JP2006041193A - フレキシブル配線板、電子機器、ならびに配線配置方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 差動信号の伝送に用いられるフレキシブル配線板において、当該フレキシブル配線板の幅を狭くし、厚さを薄くするとともに、配線間のクロストークを防止する。
【解決手段】 絶縁フィルム2上に形成する各配線の配列のうち、差動データ信号を伝送する差動データ線5と、差動クロック信号を伝送する差動クロック線7との間に、グラウンド線6を配置する。
【選択図】 図1
【解決手段】 絶縁フィルム2上に形成する各配線の配列のうち、差動データ信号を伝送する差動データ線5と、差動クロック信号を伝送する差動クロック線7との間に、グラウンド線6を配置する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、電子機器における電子部品間の信号伝送に用いられるフレキシブル配線板、当該フレキシブル配線板を用いた電子機器、当該フレキシブル配線板における配線配置方法に関するものである。
従来より、ポリイミドやポリエステルなどの高分子からなる可撓性の絶縁フィルム上に配線パターンを形成したフレキシブル配線板(FPC;Flexible Printed Circuit board)が、各種電子機器における回路基板間の接続に用いられている。
フレキシブル配線板は可撓性(柔軟性)を有しているので、実装時の自由度が大きく、また、実装面積を小さくできるなどの利点があり、電子機器の小型化、高密度化に適している。
ところで、フレキシブル配線板では、信号線間のクロストークや電磁波ノイズを防止する必要がある。特に、近年では、伝送する信号の高速化(高周波数化)が図られており、高速の信号を伝送する高速信号線と、他の信号線との間に生じるクロストークや電磁波ノイズ(EMI(ElectroMagnetic Interference)ノイズ)を防止することが重要である。
このため、従来、信号線が形成される層の裏面にグラウンド層(ガードグラウンド)を配置したり、クロック信号などの高速信号線の両隣にグラウンド線(ガードグラウンド)を配置することによって高速信号線をガードし、クロストークや電磁波ノイズの抑制が図られている。また、各配線間の間隔、および、各配線とグラウンド層との間隔を調整することによってインピーダンスマッチングが行い、クロストークや電磁波ノイズの抑制が図られている。
また、例えば高精細の液晶表示や動画表示などを行う電子機器では、データ量の増加に伴う電磁波ノイズを低減するために、従来のパラレル伝送に代えて、差動シリアル伝送方式を採用しているものもある。
図7は、高速差動シリアル伝送を行うための従来の一般的なフレキシブル配線板である、フレキシブル配線板100の概略構成を示す断面図である。この図に示すように、フレキシブル配線板100は、可撓性の絶縁フィルム101と、絶縁フィルム101上に形成されたグラウンド(GND)線102、差動データ(D+)線103、差動データ(D−)線104、グラウンド(GND)線105、差動クロック(CK+)線106、差動クロック(CK−)線107、グラウンド(GND)線108からなる配線層と、絶縁フィルム101における配線層とは反対側の面に設けられたグラウンド(GND)層109とを備えている。
グラウンド線102および108は、断面の両端側にそれぞれ配置されている。また、データ線103と104、および、クロック線106と107は、それぞれ互いに隣接しており、データ線104とクロック線106との間にグラウンド線105が備えられている。これにより、グラウンド線102,108やグラウンド層109によって外部からの静電気や電磁波によるノイズを防止し、また、グラウンド線105によってデータ線104とクロック線106との間にクロストークが生じることを防止している。
また、フレキシブル配線板100では、各配線の間隔を調整することによって、インピーダンスマッチングが行われている。つまり、図7に示すように、フレキシブル配線板100では、各配線の間隔をインピーダンスが整合するように調整しており、この結果、データ線103と104との間隔およびクロック線106と107との間隔が比較的狭く、データ線103,104およびクロック線106,107と各グラウンド線102,105,108との間隔が比較的広くなっている。
また、例えば特許文献1では、信号線が形成される層の裏面に配置されたグラウンド層に接続されるグラウンド線と、上記グラウンド層に接続されていない独立したグラウンド線とを、両グラウンド線が隣り合い、高速信号線が上記独立したグラウンド線と隣り合って上記グラウンド層に接続されたグラウンド線とは隣り合わないように配置することが記載されている。
