JP2006039327A - 半透過反射型カラー液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 内在反射方式の半透過反射型カラ−液晶表示装置は、透過表示の彩度と明るさが不足しているという問題点がある。
【解決手段】 第1の偏光板11と、カラーフィルタ13とパターンニング位相差層9と半透過反射層7を第1基板に内在した液晶素子20と、第2の偏光板12を備え、パターンニング位相差層の膜厚を0.3〜0.6μにすることで、半透過反射層の開口部のカラーフィルタ膜厚が、非開口部のカラーフィルタ膜厚より厚くなり、追加工程無しで、高彩度で、明るい透過表示が得られ、かつ、明るい反射表示も可能である内在反射方式の半透過反射型カラー液晶表示装置を得られた。
【選択図】 図1
【解決手段】 第1の偏光板11と、カラーフィルタ13とパターンニング位相差層9と半透過反射層7を第1基板に内在した液晶素子20と、第2の偏光板12を備え、パターンニング位相差層の膜厚を0.3〜0.6μにすることで、半透過反射層の開口部のカラーフィルタ膜厚が、非開口部のカラーフィルタ膜厚より厚くなり、追加工程無しで、高彩度で、明るい透過表示が得られ、かつ、明るい反射表示も可能である内在反射方式の半透過反射型カラー液晶表示装置を得られた。
【選択図】 図1
Description
本発明は液晶表示装置の構成に関し、特に、液晶素子内部に反射層を備えた内在反射方式の半透過反射型カラー液晶表示装置の透過モードにおける明るさと彩度を高める技術に関するものである。
従来、反射型液晶表示装置は、一対の偏光板と、一方の偏光板の外側に配置した反射層の間に、TN(ツイステッドネマティック)液晶素子や、STN(スーパーツイステッドネマチック)液晶素子を設けた反射型液晶表示装置が主に用いられている。しかし、この方式では明るさが低く、さらに、反射層がガラス基板の外側にあるので、視差により、表示に影が生じるという問題がある。
上記の対策として、反射層を液晶素子内部に形成し、偏光板1枚で表示が可能な内在反射方式の反射型液晶表示装置が提案されている。偏光板が1枚であるので、従来の偏光板を2枚用いる反射型液晶表示装置より明るさを改善することができる。また、反射層を液晶表示素子内部に形成することで、ガラス基板の厚みによる表示の影の問題も解決することが可能である。
また、反射層として、アルミニウムを蒸着やスパッタ法で膜厚が0.01〜0.03μmと非常に薄く成膜し、ハーフミラー化した半透過反射層を用いたり、反射層に画素毎の開口部をフォトエッチングにより設けた半透過反射層を用い、外光が弱い場所や夜間にはバックライトの光で表示を行う内在反射方式の半透過反射型液晶表示装置が開発されている。
この半透過反射型液晶表示装置の第1の従来例(特許文献1参照)を図面を用いて説明する。図10は、従来の半透過反射型液晶表示装置の断面図である。図10に示すように、液晶素子30と、液晶素子30の上側に、散乱層15と液晶ポリマー位相差板12と第1の偏光板11と、液晶素子30の下側に設けた、1/4波長位相差板14と、第2の偏光板17と、バックライト16により構成してある。
液晶素子30は、アルミニウムからなる厚さ0.15μmの半透過反射層7と、アクリル系材料からなる厚さ2μmの保護膜8と、透明電極であるITOからなる厚さ0.2μmの第1の電極3とを形成した厚さ0.5mmのガラス板からなる第1の基板1と、ITOからなる厚さ0.2μmの第2の電極4が形成されている厚さ0.5mmのガラス板からなる第2の基板2と、第1の基板1と第2の基板2を張り合わせるシール材5と、第1の基板1と第2の基板2とに挟持されているネマチック液晶からなる液晶層6とで形成してある。
