JP2006043950A - レジンコンクリート製品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱硬化性樹脂を低配合として、しかも既往製品と同様な外観意匠を確保し、既往の配合率であるなら外観意匠の一層の向上を実現するレジンコンクリート製品の製造方法を提供する。
【解決手段】金型の内周面に離型剤を塗布する工程と、前記離型剤層の上へ硬化促進剤を更に塗布する工程と、熱硬化性樹脂を5〜15重量%配合したレジンコンクリートを前記金型内面へ注入充填する工程と、前記レジンコンクリート製品を金型から離型して取り出す工程とから成る。
【選択図】 図1

Description

この発明は、熱硬化性樹脂を配合した所謂レジンコンクリート製品の製造方法の技術分野に属し、特には熱硬化性樹脂を低配合として、しかも既往製品と同様な外観意匠を確保し、既往の配合率であるなら外観意匠の一層の向上を実現するレジンコンクリート製品の製造方法の技術分野に関する。
近年、プラスティックコンクリートの分野で、熱硬化性樹脂を結合材として骨材、充填材等を強固に固めて成形されるレジンコンクリート製品が注目されている。このレジンコンクリートは、通常のセメント系コンクリートに比して数倍も高強度であり、耐久性、耐水性が高いので、壁厚が薄く、軽量でスマートな製品が得られる利点がある。そのためレジンコンクリート製品はマンホールや管材、下水ます等の上下水道水関連製品として広く用いられている。従来一般に注型による既往製品の熱硬化性樹脂の配合率は10〜15重量%とされている。
こうしたレジンコンクリート製品及びその製造方法としては、従来以下のような先行技術が開示されている。
例えば、下記の特許文献1及び2には、不飽和ポリエステル樹脂で成る硬化性樹脂と、架橋性単量体とからなる樹脂組成物と、硬化促進剤と骨材と充填材等とを順に混練してレジンコンクリートを作り、該レジンコンクリートを型に流し込み、常温又は加熱して硬化させることによりレジンコンクリート製品を得る発明が開示されている。
特開2004−99769号公報 特開2004−182818号公報
上記特許文献1及び2の発明で成形されたレジンコンクリート製品は、不飽和ポリエステル樹脂で成る熱硬化性樹脂(レジン)の配合率が5〜25重量%と記載されている。しかし、マンホール等の大きな構造物に使用する場合には強度を十分に得る必要があり、そのために熱硬化性樹脂を高配合に設定しなければならない。前記熱硬化性樹脂は非常に高価なものであり、配合率が高いとそれだけコストもアップするという問題点がある。しかし、単に配合率を低減させた低配合のレジンコンクリート製品(一例として熱硬化性樹脂の配合率7重量%)の場合は、図3に示すように、気泡等が外へ押し出されて所謂ジャンカJ等を生じさせてしまい、外観意匠を損ない商品化できないという問題点が知られている。
本発明の目的は、熱硬化性樹脂を低配合としたレジンコンクリート製品であって、しかもジャンカ等を発生せず、外観意匠が既往製品と同様で商品価値が良好なレジンコンクリート製品の製造方法を提供することにある。
本発明の更なる目的は、熱硬化性樹脂を既往の配合率(10〜15重量%)で実施して、外観意匠の更なる向上を図り且つ作業効率を向上させることを可能とするレジンコンクリート製品の製造方法を提供することにある。
上述した従来技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係るレジンコンクリート製品の製造方法は、
金型の内周面に離型剤を塗布する工程と、
前記離型剤層の上へ硬化促進剤を更に塗布する工程と、
熱硬化性樹脂を5〜15重量%配合したレジンコンクリートを前記金型内面へ注入充填する工程と、
前記レジンコンクリートの硬化後にレジンコンクリート製品を金型から離型して取り出す工程とから成ることを特徴とする。
請求項2に記載した発明に係るレジンコンクリート製品の製造方法は、
硬化促進剤を予め添加した離型剤を金型の内周面に塗布する工程と、
熱硬化性樹脂を5〜15重量%配合したレジンコンクリートを前記金型内面へ注入充填する工程と、
前記レジンコンクリートの硬化後にレジンコンクリート製品を金型から離型して取り出す工程とから成ることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載した発明に係るレジンコンクリート製品の製造方法において、
レジンコンクリートにおける熱硬化性樹脂の好ましい配合率は、5〜10重量%であることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3に記載した発明に係るレジンコンクリート製品の製造方法において、
レジンコンクリートの組成は、熱硬化性樹脂の他に、砂を約20重量%、炭酸カルシウムを約20重量%とし、残部が砂利等の骨材とすることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1又は2に記載した発明に係るレジンコンクリート製品の製造方法において、
