまろやかな酸味と酵母によるアルコール発酵由来の穏やかな風味・香味を有し、かつ、乳酸菌の抗アレルギー活性による抗アレルギー機能を有する乳酸菌入り発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料を製造することよりなる。
本発明の発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造方法で、乳酸発酵に用いる乳酸菌は、抗アレルギー活性を有する乳酸菌であり、該乳酸菌としては、卵白アルブミンで感作させたマウス脾臓由来リンパ球を卵白アルブミン含有培地に懸濁し被検乳酸菌を添加して培養した場合に、被検乳酸菌としてLactobacillus paracasei KW3110株を用いた場合に比較して、50%以上のインターロイキン12産生量を示し、且つ、乳酸菌無添加コントロールの50%未満のインターロイキン4産生量を示す高抗アレルギー活性を示す乳酸菌を挙げることができる。また、その活性を長期間維持することが可能な乳酸菌であることが好ましい。該乳酸菌としては、具体的には、Lactobacillus paracasei KW3110株、Lactobacillus plantarum KW4110株、Lactobacillus paracasei KW3925株、Lactobacillus paracasei KW3926株、又はStreptococcus salivarius KW3210などの高抗アレルギー活性を示す乳酸菌を挙げることができる。
本発明において、乳酸発酵に用いる高抗アレルギー活性を有する乳酸菌を取得するには、アレルゲンで感作させた動物脾臓由来リンパ球を当該アレルゲン含有培地に懸濁し被検乳酸菌を添加して培養し、被検乳酸菌としてLactobacillus paracasei KW3110株を用いた場合と同等、或いはL. paracasei KW3110株を用いた場合に比較して、50%以上のTh1誘導サイトカイン産生量を示し、且つ、乳酸菌無添加コントロールの50%未満のインターロイキン4生成量を示す乳酸菌を分離し、高抗アレルギー活性を有する乳酸菌を取得する。
すなわち、公知の乳酸菌の菌株或いは新しく分離した乳酸菌の菌株を用いて、卵白アルブミンで感作させたマウス脾臓由来リンパ球を卵白アルブミン含有培地に懸濁したものに該乳酸菌を添加して培養し、基本的には、被検乳酸菌としてL.paracasei KW3110株を用いた場合と同等、或いはL.paracasei KW3110株を用いた場合に比較して、50%以上のインターロイキン12産生量を示し、且つ、乳酸菌無添加コントロールの50%未満のインターロイキン4生成量を示す乳酸菌を分離することにより取得することができる。前記のとおり、本発明において有効成分として用いる乳酸菌は、種々の公知の或いは新たに分離した乳酸菌の中から、in vitroにおける抗アレルギー活性を評価する実験方法を行うことにより、本発明の指標を基準に当業者が容易に選択し取得することができる。
本発明において、乳酸発酵に用いる、高抗アレルギー活性を有する乳酸菌は、例えばL.paracasei KW3110株は、L.casei L14株として、日本乳業技術協会から入手することができる。なお、日本乳業技術協会の記載によれば、L14株はL.caseiとの記載があるが、本発明者らがQUALICON社製リボプリンターを用いたRFLP(Restriction Flagment Length Polymorphism)及びAFLP(Amplified Flagment Length Polymorphism)を用いて解析したところ、当該株はL.paracaseiと判断されたため、本発明においてはL.paracaseiと記載した。本発明で抗アレルギー用組成物の有効成分として使用されるL.paracasei KW3110は、上記のとおり日本乳業技術協会から入手することができるが、更に、特許微生物の寄託のためのブダペスト条約に基く、国際寄託当局である独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに、FERM BP−08634として寄託されている。
また、本発明で乳酸発酵に用いる、高抗アレルギー活性を有する乳酸菌のL.plantarum KW4110株はL.plantarum JCM1149株として、L.paracasei KW3926株はL.paracasei JCM8132株として、JCM(理化学研究所微生物系統保存施設)から入手することができ、更に、L.paracasei KW3925株はL.paracasei NRIC1917株として、NRIC(東京農業大学)から入手することができる。
本発明の発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造方法においては、該抗アレルギー活性を有する乳酸菌を用いて、乳酸発酵を行ない、その後酵母によるアルコール発酵を行なう。本発明の発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造方法において、乳酸菌及び酵母によって資化可能な発酵原料として、オリゴ糖を含む各資化性糖、果汁、麦汁、穀類、を原料とした糖化液の1種またはそれ以上を主としてなる発酵原料液を用いることができる。特に、ビールや発泡酒のような発酵麦芽飲料の場合は、麦汁を用いる。麦汁製造の際の仕込工程は、通常の行われている工程が採用される。すなわち、ビールや発泡酒のような発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造に通常行われている工程が採用される。但し、乳酸発酵に用いる麦汁は多くの乳酸菌に対して静菌作用を持つホップを添加しない方が望ましい。ホップ入りの爽快な味覚のビール若しくは発泡酒とするために、乳酸発酵後にホップ入りの麦汁を追加して酵母発酵することや、充填前に異性化ホップを添加することが望ましい。