この内在反射方式の半透過反射型液晶表示装置は、液晶ポリマー位相差板12のツイスト角と、液晶層6の複屈折性を表すΔnとセルギャップdとの積であるΔnd値、ならびに配置角度を最適化し、液晶素子のツイスト角と液晶ポリマー位相差板のツイスト角に差を設け、かつ、液晶素子のΔnd値と液晶ポリマーのΔnd値に差を設けることにより、液晶ポリマー位相差板12と液晶層6を合成した複屈折性が、緑色の光の波長の約1/4波長相当になるように設定してある。反射表示において、電圧無印加状態のオフ状態では、入射光は半透過反射層7において円偏光となり、再度、液晶層6と液晶ポリマー位相差板12を透過して、入射光と直交した直線偏光となり、黒表示が得られる。電圧を印加したオン状態で、液晶素子のΔnd値が減少し、液晶ポリマー位相差板12と液晶層6を合
成した複屈折性がほぼゼロになるため、第1の偏光板を透過した入射光は、直線偏光のまま、半透過反射層7に到達し、そのまま入射光と平行な直線偏光で、第1の偏光板11に戻ってくるため、白表示となり、良好なコントラストの反射表示が可能である。
成した複屈折性がほぼゼロになるため、第1の偏光板を透過した入射光は、直線偏光のまま、半透過反射層7に到達し、そのまま入射光と平行な直線偏光で、第1の偏光板11に戻ってくるため、白表示となり、良好なコントラストの反射表示が可能である。
なお、散乱層15は、入射光が透過しやすく、出射光の散乱性能が良好である前方散乱性材料を用いることで、出射光があらゆる方向に広がり、視認性が向上する。この散乱層15の代わりに、半透過反射層7自体を凸凹にして散乱性を付与することや、保護膜8に散乱性を持たせた散乱性保護膜を用いることも可能である。
つぎに、この従来の内在反射方式の半透過反射型液晶表示装置の透過表示について説明する。バックライト16から出た光は、第2の偏光板17と1/4波長位相差板14により円偏光となる。この円偏光の回転方向が、第1の偏光板から入射し、液晶ポリマー位相差板12と液晶素子30を透過した円偏光と逆回転になるように配置してあるので、電圧を印加していないオフ状態では、液晶ポリマー位相差板12を透過した光は第1の偏光板の透過軸に直交した直線偏光に戻り、透過光は第1の偏光板11に吸収され、黒表示となる。電圧を印加したオン状態では、液晶ポリマー位相差板12と液晶層6を合成した複屈折性がほぼセロになるため、1/4波長位相差板14から出た円偏光のままで第1の偏光板11へ到達し、白表示となる。
しかし、バックライト16から出た光のうち、半透過反射層7の非開口部で反射してバックライト方向に戻る光は、1/4波長位相差板14を2回通過する間に、偏光方向が90゜回転し、第2の偏光板17に吸収されてしまう。そのために、バックライト16との間で後述するリサイクル効果が得られず、暗い表示となる問題点があった。
この問題点を解決するために、半透過反射層にパターンニング位相差層を備えた半透過反射型液晶表示装置が開発された。この第2の従来例(特許文献2参照)を図11に示した。位相差値が1/4波長相当であるパターンニング位相差層9を半透過反射層7の非開口部の位置で、半透過反射層の液晶側に設けてある。一方、カラーフィルタは、第2の基板側に設けていることが特徴である。
液晶素子31は、電圧無印加のオフ状態の複屈折性が1/4波長相当に設定されており、電圧を印加したオン状態では、液晶分子が完全に立ち、複屈折性がほぼゼロになる。反射表示において、オン状態では、液晶層6とパターンニング位相差層9の合計の位相差値は1/4波長となり、第1の偏光板から入射した直線偏光は、半透過反射層7において円偏光となり、半透過反射層7で反射する際に逆回転の円偏光となり、再度、パターンニング位相差層9と液晶層6を透過することで、入射光と直交した直線偏光となって第1の偏光板11に吸収されるために黒表示が得られる。一方、オフ状態では、液晶層とパターンニング位相差層の合計の位相差値はゼロとなり、入射光の偏向状態は変化せずに第1の偏光板11に戻るために、第1の偏光板を透過し、白表示が得られる。つまり、電圧無印加時が白表示であるノーマリ白モードが得られる。
