JP2006044333A - 車輪および車両 - Google Patents

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Abstract

【課題】 車輪のトレッドを調節して走行の安定化を図ることができる技術を提供することを目的とする。
【解決手段】 右前輪14aは、分離可能なホイールリム部64aおよびホイールディスク部66aを備え、ホイールリム部64aおよびホイールディスク部66aによって第1圧力室52aおよび第2圧力室54aが区画形成されている。第1圧力室52a内および第2圧力室54a内の空気圧は、高圧空気を貯留する蓄圧室70aから供給される高圧空気による増圧、およびホイール外部に内部空気を排出することによる減圧により調整される。第1圧力室52a内および第2圧力室54a内の空気圧のバランスが適宜調整されることにより、ホイールリム部64aが車幅方向に移動し、車体に対する接地点位置が調整される。
【選択図】 図5

Description

本発明は、車輪および車両に関し、特に走行安定性を向上させる車輪および車両に関する。
左右に配置された車輪同士の幅(「トレッド」とも表記する)を走行路に応じて調整し、車両走行を安定化させる技術が従来から提案されている。例えば特許文献1では、ネジ締結体の回動操作に応じてディスク取付面とリムの赤道線との相互間距離を可変とした自動車用ホイールの可変オフセット装置が提案されている。また特許文献2では、油圧シリンダーの伸縮でトレッドを変更するトレッド変更用油圧シリンダーの油圧制御装置が提案されている。
特開昭63−284001号公報 特開平10−100607号公報
トレッドを適切な大きさにスムーズに調整するための新たな技術を提案することは、安定した快適な車両走行を確保する観点から非常に好ましい。特にトレッドを電気的にコントロールする技術は、多数の電気機器類を搭載する車両に対して比較的容易に適用することが可能であり、その応用範囲も広範なものになることが予想されるので、非常に有意義である。
本発明は上述の事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、車輪のトレッドを調節して走行の安定化を図ることができる技術を提案することにある。
本発明の一態様は車輪に関する。この車輪は、支持部と、前記支持部に対して可動に設けられた可動部と、前記可動部の移動を調整する移動調整部と、を備え、前記移動調整部は、流体圧を利用して前記可動部の移動を調整する。
当該車輪によれば、流体圧を利用することで可動部をスムーズに移動させることができる。なお、ここでいう「流体圧」とは液体圧および気圧を含みうる概念であり、所定液体圧や空気圧が流体圧に含まれうる。なお、故障時の液漏れの心配がない点、扱いやすい点、比較的容易に作動媒体を得ることができる点、等から流体圧として空気圧を利用することは好ましい。また、可動部は接地箇所を含むことが好ましく、路面と直接接地するタイヤ部分や当該タイヤが取り付けられたホイール部分を移動させるような場合も本発明に含まれうる。また、例えばホイールのディスク部およびリム部を分離構造として、ディスク部を支持部とし、ホイールのリム部を可動部として構成することも可能である。
前記可動部および前記支持部によって区画される第1圧力室であって、前記支持部の少なくとも一部を介して前記可動部の可動方向の一方の側に位置する第1圧力室と、前記可動部および前記支持部によって区画される第2圧力室であって、前記支持部の少なくとも一部を介して前記可動部の可動方向の他方の側に位置する第2圧力室と、を更に備え、前記移動調整部は、前記第1圧力室内の流体圧および前記第2圧力室内の流体圧をコントロールすることにより前記可動部の移動を調整するようにしてもよい。
この場合、第1圧力室内の流体圧および第2圧力室内の流体圧のバランスに応じて可動部を移動させることができる。例えば第1圧力室内の流体圧と第2圧力室内の流体圧との間に不均衡を生じさせることで、可動部を移動させることができる。この際、第1圧力室あるいは第2圧力室の室内流体圧を減圧することにより前記不均衡を生じさせることが、応答性の観点から好ましい。
本発明の別の態様は車両に関する。この車両は、上述の車輪と、車両状態量を検出する状態量検出手段と、前記状態量検出手段の検出結果に基づいて前記車輪の移動調整部を制御する移動制御部と、を備える。当該車両によれば、上述した車輪の特性を生かして車輪可動部を移動させることができ、安定した快適な車両走行を実現しうる。
本発明の別の態様も車両に関する。この車両は、上述の車輪と、車両状態量を検出する状態量検出手段と、前記状態量検出手段の検出結果に基づいて前記流体圧を調整することにより、前記車輪のスラスト方向の剛性を制御するスラスト剛性制御部と、を備える。当該車両によれば、車輪のスラスト方向の剛性を適宜制御することで振動等を抑制し、車両の走行安定性の向上を図ることが可能である。ここでいうスラスト方向とは、例えば車幅方向を含む概念である。
前記状態量検出手段は、車両のヨーレートを検出するヨーレート検出手段を含むものであってもよい。当該車両によれば、車両のヨーレートに基づいて車輪の可動部の移動あるいは車輪のスラスト方向剛性を調整し、車両の走行安定性の向上を図ることができる。車両のヨーレートは、車両に作用する力成分を示す指標の一つであり、車両のスピンやドリフトアウト等の傾向を示唆する要素の一つである。従って、ヨーレートに基づいて車輪可動部の移動あるいは車輪スラスト剛性をコントロールすることで、車両のスピンやドリフトアウト等を効果的に防ぐことも可能である。
前記状態量検出手段は、車両の横方向加速度を検出する横方向加速度検出手段を含むものであってもよい。当該車両によれば、車両の横方向加速度に基づいて車輪の可動部の移動あるいは車輪のスラスト方向剛性を調整し、車両の走行安定性の向上を図ることができる。車両の横加速度は、車両に作用する力成分を示す指標の一つであり、車両の転覆等の傾向を示唆する要素の一つである。従って、横加速度に基づいて車輪可動部の移動あるいは車輪スラスト剛性をコントロールすることで、車両の転覆等を効果的に防ぐことも可能である。
前記状態量検出手段は、前記車輪のスラスト方向の剛性を検出するスラスト剛性検出部を含むものであってもよい。当該車両によれば、車輪のスラスト方向の剛性に基づいて車輪の可動部を移動させることができ、車両の走行安定性の向上を図ることが可能である。
前記状態量検出手段は、車両の衝突を検出する衝突検出手段を含むものであってもよい。当該車両によれば、車両の衝突判定に基づいて車輪の可動部を移動あるいは車輪のスラスト方向の剛性を調整し、車両の走行安定性の向上を図ることが可能である。なお衝突判定手段は、衝突の有無を判定するものだけでなく、衝突の可能性を判定するものも含みうる概念である。
本発明の車輪によれば、流体圧を利用した構成により可動部を移動させることで車輪のトレッドを適宜調整することができ、当該車輪を利用した車両は安定した快適な走行を比較的簡単に実現することができる。
また本発明の車両によれば、流体圧を利用して車輪の可動部を適宜移動させることで、安定した快適な走行を比較的簡単に実現することができる。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態の車両制御装置を備える車両10の全体構成を示す図である。
車両10は、車体12の右前に設けられた右前輪14a、車体12の左前に設けられた左前輪14b、車体の右後ろに設けられた右後輪14c、および車体の左後ろに設けられた左後輪14dを備える。なお、右前輪14a、左前輪14b、右後輪14c、および左後輪14dを総称する場合には「車輪14」と表記する。また、車幅方向に配置され相互に対応する右前輪14aおよび左前輪14bを総称して「前輪14a、14b」と表記し、同様に相互に対応する右後輪14cおよび左後輪14dを総称して「後輪14c、14d」と表記する。また、右前輪14aに対応する機器類には符号の末尾に「a」を付し、左前輪14bに対応する機器類には符号の末尾に「b」を付し、右後輪14cに対応する機器類には符号の末尾に「c」を付し、左後輪14dに対応する機器類には符号の末尾に「d」を付し、それらの機器類を総称する場合には末尾の「a〜d」を省略した符号で表記する。
各車輪14は、後述するように、空気圧を利用して車輪回転軸方向へ可動に設けられた可動部と、その可動部の移動を調整するアクチュエータ部50とを含んで構成されている。そのような各車輪14には、車輪側センサ類26と、車輪側センサ類26およびアクチュエータ部50に接続された車輪側通信機28とが搭載されている。一方、車体12には、電子制御ユニット100(「ECU100」とも表記する)と、ECU100に接続された車体側センサ類20および車体側通信機22と、ECU100に接続され各車輪14に対応するようにして設けられたアクチュエータ制御部24とが搭載されている。
