JP2006045400A - 共役ジエン系共重合ゴムの製造方法 - Google Patents

共役ジエン系共重合ゴムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】加工性が良好であるとともに、転がり抵抗の小さいゴム組成物を得ることができる共役ジエン系共重合ゴムの製造方法を提供する。
【解決手段】第一の共役ジエン化合物、及び第一の芳香族ビニル化合物を含有する反応系で共重合反応させた後、反応系に、第一の多官能単量体、必要な場合に第二の共役ジエン化合物、及び必要な場合に第二の芳香族ビニル化合物を添加して更に共重合反応させ、次いで、反応系に、変性剤を添加して反応させることを含む共役ジエン系共重合ゴムの製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は共役ジエン系共重合ゴムの製造方法、及びその製造方法により製造される共役ジエン系共重合ゴムに関し、更に詳しくは、加工性が良好であるとともに、転がり抵抗の小さいゴム組成物を得ることができる共役ジエン系共重合ゴムの製造方法、及びその製造方法により製造される共役ジエン系共重合ゴムに関する。
近年の自動車に対する低燃費化要求に伴い、転がり抵抗が小さく、耐摩耗性、破壊特性に優れ、更にウエットスキッド抵抗に代表される操縦安定性をも兼ね備えたタイヤ用ゴム材料(ゴム組成物)を構成するのに好適な共役ジエン系ゴムの開発が望まれている。
タイヤ用ゴム材料として、補強剤としてのシリカ又はシリカとカーボンブラックとの混合物を配合したゴム組成物を使用する方法が提案されている。シリカ又はシリカとカーボンブラックとの混合物を配合したタイヤトレッドは転がり抵抗が小さく、ウエットスキッド抵抗に代表される操縦安定性能が良好である。但し、一般的に、シリカを配合したゴム組成物は、カーボンブラックを配合したゴム組成物と比べて加工性に劣るという問題がある。
また、関連する従来技術として、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とを使用し、これらを共重合させた後、反応系に共役ジエン化合物を更に添加して共重合させ、次いで重合活性末端に適当なカップリング剤を反応させて共役ジエン系共重合ゴムを得る、共役ジエン系共重合ゴムの製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この製造方法によれば、転がり抵抗の小さいゴム組成物を得るのに好適な共役ジエン系共重合ゴムを容易に製造することができる。
しかしながら、特許文献1において開示されている共役ジエン系共重合ゴムの製造方法によっては、得られるゴムの加工性が必ずしも良好であるとはいえない場合がある。このため、得られるゴムの加工性の改良を図る必要性があった。また、得られるゴムを加硫した場合、加硫後におけるゴム(加硫ゴム)の硬度が低下し易くなる傾向があるため、これを改良する製造方法の開発が求められている。
特開2004−51869号公報
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、加工性が良好であるとともに加硫後においても十分な硬度を示し、転がり抵抗の小さいゴム組成物を得ることができる共役ジエン系共重合ゴムの製造方法、及び加工性が良好であるとともに、転がり抵抗の小さいゴム組成物を得ることができる共役ジエン系共重合ゴムを提供することにある。
本発明者らは上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、先ず、共役ジエン化合物、及び芳香族ビニル化合物等を共重合反応させた後、この反応系に所定の多官能単量体等を添加して更に共重合反応させ、次いで変性剤を添加して反応させることによって、上記課題を達成することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、以下に示す共役ジエン系共重合ゴムの製造方法、及びその製造方法により製造される共役ジエン系共重合ゴムが提供される。
[1]第一の共役ジエン化合物、及び第一の芳香族ビニル化合物を含有する反応系で共重合反応させた後、前記反応系に、第一の多官能単量体、必要な場合に第二の共役ジエン化合物、及び必要な場合に第二の芳香族ビニル化合物を添加して更に共重合反応させ、次いで、前記反応系に、変性剤を添加して反応させることを含む共役ジエン系共重合ゴムの製造方法。