特開2002−117726号公報(2002年4月19日公開)
近年、例えば携帯電話などの電子機器では、キー操作部などを備えた本体部材と、表示画面などを備えた本体蓋部材とを、回転ヒンジ部(回転駆動部)を介して回転駆動することによって折り畳み可能とした、折り畳み式の携帯電話が実現されている。さらに、このような折り畳み式の携帯電話において、本体蓋部材の一部を、折り畳みのための回転方向と直交する方向に回転可能とした携帯電話も実現されている。
このような回転駆動部を有する電子機器において、本体側に備えられる回路基板と被駆動側の部材に備えられる回路基板とを、回転駆動部を介して接続するフレキシブル配線板は、回転駆動に対応できる柔軟性と、繰り返しの回転動作に対する耐久性とを有する必要がある。特に、上記したような複数方向に回転駆動するための複数の回転駆動部に備えられるフレキシブル配線板においては、厚さ方向への変形に対する柔軟性,耐久性に加えて、幅方向への変形(捩れ)に対する柔軟性,耐久性が要求される。
しかしながら、上記従来の技術では、電磁波ノイズやクロストークを防止するために、グラウンド層を配置したり、多数のグラウンド線を配置する必要があり、フレキシブル配線板の厚さを薄くし、幅を狭くすることが困難である。すなわち、上記従来の技術では、グラウンド層や多数のグラウンド線を設けたり、配線間隔を調整してインピーダンスマッチングを行うことができないサイズ(厚さおよび幅)のフレキシブル配線板において、クロストークや電磁波ノイズの影響を防止することができない。
また、このように厚さが薄く、幅が狭いサイズのフレキシブル配線板において、電磁波ノイズの影響を低減するために、差動シリアル信号を用いた伝送方式を採用することが考えられるが、この場合には、配線間のクロストークが問題になる。例えば、フレキシブル配線板上で生じるクロストークによって差動クロック信号の片側の信号のみがノイズを生じた場合、誤作動を生じる可能性がある。
図8は、グラウンド層を設けることも、複数のグラウンド線を設けることもできない場合の、差動シリアル信号の伝送に用いられるフレキシブル配線板200の構成を示す断面図である。この図に示すフレキシブル配線板200は、可撓性の絶縁フィルム201上に、電源(VDD)線202、差動データ(D−)線203、差動データ(D+)線204、差動クロック(CK−)線205、差動クロック(CK+)線206、グラウンド線207(GND)からなる1層の配線層を備えた、片面フレキシブル配線板である。
図9は、フレキシブル配線板200によって伝送される信号のタイミングチャートである。この図において、CK−,CK+は差動クロック線205,206によって伝送される差動クロック信号を表し、D−,D+は差動データ線203,204によって伝送される差動データ信号を表している。また、CKは、受信側の回路で再現されるクロック信号(再現デジタルクロック信号)、Dは受信側の回路で再現されるデータ信号(再現デジタルデータ信号)を表している。
図8に示したように、フレキシブル配線板200では、差動データ線204と差動クロック線205とが隣接して配置されているので、両者の間にクロストークが生じる。図9における破線は、このクロストークの影響を示している。この図に示す例では、差動クロック線205を介して伝送される差動クロック信号CK−に、差動データ線204を介して伝送される差動データ信号D+とのクロストークによるノイズが生じている。すなわち、差動クロック信号CK−の立ち上がり時に、それと同時に伝送されている差動データ信号D+の立ち下がりによるノイズが乗っており、差動クロック信号CK−と差動クロック信号CK+との大小関係が本来の信号とは逆になっている。
その結果、再現クロック信号CKは、ノイズの影響を受けた波形となっている。すなわち、再現クロック信号CKにグリッジが生じており、再現クロック信号CKにノイズによる立ち上がりが生じている。このため、受信側回路において再現クロック信号CKの立ち上がりで再現データ信号Dをラッチする(再現データ信号Dを再現クロック信号CKの立ち上がりがあるまで保持する)場合、同じデータを2度ラッチしてしまうことになり、受信側回路に誤動作が生じてしまう。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、差動信号の伝送に用いられるフレキシブル配線板において、当該フレキシブル配線板の幅を狭くし、厚さを薄くするとともに、配線間のクロストークを防止したフレキシブル配線板、それを用いた電子機器、ならびに配線配置方法を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明のフレキシブル配線板は、絶縁フィルム上に、差動信号を伝送する第1配線と、上記差動信号と同時に変化する信号を伝送する第2配線と、上記第1配線および第2配線によって伝送される信号よりも変化の頻度が低い信号を伝送する第3配線と、を含む配線層が形成されてなるフレキシブル配線板であって、上記第3配線が、上記第1配線と上記第2配線の間に形成されていることを特徴としている。