車輪側通信機28は、対応するアクチュエータ部50、車輪側センサ類26、あるいはその他の機器類から送られてくるデータを車体側通信機22に無線送信する。また車輪側通信機28は、車体側通信機22が無線送信する各種データを受信して、対応するアクチュエータ部50、車輪側センサ類26、あるいはその他の機器類に送信する。一方、車体側通信機22は、車輪側通信機28が送信する各種データを受信して、ECU100に送信する。また車体側通信機22は、ECU100から送られてくるデータを各車体側通信機22に無線送信する。アクチュエータ制御部24は、ECU100から送られてくる制御指令に応じて、対応するアクチュエータ部50を制御する。
車輪側センサ類26は、車両10の所定状態量を検出して検出結果を車輪側通信機28に送信する各種センサ類を含むものであり、例えばタイヤの内部空気圧を検出する空気圧センサなどが車輪側センサ類26に含まれる。一方、車体側センサ類20は、車両10の所定状態量を検出して検出結果をECU100に送信する各種センサ類を含むものであり、その一例が図2に示されている。
図2は、車体側センサ類20を構成する各種センサ類の一例を示す図である。車体側センサ類20は、例えば、車両10の前後方向の加速度(「前後G」とも表記する)を検出する前後Gセンサ30、車両10の左右横方向の加速度(「横G」とも表記する)を検出する横Gセンサ31、車両10のヨーレートを検出するヨーレートセンサ32、各車輪14の回転数速度や回転角速度などの車輪速を検出する車輪速センサ33、車両10の走行速度(「車速」とも表記する)を検出する車速センサ34、図示しないステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角センサ35、図示しないアクセルペダルの踏み込み量や踏み込み速度などを検出するアクセルセンサ36、図示しないブレーキペダルの踏み込み量や踏み込み速度などを検出するブレーキセンサ37、および図示しない他のセンサ類を含んで構成されている。車体側センサ類20を構成する各センサ類は、必要に応じた形態、配置をとることが可能である。例えば車輪速センサ33は、各車輪14に対応するようにして4箇所に設置され、各車輪14毎の車輪速を検出することが可能である。また、目的とする状態量を直接的に検出するタイプだけではなく、関連状態量を検出し、その検出値に基づいて目的とする状態量を間接的に取得するタイプのものを各センサ類として用いることが可能である。例えば、各車輪14の車輪速から車速を推測するタイプのものを車速センサ34とすることも可能である。
図1に示すECU100は、CPUを含むマイクロプロセッサとして構成されており、マイクロコンピュータによる演算を行う演算ユニット、各種の処理プログラムを記憶するROM、一時的にデータやプログラムを記憶してデータ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAM、および各種信号の送受信を行うための入出力ポート等を有する。このECU100は、車体側センサ類20、車体側通信機22、あるいは他の電子機器類などから送られてくるデータに基づいて、アクチュエータ制御部24や他の車両機器類を制御する。特に本実施の形態のECU100は、アクチュエータ制御部24を介してアクチュエータ部50を制御し、車輪14の接地点を車幅方向へ移動させることによって車体12と車輪14の距離(「車輪オフセット量」とも表記する)を調整する。
図3は、第1の実施の形態のECU100が有する機能のうち車輪14の移動制御機能に関連する機能ブロック図である。ECU100は、目標ヨーレート演算部102、走行状態判定部104、旋回状態判定部106、フィードバック情報処理部108、および車輪状態制御部110を有する。
目標ヨーレート演算部102は、理想的な状態におけるヨーレート(「目標ヨーレート」とも表記する)を演算により算出し、算出した目標ヨーレートを走行状態判定部104に送る。目標ヨーレート演算部102は、例えば以下の式(1)に基づいて、目標ヨーレートを算出することが可能である。
Figure 2006044333
走行状態判定部104は、ヨーレートセンサ32の検出結果から求められる車両10の実際のヨーレート(「実ヨーレート」とも表記する)と、目標ヨーレート演算部102から送られてくる目標ヨーレートとに基づいて、車両10の状態を判定する。本実施の形態の走行状態判定部104は、特に、車両10がスピンあるいはドリフトアウトする傾向にあるか否かを判定する。具体的には、以下の式(2)および式(3)に基づいて車両10の状態が判定され、式(2)が満たされる場合には車両10はスピンする傾向にあると判定され、式(3)が満たされる場合には車両10はドリフトアウトする傾向にあると判定され、式(2)および式(3)が満たされない場合には車両10はスピン傾向もドリフトアウト傾向もないと判定される。なお以下の式(2)および式(3)において、αおよびαは実験値などからスピンやドリフトアウトの条件を考慮した任意の数値に設定可能であり、例えば、αを1よりも大きい所定の値(例えば「α=2」)とし、αを1よりも小さい所定の値(例えば「α=0.5」)とすることもできる。
Figure 2006044333
Figure 2006044333
走行状態判定部104は、上述のようにして判定した車両10の状態を車輪状態制御部110に送る。例えば、車両10がスピンあるいはドリフトアウトしているのか否か、実ヨーレートと目標ヨーレートとの比率、スピンあるいはドリフトアウトの程度を示す他の指標値、等が走行状態判定部104から車輪状態制御部110に送られる。
旋回状態判定部106は、車両10の旋回状態を判定する。車両10の旋回状態は任意の手法で判定可能であり、例えばヨーレートセンサ32の検出値から車両10に作用するヨーの方向や大きさを求めることで車両10の旋回状態が判定されうる。また、横Gセンサ31の検出値から車両10に作用する横Gの方向や大きさを求めることで車両10の旋回状態が判定されうる。また、車輪速センサ33の検出値から「右前輪14aおよび左前輪14bの車輪速比」や「右後輪14cおよび左後輪14dの車輪速比」を求めることで車両10の旋回状態が判定されうる。あるいは、上述のような手法を複数組み合わせることによって車両10の旋回状態が精度良く判定されうる。旋回状態判定部106は、上述のようにして判定した車両10の旋回状態を車輪状態制御部110に送る。例えば、車両10が左旋回、右旋回、あるいは旋回していないのか、旋回の程度を示す指標値、等が旋回状態判定部106から車輪状態制御部110に送られる。
フィードバック情報処理部108は、車輪側通信機28および車体側通信機22を介して送られてくる車輪側センサ類26およびアクチュエータ部50からのデータを処理し、車輪14の可動部の移動に関連するデータをフィードバック情報として車輪状態制御部110に送る。
車輪状態制御部110は、走行状態判定部104から送られてくる車両10の走行状態、旋回状態判定部106から送られてくる車両10の旋回状態、およびフィードバック情報処理部108から送られてくるフィードバック情報に基づいて、車輪14の移動等の状態を制御する。本実施の形態の車輪状態制御部110は、「右前輪14aおよび左前輪14b(前輪)」あるいは「右後輪14cおよび左後輪14d(後輪)」が車輪回転軸方向のうち同じ方向に移動するように、アクチュエータ制御部24を制御する。車輪状態制御部110は、具体的には図4に示す状態となるようにアクチュエータ制御部24を制御する。
図4は、第1の実施の形態における車両10の状態と各車輪14のタイヤの移動との関係を示す図である。車輪状態制御部110は、車両10がスピンする傾向にあると判断する場合、前輪14a、14bのタイヤが旋回内側へ移動するとともに後輪14c、14dのタイヤが旋回外側へ移動するような制御指令を各アクチュエータ制御部24に送信する。また車輪状態制御部110は、車両10がドリフトアウトする傾向にあると判断する場合、前輪14a、14bのタイヤが旋回外側へ移動するとともに後輪14c、14dのタイヤが旋回内側へ移動するような制御指令を各アクチュエータ制御部24に送信する。
