JP2006047235A - 液滴計測装置、液滴計測方法、液滴塗布装置及びデバイス製造装置並びに電子機器 - Google Patents

液滴計測装置、液滴計測方法、液滴塗布装置及びデバイス製造装置並びに電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】 簡易な構成でありつつも、実際の液滴を1滴ごとに高速に計測可能な液滴計測装置および液滴計測手段を提供すること。
【解決手段】 液滴180の飛翔経路にレーザ光130を発生するレーザ光発生部120と、レーザ光130の強度を電気信号に変換する光電変換部150と、該電気信号を処理する信号処理部160とを備え、該信号処理部160は、前記液滴が前記レーザ光を通過するときの前記光電変換部150の信号強度と該液滴の重量との関係式を記憶しており、該関係式に基づいて、前記光電変換部150から入力された信号強度に対応する液滴の重量を計算する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、液滴計測装置、液滴計測方法、液滴塗布装置及びデバイス製造装置並びに電子機器に関する。
電子機器、例えばコンピュータや携帯用の情報機器端末の発達に伴い、液晶表示デバイス、特にカラー液晶表示デバイスの使用が増加している。この種の液晶表示デバイスは、表示画像をカラー化するためにカラーフィルタを用いている。カラーフィルタには、基板を有し、この基板に対してR(赤)、G(緑)、B(赤)のインク(液滴)を所定パターンで着弾させ、このインクを基板上で乾燥させることで着色層を形成するものがある。このような基板に対してインクを着弾させて塗布する方式としては、例えばインクジェット方式(液滴吐出方式)の描画装置が採用されている。
液滴吐出方式を採用した場合、描画装置においてはIJヘッドから所定量のインクをフィルターに対して吐出して着弾させるが、この場合、例えば基板はYステージ(Y方向に移動自在なステージ)に搭載され、液滴吐出ヘッドはXステージ(X方向に移動自在なステージ)に搭載される。そして、Xステージの駆動により液滴吐出ヘッドを所定位置に位置決めした後に、Yステージの駆動により基板を液滴吐出ヘッドに対して相対移動させながらインクを吐出することで、複数の液滴吐出ヘッドからのインクが基板の所定位置に着弾できるようになっている。
また、半導体集積回路などの微細な配線パターンの製造方法として、パターン形成用材料を含んだ機能液を液滴吐出ヘッドから基板上に吐出することにより、パターン形成面に材料を配置(塗布)して配線パターンを形成する技術もある。この場合、少量多種生産に対応可能であるなど大変有効であるとされている。
このような液滴吐出方式の描画装置では、吐出する液滴の体積を正確に制御しないと、着弾した液滴が広がりすぎてにじみを引き起こしたり、逆に着弾した液滴が小さすぎてかすれを引き起こしたりする。したがって、吐出する液滴の体積の正確な制御が要求される。
一方、IJヘッドは、製造過程での加工や組み立てによるバラツキにより、吐出する液滴の速度や重量(体積)に個体差が生ずる。また単一のヘッドであっても、ノズルによって吐出量が異なる。また、周囲の環境、吐出の間隔、装置の稼働時間によって重量は刻々変化していると考えられる。したがってノズルから吐出される液滴の重量を正確に計測することが重要である。
液滴の体積を正確に制御すべく吐出液滴の物理データを計測する装置として、以下の技術が開発されている。特許文献1に記載の技術では、以下のようにして液滴の体積を計算している。スリットにより形成した平行な2本の矩形レーザ光に、垂直に液滴を通過させて、レーザ光の間隔と2レーザ光の通過時間から液滴の速度を求める。また光検出器の波形から液滴の断面形状を得、液滴の飛跡と垂直な方向の断面を円と仮定して体積を計算している。
特許文献2,3の液体噴射装置では、吐出対象物(液滴)の種類や吐出対象物までの距離に応じて液滴の重量や飛翔速度を可変している。速度の計測は、1本のレーザ光をIJヘッドのノズルプレートに平行に配置し、液滴がノズルプレートから吐出してからレーザ光を通過するまでの時間と、レーザ光からノズルプレートまでの距離より算出している。重量は、重量測定手段(例:電子天秤)を配置し、例えば100,000発吐出したときの重量を記録し、この重量を吐出数で除算して1滴当たりの重量を計算している。
