JP2006043616A - 水処理方法および水処理装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 有機砒素を含有している水に凝集剤を加えて、含有している有機砒素を沈殿させて除去する沈殿工程の後に、さらに水中に残留する有機砒素を逆浸透膜を用いて除去する逆浸透膜工程を行うことを特徴とする水処理方法と、有機砒素を含有している水を処理する逆浸透膜装置を備えた水処理装置であって、前記水に凝集剤を混合して前記有機砒素を沈殿させる沈殿槽を、前記逆浸透膜装置の上流側に備えたことを特徴とする水処理装置とを提供する。
【選択図】 図1
Description
ところが、近年になって、遺棄化学兵器から有機砒素化合物が漏洩し、地下水などに混入する事例が報告されるに至り、有機砒素化合物を含有する水から、有機砒素を除去する水処理方法の確立が強く望まれるようになっている。特許文献1には、2−クロロビニルアルソニック酸、ビスジフェニルアルシネオキサイドなどの有機砒素を含有した遺棄化学兵器などの洗浄排水と凝集剤とを混合して、有害物の凝集物を限外ろ過膜装置にて除去し、該限外ろ過膜装置にて除去できずに洗浄水中に残留している微細な凝集物や、有害イオンなどをさらに逆浸透膜装置を用いて除去する処理方法が示されている。
このような、処理方法においては、処理前の水に対する、無害化された水の割合が多いほど効率の高い処理方法である。
しかし、上述のような従来の処理方法では、凝集剤を用いて凝集させた凝集物は、そのほとんどを限外ろ過膜にて除去させていることから、該限外ろ過膜の負荷が大きく、目詰まりや、目詰まり除去のための逆洗浄によるろ過の中断などにより、逆浸透膜装置に供給する水量を増大することが困難である。
また、有機砒素は、通常、無機砒素や浮遊微粒子などと比べて凝集を起こしにくく、従来の方法においては、前記限外ろ過膜で除去せずに逆浸透膜装置で除去している。このため、逆浸透膜装置の負荷も大きく、処理水量を増大させるのは困難である。
逆浸透膜装置での処理水量をより大きく得るために、処理圧力を上げて運転することも考え得るが、その場合は、短期間でスケーリング(析出)やファウリング(目詰まり)が生じて抵抗となり、結果、処理水量が低下してしまう。また、前記スケーリングやファウリングを解消するためには薬品洗浄を頻繁に行う必要があり、運転コストも高いものとなる。また、ポンプなど搬送手段もの高い圧力で運転させなければならず運転コストを高くさせてしまう。
また、限外ろ過膜装置をより微細な凝集物を除去し得るものに変更して、逆浸透膜装置の負荷を軽減させることも考え得るが、この場合は、先述の理由と同様に、限外ろ過膜装置での処理量を減少させてしまい、結果的に得られる無害化された水の量を増やすことが困難なものである。
このように、従来の処理方法では、大きな処理水量を得ること、即ち、高い処理効率を得ることが困難である。
有機砒素を含有している水を処理する逆浸透膜装置を備えた水処理装置であって、前記水に凝集剤を混合して前記有機砒素を沈殿させる沈殿槽を、前記逆浸透膜装置の上流側に備えたことを特徴とする水処理装置と、を提供する。
また、本実施形態の水処理装置は、原水ピット6に有機砒素を含有している水を供給する手段、原水ピット6から沈砂池7に処理する水を供給する手段、沈砂池7から原水槽8に処理する水を供給する手段、原水槽8から混和凝集槽1に処理する水を供給する手段、限外ろ過膜装置に凝集沈殿処理水槽10の水を供給する手段、限外ろ過膜装置3にて固形物を除去した水を逆浸透膜装置に供給する手段、限外ろ過膜装置3や逆浸透膜装置4にて水中に含有する有機砒素の濃度が高められた濃縮水を沈殿槽2に返送する手段、及び逆浸透膜装置4にて無害化された水の排出手段として、ポンプ5、配管といった一般的な液体搬送手段を備えている。
前記沈砂池7は、バースクリーン9を備え、前記原水ピット6に貯留された水から大きな塵芥、砂礫など比重の高い雑物を沈降させて除去した後、木材、プラスチック、ビニールシートなどのシート材など浮遊する大きな塵芥を除去して原水槽8に送出するもので処理設備の負荷を軽減させるために備えられている。