硬化促進剤には、ナフテン酸コバルト、マグネシウム、銅等の金属塩が使用することを特徴とする。
請求項1〜5に記載した発明に係るレジンコンクリート製品の製造方法によれば、以下のような効果を奏する。
(1)レジンコンクリート製品の外観にジャンカ等を発生させず、既往製品と変わりない外観意匠のレジンコンクリート製品を提供できる。
(2)既往製品に比して熱硬化性樹脂(レジン)の配合率を下げた5〜10重量%程度の低配合率で実施するので、熱硬化性樹脂の使用量が減少した分だけ製品コストを引き下げることができ、経済的である。
(3)硬化促進剤を添加した離型剤を使用することにより、工程数が低減され作業効率を向上できる。
(4)本発明の製造方法は熱硬化性樹脂10〜15重量%の既往の配合率において実施すると、既往製品の外観意匠を更に向上させ、且つ従来行われている外観改善の後工程が不要となり作業効率が向上される。
金型1の内周面に離型剤2を塗布する工程と、前記離型剤2の層上へ硬化促進剤3を重ねて塗布する工程と、熱硬化性樹脂を低配合(5〜10重量%)としたレジンコンクリート4を前記金型1の中へ注入し充填する工程と、前記レジンコンクリート4の硬化後にレジンコンクリート製品Aを金型1から離型して取り出す工程とで実施する。
本発明は、熱硬化性樹脂を低配合としても、なお、既往製品と同様な外観意匠で商品価値が良好なレジンコンクリート製品を得るための実験を繰り返した結果、金型1の内面へ予め硬化促進剤3を塗布すると、目的を達成できることを見い出した。理由は明らかでないが、金型1へ塗布した硬化促進剤3が、これに接したコンクリート表面の硬化を促進し急速に硬化膜を形成するので、空気泡が表面へ出現するジャンカ等の発生を抑制するものと推測される。
本発明を実施する金型1には、レジンコンクリート製品に応じて種々な形態のものが採用、使用されるが、要するに、その型面の全面へ、離型剤2に重ねて硬化促進剤3を均一に塗布すれば足りる。
離型剤2としては、既知のフッ素、シリコン、ワックス系のものを好適に使用できる。この離型剤2は、レジンコンクリート製品の取り出しを容易にならしめるものであるから、金型1の全面に十分均一な層状(膜状)に塗布する。
硬化促進剤3としては、アミン類ではなく、金属塩が好適に使用される。例えばナフテン酸コバルト、マグネシウム、銅(Cu)等が単独で又は混合して使用される。硬化促進剤3は、離型剤2が乾燥した後にその上へ均一に塗布する。
レジンコンクリート4の組成は、既知のものと同様で良く、熱硬化性樹脂(レジン)、砂、骨材、及び充填材としての炭酸カルシウム等であり、およそ既往製品と同様に構成される。
熱硬化性樹脂には、安価で硬化時間を自由に調整できる不飽和ポリエステル樹脂を使用するのが好適である。用途によってエポキシン樹脂を使用することもできる。
熱硬化性樹脂のレジンコンクリート4中の配合率は、5〜15重量%(既往の配合率を含む)とする。更に言うと5〜10重量%の低配合率で実施することがより好ましい。
何故なら、レジンコンクリートの強度は熱硬化性樹脂量の減少に伴って低下するため、既往製品の用途におけるマンホール等の構造材料としての適用を前提とする場合には、必要な強度を維持し、且つ外観意匠を損なわない事が求められる。したがって前記条件を満たす最少限度の樹脂配合率は5重量%となる。仮に5重量%以下にすると、レジンコンクリート製品の強度を十分に確保することは難く、強度を保つために壁厚を大きして重量製品となってしまう。また、10重量%以上であると、従来のレジンコンクリートとたいした差がなくコストダウンの効果が低いからである。
砂は配合率を約20重量%とすることが好ましい。
充填材は、上述したように炭酸カルシウムが好適に使用されるが、この限りではない。水酸化アルミニウム、ガラス粉末、クレー、タルク、カオリン等の無機充填材を使用することもできる。充填材のレジンコンクリート4中の配合率は約20重量%であることが好ましい。
残部を占めるのが、砂利、硅砂、硅石、川砂、石灰石、寒水石、砂岩、砕石等の骨材である。
以下に、本発明の実施例1を図面に基づいて説明する。
図1に示す金型1は雌部1aと雄部1bで構成されている。その金型1の内面に先ず、離型剤2としてワックス系のものを層状に塗布した。同離型剤層2の硬化後に、その上に更に硬化促進剤3としてナフテン酸コバルトを約30〜100g/mの厚さで均一に塗布した。
レジンコンクリート4は、不飽和ポリエステル樹脂で成る熱硬化性樹脂を低配合率の7重量%、砂を20重量%、炭酸カルシウム(充填剤)を20重量%、残部の53重量%を骨材とし、レジンコンクリート4を、金型1内へ注入孔1cから注入し充填した。
前記レジンコンクリート4の硬化後に、レジンコンクリート製品Aを前記金型1を離型して取り出した。
次に、比較例として、やはり熱硬化性樹脂7重量%のレジンコンクリート製品Bを同じ金型1の金型内面に硬化促進剤3を塗布しないで成形した。
<外観の比較>
図2に本発明による製造方法で成形した、熱硬化性樹脂7重量%のレジンコンクリート製品Aの一部を示し、図3には硬化促進剤3を塗布しないで成形したレジンコンクリート製品Bの一部を示した。