特開2003−127430 特開2003−94656 特開2003−94629
しかしながら、特許文献1の方法は、液滴の進行方向に垂直な方向のレーザ光を、液滴の直径よりも細く絞り込む必要がある。しかしスリットを通す方法では、回折のために所望の細さを得るのは難しい。回折の影響を少なくしようとしてスリットと計測点を近づけると、液滴でスリットが汚れやすくなるため、メンテナンスが必要になるという問題がある。
また、特許文献2,3の方法では、重量の正確な計測が可能であるものの、1回の計測に対し材料が大量に必要である。また計測の都度ヘッドを重量計測手段の上に移動せねばならず、スループットの悪化につながる。
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、簡易な構成でありつつも、液滴を1滴ごとに高速に計測可能な液滴計測装置、液滴計測手段、液滴塗布装置及びデバイス製造装置並びにこのデバイス製造装置で製造された電子機器を提供することを目的とする。
本発明の液滴計測装置は、液滴の飛翔経路にレーザ光を発生するレーザ光発生手段と、前記レーザ光の強度を電気信号に変換する光電変換手段と、該電気信号を処理する信号処理手段とを備え、該信号処理手段には、前記液滴が前記レーザ光を通過するときの前記電気信号の強度と該液滴の重量との関係式が記憶されており、該信号処理手段は該関係式に基づいて、前記光電変換手段から入力された信号強度に対応する液滴の重量を計算することを特徴とする。
本発明によれば、信号処理手段が記憶している関係式に基づき、光電変換手段から入力された信号強度から、液滴の重量を算出する。関係式は、液滴の重量の実測値と、そのときの光電変換手段の信号強度とに基づいて予め作成しておくことができる。
本発明は、前記レーザ光発生手段から発生したレーザ光を集光する集光手段を備え、前記液滴は前記レーザ光の集光位置に吐出されることを特徴とする。
本発明によれば、レンズなどで集光した位置に液滴を通過させることにより、信号強度を強く(=空間分解能を高く)することができる。
本発明は、前記液滴の重量を計測する重量計測手段を備え、該重量計測手段により計測された液滴の重量と前記光電変換手段の信号強度とに基づいて前記関係式が作成または更新されることを特徴とする。
本発明によれば、液滴重量を実測するとともに、該液滴がレーザ光に吐出された際の前記光電変換手段の信号強度を計測することにより、関係式を作成・更新する。関係式を新たに作成するようにしてもよいし、既に記憶されている関係式について、調整が必要なときに適宜更新する作業を行うようにしてもよい。これにより関係式の正確性を保つことができる。
本発明の液滴計測方法は、液滴の飛翔経路にレーザ光を発生するレーザ光発生工程と、前記レーザ光の強度を電気信号に変換する光電変換工程と、該電気信号を処理する信号処理工程とを備え、該信号処理工程は、前記液滴が前記レーザ光を通過するときの前記電気信号の強度と該液滴の重量との関係式に基づき、前記信号強度に対応する液滴の重量を計算することを特徴とする。
本発明によれば、液滴の重量と電気信号の強度とを示す関係式に基づき、光電変換工程によって得た信号強度から、液滴の重量を算出する。関係式は、液滴の重量の実測値と、そのときの信号強度とに基づいて予め作成しておくことができる。
本発明は、前記レーザ光を集光した集光位置に前記液滴を飛翔することを特徴とする。
本発明によれば、レンズなどで集光した位置に液滴を通過させることにより、信号強度を強く(=空間分解能を高く)することができる。
本発明は、予め液滴の重量と、該液滴がレーザ光に吐出された際の前記電気信号の強度とを測定し、前記関係式を作成・更新しておくことを特徴とする。
本発明によれば、液滴重量を実測するとともに、該液滴がレーザ光に吐出された際の前記信号強度を計測することにより、関係式を作成・更新する。関係式を新たに作成するようにしてもよいし、既に記憶されている関係式について、調整が必要なときに適宜更新する作業を行うようにしてもよい。これにより関係式の正確性を保つことができる。
また、本発明の液滴塗布装置は、液滴を吐出する液滴吐出手段と、上記の液滴計測装置とを備えることを特徴としている。
そして、本発明のデバイス製造装置は、基板上に液滴を吐出してデバイスを製造する装置であって、基板上に前記液滴を吐出する装置として上記の液滴塗布装置が用いられることを特徴とする。
