JP2006049496A - 印刷配線板 - Google Patents

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Abstract

【課題】 グランド層と電源層から成る平行平板部を有する印刷配線板において、その平行平板を横切るビアホールに流れる電流により平行平板間に生じる電磁界が共振することによって生じるEMIを低減した印刷配線板を得る。
【解決手段】 平行平板部の少なくとも片面の導体面を、厚さが1μm以上で100μm以下の導体から成る電子部品電流供給パターン11と、同電位の前記電子部品電流供給パターン11間の領域を、表面抵抗率が最適な値に設計された抵抗性導体膜12で連結した導体面を形成することで、平行平板共振を抑制しEMIを低減する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、絶縁層を間にして形成されたグランド層と電源層とから成る平行平板部を少なくとも一部に有する印刷配線板に関し、特に平行平板部を横切るビアホールに流れる電流により平行平板部に生じる電磁界が共振することによって生じるEMIを低減した印刷配線板に関する。
従来、携帯電話やパーソナルコンピュータ等の名種電子機器の印刷配線板の平行平板共振によるEMI(Electromagnetic Interference)を低減する構造として、以下の構造が知られている。
第1の従来例として、特許文献1には、図13に示すような低EMI回路基板が開示されている。図13において、この低EMI回路基板はグランド層110と電源層120とを含む多層回路基板100による印刷配線板であり、グランド層110と電源層120の表面にそれぞれ、高抵抗導体層による損失層110a、120aを積層してグランド層110及び電源層120を流れる電流を損失させることにより平行平板共振を低減する構造を持つ。131、132は電子部品である。
第2の従来例として、特許文献2には、図14に示すような配線基板が開示されている。図14において、この配線基板200は電源層210とグランド層220とを含む。電源層210は低抵抗導体層210aと0.5(Ω/□)〜100(Ω/□)の表面抵抗率を有する面状の高抵抗導体層210bとを積層して形成され、グランド層220も低抵抗導体層220aと0.5(Ω/□)〜100(Ω/□)の表面抵抗率を有する面状の高抵抗導体層220bとを積層して形成されている。高周波共振電流をこれらの高抵抗性導体層210b、220bで損失させることで、共振を抑制しEMIを低減している。230は配線回路層、231は電子部品である。
特開平10−27987号公報 特開2003−283073号公報
しかし、上記の従来技術には、以下の欠点があった。
第1の従来例では、平行平板共振を低減するために損失層110a及び120aをグランド層110及び電源層120に積層して加えるため印刷配線板の構造が複雑になり、製造コストが高くなる欠点があった。
第2の従来例でも、平行平板共振を低減するための高抵抗導体層210b、220bをそれぞれ低抵抗導体層210a、220aに積層して2層以上の積層体とする必要があるため、配線基板200の構造が複雑になり、製造コストが高くなる欠点があった。
そこで、本発明の課題は、複雑な構造を必要とせずに、EMIの抑制を大幅に向上させることのできる印刷配線板を提供することにある。
本発明による印刷配線板は、絶縁層を間にして形成された電源層とグランド層とから成る平行平板部を少なくとも一部に有する印刷配線板において、前記電源層、グランド層の少なくとも一方を、あらかじめ定められた範囲の表面抵抗率を持つように形成された抵抗性導体膜と、該抵抗性導体膜の所定領域に形成され該印刷配線板に実装される電子部品に電流を供給するための電子部品電流供給パターンとの一体形成により構成し、前記抵抗性導体膜の厚さを前記電子部品電流供給パターンの厚さの10分の1以下としたことを特徴とする。
