JP2006048995A - 燃料電池における液体燃料供給システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 燃料タンク部10に、液体燃料を貯留するために毛管力が付与された燃料吸蔵体11を内包し、かつ、燃料タンク部10の壁面に燃料電池本体Nに設置された中継芯30を挿入することができる弁体12及び液体燃料供給時に開放され空気置換できる空気置換孔17を有する液体燃料カートリッジ体Aを、燃料電池本体Nに設置された中継芯30に挿入することで液体燃料が供給可能となることを特徴とする燃料電池における液体燃料供給システムS。
【選択図】図1
Description
これらの中でも、液体燃料の供給に毛管力を利用した各液体燃料電池等が知られている(例えば、特許文献3〜7参照)。
これらの各特許文献に記載される液体燃料電池は、燃料タンクから液体燃料を毛管力で燃料極に供給するため、液体燃料を圧送するためのポンプを必要としないなど小型化に際してメリットがある。
この燃料電池は、今までにない優れた機能を有するものであるが、燃料電池用の液体燃料を安定に貯留しておくためには、加熱時や減圧環境下での液体燃料の吹き出し防止に更に留意する必要があり、また、液体燃料をカートリッジの向きによらず液体燃料を供給できるものとすることが望ましく、更に、液体燃料の供給を一時中断し、カートリッジ体を取り外すとき、液体燃料が暴露しないようにして液体燃料の揮発を防止する必要があるなどの更なる機能の向上を必要とする課題がある。
(1) 液体燃料を貯留するために毛管力が付与された燃料吸蔵体を内包し、かつ、壁面に中継芯を挿入することができる弁体及び液体燃料供給時に開放され空気置換できる空気置換孔を有する液体燃料カートリッジ体を、燃料電池本体に設置された中継芯に挿入することで液体燃料が供給されることを特徴とする燃料電池における液体燃料供給システム。
(2) 液体燃料カートリッジ体が燃料電池本体に備える発電セル部よりも下に位置した状態で継続して液体燃料が供給される請求項1記載の燃料電池における液体燃料供給システム。
(3) 燃料電池本体に設置された中継芯を介して、発電セル部の燃料極まで断続的に毛管力が付与され、液体燃料が供給される請求項1又は2記載の燃料電池における液体燃料供給システム。
(4) 燃料電池本体に設置された中継芯は、燃料吸蔵体よりも大きな毛管力を有する請求項1〜3の何れか一つに記載の燃料電池における液体燃料供給システム。
(5) 弁体は、スリット弁から構成され、中継芯を挿入することで液体燃料カートリッジ体の燃料吸蔵体と中継芯とを連通させ、液体燃料カートリッジ体内部の液体燃料を外部へ供給させる連通部が形成されると共に、外周部に突出部が形成され、前記弁体が燃料カートリッジに収納された際に、前記突出部により弁体が径方向に圧縮されることで、前記連通部に圧縮力が作用するようにした請求項1〜4の何れか一つに記載の燃料電池における液体燃料供給システム。
(6) 空気置換孔は、スリット弁から構成され、空気置換管を挿入することで液体燃料カートリッジ体内部を開放し、液体燃料カートリッジ体内部に空気置換できる空気置換部が形成されると共に、外周部に突出部が形成され、前記スリット弁が液体燃料カートリッジに収納された際に、前記突出部によりスリット弁が径方向に圧縮されることで、前記連通部に圧縮力が作用するようにした請求項1〜5の何れか一つに記載の燃料電池における液体燃料供給システム。
(7) 空気置換孔は、弾性体によって閉じられ、液体燃料カートリッジ体を燃料電池本体に挿入することにより開かれる弁体から構成される請求項1〜5の何れか一つに記載の燃料電池における液体燃料供給システム。
(8) 液体燃料カートリッジ体の燃料タンク部は、酸素バリア性に優れる樹脂層を少なくとも一層以上有する請求項1〜7の何れか一つに記載の燃料電池における液体燃料供給システム。