従って、本発明の液滴塗布方法及びデバイス製造装置では、吐出した液滴の重量や体積を容易に計測することが可能になる。
また、本発明の電子機器は、上記のデバイス製造装置で製造されたデバイスを有することを特徴としている。
従って、本発明では、所定量の液滴が高精度に吐出されて製造されているので、高品質の電子機器を得ることができる。
次に、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は本実施形態に係る液滴計測装置であり、図2は同液滴計測装置が用いられる液滴塗布装置である。
まず、液滴塗布装置について説明する。液滴塗布装置30は、ベース32、第1移動手段34、第2移動手段16、液滴吐出ヘッド(液滴吐出手段)20、キャッピングユニット22、クリーニングユニット24等を有している。第1移動手段34、キャッピングユニット22、クリーニングユニット24および第2移動手段16は、それぞれベース32上に設置されている。
第1移動手段34は、好ましくはベース32の上に直接設置されており、しかもこの第1移動手段34は、Y軸方向に沿って位置決めされている。これに対して第2移動手段16は、支柱16A、16Aを用いて、ベース32に対して立てて取り付けられており、しかも第2移動手段16は、ベース32の後部32Aにおいて取り付けられている。第2移動手段16のX軸方向は、第1移動手段34のY軸方向とは直交する方向である。Y軸はベース32の前部32Bと後部32A方向に沿った軸である。これに対してX軸はベース32の左右方向に沿った軸であり、各々水平である。
第1移動手段34は、ガイドレール40、40を有しており、第1移動手段34としては、例えば、リニアモータを採用することができる。このリニアモータ形式の第1移動手段34のスライダー42は、ガイドレール40に沿って、Y軸方向に移動して位置決め可能である。テーブル46は、ワークとしての基板2を位置決めして、しかも保持するものである。また、テーブル46は、吸着保持手段50を有しており、吸着保持手段50が作動することにより、テーブル46の穴46Aを通して、基板2をテーブル46の上に吸着して保持することができる。テーブル46には、液滴吐出ヘッド20がインクを捨打ち或いは試し打ち(予備吐出)するための予備吐出エリア52が設けられている。
第2移動手段16は、支柱16A,16Aに固定されたコラム16Bを有しており、このコラム16Bには、リニアモータ形式の第2移動手段16が設けられている。スライダー60は、ガイドレール62Aに沿ってX軸方向に移動して位置決め可能であり、スライダー60には、インク吐出手段としての液滴吐出ヘッド20が備えられている。
スライダー42は、θ軸用のモータ44を備えている。このモータ44は、例えばダイレクトドライブモータであり、モータ44のロータはテーブル46に固定されている。これにより、モータ44に通電することでロータとテーブル46は、θ方向に沿って回転してテーブル46をインデックス(回転割り出し)することができる。
液滴吐出ヘッド20は、揺動位置決め手段としてのモータ62,64,66,68を有している。モータ62を作動すれば、液滴吐出ヘッド20は、Z軸に沿って上下動して位置決め可能である。このZ軸はX軸とY軸に対して各々直交する方向(上下方向)である。モータ64を作動すると、液滴吐出ヘッド20は、Y軸回りのβ方向に沿って揺動して位置決め可能である。モータ66を作動すると、液滴吐出ヘッド20は、X軸回りのγ方向に揺動して位置決め可能である。モータ68を作動すると、液滴吐出ヘッド20は、Z軸回りのα方向に揺動して位置決め可能である。
このように、図2の液滴吐出ヘッド20は、スライダー60を介して、X軸方向に直線移動して位置決め可能で、且つα、β、γに沿って揺動して位置決め可能であり、液滴吐出ヘッド20のインク吐出面20Pは、テーブル46側の基板2に対して正確に位置あるいは姿勢をコントロールすることができる。なお、液滴吐出ヘッド20のインク吐出面20Pには、それぞれがインクを吐出する複数(例えば120個)の吐出部としてのノズルが設けられている。