本発明による印刷配線板においては、前記電源層は、少なくとも1つの電子部品を実装する少なくとも1つの矩形状の電源領域から成り、該電源領域が前記抵抗性導体膜と前記電子部品電流供給パターンとの一体形成により構成される場合、該電源領域の縦横比を4対1以内とすることを特徴とする。
本発明による印刷配線板においてはまた、前記電子部品電流供給パターンの厚さは1μm〜100μmの範囲であり、前記抵抗性導体膜の厚さは0.01μm〜0.1μmの範囲であることを特徴とする。
本発明による印刷配線板においては更に、前記抵抗性導体膜及び電子部品電流供給パターンは、銅、金、銀、ニッケル、アルミニウムのいずれかで形成されることを特徴とする。
本発明による印刷配線板においては更に、前記抵抗性導体膜はめっきまたは真空蒸着あるいはスパッタリングで形成され、前記電子部品電流供給パターンはめっきで形成されたものであることを特徴とする。
特に、本発明による印刷配線板は、前記電源領域の短軸幅寸法をLとし、前記絶縁層の厚さをtとし、前記絶縁層の比誘電率をεrとした場合に、前記表面抵抗率の最適値が、2500*t/[L*(√εr)]で与えられ、前記あらかじめ定められた範囲の表面抵抗率は、前記最適値の160倍以下で10分の1以上であることを特徴とする。
本発明による印刷配線板は、電源層、グランド層の少なくとも一方が抵抗性導体膜と電子部品電流供給パターンとの一体形成により構成され、2層以上の積層体とする必要が無いので構造が簡単になるだけでなく、抵抗性導体膜の表面抵抗率の範囲を適宜設定すると共に、抵抗性導体膜と電子部品電流供給パターンの厚さの比を適宜選択することでEMIの抑制を大幅に向上させることができる。
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[第1の実施の形態]
図1に、本発明の第1の実施の形態による印刷配線板1の放射ノイズの低減構造を示す。図1(a)は平面図を示し、図1(b)は側面図を示す。
印刷配線板1は、厚さ0.2mm程度のガラスエポキシ基板による絶縁層3の一面側(ここでは上面側)に電源層7を形成し、他面側(ここでは下面側)にグランド層9を形成して成る。本図では、電源層7が電位の異なる2種類の電源領域14から成る印刷配線板の例を示している。各電源領域14には1個以上の電子部品4が実装されている。電子部品4の端子と電源層7、あるいはグランド層9を接続するために、絶縁層3には複数のビアホール8が形成されている。
なお、印刷配線板1は、厚さ0.1mm程度のポリイミドフィルムの表裏に電源層7およびグランド層9を形成したものでも良い。更に、印刷配線板1は、セラミックス基板あるいはシリコン基板などの無機基板に、電源層7とグランド層9と信号配線10を形成した基板を用いても良い。
いずれにしても、図1では、便宜上、絶縁層3の上面に電源層7、下面にグランド層9を形成した最も基本的な構成を示している。このため、電子部品4間の接続のための信号配線を参照番号10で象徴的に示しているが、信号配線が形成される部分はどこでも良く、またどの様な構造で形成されていても良い。また、絶縁層3内には、絶縁層3の比誘電率εr(後述する)を大きく変化させないものであれば、例えばチップ部品が埋め込まれていても良い。そして、本発明はこのような基本構成を持つ多層印刷配線板全般に適用され得ることは言うまでも無い。
以下に、印刷配線板1の製造過程について説明するが、グランド層9、ビアホール8の形成過程については周知の方法を採用するので説明を省略する。
先ず、絶縁層3の上面側に、電源層7として、薄膜の抵抗性導体膜12を形成する。図1は製造終了後の状態を示し、2つの電源領域14が分離形成されるため抵抗性導体膜12も2つ分離形成されているが、最初は、2つの抵抗性導体膜12はつながった状態で形成される。抵抗性導体膜12は、0.01μmから0.1μm程度の厚さの銅を無電解めっき、電解めっき、真空蒸着、あるいはスパッタリングで形成し、表面抵抗率が2(Ω/□)程度となるようにしている。