乳酸発酵の条件としては、基本的には、通常の乳酸発酵の発酵条件を採用することができる。すなわち、適切な乳酸発酵を行うために、使用する菌に適した温度条件を採用し、発酵中はpHを制御して、菌自身が生成した乳酸によるpH低下により乳酸発酵が阻害されないようにすることが望ましい。
本発明の発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造方法においては、発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料のダイアセチル濃度をビール又は発泡酒の閾値0.1mg/l以下に抑制することが重要である。そのためには、抗アレルギー機能を有する乳酸菌による乳酸発酵において産生するダイアセチル濃度を極力減少させる必要がある。その方法としては、嫌気性条件の乳酸発酵管理により、ダイアセチルの生成を抑制する。例えば、乳酸発酵の際、CO、N又は希ガス等の不活性ガス等で置換した雰囲気を作り、高度の嫌気性条件下とすることで、乳酸発酵後のダイアセチルの生成を最小限に抑えることが可能になる。
本発明の発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造方法において、ダイアセチル濃度を減少させる方法として、アルコール発酵に用いる酵母を上面発酵酵母とすることで、乳酸発酵で生成するダイアセチルを最終的に閾値以下までに低減することも可能である。上面発酵酵母は、下面発酵酵母と比較して高温で発酵させるため、ダイアセチルの還元能が高いことが知られている。
本発明の発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造方法においては、乳酸菌による乳酸発酵後に、酵母によるアルコール発酵を行なう。この酵母によるアルコール発酵により、乳酸発酵由来の酸味が、アルコール発酵由来の穏やかな風味・香味と相俟って、調和のとれた爽快でまろやかな酸味とすることができ、更に、酵母のもつダイアセチル還元能の作用により、ダイアセチルを大きく低減することにより、ダイアセチル濃度をビール又は発泡酒の閾値0.1mg/l以下に抑制することができる。乳酸発酵後の酵母によるアルコール発酵は、通常、発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造において採用されている発酵条件を採用することができる。すなわち、ビールや発泡酒のような発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造において通常行われている工程を採用できる。
酵母によるアルコール発酵が終了した発酵液は、適宜、別途製造した、乳酸発酵を行っていない、通常の発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製法により製造された発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料により調合し、目的とする香味に調整することが可能である。その際、ろ過工程以降に調合すれば、品質管理が比較的容易になるため、より好ましい。また、その際、最終的な乳酸菌量を100mlあたり、10〜1011個とするために、充填工程前に、別途一般的な乳酸菌培養方法で培養した同じ菌を添加して、調整することが可能である。
本発明の発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料を、調和のとれたまろやかな酸味と穏やかな香味を有するビール又は発泡酒とするためには、最終製品の乳酸量が300〜3000mg/lで、かつその場合のpHが3.8を下回らないように調整することが好ましい。同時に、抗アレルギー活性を有する乳酸菌の濃度としては、乳酸菌が発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料100mlあたり、10〜1011個存在することが望ましい。さらに、ダイアセチル濃度がビール又は発泡酒の閾値以下0.1mg/lとすることが重要である。本発明において製造され抗アレルギー機能を有する発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の乳酸菌による抗アレルギー活性は、該発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料を、平均的な市場滞留期間を経過した期間、すなわち6ヶ月の間保存した場合であっても変化しない。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