[2]第二の多官能単量体を更に含有する前記反応系で共重合反応させる前記[1]に記載の共役ジエン共重合ゴムの製造方法。
[3]前記第一の多官能単量体及び/又は前記第二の多官能単量体が、ジビニルベンゼンである前記[2]に記載の共役ジエン系共重合ゴムの製造方法。
[4]前記第一の多官能単量体がジビニルベンゼンである場合に、前記反応系に添加する前記ジビニルベンゼンの添加量が、前記第一の共役ジエン化合物、前記第二の共役ジエン化合物、前記第一の芳香族ビニル化合物、及び前記第二の芳香族ビニル化合物の合計の100質量部に対して、0.001〜1質量部である前記[3]に記載の共役ジエン系共重合ゴムの製造方法。
[5]前記第二の多官能単量体がジビニルベンゼンである場合に、前記反応系に含有される前記ジビニルベンゼンの含有量が、前記第一の共役ジエン化合物と前記第一の芳香族ビニル化合物の合計の100質量部に対して、0〜1質量部である前記[3]又は[4]に記載の共役ジエン系共重合ゴムの製造方法。
[6]前記変性剤が、シリカと反応し得る化合物、又はスズ化合物と前記シリカと反応し得る化合物との混合物である前記[1]〜[5]のいずれかに記載の共役ジエン系共重合ゴムの製造方法。
[7]前記シリカと反応し得る化合物が、ジブチルジクロロケイ素、メチルトリクロロケイ素、メチルジクロロケイ素、テトラクロロケイ素、トリエトキシメチルシラン、トリフェノキシメチルシラン、トリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、4,5−エポキシヘプチルメチルジメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラサルファイド、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、及びN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシランからなる群より選択される少なくとも一種である前記[6]に記載の共役ジエン系共重合ゴムの製造方法。
[8]前記第一の共役ジエン化合物及び/又は前記第二の共役ジエン化合物が、1,3−ブタジエンである前記[1]〜[7]のいずれかに記載の共役ジエン系共重合ゴムの製造方法。
[9]前記第一の芳香族ビニル化合物及び/又は前記第二の芳香族ビニル化合物が、スチレンである前記[1]〜[8]のいずれかに記載の共役ジエン系共重合ゴムの製造方法。
[10]前記[1]〜[9]のいずれかに記載の共役ジエン系共重合ゴムの製造方法により製造される共役ジエン系共重合ゴム。
本発明の共役ジエン系共重合ゴムの製造方法によれば、加工性が良好であるとともに加硫後においても十分な硬度を示し、転がり抵抗の小さいゴム組成物を得ることができる共役ジエン系共重合ゴムを製造することができる。
また、本発明の共役ジエン系共重合ゴムは、加工性が良好であるとともに加硫後においても十分な硬度を示し、転がり抵抗の小さいゴム組成物を得ることができるといった効果を奏するものである。
以下、本発明の実施の最良の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜、設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。なお、本明細書において、単に「共役ジエン化合物」というときは、第一の共役ジエン化合物と第二の共役ジエン化合物のいずれをも意味する。また、単に「芳香族ビニル化合物」というときは、第一の芳香族ビニル化合物及び第二の芳香族ビニル化合物のいずれをも意味する。更に、単に「多官能単量体」というときは、第一の多官能単量体及び第二の多官能単量体のいずれをも意味する。
本発明の一実施形態は、第一の(A)共役ジエン化合物、及び第一の(B)芳香族ビニル化合物を含有する反応系で共重合反応させた後、この反応系に、第一の(C)多官能単量体、必要な場合に第二の(A)共役ジエン化合物、及び必要な場合に第二の(B)芳香族ビニル化合物を添加して更に共重合反応させ、次いで、この反応系に(D)変性剤を添加して反応させることを含む共役ジエン系共重合ゴムの製造方法である。以下、その詳細について説明する。