従って車輪状態制御部110は、車両旋回時に後輪14c、14dがスリップするスピン傾向にあると判断する場合には、車輪回転軸方向のうちスリップ方向である旋回外側へ後輪14c、14dが移動するようにアクチュエータ制御部24を制御する。同様に車輪状態制御部110は、車両旋回時に前輪14a、14bがスリップするドリフトアウト傾向にあると判断する場合には、車輪回転軸方向のうちスリップ方向である旋回外側へ前輪14a、14bが移動するようにアクチュエータ制御部24を制御する。なお車輪状態制御部110は、フィードバック情報処理部108から送られてくるフィードバック情報を参照して、車輪14が適切に移動するようにアクチュエータ制御部24を制御する。このように車輪状態制御部110は、各アクチュエータ制御部24を介して間接的に各アクチュエータ部50を制御する。
次に、アクチュエータ部50を含む車輪14の構成について説明する。以下では、主に右前輪14aの構成について説明する。
図5は、右前輪14aの断面構成の一部を示す図である。右前輪14aは、タイヤ60aおよびホイール62aを含んで構成されており、ホイール62aは、分離可能なホイールリム部64aおよびホイールディスク部66aを有する。本実施の形態のホイール62aは、ホイールリム部64aに断面コの字状の移動調整リム部65aが形成され、またホイールディスク部66aの回転外周部に突起状の移動調整ディスク部67aが形成されている。移動調整リム部65aは、移動調整ディスク部67aよりも車輪幅方向に大きい収容部を形成し、移動調整ディスク部67aは、その収容部に収容されている。そして、移動調整リム部65aの回転内周面と移動調整ディスク部67aの回転外周面とがほぼ密接した状態で、ホイールリム部64aのうち移動調整リム部65aを除く内周面38aとホイールディスク部66aのうち移動調整ディスク部67aを除く外周面40aとがほぼ密接する。そのため移動調整リム部65aの収容部は、ホイールリム部64aおよびホイールディスク部66aによって、移動調整ディスク部67aを介して車両外部側である車幅方向外側に位置する第1圧力室52aと車体側である車幅方向内側に位置する第2圧力室54aとに区画される。
ホイールリム部64aおよびタイヤ60aは、ホイールリム部64aの内周面38aとホイールディスク部66aの外周面40aとを密接させた状態で、移動調整リム部65aと移動調整ディスク部67aとにより規定される範囲内で車幅方向へ移動可能に設けられる。そのようなホイールリム部64aおよびタイヤ60aは、例えば車幅方向の左右へ20(mm)程度移動可能に設けることができる。このように本実施の形態では、固定状態の支持部がホイールディスク部66aを含んで構成され、この支持部を基準にして移動可能な可動部がホイールリム部64aやタイヤ60aを含んで構成されている。
タイヤ60aとホイールリム部64aとによって区画形成される空間内部には、ホイールリム部64aの一部を利用して区画された蓄圧室70aと、蓄圧室70aおよびホイールリム部64aの一部を利用して設けられたタイヤ空気圧調整弁72aと、タイヤ60a、ホイールリム部64a、蓄圧室70a、およびタイヤ空気圧調整弁72aによって区画されたタイヤ空気圧室68aと、が形成されている。蓄圧室70aとタイヤ空気圧調整弁72aとは第1タイヤ圧調整路42aによって連通される。
ホイールリム部64aには、蓄圧室70aと第1圧力室52aとを連通する第1増圧連通路92a、蓄圧室70aと第2圧力室54aとを連通する第2増圧連通路96a、ホイール外部とタイヤ空気圧調整弁72aとを連通する第2タイヤ圧調整路44a、移動調整リム部65aの収容部と蓄圧室70aとを連通するリム部高圧空気路56a、およびホイール外部と蓄圧室70aとを連通する蓄圧室減圧連通路99aが形成されている。また蓄圧室70aと第1増圧連通路92aの間には第1増圧用リニア弁78aが設けられ、蓄圧室70aと第2増圧連通路96aの間には第2増圧用リニア弁82aが設けられ、蓄圧室70と蓄圧室減圧連通路99aの間には減圧用メカリリーフ弁85aが設けられている。
ホイールディスク部66aには、空気圧生成装置76aが取り付けられている。またホイールディスク部66aには、ホイール外部と第1圧力室52aとを連通する第1減圧連通路94a、ホイール外部と第2圧力室54aとを連通する第2減圧連通路98a、および空気圧生成装置76aとリム部高圧空気路56aとを連通するディスク部高圧空気路58aが形成されている。さらにホイールディスク部66aには、ディスク部高圧空気路58a内の空気圧を検出する蓄圧センサ90a、第1減圧連通路94a内の空気圧を検出する第1圧力センサ86a、第2減圧連通路98a内の空気圧を検出する第2圧力センサ88a、第1減圧連通路94aに設置された第1減圧用リニア弁80a、および第2減圧連通路98aに設置された第2減圧用リニア弁84aが設けられている。またホイールリム部64aに取り付けられるとともにホイールディスク部66aに取り付けられたストロークセンサ74aが設けられている。
なお、移動調整リム部65aの回転内周面と移動調整ディスク部67aの回転外周面の間、およびホイールリム部64aの内周面38aとホイールディスク部66aの外周面40aの間には、シール機能を有する図示しないOリングが設けられている。これらのOリングにより、第1圧力室52a内の空気および第2圧力室54a内の空気の漏出が防がれる。特に、移動調整リム部65aの回転内周面と移動調整ディスク部67aの回転外周面の間には、移動調整リム部65aと移動調整ディスク部67aとOリングとによって微少空間が形成されている。タイヤ60aおよびホイールリム部64aの可動部が移動してディスク部高圧空気路58aとリム部高圧空気路56aとが直線状に配置されていない場合であっても、その微少空間を介してディスク部高圧空気路58aおよびリム部高圧空気路56aは連通される。
タイヤ空気圧室68aは、貯留される空気圧によってタイヤ圧を調整し、タイヤ空気圧調整弁72aによって貯留空気圧が調整される。また、タイヤ空気圧室68a内の貯留空気圧は、図示しないタイヤ圧調整装置によっても増圧あるいは減圧され、所望の圧力に調整される。
空気圧生成装置76aは、空気を高圧に加圧して高圧空気を生成し、その高圧空気をディスク部高圧空気路58aおよびリム部高圧空気路56aを介して蓄圧室70aに供給する。空気圧生成装置76aは、任意の大きさの空気圧を有する高圧空気を生成し、例えば10(atm)程度の空気圧に調整した高圧空気を生成することができる。
蓄圧室70aは、空気圧生成装置76aから送られてくる高圧空気を貯留する。減圧用メカリリーフ弁85aは、バネ等の弾性体を利用した一般の機械的なリリーフ弁であり、開弁すると蓄圧室70a内の高圧空気をホイール外部に逃がす働きをする。蓄圧室70aの内部空気圧は、主に、空気圧生成装置76aによる増圧作用と減圧用メカリリーフ弁85aによる減圧作用とによりコントロールされ、ほぼ一定の高圧状態に保たれる。
第1増圧用リニア弁78aは、第1圧力室52aの内部空気圧を増圧する電磁弁であり、開弁すると蓄圧室70a内の高圧空気を第1増圧連通路92aを介して第1圧力室52aに供給する。また第2増圧用リニア弁82aは、第2圧力室54aの内部空気圧を増圧する電磁弁であり、開弁すると第2増圧連通路96aを介して蓄圧室70a内の高圧空気を第2圧力室54aに供給する。一方、第1減圧用リニア弁80aは、第1圧力室52aの内部空気圧を減圧する電磁弁であり、開弁すると第1減圧連通路94aを介して第1圧力室52a内の空気を外部に逃がす。また第2減圧用リニア弁84aは、第2圧力室54aの内部空気圧を減圧する電磁弁であり、開弁すると第2減圧連通路98aを介して第2圧力室54a内の空気を外部に逃がす。なお、第1増圧用リニア弁78a、第1減圧用リニア弁80a、第2増圧用リニア弁82a、および第2減圧用リニア弁84aは、図示しないバッテリーから供給される電流量に応じて弁開度が調節される。各リニア弁78a、80a、82a、84aに対する供給電流量は、ECU100からの制御指令に基づいて作動するアクチュエータ制御部24aによって調節される。
ストロークセンサ74aは、ホイールディスク部66aに対するホイールリム部64aの移動量を検出するセンサであり、ホイールディスク部66aに固定されたディスク固定部144aと、ホイールリム部64aに固定されたリム固定部146aと、ディスク固定部144aおよびリム固定部146aを連結する連結部148aとを含んで構成されている。リム固定部146aは、ホイールリム部64aとともに移動し、連結部148aは、リム固定部146aの移動に応じて全長が変動してディスク固定部144aおよびリム固定部146aの連結状態を維持する。ストロークセンサ74aは、連結部148aの全長に応じてホイールディスク部66aに対するホイールリム部64aの移動量を検出し、検出結果を対応する車輪側通信機28aに送る。
