JP2007335291A - 燃料カートリッジ及びこれを用いた燃料電池における液体燃料供給システム - Google Patents
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Abstract
【課題】初回使用時の起動時間が短縮できると共に、加熱時や減圧環境下での液体燃料の吹き出しを防止することができる燃料カートリッジ及びこれを用いた燃料電池における液体燃料供給システムを提供する。
【解決手段】燃料貯蔵体内に毛管力を有する多孔体からなる燃料吸蔵体を2種以上有し、夫々に液体燃料を充填し、各燃料吸蔵体20,25を毛管力を有する多孔体からなる中継部材30にて毛管連結させてなる燃料カートリッジAを用いた液体燃料を供給するシステムであり、前記燃料貯蔵体内の燃料排出口に近い側の燃料吸蔵体20と、遠い側の燃料吸蔵体25と、中継部材30と、燃料電池本体の燃料誘導体、平板状の多孔質体の各毛管力の強さが下記式を充足することを特徴とする燃料電池における液体燃料供給システム。
式:燃料吸蔵体20の毛管力<燃料吸蔵体25の毛管力<中継部材30の毛管力<燃料誘導体の毛管力<平板状の多孔質体の毛管力
【選択図】図1
【解決手段】燃料貯蔵体内に毛管力を有する多孔体からなる燃料吸蔵体を2種以上有し、夫々に液体燃料を充填し、各燃料吸蔵体20,25を毛管力を有する多孔体からなる中継部材30にて毛管連結させてなる燃料カートリッジAを用いた液体燃料を供給するシステムであり、前記燃料貯蔵体内の燃料排出口に近い側の燃料吸蔵体20と、遠い側の燃料吸蔵体25と、中継部材30と、燃料電池本体の燃料誘導体、平板状の多孔質体の各毛管力の強さが下記式を充足することを特徴とする燃料電池における液体燃料供給システム。
式:燃料吸蔵体20の毛管力<燃料吸蔵体25の毛管力<中継部材30の毛管力<燃料誘導体の毛管力<平板状の多孔質体の毛管力
【選択図】図1
Description
本発明は、燃料電池用の燃料カートリッジ及びこの燃料カートリッジを用いた燃料電池における液体燃料供給システムに関し、更に詳しくは、携帯電話、ノート型パソコン及びPDAなどの携帯用電子機器の電源として用いられる小型の燃料電池用に好適な燃料カートリッジ及び燃料電池における液体燃料供給システムに関する。
一般に、燃料電池は、空気電極層、電解質層及び燃料電極層が積層された燃料電池セルと、燃料電極層に還元剤としての燃料を供給するための燃料供給部と、空気電極層に酸化剤としての空気を供給するための空気供給部とからなり、燃料と空気中の酸素とによって燃料電池内で電気化学反応を生じさせ、外部に電力を得るようにした電池であり種々の形式のものが開発されている。
近年、環境問題や省エネルギーに対する意識の高まりにより、クリーンなエネルギー源としての燃料電池を、各種用途に用いることが検討されており、特に、メタノールと水を含む液体燃料を直接供給するだけで発電できる燃料電池が注目されてきている(例えば、特許文献1及び2参照)。
これらの中でも、液体燃料の供給に毛管力を利用した各液体燃料電池等が知られている(例えば、特許文献3〜7)。
これらの各特許文献に記載される液体燃料電池は、燃料タンクから液体燃料を毛管力で燃料極に供給するため、液体燃料を圧送するためのポンプを必要としないなど小型化に際してメリットがある。
これらの中でも、液体燃料の供給に毛管力を利用した各液体燃料電池等が知られている(例えば、特許文献3〜7)。
これらの各特許文献に記載される液体燃料電池は、燃料タンクから液体燃料を毛管力で燃料極に供給するため、液体燃料を圧送するためのポンプを必要としないなど小型化に際してメリットがある。
しかしながら、このような単に燃料貯蔵槽に設けられた、多孔体及び/又は繊維束体の毛管力だけを利用した液体燃料電池は、構成上は小型化に適するものの、燃料極に燃料が直接液体状態で供給されるため小型携帯機器に搭載し、電池部の前後左右や上下が絶えず変わる環境下では、長時間の使用期間中に燃料の追従が不完全となり、燃料供給遮断などの弊害が発生し、電解質層への燃料供給を一定にすることを阻害する原因となっている。
また、これらの欠点の解決策として、例えば、液体燃料を毛管力によりセル内に導入した後、液体燃料を燃料気化層にて気化して、使用する燃料電池システム(例えば、特許文献8参照)が知られているが、基本的な問題点である燃料の追従性不足は改善されていないという課題を有し、また、この構造の燃料電池は液体を気化させた後に燃料として用いるシステムのため、小型化が困難となるなどの課題がある。
このように従来の燃料電池用燃料貯留体では、燃料極に直接液体燃料を供給する際に、燃料の供給が不安定で動作中の出力値に変動が生じたり、安定な特性を維持したまま携帯機器への搭載が可能な程度の小型化は困難であるのが現状である。
そこで、本願出願人は、微小炭素多孔体よりなる燃料電極体の外表部に電解質層を構築し、該電化質層の外表部に空気電極層を構築することで形成される単位セルが複数連結される燃料電池であって、上記各単位セルには液体燃料を貯蔵するカートリッジ構造体からなる燃料貯留体に接続される浸透構造を有する燃料供給体が連結されて液体燃料が供給される直接メタノール型燃料電池を出願している(例えば、特許文献9及び10参照)。
この燃料電池は、今までにない優れた機能を有するものであるが、未使用状態(初回使用)のとき、発電セル及び毛管力に燃料がないため、発電することができないものである。燃料カートリッジを接続することで、毛管力によって燃料が燃料流路及び発電セルに含浸し発電が可能となるものである。
この方式の燃料供給システムでは、燃料カートリッジの燃料吸蔵体自体に燃料を貯留しておくため毛管力が付与されているため、燃料の含浸の速度が遅く、発電セルに燃料が供給されるまでの時間が長く、結果として起動時間が長くかかるという課題があり、更なる起動時間の短縮が切望されているのが現状である。
特開平5−258760号公報(特許請求の範囲、実施例等)