一方、透過表示において、半透過反射層7の開口部には、パターンニング位相差層9が無いので、バックライト16から出た光は、第2の偏光板17を透過し、そのまま液晶層6へ入射する。第2の偏光板17の透過軸を、第1の偏光板11の透過軸と直交するように配置すると、オン状態では、液晶層6の複屈折性はゼロであるため、第1の偏光板11により吸収され黒表示となる。オフ状態では、液晶層の複屈折性が1/4波長相当であるため、液晶層6を透過した光は円偏光となり、第1の偏光板11を透過し、白表示が得られる。
さらに、第2の偏光板17を透過した光で、半透過反射層7の非開口部で反射してバッ
クライト方向に戻る光は、図10で示した従来の内在反射方式の半透過反射型液晶表示装置の備える1/4波長位相差板14が不要になるので、偏光状態が変化せず、第2の偏光板17を透過してバックライト16に戻り、再度、バックライト表面で反射し、その際に一部の光は偏光方向が回転し、第2の偏光板を透過することができる。この作用を繰り返すリサイクル効果により、明るい透過表示が得られる。
クライト方向に戻る光は、図10で示した従来の内在反射方式の半透過反射型液晶表示装置の備える1/4波長位相差板14が不要になるので、偏光状態が変化せず、第2の偏光板17を透過してバックライト16に戻り、再度、バックライト表面で反射し、その際に一部の光は偏光方向が回転し、第2の偏光板を透過することができる。この作用を繰り返すリサイクル効果により、明るい透過表示が得られる。
上記のような技術を用いたことで、透過表示において、明るさが改善されたが、反射時の明るさを改善するために、カラーフィルタを用いた半透過反射型のカラー液晶表示装置では、透過率の高いカラーフィルタを用いる必要があり、そのような透過率の高いカラーフィルタは色純度を示す彩度が低いので、透過表示の彩度が不足するという課題がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、内在反射方式の半透過反射型カラ−液晶表示装置において、特に、透過表示の彩度を改善し、かつ、明るい反射表示が得られる液晶表示装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明は、半透過反射型カラー液晶表示装置において、第1の基板と第2の基板間に液晶層を挟持した液晶素子を備え、液晶素子の第1の基板の液晶層側には、部分的に開口部を設けた半透過反射層と、半透過反射層の開口部を除く非開口部の位置に設けたパターンニング位相差層とを順次配置し、パターンニング位相差層の液晶層側であり、かつ半透過反射層の非開口部に対応する位置と、半透過反射層の開口部に対応する位置との各々にカラーフィルタを備え、半透過反射層の開口部に対応する位置のカラーフィルタの膜厚が、半透過反射層の非開口部に対応する位置のカラーフィルタの膜厚より厚くなっていることを特徴とする。
また、上記課題を解決するために本発明は、第1の基板と第2の基板間に液晶を挟持した液晶素子を備え、液晶素子の第1の基板の液晶層側には、部分的に開口部を設けた半透過反射層と、半透過反射層の開口部を除く非開口部の位置で、第1の基板と半透過反射層との間にパターンニング位相差層とを設け、半透過反射層の開口部に対応する位置と、半透過反射層の非開口部に対応する位置との各々にカラーフィルタを備え、第1の基板に対して液晶層と反対側には偏光板を配置し、第1の基板と前記偏光板との間に1/4波長位相差板を備え、かつ、半透過反射層の開口部に対応するカラーフィルタの膜厚が、半透過反射層の非開口部に対応するカラーフィルタの膜厚より厚くなっていることを特徴とする
さらに、上記課題を解決するために本発明は、第2の基板の外側に散乱層を備えてもよい。また、第2の基板に対して液晶層と反対側に第1の偏光板を設け、第1の基板に対して液晶層と反対側に配置した偏光板を第2の偏光板とし、この第2の偏光板の外側に、第2の偏光板の透過軸とほぼ平行な透過軸を有する反射型偏光板を備えてもよい。