第1圧力センサ86aは、第1圧力室52a内の空気圧とほぼ同一の空気圧を示す第1減圧連通路94a内の空気圧を計測し、間接的に第1圧力室52a内の空気圧を検出する。また第2圧力センサ88aは、第2圧力室54a内の空気圧とほぼ同一の空気圧を示す第2減圧連通路98a内の空気圧を計測し、間接的に第2圧力室54a内の空気圧を検出する。また蓄圧センサ90aは、蓄圧室70a内の空気圧とほぼ同一の空気圧を示すディスク部高圧空気路58a内の空気圧を計測し、間接的に蓄圧室70a内の空気圧を検出する。なお、第1圧力センサ86a、第2圧力センサ88a、および蓄圧センサ90aは、検出結果を対応する車輪側通信機28aに送信する。
タイヤ空気圧調整弁72aは、調整スプリング150a、調整スプリング150aの弾性力によってピストン底面が押圧される調整ピストン152a、および調整ピストン152aの側周部において溝状に形成された調整空気路154aを含んで構成されている。またタイヤ空気圧調整弁72aを区画する壁部には、調整空気路154aに対応するようにして設けられた第1タイヤ圧調整路42aおよび第4タイヤ圧調整路48aと、調整ピストン152aのピストン上面部に対応するようにして設けられた第3タイヤ圧調整路46aと、が形成されている。
タイヤ空気圧室68a内の空気圧が比較的低いために調整ピストン152aが調整スプリング150aに押圧されて一定の範囲に存在する場合、第1タイヤ圧調整路42a、調整空気路154a、および第3タイヤ圧調整路46aが連通状態となり、これらの空気路を通って蓄圧室70a内の高圧空気がタイヤ空気圧室68a内に供給され、タイヤ空気圧は増圧される。一方、タイヤ空気圧室68a内の空気圧が比較的高い場合には、タイヤ空気圧室68aから第4タイヤ圧調整路48aを通ってタイヤ空気圧調整弁72a内に流入した空気により調整ピストン152aが押圧され、調整空気路154aの位置が第1タイヤ圧調整路42aあるいは第3タイヤ圧調整路46aの位置から外れる。これにより、蓄圧室70aとタイヤ空気圧室68aとは調整ピストン152aによって遮断され、蓄圧室70aからタイヤ空気圧室68aへの高圧空気の供給が止まり、タイヤ空気圧室68a内の空気圧が調整される。
なお、調整ピストン152aの側周部のうち調整空気路154aとピストン底面の間、調整ピストン152aの側周部のうち調整空気路154aとピストン上面の間、および調整ピストン152aの側周部のうちピストン上面の近傍には図示しないOリングが設けられている。これらのOリングにより、第2タイヤ圧調整路44aに連通するピストン底面側の空間と調整空気路154aとが遮断され、またピストン上面側の空間と調整空気路154aを遮断されて、空気の漏出が防がれる。
以上、右前輪14aの構成について説明したが、左前輪14b、右後輪14c、および左後輪14dも、右前輪14aと同様の構成を有する。
次に、車輪回転軸方向への車輪14の移動動作について説明する。本実施の形態では、タイヤ60を含む車輪14の一部のみを移動させることにより車輪オフセット量の調整が図られる。
図6は、第1増圧用リニア弁78、第1減圧用リニア弁80、第2増圧用リニア弁82、および第2減圧用リニア弁84の弁開閉状態と、可動部の状態との関係を示す図である。図7は、第1圧力室52内および第2圧力室54内の空気圧状態と、可動部の状態との関係を示す図である。図8は、蓄圧室70内、第1圧力室52内、および第2圧力室54内の空気圧の大きさ(P)と、経過時間(T)との関係を示す図である。
可動部であるタイヤ60およびホイールリム部64を移動させないで支持部であるホイールディスク部66に対して固定する場合、第1圧力室52内および第2圧力室54内の空気圧を蓄圧室70内の高圧空気とほぼ同一の高圧状態に調整し、第1増圧用リニア弁78、第1減圧用リニア弁80、第2増圧用リニア弁82、および第2減圧用リニア弁84を閉弁する(図6参照)。これにより第1圧力室52内の空気圧と第2圧力室54内の空気圧とはほぼ等しい状態に保たれ(図7および図8参照)、「移動調整リム部65を車体12側である内側に押圧する力」と「移動調整リム部65を外部側である外側に押圧する力」とのバランスがとられて、可動部は支持部に固定される。
支持部に対して固定されている可動部を車体12側である内側に移動させる場合、第1増圧用リニア弁78および第2減圧用リニア弁84を閉弁状態に保つ一方で、第1減圧用リニア弁80および第2増圧用リニア弁82を開弁する(図6参照)。これにより第1圧力室52は、第1減圧連通路94および第1減圧用リニア弁80を介して内部空気が外部に排出され、内部空気圧が減圧される。一方、第2圧力室54は、蓄圧室70から第2増圧用リニア弁82および第2増圧連通路96を介して高圧空気が適宜供給され、内部空気圧が略一定に保たれる(図8参照)。そのため、第1圧力室52内の空気圧が第2圧力室54内の空気圧よりも小さい状態となり(図7参照)、「移動調整リム部65を内側に押圧する力」が「移動調整リム部65を外側に押圧する力」よりも大きくなって、可動部は内側に移動する。
内側に移動する可動部を支持部に対して固定する場合、第1増圧用リニア弁78を開弁するとともに第1減圧用リニア弁80を閉弁して、第1圧力室52内の空気圧を蓄圧室70内の空気圧と同一になるまで増圧する。一方、可動部の内側への移動が止まるまで第2増圧用リニア弁82の開弁状態および第2減圧用リニア弁84の閉弁状態を維持する(図6参照)。これにより、時間経過とともに第1圧力室52内の空気圧は第2圧力室54内の空気圧に近づき、最終的には等しい状態となって、可動部は支持部に対して固定される(図8参照)。なお、内側へ移動していた可動部が停止したら、第1増圧用リニア弁78、第1減圧用リニア弁80、第2増圧用リニア弁82、および第2減圧用リニア弁84をそれぞれ閉弁して、第1圧力室内の空気圧および第2圧力室の空気圧を保持することが好ましい。
支持部に対して固定されている可動部を外部側である外側に移動させる場合、第1減圧用リニア弁80および第2増圧用リニア弁82を閉弁状態に保つ一方で、第1増圧用リニア弁78および第2減圧用リニア弁84を開弁する(図6参照)。これにより第2圧力室54は、第2減圧連通路98および第2減圧用リニア弁84を介して内部空気が外部に排出され、内部空気圧が減圧される。一方、第1圧力室52は、蓄圧室70から第1増圧用リニア弁78および第1増圧連通路92を介して高圧空気が適宜供給され、内部空気圧が略一定に保たれる(図8参照)。そのため、第2圧力室54内の空気圧が第1圧力室52内の空気圧よりも小さい状態となり(図7参照)、「移動調整リム部65を外側に押圧する力」が「移動調整リム部65を内側に押圧する力」よりも大きくなって、可動部は外側に移動する。
外側に移動する可動部を支持部に対して固定する場合、第2増圧用リニア弁82を開弁するとともに第2減圧用リニア弁84を閉弁して、第2圧力室54内の空気圧を蓄圧室70内の空気圧と同一になるまで増圧する。一方、可動部の内側への移動が止まるまで第1増圧用リニア弁78の開弁状態および第1減圧用リニア弁80の閉弁状態を維持する(図6参照)。これにより、時間経過とともに第2圧力室54内の空気圧は第1圧力室52内の空気圧に近づき、最終的には等しい状態となって、可動部は支持部に対して固定される(図8参照)。なお、外側へ移動していた可動部が停止したら、第1増圧用リニア弁78、第1減圧用リニア弁80、第2増圧用リニア弁82、および第2減圧用リニア弁84をそれぞれ閉弁して、第1圧力室内の空気圧および第2圧力室の空気圧を保持することが好ましい。
このように、第1増圧用リニア弁78、第1減圧用リニア弁80、第2増圧用リニア弁82、および第2減圧用リニア弁84によって第1圧力室52室内の空気圧および第2圧力室54内の空気圧がコントロールされ、可動部の移動が調整される。
次に、本実施の形態の作用について説明する。
図9は、第1の実施の形態における車輪14の可動部の移動制御に関するフローチャートである。まず車両10では、車両の走行状態が検知され、例えば前後G、横G、ヨーレート、各車輪14の車輪速、車速、等が車体側センサ類20によって検出されてECU100に送られる(図9のS11)。またドライバーによる運転状態が検知され、例えばステアリングホイールの操舵角、アクセル状態、ブレーキ状態、等のドライバー操作に関連する状態量が車体側センサ類20によって検出されてECU100に送られる(S12)。
ECU100では、検知された車両走行状態やドライバー運転状態から上記式(1)に基づいて、目標ヨーレートが目標ヨーレート演算部102において演算、算出される(S13)。そして、算出された目標ヨーレートや車体側センサ類20により検出された実ヨーレートから上記式(2)に基づいて、車両10がスピンする傾向にあるか否かが走行状態判定部104において判断される(S14)。