本実施形態の共役ジエン系共重合ゴムの製造方法では、先ず、第一の(A)共役ジエン化合物、及び第一の(B)芳香族ビニル化合物を含有する反応系で共重合反応を行う。なお、この反応系に第二の(C)多官能単量体を更に含有させた状態で共重合反応を行うことも好ましい。共重合反応は、所定の重合開始剤の存在下、適当な溶媒中で行われる。共重合反応の温度は、0〜120℃の範囲で行い、一定温度条件下でも上昇温度条件下でもよい。なお、重合方式は、バッチ重合方式、連続重合方式のいずれの方式でもよい。
定法に従って重合転化率をモニタリングし、重合転化率が90%以上にまで達した段階で、反応系に第一の(C)多官能単量体を添加して、更に上述の条件と同様の条件で共重合反応を続行する。なお、必要な場合には、この反応系に第二の(A)共役ジエン化合物や第二の(B)芳香族ビニル化合物を更に添加してもよい。次いで、反応系に(D)変性剤を添加して反応させる。この反応は、重合活性末端に所定の官能基を反応(カップリング)させるものである。
次に、本実施形態の共役ジエン系共重合ゴムの製造方法で用られる各種の成分等について説明する。
(A)共役ジエン化合物
本実施形態の共役ジエン系共重合ゴムの製造方法で用いられる第一の共役ジエン化合物及び第二の共役ジエン化合物としては、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、及びこれらの混合物等を挙げることができる。これらのうち、1,3−ブタジエンを用いることが好ましい。なお、第一の共役ジエン化合物と第二の共役ジエン化合物は、相互に同一であっても異なるものであってもよい。
(B)芳香族ビニル化合物
本実施形態の共役ジエン系共重合ゴムの製造方法で用いられる第一の芳香族ビニル化合物及び第二の芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、tert−ブトキシスチレン、ビニルベンジルジメチルアミン、(4−ビニルベンジル)ジメチルアミノエチルエーテル、N,N−ジメチルアミノエチルスチレン、ビニルピリジン、及びこれらの混合物等を挙げることができる。これらのうち、スチレンを用いることが好ましい。なお、第一の芳香族ビニル化合物と第二の芳香族ビニル化合物は、相互に同一であっても異なるものであってもよい。
(C)多官能単量体
本実施形態の共役ジエン系共重合ゴムの製造方法で用いられる第一の多官能単量体及び第二の多官能単量体としては、例えばジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジビニルナフタレン、及びこれらの混合物等を挙げることができる。これらのうち、ジビニルベンゼンを用いることが好ましい。なお、第一の多官能単量体と第二の多官能単量体は、相互に同一であっても異なるものであってもよい。第一の多官能単量体としてジビニルベンゼンを用いる場合に、反応系に後から添加するジビニルベンゼンの添加量は、第一の共役ジエン化合物、前記第二の共役ジエン化合物、第一の芳香族ビニル化合物、及び前記第二の芳香族ビニル化合物の合計100質量部に対して、0.001〜1質量部であることが好ましく、0.005〜0.1質量部であることが更に好ましく、0.005〜0.05質量部であることが特に好ましい。反応系に後から添加するジビニルベンゼンの添加量が0.001質量部未満であると、共重合体のベール形状の経時変化(コールドフロー)が起こり易くなる傾向にある。一方、1質量部超であると、共重合体のムーニー粘度の経時的上昇が顕著となる傾向にある。
また、第二の多官能単量体としてジビニルベンゼンを用いる場合に、反応系に最初から含有させるジビニルベンゼンの含有量は、第一の共役ジエン化合物と第一の芳香族ビニル化合物の合計の100質量部に対して、0〜1質量部であることが好ましく、0〜0.5質量部であることが更に好ましく、0〜0.1質量部であることが特に好ましい。反応系に最初から含有させるジビニルベンゼンの含有量が1質量部超であると、共重合体のムーニー粘度の経時的上昇が顕著となる傾向にある。
(D)変性剤
