JP2006049555A - インバータ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 互いに近接配置される主回路部と制御回路部との間で断熱性および電磁遮蔽性を確保し、かつ、外部への放熱性を向上させたインバータ装置を提供する。
【解決手段】 パワーモジュール部72と制御部74との間に設けられるシールド板78は、金属部材からなり、主回路部82からの電磁ノイズを遮蔽する。また、シールド板78は、フィン100と、筐体86,94の外部に設けられる放熱部102とを有し、主回路部82からの熱を吸熱して放熱部102から装置外部へ放熱する。パワーモジュール部72の筐体86および制御部74の筐体94は、互いに分離され、筐体86,94間には、断熱材80が設けられる。
【選択図】 図2

Description

この発明は、インバータ装置に関し、特に、パワー半導体素子を含む主回路部と制御回路部とが近接して配設されるインバータ装置に関する。
発熱源となるパワー半導体素子を含む主回路部と主回路部の動作を制御する制御回路部(論理部)とが同一筐体内に格納されるインバータ装置が知られている(たとえば特許文献1参照)。
このようなインバータ装置においては、主回路部と制御回路部とが近接するため、主回路部と制御回路部との間の断熱性および電磁ノイズの遮蔽性が要求される。すなわち、制御回路部は、主回路部におけるパワー半導体素子に比べて使用温度域が低い電子部品によって構成されるため、主回路部から制御回路部への伝熱を防止して制御回路部を保護する必要がある。また、主回路部におけるパワー半導体素子のスイッチング動作は、制御回路部に対して電磁ノイズ源となるため、制御回路部が誤動作しないように主回路部からの電磁ノイズを遮蔽する必要がある。
特許文献1は、主回路部と制御回路部(論理部)との間に断熱効果および電磁遮蔽効果を有する遮蔽板を設けたインバータ装置を開示する。このインバータ装置によれば、主回路部および制御回路部は、互いに独立して室内に設けられ、主回路部および制御回路部の各々を効果的に冷却することにより制御回路部の誤動作を防止して、インバータ装置の信頼性を向上させることができる。
特開平2−290099号公報 特開2000−165283号公報 特許第2704994号公報 特開平7−106789号公報
特許文献1に開示されたインバータ装置は、主回路部と制御回路部との間の断熱性および電磁遮蔽性を確保できるインバータ装置として有用であるが、装置の放熱性を十分に考慮したものとは必ずしもいえない。
特に、断熱性や信頼性を考慮してポッティング樹脂などが筐体内に充填される場合は、特許文献1に開示されたインバータ装置のように主回路部を冷却ファンで冷却することはできない。このような場合、主回路部からの熱を効果的に装置外部へ放熱しないと、装置内部に熱が蓄積され、その結果、制御回路部が熱の影響で誤動作する可能性がある。
また、特許文献1に開示されたインバータ装置は、電磁ノイズの装置外部への漏洩防止については特に配慮されていない。パワー半導体素子のスイッチング動作により発生する電磁ノイズの装置外部への漏洩は、できる限り抑制されなければならない。そこで、装置外部への放熱と、装置外部への放熱ルートを設けたことによる電磁ノイズ漏れの防止とを両立できるインバータ装置が望まれる。
そこで、この発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、その目的は、互いに近接配置される主回路部と制御回路部との間で断熱性および電磁遮蔽性を確保し、かつ、外部への放熱性を向上させたインバータ装置を提供することである。
また、この発明の別の目的は、装置外部への放熱と装置外部への電磁ノイズ漏れの防止とを両立させたインバータ装置を提供することである。
この発明によれば、インバータ装置は、主回路部および制御回路部をそれぞれ格納する第1および第2の筐体と、主回路部と制御回路部との間に設けられ、主回路部と対向する面にフィン構造を有する電磁遮蔽材とを備える。
好ましくは、インバータ装置は、第1および第2の筐体の間に設けられる断熱材をさらに備える。
好ましくは、インバータ装置は、電磁遮蔽材の周縁部であって、かつ、第1および第2の筐体の外部に設けられる放熱部をさらに備える。
好ましくは、放熱部は、第1の筐体と第2の筐体との隙間を第1および第2の筐体の外部から覆い隠すように設けられる。
好ましくは、放熱部は、第1および第2の筐体を接合し、放熱部と第1および第2の筐体との接合部は、ラビリンス構造からなる。
好ましくは、接合部は、放熱部と第1および第2の筐体との接合状態を維持するための嵌合構造を有する。
