JP2006045603A - 自然冷媒用熱交換器のアルミニウム合金押出しチューブ材 - Google Patents

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Abstract

【課題】 二酸化炭素等の自然冷媒を用いた熱交換器用のアルミニウム合金押出しチューブ材として、耐食性が優れ、かつ耐圧強度、加熱履歴後の強度が高いものを提供する。
【解決手段】 Si0.1〜0.5%、Fe0.3〜0.8%、Mn0.5〜1.5%、Cu0.05%を越え0.25%以下、Ti0.05〜0.25%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるAl合金押出しチューブ材。
【選択図】 該当図なし

Description

この発明は、冷媒として二酸化炭素(CO2)で代表される自然冷媒を用いた冷凍サイクルを組込んだ熱交換器、例えばカーエアコンにおける高温高圧となったガス冷媒を冷却するためのガスクーラー(コンデンサ)等の熱交換器に適用される構造部材用のアルミニウム合金押出しチューブ材に関するものである。
近年に至り、冷凍装置における脱フロン対策として、冷媒として自然冷媒、代表的には二酸化炭素を用いた冷凍装置の開発が進められている。このような二酸化炭素を冷媒とする冷凍装置を用いたエアコンにおいては、従来の一般的な冷媒であるフロンを用いた場合とは異なる新たな要請に応える必要がある。
すなわち、二酸化炭素を冷媒とするエアコン装置では、フロンを用いた場合よりも作動圧力が高く、圧縮した時の冷媒温度も高くなる。例えばコンプレッサの下流側において圧縮された二酸化炭素冷媒を冷却するためのガスクーラーでは、入口の冷媒温度が130〜200℃もの高温となることがある。したがって二酸化炭素を冷媒とする場合は、フロンを冷媒とする場合よりも高温高圧での耐久性が優れていることが強く望まれる。
ところで従来一般の熱交換器において、冷媒を流通させるための冷媒流通穴を有するチューブ材、特にアルミニウム合金押出しチューブ材としては、安価でかつ押出し加工性に優れたJIS 1050合金で代表される純アルミニウム系合金を用いることが多い。しかるにこのような純アルミニウム系合金は、150℃以上の高温状態での強度低下が著しいため、二酸化炭素を冷媒として用いる場合には、その強度低下を補うべく、フロンを用いた場合よりもチューブの肉厚を著しく大きくして、その高温耐圧強度を高めることが行なわれている。
しかしながら上述のように熱交換器の押出しチューブ材を著しく肉厚化すれば、当然のことながら熱交換器の重量の増大を招き、特に軽量性が要求される自動車用のエアコンとしては不適切なものとなってしまう。
このような問題を解決するための方法としては、押出しチューブ材に用いるアルミニウム合金に、材料強度の向上に寄与する元素、すなわち強化元素を添加して、チューブ材のアルミニウム合金自体の強度、特に高温強度を高めて、薄肉でも高温耐圧強度の高い押出しチューブ材を得る試みがなされている。ここで、アルミニウム合金における強化元素としては種々のものがあるが、簡単に強化するための元素としては、固溶強化による強度向上に寄与するCuがあり、そこで押出しチューブ材のアルミニウム合金として従来よりもCuを多量に添加するものを用いる試みがなされている。
前述のように二酸化炭素を冷媒として用いた熱交換器のアルミニウム合金押出しチューブ材の薄肉・軽量化を図るべく、チューブ材のアルミニウム合金の合金元素としてのCuを増量させれば、強度を容易に向上させてチューブ材としての高温耐圧強度を容易に高めることが可能である。
しかしながら単純にCuを増量した場合には、次のような問題が生じることが判明した。すなわち前述のような130〜200℃もの高温の冷媒温度に曝されれば、Cuを多量に添加したアルミニウム合金では、粒界にCu−Al系金属間化合物が析出して、その粒界付近の固溶Cu量が減少して、Cu欠乏層が生じてしまう。このような材料が腐食環境に置かれれば、結晶粒界内のCu濃度の高い部分(Cuリッチ部)と粒界のCu欠乏層との間で電位差が生じて、粒界腐食が発生してしまいやすくなる。そのためCuを多量に添加したアルミニウム合金では、良好な耐食性を保つことが困難であり、また良好な押出し性を得ることも困難である。
一方、上述のようなCuの多量添加による粒界の腐食の問題を回避しつつ、強度向上を図るための方策としては、Cuを添加せずにSiを添加することも考えられる。しかしながらこのようにSiを添加した場合には、強度は向上するものの、晶出したSiにより押出しダイスの寿命を極端に低下させてしまうという新たな問題が発生する。またこのようにSiを添加したアルミニウム合金では、前述のような130〜200℃の高温の冷媒温度に曝された場合、曝される前の室温強度と比較して著しい強度低下を招き、また130℃を越える高温域での高温強度も極端に低下してしまう問題もある。