またパターンニング位相差層の膜厚として、0.2〜1.0ミクロン、好ましくは、0.3〜0.6ミクロンの材料を用いることを特徴とする。
本発明のカラー液晶表示装置において、パターンニング位相差層の材料として、カラーフィルタの膜厚の1/3〜1/2程度になるよう材料を選定することが重要である。一般的には、カラーフィルタの膜厚は1.0〜1.5μであるので、パターンニング位相差層の膜厚を0.3〜0.7μに設定する。これにより、半透過反射層の開口部は、パターンニング位相差層の膜厚と半透過反射層の膜厚を加算した厚さ分の段差が、非開口部との間に設けられる。この段差がある半透過反射層にカラーフィルタの原料であるカラーレジストをスピンナー法を用いて塗布することで、開口部の膜厚が、非開口部より厚いカラーフィルタを形成することができる。
反射表示では、液晶表示装置の第1の偏光板側から入射し、カラーフィルタを透過した光は、半透過反射層の非開口部で反射して、再度、カラーフィルタを透過して出射する。つまり、カラーフィルタを2回透過するので、彩度が低くても、透過率の高いカラーフィルタが好ましい。一方、透過表示では、第2の偏光板側からカラーフィルタを透過して、そのまま、第1の偏光板を透過して出射するので、透過率が低くても、彩度の高いカラーフィルタが好ましい。本願発明を用いることで、パターンニング位相差層を設ける工程のみで、カラーフィルタの膜厚を半透過反射層の開口部と非開口部で変えることが可能となり、明るい反射表示と、高彩度の透過表示を両立することが可能となる効果がある。
また、第2の従来例と同様に、透過表示において、第2の偏光板からの入射光のうち、半透過反射層の非開口部で反射した光は、バックライトに戻ることが可能となり、再度、バックライトで反射して液晶表示装置へ戻るリサイクル効果により、明るい透過表示が得られる効果がある。
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良な半透過反射型カラー液晶表示装置の構成と作用を説明する。図1は、本発明の液晶表示装置の構成を示す断面図であり、図2は本発明の液晶表示装置の画素部分を拡大した平面図であり、図3は、本発明のパターンニング位相差層の平面図であり、図4は、本発明の第1の基板の断面の拡大図である。
本発明の半透過反射型カラー液晶表示装置は、図1に示すように、液晶素子の内部にパターンニング位相差層9を備え、かつ、半透過反射層の開口部7aに対応する位置のカラ−フィルタの膜厚が、非開口部に対応する位置のカラーフィルタの膜厚より厚いことを特徴としている。液晶素子20は第1の基板における液晶層側の上に、半透過反射層7と、その上のパターンニング位相差層9と、その上にカラーフィルタ13と保護膜8とを順次備え、さらに第1の電極3が形成されている第1の基板1と、第2の電極4が形成されている第2の基板2と、第1の基板1と第2の基板2を張り合わせるシール材5と、第1の基板1と第2の基板2に挟持されているツイスト配向しているネマチック液晶よりなる液晶層6とを有している。
さらに本発明の液晶表示装置は、液晶素子20の視認側、つまり第2の基板に対して液晶層と反対側に、第1の偏光板11を、液晶素子20の下側、つまり第1の基板に対して液晶層と反対側に第2の偏光板17を設け、バックライト16で構成することができる。また、第2の基板の外側には散乱層15を設けてもよい。液晶層6は、ねじれの無いホモジニアス配向モードであり、緑色の光の波長0.55μmの1/4波長相当である0.14μmの位相差値を持っている。
図2に示したように、第1の電極3と第2の電極4の交差した部分が画素となる。画素の中央部分には、半透過反射層7をフォトエッチングして形成した開口部7aを設けてある。この開口部7aの面積が大きいほど、バックライト点灯時の透過表示の明るさは明るくなるが、逆に、反射表示が暗くなってしまう。例えば、開口部7aの面積を30%とす
ると、この半透過反射層7は30%程度の光を透過し、残りの70%の光を反射することになる。