特開平5−307970号公報(特許請求の範囲、実施例等)
特開昭59−66066号公報(特許請求の範囲、実施例等)
特開平6−188008号公報(特許請求の範囲、実施例等)
特開2003−229158号公報(特許請求の範囲、実施例等)
特開2003−299946号公報(特許請求の範囲、実施例等)
特開2003−340273号公報(特許請求の範囲、実施例等)
特開2001−102069号公報(特許請求の範囲、実施例等)
特開2004−63200号公報(特許請求の範囲、実施例等)
特開2005−216819号公報(特許請求の範囲、実施例等)
この燃料電池は、今までにない優れた機能を有するものであるが、未使用状態(初回使用)のとき、発電セル及び毛管力に燃料がないため、発電することができないものである。燃料カートリッジを接続することで、毛管力によって燃料が燃料流路及び発電セルに含浸し発電が可能となるものである。
この方式の燃料供給システムでは、燃料カートリッジの燃料吸蔵体自体に燃料を貯留しておくため毛管力が付与されているため、燃料の含浸の速度が遅く、発電セルに燃料が供給されるまでの時間が長く、結果として起動時間が長くかかるという課題があり、更なる起動時間の短縮が切望されているのが現状である。
本発明は、上記従来の燃料カートリッジ及びこの燃料カートリッジを用いた燃料電池における液体燃料供給システムにおける課題及び現状に鑑み、これを解消するためになされたものであり、初回使用時の起動時間を短縮すると共に、加熱時や減圧環境下での液体燃料の吹き出しを防止できる燃料カートリッジ及びこれを用いた燃料電池における液体燃料供給システムを提供することを目的とする。
本発明者は、上記従来の課題等について、鋭意検討した結果、燃料吸蔵体を特定構造等とする燃料カートリッジ、並びに、この燃料カートリッジを用いた燃料電池における液体燃料供給システムにおいて、燃料吸蔵体、燃料誘導体等の各毛管力の強さを調整することにより、上記目的の燃料カートリッジ及びこれを用いた燃料電池における液体燃料供給システムが得られることに成功し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(16)に存する。
(1) 燃料貯蔵体内に毛管力を有する多孔体からなる燃料吸蔵体を2種以上有し、夫々に液体燃料を充填し、各燃料吸蔵体を毛管力を有する多孔体からなる中継部材にて毛管連結させてなる燃料カートリッジであって、前記燃料貯蔵体内の燃料排出口に近い側の燃料吸蔵体(A)と、遠い側の燃料吸蔵体(B)と、中継部材(C)の各毛管力の強さが下記式(I)を充足することを特徴とする燃料カートリッジ。
式(I):燃料貯蔵体(A)の毛管力<燃料貯蔵体(B)の毛管力<中継部材(C)の毛管力
(2) 燃料吸蔵体(A)に貯留された液体燃料の量は、燃料吸蔵体(B)に貯留された液体燃料の量よりも少ない上記(1)に記載の燃料カートリッジ。
(3) 燃料吸蔵体(A)に貯留された液体燃料の量は、燃料吸蔵体(B)に貯留された液体燃料の量の1/3以下である上記(2)に記載の燃料カートリッジ。
(4) 燃料吸蔵体(A)の長さは、燃料吸蔵体(B)の長さよりも小さい上記(1)に記載の燃料カートリッジ。
(5) 燃料吸蔵体(A)の長さは、燃料吸蔵体(B)の長さの1/3以下である上記(4)に記載の燃料カートリッジ。
(6) 燃料吸蔵体(A)の毛管力は、燃料吸蔵体(A)自身の高さの液体燃料を支えるのに充分な毛管力が付与されている上記(1)〜(5)の何れか一つに記載の燃料カートリッジ。
(7) 燃料吸蔵体(B)の毛管力は、燃料吸蔵体(B)自身の高さ及び燃料吸蔵体(A)の高さの液体燃料を支えるのに充分な毛管力が付与されている上記(1)〜(6)の何れか一つに記載の燃料カートリッジ。
(8) 燃料吸蔵体(A)の毛管力は、燃料吸蔵体(B)の毛管力の1/4以下である上記(1)〜(7)の何れか一つに記載の燃料カートリッジ。
(9) 燃料カートリッジは、酸素バリア性に優れる樹脂層を少なくとも一層以上有する上記(1)〜(8)の何れか一つに記載の燃料カートリッジ。
(10) 酸素バリア性に優れる樹脂が、エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂、ポリアクリロニトリル、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニルから選ばれる少なくとも1種である上記(9)に記載の燃料カートリッジ。
(11) 液体燃料がメタノール液、エタノール液、ジメチルエーテル(DME)、ギ酸、ヒドラジン、アンモニア液、エチレングリコール、水素化ホウ素ナトリウム水溶液、ショ糖水溶液から選ばれる少なくとも1種である上記(1)〜(10)の何れか一つに記載の燃料カートリッジ。
(12) 上記(1)〜(11)の何れか一つに記載の燃料カートリッジの中継部材と、燃料電池本体の発電セル部に設置された毛管力を有する多孔体からなる燃料誘導体とを毛管連結することにより液体燃料の供給を可能とする燃料電池における液体燃料供給システムであって、前記燃料貯蔵体内の燃料排出口に近い側の燃料吸蔵体(A)と、遠い側の燃料吸蔵体(B)と、中継部材(C)と、燃料誘導体(D)の各毛管力の強さが下記式(II)を充足することを特徴とする燃料電池における液体燃料供給システム。
式(II):燃料貯蔵体(A)の毛管力<燃料貯蔵体(B)の毛管力<中継部材(C)の毛管力<燃料誘導体(D)の毛管力
(13) 燃料吸蔵体(A)に貯留された液体燃料の量は、発電セルの燃料極に液体燃料を供給するのに充分な量の液体燃料が貯留されている上記(12)に記載の燃料電池における液体燃料供給システム。
(14) 液体燃料は、発電セル部を含む燃料電池本体に設置された燃料誘導体を燃料貯留体に挿入し、かつ中継部材とを毛管連結させることで液体燃料を供給可能とする上記(12)又は(13)に記載の燃料電池における液体燃料供給システム。