(9) 酸素バリア性に優れる樹脂が、エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂、ポリアクリロニトリル、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニルから選ばれる少なくとも1種である請求項8に記載の燃料電池における液体燃料供給システム。
(10) 液体燃料がメタノール液、エタノール液、ジメチルエーテル(DME)、ギ酸、ヒドラジン、アンモニア液、エチレングリコールから選ばれる少なくとも1種である請求項1〜9の何れか一つに記載の燃料電池における液体燃料供給システム。
(11) 燃料電池本体は、燃料電極体の外表部に電解質層を構築し、該電解質層の外表部に空気電極層を構築することで形成される単位セルが複数連結されると共に、上記単位セルには液体燃料カートリッジ体に接続される中継芯が連結されて液体燃料が供給される構成となる請求項1〜10の何れか一つに記載の燃料電池における液体燃料供給システム。
図1〜図5は、本発明の燃料電池における液体燃料供給システムSの基本形態(第1実施形態)を示すものである。
本第1実施形態の燃料電池における液体燃料供給システムSは、燃料タンク部10を有し、該燃料タンク部10に、液体燃料を貯留するために毛管力が付与された燃料吸蔵体11を内包し、かつ、燃料タンク部10の壁面に燃料電池本体Nに設置された中継芯30を挿入することができる弁体12及び液体燃料供給時に開放され空気置換できる空気置換孔17を有する液体燃料カートリッジ体Aを、燃料電池本体Nに設置された中継芯30に挿入することで液体燃料が供給されることを特徴とするものである。
特に好ましくは、燃料タンク部10は、酸素バリア性に優れる樹脂層を少なくとも一層(単層又は2層以上の多層構造)以上有することが望ましい。酸素バリア性に優れる樹脂としては、例えば、エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂、ポリアクリロニトリル、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニルから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらの樹脂は、ガス不透過性、特に酸素バリア性に優れ、しかも、製造や組立時のコスト低減及び製造の容易性の点で特に好ましい。
燃料タンク部10が多層構造の場合は、少なくとも1層が、前記した性能(酸素バリア性等)を持つ樹脂で構成されていれば、残りの層は通常の樹脂でも実使用上問題はない。このような構造のタンク部10は、押出し成形、射出成形、共押出し成形などにより製造することができる。
貫通孔10aに収容(固着)される弁体12は、燃料タンク部10の内部と外部との連通を封止する弁体であり、図4(a)〜(d)に示すように、気圧、温度変化等により燃料タンク10内に浸入する空気などの異物を防ぐものである。
この弁体12は、燃料電池本体Nに設置された液体燃料供給部材となる中継芯30を挿入することで液体燃料カートリッジ体10の燃料吸蔵体11と中継芯30とを連通させ、液体燃料カートリッジ体10内部の液体燃料を外部へ供給させる連通部13が形成されると共に、前記弁体12の外周部に突出部14が形成され、前記弁体12が貫通孔10aに収納された際に、前記突出部14により弁体12が径方向に圧縮されることで、前記連通部13に圧縮力が作用するようにしたものであり、本実施形態では図4(d)に示すように長辺と短辺が形成された楕円状であって、長辺方向に突出した部分を突出部14としたものであり、該突出部14は連通部となるスリット13が閉じる方向に圧縮力が作用する位置に形成したものである。
なお、上記連通部13を直線状のスリットで形成したが、液体燃料供給部材となる中継芯30を挿入することで燃料タンク部10と内部とを連通させ、燃料タンク部10内部に吸蔵される液体燃料を外部へ供給できる構造となるものであれば、特に限定されず、十字状や放射状のスリット、スリットを複数形成し各スリットが同一箇所で交差するようにした構造、円孔状、矩形孔状であってもよい。好ましくは、上記直線状や十字状のスリットが望ましい。また、突出部14の形状は、特に限定されず、上記形態のように楕円状の他、突起等を形成することができ、更に突出部12は弁収納部となる貫通孔10aに設けることもできる。