ると、この半透過反射層7は30%程度の光を透過し、残りの70%の光を反射することになる。
このように構成した液晶表示装置は、内在反射方式の半透過反射型液晶表示装置と呼ばれ、外光を用いた反射表示と、バックライト16を用いた透過表示の両方が可能である。赤フィルタR、緑フィルタG、青フィルタBの3色で構成するカラーフィルタ13は、第2の電極4と平行な縦ストライプで形成してある。各カラーフィルタの幅は、第2の電極4の幅より広く形成し、2色が重なり、すきまが生じないようにしてある。カラーフィルタ13の間にすきまが生じると、入射光が増加し、明るくはなるが、表示色に白の光が混色し、色純度が低下するので、好ましくない。また、各カラーフィルタの間に黒顔料を含む樹脂でブラックマトリクスを形成する場合もある。反射層が液晶素子内部にあり、視差が無いので、カラーフィルタの混色が無く、良好なカラー反射表示が得られる。
また、パターンニング位相差層9は、図3に示すように、半透過反射層の開口部7aには存在せず、透過表示の時には位相差がゼロである。非開口部の位置だけに、パターンニング位相差層9を設けてあり、これは緑色の光の波長0.55μmの1/4波長相当である0.14μmの位相差を持っている。
ここで、半透過反射層7は、厚さ0.15μのアルミニウム薄膜を用い、パターンニング位相差層9は、厚さ0.5μの感光性液晶ポリマーを用いた。従って、図4に示すように、半透過反射層の開口部7aは、非開口部に対して0.65μの段差が形成されている。その上面にカラーフィルタ13をスピンナー法を用いて形成した。半透過反射層の開口部7aの面積が、幅数十μ以下と小さいと、カラーフィルタ13は段差を埋めて、上面が平坦になるように形成される。そのために、非開口部のカラーフィルタの膜厚13bが1μで、開口部の膜厚13aが1.4μのカラーフィルタ13が形成できる。
まず、反射表示について説明する。電圧無印加のオフ状態では、液晶層6の配向方向を、パターンニング位相差層9の遅相軸と直交して配置すると、液晶層6とパターンニング位相差層9の合計した位相差値は引き算されゼロとなる。外光は第1の偏光板11から入射し、直線偏光となり、カラーフィルタ13を透過し、パターンニング位相差層9に入る。パターンニング位相差層9と液晶層6を合計した位相差値はゼロであるので、入射光はそのまま半透過反射層7に到達する。半透過反射層7で、入射光の位相が180度回転するが、直線偏光の場合、回転前と等価であり、そのまま、再度、パターンニング位相差層9とカラーフィルタ13と液晶層6を透過し、第1の偏光板11を透過して白表示となる。
電圧を印加したオン状態では、液晶分子が立ち、液晶層6の位相差がほぼゼロとなる。第1の偏光板を透過した直線偏光は、液晶層の位相差がゼロであるのでそのまま透過するが、パターンニング位相差層の遅相軸を第1の偏光板に対して45゜になるように配置すると、入射光は円偏光(例えば右回り)となる。半透過反射層で位相が180゜回転し、逆回りの円偏光(例えば左回り)となる。再度、パターンニング位相差層9を通過すると、入射時と直交した振動方向の直線偏光となり、そのまま液晶層6を透過し、第1の偏光板11に吸収され、黒表示となる。
つぎに、バックライトを用いた透過表示について説明する。オフ状態では、バックライト16から出た光は、第2の偏光板17を通過し直線偏光となり、半透過反射層7の開口部7aを透過する。半透過反射層の開口部7aには、パターンニング位相差層9は形成されておらず、また液晶層6の位相差値が1/4波長相当であるので、円偏光となり第1の偏光板を透過し、白表示となる。液晶層に電圧を印加したオン状態では、液晶分子が立ち、液晶層の位相差値はゼロであるので、第2の偏光板17から入った直線偏光は、そのま
まの状態で、第1の偏光板11に到達する。第2の偏光板の透過軸を、第1の偏光板の透過軸と直交するように配置すると、第1の偏光板に吸収され、黒表示となり、ノ−マリ白モ−ドの液晶表示装置となる。