糖度14°Pに調整したホップなしの麦芽汁に、同麦芽汁にて32℃、24時間、前培養した乳酸菌Lactobacilllus paracasei KW3110株を1w/w%添加し、32℃で乳酸発酵を行った。(初期乳酸菌数は10cells/ml)。乳酸発酵槽は容量20Lで、攪拌速度を10rpmとし、槽内は窒素ガスで置換した状態とした。槽内はやや陽圧になる程度とし、通気は実施しなかった。発酵は48時間実施し、途中24時間まではpHが4.8を下回らないよう水酸化ナトリウムを添加した。発酵液は80℃×30秒のプレート式熱交換器により殺菌した。得られた発酵液は100ml当たりLactobacilllus paracasei KW3110株を8.0×1010個含み、やや甘さが目立つものの、非常に爽快でまろやかな酸味と麦芽汁の甘味を兼ね備えた香味であった。また、乳酸発酵液の組成は表1の通りであった。尚、殺菌後の菌数はリアルタイムPCRによる方法により測定した。即ち、サンプルを遠心分離し(15000回転、 室温、 5分)、沈殿物をTEバッファーに懸濁し、次に、菌体懸濁液にグラスビーズ(50−212microns、SIGMA社)を加え、ボルテックスミキサー(Model Vortex-Genie 2)にチューブを逆さ向きにセットして2分間激しく撹拌し、菌体を破砕し、遠心分離(15000回転, 室温、 5分)した上清をDNAサンプルとして使用した。一方、リアルタイムPCRの機器は Roche 社 LightCycler を使用し、反応は FastStart DNA Master SYBR Green I を用いた。MgCl濃度は3mMとし、L.paracasei 検出用プライマーとして、
PARA;5’-CACCGAGATTCAACATGG-3’(配列番号1)
Y2;5’-CCCACTGCTGCCTCCCGTAGGAGT-3’(配列番号2)
を使用した。
この発酵液を糖度14°Pに調整したホップあり麦芽汁を同量添加し、ビール
酵母(Saccharomyses cerevisiae)を0.6w/w%添加し、10℃で1週間発
酵、約1ヶ月の貯蔵を経て、アルコールを5.5v/v%に調整した後に充填を
行った。このビールは100ml当たりKW3110株を2.5×1010cells
/ml含み、香味はやわらかな酸味と麦芽発酵飲料特有の爽快感が調和した味覚
を有していた。この麦芽発酵飲料の組成は表2の通りであった。
(乳酸菌のin vitroにおける抗アレルギー能の評価)
1.試料
抗アレルギー活性測定用の各発酵液の一部を、9000Gの遠心分離処理し、得られた沈殿物を回収・滅菌水に懸濁後、さらに、500〜1000Gの遠心分離処理を行った。その後、その上清について3000Gの遠心分離処理し、得られた沈殿物を凍結乾燥し、PBSに懸濁した。
2.実験動物、飼育
7−10週齢BALB/Cマウス(チャールズリバー)にday0とday6に卵白アルブミン(OVA)1mgをアジュバントであるAlum 2mgと共に腹腔内注射した。day13に解剖し、脾臓を単離・リンパ球を調製した。
3.脾細胞IL−4、IL−12の測定
IL−4、IL−12の測定は、0ptEIA ELISA Set(ベクトン・ディッキンソン)を用いて測定した。
4.測定条件
「2.実験動物、飼育」の方法で調製した脾臓リンパ球をRPMI1640(SIGMA)+10%FCS(ロシュ)+1mg OVA培地で2.5×10cells/mlになるように懸濁した。さらに試験する乳酸菌を0.1あるいは1μg/mlで添加した。1週間後に培養上清を回収し、Th1サイトカインとしてIL−12をTh2サイトカインとしてIL−4をそれぞれ測定した。
5.実験結果
乳酸発酵、次いで、酵母発酵後、麦芽発酵飲料製品に含有している乳酸菌を、卵白アルブミンで感作させたマウス脾臓由来リンパ球を卵白アルブミン含有培地に懸濁し被検乳酸菌を添加して培養した結果、図1、2にある通り、被検乳酸菌としてL.paracasei KW3110株を用いた場合に比較して、50%以上のインターロイキン12産生量を示し、且つ、乳酸菌無添加コントロールの50%未満のインターロイキン4産生量を示し、その量は酵母発酵を経ても殆ど変化がなかった(コントロールは乳酸菌添加なしの測定)。
実施例1において、発酵・貯蔵が終了した麦芽発酵飲料を、より酸味の特徴を抑えた麦芽発酵飲料に調整するために、アルコール4.3v/v%、外観エキス1.1°Pのろ過済み麦芽発酵飲料に25%ブレンドした後に充填を行った。香味は、やわらかな酸味を有した軽快で爽快な味覚を有していた。この麦芽発酵飲料の組成は表3の通りであった。
発酵麦芽飲料製品に含有している乳酸菌を、卵白アルブミンで感作させたマウス脾臓由来リンパ球を卵白アルブミン含有培地に懸濁し被検乳酸菌を添加して培養した結果、実施例1の最終製品と同等のインターロイキン12(IL−12)、及びインターロイキン4(IL−4)の産生量をそれぞれ示した。
この麦芽発酵飲料製品を20〜30℃の室温に6ヶ月間保存した際のIL−12及びIL−4の産生量の継時変化は図3、4の通りである。その結果をみると、IL−12及びIL−4の産生量の継時的な変化は殆どみられず、いずれも高い活性が維持されていることが確認された。
本発明の実施例において、乳酸発酵、次いで、酵母発酵後、麦芽発酵飲料製品に含有している乳酸菌を、卵白アルブミンで感作させたマウス脾臓由来リンパ球を卵白アルブミン含有培地に懸濁し被検乳酸菌を添加して培養した結果、IL−12の生成量を示す図である。 本発明の実施例において、乳酸発酵、次いで、酵母発酵後、麦芽発酵飲料製品に含有している乳酸菌を、卵白アルブミンで感作させたマウス脾臓由来リンパ球を卵白アルブミン含有培地に懸濁し被検乳酸菌を添加して培養した結果、IL−4の生成量を示す図である。 本発明の実施例において、本発明の麦芽発酵飲料製品を20〜30℃の室温に6ヶ月間保存した際のIL−12の産生量を示す図である。 本発明の実施例において、本発明の麦芽発酵飲料製品を20〜30℃の室温に6ヶ月間保存した際のIL−4の産生量を示す図である。