この弁体12には、アダプター16が設けられ、該アダプター16は筒状に形成され、その内周面にストッパー部16a,16aが形成された本体部16bと、筒状に形成された固定部材16cとからなり、前記ストッパー部16aと固定部材16cとの間で上記構成の弁体12を挟持してなるものである。
この構造の弁体12により、使用休止(未使用)時にも空気などの異物の浸入を防止する構造となっている。これは、空気などの浸入により燃料タンク部10内の圧力増加などによる燃料漏れ、噴出しなどの事故を防止するためである。
これらの弁体12の材質としては、吸蔵される液体燃料に対して保存安定性、耐久性、ガス不透過性、中継芯に密着できる弾性を有し、上記特性を有するものであれば、特に限定されず、ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂、ポリアクリルニトリル、ナイロン、セロハン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニルなどの合成樹脂、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、1,2−ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、二トリルゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、多硫化ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴムなどのゴム、熱可塑性エラストマーが挙げられ、通常の射出成形や加硫成形などによって製造することができる。
このスリット弁からならう弁体18(空気置換孔17)により、使用休止(未使用)時にも空気などの異物の浸入を防止することができると共に、空気などの浸入により燃料タンク部10内の圧力増加などによる燃料漏れ、噴出しなどを防止することができる。
また、これらの液体燃料の濃度は、燃料電池の構造、特性等により種々の濃度の液体燃料を用いることができ、例えば、1〜100%濃度の液体燃料を用いることができる。
燃料電池本体Nは、図1及び図5に示すように、微小炭素多孔体よりなる燃料電極体21の外表部に電解質層23を構築し、該電解質層23の外表部に空気電極層24を構築することで形成される単位セル(燃料電池セル、発電セル部)20,20と、液体燃料カートリッジ体Aに接続される浸透構造を有する燃料供給体となる中継芯30と、該中継芯30の終端に設けられる使用済み燃料貯蔵槽40とを備え、上記各単位セル20、20は直列に連結されて中継芯30により燃料が順次供給される構造となっており、前記液体燃料カートリッジ体Aは、交換可能なカートリッジ構造体となっており、燃料電池本体Nの支持体N1の収容部N2に挿入される構造となっている。
また、この燃料電極体21の外表部には、白金−ルテニウム(Pt−Ru)触媒、イリジウム−ルテニウム(Ir−Ru)触媒、白金−スズ(Pt−Sn)触媒などが当該金属イオンや金属錯体などの金属微粒子前駆体を含んだ溶液を含浸や浸漬処理後還元処理する方法や金属微粒子の電析法などにより形成されている。
また、空気電極層24としては、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等を上述の金属微粒子前駆体を含んだ溶液等を用いた方法で担持させた多孔質構造からなる炭素多孔体が挙げられる。
また、中継芯30は、必要に応じて、強度を高めるための処理を施すことができる。例えば、図6(a)及び(b)に示すように、上記焼結体及び/又は繊維束体30aを、金属、ガラス、プラスティック30b等で一部を被覆し、強度を向上させることができる。また、図7(a)及び(b)に示すように、棒状に成型された金属、ガラス、プラスティック30c等の周りを焼結体及び/又は繊維束体30dにて覆うことにより強度の高い中継芯30を得ることができる。