ここで、液滴吐出ヘッド20の構造例について、図3を参照して説明する。液滴吐出ヘッド20は、たとえば、ピエゾ素子(圧電素子)を用いたヘッドであり、図3(A)に示すようにヘッド本体90のインク吐出面20Pには、複数のノズル(吐出部)91が形成されている。これらのノズル91に対してそれぞれピエゾ素子92が設けられている。図3(B)に示すようにピエゾ素子92は、ノズル91とインク室93に対応して配置されており、例えば一対の電極(図示せず)の間に位置し、通電するとこれが外側に突出するようにして撓曲するよう構成されたものである。そしてこのピエゾ素子92に対して図3(C)に示すように印加電圧Vhを印加することで、図3(D),(F)及び(E)に示すようにして、ピエゾ素子92を矢印Q方向に伸縮させることで、インクを加圧して所定量の液滴(インク滴)99をノズル91から吐出させるようになっている。これらピエゾ素子92の駆動、即ち液滴吐出ヘッド20からの液滴吐出は、制御装置25(図2参照)により制御される。
このような液滴塗布装置30においては、吐出する液滴の体積の正確な制御を行うために以下の液滴体計測装置が設けられている。本液滴計測装置を用いて予め液滴を測定しておくことで、測定データを基に、実際の使用時の液滴体積を知ることができる。本装置はモジュールとして、後述のビームスポット135が液滴吐出ヘッド20のノズルから500μmの距離となる位置に取り付けられる。500μmとしたのは、ノズルから吐出された直後のインクは棒状であるが、500μm離れた位置では分離して球状になるからである。
以下、液滴計測装置について詳細に説明する。図1は液滴計測装置110の全体を示したブロック図である。図において符号120はレーザ光発生部(レーザ光発生手段)であり、単一のレーザ光130を発生する。集光部(集光手段)140はレーザ光を集光し、液滴180の吐出(飛翔)経路上にビームスポット135を形成する。液滴吐出ヘッド20からビームスポット135に液滴180が吐出される。光電変換部(光電変換手段)150はレーザ光強度を電気信号に変換する。重量計測部(重量計測手段)190は、受け皿191に着弾した1または複数の液滴の重量を計測する。信号処理部(信号処理手段)160は前述の電気信号と、前述の重量の対応を計算する。また当該対応に基づき、ビームスポット135を通過した液滴180の体積(重量)を計測する。
集光部140を図4(A)に示した。集光部140はレンズ141によってレーザ光130を集光する。レーザ光を集光している理由を以下に説明する。例えば、図6(A)のように、スリットで得た平行光や、ピンホールで成形したレーザ光130’は広がりを持つので、液滴180を投影すると一部が遮られるのみで、(iii)に示したように光電変換部150の信号は弱いものとなる。図6(B)に示したように、レンズ141’により集光した点に液滴を通過させることにより、(iii)に示したように信号強度を強く(=空間分解能を高く)することができる。このような理由により、本実施形態ではレンズ141を用いている。
また、図4(B)に示すように、集光部140はシリンドリカルレンズ142によってレーザ光130を集光する。図5(A)はビームスポット135の上面図であり、同図(B)は正面図である。正面視ではレーザ光130は焦線たるビームスポット135に集光しているが、上面視においてはレーザ光130は所定幅を保っている。シリンドリカルレンズ142および143を用いることで、図5(B)のように液滴の軌跡方向には焦線を形成しつつも、図5(A)のように上面視においては所定幅を保つことができ、アラインメントを容易にすることができる。この幅は、液滴(直径約25μm)の1倍〜5倍であることが望ましい。レーザ光130の幅が小さすぎると液滴の軌跡(飛翔経路)181に確実にレーザ光を通すためのアラインメントが難しくなり、大きすぎると上述のように光電変換部150の信号が弱くなるからである。
なお、図7、図8(A)(B)のように2枚のシリンドリカルレンズを使用しても良い。この場合、一方のシリンドリカルレンズ142を垂直方向(液滴の軌跡181方向)の屈折に用い、他方のシリンドリカルレンズ143をシリンドリカルレンズ143と直交する方向の屈折に用いる。シリンドリカルレンズ143は、液滴の軌跡181位置におけるレーザ光の幅が十分に小さくなるようにするものであり、焦点面136はビームスポット135の後方に位置している。ビームスポット135におけるレーザ光の幅は上記と同様に液滴の1倍〜5倍であることが望ましい。このように2枚のシリンドリカルレンズを使用する場合は、アラインメントを容易にし、かつシリンドリカルレンズの位置を変えることで、分解能を液滴の大きさに応じた適切な値に設定できる。