上記の構成によれば、第1配線および第2配線によって伝送される信号よりも変化の頻度が低い信号を伝送する第3配線を、第1配線と第2配線の間に形成しているので、第1配線と第2配線の間にクロストークが生じることを防止できる。
このため、第3配線を形成する位置を、第1配線と第2配線の間にするだけで、クロストークを防止するための構成を他に付加したり、配線間隔を広げてインピーダンスマッチングを行ったりすることなく、第1配線と第2配線の間に生じるクロストークを防止できる。
したがって、差動信号の伝送に用いられるフレキシブル配線板において、当該フレキシブル配線板の幅を狭くし、厚さを薄くするとともに、配線間のクロストークを防止することができる。
また、上記フレキシブル配線板に含まれる導体層が、上記配線層のみであってもよい。
この場合、第1配線および第2配線によって伝送される信号よりも変化の頻度が低い信号を伝送する第3配線を、第1配線と第2配線の間に形成しているので、例えばグラウンド層などの配線層以外の導体層を備えていなくても、第1配線と第2配線の間にクロストークが生じることを防止できる。
したがって、差動信号の伝送に用いられるフレキシブル配線板において、当該フレキシブル配線板の厚さを薄くするとともに、配線間のクロストークを防止したフレキシブル配線板を実現できる。
また、上記第3配線は、グラウンドに接続されるグラウンド線であってもよい。
この場合、上記第1配線と第2配線との間にグラウンド線を配置するだけで、第1配線と第2配線の間にクロストークが生じることを防止できる。このため、クロストークを防止するために多数のグラウンド線を付加したり、配線間隔を広げてインピーダンスマッチングを行ったりすることなく、第1配線と第2配線の間に生じるクロストークを防止できる。したがって、差動信号の伝送に用いられるフレキシブル配線板において、当該フレキシブル配線板の幅を狭くするとともに、配線間のクロストークを防止したフレキシブル配線板を実現できる。
また、上記第3配線は、電力を伝送する電源線、または、リセット信号を伝送するリセット線であってもよい。
この場合、上記第1配線と第2配線との間に電源線またはリセット線を配置するだけで、第1配線と第2配線の間にクロストークが生じることを防止できる。このため、クロストークを防止するためにグラウンド線を付加したり、配線間隔を広げてインピーダンスマッチングを行ったりすることなく、第1配線と第2配線の間に生じるクロストークを防止できる。したがって、差動信号の伝送に用いられるフレキシブル配線板において、当該フレキシブル配線板の幅を狭くするとともに、配線間のクロストークを防止したフレキシブル配線板を実現できる。
また、上記第2配線によって伝送される信号は、上記第1配線によって伝送される差動信号と異なる他の差動信号、または、デジタル信号であってもよい。
第2配線によって伝送される信号が、第1配線によって伝送される差動信号と同時に変化する、他の差動信号またはデジタル信号である場合、第1配線と第2配線とを隣接して配置すると、両者の間でクロストークが生じる可能性がある。これに対して、上記の構成によれば、第1配線と第2配線の間に、上記第3配線を形成しているので、第1配線と第2配線の間にクロストークが生じることを防止できる。
本発明の電子機器は、上記したいずれかのフレキシブル配線板を備えている。
上記の構成の電子機器は、幅が狭く、厚さが薄いフレキシブル配線板であって、配線間のクロストークを防止したフレキシブル配線板を用いている。したがって、電子機器内の内部配線を高密度化するとともに、クロストークによる誤動作を防止した電子機器を実現できる。これにより、電子機器の小型化、高機能化を図ることができる。また、電子機器のサイズを増大させることなく、大容量のデータ伝送を行うことが可能となる。
また、本発明の電子機器は、本体と、当該本体に対して位置または角度が相対的に変化する駆動部とを備え、上記本体および上記駆動部にそれぞれ備えられた電子部品を、上記フレキシブル配線板によって接続している構成としてもよい。