また、中継芯30により供給される液体燃料は、燃料電池セル20で反応に供されるものであり、燃料供給量は、燃料消費量に連動しているため、未反応で電池の外に排出される液体燃料は殆どなく、従来の液体燃料電池のように、燃料出口側の処理系を必要としないが、運転状況により供給過剰時に至った際には、反応に使用されない液体燃料が貯蔵槽40に蓄えられ阻害反応を防ぐことができる構造となっている。
なお、50は、液体燃料カートリッジ体Aと使用済み燃料貯蔵槽40を連結すると共に、燃料タンク部10から各単位セル20、20の個々に中継芯30を介して直接液体燃料を確実に供給するメッシュ構造などからなる部材である。
本実施形態では、燃料電池本体Nに設置された中継芯30を介して、発電セル部20の燃料極まで断続的に毛管力が付与され、液体燃料が供給されるものとなっているので、液体燃料の供給が更に円滑に行なわれるものとなっている。
また、毛管力の大きさを、(発電セル部20の毛管力)−(発電セル20から燃料吸蔵体11端面までの距離L)>(燃料吸蔵体11の毛管力)とすることにより、液体燃料カートリッジ体Aが燃料電池本体Nに備える発電セル部20よりも下に位置した状態でも、継続して燃料吸蔵体11から弁体12に挿入された中継芯30に供給され、浸透構造により、液体燃料を燃料電池セル20、20内に導入されて円滑に液体燃料の供給が行われることとなる。
これらの課題、要望等に対して、本発明では、液体燃料を貯留するために毛管力が付与された燃料吸蔵体11を内包し、かつ燃料タンク部10の壁面に上記燃料吸蔵体11よりも大きな毛管力を有する中継芯30を挿入することができる弁体12、及び、燃料供給時に開放され空気置換できる空気置換孔17、本実施形態では、スリット弁18に、空気置換管19を挿入することで液体燃料カートリッジ10体内部を開放し、液体燃料カートリッジ体10内部に空気置換できる空気置換部が形成される燃料カートリッジAと、上記中継芯30が設置された燃料電池本体Nによる燃料供給システムにより、上記課題、要望等を解決することができるものとなる。
また、燃料タンク部10がコレクター方式やバルブ方式では、上下逆向きの時、燃料を供給できないが、本発明の燃料吸蔵体(中綿)11の方式となるものであれば、毛管力さえ十分あれば、どのような向きでも液体燃料を供給できる構造となっている。
更に、筆記具の様に、中綿と中継芯(若しくはペン芯)を連結させた状態で保存する燃料カートリッジでは、燃料カートリッジ体を燃料電池本体から外すと、中継芯部分の燃料が暴露される。液体燃料の揮発を防止するためには、キャップ等を設ける必要があるが、本発明では、燃料吸蔵体11を内蔵したカートリッジ体Aに、燃料電池本体Nに設置された中継芯30に挿入される構造とすることで、カートリッジ体Aからの液体燃料の暴露及びカートリッジ体Aからの液体燃料の揮発を防止できる構造となっている。
更に、この燃料電池では、ポンプやブロワ、燃料気化器、凝縮器等の補器を特に用いることなく、液体燃料を気化せずそのまま円滑に供給することができる構造となるため、燃料電池の小型化を図ることが可能となる。
従って、この形態の燃料電池では、燃料電池全体のカートリッジ化が可能となり、携帯電話やノート型パソコンなどの携帯用電子機器の電源として用いられることができる小型の燃料電池が提供されることとなる。
なお、上記形態では、燃料電池セル20を二つ使用した形態を示したが、燃料電池の使用用途により燃料電池セル20の連結(直列又は並列)する数を増加させて所要の起電力等とすることができる。
この第2実施形態の液体燃料供給システムは、図8及び図9に示すように、上記第1実施形態の空気置換孔17を形成するスリット弁を、スプリング部材やバネ部材などの弾性体を有するバルブ部材からなる弾性体によって閉じられ、燃料カートリッジ体10を燃料電池本体Nに挿入すると、該弁体も開かれる構造として空気置換できる構造の弁体とした点でのみ、上記第1実施形態と相違するものである。