好ましくは、インバータ装置は、接合部に設けられるシール部材をさらに備える。
好ましくは、第1および第2の筐体は、それらの内壁および外壁の少なくとも一部にフィン構造を有する。
好ましくは、電磁遮蔽材は、主回路部と制御回路部との間に冷媒を通流させる冷媒路を含む。
好ましくは、冷媒路は、金属部材からなる。
好ましくは、主回路部を構成するパワー半導体素子は、シリコンカーバイドまたは窒化ガリウムからなる。
この発明によるインバータ装置においては、主回路部および制御回路部は、それぞれ第1および第2の筐体に格納され、主回路部と制御回路部との間に設けられる電磁遮蔽材は、前記主回路部と対向する面にフィン構造を有するので、主回路部からの熱が電磁遮蔽材により積極的に吸熱されて装置外部へ放熱される。
したがって、この発明によれば、主回路部と制御回路部との間の電磁遮蔽性および断熱性が確保され、かつ、主回路部からの熱を効果的に装置外部へ放熱できる。
また、この発明によるインバータ装置においては、第1の筐体と第2の筐体との間に設けられる断熱材を備えるので、主回路部からの熱が筐体を伝わって制御回路部に伝熱することが防止される。
したがって、この発明によれば、主回路部と制御回路部との間の断熱性がさらに向上する。
また、この発明によるインバータ装置においては、電磁遮蔽材の周縁部であって、かつ、第1および第2の筐体の外部に設けられる放熱部を備えるので、電磁遮蔽材により吸熱された熱が放熱部に伝熱して装置外部へ放熱される。
したがって、この発明によれば、筐体内部に蓄積された熱をさらに効果的に装置外部へ放熱することができる。
また、この発明によるインバータ装置においては、放熱部は、第1の筐体と第2の筐体との隙間を第1および第2の筐体の外部から覆い隠すように設けられるので、第1の筐体と第2の筐体との隙間から漏洩する電磁ノイズが放熱部によって遮蔽される。
したがって、この発明によれば、装置外部への電磁ノイズ漏れを防止できる。
また、この発明によれば、放熱部と第1および第2の筐体との接合部は、ラビリンス構造からなるので、直進性の強い電磁ノイズの装置外部への漏洩を完全に防止できる。
また、この発明によるインバータ装置においては、放熱部と第1および第2の筐体との接合部は、接合状態を維持するための嵌合構造を有するので、第1および第2の筐体をボルトなしで接合できる。
したがって、この発明によれば、ボルトを介して第1の筐体から第2の筐体へ伝熱することによる主回路部と制御回路部との間の断熱性の悪化を防止できる。
また、この発明によれば、放熱部と第1および第2の筐体との接合部をシール部材によってシールしたので、インバータ装置内部を防水・防湿することができる。
また、この発明によれば、第1および第2の筐体は、それらの内壁および外壁の少なくとも一部にフィン構造を有するので、インバータ装置の冷却性が向上する。
また、この発明によるインバータ装置においては、電磁遮蔽材は、主回路部と制御回路部との間に冷媒を通流させる冷媒路を含むので、冷媒路内に流される冷媒によって主回路部からの熱が装置外部へ排出される。
したがって、この発明によれば、主回路部と制御回路部との間の断熱性をさらに向上させることができる。
また、この発明によれば、冷媒路は、金属部材からなるので、主回路部からの電磁ノイズの遮蔽性がさらに向上する。
また、この発明によれば、主回路部を構成するパワー半導体素子は、シリコンカーバイドまたは窒化ガリウムからなるので、その高耐熱性を利用してインバータ装置の冷却系統を簡素化することができる。そして、上述のように、制御回路部は、主回路部との間で高い断熱性を有するので、主回路部が高温化することによる制御回路部への悪影響は防止される。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1によるインバータ装置10の電気回路図である。
図1を参照して、インバータ装置10は、インバータ20と、制御装置30と、コンデンサCと、電源ラインPL1,PL2と、出力ライン52〜56とを備える。インバータ20は、電源ラインPL1,PL2を介してバッテリBと接続され、また、出力ライン52〜56を介して電気負荷であるモータジェネレータMGと接続される。
バッテリBは、直流電源であって、たとえば、ニッケル水素やリチウムイオン等の二次電池である。バッテリBは、発生した直流電力をインバータ装置10に供給し、また、インバータ装置10によって充電される。
モータジェネレータMGは、たとえば、3相交流同期電動発電機であって、インバータ装置10から受ける交流電力によって駆動力を発生する。また、モータジェネレータMGは、発電機としても使用され、減速時の発電作用(回生発電)により交流電力を発生し、その発生した交流電力をインバータ装置10に供給する。