(15) 液体燃料は、燃料貯留体から突出した中継部材と、発電セルを含む燃料電池本体に設置された燃料誘導体とを毛管連結させることで液体燃料を供給可能とする上記(12)〜(14)の何れか一つに記載の燃料電池における液体燃料供給システム。
(16) 燃料吸蔵体(A)、燃料吸蔵体(B)、中継部材及び燃料誘導体は、多孔質体及び/又は繊維束体から構成されている上記(12)〜(15)の何れか一つに記載の燃料電池における液体燃料供給システム。
(1) 燃料貯蔵体内に毛管力を有する多孔体からなる燃料吸蔵体を2種以上有し、夫々に液体燃料を充填し、各燃料吸蔵体を毛管力を有する多孔体からなる中継部材にて毛管連結させてなる燃料カートリッジであって、前記燃料貯蔵体内の燃料排出口に近い側の燃料吸蔵体(A)と、遠い側の燃料吸蔵体(B)と、中継部材(C)の各毛管力の強さが下記式(I)を充足することを特徴とする燃料カートリッジ。
式(I):燃料貯蔵体(A)の毛管力<燃料貯蔵体(B)の毛管力<中継部材(C)の毛管力
(2) 燃料吸蔵体(A)に貯留された液体燃料の量は、燃料吸蔵体(B)に貯留された液体燃料の量よりも少ない上記(1)に記載の燃料カートリッジ。
(3) 燃料吸蔵体(A)に貯留された液体燃料の量は、燃料吸蔵体(B)に貯留された液体燃料の量の1/3以下である上記(2)に記載の燃料カートリッジ。
(4) 燃料吸蔵体(A)の長さは、燃料吸蔵体(B)の長さよりも小さい上記(1)に記載の燃料カートリッジ。
(5) 燃料吸蔵体(A)の長さは、燃料吸蔵体(B)の長さの1/3以下である上記(4)に記載の燃料カートリッジ。
(6) 燃料吸蔵体(A)の毛管力は、燃料吸蔵体(A)自身の高さの液体燃料を支えるのに充分な毛管力が付与されている上記(1)〜(5)の何れか一つに記載の燃料カートリッジ。
(7) 燃料吸蔵体(B)の毛管力は、燃料吸蔵体(B)自身の高さ及び燃料吸蔵体(A)の高さの液体燃料を支えるのに充分な毛管力が付与されている上記(1)〜(6)の何れか一つに記載の燃料カートリッジ。
(8) 燃料吸蔵体(A)の毛管力は、燃料吸蔵体(B)の毛管力の1/4以下である上記(1)〜(7)の何れか一つに記載の燃料カートリッジ。
(9) 燃料カートリッジは、酸素バリア性に優れる樹脂層を少なくとも一層以上有する上記(1)〜(8)の何れか一つに記載の燃料カートリッジ。
(10) 酸素バリア性に優れる樹脂が、エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂、ポリアクリロニトリル、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニルから選ばれる少なくとも1種である上記(9)に記載の燃料カートリッジ。
(11) 液体燃料がメタノール液、エタノール液、ジメチルエーテル(DME)、ギ酸、ヒドラジン、アンモニア液、エチレングリコール、水素化ホウ素ナトリウム水溶液、ショ糖水溶液から選ばれる少なくとも1種である上記(1)〜(10)の何れか一つに記載の燃料カートリッジ。
(12) 上記(1)〜(11)の何れか一つに記載の燃料カートリッジの中継部材と、燃料電池本体の発電セル部に設置された毛管力を有する多孔体からなる燃料誘導体とを毛管連結することにより液体燃料の供給を可能とする燃料電池における液体燃料供給システムであって、前記燃料貯蔵体内の燃料排出口に近い側の燃料吸蔵体(A)と、遠い側の燃料吸蔵体(B)と、中継部材(C)と、燃料誘導体(D)の各毛管力の強さが下記式(II)を充足することを特徴とする燃料電池における液体燃料供給システム。
式(II):燃料貯蔵体(A)の毛管力<燃料貯蔵体(B)の毛管力<中継部材(C)の毛管力<燃料誘導体(D)の毛管力
(13) 燃料吸蔵体(A)に貯留された液体燃料の量は、発電セルの燃料極に液体燃料を供給するのに充分な量の液体燃料が貯留されている上記(12)に記載の燃料電池における液体燃料供給システム。
(14) 液体燃料は、発電セル部を含む燃料電池本体に設置された燃料誘導体を燃料貯留体に挿入し、かつ中継部材とを毛管連結させることで液体燃料を供給可能とする上記(12)又は(13)に記載の燃料電池における液体燃料供給システム。
(15) 液体燃料は、燃料貯留体から突出した中継部材と、発電セルを含む燃料電池本体に設置された燃料誘導体とを毛管連結させることで液体燃料を供給可能とする上記(12)〜(14)の何れか一つに記載の燃料電池における液体燃料供給システム。
(16) 燃料吸蔵体(A)、燃料吸蔵体(B)、中継部材及び燃料誘導体は、多孔質体及び/又は繊維束体から構成されている上記(12)〜(15)の何れか一つに記載の燃料電池における液体燃料供給システム。
本発明によれば、初回使用時の起動時間が短縮できると共に、加熱時や減圧環境下での液体燃料の吹き出しを防止することができる燃料カートリッジ及びこれを用いた燃料電池における液体燃料供給システムが提供される。
以下に、本発明の実施形態を図面を参照しながら詳しく説明する。
図1は、本発明の燃料カートリッジを示す縦断面図であり、図2〜図4は、図1の燃料カートリッジを用いた燃料電池における液体燃料供給システムの実施形態の一例を示すものである。
本実施形態の燃料カートリッジAは、図1に示すように、燃料貯蔵体10内に毛管力を有する多孔体からなる燃料吸蔵体20,25を2種有し、夫々に液体燃料を充填し、各燃料吸蔵体(A)20,燃料吸蔵体(B)25を毛管力を有する多孔体からなる中継部材30にて毛管連結させてなるものである。
図1は、本発明の燃料カートリッジを示す縦断面図であり、図2〜図4は、図1の燃料カートリッジを用いた燃料電池における液体燃料供給システムの実施形態の一例を示すものである。
本実施形態の燃料カートリッジAは、図1に示すように、燃料貯蔵体10内に毛管力を有する多孔体からなる燃料吸蔵体20,25を2種有し、夫々に液体燃料を充填し、各燃料吸蔵体(A)20,燃料吸蔵体(B)25を毛管力を有する多孔体からなる中継部材30にて毛管連結させてなるものである。