重量計測部190は受け皿191に着弾した1または複数の液滴の重量を計測する。上記の液滴吐出ヘッド20から吐出される液滴は、1滴が数ピコリットル(pL)程度の極く少量である。このため、1滴の重量も数ナノグラム(ng)程度であり、1滴毎に重量を測定することは困難である。そこで、重量計測部190で液滴の重量を測定する際には、複数の液滴をノズル開口から吐出させ、その重量を測定するようにしている。例えば、ノズルから100,000発の液滴を吐出させ、全体の重量を測定する。これにより液滴の1滴あたりの重量を算出する。
なお、液滴がレーザ光を通過したときの、受光部におけるレーザ光強度の時間変化と、計測される電圧の関係を図9(a)を参照して説明する。図9(a)に符号TNで示すように、液滴が通過していないときの受光強度は一定で、符号TLに示すように、液滴が通過すると受光量は減少する。受光部で光電変換された後の信号は、図9(b)に示すように、処理しやすいように反転増幅され、さらにオフセット調整されるため、計測電圧は、液滴が通過していないとき0Vであり、液滴が通過すると+側に振れる。
次に、図10を用いて計測原理を説明する。本手法を実現する手順は以下の通りである。はじめに、レーザ光発生部120によってレーザ光130の照射を開始し、次いで液滴吐出ヘッド20を駆動し液滴180をビームスポット135に通過させる。信号処理部160は、光電変換部150の受光波形の最大値(図6(B)(iii)に示したピーク値)と、重量計測部190によって計測された、このときに通過した液滴180の重量とを得る。信号処理部160は、これらの関係を図10に示した1次関数(関係式)で表して記憶しておく。この関数を用いることで、未知の体積の液滴が通過すると、光電変換部150の受光波形の最大値に基づいて液滴の重量を得ることができる。
この関数は次のように表される。液滴を球体と仮定する。計測に用いるレーザ光の厚さに対し、液滴の直径が小さい条件において、計測電圧Emaxと液滴の投影面積S(液滴にレーザ光を当てたときにできる影の面積)は次式で表される。
Figure 2006047235
aは電圧と面積の関係を表す定数である。次に、Sと液滴の体積Ivの関係は次のようになる。
Figure 2006047235
以上より、IvはEmaxの3/2乗に比例し、定数aを求めればEmaxからIvが計算できることが分かる。ここでaは、IvとEmaxを2組実測して得た(Iv1,Emax1)、(Iv2,Emax2)を用いて(3)式から求められる。
Figure 2006047235
なお、(2)式は原点を通らないことがあるので、(4)式のように切片項を加えておく。
Figure 2006047235
このようにして予め液滴重量と光電変換部150の出力とを対応させ、関係式として信号処理部160に記憶させておく。この関係式を得ておけば、実際に基板2にインクを着弾させる描画作業の際に、液滴にレーザ光を当て、光電変換部150の信号出力を関係式に入れることで、実測することなく液滴の重量を得ることができる。
なお、このようにして関係式を得る作業は、モジュールとしての液滴計測装置110を最初に設置した際に行ってもよいし、調整が必要なときに適宜行って関係式を更新するようにしてもよい。一度関係式を作成・更新すれば、実測することなく液滴の重量を得ることができる。
さらに本実施形態では、図11に示した「サテライト」を区別し、二つのピークそれぞれについて上記の関数に当て嵌め、それぞれの重量を計算して合算することで、基板2に着弾する液滴の体積を正確に求めることができる。なお、サテライトとは、メインの液滴に付随して生ずる径の小さな液滴であり、サテライトが発生したときの光電変換部の受光波形は、図11のようにメインのピークEmaxに対してサテライトEmax’が付随して生ずる。
このように、本実施形態においては、簡易な構成でありつつも、実際の液滴着弾の際の高速な計測が可能となる。また従来は逐次重量を直接計量しているために多量のインクを用いる必要があったが、本実施形態においては、予め算出した関数を用いることにより、1液滴ごとの計測が可能となる。また、オンライン(印刷しながら、または製品を作りながら)の計測が可能となる。さらに上述の液滴塗布装置30では1セル当たりに多数打ち込むため、吐出量を逐次計測し、吐出数をもしくは液適量を増減すれば総滴下量を制御することができる。