前記原水槽8は、前記沈砂池7にて前記大きな塵芥などが除去された水を処理設備にて処理するまでに一時貯留するためのもので、前記原水ピット6と同じく処理設備が過負荷、或いは、休転に陥ることを抑制し得る容量を備えている。
前記混和凝集槽1は、有機砒素を含有している水を一時的に貯留し、凝集剤と十分に混合し得るように、貯留タンク11と、該貯留タンク11内の水を攪拌する、混合攪拌機12とを備えている。
また、前記混和凝集槽1から導入された水に含まれる凝集物が沈殿する前に前記越流せき22を通って前記限外ろ過膜装置に導入されることを抑制し得るように、前記混和凝集槽1と前記沈殿槽2とを連通し、混和凝集槽1から前記沈殿槽2に処理する水を導入する流入管23と該流入管23より導入された水を前記沈殿槽2の底部方向に転流させるセンターウェル24を略中央部に備えている。
前記凝集沈澱処理水槽10は、前記上澄み液を限外ろ過膜装置に導入するまで一時貯留するために備えられている。
このような、限外ろ過膜装置としては、流路面積が大きく閉塞しにくく、逆洗浄も可能で、膜表面の堆積物を容易に除去し得る点において、ろ過膜を略封筒状に構成し内部に透過水排出路を形成し該透過水排出路に連通する貫通孔が穿設された限外ろ過モジュールを複数積層し、前記貫通孔どうしを限外ろ過モジュールの外部からシールされた状態で連結させ、圧力容器内に設置したものを用いることができる。
このような、限外ろ過膜装置は前記限外ろ過モジュールを脱着自在に積層させることにより一部の限外ろ過モジュールが破損した場合においてもすべての限外ろ過モジュールを交換する必要がなくなるという優れた点を有する。
前記分画分子量は、スクロース、ラフィノース 、ビタミンB12、Bacitracin、インシュリン、チトクロームC、ミオグロビン、α−chymotrysinogene 、ペプシン、オバアルブミン、Bovineアルブミン、aldolase 、γ−グロブリンをマーカー分子として用いた阻止率90%の値を指す。
また、前記逆浸透膜としては、酢酸セルロースからなる逆浸透膜や芳香族ポリアミド、脂肪族ポリアミド、ポリアミド−ヒドラジドといったポリアミド系合成膜を使用することができ、NaCl阻止率が99%以上のものが好ましい。
なお、前記NaCl阻止率は、常温において0.15重量%のNaCl水溶液を2MPaの圧力で処理した際に前記逆浸透膜を通過することを阻止することのできるNaCl量により求められた値である。
このような、地下水をポンプによって汲み上げ、凝集剤である塩化第二鉄とともに混和凝集槽へ導入し、混合攪拌手段により地下水と塩化第二鉄とを均一に分散させ、塩化第二鉄に有機砒素、無機砒素、浮遊微粒子などを凝集させる。このとき、前記塩化第二鉄を、地下水に対して100〜2000mg/L、好ましくは300〜1500mg/L、さらに好ましくは、500〜1000mg/Lとなるよう計量して混和凝集槽に導入する。
これは、前記凝集剤が100mg/L未満の場合は、凝集力が不足し処理の効率を低下させる怖れを有し、前記凝集剤が2000mg/Lを超える場合は、凝集剤の消費量に見合う有機砒素の凝集が行われずコストアップとなってしまう怖れを有するためである。また、混和凝集槽に供給する地下水と塩化第二鉄との量は、混和凝集槽から沈殿槽に供給するために排出する量とほぼ同量とし、混和凝集槽に貯留する前記地下水の量をほぼ一定に保持する。該保持する前記地下水の量としては、該地下水を前記混和凝集槽に貯留させる平均時間を3分以上とするのが好ましい。
前記沈殿槽で凝集物を沈殿させた前記地下水は、上澄み液となり前記越流せきを越えて凝集沈澱処理水槽に導入される。
このとき、前記沈殿槽は、無機砒素、浮遊微粒子に比べて微細な凝集物となる有機砒素の凝集物をより確実に沈殿槽に沈殿させるべく、水面積負荷を30m3/m2/日以下とするのが好ましい。