燃料貯蔵体10は、燃料吸蔵体(A)20を収容する収容室10a及び燃料吸蔵体(B)25を収容する収容室10bとを備えた貯蔵体本体10cと、該貯蔵体本体10cの後端側で嵌合等により固着される尾栓10dとにより構成されている。また、前記収容室10aの先端側には、燃料排出口10fが設けられると共に、該燃料排出口10fの内周縁には、中央部にスリット部11aが形成されたスリット弁11が固着されている。
上記貯蔵体本体10cと尾栓10dとにより構成される燃料貯蔵体10としては、液体燃料を吸蔵する燃料吸蔵体(A)20、燃料吸蔵体(B)25に対して保存安定性、耐久性、ガス不透過性(酸素ガス、窒素ガス等に対するガス不透過性)があるものから構成されることが好ましく、例えば、アルミニウム、ステンレスなどの金属、合成樹脂、ガラスなどが挙げられる。
特に好ましくは、燃料貯蔵体10は、酸素バリア性に優れる樹脂層を少なくとも一層(単層又は2層以上の多層構造)以上有することが望ましい。酸素バリア性に優れる樹脂としては、例えば、エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂、ポリアクリロニトリル、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニルから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらの樹脂は、ガス不透過性、特に酸素バリア性に優れ、しかも、製造や組立時のコスト低減及び製造の容易性の点で特に好ましい。
燃料貯蔵体10が多層構造の場合は、少なくとも1層が、前記した性能(酸素バリア性等)を持つ樹脂で構成されていれば、残りの層は通常の樹脂でも実使用上問題はない。このような構造の燃料貯蔵体10は、押出し成形、射出成形、共押出し成形などにより製造することができる。
特に好ましくは、燃料貯蔵体10は、酸素バリア性に優れる樹脂層を少なくとも一層(単層又は2層以上の多層構造)以上有することが望ましい。酸素バリア性に優れる樹脂としては、例えば、エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂、ポリアクリロニトリル、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニルから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらの樹脂は、ガス不透過性、特に酸素バリア性に優れ、しかも、製造や組立時のコスト低減及び製造の容易性の点で特に好ましい。
燃料貯蔵体10が多層構造の場合は、少なくとも1層が、前記した性能(酸素バリア性等)を持つ樹脂で構成されていれば、残りの層は通常の樹脂でも実使用上問題はない。このような構造の燃料貯蔵体10は、押出し成形、射出成形、共押出し成形などにより製造することができる。
燃料吸蔵体(A)20、並びに、燃料吸蔵体(B)25は、液体燃料を貯留するために毛管力を有する多孔体からなるものであり、多孔質体及び/又は繊維束体などから構成されている。これらの燃料吸蔵体20,25は,液体燃料を貯留するために毛管力が付与されて液体燃料を吸蔵できるものであり、後述するように毛管力が異なるものであれば特に限定されず、具体的には、フェルト、スポンジ、または、樹脂粒子焼結体、樹脂繊維焼結体などの焼結体等から構成される毛管力を有する多孔質体や、天然繊維、獣毛繊維、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン径樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリフェニレン系樹脂などの1種又は2種以上の組合せからなる繊維束体からなるものが挙げられる。
本実施形態では、液体燃料の排出を速やかに行うために、燃料吸蔵体(A)の毛管力を(B)よりも落としているため、燃料吸蔵体(A)20に貯留された液体燃料の量は、液体燃料貯蔵の安定性の点から、吸蔵体(B)25に貯留された液体燃料の量よりも少ない量となっており、好ましくは、燃料吸蔵体(B)25に貯留された液体燃料の量の1/3以下とすることが望ましい。
また、燃料吸蔵体(A)20の長さも、液体燃料の排出を速やかに行うため、燃料吸蔵体(A)の毛管力を(B)よりも落としているため、液体燃料貯蔵の安定性の点から、燃料吸蔵体(B)25の長さよりも小さくなっており、好ましくは、燃料吸蔵体(B)の長さの1/3以下とすることが望ましい。
また、燃料吸蔵体(A)20の長さも、液体燃料の排出を速やかに行うため、燃料吸蔵体(A)の毛管力を(B)よりも落としているため、液体燃料貯蔵の安定性の点から、燃料吸蔵体(B)25の長さよりも小さくなっており、好ましくは、燃料吸蔵体(B)の長さの1/3以下とすることが望ましい。
更に、燃料吸蔵体(A)20の毛管力は、燃料吸蔵体(A)20自身の高さの液体燃料を支えるのに充分な毛管力が付与されていることが望ましく、また、燃料吸蔵体(B)25の毛管力は、燃料吸蔵体(B)25自身の高さ及び燃料吸蔵体(A)20の高さの液体燃料を支えるのに充分な毛管力が付与されていることが望ましい。
更に好ましくは、燃料吸蔵体(A)20の毛管力は、液体燃料の排出を速やかに行う点から、燃料吸蔵体(B)25の毛管力の1/4以下であることが望ましい。
上記燃料吸蔵体(A)20、並びに、燃料吸蔵体(B)25の毛管力等の調整は、各燃料吸蔵体に用いる多孔質体及び/又は繊維束体の材料種、気孔率等を好適に組み合わせることにより行うことができる。
更に好ましくは、燃料吸蔵体(A)20の毛管力は、液体燃料の排出を速やかに行う点から、燃料吸蔵体(B)25の毛管力の1/4以下であることが望ましい。
上記燃料吸蔵体(A)20、並びに、燃料吸蔵体(B)25の毛管力等の調整は、各燃料吸蔵体に用いる多孔質体及び/又は繊維束体の材料種、気孔率等を好適に組み合わせることにより行うことができる。