スピン傾向にあると判断される場合(S14のY)、走行状態判定部104から送られてくるスピンの程度等の車両状態や旋回状態判定部106から送られてくる車両10の旋回状態などから、各車輪14の可動部の移動量が車輪状態制御部110において演算、算出される(S15)。具体的には、車両10のスピンを防ぐための前輪14a、14bの可動部の旋回内側への移動量、および後輪14c、14dの可動部の旋回外側への移動量が算出される。そして車輪状態制御部110は、算出した各車輪14の移動量に応じた制御指令を対応するアクチュエータ制御部24a、24b、24c、24dに送信して各アクチュエータ部50を駆動し、各車輪14の移動量、車輪オフセット量を制御する(S16)。
一方、スピン傾向にはないと判断される場合(S14のN)、算出された目標ヨーレートや車体側センサ類20により検出された実ヨーレートから上記式(3)に基づいて、車両10がドリフトアウトする傾向にあるか否かが走行状態判定部104において判断される(S17)。ドリフトアウトする傾向にあると判断される場合(S17のY)、走行状態判定部104から送られてくるドリフトアウトの程度等の車両状態や旋回状態判定部106から送られてくる車両10の旋回状態などから、各車輪14の可動部の移動量が車輪状態制御部110において演算、算出される(S18)。具体的には、車両10のドリフトアウトを防ぐための前輪14a、14bの可動部の旋回外側への移動量、および後輪14c、14dの可動部の旋回内側への移動量が算出される。そして車輪状態制御部110は、算出した各車輪14の移動量に応じた制御指令を対応するアクチュエータ制御部24a、24b、24c、24dに送信して各アクチュエータ部50を駆動し、各車輪14の移動量、車輪オフセット量を制御する(S19)。
なお、各車輪14の可動部の移動制御の際、車輪状態制御部110は、フィードバック情報処理部108から送られてくるフィードバック情報に基づいて各アクチュエータ制御部24を制御し、各アクチュエータ部50による車輪可動部の移動を調整する。例えば、車輪状態制御部110が各アクチュエータ制御部24を制御する際には、「第1圧力センサ86および第2圧力センサ88の検出値から得られる第1圧力室52および第2圧力室54の室内空気圧状態」や「ストロークセンサ74の検出値から得られる車輪可動部の移動量あるいは移動位置」を参照して、空気圧生成装置76から蓄圧室70への高圧空気の供給量を調整したり、第1増圧用リニア弁78、第1減圧用リニア弁80、第2増圧用リニア弁82、第2減圧用リニア弁84が適切な弁開度に調節されるようにする。これにより車輪可動部を所望の状態で移動させることが可能である。
以上説明したように本実施の形態によれば、車両10のヨーレートに応じて前輪14a、14bの接地点あるいは後輪14c、14dの接地点を同方向に移動させることで、路面に対するタイヤのグリップ限界性能を向上させて、車両10がスピンやドリフトアウトしてしまうことを効果的に防ぐことができる。特に車両10の横滑りを防止して安定した旋回走行等を実現するための技術(例えば車両安定性制御システム(VSC: Vehicle Stability Control)等)に本発明を応用することで、より安全で快適な車両走行が確保される。また車輪14の移動制御によって、車両10のヨーレートを細かくコントロールすることが可能となり、そのようなヨーレート・コントロールを通常走行時においても応用することで、走行安定性の更なる向上に寄与しうる。また車両10のスピン等を防ぐことにより、タイヤ60に対して前後方向、左右方向に作用する余分な荷重が低減し、そのような荷重に対する抵抗力が不要となるため、燃費を向上させうる。
また、空気圧を利用して可動部を移動させる車輪14を用いることにより、車輪14を移動させる機構を比較的簡素な構造により実現することができ、車両10の構造の複雑化を効果的に防ぐことができる。特に空気圧を駆動源として利用しているので、比較的自由に車輪14の可動部の移動を制御することが可能であり、また作動媒体である空気を比較的容易に得ることが可能である。また、液体油圧を利用した場合には故障等により生じうる液漏れは必ずしも環境にとって好ましくないが、本実施の形態では空気圧を利用しているので液漏れ等を心配する必要がない。また、第1圧力室52および第2圧力室54の室内空気圧の大きさを適宜コントロールすることにより、車輪可動部の車幅方向への剛性を調節することができる。従って、例えば第1圧力室52内および第2圧力室54内を非常に小さな圧縮性を示す高圧空気で満たすことにより、車輪可動部を所望の位置に的確に固定することが可能である。また、第1圧力室52内あるいは第2圧力室54内の空気圧を減圧することによって車輪可動部を移動させるので、迅速、スムーズに各車輪14を移動させることができ、応答性に優れた車輪移動が実現される。また、車輪移動時には第1圧力室52内および第2圧力室54内の空気圧情報や車輪可動部の移動情報などがフィードバック利用されるので、精度良く所望の位置に車輪を移動させることが可能である。
なお、上記式(1)〜式(3)に変形を加えた関係式や上記式(1)〜式(3)以外の関係式や図表を利用して、目標ヨーレートの算出、スピン傾向の判定、あるいはドリフトアウト傾向の判定を行うことも可能である。例えば上記式(1)に対して、車速や路面状態等の外乱要因を加味した補正項を付加することで、精度の良い目標ヨーレートを算出することも可能である。また、車両10が旋回していないにもかかわらず車両10がスピン傾向あるいはドリフトアウト傾向にあると判定される場合には、前輪14a、14bあるいは後輪14c、14dをスリップ方向等に適宜移動させることにより、安定した走行を確保することが可能である。
(第2の実施の形態)
本実施の形態では、車両10の横Gに基づいて車両10が転覆する傾向にあると判断される場合に、すべての車輪14を転覆方向に移動させることにより車両10の転覆を防ぐ例について説明する。本実施の形態において、上述の第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図10は、第2の実施の形態のECU100が有する機能のうち車輪14の移動制御機能に関連する機能ブロック図である。本実施の形態のECU100は、車両転覆判定部112、旋回状態判定部106、フィードバック情報処理部108、および車輪状態制御部110を有する。
車両転覆判定部112は、車体側センサ類20の検出結果に基づいて車両10の転覆傾向を判断する。本実施の形態の車両転覆判定部112は、ステアリングホイールの操舵角速度および横Gに基づいて車両10が転覆する傾向にあるか否かを判断する。具体的には、以下の式(4)および式(5)に基づいて車両10の転覆傾向が判定され、式(4)および式(5)が満たされる場合には車両10が転覆する傾向にあると判定される。なお、以下の式(4)および式(5)において、αおよびαは実験値などから車両転覆の条件を考慮した任意の数値に設定することが可能であり、例えば、αを90(deg/sec)程度の値とし、αを0.7×9.8(m/s2)程度の値とすることもできる。
|操舵角速度| > α 式(4)
|横G| > α 式(5)
車両転覆判定部112は、上述のようにして判定した車両10の転覆傾向の状態を車輪状態制御部110に送る。例えば、車両10が転覆傾向にあるのか否か、操舵角速度や横Gの大きさ、転覆傾向の程度を示す他の指標値、等が車両転覆判定部112から車輪状態制御部110に送られる。
車輪状態制御部110は、車両転覆判定部112から送られてくる車両10の転覆傾向状態、旋回状態判定部106から送られてくる車両10の旋回状態、およびフィードバック情報処理部108から送られてくるフィードバック情報に基づいて、車両10の転覆を防ぐように車輪14の移動を制御する。本実施の形態の車輪状態制御部110は、車両10が備えるすべての車輪14の可動部が転覆傾向にある方向に移動するように、アクチュエータ制御部24を制御する。車輪状態制御部110は、例えば車両10が右側に転覆する傾向にあると判断する場合には、すべての車輪14のタイヤ60が右側に移動するような制御指令をアクチュエータ制御部24に送信し、また車両10が左側に転覆する傾向にあると判断する場合には、すべての車輪14のタイヤ60が左側に移動するような制御指令をアクチュエータ制御部24に送信する。また車輪状態制御部110は、車両10が旋回状態にあると判断する場合には、すべての車輪14を旋回方向外側に移動するような制御指令をアクチュエータ制御部24に送信する。