次に、この抵抗性導体膜12の所望領域上に、金属パターンによる電子部品電流供給パターン11を形成する。電子部品電流供給パターン11は電子部品4に電流を供給するためのパターンであって電源領域14毎に形成され、ここではコ字形状に形成される。
電子部品電流供給パターン11の形成は以下の方法で行われる。抵抗性導体膜12の上記所望領域以外をめっきレジストパターンで被服し、抵抗性導体膜12に電流を通電する。これにより、例えばめっきレジスト以外の部分、つまり所望領域に厚さが18μm程度の銅パターン、あるいは、1μm以上で100μm以下の銅、ニッケル、金、あるいはアルミニウムなどの金属による小さな寸法の金属パターンによる電子部品電流供給パターン11を形成する。勿論、電子部品電流供給パターン11は、印刷配線板1に実装する電子部品4に直流電流を供給する必要かつ十分な直流電流容量を持たせた形状・寸法に形成する。
最後に、電源層7の各電位の電源領域14間の抵抗性導体膜12の上のめっきレジストパターンを除去し、その部分の抵抗性導体膜12をエッチングにより除去することで図1(a)に示すように2種類の電位の電源領域14を分離形成する。こうして、電子部品電流供給パターン11の周囲に、電子部品電流供給パターン11を取り囲む導体層として、電子部品電流供給パターン11の厚さの10分の1以下の厚さの導体の抵抗性導体膜12が形成され、電子部品電流供給パターン11と一体となった導体層が形成される。
以上のようにして、同電位の電子部品電流供給パターン11の周囲に、電子部品電流供給パターン11を取り囲む抵抗性導体膜12が形成された、電子部品電流供給パターン11と抵抗性導体膜12が一体となった2つの電源領域14が一層面に形成される。なお、各電源領域14の形状は縦横の比が4対1以内の矩形状になるように形成することが好ましい。
以上のような印刷配線板1に対して電磁界解析を行った結果は以下の通りである。電源層7における電源領域14の短軸幅寸法をLmmとし、電源層7とグランド層の間隔をtmmとし、その間隔の絶縁層6の比誘電率をεrとするとき、抵抗性導体膜12の表面抵抗率は、表面抵抗率ρ(Ω/□)=2500*t/(L*(√εr))が、印刷配線板1の平行平板共振のEMIを10,000分の1ほどに大きく低減する最適値であることがわかった。この式が得られる根拠を以下で詳しく説明する。
この表面抵抗率は、最適値の10分の1から160倍の値の範囲内であっても、なお、EMIを低減させるために有効である。一方、表面抵抗率が、上記の範囲を外れると、平行平板共振が抑制されなくなる。
具体的には、比誘電率εr=4.5で、各電源層7の電源領域14の短軸幅寸法Lがおおむね150mmで、電源層とグランド層の間隔tがおおむね0.2mmの場合については、以下に説明するように、抵抗性導体膜12の表面抵抗率ρが1.6(Ω/□)の場合が最適な表面抵抗値である。
以下で、最適な表面抵抗率がこの式で与えられる根拠を電磁界シミュレーション結果に基づき説明する。図3に、電磁界シミュレーションのモデルを示す。すなわち、電源層7側を田の字形状の電子部品電流供給パターン11と抵抗性導体膜12とで一体に構成した電源領域14のモデルである。特に、抵抗性導体膜12の形状を、1辺が150mmの正方形としている。また、絶縁層3の厚さを0.2mmとしている。
図4及び図5に、このモデルに対して電磁界シミュレーションによりEMIを計算した結果を示す。
図4は、表面抵抗率ρが0、0.16、0.4、0.8、1.6(Ω/□)の場合のEMIを示し、EMIの下限値を与える表面抵抗率ρは1.6(Ω/□)程度であることが認められる。