この弁体60は、液体燃料カートリッジ体Aの貫通孔10bに収容されるものであり、本体部61にバルブ受け部61aを有し、スプリング部材やバネ部材などの弾性体62により断面十字状の弁体部63aと押圧部63bとからなるバルブ部材63の弁体部63aがバルブ受け部61に常時付勢されて閉じられており、燃料カートリッジ体10を燃料電池本体Nに連結すると、具体的には、燃料カートリッジ体10を燃料電池本体Nの収納部N2に挿入すると、スリット弁体12は燃料電池本体Nに設置された中継芯30に挿入されると共に、弁体60のバルブ部材63の押圧部63bの下端部が弾性体62を押し上げて、弁体60の弁体部63aが開かれ、空気置換できる構造となっている。なお、空気置換するために、燃料電池本体Nの収納部の下端面には、台座部N3、N4が設けられて、燃料カートリッジ体10と燃料電池本体Nの収納部N2の下端面とは空間部N5が設けられる構造となっている。
本実施形態では、空気置換孔は、弾性体62によって閉じられ、液体燃料カートリッジ体Aを燃料電池本体Nに挿入することにより開かれる弁体60から構成されるので、使用休止(未使用)時にも空気などの異物の浸入を防止できるため、空気などの浸入により燃料タンク部10内の圧力増加などによる燃料漏れ、噴出しなどの事故を防止することができる。
例えば、燃料電池セル20は円柱状のものを用いたが、角柱状、板状の他の形状のものであってもよく、また、燃料供給体30との接続は直列接続のほか、並列接続であってもよい。
また、上記実施形態では、図4(a)〜(d)に示す逆止弁(スリット弁)となる弁体12を用いたが、気圧、温度変化等により燃料タンク部10内に燃料貯蔵体11に吸蔵される液体燃料に中継芯30周辺より浸入する空気などの異物を防ぐものであり、中継芯30が挿入されて液体燃料を中継芯に供給できる構造となるものであれば、特に限定されるものではない。
更に、上記実施形態では、直接メタノール型の燃料電池として説明したが、本発明は上記直接メタノール型の燃料電池に限定されるものではなく、改質型を含む高分子改質膜型の燃料電池にも好適に適用することができるものである。
更にまた、燃料電池本体として、微小炭素多孔体よりなる燃料電極体の外表部に電解質層を構築し、該電解質層の外表部に空気電極層を構築することで燃料電池本体を構成したが、燃料電池本体の構造は特に限定されず、例えば、電気導電性を有する炭素質多孔体を基材とし、該基材の表面に電極/電解質/電極の各層を形成した単位セル又は該単位セルを2以上連結した連結体を備え、上記基材に燃料供給体を介して液体燃料を浸透させる構成とすると共に、基材の外表面に形成される電極面を空気に曝す構造からなる燃料電池本体としてもよいものである。
下記に示す構成の空気置換孔が相違する液体燃料カートリッジ体を2種類(図2、図8準拠)作製し、燃料貯蔵体に液体燃料(70wt%メタノール液、比重0.87)6gを吸蔵した。
(燃料タンク部の構成:タンク1)
タンク:長さ90mm、外径18mm、内径16mm、
ポリプロピレン製、貫通孔10a直径4mm、貫通孔10b直径4mm、
(燃料吸蔵体の構成)
燃料吸蔵体:ポリエステル繊維束製、気孔率90%、長さ70mm、外径15mm
(中継芯の構成)
中継芯: 燃料吸蔵体:ポリエステル繊維束製、気孔率50%、長さ80mm、外径1mm、 中継芯の毛管力>燃料吸蔵体の毛管力に設定
長さ2mm、外径3mm、内径1mm、ブチルゴム製、スリット長さ1mm、このブチルゴム製スリット弁は、70wt%メタノール液の液体燃料に対して気体透過性0.1mg/day/atm・50℃ 30%RHからなり、JIS K 6262−1997で規定される圧縮永久歪み率は10%であった。
空気置換用スリット弁(図4に準拠):
長さ2mm、外径3mm、内径1mm、ブチルゴム製、スリット長さ1mm、このブチルゴム製スリット弁は、70wt%メタノール液の液体燃料に対して気体透過性0.1mg/day/atm・50℃ 30%RHからなり、JIS K 6262−1997で規定される圧縮永久歪み率は10%であった。