中継部材30は、各燃料吸蔵体(A)20、燃料吸蔵体(B)25を毛管連結するものである。中継部材30は、図1に示すように、例えば、棒状となっており、燃料吸蔵体(A)20の中央部を貫通し、燃料吸蔵体(B)25に挿入される構成となっている。
また、中継部材30の先端側には、後述する燃料誘導体の端部が装着するための凹部31が形成されている。
この中継部材30は、各燃料吸蔵体(A)20、燃料吸蔵体(B)25を毛管連結するために毛管力を有する多孔体からなるものであり、上述の各燃料吸蔵体(A)20、燃料吸蔵体(B)25と同様に、多孔質体及び/又は繊維束体などから構成されている。
また、中継部材30の先端側には、後述する燃料誘導体の端部が装着するための凹部31が形成されている。
この中継部材30は、各燃料吸蔵体(A)20、燃料吸蔵体(B)25を毛管連結するために毛管力を有する多孔体からなるものであり、上述の各燃料吸蔵体(A)20、燃料吸蔵体(B)25と同様に、多孔質体及び/又は繊維束体などから構成されている。
本実施形態では、前記燃料貯蔵体10内の燃料排出口に近い側の燃料吸蔵体(A)20と、遠い側の燃料吸蔵体(B)25との各毛管力、更に、中継部材(C)30の毛管力の強さが下記式(I)を充足する構成となっている。
燃料吸蔵体(A)20の毛管力<燃料吸蔵体(B)25の毛管力<中継部材(C)30の毛管力 ………(I)
この燃料吸蔵体(A)20の毛管力、燃料吸蔵体(B)25の毛管力及び中継部材(C)30の毛管力が上記式(I)の関係を充足することにより、液体燃料の排出を速やかに排出することができる。
上記式(I)の関係を充足しない場合は、液体燃料の速やかな排出をすることができず、目的の効果を発揮できないこととなる。
燃料吸蔵体(A)20の毛管力<燃料吸蔵体(B)25の毛管力<中継部材(C)30の毛管力 ………(I)
この燃料吸蔵体(A)20の毛管力、燃料吸蔵体(B)25の毛管力及び中継部材(C)30の毛管力が上記式(I)の関係を充足することにより、液体燃料の排出を速やかに排出することができる。
上記式(I)の関係を充足しない場合は、液体燃料の速やかな排出をすることができず、目的の効果を発揮できないこととなる。
上記燃料吸蔵体(A)20、並びに、燃料吸蔵体(B)25に吸蔵される液体燃料としては、例えば、メタノールと水とからなるメタノール液が挙げられるが、後述する燃料電極体において燃料として供給された化合物から効率良く水素イオン(H+)と電子(e−)が得られるものであれば、液体燃料は特に限定されず、燃料誘導部材の構造などにもよるが、例えば、ジメチルエーテル(DME)、エタノール液、ギ酸、ヒドラジン、アンモニア液、エチレングリコール、水素化ホウ素ナトリウム水溶液、ショ糖水溶液などの液体燃料も用いることができる。
また、これらの液体燃料の濃度は、燃料電池の構造、特性等により種々の濃度の液体燃料を用いることができ、例えば、1〜100%濃度の液体燃料を用いることができる。
また、これらの液体燃料の濃度は、燃料電池の構造、特性等により種々の濃度の液体燃料を用いることができ、例えば、1〜100%濃度の液体燃料を用いることができる。
このように構成される本実施形態の燃料カートリッジAは、燃料貯蔵体内に毛管力を有する多孔体からなる燃料吸蔵体を2種以上有し、夫々に液体燃料を充填し、各燃料吸蔵体を毛管力を有する多孔体からなる中継部材にて毛管連結させてなるものであり、前記燃料貯蔵体内の燃料排出口に近い側の燃料吸蔵体(A)20と、遠い側の燃料吸蔵体(B)25と、中継部材(C)の各毛管力の強さが上記式(I)を充足することにより、初期の燃料供給のときは、毛管力の低い燃料吸蔵体(A)20から燃料が速やかに排出されることとなるので、初回使用時の起動時間が短縮でき、また、毛管力の低い燃料吸蔵体(A)20を燃料排出口近辺に配置し、毛管力の高い方の燃料吸蔵体(B)25をカートリッジの奥の方に配置することで、高い方の毛管力で燃料を保持できるため、燃料の直流を防止することができるので、加熱時や減圧環境下等での液体燃料の吹き出しを防止することができるものとなる。
本発明の燃料カートリッジAは、例えば、図2〜図4に示すように、燃料電池本体40の燃料カートリッジ挿入孔41に挿入し、燃料カートリッジAの中継部材30と、燃料電池本体40の燃料誘導体50とを毛管連結することにより液体燃料の供給を可能とする燃料電池が構成される。
燃料電池本体40は、図2及び図3に示すように、燃料カートリッジAの挿入孔41を有する本体筐体42を有すると共に、該本体筐体42内に燃料カートリッジAからの燃料を誘導する燃料誘導体(D)45と、該燃料誘導体(D)45に毛管連結される平板状の多孔質体50とを有している。なお、本体筐体41には図示しないが、平面や側面部には空気の流通部となる通気孔が形成されている。
燃料誘導体(D)45は、燃料カートリッジAの中継部材30と毛管連結するために毛管力を有する多孔体からなるものであり、上述の各燃料吸蔵体(A)20、燃料吸蔵体(B)25と同様に、多孔質体及び/又は繊維束体などから構成されている。本実施形態では、図4(a)及び(b)に示すように、燃料誘導体(D)45の棒状の装着部46を中継部材30の凹部31に装着することにより毛管連結され、燃料が供給される構成となっている。
また、平板状の多孔質体50は、燃料誘導体(D)45と毛管連結するために毛管力を有する多孔体からなるものであり、上述の各燃料吸蔵体(A)20、燃料吸蔵体(B)25と同様に、多孔質体及び/又は繊維束体などから構成されており、その一部が、燃料カートリッジAの載置部51となっており、多孔質体50上には、平板状の発電セル60が所定間隔毎に配置、本実施形態では、2×3列に並列されている。
燃料誘導体(D)45は、燃料カートリッジAの中継部材30と毛管連結するために毛管力を有する多孔体からなるものであり、上述の各燃料吸蔵体(A)20、燃料吸蔵体(B)25と同様に、多孔質体及び/又は繊維束体などから構成されている。本実施形態では、図4(a)及び(b)に示すように、燃料誘導体(D)45の棒状の装着部46を中継部材30の凹部31に装着することにより毛管連結され、燃料が供給される構成となっている。