本実施形態の共役ジエン系共重合ゴムの製造方法で用いられる変性剤としては、シリカと反応し得る化合物、又はスズ化合物と前記シリカと反応し得る化合物との混合物を用いることが好ましい。シリカと反応し得る化合物は、ジブチルジクロロケイ素、メチルトリクロロケイ素、メチルジクロロケイ素、テトラクロロケイ素、トリエトキシメチルシラン、トリフェノキシメチルシラン、トリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、4,5−エポキシヘプチルメチルジメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラサルファイド、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、及びN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシランからなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。これらのうち、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン(以下、「Si−N変性剤」とも記す)を用いることが特に好ましい。
シリカと反応し得る化合物としてSi−N変性剤、重合開始剤として後述するアルキルリチウムをそれぞれ使用する場合、Si−N変性剤と、アルキルリチウムを構成するリチウム原子(Li)のモル比は、(Si−N変性剤)/(Li)=0.2〜1.0であることが好ましく、(Si−N変性剤)/(Li)=0.3〜0.8であることが更に好ましい。(Si−N変性剤)/(Li)の値が0.2未満であると、転がり抵抗が悪化する傾向にある。一方、(Si−N変性剤)/(Li)の値が1.0超であると、未反応の変性剤が残留しコスト的に不利となる傾向にある。
また、スズ化合物としては、例えばテトラクロロスズ、テトラブロムスズ、トリクロロブチルスズ、トリクロロメチルスズ、トリクロロオクチルスズ、ジブロムジメチルスズ、ジクロロジメチルスズ、ジクロロジブチルスズ、ジクロロジオクチルスズ、1,2−ビス(トリクロロスタニル)エタン、1,2−ビス(メチルジクロロスタニルエタン)、1,4−ビス(トリクロロスタニル)ブタン、1,4−ビス(メチルジクロロスタニル)ブタン、エチルスズトリステアレート、ブチルスズトリスオクタノエート、ブチルスズトリスステアレート、ブチルスズトリスラウレート、ジブチルスズビスオクタノエート、ジブチルスズビスステアレート、ジブチルスズビスラウレート等を好適例として挙げることができる。これらのうち、テトラクロロスズ(SnCl4)を用いることが特に好ましい。
スズ化合物としてテトラクロロスズ(SnCl4)、重合開始剤として後述するアルキルリチウムをそれぞれ使用する場合、テトラクロロスズ(SnCl4)と、アルキルリチウムを構成するリチウム原子(Li)のモル比は、(SnCl4)/(Li)=0〜0.2であることが好ましく、(SnCl4)/(Li)=0〜0.175であることが更に好ましい。一方、(SnCl4)/(Li)の値が0.2超であると、Si−N変性剤の結合量が低下して転がり抵抗が悪化する傾向にある。
(E)その他の成分等
共重合反応の重合開始剤としては、例えば有機アルカリ金属や有機アルカリ土類金属等を使用することができる。有機アルカリ金属、有機アルカリ土類金属等としては、例えばn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム等のアルキルリチウム、1,4−ジリチオブタン等のアルキレンジリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウム、リチウムナフタレン等の有機リチウム化合物、ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン、n−ブチルマグネシウム、n−ヘキシルマグネシウム、エトキシカルシウム、ステアリン酸カルシウム、t−ブトキシストロンチウム、エトキシバリウム、イソプロポキシバリウム、エチルメルカプトバリウムt−ブトキシバリウム、フェノキシバリウム、ジエチルアミノバリウム、ステアリン酸バリウム等を挙げることができる。これらの中で、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウムが更に好ましい。
また、上述した有機アルカリ金属を所定の第2級アミン化合物又は第3級アミン化合物と反応させ、得られた反応生成物を重合開始剤として共重合反応に使用することもできる。第2級アミン化合物又は第3級アミン化合物と反応させる有機アルカリ金属としては、有機リチウム化合物が好ましく、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウムが更に好ましい。