この発明は以上の事情を背景としてなされたもので、二酸化炭素で代表される自然冷媒を用いた熱交換器において、その自然冷媒が流通するアルミニウム合金押出しチューブ材として、腐食環境下でも充分な耐食性を有すると同時に、強度の向上を図って充分な高温耐圧強度を有するとともに、前述のような130〜200℃の高温の熱履歴を受けた後でも充分な強度を維持し得るようなアルミニウム合金押出しチューブ材を提供することを目的とするものである。
前述のような課題を解決するべく本発明者等がアルミニウム合金押出しチューブ材の耐食性や強度、熱履歴後の強度と、合金成分組成との関係について詳細に実験・検討を重ねた結果、合金元素としてのSi、Fe、Mn、Cu、Tiの添加量を適切に調整し、特にCuとTiを適量だけ同時添加することによって、充分な耐食性を確保しつつ、高い高温耐圧強度、熱履歴後の強度が得られることを見出し、この発明をなすに至ったのである。
具体的には、請求項1の発明の自然冷媒用熱交換器のアルミニウム合金押出しチューブ材は、Si0.1〜0.5%、Fe0.3〜0.8%、Mn0.5〜1.5%、Cu0.05%を越え0.25%以下、Ti0.05〜0.25%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニウム合金からなることを特徴とするものである。
また請求項2の発明の自然冷媒用熱交換器のアルミニウム合金押出しチューブ材は、請求項1に記載のアルミニウム合金からなるチューブ材の外面に、犠牲材が設けられていることを特徴とするものである。
さらに請求項3の発明の自然冷媒用熱交換器のアルミニウム合金押出しチューブ材は、請求項1もしくは請求項2に記載の自然冷媒用熱交換器のアルミニウム合金押出しチューブ材において、前記チューブ材に複数の冷媒流通穴が形成されて、多穴押出しチューブ材とされていることを特徴とするものである。
この発明の自然冷媒用熱交換器のアルミニウム合金チューブ材によれば、腐食環境下でも極めて良好な耐食性を示すことができ、しかも高い高温耐圧強度を示すとともに、熱履歴後も高い室温強度を示すことができ、したがって二酸化炭素で代表される自然冷媒を用いた熱交換器における冷媒流通用のチューブとして、薄肉化しても充分な耐久性を示すことができ、カーエアコン等の苛酷な腐食環境下に曝される熱交換器のチューブ材として最適である。
次にこの発明の熱交換器用アルミニウム合金押し出しチューブ材の成分限定理由について説明する。
Mn:0.5〜1.5%
MnはAl−Mn系金属間化合物として晶出または析出して、ろう付け後の強度の向上に寄与し、またSiと共存することによりAl−Mn−Si系の金属間化合物を生成して強度を向上させる元素である。さらにMnの添加はアルミニウム合金の電位を貴にするため、チューブ材の外面にフィンを設ける場合においてチューブ材にMnを添加しておけば、フィンとの電位差を大きくして、外部耐食性を向上させることができる。これらの効果を確実に得るためには0.5%以上のMnを添加する必要があり、望ましくは0.7%以上のMnを添加する。なおMnを多量に添加すれば、押出し性の低下が懸念されるが、後述するようにこの発明のチューブ材の場合、Siの添加によって押出し性の低下を回避しているため、0.5%以上あるいは0.7%以上のMn量でも特に支障はない。但し、Mn量が1.5%を越えれば、Siを含有させても押出し性の低下を避け得なくなるおそれがあり、したがってMn量の上限は1.5%とした。
Si:0.1〜0.5%
前述のようにMnの添加により生成されるAl−Mn系金属間化合物(Mnのみを含有するAlの化合物、例えばAl6Mn)の晶出物もしくは析出物は、ろう付け後の強度向上に寄与するが、これらのAl−Mn系金属間化合物の晶出物や析出物は、押出し面圧を高くして押出し性を著しく低下させる。しかしながらSiを添加しておけば、Al−Mn−Si系金属間化合物が生成される結果、必要以上にAl−Mn系金属間化合物が生成されることを防止して、押出し面圧を低下させることができ、したがってMn添加と併せてSiを添加することにより、押出し性の低下を防止することができる。またSiは、マトリックスに固溶したり、Al−Mn−Si系金属間化合物を生成することによって、ろう付け後の強度を向上させる効果も奏し得る。これらのSi添加の効果を得るためには0.1%以上のSiの含有が必要である。