一方、図5は、表面抵抗率ρが1.6、3.2、6.4、16、32、64、128、256、1000、100*103(Ω/□)以上の場合のEMIを示し、EMIの下限値を与える表面抵抗率ρは1.6(Ω/□)程度であることが認められる。
このように、抵抗性導体膜12の表面抵抗率ρが0(Ω/□)と最小の場合、およびその反対に表面抵抗率ρが100*103(Ω/□)以上の最大の場合に比べ、表面抵抗率ρが1.6(Ω/□)の場合は、EMIが50dB程度低減される。すなわち、表面抵抗率ρ=1.6(Ω/□)はEMIが100,000分の1程度に低減される最適な表面抵抗率である。
また、この表面抵抗率の値は、図4から、表面抵抗率ρが0.16(Ω/□)の場合でも、表面抵抗率ρが0(Ω/□)の場合に生じる共振によるEMIを20dB弱低減できる。図5から、表面抵抗率ρが256(Ω/□)の場合でも、表面抵抗率ρが100*103(Ω/□)以上の場合に生じる共振によるEMIを20dB強低減できる。このため表面抵抗率の値は、0.16から256(Ω/□)の範囲内の値であっても、なお、EMIを低減するために有効である。すなわち、最適値の10分の1から160倍の値の範囲内であっても、なお、EMIを低減させるために有効である。
図6は、図3のモデルよりも短軸幅を約半分の70mmに短くしたモデルを示す。これ以外のパラメーターは図3と同じく、長軸幅が150mmであり、絶縁層3の厚さが0.2mmで、比誘電率εr=4.5である。
図7及び図8は、図6のモデルのシミュレーション結果であり、図7は、表面抵抗率ρが0、0.2、0.5、1、2、4(Ω/□)の場合のEMIを示し、EMIの下限値を与える表面抵抗率ρは4Ω/□程度であることが認められる。 一方、図8は、表面抵抗率ρが4、8、16、32、64、100*103(Ω/□)以上の場合のEMIを示し、EMIの下限値を与える表面抵抗率ρは4(Ω/□)程度であることが認められる。
このように、抵抗性導体膜12の表面抵抗率ρが0(Ω/□)と最小の場合、およびその反対に表面抵抗率ρが100*103(Ω/□)以上の最大の場合に比べ、表面抵抗率ρが4(Ω/□)の場合は、EMIが35dB程度低減される。すなわち、表面抵抗率ρ=4(Ω/□)はEMIが約3000分の1程度に低減される最適な表面抵抗率である。
この結果から、最適な表面抵抗率は、図3のモデルに比べて2倍になった。この結果から、最適な表面抵抗率が電源領域14の短軸幅寸法Lに反比例することが分かる。
図9及び図10は、図3のモデルの絶縁層の厚さを10倍に変えたモデルのシミュレーション結果である。このモデルで、これ以外のパラメーターは図3と同じく、短軸幅及び長軸幅が150mmであり、比誘電率εr=4.5である。
図9は、表面抵抗率ρが0、1.6、4、8、16(Ω/□)の場合のEMIを示し、EMIの下限値を与える表面抵抗率ρは16(Ω/□)程度であることが認められる。
一方、図10は、表面抵抗率ρが16、40、80、160、320、640、1280、2560、10*103、100*103(Ω/□)以上の場合のEMIを示し、EMIの下限値を与える表面抵抗率ρは16(Ω/□)程度であることが認められる。
このように、抵抗性導体膜12の表面抵抗率ρが0(Ω/□)と最小の場合、およびその反対に表面抵抗率ρが100*103(Ω/□)以上の最大の場合に比べ、表面抵抗率ρが16(Ω/□)の場合は、EMIが45dB程度低減される。すなわち、表面抵抗率ρ=16(Ω/□)はEMIが約30,000分の1程度に低減される最適な表面抵抗率である。
この結果から、最適な表面抵抗率は、図3のモデルに比べて10倍になった。この結果から、最適な表面抵抗率が絶縁層の厚さtに比例することが分かる。
図11及び図12は、図3のモデルの絶縁層の比誘電率εrを4倍の18に変えたモデルのシミュレーション結果である。このモデルで、これ以外のパラメーターは図3と同じく、短軸幅及び長軸幅が150mmであり、絶縁層の厚さは0.2mmである。