有機アルカリ金属と反応させる第2級アミン化合物としては、例えばジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−(2−エチルヘキシル)アミン、ジシクロヘキシルアミン、N−メチルベンジルアミン、ジアリルアミン、モルホリン、ピペラジン、2,6−ジメチルモルホリン、2,6−ジメチルピペラジン、1−エチルピペラジン、2−メチルピペラジン、1−ベンジルピペラジン、ピペリジン、3,3−ジメチルピペリジン、2,6−ジメチルピペリジン、1−メチル−4−(メチルアミノ)ピペリジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ピロリジン、2,5−ジメチルピロリジン、アゼチジン、ヘキサメチレンイミン、ヘプタメチレンイミン、5−ベンジルオキシインドール、3−アザスピロ[5.5]ウンデカン、3−アザビシクロ[3.2.2]ノナン、カルバゾール等を挙げることができる。
また、有機アルカリ金属と反応させる第3級アミン化合物としては、例えばN,N−ジメチル−o−トルイジン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、ベンジルジメチルアミン、ベンジルジエチルアミン、ベンジルジプロピルアミン、ベンジルジブチルアミン、(o−メチルベンジル)ジメチルアミン、(m−メチルベンジル)ジメチルアミン、(p−メチルベンジル)ジメチルアミン、N,N−テトラメチレン−o−トルイジン、N,N−ヘプタメチレン−o−トルイジン、N,N−ヘキサメチレン−o−トルイジン、N,N−トリメチレンベンジルアミン、N,N−テトラメチレンベンジルアミン、N,N−ヘキサメチレンベンジルアミン、N,N−テトラメチレン(o−メチルベンジル)アミン、N,N−テトラメチレン(p−メチルベンジル)アミン、N,N−ヘキサメチレン(o−メチルベンジル)アミン、N,N−ヘキサメチレン(p−メチルベンジル)アミン等を挙げることができる。
本実施形態においては、エーテル化合物及び/又は第3級アミン化合物を反応系中に含有させることが、得られる共役ジエン系共重合ゴムの共役ジエン部分のミクロ構造(ビニル結合含量)を調整することができるために好ましい。エーテル化合物としては、例えばジエチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、2,2−(ビステトラヒドロフルフリル)プロパン、ビステトラヒドロフルフリルホルマール、テトラヒドロフルフリルアルコールのメチルエーテル、テトラヒドロフルフリルアルコールのエチルエーテル、テトラヒドロフルフリルアルコールのブチルエーテル、α−メトキシテトラヒドロフラン、ジメトキシベンゼン、ジメトキシエタン等を挙げることができる。また、第3級アミン化合物としては、例えばトリエチルアミン、ピリジン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ジピペリジノエタン、N,N−ジエチルエタノールアミンのメチルエーテル、N,N−ジエチルエタノールアミンのエチルエーテル、N,N−ジエチルエタノールアミンのブチルエーテル等を挙げることができる。
本実施形態において使用することができる溶媒として、炭化水素溶媒を挙げることができる。この炭化水素溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等を挙げることができる。これらのうち、シクロヘキサン、又はヘプタンが好ましい。
本実施形態においては、重合開始剤とともにカリウム化合物を反応系に添加することもできる。重合開始剤とともにカリウム化合物を反応系に添加すると、使用される重合開始剤の反応性を向上させることができ、得られる共役ジエン系共重合ゴム中に導入される芳香族ビニル化合物をランダムに配列させることができ、又は芳香族ビニル化合物の単連鎖を形成させることができる。カリウム化合物としては、例えばカリウムイソプロポキシド、カリウム−t−ブトキシド、カリウム−t−アミロキシド、カリウム−n−ヘプタオキシド、カリウムベンジルオキシド等のカリウムアルコキシド、カリウムフェノキシド、イソバレリアン酸、カプリル酸、ラウリル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノレイン酸、安息香酸、フタル酸、2−エチルヘキサン酸等のカリウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸、テトラデシルベンゼンスルホン酸、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸、オクタデシルベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸のカリウム塩、亜リン酸ジエチル、亜リン酸ジイソプロピル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸ジブチル、亜リン酸ジラウリル等の有機亜リン酸部分エステルのカリウム塩等を挙げることができる。