そしてまた、特に押出し性を向上させる観点からは、Si量は0.2%以上とすることが望ましく、より望ましくは0.3%以上のSi量とする。一方、過剰にSiが含有されれば、単独で晶出したSiにより押出しダイスの寿命を著しく低下させるおそれがあるとともに、合金の融点を低下させてろう付け時に材料の溶融を招き、また晶出物の形成によってかえって押出し性を低下させてしまうことがあり、さらには、130〜200℃程度の高温の冷媒温度に曝された場合には、曝される前の室温強度と比較して著しい室温強度の低下が生じ、また130℃を越える高温域での高温強度が著しく低下してしまう。これらの過剰なSiの含有による悪影響を回避するためには、Si量の上限は0.5%とする必要がある。
Fe:0.3〜0.8%
Feは金属間化合物として晶出もしくは析出して、ろう付け後の強度を向上させる。またFeはAl−Mn−Fe系もしくはAl−Mn−Fe−Si系の金属間化合物を形成することにより押出し性を向上させる。これらのFe添加の効果を得るためには、0.3%以上のFe量とする必要がある。一方、過剰にFeが含有されれば、Feを含む金属間化合物が表面に晶出して腐食速度を速め、また押出し性を低下させてしまう。このような過剰なFeの含有による悪影響を回避するためいは、Fe量は0.8%以下とする必要がある。
Cu:0.05%を越え0.25%以下
Ti:0.05〜0.25%
CuおよびTiは、それぞれ単独でも種々の効果を発揮するが、この発明の場合は特に両者を同時に添加することによって、優れた耐食性を維持しつつ、強度向上を図ることができる。そこでこれらのCu、Tiのそれぞれの単独の添加効果および同時複合添加の効果について説明する。
Cu単独の効果としては、Cuがマトリックスに固溶してろう付け後の強度を向上させ、さらに材料の電位を貴にして、チューブ材外面にフィン材を設ける場合におけるフィンとチューブ材との電位差を大きくし、これにより外部耐食性を著しく向上させるに寄与する。その効果を得るためには、Cuの添加量が0.05%を越える必要があり、特に充分な効果を得るためには、Cu添加量を0.1%以上とすることが望ましい。
一方、Ti単独の効果としては、耐食性、特に耐孔食性を向上させるに寄与する。すなわちアルミニウム合金中に添加されたTiは、その濃度の高い領域と濃度の低い領域とに分かれ、それらが板厚方向に交互に積層状に分布する。そしてTi濃度の低い領域がTi濃度の高い領域よりも優先的に腐食することにより腐食形態が層状となり、その結果板厚方向への腐食の進行が妨げられ、耐孔食性が向上する。このような耐孔食性向上の効果を充分に得るためには、0.05%以上のTiが必要である。
ところでCuを前述のように0.05%以上添加すれば、ろう付け加熱後に130〜200℃の高温に曝された場合に粒界腐食感受性が高くなって、著しく耐食性が低下してしまう。しかるにこの発明では、0.05%以上のCuの添加と併せてTiの添加を行なうことによって、耐孔食性の向上のみならず、Cu添加に起因する粒界腐食感受性を抑えることが可能となる。このようなCu添加時におけるTiの同時添加により粒界腐食感受性の抑制効果が得られる理由は、次のように考えられる。
すなわち既に述べたように、Tiを添加した場合には、Ti濃度の高い層(Tiリッチ層)とTi濃度の低い層とが板厚方向に交互に層状に積層された状態となるが、上記のTiリッチ層は、結晶粒界を横切ることになり、そのTiリッチ層が横切った範囲内の結晶粒界はTiリッチにより電位的に貴となる。一方、既に述べたようにCuを単独で添加した場合、結晶粒界がCu欠乏相となって電位的に卑となり、粒界腐食感受性が高まってしまうが、上述のようにTiリッチ層によりその結晶粒界が電位的に貴に変化することにより、粒界腐食の進行が進みにくくなり、粒界腐食感受性が抑制されるものと考えられる。
上述のような粒界腐食感受性を抑える効果を得るためには、Tiは0.05%以上添加する必要があり、特に0.1%以上含有させることが望ましい。一方Ti添加量が0.25%を越えれば、鋳造時に粗大な化合物が生成されて材料の押出し性を阻害し、健全な押出し材が得難くなる。またCu量が0.25%を越えれば、Tiによる粒界腐食感受性抑制効果を得ることができなくなるだけでなく、冷媒温度(130〜200℃)に長期間曝された後の室温強度が、曝される前の室温強度と比較して顕著に低下してしまう。
以上から、Ti量は0.05〜0.25%の範囲内、Cu量は0.05%を越え、0.25%以下の範囲内とした。
なお以上のような各成分の残部はAlおよび不可避的不純物とすれば良い。