前記沈殿槽において沈殿させた、無機砒素、浮遊微粒子、有機砒素の凝集物は、沈殿槽の底部から、高濃度のスラッジ(汚泥)として前記沈殿物取出口から適宜排出させ、別途、還元加熱処理などにより無害化させればよい。
また、前記スラッジを前記無害化する前に真空蒸発などにより減容化させてもよく、該減容化を行った場合は、無害化処理をより作業性の良好なものとし得る。
また、前記限外ろ過膜装置及び前記逆浸透膜装置で有機砒素が濃縮された濃縮水は、前記沈殿槽に返送し再度沈澱処理を行う。
このように、本実施形態においては、沈殿槽と逆浸透膜装置との中間に限外ろ過膜装置を配しているため、沈殿槽から直接逆浸透膜装置に地下水を導入させる場合に比べ、逆浸透膜装置の負荷をより軽減させて高い処理効率の処理方法とすることができる。
また、前記限外ろ過膜装置の濃縮水は、有機砒素を含む微小凝集物の濃度が高められ、前記逆浸透膜装置の濃縮水は、有機砒素の濃度が高められていることから、これらの濃縮水に含まれる有機砒素ならびに有機砒素含有微小凝集物を、濃度が高められる前に比べて沈殿槽で沈殿させやすいものとすることができ、これらを沈殿槽に返送することで、より多くの有機砒素を沈殿槽にて除去し得る。その結果、濃縮水として無害化処理する場合に比べ濃縮水の減容化工程ならびにそのための設備を不要なものとでき、設備費用、運転費用を削減でき、作業性においても優れたものとし得る。
また、本実施形態においては、有機砒素を含有する水として、遺棄化学兵器により汚染された地下水を用いたが、本発明において有機砒素を含有する水としては、前記地下水に限定されるものではない。
また、前記含有する有機砒素としては、クロロビニルアルソニック酸、ビスジフェニルアルシネオキサイド、ジフェニルクロロアルシン、ジフェニルシアノアルシン、ジフェニルアルソン酸等を例示することができる。
前記濃縮水の減容化を行った場合には、無害化処理する非処理物の量を減らすことができ、無害化処理をより作業性の良好なものとすることができ、無害化処理設備までの運搬コストなどを減少させ得るものとなる。
3 限外ろ過膜装置
4 逆浸透膜装置
Claims (9)
- 有機砒素を含有している水に凝集剤を加えて、含有している有機砒素を沈殿させて除去する沈殿工程の後に、さらに水中に残留する有機砒素を逆浸透膜を用いて除去する逆浸透膜工程を行うことを特徴とする水処理方法。
- 前記沈殿工程と前記逆浸透膜工程との間に、限外ろ過膜を通過させて有機砒素を含有する固形物を除去する限外ろ過膜工程を行う請求項1記載の水処理方法。
- 前記逆浸透膜工程及び前記限外ろ過膜工程の少なくとも一方において有機砒素を含有している水を有機砒素の濃度を高めた濃縮水として除去し、さらに前記濃縮水の水分を蒸発させて減容化を行う請求項1又は2記載の水処理方法。
- 前記逆浸透膜工程及び前記限外ろ過膜工程の少なくとも一方において有機砒素を含有している水を有機砒素の濃度を高めた濃縮水として除去し、該濃縮水を前記沈殿工程以前に戻す請求項1又は2記載の水処理方法。
- 前記凝集剤として塩化第二鉄を用いる請求項1乃至4の何れかに記載の水処理方法。
- 有機砒素を含有している水を処理する逆浸透膜装置を備えた水処理装置であって、
前記水に凝集剤を混合して前記有機砒素を沈殿させる沈殿槽を、前記逆浸透膜装置の上流側に備えたことを特徴とする水処理装置。 - 前記沈殿槽と前記逆浸透膜装置との間に限外ろ過膜装置をさらに備えた請求項6記載の水処理装置。
- 前記逆浸透膜装置及び前記限外ろ過膜装置の少なくとも一方において除去される有機砒素濃度が高められた濃縮水の水分を蒸発させて減容化を行う減容化装置をさらに備えた請求項6又は7記載の水処理装置。
- 前記逆浸透膜装置及び前記限外ろ過膜装置の少なくとも一方において除去される有機砒素濃度が高められた濃縮水を前記沈殿槽以前に戻す返送装置をさらに備えた請求項6乃至8の何れかに記載の水処理装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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