上記の構成によれば、幅が狭く、厚さが薄いフレキシブル配線板であって、配線間のクロストークを防止したフレキシブル配線板によって、電子機器の本体側に備えられた電子部品と、駆動部側に備えられた電子部品とを接続している。したがって、上記駆動部の駆動に追従する可撓性と、上記駆動部の繰り返しの駆動に対する耐久性とを有するフレキシブル配線板を用いて、電子機器の本体側に備えられた電子部品と、駆動部側に備えられた電子部品とを信号伝送可能に接続することができ、また、誤動作を防止した高機能な電子機器を実現できる。
本発明の配線配置方法は、上記の課題を解決するために、絶縁フィルム上に、差動信号を伝送する第1配線と、上記差動信号と同時に変化する信号を伝送する第2配線と、上記第1配線および第2配線によって伝送される信号よりも変化の頻度が低い信号を伝送する第3配線と、を含む配線層が形成されてなるフレキシブル配線板における配線配置方法であって、上記第3配線を、上記第1配線と上記第2配線の間に配置することを特徴としている。
上記の方法によれば、第1配線および第2配線によって伝送される信号よりも変化の頻度が低い信号を伝送する第3配線を、第1配線と第2配線の間に配置しているので、第1配線と第2配線の間にクロストークが生じることを防止できる。
このため、第3配線を、第1配線と第2配線の間に配置するだけで、クロストークを防止するための構成を他に付加したり、配線間隔を広げてインピーダンスマッチングを行ったりすることなく、第1配線と第2配線の間に生じるクロストークを防止できる。
したがって、差動信号の伝送に用いられるフレキシブル配線板において、当該フレキシブル配線板の幅を狭くし、厚さを薄くするとともに、配線間のクロストークを防止することができる。
以上のように、本発明の本発明のフレキシブル配線板は、第1配線および第2配線によって伝送される信号よりも変化の頻度が低い信号を伝送する第3配線を、第1配線と第2配線の間に形成している。
それゆえ、第3配線を形成する位置を第1配線と第2配線の間にするだけで、クロストークを防止するための構成を他に付加したり、配線間隔を広げてインピーダンスマッチングを行ったりすることなく、第1配線と第2配線の間に生じるクロストークを防止できる。
したがって、差動信号の伝送に用いられるフレキシブル配線板において、当該フレキシブル配線板の幅を狭くし、厚さを薄くするとともに、配線間のクロストークを防止したフレキシブル配線板を実現できる。
本発明の電子機器は、上記したいずれかのフレキシブル配線板を備えている。
それゆえ、電子機器内の内部配線を高密度化するとともに、クロストークによる誤動作を防止した電子機器を実現できる。これにより、電子機器の小型化、高機能化を図ることができる。また、電子機器のサイズを増大させることなく、大容量のデータ伝送を行うことが可能となる。
本発明の配線配置方法は、第1配線および第2配線によって伝送される信号よりも変化の頻度が低い信号を伝送する第3配線を、第1配線と第2配線の間に配置する。
この場合、第3配線を第1配線と第2配線の間に配置するだけで、クロストークを防止するための構成を他に付加したり、配線間隔を広げてインピーダンスマッチングを行ったりすることなく、第1配線と第2配線の間に生じるクロストークを防止できる。
したがって、差動信号の伝送に用いられるフレキシブル配線板において、当該フレキシブル配線板の幅を狭くし、厚さを薄くするとともに、配線間のクロストークを防止したフレキシブル配線板を実現できる。
本発明の一実施形態について説明する。図2(a)〜図2(e)は、本実施形態にかかるフレキシブル配線板1を備えた携帯電話(折り畳み式携帯電話)10の斜視図である。本実施形態にかかるフレキシブル配線板1は、携帯電話10の駆動部に設置され、差動シリアル信号の伝送を行うものである。
なお、フレキシブル配線板1は、ヒンジ部13の駆動に適切に追従する可撓性(柔軟性)と、繰り返しの駆動に対する耐久性とを有するように、幅が狭く、厚さが薄く形成されている。また、フレキシブル配線板1は、配線層以外にグラウンド層(グラウンド電位となるグラウンド層(導体層)や、電源の供給のための広い面積の導体層)を備えない、片面フレキシブル配線板であって、幅を狭くするために配線層に設置するグラウンド線の数が制限され、各配線間の間隔を短くするためにインピーダンスマッチングが行われていないにもかかわらず、配線間のクロストークによる誤動作が防止された構造になっている。
図2(a)は携帯電話10を閉じた状態(折り畳んだ状態)の斜視図である。この図に示すように、携帯電話10は、本体11、本体蓋部(駆動部)12、ヒンジ部(駆動部)13を備えている。また、本体11には各種操作キー14が備えられており、本体蓋部12には液晶表示画面15が備えられている。