インバータ20は、U相アーム42、V相アーム44およびW相アーム46からなる。各相アームは、電源ラインPL1,PL2間に並列に接続される。U相アーム42は、直列に接続されたパワートランジスタQ1,Q2からなり、V相アーム44は、直列に接続されたパワートランジスタQ3,Q4からなり、W相アーム46は、直列に接続されたパワートランジスタQ5,Q6からなる。ダイオードD1〜D6は、それぞれパワートランジスタQ1〜Q6に逆並列に接続される。そして、各相アームにおける上下アームの接続点は、出力ライン52〜56を介してモータジェネレータMGの各相コイルの反中性点側にそれぞれ接続される。
コンデンサCは、電源ラインPL1,PL2間に接続され、電源ラインPL1,PL2間の電圧変動を平滑化する。
制御装置30は、モータジェネレータMGのトルク指令値、各相電流値、およびインバータ20の入力電圧値などに基づいてモータジェネレータMGの各相コイル電圧を演算し、その演算結果に基づいて、パワートランジスタQ1〜Q6をオン/オフするPWM(Pulse Width Modulation)信号を生成する。そして、制御装置30は、その生成したPWM信号をインバータ20へ出力する。また、制御装置30は、モータジェネレータMGによって発電された交流電力を直流電力に変換してバッテリBを充電するため、パワートランジスタQ1〜Q6のスイッチング動作を制御する。
このインバータ装置10においては、インバータ20は、制御装置30からのPWM信号に応じてバッテリBからの直流電力を交流電力に変換し、その変換した交流電力をモータジェネレータMGへ出力する。また、インバータ20は、モータジェネレータMGの回生動作によって発電された交流電力を直流電力に変換し、その変換した直流電力を電源ラインPL1へ出力してバッテリBを充電する。
このインバータ装置10では、システムへの搭載性や小型化などの観点から、インバータ20と制御装置30とが近接して配置される。ここで、パワー半導体素子を含むインバータ20は、制御装置30の耐熱温度よりも高温になるところ(たとえば、制御装置30の耐熱温度80〜90℃に対して、インバータ20は100℃以上になる。)、このインバータ装置10は、以下に説明するように、インバータ20を含む主回路部と制御装置30を含む制御回路部との断熱性、および主発熱源である主回路部からの放熱性が十分に確保された構造を有する。また、このインバータ装置10は、インバータ20のスイッチング動作により発生する電磁ノイズの外部への漏洩防止に十分に配慮した構造を有する。
図2は、図1に示したインバータ装置10の構造を示す断面図である。
図2を参照して、インバータ装置10は、パワーモジュール部72と、制御部74と、冷却体76と、シールド板78と、断熱材80とを備える。パワーモジュール部72は、主回路部82と、樹脂材84と、筐体86とを含む。制御部74は、制御回路部88と、支持部材90と、絶縁材92と、筐体94とを含む。
主回路部82は、図1に示したインバータ20を含み、このインバータ装置10における主な発熱源および電磁ノイズ源となる。樹脂材84は、たとえば断熱性の高いポッティング樹脂からなり、筐体86内に格納される主回路部82を固定する。筐体86は、主回路部82を格納するケースであって、筐体86内部の熱を効率的に外部へ放熱するための放熱用フィン96を有する。
制御回路部88は、図1に示した制御装置30を含み、主回路部82の動作温度よりも低い耐熱温度を有する電子部品からなる。支持部材90は、制御回路部88を筐体94に固設する。絶縁材92は、たとえば、セラミック紛体のフィラーなどが添加されたシリコンゴムなど熱良導体の絶縁材であり、制御回路部88と主回路部82との絶縁距離が十分に確保できないことから筐体94内に充填される。筐体94は、制御回路部88を格納するケースであって、筐体94内部の熱を効率的に外部へ放熱するための放熱用フィン98を有する。
冷却体76は、パワーモジュール部72に密接して設けられ、パワーモジュール部72を冷却する。
シールド板78は、パワーモジュール部72と制御部74との間に設けられ、高透磁性かつ高伝熱性の金属からなる。シールド板78は、主回路部82から発生する電磁ノイズを遮蔽し、制御回路部88への電磁ノイズの影響を防止する。また、シールド板78は、主回路部82と対向する面にフィン100を有し、主回路部82からの熱を装置外部へ効果的に放熱するためにパワーモジュール部72内の熱を吸熱する。さらに、シールド板78は、その周縁部であって、かつ、筐体外部に設けられる放熱部102を有し、フィン100によって吸熱したパワーモジュール部72内の熱を放熱部102に設けられた放熱用フィン104から外部へ放熱する。