この発明のアルミニウム合金押出しチューブ材を製造するにあたっては、先ず前述の成分を目標として常法によりアルミニウム合金溶湯を溶製して、常法にしたがって例えばピレットに鋳造すれば良く、特にその方法が限定されるものではない。このようにして得られた鋳塊(ピレット)を用いて押出しチューブ材を製造するにあたっては、鋳塊に均質化処理を施しておくことが望ましい。その後は、少なくとも押出し前に均熱化処理を施した後、押出しを行なえば良い。なお上記均質化処理および均熱化処理における加熱方法や加熱条件、加熱炉の構造等についても特に限定されるものではない。さらに上記押出しにおいては、押出し形状は特に限定されるものではないが、熱交換器の形状等に応じて適切な押出し形状が選定される。この押出しに際しては、材料の押出し性が良好であることから、ホロー形状のものを多孔ダイを用いて良好に押出しすることも可能である。また押出しに際しての押出し方法(方式)も特に限定されるものではなく、押出し形状等に合わせて適宜通常の方法を適用することができる。
以上のようにして得られた上記押出し材は、熱交換器用の材料として使用されるものであり、通常は冷媒(熱媒体)を流通させるチューブ材として用いられる。このような押出しチューブ材は、熱交換器用部品として使用するに際して、他部材(例えばフィン材やヘッダー)と組み付けて、ろう付けにより接合するのが一般的である。ここで、ろう付けに際にしての雰囲気や加熱温度、時間等の条件については特に限定されるものではなく、またろう付け方法も特に限定されない。このようにして得られる熱交換器は、チューブ材が良好な押出し性を有しているところから、効率的に製造することができるとともに、高耐圧特性を有しており、しかも良好な耐食性を有しているから、例えば厳しい腐食環境下で使用される自動車等においても、良好な耐久性を発揮することができる。
なおこの発明の押出しチューブ材は、これをそのまま熱交換器に使用しても良いが、場合によっては耐食性をより一層向上させるため、押出しチューブ材の外表面に、チューブ材よりも電位が卑な材料からなる犠牲材を配置して犠牲材付きチューブとし、熱交換器に用いても良い。この場合の犠牲材としては、例えば金属Zn、Al−Zn合金等を用いることができる。またその犠牲材を押出しチューブ材表面に形成するための具体的な方法、あるいは犠牲層の厚みなどは特に限定されるものではなく、従来の通常の熱交換器用の犠牲材付きアルミニウム合金チューブ材の場合と同様にすれば良い。
さらに、この発明の熱交換器用押出しチューブ材は、冷媒流通穴として1つの穴を有するものに限られるものではなく、複数の冷媒流通穴を有する多穴チューブ形状としても良い。既に述べたようにこの発明のチューブ材の場合は押出し性が優れているため、多穴チューブ材を容易に得ることができる。
実施例1:
表1のNo.1〜No.19に示す成分組成のAl合金を常法により溶解・鋳造して、直径200mmのビレットを製造し、このビレットに610℃、4時間保持の条件で均質化処理を施し、長さ1000mmに切断して押出し用ビレットとした。これを再度500℃に加熱して、マンドレルダイスにて押出して20穴の多穴チューブ材を作製した。
作製した多穴チューブ材の表面を、サンドブラスト法によりRa10μm程度に粗面化した後、犠牲材として金属Znを溶射した。溶射方法はアーク溶射であり、溶射条件は、熱源温度4000℃、粒子速度75m/sとした。また金属Znの被覆量は約9g/mに制御した。このようにして金属Znを被覆した押出し多穴チューブを100mmの長さに切断した。
一方、Znを2wt%添加したJIS 3003合金にJIS 4343合金を10%クラッドしたクラッドフィン(0.1mm)をコルゲート加工し、前記多穴チューブに組付け、図1に示す形状とした。なお図1において、符号1、2は多穴チューブ、3はコルゲート加工したフィンである。このようにして組付けた試験片について、窒素雰囲気中で、600℃×3分のろう付け加熱を行なった。その後さらに180℃×48hrの加熱履歴を与え、腐食試験片を作製した。
これらの腐食試験片について、JIS H8601に準じてCASS試験を1500時間行なった。CASS試験後、試験片からフィンを切り離し、チューブの腐食生成物を除去後、光学顕微鏡を用いてチューブ材の孔食深さを測定した。また孔食部位については、チューブの断面を光学顕微鏡により観察した。表1中に、CASS試験結果および粒界腐食の有無を示す。また前述のようにして得られたチューブ材の強度を調べるとともに、押出し性を評価したので、その結果も併せて表1中に示す。
Figure 2006045603