まの状態で、第1の偏光板11に到達する。第2の偏光板の透過軸を、第1の偏光板の透過軸と直交するように配置すると、第1の偏光板に吸収され、黒表示となり、ノ−マリ白モ−ドの液晶表示装置となる。
ここで、図4に示すように、反射表示で透過するカラーフィルタ膜厚13bは1.0μと薄く明るいが、入射時と反射時の2回、カラーフィルタ13を透過するので、充分な彩度が得られる。一方、透過表示で透過するカラーフィルタ膜厚13aは1.4μと厚いので、バックライトから出た光は、1回しかカラーフィルタ13を透過しないが、良好な彩度が得られる。
また、バックライト16から出た光で、半透過反射層7を透過できずに非開口部で反射した光は、そのまま、第2の偏光板17を透過し、バックライト16に到達する。バックライトの表面の拡散板やプリズムシートで、再度、反射し、第2の偏光板17に戻る。この第2の偏光板を透過した光の一部が、今度は半透過反射層の開口部7aを通過する。半透過反射層を透過できなかった光は再度、バックライトに戻る。この作用を繰り返す、いわゆるリサイクル効果により、明るい透過表示が得られる。
以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。 図1〜図5は本発明の実施例1を示す図である。図1は本実施例における液晶表示装置の構成要素を説明するための断面図で、図2は画素部を拡大した平面図で、図3はパターンニング位相差層の平面図で、図4は第1の基板の断面の拡大図で、図5は構成要素の配置関係示す平面図である。以下、図面を用いて、本発明の半透過反射型カラー液晶表示装置の構成を説明する。
本実施例の液晶表示装置は、図1に示すように、液晶素子20と、液晶素子20の上側に設けた第1の偏光板11と、液晶素子20の下側に設けた第2の偏光板17と、バックライト16により構成した。
第1の偏光板11と液晶素子20とは、アクリル系粘着剤に微粒子を混入してある粘着散乱層15で貼り付けてある。また、第2の偏光板17は液晶素子20とアクリル系粘着剤で貼り付けた。
液晶素子20は、アルミニウムからなる厚さ0.15μmの半透過反射層7と、液晶性ポリマーからなるパターンニング位相差層9と、赤フィルタR、緑フィルタG、青フィルタBの3色からなる顔料分散タイプのカラーフィルタ13と、アクリル系材料からなる厚さ2μmの保護膜8と、透明電極材料であるITOで形成した厚さ0.2μmの第1の電極3を備える厚さ0.5mmのガラス板である第1の基板1と、ITOからなる厚さ0.2μmの第2の電極4が形成されている厚さ0.5mmのガラス板からなる第2の基板2と、第1の基板1と第2の基板2を張り合わせるシール材5と、第1の基板1と第2の基板2とに挟持されている、ねじれの無いホモジニアス配向のネマチック液晶からなる液晶層6とで構成した。
図2に示したように、第1の電極3と第2の電極4の交差した部分が画素となる。半透過反射層7には、画素のほぼ中央部に、長方形の開口部7aをフォトエッチング工程により形成した。カラーフィルタ13は、第2の電極4と平行で、で構成するカラーフィルタ13は、第2の電極4と平行な縦ストライプで形成してある。各カラーフィルタの幅は、第2の電極4の幅より僅かに広く形成し、2色が重なり、すきまが生じないようにしてある。
つぎに、パターンニング位相差層9の製造方法について説明する。半透過反射層7を成
膜し、開口部を形成した第1の基板に、配向膜を印刷法またはスピンナー法で塗布し、所望の角度でラビングを行った。つぎに、この配向膜上に感光性の液晶性高分子モノマーをスピンナー−法で塗布し、等方性温度より高い80〜100゜Cに加熱し、徐々に冷却して液晶性高分子モノマーを配向させる。つぎに、フォトマスクを用いて、半透過反射層7の非開口部にだけUV露光を行い、液晶性高分子モノマーをポリマー化させた。その後、有機系溶剤で現像し、非硬化の液晶性高分子モノマーを取り除くことで、図3に示したように、半透過反射層7の非開口部(反射部)のみに、厚さ約0.5μmで位相差値0.14μmのパターンニング位相差層9を形成した。