また、携帯電話10は、本体蓋部12に図2(a)に示した矢印方向の力を加えることにより、ヒンジ部13を軸として本体11と本体蓋部12とを相対的に回転させて開くことができる。図2(b)は、この開動作によって携帯電話10を開いた状態を示す斜視図である。なお、逆方向に回転させることにより、携帯電話10を閉じる閉動作を行うことができる。
また、携帯電話10は、本体蓋部12を、本体11およびヒンジ部13に対して、上記開閉動作の回転軸と直交する方向を軸として180度回転させることができる。図2(c)は、この回転動作によって、本体蓋部12を回転させている状態を示す斜視図である。また、図2(d)は、この回転動作によって本体蓋部12を180度回転させた状態を示す斜視図である。
さらに、携帯電話10は、図2(d)のように本体蓋部12を、本体11と本体蓋部12との開閉方向に直交する方向に180度回転させた状態で、上記開閉動作を行うこともできる。つまり、本体蓋部12を図2(d)の矢印方向に回転させることにより、図2(e)に示すように、液晶表示画面15が外側を向いた状態となるように携帯電話10を閉じることができる。
図3は、本体11の内部に備えられている制御回路基板16、本体蓋部12の内部に備えられている表示制御回路基板17、制御回路基板16と表示制御回路基板17とを接続するフレキシブル配線板1を模式的に示した透視斜視図である。制御回路基板16は、携帯電話10における全ての動作を制御するための回路を備えた回路基板である。表示制御回路基板17は、液晶表示画面15の表示状態を制御する回路を備えた回路基板である。フレキシブル配線板1は、上記開閉動作のための回転軸(図示せず)、および、上記開閉方向に直交する方向に回転するための回転軸(図示せず)に巻き付けるように備えられており、これらの回転軸を介して制御回路基板16と表示制御回路基板17とを接続し、両回路基板間での信号伝送を可能としている。
図4は、フレキシブル配線板1を展開した状態を示す平面図である。この図に示すように、フレキシブル配線板1は、細長い形状からなり、回路配置や各回転軸の位置・形状などを考慮した携帯電話10への搭載時の状態に応じた平面形状に形成されている。そして、このような平面形状からなるフレキシブル配線板1を図3に示したように各回転軸に巻きつけるようにして携帯電話10に設置することにより、携帯電話10の開閉・回転動作に追従できるようになっている。より詳細には、図4に示したA−A’面でフレキシブル配線板1を2つ折りにして重ねた状態で各回転軸に巻きつけ、フレキシブル配線板1の中央付近に形成された大きいコネクタ接続部30と、フレキシブル配線板1の両端に形成された2つの小さいコネクタ接続部31,32の、3箇所を回路基板側のコネクタに接続するようになっている。
なお、各回転軸に巻きつけるように設置し、また、開閉動作および回転動作に対する追従性、これらの動作の繰り返しに対する耐久性を備えるためには、フレキシブル配線板1の幅を狭くし、厚さを薄くすることが好ましい。
図5は、図4に示したフレキシブル配線板1の一部を拡大した平面図である。この図に示すように、フレキシブル配線板1には、絶縁フィルム2上に、多数の配線3,4,5,・・・からなる配線層が形成されている。また、各配線の端部には回路基板と接続するための端子(エッジコネクタ端子、コネクタ接続部)が形成されている。そして、この端子を、回路基板側に備えられたメス型のソケット端子(コネクタ)に嵌合させることにより、フレキシブル配線板1を回路基板とを電気的に接合させるようになっている。
なお、フレキシブル配線板1の最小幅は4mmとなっており、この幅内に16本または17本の配線が設けられている。すなわち、フレキシブル配線板1は、上記のように2つ折りにした一方の部分に16本の配線が形成されており、他方の部分に17本の配線が形成されている。
また、フレキシブル配線板1では、幅を狭くするために、配線層に備えられるグラウンド線の本数を6本とし、配線の総数を削減して幅の低減を図っている。このため、フレキシブル配線板1では、差動シリアル信号やデジタル信号などの同時に変化する可能性のある信号の伝送に用いられる配線の数よりも、グラウンド線の数を少なくなっている。
図1は、フレキシブル配線板1のD−D’断面(図5参照)の一部を示す断面図である。この図に示すように、フレキシブル配線板1には、絶縁フィルム2の一端側から順に、電源(VDD)線3、差動データ(D−)線4、差動データ(D+)線5、グラウンド(GND)線6、差動クロック(CK−)線7、差動クロック(CK+)線8が備えられている。なお、差動データ線4と5、および、差動クロック線7と8の各差動ペアには、振幅が同じで位相が180度異なる一対の差動信号(差動データ信号D−とD+、および、差動クロック信号CK−とCK+)がそれぞれ伝送されている。