このように車輪状態制御部110は、車体側センサ類20の検出結果に基づいて転覆傾向となる所定の大きさ以上の力が車両10に作用すると判断する場合には、転覆方向である力の作用方向に前輪14a、14bおよび後輪14c、14dが移動するような制御指令をアクチュエータ制御部24に送信する。
他の構成は、上述の第1の実施の形態とほぼ同一とすることができる。
図11は、第2の実施の形態における車輪14の可動部の移動制御に関するフローチャートである。まず車両10では、横Gなどの車両の走行状態が車体側センサ類20により検出されてECU100に送られる(図11のS31)。またステアリングホイールの操舵角速度などのドライバー運転状態が、車体側センサ類20により検出されてECU100に送られる(S32)。
ECU100では、検知されたステアリングホイールの操舵角速度に基づいて上記式(4)を満たすか否かが車両転覆判定部112において判定される(S33)。上記式(4)を満たさない場合(S33のN)、以下のS34〜S36の処理はスキップされる。上記式(4)を満たす場合(S33のY)、検知された車両10の横Gに基づいて上記式(5)を満たすか否かが車両転覆判定部112において判定される(S34)。上記式(5)を満たさない場合(S34のN)、以下のS35およびS36の処理はスキップされる。
上記式(5)を満たす場合(S34のY)、車両転覆判定部112から送られてくる車両10の転覆の程度等の車両状態や旋回状態判定部106から送られてくる車両10の旋回状態などから、各車輪14の移動量が車輪状態制御部110において演算、算出される(S35)。具体的には、転覆を防ぐための車輪14の転覆方向への移動量が車輪状態制御部110において算出される。そして車輪状態制御部110は、算出した各車輪14の移動量に応じた制御指令を対応するアクチュエータ制御部24a、24b、24c、24dに送信して各アクチュエータ部50を駆動し、各車輪14の移動量、車輪オフセット量を制御する(S36)。
以上説明したように本実施の形態によれば、転覆傾向を判定してすべての車輪14の路面接地点を同方向に移動させることで、路面に対するタイヤのグリップ限界性能を向上させて、車両10の転覆を効果的に防ぐことができる。特に車両旋回時には、車体12の位置を車輪可動部に対して相対的に旋回内側等に配置することにより、安定した旋回走行を実現することができる。
なお、上記式(4)、式(5)に変形を加えた関係式や上記式(4)、式(5)以外の関係式や図表を利用して、車両10の転覆傾向の判定を行うことも可能である。
(第3の実施の形態)
本実施の形態では、各車輪14のスラスト方向の剛性を調整することにより車両10の振動をコントロールする例について説明する。なお、スラスト方向とは、本実施の形態では車両10の横方向である車幅方向を指す。本実施の形態において、上述の第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図12は、第3の実施の形態のECU100が有する機能のうち車輪14のスラスト方向剛性の調整に関連する機能ブロック図である。本実施の形態のECU100は、車体振動判定部114、スラスト方向剛性検出部116、フィードバック情報処理部108、および車輪状態制御部110を有する。
車体振動判定部114は、車体側センサ類20の検出結果に基づいて車両10の振動状態を判断する。本実施の形態の車体振動判定部114は、操舵角速度およびヨーレートに基づいて車両10に生じている振動状態を判断する。具体的には、以下の式(6)および式(7)に基づき、後述する図13に示すフローチャートに従って車両10の振動状態が判定される。なお、以下の式(6)および式(7)において、αおよびαは実験値などから車両振動の条件を考慮した任意の数値に設定することが可能であり、例えば、αを5(deg/sec)程度の値とし、αを25(deg/sec)程度の値とすることもできる。
|操舵角速度| < α 式(6)
|ヨーレート| > α 式(7)
車体振動判定部114は、上述のようにして判定した車両10の振動状態を車輪状態制御部110に送る。例えば車両10の振動の大きさを示す指標値、等が車体振動判定部114から車輪状態制御部110に送られる。
スラスト方向剛性検出部116は、車輪側センサ類26およびアクチュエータ部50から車体側通信機22を介して送られてくるデータに基づいて、各車輪14のスラスト方向の剛性を検出する。本実施の形態のスラスト方向剛性検出部116は、主に、第1圧力センサ86および第2圧力センサ88の検出結果から求められる第1圧力室52内および第2圧力室54内の空気圧に基づいて車輪14のスラスト方向の剛性を求める。一般的に、第1圧力室52内および第2圧力室54内の空気圧が高圧になるほど車輪14のスラスト方向の剛性は大きくなり、第1圧力室52内および第2圧力室54内の空気圧が低圧になるほど車輪14のスラスト方向の剛性は小さくなる。スラスト方向剛性検出部116は、第1圧力室52内および第2圧力室54内の空気圧から車輪14のスラスト方向の剛性の大きさを推測する。そして、スラスト方向剛性検出部116は、判定した車輪14のスラスト方向の剛性状態を車輪状態制御部110に送る。例えば車輪14のスラスト方向の剛性の程度を示す指標値、等が車体振動判定部114から車輪状態制御部110に送られる。
フィードバック情報処理部108は、車輪側通信機28および車体側通信機22を介して送られてくる車輪側センサ類26およびアクチュエータ部50からのデータを処理し、車輪14のスラスト方向剛性に関連するデータをフィードバック情報として車輪状態制御部110に送る。
車輪状態制御部110は、車体振動判定部114から送られてくる車両10の振動状態、スラスト方向剛性検出部116から送られてくる車輪14のスラスト方向の剛性状態、およびフィードバック情報処理部108から送られてくるフィードバック情報に基づいて、車両10の振動を抑制するように車輪14の第1圧力室52内および第2圧力室54内の空気圧を制御する。本実施の形態の車輪状態制御部110は、車両10が備えるすべての車輪14の第1圧力室52内および第2圧力室54内の空気圧が所望の圧力となるようにアクチュエータ制御部24を制御する。車輪状態制御部110は、例えば、車両10に生じている振動を抑制するために車輪14のスラスト方向の剛性を減少させたほうが好ましいと判断する場合には、すべての車輪14の第1圧力室52内および第2圧力室54内の空気圧を下げるような制御指令をアクチュエータ制御部24に送信する。また車輪状態制御部110は、車体側センサ類20や車輪側センサ類26の検出結果から車輪14のスラスト方向の剛性を増大させたほうが好ましいと判断する場合には、すべての車輪14の第1圧力室52内および第2圧力室54内の空気圧を上げるような制御指令をアクチュエータ制御部24に送信する。
他の構成は、上述の第1の実施の形態とほぼ同一とすることができる。
図13は、第3の実施の形態における車輪14の第1圧力室52内および第2圧力室54内の空気圧制御に関するフローチャートである。まず車両10では、ヨーレートなどの車両の走行状態が車体側センサ類20により検出されてECU100に送られる(図11のS51)。またステアリングホイールの操舵角速度などのドライバー運転状態が、車体側センサ類20により検出されてECU100に送られる(S52)。
ECU100では、検知されたステアリングホイールの操舵角速度に基づいて上記式(6)を満たすか否かが車体振動判定部114において判定される(S53)。上記式(6)を満たさない場合(S53のN)、車輪14のスラスト方向の剛性を調整することで抑制すべき振動は生じていないと判定され、以下のS54〜S57の処理はスキップされる。上記式(6)を満たす場合(S53のY)、検知された車両10のヨーレートに基づいて上記式(7)を満たすか否かが車体振動判定部114において判定される(S54)。上記式(7)を満たさない場合(S54のN)、車輪14のスラスト方向の剛性を調整することで抑制すべき振動は生じていないと判定され、以下のS55〜S57の処理はスキップされる。
上記式(7)を満たす場合(S54のY)、第1圧力室52内の空気圧および第2圧力室54内の空気圧から各車輪14のスラスト方向の剛性がスラスト方向剛性検出部116において求められる(S55)。そして、車体振動判定部114から送られてくる車両10の振動状態やスラスト方向剛性検出部116から送られてくる車輪14のスラスト方向の剛性状態などから、車両10の振動を抑制するために適切な「各車輪14の第1圧力室52および第2圧力室54の内部空気圧」が車輪状態制御部110において演算、算出される(S56)。そして、算出された「各第1圧力室52および各第2圧力室54に必要とされる内部空気圧」に応じた制御指令を対応するアクチュエータ制御部24a、24b、24c、24dに送信して各アクチュエータ部50を駆動し、各車輪14の第1圧力室52内および第2圧力室54内の空気圧を制御する(S57)