断熱材80は、筐体86と筐体94との間に設けられ、筐体86から筐体94への伝熱を防止する。すなわち、上述したように、主回路部82から制御回路部88への直接の伝熱は、シールド板78によって防止されるが、主回路部82からの熱が筐体86,94を介して制御回路部88へ伝熱し得るため、この伝熱ルートを遮断するために断熱材80が設けられる。
ここで、シールド板78の放熱部102は、断熱材80が設けられる部分を装置外部から覆い隠すことができるだけの面積を有している。すなわち、上述のように、このインバータ装置10では、制御回路部88と主回路部82との間の断熱性を確実にするために、筐体が2つに分離され、かつ、その筐体の分離部分に断熱材80が設けられている。しかしながら、断熱材80は、必ずしも高い電磁遮蔽性を有していないので、断熱材80を介して筐体外部へ漏洩する電磁ノイズが外部に拡散されないように、放熱部102によって電磁ノイズを遮蔽するようにしたものである。
このインバータ装置10においては、シールド板78は、主回路部82からの電磁ノイズを遮蔽し、制御回路部88への電磁ノイズの影響を防止する。また、シールド板78は、フィン100によって主回路部82からの熱を積極的に吸熱し、筐体外部に設けられる放熱部102から外部へ放熱する。さらに、パワーモジュール部72の筐体86と制御部74の筐体94とは、断熱材80によって分離されている。したがって、制御回路部88と主回路部82との間の断熱性は極めて高い。また、さらに、シールド板78の放熱部102は、断熱材80を介して筐体外部へ漏洩する電磁ノイズを遮蔽し、インバータ装置10からの電磁ノイズ漏れを防止する。
なお、特に図示しないが、筐体86,94およびシールド板78の各々は、アースされている。また、図1に示したコンデンサCは、制御部74内に含まれる。なお、コンデンサCは、インバータ装置10の外部に配置してもよい。
以上のように、この実施の形態1によれば、フィン100および放熱部102を有するシールド板78を備えるので、主回路部82から制御回路部88への電磁ノイズの影響を防止しつつ、制御回路部88と主回路部82との間で高い断熱効果が得られる。したがって、主回路部82からの電磁ノイズおよび熱から、その主回路部82に近接配置される制御回路部88を保護することができる。
また、この実施の形態1によれば、パワーモジュール部72内を冷却するための冷却ファンを設けることなく、パワーモジュール部72内の熱を効果的に外部へ放熱できる。したがって、インバータ装置10を小型化および低コスト化できる。
さらに、この実施の形態1によれば、筐体86,94の間に断熱材80が設けられているので、主回路部82から制御回路部88へ筐体を介して伝熱することも防止される。また、さらに、断熱材80を外部から覆い隠すように放熱部102を形成したので、インバータ装置10からの電磁ノイズ漏れを防止することができる。
[実施の形態2]
図3は、この発明の実施の形態2によるインバータ装置10Aの構造を示す断面図である。なお、この図3では、図2に示した実施の形態1によるインバータ装置10と構造が異なる放熱部近傍が拡大表示されており、その他の部分の構造は、インバータ装置10と同じである。
図3を参照して、インバータ装置10Aは、図2に示したインバータ装置10の構成において、シールド板78および筐体86,94に代えてそれぞれシールド板78Aおよび筐体86A,94Aを備え、シール材106をさらに備える。
シールド板78Aは、実施の形態1におけるシールド板78と放熱部の構造が異なる。シールド板78Aの放熱部102Aは、筐体86A,94Aとともに図に示されるようなラビリンス構造を形成し、筐体86A,94Aを固定する。筐体86A,94Aは、シールド板78Aを介して互いに分離されており、上述したように、シールド板78Aの放熱部102Aによって互いに固定される。
ここで、分離された筐体86A,94Aを結合するためにボルトを用いた場合、そのボルトを介して筐体86Aから筐体94Aへ伝熱し、制御回路部88と主回路部82との断熱性が損なわれるところ、この実施の形態2では、シールド板78Aと筐体86A,94Aとの接合部に嵌合構造108が設けられ、ボルトを用いることなく、筐体86A,94Aが互いに結合される。