絶縁フィルム2は、ポリイミドからなる。ただし、絶縁フィルム2の材質はこれに限るものではない。各配線(導体)3〜8を支持する適度な強度と、湾曲、屈折、捩れ等の変形に対する可撓性(柔軟性)およびこれらの変形の繰り返しに対する耐久性を有する材質であればよく、例えば、ポリエステルなどの他の高分子からなるものであってもよい。
各配線3〜8は、銅(銅箔)で形成されている。ただし、これに限らず、例えばタングステン,モリブデン,銀,パラジウムなどの他の導電性金属を用いてもよい。ただし、繰り返しの湾曲や屈曲に対する耐久性を有する材料を用いることが好ましい。
なお、フレキシブル配線板1は、幅を狭くするため、すなわち、4mmの幅に16〜17本の配線を設けるために、各配線の幅を80〜200μm、各配線間の間隔(導体間隙)を90μm以下としている。また、フレキシブル配線板1では、このような狭い配線間の間隔を実現するために、各配線のインピーダンスマッチングを行っていない。
また、フレキシブル配線板1の厚さは43μmとなっている。フレキシブル配線板1では、このような薄い厚さとするとともに、配線を構成する銅箔の湾曲・屈折時の変形(伸び縮み)量を低減して金属疲労による断線を防止するために、絶縁フィルム(絶縁基板)2上の片面にのみ配線層(胴体パターン)が形成された片面フレキシブル配線板となっており、グラウンド層を備えない構成となっている。
このように、各配線のインピーダンスマッチングを行わず、また、グラウンド層(ガードグラウンド)を備えず、グラウンド線の本数を同時に変化する可能性のある信号(差動信号やデジタル信号など)の伝送に用いられる配線の数よりも少なくする場合、同時に変化する可能性のある信号を伝送する配線同士を隣接させると、これらの配線間でクロストークが生じる場合がある。例えば、上記した図8のように、差動データ(D+)線204と差動クロック(CK−)線205とを隣接させると、図9に示したような誤動作を起こしてしまう。
そこで、フレキシブル配線板1では、差動データ線5と差動クロック線7の間に、グラウンド線6を配置している。これにより、両配線間に生じるクロストークおよびそれに伴う誤動作を防止できる。
以上のように、本実施形態にかかるフレキシブル配線板1は、差動シリアル信号を伝送する、グラウンド層を備えない、片面フレキシブル配線板であって、異なる情報の差動信号を伝送する配線(差動データ線5と差動クロック線7)、すなわち異なる差動ペアの配線の間に、グラウンド線6を配置している。
これにより、差動データ線5と差動クロック線7の間にクロストークが生じることを防止し、クロストークによる誤動作を防止できる。また、フレキシブル配線板1の構造を変えることなく、クロストークによる誤動作を防止できる。
なお、フレキシブル配線板1では、差動データ線5と差動クロック線7の間にグラウンド線6を配置しているが、差動データ線5と差動クロック線7の間に配置する配線はこれに限るものではない。差動データ線5および差動クロック線7よりもインピーダンスが低く、変化の少ない信号を伝送する配線であれば、グラウンド線6を配置する場合と略同様の効果を得ることができる。例えば、図6に示すように、差動データ線5と差動クロック線7の間に電源線(第3配線)3を配置してもよい。また、フレキシブル配線板1がリセット信号を伝送するリセット線(第3配線、図示せず)を含む場合には、リセット線を配置してもよい。
また、本実施形態では、図1に示したように、差動データ線5と差動クロック線7とが、間にグラウンド線6(インピーダンスが低く、変化の少ない信号を伝送する配線)を挟んで隣接する構成について説明したが、フレキシブル配線板1の配線配置はこれに限るものではない。一対の差動信号を伝送する配線同士、つまり、差動データ線4と5、および、差動クロック線7と8、がそれぞれ隣接しており、差動データ線4または5と差動クロック線7または8とが、グラウンド線6を挟んで隣接する配置としてもよい。この場合にも、図1に示した構成と略同様の効果が得られる。
また、本実施形態では、差動データ線5と差動クロック線7との間に生じるクロストークを防止する構成について説明したが、クロストークを防止する対象はこれに限るものではない。例えば、差動データ線5と差動クロック線7に限らず、他の差動信号を伝送する配線と、それと異なる他の同時に変化する信号(デジタル信号あるいは差動信号)を伝送する配線との間におけるクロストークを防止するように、クロストークを防止する配線同士の間に、これらの配線よりもインピーダンスが低く、変化の少ない信号を伝送する配線を配置するようにしてもよい。