膜し、開口部を形成した第1の基板に、配向膜を印刷法またはスピンナー法で塗布し、所望の角度でラビングを行った。つぎに、この配向膜上に感光性の液晶性高分子モノマーをスピンナー−法で塗布し、等方性温度より高い80〜100゜Cに加熱し、徐々に冷却して液晶性高分子モノマーを配向させる。つぎに、フォトマスクを用いて、半透過反射層7の非開口部にだけUV露光を行い、液晶性高分子モノマーをポリマー化させた。その後、有機系溶剤で現像し、非硬化の液晶性高分子モノマーを取り除くことで、図3に示したように、半透過反射層7の非開口部(反射部)のみに、厚さ約0.5μmで位相差値0.14μmのパターンニング位相差層9を形成した。
図1に示すように、カラーフィルタ13は、顔料を感光性樹脂に分散したカラ−レジストを、スピンナー−法を用いて、パターンニング位相差層9を形成した第1の基板全面に塗布し、仮焼成後、フォトマスクを用いて、1色目のカラーフィルタ部分だけUV露光を行い、感光性樹脂をポリマー化させた。その後、有機系溶剤で現像し、本焼成して、1色目が完成する。この工程を3回繰り返すことで、RGBの3色のカラーフィルタが形成される。さらに、平坦性を改善するために、カラ−フィルタ13の上に保護膜8をスピンナー−法を用いて塗布し、熱硬化させ、さらに、スパッタリング法によりITOを成膜した。
ここで、半透過反射層の開口部7aの面積が、画素のピッチに比較的して充分小さいと、カラーフィルタ13は段差を埋めて、上面が平坦になるように形成される。本実施例では、半透過反射層の開口部の面積は20×70μと細くし、画素ピッチ210μより充分に小さくしたので、図4に示したように、非開口部のカラーフィルタ膜厚13bが1μで、開口部の膜厚13aが1.4μのカラーフィルタ13が形成できた。
第1の偏光板11と第2の偏光板17は、なるべく明るく、かつ、偏光度が高いことが好ましく、本実施例では、透過率45%で偏光度99.9%の材料を使用した。第1の偏光板11の表面に、屈折率の異なる無機薄膜を、真空蒸着法やスパッタ法で数層コートした反射率が0.5%程度の無反射層を設けることで、第1の偏光板11の表面反射が低下することで透過率が改善し、明るくなり、また、黒レベルが低下することでコントラストも改善し、さらに好ましい。
バックライト16は、光源として蛍光灯やLEDを用い、光源からの光を導光板に入れて、導光板からの出射光を用いたものや、光源と反射板と拡散板等で構成した、光源で直接照明する方法や、エレクトロルミネッセンス(EL)板などの自発光型の平面光源を用いることが可能であるが、本実施例では厚さが約1mmの導光板に、発光色が白色LED光源を取り付けた白色バックライトを用いた。
つぎに、各構成部材の配置関係を図5を用いて説明する。図5は、液晶素子20と構成部材の配置関係を示す。第1の電極3と第2の電極4の表面には配向膜(図示せず)を形成し、図5に示すように、第1の基板1は、水平軸Hに対して、90度方向にラビング処理することで、下液晶分子配向方向6aは+90゜となり、第2の基板2も90゜方向にラビング処理することで上液晶分子配向方向6bも+90゜となり、ねじれの無いホモジニアス配向の液晶素子20を形成した。
使用するネマチック液晶の複屈折差Δnは0.08で、第1の基板1と第2の基板2のすきまであるセルギャップdは1.75μmとした。従って、ネマチック液晶の複屈折差Δnとセルギャップdとの積で表す、液晶素子20の複屈折性を示すΔnd値は、0.14μmであり、1/4波長位相差板相当となる。
第1の偏光板の透過軸11aは、図5に示すように、水平軸Hを基準にして、+45゜
に配置する。液晶素子20の下側に配置した、第2の偏光板17の透過軸17aは、水平軸Hに対して−45゜に配置し、第1の偏光板11の透過軸11aと直交させた。パターンニング位相差層の遅相軸9aは、水平軸Hと平行になるように形成した。従って、第1の偏光板の透過軸11aとの交差角は45゜になり、位相差が最も発生しやすい配置になっている。