バルブ弁(図8及び図9に準拠):
長さ5mm、外径4mm、バルブ本体61:ポリプロピレン製、弾性体62:ステンレス製スプリング、バルブ体63:ポリプロピレン製
この液体燃料カートリッジ体の各排出性を評価したところ、共に燃料吸蔵体11に吸蔵した液体燃料5gを排出できることが判った。
A 液体燃料カートリッジ体
N 燃料電池本体
10 燃料タンク部
11 燃料貯蔵体
12 弁体(スリット弁)
17 空気置換孔
30 中継芯
Claims (11)
- 液体燃料を貯留するために毛管力が付与された燃料吸蔵体を内包し、かつ、壁面に中継芯を挿入することができる弁体及び液体燃料供給時に開放され空気置換できる空気置換孔を有する液体燃料カートリッジ体を、燃料電池本体に設置された中継芯に挿入することで液体燃料が供給されることを特徴とする燃料電池における液体燃料供給システム。
- 液体燃料カートリッジ体が燃料電池本体に備える発電セル部よりも下に位置した状態で継続して液体燃料が供給される請求項1記載の燃料電池における液体燃料供給システム。
- 燃料電池本体に設置された中継芯を介して、発電セル部の燃料極まで断続的に毛管力が付与され、液体燃料が供給される請求項1又は2記載の燃料電池における液体燃料供給システム。
- 燃料電池本体に設置された中継芯は、燃料吸蔵体よりも大きな毛管力を有する請求項1〜3の何れか一つに記載の燃料電池における液体燃料供給システム。
- 弁体は、スリット弁から構成され、中継芯を挿入することで液体燃料カートリッジ体の燃料吸蔵体と中継芯とを連通させ、液体燃料カートリッジ体内部の液体燃料を外部へ供給させる連通部が形成されると共に、外周部に突出部が形成され、前記弁体が液体燃料カートリッジに収納された際に、前記突出部により弁体が径方向に圧縮されることで、前記連通部に圧縮力が作用するようにした請求項1〜4の何れか一つに記載の燃料電池における液体燃料供給システム。
- 空気置換孔は、スリット弁から構成され、空気置換管を挿入することで液体燃料カートリッジ体内部を開放し、液体燃料カートリッジ体内部に空気置換できる空気置換部が形成されると共に、外周部に突出部が形成され、前記スリット弁が液体燃料カートリッジ体に収納された際に、前記突出部によりスリット弁が径方向に圧縮されることで、前記連通部に圧縮力が作用するようにした請求項1〜5の何れか一つに記載の燃料電池における液体燃料供給システム。
- 空気置換孔は、弾性体によって閉じられ、液体燃料カートリッジ体を燃料電池本体に挿入することにより開かれる弁体から構成される請求項1〜5の何れか一つに記載の燃料電池における液体燃料供給システム。
- 液体燃料カートリッジ体の燃料タンク部は、酸素バリア性に優れる樹脂層を少なくとも一層以上有する請求項1〜7の何れか一つに記載の燃料電池における液体燃料供給システム。
- 酸素バリア性に優れる樹脂が、エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂、ポリアクリロニトリル、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニルから選ばれる少なくとも1種である請求項8に記載の燃料電池における液体燃料供給システム。
- 液体燃料がメタノール液、エタノール液、ジメチルエーテル(DME)、ギ酸、ヒドラジン、アンモニア液、エチレングリコールから選ばれる少なくとも1種である請求項1〜9の何れか一つに記載の燃料電池における液体燃料供給システム。
- 燃料電池本体は、燃料電極体の外表部に電解質層を構築し、該電解質層の外表部に空気電極層を構築することで形成される単位セルが複数連結されると共に、上記単位セルには液体燃料カートリッジ体に接続される中継芯が連結されて液体燃料が供給される構成となる請求項1〜10の何れか一つに記載の燃料電池における液体燃料供給システム。
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