シール材106は、シールド板78Aと筐体86A,94Aとの接合部に設けられ、たとえば、FIPG(Formed In Placed Gasket)などによって注入成形されたシリコンゴムからなる。シール材106は、インバータ装置10A内を防水・防湿するとともに、筐体86A,94Aがシールド板78Aと直接接触するのを防止し、筐体86Aおよびシールド板78Aから筐体94Aへの伝熱を抑制する。
このインバータ装置10Aにおいては、シールド板78Aは、その放熱部102Aにおいて筐体86A,94Aとラビリンス構造を形成し、主回路部82からの熱を放熱部102Aから装置外部へ放熱するとともに、主回路部82からの電磁ノイズが装置外部へ漏洩するのを防止する。すなわち、電磁波は、直進性が強いので、筐体86A,94Aとシールド板78Aとの接合部をラビリンス構造とすることにより、筐体86A,94Aの接合部からの電磁ノイズ漏れは、完全に抑止される。
また、実施の形態1における放熱部102と同様に、放熱部102Aにも放熱用フィン104が設けられ、シールド板78Aは、フィン100によって吸熱した主回路部82からの熱を放熱部102Aから外部へ放熱する。
なお、この実施の形態2によるインバータ装置10Aの回路構成は、図1に示した実施の形態1によるインバータ装置10と同じであるので、その説明は繰返さない。
以上のように、この実施の形態2によれば、筐体86A,94Aとシールド板78Aとの接合部をラビリンス構造としたので、筐体86A,94Aに分離したことによるその接合部からの電磁ノイズ漏れを完全に防止できる。
また、筐体86A,94Aとシールド板78Aとの接合部に嵌合構造108を設けたので、ボルトを用いることなく筐体86A,94Aを互いに結合することができる。したがって、制御回路部88と主回路部82との断熱性がボルトにより損なわれることがない。
さらに、シールド板78Aと筐体86A,94Aとの接合部にシール材106を設けたので、インバータ装置10Aの内部が防水・防湿され、また、筐体86Aおよびシールド板78Aから筐体94Aへの伝熱も抑制される。
[実施の形態3]
図4は、この発明の実施の形態3によるインバータ装置10Bの構造を示す断面図であり、図5は、図4に示すインバータ装置10Bを放熱部側からみた側面図である。なお、図5では、放熱用フィンの図示を省略している。
図4,図5を参照して、このインバータ装置10Bは、図3に示した実施の形態2によるインバータ装置10Aの構成において、シールド板78Aに代えてシールド部78Bを備える。シールド部78Bは、制御回路部88を主回路部82と空間的に分離する部分が冷媒路110によって構成されている点がシールド板78Aと異なる。
冷媒路110は、高透磁性かつ高伝熱性の金属からなり、内部にフィン構造を有する。そして、冷媒路110は、主回路部82からの電磁ノイズを遮蔽するとともに、内部に冷却水または冷却風が流されることによって、主回路部82から制御回路部88への伝熱を防止するための断熱体を構成する。また、冷媒路110は、その冷却能力を高めることによって、パワーモジュール部72および制御部74を冷却する冷却体としても機能し得る。
なお、この実施の形態3によるインバータ装置10Bのその他の構造は、図3に示した実施の形態2によるインバータ装置10Aと同じであるので、その説明は繰返さない。また、インバータ装置10Bの回路構成は、図1に示した実施の形態1によるインバータ装置10と同じであるので、その説明も繰返さない。
以上のように、この実施の形態3によれば、シールド部78Bに冷媒路110を設けたので、制御回路部88と主回路部82との間の断熱性がさらに向上する。また、冷媒路110は、高透磁性かつ高伝熱性の金属からなるので、主回路部82からの電磁ノイズの遮蔽効果も有する。
なお、上記の実施の形態1〜3において、シールド板78,78Aおよびシールド部78Bは、「電磁遮蔽材」を構成する。
なお、上記の実施の形態1〜3において、インバータ装置10,10A,10Bは、バッテリBからの直流電圧を昇圧する昇圧回路をさらに含み、その昇圧回路によって昇圧された直流電圧を電源ラインPL1に供給するようにしてもよい。そして、この場合の昇圧回路の構成としては、種々の公知な回路構成をとることができる。
また、上述したこの発明によるインバータ装置は、近年注目されている高温動作可能なSiC(シリコンカーバイド)パワー半導体素子やGaN(窒化ガリウム)系のパワー半導体素子がインバータ20に用いられる場合に好適である。これらのパワー半導体素子は、従来のSi系の素子と比較して高耐熱性、高耐電圧、低損失、低オン抵抗などの特性を有しており、冷却系統の小型化や高効率化などを実現できるものとして、今後、インバータ装置を始め、様々な装置への適用が期待されている。