図11は、表面抵抗率ρが0、0.1.0.2、0.4、0.8(Ω/□)の場合のEMIを示し、EMIの下限値を与える表面抵抗率ρは0.8(Ω/□)程度であることが認められる。
一方、図12は、表面抵抗率ρが0.8、1.6、4、8、16、32、100*103(Ω/□)以上の場合のEMIを示し、EMIの下限値を与える表面抵抗率ρは0.8(Ω/□)程度であることが認められる。
このように、抵抗性導体膜12の表面抵抗率ρが0(Ω/□)と最小の場合、およびその反対に表面抵抗率ρが100*103(Ω/□)以上の最大の場合に比べ、表面抵抗率ρが0.8(Ω/□)の場合は、EMIが50dB程度低減される。すなわち、表面抵抗率ρ=0.8(Ω/□)はEMIが約100,000分の1程度に低減される最適な表面抵抗率である。
この結果から、最適な表面抵抗率は、図3のモデルに比べて2分の1になった。この結果から、最適な表面抵抗率が絶縁層の比誘電率εrの平方根に反比例することが分かる。
以上で得られた関係から、最適な表面抵抗率ρ(Ω/□)=2500*t/(L*(√εr))と計算する関係式が得られた。そして、最適値の10分の1から160倍の値の範囲内であっても、なお、EMIを低減させるために有効である。 この関係式により、絶縁層3の比誘電率εrが4.5でその厚さtがおおむね0.2mmで、各電源層7の寸法がおおむね150mmの場合については、抵抗性導体膜12の最適な表面抵抗率ρは1.6(Ω/□)である。この表面抵抗率は、約0.01μmの厚さの銅薄膜により得られるが、銅薄膜がより厚い場合であっても、銅の表面を塑化あるいは酸化させることで上記の抵抗率を得ることができる。
なお、上記の実施の形態では抵抗性導体膜12および電流供給パターン11を形成する材料として銅を用いている。しかし、銅以外に、金、銀、ニッケル、鉄、アルミニウム、タングステン、モリブデン、錫、クロムなどの金属、あるいはニッケルクロム合金、ステンレス鋼、はんだ合金などの合金、また、それらの酸化物を用いることもできる。また、抵抗性導体膜12および電子部品電流供給パターン11を形成する材料は金属に限定されず、インジウムトリス2,4−ペンタンジオナート(あるいは、トリスアセトアセトナートインジウム)、インジウムトリスヘキサフルオロペンタンジオナート、メチルトリメチルアセトキシインジウム、等の有機金属化合物、あるいは、ITO(Indium Tin Oxide)やGaPやAlGaAs等の半導体材料を用いても良い。
以下の表1に、各種金属について、それらの抵抗率と、それらで形成する抵抗性導体膜12の厚さの上限と、その厚さでの表面抵抗率を示す。
Figure 2006049496
これらの金属で形成した抵抗性導体膜12を核にして、同一材質の金属層をめっき技術により成長させることで、電子部品電流供給パターン11の層を形成する。電子部品電流供給パターン11は、その厚さが、1μm以上で100μm以下とし、また幅が最小値では1μm程度の小さな幅の金属パターンで形成することもできる。
[第2の実施の形態]
図2に、放射ノイズ低減構造を持つ、本発明の第2の実施の形態による印刷配線板の側面断面図を示す。この実施の形態は、グランド層9側を抵抗性導体膜12と電子部品電流供給パターン11とで一体構成した例であり、図1と同じ構成要素には同じ参照番号を付している。絶縁層3の上面側には同じ厚さを持つ電源領域14が形成されている。
図2において、グランド層として、先ず、表面抵抗率が2(Ω/□)程度となる厚さ0.01μmから0.1μm程度の薄膜の抵抗性導体膜12を絶縁層3の下面側に形成する。抵抗性導体膜12は、銅、ニッケル、金あるいはアルミニウムなどの金属を、無電解めっき、電解めっき、真空蒸着、あるいはスパッタリング等の方法で形成することで得られる。