Claims (10)

  1. 発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造方法において、抗アレルギー活性を有する乳酸菌を添加し、乳酸発酵を行なった後、酵母によるアルコール発酵を行ない、かつ、発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料のダイアセチル濃度をビール又は発泡酒の閾値以下に抑制することを特徴とする抗アレルギー機能を有する乳酸菌入り発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造方法
  2. ダイアセチル濃度のビール又は発泡酒の閾値が、0.1mg/lであることを特徴とする請求項1記載の抗アレルギー機能を有する乳酸菌入り発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造方法。
  3. 乳酸発酵を、嫌気性条件の乳酸発酵管理下に行い、ダイアセチル濃度をビール又は発泡酒の閾値以下に抑制することを特徴とする請求項1又は2記載の抗アレルギー機能を有する乳酸菌入り発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造方法
  4. 乳酸発酵に用いる乳酸菌が、卵白アルブミンで感作させたマウス脾臓由来リンパ球を卵白アルブミン含有培地に懸濁し被検乳酸菌を添加して培養した場合に、被検乳酸菌としてLactobacillus paracasei KW3110株を用いた場合に比較して、50%以上のインターロイキン12産生量を示し、且つ、乳酸菌無添加コントロールの50%未満のインターロイキン4産生量を示す高抗アレルギー活性を示す乳酸菌であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の抗アレルギー機能を有する乳酸菌入り発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造方法。
  5. 高抗アレルギー活性を示す乳酸菌が、Lactobacillus paracasei KW3110株、Lactobacillus plantarum KW4110株、Lactobacillus paracasei KW3925株、Lactobacillus paracasei KW3926株、又はStreptococcus salivarius KW3210であることを特徴とする請求項4記載の抗アレルギー機能を有する乳酸菌入り発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造方法。
  6. 酵母によるアルコール発酵を、上面発酵酵母を用いて行い、ダイアセチルの濃度を低減したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の抗アレルギー機能を有する乳酸菌入り発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか記載の発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造方法によって製造された抗アレルギー機能を有する乳酸菌入り発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料。
  8. 発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料のダイアセチル濃度が、ビール又は発泡酒の閾値0.1mg/l以下であることを特徴とする請求項7記載の抗アレルギー機能を有する乳酸菌入り発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料。
  9. 発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料が、300〜3000mg/Lの乳酸と、発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料100mlあたり、10〜1011個の乳酸菌を含んでいることを特徴とする請求項7又は8記載の抗アレルギー機能を有する乳酸菌入り発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料。
  10. 発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料が、常温で、製造後の市場滞留期間に相当する製造後6ヶ月以内の期間を経過した該発酵麦芽飲料中又は該麦芽代替発酵飲料中の乳酸菌が示す前記インターロイキン12産生量及びインターロイキン4の産生量が、請求項5記載の乳酸菌のインターロイキン12産生量及びインターロイキン4の産生量の範囲内にあることを特徴とする請求項7〜9のいずれか記載の抗アレルギー機能を有する乳酸菌入り発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料。
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