また、本実施形態では、フレキシブル配線板1の最小幅を4mmとし、この幅内に16〜17本の配線が形成されている例を説明しているが、フレキシブル配線板1の幅および配線数はこれに限るものではない。ただし、本発明は、フレキシブル配線板1の幅を薄くするためにグラウンド線の数を削減する必要があり、また、インピーダンスマッチングを行うことができない場合に特に適しており、例えば、幅1mmあたり5本以上の配線を設ける場合、あるいは各配線の配線間隔を200μm以下にする場合に特に適している。
また、本実施形態では、フレキシブル配線板1の厚さを43μmとしているが、フレキシブル配線板1の厚さはこれに限るものではない。ただし、本発明は、フレキシブル配線板1の厚さを薄くするために片面フレキシブル配線板であって、グラウンド層を備えない構成とする必要がある場合に特に適しており、例えば、銅箔(配線層)の厚さが20μm以下のフレキシブル配線板に特に適している。
また、本実施形態では、携帯電話10における制御回路基板(電子部品)16と表示制御回路基板(電子部品)17とをフレキシブル配線板1によって接続する構成例について説明したが、フレキシブル配線板1によって接続する電子部品はこれらに限るものではなく、他のどのような電子部品の接続に用いてもよい。例えば、携帯電話10にカメラ(電子部品、図示せず)と、そのカメラの動作を制御する回路が組み込まれた回路基板(電子部品、図示せず)とを本体蓋部12に備え、当該回路基板と制御回路基板16とを、フレキシブル配線板1によってヒンジ部13を介して接続するようにしてもよい。また、本体蓋部12にカメラを回転または移動可能に備え、カメラを構成する電子部品とその制御回路を含む回路基板とを、フレキシブル配線板1によって接続するようにしてもよい。
また、本実施形態では、携帯電話10に備えられるフレキシブル配線板1について説明したが、フレキシブル配線板1を適用する電子機器はこれに限るものではなく、電子機器全般に適用できる。ただし、本発明のフレキシブル配線板1は、電子機器における本体と本体に対して相対的に移動または回転する駆動部を有する電子機器における、駆動部を介した接続に特に適している。
例えば、本発明のフレキシブル配線板1は、折り畳み式携帯電話,折り畳み式PHS(Personal Handyphone System、登録商標),折り畳み式PDA(Personal Digital Assistant),折り畳み式ノートパソコンなどの折り畳み式情報端末装置などにおける駆動部に適用できる。
また、電話機,FAX,無線通信装置等の通信装置、液晶ディスプレイ,プラズマディスプレイ,ELディスプレイ,CRTディスプレイなどの表示装置、デジタルカメラ,ビデオカメラなどの撮影装置、コピー機,プリンタなどの印刷装置などにおける駆動部に適用することもできる。
また、ビデオテープやカセットテープ等の磁気テープ、フロッピー(登録商標)ディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CD−ROM,MO,MD,DVD,CD−R等の光ディスク(光磁気ディスク)、ICカード,光カード等のメモリカード、マスクROM,EPROM,EEPROM,フラッシュROM等の半導体メモリー、などの記録再生を行う記録再生装置における駆動部に適用することもできる。例えば、磁気ディスクや光ディスク(光磁気ディスク)などの記録再生装置に備えられる、アクチュエータ、光ピックアップ装置などの記録再生装置の本体に対して相対的に移動する駆動部に設置し、本体側と駆動部側とを接続するために用いることもできる。
また、本実施形態では、絶縁フィルム2上に配線層のみが形成されたフレキシブル配線板1について説明したが、これに限るものではない。例えば、配線層を保護する保護層や、防湿コーティング層、防錆剤層などが形成されていてもよい。
また、フレキシブル配線板1は、単独で用いられてもよく、あるいは、他のフレキシブル配線板や導電性フィルムなどと組み合わせて用いてもよい。例えば、携帯電話10において、フレキシブル配線板1を開閉動作のための回転軸、および、上記開閉方向に直交する方向に回転するための回転軸に巻き付けるように備える際、グラウンド層を備えたフィルム(フレキシブル配線板)を、フレキシブル配線板1の外側に重ね合わせて巻き付けてもよい。この場合、上記のフィルムによって、外部からの静電気や電磁波などの影響がフレキシブル配線板1に及ぶことを防止できる。また、この場合、フレキシブル配線板1と上記フィルムとは別体であるので、フレキシブル配線板1の可撓性や繰り返しの駆動に対する耐久性を損なうことがない。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明のフレキシブル配線板は、電子機器における回路基板間の信号伝送全般に用いることができ、特に、折り畳み部や回転駆動部、水平駆動部などの駆動部を有する電子機器において、駆動部を介して回路基板間を接続するのに適している。