そして、このような高温系のパワー半導体素子がインバータ装置10,10A,10Bの主回路部82に適用される場合、特に、主回路部82とそれに近接配置される制御回路部88との断熱性を十分に確保し、かつ、高温となるパワーモジュール部72から積極的に放熱する必要がある。上述したこの発明によるインバータ装置10,10A,10Bは、上記の要求特性を満足するものである。
また、上述したこの発明によるインバータ装置10,10A,10Bは、近年大きく注目されているハイブリッド自動車(Hybrid Vehicle)において好適である。ハイブリッド自動車を含め、車両システムにおいては、低コスト化および小型化が強く要求される。そして、この要求特性に応えるため、インバータに上記の高温系のパワー半導体素子を採用し、高温のエンジン冷却水を用いてインバータを冷却する試みがなされている。これによって、エンジンとインバータとの冷却系統を統合できるので、冷却系を簡素化でき、システムの低コスト化および小型化を実現できる。ハイブリッド自動車においてこのようなシステムを構築する場合、インバータとそれに近接配置される制御回路部との断熱性が問題になるところ、この発明によるインバータ装置10,10A,10Bによれば、上述した冷却システムの構築を実現できる。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明の実施の形態1によるインバータ装置の電気回路図である。 図1に示したインバータ装置の構造を示す断面図である。 この発明の実施の形態2によるインバータ装置の構造を示す断面図である。 この発明の実施の形態3によるインバータ装置の構造を示す断面図である。 図4に示すインバータ装置を放熱部側からみた側面図である。
符号の説明
10,10A,10B インバータ装置、20 インバータ、30 制御装置、42 U相アーム、44 V相アーム、46 W相アーム、52〜56 出力ライン、72 パワーモジュール部、74 制御部、76 冷却体、78,78A シールド板、78B シールド部、80 断熱材、82 主回路部、84 樹脂材、86,86A,94,94A 筐体、88 制御回路部、90 支持部材、92 絶縁材、96,98,104 放熱用フィン、100 フィン、102,102A 放熱部、106 シール材、108 嵌合構造、110 冷媒路、B バッテリ、C コンデンサ、MG モータジェネレータ、PL1,PL2 電源ライン、Q1〜Q6 パワートランジスタ、D1〜D6 ダイオード。

Claims (11)

  1. 主回路部および制御回路部をそれぞれ格納する第1および第2の筐体と、
    前記主回路部と前記制御回路部との間に設けられ、前記主回路部と対向する面にフィン構造を有する電磁遮蔽材とを備えるインバータ装置。
  2. 前記第1および第2の筐体の間に設けられる断熱材をさらに備える、請求項1に記載のインバータ装置。
  3. 前記電磁遮蔽材の周縁部であって、かつ、前記第1および第2の筐体の外部に設けられる放熱部をさらに備える、請求項1または請求項2に記載のインバータ装置。
  4. 前記放熱部は、前記第1の筐体と前記第2の筐体との隙間を前記第1および第2の筐体の外部から覆い隠すように設けられる、請求項3に記載のインバータ装置。
  5. 前記放熱部は、前記第1および第2の筐体を接合し、
    前記放熱部と前記第1および第2の筐体との接合部は、ラビリンス構造からなる、請求項4に記載のインバータ装置。
  6. 前記接合部は、前記放熱部と前記第1および第2の筐体との接合状態を維持するための嵌合構造を有する、請求項5に記載のインバータ装置。
  7. 前記接合部に設けられるシール部材をさらに備える、請求項5または請求項6に記載のインバータ装置。
  8. 前記第1および第2の筐体は、それらの内壁および外壁の少なくとも一部にフィン構造を有する、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のインバータ装置。
  9. 前記電磁遮蔽材は、前記主回路部と前記制御回路部との間に冷媒を通流させる冷媒路を含む、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のインバータ装置。
  10. 前記冷媒路は、金属部材からなる、請求項9に記載のインバータ装置。
  11. 前記主回路部を構成するパワー半導体素子は、シリコンカーバイドまたは窒化ガリウムからなる、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のインバータ装置。
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