また、平板状の多孔質体50は、燃料誘導体(D)45と毛管連結するために毛管力を有する多孔体からなるものであり、上述の各燃料吸蔵体(A)20、燃料吸蔵体(B)25と同様に、多孔質体及び/又は繊維束体などから構成されており、その一部が、燃料カートリッジAの載置部51となっており、多孔質体50上には、平板状の発電セル60が所定間隔毎に配置、本実施形態では、2×3列に並列されている。
用いる平板状の発電セル60は、下面側から燃料極、電解質膜、空気極が順次積層されたものである。燃料極(燃料電極体)は、毛管力を付与した平板状の燃料極であり、平板状多孔質体50の液体燃料を吸い上げる多孔質構造となるものであれば良く、例えば、三次元網目構造若しくは点焼結構造よりなり、アモルファス炭素と炭素粉末とで構成される炭素複合成形体、等方性高密度炭素成形体、炭素繊維抄紙成形体、活性炭素成形体などを用いることができる。また、この燃料極の外表面部には、白金−ルテニウム(Pt−Ru)触媒、イリジウム−ルテニウム(Ir−Ru)触媒、白金−スズ(Pt−Sn)触媒などが当該金属イオンや金属錯体などの金属微粒子前駆体を含んだ溶液を含浸や浸漬処理後還元処理する方法や金属微粒子の電析法などにより形成されている。
電解質膜としては、プロトン伝導性又は水酸化物イオン伝導性を有するイオン交換膜、例えば、ナフィオン(Nafion、Du pont社製)を初めとするフッ素系イオン交換膜が挙げられる他、耐熱性、メタノールクロスオーバーの抑制が良好なもの、例えば、無機化合物をプロトン伝導材料とし、ポリマーを膜材料としたコンポジット(複合)膜、具体的には、無機化合物としてゼオライトを用い、ポリマーとしてスチレン−ブタジエン系ラバーからなる複合膜、炭化水素系グラフト膜などが挙げられる。
また、空気極としては、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等を上述の金属微粒子前駆体を含んだ溶液等を用いた方法で担持させた多孔質構造からなる炭素多孔体が挙げられる。
また、空気極としては、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等を上述の金属微粒子前駆体を含んだ溶液等を用いた方法で担持させた多孔質構造からなる炭素多孔体が挙げられる。
本発明において、平板状の多孔質体50は、毛管力によって燃料カートリッジAからの燃料を燃料誘導体45を介して燃料を誘導し、各発電セル60に液体燃料を供給する機能を有するものである。
本実施形態では、燃料カートリッジAの燃料吸蔵体(A)20、燃料吸蔵体(B)25から燃料誘導体45、平板状の多孔質体50、更に燃料極へ効率良く十分な液体燃料を供給するために、式(III):燃料吸蔵体(A)の毛管力<燃料吸蔵体(B)の毛管力<中継部材(C)の毛管力<燃料誘導体(D)の毛管力<平板状の多孔質体50の毛管力となる構成となっている。また、燃料吸蔵体(A)20に貯留された液体燃料の量は、発電セル60の燃料極に液体燃料を供給するのに充分な量の液体燃料が貯留されているものである。また、燃料吸蔵体(A)に貯留された液体燃料の量は、初回使用時の起動時間を更に短縮するために、発電セル60の燃料極に液体燃料を供給するのに充分な量の液体燃料が貯留されている。
本実施形態では、燃料カートリッジAの燃料吸蔵体(A)20、燃料吸蔵体(B)25から燃料誘導体45、平板状の多孔質体50、更に燃料極へ効率良く十分な液体燃料を供給するために、式(III):燃料吸蔵体(A)の毛管力<燃料吸蔵体(B)の毛管力<中継部材(C)の毛管力<燃料誘導体(D)の毛管力<平板状の多孔質体50の毛管力となる構成となっている。また、燃料吸蔵体(A)20に貯留された液体燃料の量は、発電セル60の燃料極に液体燃料を供給するのに充分な量の液体燃料が貯留されているものである。また、燃料吸蔵体(A)に貯留された液体燃料の量は、初回使用時の起動時間を更に短縮するために、発電セル60の燃料極に液体燃料を供給するのに充分な量の液体燃料が貯留されている。
このように構成される燃料電池における液体燃料供給システムは、上記燃料カートリッジAの中継部材30と燃料誘導体45とを毛管連結すると共に、該燃料誘導体45と燃料電池本体40の発電セル60に設置された平板状の多孔質体50とを毛管連結することにより、燃料カートリッジAからの発電セル60に液体燃料の供給を可能とするものであり、前記燃料貯蔵体内の燃料排出口に近い側の燃料吸蔵体(A)20と、遠い側の燃料吸蔵体(B)25と、中継部材(C)30と、燃料誘導体(D)45、平板状の多孔質体50の各毛管力の強さが上記式(III)を充足することにより、2つの燃料吸蔵体(A)20と、燃料吸蔵体(B)25とから、効率的に燃料を排出させるため、燃料は各燃料吸蔵体よりも高い毛管力を有する中継部材(C)30により毛管連結され、更に中継部材(C)30、燃料誘導体45、平板状の多孔質体50を通して発電セル60に供給されるものとなり、初回使用時の起動時間が短縮できると共に、加熱時や減圧環境下での液体燃料の吹き出しを防止することができるものとなる。
また、この燃料電池における液体燃料供給システムでは、ポンプやブロワ等の補器を特に用いることなく、液体燃料を気化せずそのまま円滑に供給することができる構造となるため、燃料電池の小型化を図ることが可能となる。
従って、この形態の燃料電池における液体燃料供給システムでは、燃料電池全体のカートリッジ化が可能となり、携帯電話やノート型パソコンなどの携帯用電子機器の電源として用いられることができる小型の燃料電池に好適なものとなる。
なお、上記実施形態では、電池セル60を2×3列の形態を示したが、燃料電池の使用用途により燃料電池セル60の連結(直列又は並列)する数を増加させて所要の起電力等とすることができる。
また、この燃料電池における液体燃料供給システムでは、ポンプやブロワ等の補器を特に用いることなく、液体燃料を気化せずそのまま円滑に供給することができる構造となるため、燃料電池の小型化を図ることが可能となる。