本発明による製造方法で成形したレジンコンクリート製品Aは、その外周面にジャンカ、クラック等の発生は全くなく外観意匠は既往製品(熱硬化性樹脂10〜15重量%配合)と全く同様に少し青色を帯びた平滑表面であることが分かる。理由は定かではないが、予め金型1の内周面に塗布された硬化促進剤3がレジンコンクリート4を表面から先に硬化させるので、気泡等が外へ押し出されてくるのを防止するものと推測される。
一方、硬化促進剤3を塗布しなかった比較例のレジンコンクリート製品Bは、コンクリート地色というべき自化色でありジャンカJ等が多数発生して外観意匠を大いに損ない商品化はとてもできないものである。
次に、本発明の製造方法によって得た前記レジンコンクリート製品Aの曲げ強度及び圧縮強度について説明する。
図4に、熱硬化性樹脂7重量%のレジンコンクリート製品Aの強度試験結果を示す。レジンコンクリート製品Aの圧縮強度は、平均141MPa、曲げ強度は平均18.2MPaであった。熱硬化性樹脂15重量%の既往製品の圧縮強度は100〜150MPa、曲げ強度は20〜30MPaである。
したがって、本発明によるレジンコンクリート製品Aの強度は、既往製品と比して若干強度は落ちるが、既往製品の代わりとして十分に実施することができる程度のものである。
実施例2は請求項2に記載した発明に係るレジンコンクリート製品の製造方法である。この実施例2も上述した実施例1とほぼ同様に技術的思想に立脚したものであり、以下にその相違点を中心に説明する。
即ち、実施例1では離型剤2が硬化した後に硬化促進剤3を塗布していたが本実施例では、離型剤2に予め1〜10重量%のナフテン酸コバルトで成る硬化促進剤3を添加したものを作成し、金型1の内周面へ塗布する構成とした。
したがって、1工程分を削除できると共に硬化時間が短縮されて作業効率を飛躍的に向上させることができる。
実施例1及び実施例2に記載した本発明のレジンコンクリート製品の製造方法を、熱硬化性樹脂を既往の配合率である10〜15重量%で実施することもできる。
斯くすると、既往製品の外観意匠を更に向上させることができ、且つ従来行われている外観改善の後工程を不要として作業効率を高めることができる。
以上に実施形態及び実施例を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の実施形態の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計の変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のため言及する。例えば、上記各組成で成るレジンコンクリート4をミキサ等で十分に混練する際、公知の顔料、染料等の着色剤、模様材等、粘土調整剤、湿潤剤、紫外線吸収剤等の添加成分を必要に応じて用いても良い。その含有量は特に制限はないが好ましくは5重量%以下である。
本発明に係るレジンコンクリート製品の製造方法の概要を示した断面図である。 本発明の製造方法により得られたレジンコンクリート製品Aの一部を示した斜視図である。 硬化促進剤を塗布しないで形成したレジンコンクリート製品Bの一部を示した斜視図である。 樹脂配合率が7重量%のレジンコンクリート製品の曲げ強度及び圧縮強度試験の結果を示した表である。
符号の説明
1 金型
1a 雌部
1b 雄部
1c 注入孔
2 離型剤
3 硬化促進剤
4 レジンコンクリート
A レジンコンクリート製品
B レジンコンクリート製品
J ジャンカ

Claims (5)

  1. 金型の内周面に離型剤を塗布する工程と、
    前記離型剤層の上に硬化促進剤を更に塗布する工程と、
    熱硬化性樹脂を5〜15重量%配合したレジンコンクリートを前記金型内へ注入し充填する工程と、
    前記レジンコンクリートの硬化後にレジンコンクリート製品を金型から離型して取り出す工程とから成ることを特徴とする、レジンコンクリート製品の製造方法。
  2. 硬化促進剤に予め添加した離型剤を金型の内周面に塗布する工程と、
    熱硬化性樹脂を5〜15重量%配合したレジンコンクリートを前記金型内へ注入し充填する工程と、
    前記レジンコンクリートの硬化後にレジンコンクリート製品を金型から離型して取り出す工程とから成ることを特徴とする、レジンコンクリート製品の製造方法。
  3. レジンコンクリートにおける熱硬化性樹脂の好ましい配合率は、5〜10重量%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載したレジンコンクリート製品の製造方法。
  4. レジンコンクリートの組成は、熱硬化性樹脂の他に、砂を約20重量%、炭酸カルシウムを約20重量%、残部を砂利等の骨材とすることを特徴とする、請求項1〜3に記載したレジンコンクリート製品の製造方法。
  5. 硬化促進剤には、ナフテン酸コバルト、マグネシウム、銅等の金属塩を使用することを特徴とする、請求項1又は2に記載したレジンコンクリート製品の製造方法。
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