表1に測定結果を示す。本発明例のNo.1〜No.11の多穴チューブ材は、CASS試験1500時間後でも良好な耐食性を示し、粒界腐食が抑制されていることが確認された。これに対し比較例のNo.12、No.13では、粒界腐食が発生してチューブが貫通してしまった。さらに比較例のNo.14、No.15では、Fe、Tiの含有量が規定範囲を越えるため、孔食特性が低下した。そしてまた比較例のNo.16〜No.18では、Si、Fe、Cu、Mn、Tiの含有量が規定範囲を越えているため、強度不足が生じているかまたは押出しをすることができなかった。さらに従来例のNo.19では、粒界腐食が発生して貫通してしまった。
実施例2:
表2のNo.21〜No.36に示す成分組成のAl合金を常法により溶解・鋳造して、直径200mmのビレットを製造し、このビレットに610℃、4時間保持の条件で均質化処理を施し、長さ1000mmに切断して押出し用ビレットとした。これを再度500℃に加熱して、マンドレルダイスにて押出して20穴の多穴チューブ材を作製した。
得られたチューブ材に対し、窒素雰囲気中で600℃×3分のろう付け加熱を行なった。さらに180℃において、24hr、150hr、500hr、700hr、1000hr、2000hrの種々の時間の加熱履歴を与え、強度特性評価試験片を作製し、各加熱履歴後に室温まで放冷した状態での室温強度を測定した。その結果を表3に示す。
Figure 2006045603
Figure 2006045603
表3に示すように、本発明例のNo.21〜No.31の多穴チューブ材では、180℃における24hrから2000hrの加熱履歴後でも室温強度の低下が認められなかったが、比較例のNo.32、No.33では、Si、Cuの含有量が規定範囲を越えるため、加熱履歴が長時間側で室温強度の低下が認められた。さらに比較例のNo.34、No.35では、Cu、Mnの含有量が規定範囲を越えているため、前記と同様に加熱履歴後の室温強度の低下が認められた。さらに従来例のNo.36では、加熱履歴の前後を問わず、著しく強度が不足していた。
実施例3:
表4のNo.41〜No.56に示す成分組成のAl合金を常法により溶解・鋳造して、直径200mmのビレットを製造し、このビレットに610℃、4時間保持の条件で均質化処理を施し、長さ1000mmに切断して押出し用ビレットとした。これを再度500℃に加熱して、マンドレルダイスにて押出して20穴の多穴チューブ材を作製した。
得られたチューブ材に、窒素雰囲気中で600℃×3分のろう付け加熱を行ない、高温強度評価試験片を作製した。そして各高温強度特性評価試験片を、80℃、100℃、130℃、150℃、180℃の各温度に加熱して、それぞれ15分間保持した後、その温度で強度を測定した。その結果を表5に示す。
Figure 2006045603
Figure 2006045603
表5に示すように、本発明例のNo.41〜No.51の多穴チューブ材では、保持温度130℃、150℃、180℃の各温度での高温強度の低下が少ないが、比較例のNo.52、No.53では、Si含有量が規定範囲を越えるため、保持温度130℃、150℃、180℃の各温度での高温強度の低下が大きくなった。また比較例のNo.54、No.55では、Cu、Mnの含有量が規定範囲を越えいるため、前記と同様に保持温度130℃、150℃、180℃の各温度での高温強度の低下が大きくなった。さらに従来例のNo.56では、もともとの室温強度が不足するに加え、各温度での高温強度の低下も大きかった。
この発明の実施例1におけるチューブ材とフィン材との組付け試験片を示す略解的な側面図である。

Claims (3)

  1. Si0.1〜0.5%(mass%、以下同じ)、Fe0.3〜0.8%、Mn0.5〜1.5%、Cu0.05%を越え0.25%以下、Ti0.05〜0.25%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニウム合金からなることを特徴とする、自然冷媒用熱交換器のアルミニウム合金押出しチューブ材。
  2. 請求項1に記載のアルミニウム合金からなるチューブ材の外面に、犠牲材が設けられていることを特徴とする、自然冷媒用熱交換器のアルミニウム合金押出しチューブ材。
  3. 請求項1もしくは請求項2に記載の自然冷媒用熱交換器のアルミニウム合金押出しチューブ材において、
    前記チューブ材に複数の冷媒流通穴が形成されて、多穴押出しチューブ材とされていることを特徴とする、自然冷媒用熱交換器のアルミニウム合金押出しチューブ材。
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