本発明のフレキシブル配線基板を適用できる電子機器としては、例えば、携帯電話,PHS(Personal Handyphone System、登録商標),PDA(Personal Digital Assistant),パソコン,電話機,FAX等の情報端末装置、液晶ディスプレイ,プラズマディスプレイ,ELディスプレイ,CRTディスプレイなどの表示装置、デジタルカメラ,ビデオカメラなどの撮影装置、コピー機,プリンタなどの印刷装置があげられる。また、ビデオテープやカセットテープ等の磁気テープ、フロッピー(登録商標)ディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CD−ROM,MO,MD,DVD,CD−R等の光ディスク(光磁気ディスク)、ICカード,光カード等のメモリカード、マスクROM,EPROM,EEPROM,フラッシュROM等の半導体メモリー、などの記録再生を行う記録再生装置などがあげられる。
1 フレキシブル配線板
2 絶縁フィルム
3 電源線
4 差動データ線
5 差動データ線(第1配線)
6 グラウンド線(第3配線)
7 差動クロック線(第2配線)
8 差動クロック線
10 携帯電話(電子機器)
11 本体
12 本体蓋部(駆動部)
13 ヒンジ部(駆動部)
16 制御回路基板(電子部品)
17 表示制御回路基板(電子部品)
CK+,CK− 差動クロック信号(差動信号)
D+,D− 差動データ信号(差動信号)
2 絶縁フィルム
3 電源線
4 差動データ線
5 差動データ線(第1配線)
6 グラウンド線(第3配線)
7 差動クロック線(第2配線)
8 差動クロック線
10 携帯電話(電子機器)
11 本体
12 本体蓋部(駆動部)
13 ヒンジ部(駆動部)
16 制御回路基板(電子部品)
17 表示制御回路基板(電子部品)
CK+,CK− 差動クロック信号(差動信号)
D+,D− 差動データ信号(差動信号)
Claims (8)
- 絶縁フィルム上に、差動信号を伝送する第1配線と、上記差動信号と同時に変化する信号を伝送する第2配線と、上記第1配線および第2配線によって伝送される信号よりも変化の頻度が低い信号を伝送する第3配線と、を含む配線層が形成されてなるフレキシブル配線板であって、
上記第3配線が、上記第1配線と上記第2配線の間に形成されていることを特徴とするフレキシブル配線板。 - 上記フレキシブル配線板に含まれる導体層が、上記配線層のみであることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル配線板。
- 上記第3配線は、グラウンドに接続されるグラウンド線であることを特徴とする請求項項1または2に記載のフレキシブル基板。
- 上記第3配線は、電力を伝送する電源線、または、リセット信号を伝送するリセット線であることを特徴とする請求項1または2に記載のフレキシブル基板。
- 上記第2配線によって伝送される信号は、上記第1配線によって伝送される差動信号と異なる他の差動信号、または、デジタル信号であることを特徴とする請求項1または2に記載のフレキシブル配線板。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のフレキシブル配線板を備えてなる電子機器。
- 本体と、当該本体に対して位置または角度が相対的に変化する駆動部とを備え、
上記本体および上記駆動部にそれぞれ備えられた電子部品を、上記フレキシブル配線板によって接続していることを特徴とする請求項6に記載の電子機器。 - 絶縁フィルム上に、差動信号を伝送する第1配線と、上記差動信号と同時に変化する信号を伝送する第2配線と、上記第1配線および第2配線によって伝送される信号よりも変化の頻度が低い信号を伝送する第3配線と、を含む配線層が形成されてなるフレキシブル配線板における配線配置方法であって、
上記第3配線を、上記第1配線と上記第2配線の間に配置することを特徴とする配線配置方法。
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JP2004219218A JP2006041193A (ja) | 2004-07-27 | 2004-07-27 | フレキシブル配線板、電子機器、ならびに配線配置方法 |
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