以上説明したように本実施の形態によれば、車両振動を判定して車輪14のスラスト方向剛性を変えることで、車両10の振動を効果的に防ぐことができる。そのため、大きな凹凸を有する悪路や轍を有する道路などのように振動が生じやすい走行路を車両10が走行する場合であっても、車輪14のスラスト方向剛性を適宜変えることによって車両振動を抑制することができ、安定した快適な走行を確保することが可能である。
なお、上記式(6)、式(7)に変形を加えた関係式や上記式(6)、式(7)以外の関係式や図表を利用して、車両10の振動状態の判定を行うことも可能である。また、車両振動を抑制するために、必ずしもすべての車輪14のスラスト方向剛性を変える必要はなく、振動状態に応じて前輪14a、14bのみ、後輪14c、14dのみ、あるいはいずれかの車輪14のみのスラスト方向剛性を変えることもできる。
(第4の実施の形態)
本実施の形態では、車速、車両10のヨーレート、あるいは走行路に応じて車輪のトレッドを制御する例について説明する。なおここでいう「トレッド」とは、相互に対応する車輪間の距離を意味し、例えば前輪間あるいは後輪間の接地点距離がトレッドの概念に含まれる。本実施の形態において、上述の第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図14は、第4の実施の形態のECU100が有する機能のうち車輪14の移動制御機能に関連する機能ブロック図である。本実施の形態のECU100は、車輪トレッド判定部118、フィードバック情報処理部108、および車輪状態制御部110を有する。
車輪トレッド判定部118は、車体側センサ類20の検出結果に基づいて状況に応じた適切なトレッドを決定する。本実施の形態の車輪トレッド判定部118は、車速、車両10のヨーレート、および走行路の摩擦係数(μ)に基づいて、前輪あるいは後輪のトレッドを決定する。具体的には、以下の式(8)、式(9)、および式(10)に基づき、後述する図7に示すフローチャートに従って車輪14のトレッドが決定される。なお、以下の式(8)〜式(10)において、α7〜αは、実験値などから車輪14のトレッドと走行性の関係を考慮した任意の数値に設定することが可能であり、例えば、αを100(km/h)程度の値とし、αを10(deg/sec)程度の値とし、αを車両10の停止寸前の5(km/h)程度の値とすることもできる。
|車速| > α 式(8)
|ヨーレート| < α 式(9)
|車速| > α 式(10)
車輪トレッド判定部118は、上述のようにして決定した車両10の適切なトレッドに関する情報を車輪状態制御部110に送る。例えば、いずれの車輪14のトレッドを拡大あるいは縮小するべきなのか、車両10の適切なトレッドの大きさを示す指標値、等が車輪トレッド判定部118から車輪状態制御部110に送られる。
車輪状態制御部110は、車輪トレッド判定部118から送られてくる車輪14のトレッド関連情報、およびフィードバック情報処理部108から送られてくるフィードバック情報に基づいて、走行安定性が向上するように車輪14の移動を制御する。本実施の形態の車輪状態制御部110は、例えば車両10が比較的高速で走行している場合には、前輪14a、14bのトレッドを通常走行時よりも縮小するとともに後輪14c、14dのトレッドを通常走行時よりも拡大するような制御指令を、アクチュエータ制御部24に送信する。また車両10のヨーレートが比較的大きい場合、車両10が備えるすべての車輪14のトレッドを通常走行時よりも拡大するような制御指令を、車輪状態制御部110はアクチュエータ制御部24に送信する。また摩擦係数が比較的小さい路面を停止寸前の遅い速度で走行している場合にはすべての車輪14のトレッドが通常走行時よりも拡大するような制御指令を、また摩擦係数が比較的小さい路面を停止寸前の速度よりも大きい速度で走行している場合にはすべての車輪14のトレッドが通常走行時よりも縮小するような制御指令を、車輪状態制御部110はアクチュエータ制御部24に送信する。
他の構成は、上述の第1の実施の形態とほぼ同一とすることができる。
図15は、第4の実施の形態における車輪14の可動部の移動制御に関するフローチャートである。まず車両10では、車速、車輪速、ヨーレートなどの車両の走行状態が車体側センサ類20により検出されてECU100に送られる(図15のS71)。またドライバー運転状態が車体側センサ類20により検出されてECU100に送られる(S72)。
ECU100では、検知された車速に基づいて上記式(8)を満たすか否かが車輪トレッド判定部118において判定される(S73)。上記式(8)を満たす場合(S73のY)、車両10が比較的高速で走行していると判断され、車速に応じた適切な「通常走行時よりも縮小された前輪14a、14bのトレッド」および「通常走行時よりも拡大された後輪14c、14dのトレッド」が車輪トレッド判定部118において算出される。そして、算出されたそれらのトレッドに応じて必要とされる各車輪14の移動量、等が車輪状態制御部110において求められる。そして、算出された「各車輪14の移動量」に応じた制御指令が車輪状態制御部110から対応するアクチュエータ制御部24a、24b、24c、24dに送信されて、各アクチュエータ部50が駆動されて前輪14a、14bのトレッドおよび後輪14c、14dのトレッドが適切な大きさに調整される(S74)。
上記式(8)を満たさない場合(S73のN)、検知されたヨーレートに基づいて上記式(9)を満たすか否かが車輪トレッド判定部118において判定される(S75)。上記式(9)を満たす場合(75のY)、ヨーレートに応じた適切な「通常走行時よりも拡大されたすべての車輪14のトレッド」が車輪トレッド判定部118において算出される。そして、算出されたそれらのトレッドに応じて必要とされる各車輪14の移動量、等が車輪状態制御部110において求められる。そして、車輪状態制御部110から対応するアクチュエータ制御部24a、24b、24c、24dに制御指令が送信されて、車輪14のトレッドが適切な大きさに調整される(S76)。
上記式(9)を満たさない場合(S75のN)、走行路が低μ路か否かが車輪トレッド判定部118において判定される(S77)。なお走行路が低μ路か否かは、任意の手法により求めることができ、例えば車速および車輪速から各車輪14のスリップ率を求め、そのスリップ率と車速とから走行路の摩擦係数を求めて、その摩擦係数から判断することが可能である。また車両10の共振周波数に基づいて走行路の摩擦係数を求めることも可能でる。走行路が低μ路ではないと判断される場合(S77のN)、各車輪14のトレッドを変更する必要はないと判断され、各車輪14のトレッドは通常走行時のトレッドに調整されて走行する。
走行路が低μ路であると判断される場合(S77のY)、検知された車速から上記式(10)を満たすか否かが車輪トレッド判定部118において判定される(S78)。上記式(10)を満たす場合(S78のY)、走行路の摩擦係数および車速に応じた適切な「通常走行時よりも縮小されたすべての車輪14のトレッド」が車輪トレッド判定部118において算出される。一方、上記式(10)を満たさない場合(S78のN)、走行路の摩擦係数および車速に応じた適切な「通常走行時よりも拡大された駆動輪のトレッド」が車輪トレッド判定部118において算出される。従って、前輪駆動の場合には前輪14a、14bのトレッドが車輪トレッド判定部118において算出され、後輪駆動の場合には後輪14c、14dのトレッドが車輪トレッド判定部118において算出される。そして、そのような算出された適切なトレッドに応じた車輪オフセット量、必要とされる各車輪14の移動量、等が車輪状態制御部110において求められる。そして、車輪状態制御部110から対応するアクチュエータ制御部24a、24b、24c、24dに制御指令が送信され、車輪14のトレッドが適切な大きさに調整される(S79、S80)。
以上説明したように本実施の形態によれば、車両10の走行状態や走行路の状態を検出して車輪14のトレッドを適正化することで、状況に応じた適切な走行安定性を確保することができる。例えば、高速走行時に前輪トレッドを縮小するとともに後輪トレッドを拡大することにより、操舵角に対するヨーゲインを低下させて操舵角に対するヨー方向の反応を低減させることができ、ハンドル操作に車輪14が敏感に反応しすぎるのを抑制することができる。また、ワインディング路などにおいて旋回走行する場合には前輪トレッドおよび後輪トレッドを拡大することで、旋回性能を向上させることができる。また、低μ路を高速で走行する場合には前輪トレッドおよび後輪トレッドを通常走行時よりも縮小することで、右側車輪14a、14cおよび左側車輪14b、14dの各々が異μ路を走行することを効果的に防ぎ、そのような異μ路での加減速に伴う車両10の偏向走行を抑制することができる。また、低μ路を低速で走行する場合には駆動輪のトレッドを通常走行時よりも拡大することで、発進性を向上させることができる。