上記のカリウム化合物は、重合開始剤として用いるアルカリ金属又はアルカリ土類金属1グラム原子当量につき、必要に応じて0.5モルまで添加することが好ましい。0.5モル超であると、重合活性が低下して生産性が低下したり、また、変性剤によって重合活性末端を変性させる反応を行う際の変性効率が低下することがある。
上述してきたようにして得られる共役ジエン系共重合ゴムを含有する反応系(重合反応溶液)中から、通常の溶液重合法において用いられる方法によって目的とする共役ジエン系共重合ゴムを単離することができる。具体的には、先ず、溶液状態の反応系に安定剤等を添加した後、必要に応じて芳香族系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル等の伸展油や、重量平均分子量が15万以下の液状ポリマー(又はこの液状ポリマーの溶液)を添加する。次いで、直接乾燥法やスチームストリッピング法によって溶剤と分離して洗浄し、真空乾燥機、熱風乾燥機やロール等で乾燥することにより、共役ジエン系共重合ゴムを単離することができる。
次に、本発明の共役ジエン系共重合ゴムの一実施形態について説明する。本実施形態の共役ジエン系共重合ゴムは、上述してきた本発明の実施形態である共役ジエン系共重合ゴムの製造方法により製造されたものである。従って、加工性が良好であり、また、加硫後においても十分な硬度を示し、転がり抵抗の小さいゴム組成物を得ることができるといった効果を奏するものである。
本実施形態の共役ジエン系共重合ゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、20〜200の範囲であることが好ましく、35〜100の範囲であることが更に好ましい。ムーニー粘度(ML1+4,100℃)が20未満であると、破壊強度、耐摩耗性、及び低ヒステリシスロス性が低下する傾向にある。一方、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)が200超であると、加工性が低下する傾向にある。
なお、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)が100超である共役ジエン系共重合ゴムもそれ単独では加工性が十分ではない場合もあるが、芳香族系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル等の伸展油や、重量平均分子量が15万以下の液状ポリマーを添加することで、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)を100以下とし、十分な加工性を確保することができる。用いられる伸展油としては、ジエン系ゴムに通常用いられる伸展油や軟化剤であれば特に制限されないが、鉱物油系の伸展油が好ましい。一般的に、鉱物油の伸展油は、芳香族系オイル、脂環族系オイル、及び脂肪族系オイルの混合物であり、これらの混合割合によって芳香族系、脂環族系、脂肪族系と分類されているが、本実施形態においてはいずれのものも使用することができる。なかでも、粘度比重恒数(V.G.C.値)が0.900〜1.049の芳香族系鉱物油(アロマティックオイル)、又は0.800〜0.899の脂肪族系鉱物油(ナフテニックオイル)が、低ヒステリシス性/ウエットスキッド抵抗の点から好ましい。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。また、各種物性値の測定方法、及び評価方法を以下に示す。
[結合スチレン含量(ST(%))]:270MHz1H−NMRによって求めた。
[ブタジエン部分のビニル含量(Vinyl(%))]:270MHz1H−NMRによって求めた。