なお、図12は変形例として示した液滴計測装置のブロック図である。本液滴計測装置では、重量計測位置が変更されており、インクを受けて重量計測するかわりに液滴吐出ヘッド20の重量の減少量を計測するようになっている。この変形例によれば、液滴の乾燥による影響を小さくすることができる。
次に、上述した液滴塗布装置を有するデバイス製造を用いて製造される液晶パネル(デバイス)及び当該液晶パネルを備える液晶装置について説明する。
図13は、パッシブマトリクス型の液晶装置の断面構造を模式的に示している。液晶装置200は、透過型のもので、一対のガラス基板201,202の間にSTN(Super Twisted Nematic)液晶等からなる液晶層203が挟まれた構造からなる液晶パネルPと、液晶層に駆動信号を供給するためのドライバIC213と、光源となるバックライト214とを備えている。
ガラス基板201(基板W)には、その内面にカラーフィルタ204が配設されている。カラーフィルタ204は、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色からなる着色層204R、204G、204Bが規則的に配列されて構成されたものである。なお、これらの着色層204R(204G、204B)間には、ブラックマトリクスやバンクなどからなる隔壁205が形成されている。また、カラーフィルタ204及び隔壁205の上には、カラーフィルタ204や隔壁205によって形成される段差をなくしてこれを平坦化するためのオーバーコート膜206が配設されている。
オーバーコート膜206の上には、複数の電極207がストライプ状に形成され、さらにその上には配向膜208が形成されている。
他方のガラス基板202には、その内面に、上記のカラーフィルタ204側の電極と直交するようにして、複数の電極209がストライプ状に形成されており、これら電極209上には、配向膜210が形成されている。なお、上記カラーフィルタ204の各着色層204R、204G、204Bはそれぞれ、ガラス基板202の電極209と上記ガラス基板201の電極207との交差位置に対応する位置に、配置されている。また、電極207,209は、ITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電材料によって形成されている。ガラス基板202とカラーフィルタ204の外面側にはそれぞれ偏向板(図示せず)が設けられている。ガラス基板201,202同士の間には、これら基板201,202同士の間隔(セルギャップ)を一定に保持するための不図示のスペーサと、液晶203を外気から遮断するためのシール材212とが配設されている。シール材212としては、例えば、熱硬化型あるいは光硬化型の樹脂が用いられる。
そして、上記の液晶パネルPにおいては、液晶層203、カラーフィルタ204、配向膜208、210、オーバーコート膜206が上述した液滴塗布装置を用いて製造することができる。
また、本発明に係るデバイスの製造装置は、上述した液晶パネルの製造のみに適用されるものではなく、例えば、電流を通すことによって発光する有機機能層を画素として用いる有機EL装置等の製造にも適用可能である。なお、有機EL装置に本発明を適用した場合には、有機機能層が本発明に係る液滴塗布装置によって形成される。
特に、パターニング精度が要求されるカラーフィルタや有機機能層の製造に本発明を適用することで、高精度のパターニング描画が可能になる。
さらに、液晶パネルや有機EL装置以外にも、レジストやマイクロレンズアレイ、バイオ分野にも適用可能である。
(電子機器)
図14(a)〜(c)は、本発明の電子機器の実施の形態例を示している。
本例の電子機器は、上記の液晶装置を表示手段として備えている。
図14(a)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図14(a)において、符号1000は携帯電話本体を示し、符号1001は上記の液晶装置を用いた表示部を示している。