従って、この形態の燃料電池における液体燃料供給システムでは、燃料電池全体のカートリッジ化が可能となり、携帯電話やノート型パソコンなどの携帯用電子機器の電源として用いられることができる小型の燃料電池に好適なものとなる。
なお、上記実施形態では、電池セル60を2×3列の形態を示したが、燃料電池の使用用途により燃料電池セル60の連結(直列又は並列)する数を増加させて所要の起電力等とすることができる。
本発明の燃料カートリッジA及びオ燃料電池における液体燃料供給システムは、上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で種々変更することができるものである。
例えば、燃料電池セル60は平板状のものを用いたが、円柱状、角柱状、板状の他の形状のものであってもよい。
また、上記実施形態では、燃料カートリッジAとして、図1に示す構造のものを用いたが、中継部材が燃料排出口10fから突出した構造となる中継部材35を用いて燃料誘導体45に毛管連結して良いものである。
更に、上記実施形態では、燃料カートリッジAから発電セル60への液体燃料の供給を中継部材30、燃料誘導体(D)45及び平板状の多孔質体50を介して行ったが、平板状の多孔質体50を用いることなく、燃料誘導体(D)45から発電セル60へ燃料を供給する構成、好ましくは、式II:燃料貯蔵体(A)の毛管力<燃料貯蔵体(B)の毛管力<中継部材(C)の毛管力<燃料誘導体(D)の毛管力となる構成とすることにより、上記実施形態と同様の機能を有する液体燃料供給システムが得られることとなる。
例えば、燃料電池セル60は平板状のものを用いたが、円柱状、角柱状、板状の他の形状のものであってもよい。
また、上記実施形態では、燃料カートリッジAとして、図1に示す構造のものを用いたが、中継部材が燃料排出口10fから突出した構造となる中継部材35を用いて燃料誘導体45に毛管連結して良いものである。
更に、上記実施形態では、燃料カートリッジAから発電セル60への液体燃料の供給を中継部材30、燃料誘導体(D)45及び平板状の多孔質体50を介して行ったが、平板状の多孔質体50を用いることなく、燃料誘導体(D)45から発電セル60へ燃料を供給する構成、好ましくは、式II:燃料貯蔵体(A)の毛管力<燃料貯蔵体(B)の毛管力<中継部材(C)の毛管力<燃料誘導体(D)の毛管力となる構成とすることにより、上記実施形態と同様の機能を有する液体燃料供給システムが得られることとなる。
次に、本発明を実施例及び比較例により、更に詳述するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
〔実施例1:図1〜図3に準拠〕
下記に示す構成の液体燃料カートリッジを作製した。
(燃料タンク部の構成)
全体:ポリプロピレン製、収容室10aの内容積:直径14mm×長さ9mm、収容室10bの内容積:直径15mm×長さ35mm、
スリット弁:長さ0.8mm、外形5mm、内径4mm、ブチルゴム製、スリット長さ1mm、このブチルゴム製スリット弁は、70wt%メタノール液の液体燃料に対して気体透過性0.1mg/day/atm・50℃ 30%RHからなり、JIS K 6262−1997で規定される圧縮永久歪み率は10%であった。
(燃料吸蔵体の構成)
燃料吸蔵体20:ポリエステル繊維束製、気孔率92%、長さ9mm、外径13mm、毛管力15mm70wt%メタノール液
燃料吸蔵体25:ポリエステル繊維束製、気孔率88%、長さ35mm、外径14mm、毛管力16mm70wt%メタノール液
(中継部材30の構成)
ポリエステル繊維束製、気孔率68%、長さ17mm、外径4mm、毛管力350mm70wt%メタノール液、中継部材30は、燃料吸蔵体に15mm挿入せしめた。
(燃料誘導体45の構成)
ポリエステル繊維束製、気孔率50%、大きさ30×30×5mm、毛管力360mm70wt%メタノール液
(平板状の多孔質体50の構成)
ポリエステル繊維束製、気孔率50%、大きさ60×100×0.3mm、毛管力360mm70wt%メタノール液
(液体燃料の充填量)
燃料貯蔵体20に液体燃料(70wt%メタノール液、比重0.87)0.8gを吸蔵し、燃料貯蔵体25に液体燃料(70wt%メタノール液、比重0.87)4gを吸蔵した。
下記に示す構成の液体燃料カートリッジを作製した。
(燃料タンク部の構成)
全体:ポリプロピレン製、収容室10aの内容積:直径14mm×長さ9mm、収容室10bの内容積:直径15mm×長さ35mm、
スリット弁:長さ0.8mm、外形5mm、内径4mm、ブチルゴム製、スリット長さ1mm、このブチルゴム製スリット弁は、70wt%メタノール液の液体燃料に対して気体透過性0.1mg/day/atm・50℃ 30%RHからなり、JIS K 6262−1997で規定される圧縮永久歪み率は10%であった。
(燃料吸蔵体の構成)
燃料吸蔵体20:ポリエステル繊維束製、気孔率92%、長さ9mm、外径13mm、毛管力15mm70wt%メタノール液
燃料吸蔵体25:ポリエステル繊維束製、気孔率88%、長さ35mm、外径14mm、毛管力16mm70wt%メタノール液
(中継部材30の構成)
ポリエステル繊維束製、気孔率68%、長さ17mm、外径4mm、毛管力350mm70wt%メタノール液、中継部材30は、燃料吸蔵体に15mm挿入せしめた。
(燃料誘導体45の構成)
ポリエステル繊維束製、気孔率50%、大きさ30×30×5mm、毛管力360mm70wt%メタノール液
(平板状の多孔質体50の構成)
ポリエステル繊維束製、気孔率50%、大きさ60×100×0.3mm、毛管力360mm70wt%メタノール液
(液体燃料の充填量)
燃料貯蔵体20に液体燃料(70wt%メタノール液、比重0.87)0.8gを吸蔵し、燃料貯蔵体25に液体燃料(70wt%メタノール液、比重0.87)4gを吸蔵した。