次に、この抵抗性導体膜12の所望領域をめっきレジストパターンで被服し、抵抗性導体膜12に電流を通電することで、めっきレジスト以外の部分に厚さが18μm程度の銅パターン、あるいは、1μm以上で100μm以下の銅、ニッケル、金、あるいはアルミニウムなどの金属による幅が最小値では1μm程度の小さな幅の金属パターンによる電子部品電流供給パターン11を形成する。
こうして、電子部品電流供給パターン11の周囲に、電子部品電流供給パターン11を取り囲む導体層として、電子部品電流供給パターン11の厚さの10分の1以下の厚さの導体の抵抗性導体膜12が形成され、電子部品電流供給パターン11と一体となった一層面のグランド層9が形成される。なお、グランド層9が電子部品電流供給パターン11と抵抗性導体膜12とで構成される場合、その形状は縦横の比が10対1以内の矩形状の形状に形成することが好ましい。
本第2の実施の形態による印刷配線板1の平行平板共振のEMIを有効に低減する抵抗性導体膜12の最適値の表面抵抗率は、以下の通りである。図1(a)に示すように、グランド層9と対になって平行平板を形成する電源層7における電源領域14の短軸幅寸法をLmmとし、電源層7とグランド層9の間隔、つまり絶縁層3の厚さをtmmとし、絶縁層3の比誘電率をεrとすると、表面抵抗率ρ(Ω/□)=2500*t/(L*(√εr))が最適な表面抵抗率である。そして、最適値の10分の1から160倍の値の範囲内であっても、なお、EMIを低減させるために有効である。
以上、本発明を2つの実施の形態について説明したが、第1、第2の実施の形態の変形例として、電源層7の一部に抵抗性導体膜12を形成すると共にグランド層9の一部にも抵抗性導体膜12を形成し、電源層7とグランド層9ともに、広い領域に抵抗性導体膜12を持つ構造としても良い。この場合は、電源層7とグランド層9ともに同じ方向の電流が流れるコモンモード共振によるEMIも低減することができる効果がある。
また、本発明では、電源層7における電源領域14の短軸幅寸法Lに基づき、抵抗性導体膜12の最適な表面抵抗率を与えたが、その範囲は計算式の10分の1から160倍までの幅があった。そのため、種々の寸法の電源領域が混在する場合も、そのなかで特に影響が大きい電源領域と考えられる、大きな電源領域については、それぞれの電源領域の最適な表面抵抗率を計算し、それらすべてについて許容される表面抵抗率の抵抗性導体膜を形成するようにすることが可能である。更に、電源領域14の長軸の幅と短軸の幅の比が4:1を超える場合も、最適な表面抵抗率は短軸幅寸法Lで計算できる。そして、狭い幅の短軸を持つ大きな寸法の長軸を持つ大きな電源領域14では、その抵抗性導体膜に必要とされる抵抗率は高くなるが、他の電源領域14に必要とされる抵抗率の範囲と抵抗率の許容範囲が重なるならば、その抵抗率の抵抗性導体膜12を両方の電源領域14に対して一度に形成することで、両方の電源領域14のEMIを低減できる。また、更に、電源領域14の形状が矩形から大きく異なる場合、例えばL字形、C字形の場合であっても、その形状の幅が短軸幅寸法Lであり、それから計算される最適な抵抗率とその許容範囲内の抵抗率の抵抗性導体膜12を形成することでその電源領域14のEMIを低減できる。
以上説明したように、本発明によれば、印刷配線板のグランド層と電源層から成る平行平板部の少なくとも一方の面の導体面を、厚さが1μm以上で100μm以下の導体から成る電子部品電流供給パターンの周囲に、電子部品電流供給パターンを取り囲む導体層として、電子部品電流供給パターンの厚さの10分の1以下の厚さの導体の抵抗性導体膜を形成し、電子部品電流供給パターンと一体とした導体層を形成したことにより、抵抗性導体膜に流れる電流の抵抗損失が平行平板共振を抑制しEMIを大幅に低減できる効果がある。