[変性反応前ピーク分子量]:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(HLC−8120GPC(商品名(東ソー社製)))を使用して得られたGPC曲線の、多官能単量体、シリカと反応し得る化合物、及びスズ化合物との反応により分子量が増加したポリマーを除いたポリマー部分に相当する山の部分の頂点に相当する保持時間から、ポリスチレン換算で求めた。
[ムーニー粘度(ML1+4,100℃)]:JIS K6300に準拠し、Lローターを使用して、予熱1分、ローター作動時間4分、温度100℃の条件で求めた。
[加硫ゴムの物性評価・測定]:
(i)[ロール加工性(シート肌)]:硫黄と加硫促進剤を除いて行う練り(「A練り」ともいう)後の配合ゴムをロールに通してシートとし、光沢を目視で観察した。以下に示す基準に従って評価した。
◎:極めて良好
○:良好
△:普通
×:悪い
××:極めて悪い
(ii)[配合ムーニー粘度]:加硫前の配合ゴムを測定用試料とし、JIS K6300に準拠し、Lローターを使用して、予熱1分、ローター作動時間4分、温度100℃の条件で測定した。指数で表示し、数値が大きいほど加工性が良好である。
(iii)[70℃tanδ]:加硫ゴムを測定用試料とし、動的スペクトロメーター(米国レオメトリックス社製)を使用し、引張動歪0.7%、角速度100ラジアン毎秒、70℃の条件で測定した。指数で表示し、数値が大きいほど転がり抵抗性が小さく良好である。
(iv)[0℃tanδ]:加硫ゴムを測定用試料とし、動的スペクトロメーター(米国レオメトリックス社製)を使用し、引張動歪0.14%、角速度100ラジアン毎秒、0℃の条件で測定した。指数で表示し、数値が大きいほどウェットスキッド抵抗性が大きく良好である。
(v)[DIN摩耗試験]:加硫ゴムを測定用試料とし、DIN摩耗試験機(東洋精機社製)を使用し、JIS K6264に準拠し、荷重10Nで25℃にて測定した。指数で表示し、数値が大きいほど耐摩耗性が良好である。
(実施例1)
窒素置換された内容積5リットルのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン2750g、テトラヒドロフラン32g、スチレン149g、1,3−ブタジエン391gを仕込んだ。反応器内容物の温度を20℃に調整した後、n−ブチルリチウム330mgを添加して重合を開始した。重合は断熱条件で実施し、最高温度は85℃に達した。重合転化率が99%に達した時点で、ジビニルベンゼン(純度55質量%)0.055g(m−、p−ジビニルベンゼンとして)、及び1,3−ブタジエン11gを追加し、更に15分重合させた後、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン1122mgを加えて15分間反応を行った。反応後の重合体溶液に、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを添加した。次いで、スチームストリッピングにより脱溶媒を行い、110℃に調温された熱ロールで乾燥することにより共重合ゴム(実施例1)を得た。得られた共重合ゴムの各種物性値等を表1に示す。
(比較例1)
JSR社製商品名「SL563」を比較例1とした。
(比較例2)
窒素置換された内容積5リットルのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン2750g、テトラヒドロフラン32g、スチレン149g、1,3−ブタジエン391g、ジビニルベンゼン(純度55質量%)0.055g(m−、p−ジビニルベンゼンとして)を仕込んだ。反応器内容物の温度を20℃に調整した後、n−ブチルリチウム330mgを添加して重合を開始した。重合は断熱条件で実施し、最高温度は85℃に達した。重合転化率が99%に達した時点で1,3−ブタジエン11gを、次いでテトラクロロスズ54mgを追加した、その3分後に、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン1122mgを加えて、さらに15分間反応を行った。反応後の重合体溶液に、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを添加した。次いで、スチームストリッピングにより脱溶媒を行い、110℃に調温された熱ロールで乾燥することにより共重合ゴム(比較例2)を得た。得られた共重合ゴムの各種物性値等を表1に示す。