なお上記式(8)〜式(10)に変形を加えた関係式や上記式(8)〜式(10)以外の関係式や図表を利用して、目標ヨーレートの算出、スピン傾向の判定、あるいはドリフトアウト傾向の判定を行うことも可能である。また、走行状況に応じたトレッドの変更方法は上述のものに限定されるものではなく、車両状態などに応じたトレッド制御を行うことが可能である。例えば、後輪トレッドを前輪トレッドよりも相対的に大きくすることで高速走行時の走行安定性を向上させるような場合には、後輪トレッドを通常走行時よりも拡大するが前輪トレッドを通常走行時と同じトレッドに維持したり、前輪トレッドを通常走行時よりも縮小するが後輪トレッドを通常走行時と同じトレッドに維持したりすることも可能である。同様に、駆動輪トレッドを従動輪トレッドよりも相対的に大きくすることで低μ路を低速走行する場合等における発進性を向上させるような場合には、従動輪のトレッドを通常走行時よりも縮小することも可能である。
本発明は上述の各実施の形態や変形例に限定されるものではなく、各実施の形態やその変形例の各要素を適宜組み合わせたものも、本発明の実施の形態として有効である。また、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を各実施の形態やその変形例に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうる。
例えば、車両10の衝突傾向の有無を判定し、その判定結果に基づいて各車輪可動部の移動や各車輪14の第1圧力室52や第2圧力室54の室内空気圧を制御することにより、ドライバー等にもたらされる衝撃を緩和することも可能である。図16は、本変形例のECU100が有する機能のうち車輪14のスラスト方向剛性の調整に関連する機能ブロック図である。例えばECU100の衝撃判定部120において、車体側センサ類20の検出結果から得られる車両10の前後Gや横Gなどから車両10に作用する衝撃の大きさを導き出すことにより、車両10の衝突傾向を判定することが可能である。衝突傾向、特に横方向からの衝突傾向があると判定される場合には、車輪状態制御部110が、アクチュエータ制御部24を介して第1圧力室52内および第2圧力室54内の空気圧を適宜調整することにより、各車輪14のスラスト方向の剛性をコントロールしてドライバー等にもたらされる衝撃を効果的に緩和することが可能である。
また、上述の各実施の形態では、空気圧生成装置76および減圧用メカリリーフ弁85によって蓄圧室70の内部空気圧が調整される例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、第1増圧用リニア弁78、第1減圧用リニア弁80、第2増圧用リニア弁82、第2減圧用リニア弁84の弁開度をコントロールすることにより、第1圧力室52内および第2圧力室54内の空気圧を所望の圧力に維持した状態で蓄圧室70の内部空気圧を減圧することも可能である。また空気圧生成装置76に、蓄圧室70の内部空気圧の増圧機能だけではなく減圧機能も付加することにより、蓄圧室70の内部空気圧を所望の圧力にコントロールすることも可能である。
また、上述の各実施の形態では、図6に示すように車輪14のうち接地箇所であるタイヤ60を含む可動部を移動させる例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、上述の従来技術を利用して車輪全体を移動させる機構や、車輪の一部を移動させる他の技術に対しても本発明を応用することが可能である。
また上述の各実施の形態では、空気圧を利用した例について説明したが、空気圧の代わりに所定の液体を利用した油圧(液体圧)を利用することも可能である。
第1の実施の形態の車両制御装置を備える車両の全体構成を示す図である。 車体側センサ類を構成する各種センサ類の一例を示す図である。 第1の実施の形態のECUが有する機能のうち車輪の移動制御機能に関連する機能ブロック図である。 第1の実施の形態における車両の状態と各車輪のタイヤの移動との関係を示す図である。 右前輪の断面構成の一部を示す図である。 第1増圧用リニア弁、第1減圧用リニア弁、第2増圧用リニア弁、および第2減圧用リニア弁の弁開閉状態と、可動部の状態との関係を示す図である。 第1圧力室内および第2圧力室内の空気圧状態と、可動部の状態との関係を示す図である。 蓄圧室内、第1圧力室内、および第2圧力室内の空気圧の大きさ(P)と、経過時間(T)との関係を示す図である。 第1の実施の形態における車輪可動部の移動制御に関するフローチャートである。 第2の実施の形態のECUが有する機能のうち車輪の移動制御機能に関連する機能ブロック図である。 第2の実施の形態における車輪可動部の移動制御に関するフローチャートである。 第3の実施の形態のECUが有する機能のうち車輪のスラスト方向剛性の調整に関連する機能ブロック図である。 第3の実施の形態における車輪の第1圧力室内および第2圧力室内の空気圧制御に関するフローチャートである。 第4の実施の形態のECUが有する機能のうち車輪の移動制御機能に関連する機能ブロック図である。 第4の実施の形態における車輪可動部の移動制御に関するフローチャートである。 一変形例におけるECUが有する機能のうち車輪のスラスト方向剛性の調整に関連する機能ブロック図である。
符号の説明
10 車両、 12 車体、 14 車輪、 20 車体側センサ類、 22 車体側通信機、 24 アクチュエータ制御部、 26 車輪側センサ類、 28 車輪側通信機、 50 アクチュエータ部、 52 第1圧力室、 54 第2圧力室、 60 タイヤ、 62 ホイール、 64 ホイールリム部、 65 移動調整リム部、 66 ホイールディスク部、 67 移動調整ディスク部、 68 タイヤ空気圧室、 70 蓄圧室、 72 タイヤ空気圧調整弁、 74 ストロークセンサ、 76 空気圧生成装置、 78 第1増圧用リニア弁、 80 第1減圧用リニア弁、 82 第2増圧用リニア弁、 84 第2減圧用リニア弁、 85 減圧用メカリリーフ弁、 100 ECU。

Claims (7)

  1. 支持部と、
    前記支持部に対して可動に設けられた可動部と、
    前記可動部の移動を調整する移動調整部と、を備え、
    前記移動調整部は、流体圧を利用して前記可動部の移動を調整することを特徴とする車輪。
  2. 前記可動部および前記支持部によって区画される第1圧力室であって、前記支持部の少なくとも一部を介して前記可動部の可動方向の一方の側に位置する第1圧力室と、
    前記可動部および前記支持部によって区画される第2圧力室であって、前記支持部の少なくとも一部を介して前記可動部の可動方向の他方の側に位置する第2圧力室と、を更に備え、
    前記移動調整部は、前記第1圧力室内の流体圧および前記第2圧力室内の流体圧をコントロールすることにより前記可動部の移動を調整することを特徴とする請求項1に記載の車輪。
  3. 請求項1または2に記載の車輪と、
    車両状態量を検出する状態量検出手段と、
    前記状態量検出手段の検出結果に基づいて前記車輪の移動調整部を制御する移動制御部と、
    を備えることを特徴とする車両。
  4. 請求項1または2に記載の車輪と、
    車両状態量を検出する状態量検出手段と、
    前記状態量検出手段の検出結果に基づいて前記流体圧を調整することにより、前記車輪のスラスト方向の剛性を制御するスラスト剛性制御部と、
    を備えることを特徴とする車両。
  5. 前記状態量検出手段は、車両のヨーレートを検出するヨーレート検出手段を含むことを特徴とする請求項3または4に記載の車両。
  6. 前記状態量検出手段は、車両の横方向加速度を検出する横方向加速度検出手段を含むことを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の車両。
  7. 前記状態量検出手段は、車両の衝突を検出する衝突検出手段を含むことを特徴とする請求項3乃至6のいずれかに記載の車両。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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