本発明の第1の実施の形態による印刷配線板の平面図(a)及び側面断面図(b)である。 本発明の第2の実施の形態による印刷配線板の側面断面図である。 電磁界シミュレーションによりEMIを計算するために用意された印刷配線板の例を示した図である。 図3の印刷配線板に対して行われた電磁界シミュレーションによるEMIの計算結果を示す特性図である。 図3の印刷配線板に対して行われた電磁界シミュレーションによるEMIの他の計算結果を示す特性図である。 電磁界シミュレーションによりEMIを計算するために用意された印刷配線板の他の例を示した図である。 図6の印刷配線板に対して行われた電磁界シミュレーションによるEMIの計算結果を示す特性図である。 図6の印刷配線板に対して行われた電磁界シミュレーションによるEMIの他の計算結果を示す特性図である。 本発明の印刷配線板において絶縁層の厚さを変えた場合の電磁界シミュレーションによるEMIの計算結果を示す特性図である。 本発明の印刷配線板において絶縁層の厚さを変えた場合の電磁界シミュレーションによるEMIの他の計算結果を示す特性図である。 本発明の印刷配線板において絶縁層の比誘電率を変えた場合の電磁界シミュレーションによるEMIの計算結果を示す特性図である。 本発明の印刷配線板において絶縁層の比誘電率を変えた場合の電磁界シミュレーションによるEMIの他の計算結果を示す特性図である。 EMI抑制機能を持つ印刷配線板の第1の従来例を説明するための図である。 EMI抑制機能を持つ印刷配線板の第2の従来例を説明するための図である。
符号の説明
1 印刷配線板
3 絶縁層
4 電子部品
7 電源層
8 ビアホール
9 グランド層
10 信号配線
11 電子部品電流供給パターン
12 抵抗性導体膜
14 電源領域

Claims (6)

  1. 絶縁層を間にして形成された電源層とグランド層とから成る平行平板部を少なくとも一部に有する印刷配線板において、
    前記電源層、グランド層の少なくとも一方を、あらかじめ定められた範囲の表面抵抗率を持つように形成された抵抗性導体膜と、該抵抗性導体膜の所定領域に形成され該印刷配線板に実装される電子部品に電流を供給するための電子部品電流供給パターンとの一体形成により構成し、
    前記抵抗性導体膜の厚さを前記電子部品電流供給パターンの厚さの10分の1以下としたことを特徴とする印刷配線板。
  2. 前記電源層は、少なくとも1つの電子部品を実装する少なくとも1つの矩形状の電源領域から成り、該電源領域が前記抵抗性導体膜と前記電子部品電流供給パターンとの一体形成により構成される場合、該電源領域の縦横比を4対1以内とすることを特徴とする印刷配線板。
  3. 前記電子部品電流供給パターンの厚さは1μm〜100μmの範囲であり、前記抵抗性導体膜の厚さは0.01μm〜0.1μmの範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷配線板。
  4. 前記抵抗性導体膜及び電子部品電流供給パターンは、銅、金、銀、ニッケル、アルミニウムのいずれかで形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の印刷配線板。
  5. 前記抵抗性導体膜はめっきまたは真空蒸着あるいはスパッタリングで形成され、前記電子部品電流供給パターンはめっきで形成されたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の印刷配線板。
  6. 前記電源領域の短軸幅寸法をLとし、前記絶縁層の厚さをtとし、前記絶縁層の比誘電率をεrとした場合に、前記表面抵抗率の最適値が、2500*t/[L*(√εr)]で与えられ、前記あらかじめ定められた範囲の表面抵抗率は、前記最適値の160倍以下で10分の1以上であることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の印刷配線板。

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