図14(b)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図14(b)において、符号1100は時計本体を示し、符号1101は上記の液晶装置を用いた表示部を示している。
図14(c)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図14(c)において、符号1200は情報処理装置、符号1202はキーボードなどの入力部、符号1204は情報処理装置本体、符号1206は上記の液晶装置を用いた表示部を示している。
図14(a)〜(c)に示すそれぞれの電子機器は、上記の液晶装置を表示手段として備えているので、高品質の電子機器を得ることができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
本発明の一実施形態に係る液滴計測装置のブロック図である。 液滴塗布装置の概略斜視図である。 ピエゾ方式による液状体の吐出原理を説明するための図である。 集光部とレーザ光の詳細について示した図である。 ビームスポットにおけるレーザ光形状について示した図であり、(A)は上面図、(B)は正面図である。 集光系の効果の例について説明した図である。 集光部の変形例とレーザ光の詳細について示した図である。 ビームスポットにおけるレーザ光形状について示した図であり、(A)は上面図、(B)は正面図である。 レーザ光強度及びフォトディテクタ出力を示す図である。 同液滴計測装置の計測原理について説明した概略図である。 サテライトの受光強度について示した図である。 重量計測位置を変更した変形例について示した図である。 液晶装置の断面構造の模式図である。 電子機器の具体例を示す図である。
符号の説明
2…基板、 20…液滴吐出ヘッド(液滴吐出手段)、 30…液滴塗布装置、 110…液滴計測装置、120…レーザ光発生部、130…レーザ光、135…ビームスポット、140…集光部、150…光電変換部、160…信号処理部、180…液滴、181…飛翔経路、190…重量計測部

Claims (9)

  1. 液滴の飛翔経路にレーザ光を発生するレーザ光発生手段と、前記レーザ光の強度を電気信号に変換する光電変換手段と、該電気信号を処理する信号処理手段とを備え、
    該信号処理手段には、前記液滴が前記レーザ光を通過するときの前記電気信号の強度と該液滴の重量との関係式が記憶されており、該信号処理手段は該関係式に基づいて、前記光電変換手段から入力された信号強度に対応する液滴の重量を計算することを特徴とする液滴計測装置。
  2. 前記レーザ光発生手段から発生したレーザ光を集光する集光手段を備え、前記液滴は前記レーザ光の集光位置に吐出されることを特徴とする請求項1に記載の液滴計測装置。
  3. 前記液滴の重量を計測する重量計測手段を備え、該重量計測手段により計測された液滴の重量と前記光電変換手段の信号強度とに基づいて前記関係式が作成または更新されることを特徴とする請求項1または2に記載の液滴計測装置。
  4. 液滴の飛翔経路にレーザ光を発生するレーザ光発生工程と、前記レーザ光の強度を電気信号に変換する光電変換工程と、該電気信号を処理する信号処理工程とを備え、
    該信号処理工程は、前記液滴が前記レーザ光を通過するときの前記電気信号の強度と該液滴の重量との関係式に基づき、前記信号強度に対応する液滴の重量を計算することを特徴とする液滴計測方法。
  5. 前記液滴は、前記レーザ光を集光した集光位置を飛翔することを特徴とする請求項4に記載の液滴計測方法。
  6. 予め液滴の重量と、該液滴がレーザ光に吐出された際の前記電気信号の強度とを測定し、前記関係式を作成または更新しておくことを特徴とする請求項4または5に記載の液滴計測方法。
  7. 液滴を吐出する液滴吐出手段と、
    請求項1から3のいずれかに記載の液滴計測装置とを備えることを特徴とする液滴塗布装置。
  8. 基板上に液滴を吐出してデバイスを製造する装置であって、
    前記基板上に前記液滴を吐出する装置として、請求項7記載の液滴塗布装置が用いられることを特徴とするデバイス製造装置。
  9. 請求項8記載のデバイス製造装置で製造されたデバイスを有することを特徴とする電子機器。
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