〔比較例1:図6、図7に準拠〕
下記に示す構成の液体燃料カートリッジを作製した。
(燃料タンク部70の構成)
全体:ポリプロピレン製、一つの収容室構造、内容積:直径14mm×長さ45mm、
スリット弁:上記実施例1と同様。
(燃料吸蔵体75の構成)
ポリエステル繊維束製、気孔率88%、長さ45mm、外径14mm、毛管力60mm70wt%メタノール液
(中継部材30、燃料誘導体45、平板状の多孔質体50の構成)
上記実施例1と同じ
(液体燃料の充填量)
燃料貯蔵体75に液体燃料(70wt%メタノール液、比重0.87)4.5gを吸蔵した。
下記に示す構成の液体燃料カートリッジを作製した。
(燃料タンク部70の構成)
全体:ポリプロピレン製、一つの収容室構造、内容積:直径14mm×長さ45mm、
スリット弁:上記実施例1と同様。
(燃料吸蔵体75の構成)
ポリエステル繊維束製、気孔率88%、長さ45mm、外径14mm、毛管力60mm70wt%メタノール液
(中継部材30、燃料誘導体45、平板状の多孔質体50の構成)
上記実施例1と同じ
(液体燃料の充填量)
燃料貯蔵体75に液体燃料(70wt%メタノール液、比重0.87)4.5gを吸蔵した。
上記構成となる実施例1及び比較例1の燃料カートリッジの中継部材30を燃料誘導体に連結して、その排出速度を平板状の多孔質体50へ来るまでの時間を評価したところ、実施例1では、10秒であるのに対し、比較例1では、360秒であった。
A 液体燃料カートリッジ
10 燃料貯蔵体
20 燃料吸蔵体
25 燃料吸蔵体
30 中継部材
45 燃料誘導体
60 発電セル
10 燃料貯蔵体
20 燃料吸蔵体
25 燃料吸蔵体
30 中継部材
45 燃料誘導体
60 発電セル
Claims (16)
- 燃料貯蔵体内に毛管力を有する多孔体からなる燃料吸蔵体を2種以上有し、夫々に液体燃料を充填し、各燃料吸蔵体を毛管力を有する多孔体からなる中継部材にて毛管連結させてなる燃料カートリッジであって、前記燃料貯蔵体内の燃料排出口に近い側の燃料吸蔵体(A)と、遠い側の燃料吸蔵体(B)と、中継部材(C)の各毛管力の強さが下記式(I)を充足することを特徴とする燃料カートリッジ。
式(I):燃料貯蔵体(A)の毛管力<燃料貯蔵体(B)の毛管力<中継部材(C)の毛管力 - 燃料吸蔵体(A)に貯留された液体燃料の量は、燃料吸蔵体(B)に貯留された液体燃料の量よりも少ない請求項1に記載の燃料カートリッジ。
- 燃料吸蔵体(A)に貯留された液体燃料の量は、燃料吸蔵体(B)に貯留された液体燃料の量の1/3以下である請求項2に記載の燃料カートリッジ。
- 燃料吸蔵体(A)の長さは、燃料吸蔵体(B)の長さよりも小さい請求項1に記載の燃料カートリッジ。
- 燃料吸蔵体(A)の長さは、燃料吸蔵体(B)の長さの1/3以下である請求項4に記載の燃料カートリッジ。
- 燃料吸蔵体(A)の毛管力は、燃料吸蔵体(A)自身の高さの液体燃料を支えるのに充分な毛管力が付与されている請求項1〜5の何れか一つに記載の燃料カートリッジ。
- 燃料吸蔵体(B)の毛管力は、燃料吸蔵体(B)自身の高さ及び燃料吸蔵体(A)の高さの液体燃料を支えるのに充分な毛管力が付与されている請求項1〜6の何れか一つに記載の燃料カートリッジ。
- 燃料吸蔵体(A)の毛管力は、燃料吸蔵体(B)の毛管力の1/4以下である請求項1〜7の何れか一つに記載の燃料カートリッジ。
- 燃料カートリッジは、酸素バリア性に優れる樹脂層を少なくとも一層以上有する請求項1〜8の何れか一つに記載の燃料カートリッジ。
- 酸素バリア性に優れる樹脂が、エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂、ポリアクリロニトリル、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニルから選ばれる少なくとも1種である請求項9に記載の燃料カートリッジ。
- 液体燃料がメタノール液、エタノール液、ジメチルエーテル(DME)、ギ酸、ヒドラジン、アンモニア液、エチレングリコール、水素化ホウ素ナトリウム水溶液、ショ糖水溶液から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜10の何れか一つに記載の燃料カートリッジ。
- 請求項1〜11の何れか一つに記載の燃料カートリッジの中継部材と、燃料電池本体の発電セル部に設置された毛管力を有する多孔体からなる燃料誘導体とを毛管連結することにより液体燃料の供給を可能とする燃料電池における液体燃料供給システムであって、前記燃料貯蔵体内の燃料排出口に近い側の燃料吸蔵体(A)と、遠い側の燃料吸蔵体(B)と、中継部材(C)と、燃料誘導体(D)の各毛管力の強さが下記式(II)を充足することを特徴とする燃料電池における液体燃料供給システム。
式(II):燃料貯蔵体(A)の毛管力<燃料貯蔵体(B)の毛管力<中継部材(C)の毛管力<燃料誘導体(D)の毛管力 - 燃料吸蔵体(A)に貯留された液体燃料の量は、発電セルの燃料極に液体燃料を供給するのに充分な量の液体燃料が貯留されている請求項12に記載の燃料電池における液体燃料供給システム。
- 液体燃料は、発電セル部を含む燃料電池本体に設置された燃料誘導体を燃料貯留体に挿入し、かつ中継部材とを毛管連結させることで液体燃料を供給可能とする請求項12又は13に記載の燃料電池における液体燃料供給システム。
- 液体燃料は、燃料貯留体から突出した中継部材と、発電セルを含む燃料電池本体に設置された燃料誘導体とを毛管連結させることで液体燃料を供給可能とする請求項12〜14の何れか一つに記載の燃料電池における液体燃料供給システム。
- 燃料吸蔵体(A)、燃料吸蔵体(B)、中継部材及び燃料誘導体は、多孔質体及び/又は繊維束体から構成されている請求項12〜15の何れか一つに記載の燃料電池における液体燃料供給システム。
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