Figure 2006045400
(ゴム組成物(加硫物)の調製)
表2に示す「ゴム組成物の配合処方」に従って、250mlラボプラストミルを使用して調製したゴム組成物を加硫した。なお、A練りは100℃×50rpmで約3分間行い、その際のダンプの計器温度は約140℃、実温度は約150℃であった。また、A練り後の配合ゴムに硫黄と加硫促進剤を追加してから行う練り(「B練り」ともいう)は、70℃×60rpmで1分間行った。
Figure 2006045400
Figure 2006045400
表3に示すように、比較例1に対し、比較例2では転がり抵抗性、ウェットスキッド抵抗性、耐摩耗性が良好である反面、加工性が悪化している。しかし、実施例では、転がり抵抗性、ウェットスキッド抵抗性、及び耐摩耗性が比較例2と同様に良好であるとともに、加工性がより改善され、良好なものとなっていることが明らかとなった。
本発明の共役ジエン系共重合ゴムは、自動車用タイヤトレッド、サイドウォール、カーカス等のタイヤ用のゴム組成物を構成するゴムとして、或いはベルト、ホース、防振ゴム、履き物等の、その他の工業用品用のゴム組成物を構成するゴムとして好適に用いることができる。

Claims (10)

  1. 第一の共役ジエン化合物、及び第一の芳香族ビニル化合物を含有する反応系で共重合反応させた後、
    前記反応系に、第一の多官能単量体、必要な場合に第二の共役ジエン化合物、及び必要な場合に第二の芳香族ビニル化合物を添加して更に共重合反応させ、
    次いで、前記反応系に、変性剤を添加して反応させることを含む共役ジエン系共重合ゴムの製造方法。
  2. 第二の多官能単量体を更に含有する前記反応系で共重合反応させる請求項1に記載の共役ジエン共重合ゴムの製造方法。
  3. 前記第一の多官能単量体及び/又は前記第二の多官能単量体が、ジビニルベンゼンである請求項2に記載の共役ジエン系共重合ゴムの製造方法。
  4. 前記第一の多官能単量体がジビニルベンゼンである場合に、前記反応系に添加する前記ジビニルベンゼンの添加量が、
    前記第一の共役ジエン化合物、前記第二の共役ジエン化合物、前記第一の芳香族ビニル化合物、及び前記第二の芳香族ビニル化合物の合計の100質量部に対して、0.001〜1質量部である請求項3に記載の共役ジエン系共重合ゴムの製造方法。
  5. 前記第二の多官能単量体がジビニルベンゼンである場合に、前記反応系に含有される前記ジビニルベンゼンの含有量が、前記第一の共役ジエン化合物と前記第一の芳香族ビニル化合物の合計の100質量部に対して、0〜1質量部である請求項3又は4に記載の共役ジエン系共重合ゴムの製造方法。
  6. 前記変性剤が、シリカと反応し得る化合物、又はスズ化合物と前記シリカと反応し得る化合物との混合物である請求項1〜5のいずれか一項に記載の共役ジエン系共重合ゴムの製造方法。
  7. 前記シリカと反応し得る化合物が、ジブチルジクロロケイ素、メチルトリクロロケイ素、メチルジクロロケイ素、テトラクロロケイ素、トリエトキシメチルシラン、トリフェノキシメチルシラン、トリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、4,5−エポキシヘプチルメチルジメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラサルファイド、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、及びN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシランからなる群より選択される少なくとも一種である請求項6に記載の共役ジエン系共重合ゴムの製造方法。
  8. 前記第一の共役ジエン化合物及び/又は前記第二の共役ジエン化合物が、1,3−ブタジエンである請求項1〜7のいずれか一項に記載の共役ジエン系共重合ゴムの製造方法。
  9. 前記第一の芳香族ビニル化合物及び/又は前記第二の芳香族ビニル化合物が、スチレンである請求項1〜8のいずれか一項に記載の共役ジエン系共重合ゴムの製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の共役ジエン系共重合ゴムの製造方法により製造される共役ジエン系共重合ゴム。
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