に配置する。液晶素子20の下側に配置した、第2の偏光板17の透過軸17aは、水平軸Hに対して−45゜に配置し、第1の偏光板11の透過軸11aと直交させた。パターンニング位相差層の遅相軸9aは、水平軸Hと平行になるように形成した。従って、第1の偏光板の透過軸11aとの交差角は45゜になり、位相差が最も発生しやすい配置になっている。
本実施例の液晶表示装置の反射モードと透過モードの動作原理については、既に説明したので省略する。つぎに、カラーフィルタの膜厚の効果について、再度、説明する。カラーフィルタの透過率は、カラーフィルタの吸光度に依存するため、カラーフィルタ膜厚の対数に逆比例する。従って、膜厚が厚いほど、透過率は低くなるが、色の濃さである彩度はよくなる。反射表示においては、入射光はカラーフィルタを2回透過するため、透過率が高いカラーフィルタが必用であり、一方、透過表示においては、バックライトから出た光は、カラーフィルタを一度しか透過しないので、透過率が低くても彩度の高いカラーフィルタが必用である。
本実施例では、パターンニング位相差層9の材料として、膜厚が0.5μの液晶性ポリマーを用い、また、従来例ではカラ−フィルタを第2の基板に形成していたが、本実施例では、カラーフィルタを第1の基板側にスピンナー法を用いて形成したことにより、追加工程無しで、半透過反射層の開口部のカラーフィルタ膜厚を、非開口部のカラーフィルタ膜厚より厚くすることができ、その結果、明るい反射表示と、高彩度の透過表示を両立することができた。
また、従来の内在反射方式の半透過反射型液晶表示装置は、第2の偏光板と半透過反射層の間に、1/4波長位相差板を備えるため、第2の偏光板から入射し、半透過反射層の非開口部で透過できずに反射した光は、1/4波長位相差板を2回透過する間に偏光方向が90゜回転し、第2の偏光板に吸収されたが、本実施例では、1/4波長位相差板が第2の偏光板と半透過反射層の間に無いので、半透過反射層を透過できずに、第2の偏光板の方に反射された直線偏光は、入射光と同一方向の直線偏光のままで戻り、第2の偏光板を透過する。この透過した光がバックライト16の表面で反射し、再度利用され、いわゆるリサイクル効果により、明るい透過表示が得られた。
このように、第1の偏光板11と、パターンニング位相差層9と半透過反射層7とカラーフィルタ13を第1の基板に内在した液晶素子20と、第2の偏光板12により、特別な追加工程を用いないで、明るい反射表示が得られ、かつ、明るく高彩度の透過表示が得られ、かつ、内在反射方式での反射表示であるため視差の無い半透過反射型カラー液晶表示装置を得られた。
本実施例では、厚さ0.5μのパターンニング位相差層9を用いたが、カラーフィルタの膜厚に対して30%〜70%程度の膜厚が適している。つまり、パターンニング位相差層の膜厚が薄すぎると、透過時の彩度があまり改善せず、逆に厚すぎると、完全に段差を埋めることができず、カラーフィルタの平坦性が低下し、セルギャップの均一性が低下する。それにより、透過表示のコントラストが低下したり、反射表示と透過表示の駆動電圧に差が発生する。カラーフィルタの膜厚として、半透過反射用のカラーフィルタの膜厚は、通常、0.8〜1.4μであるので、パターンニング位相差層9の膜厚は、0.2〜1.0μが適している。さらに、0.3〜0.6μであると、透過表示の彩度改善と、カラーフィルタの平坦性が両立し、より好ましい。
本実施例では、半透過反射層の開口部7aを、20×70μの穴1個で形成したが、20×35μの穴を2個設けたり、あるいは10×35μの穴を4個設けた方が、カラーフィルタの平坦性が向上し、より好ましい。但し、この場合、半透過反射層のフォトリソ工
程で、エッチング精度が悪いと、開口部の7aの面積が変動し、最終的な透過率も変動するので、注意が必要である。
程で、エッチング精度が悪いと、開口部の7aの面積が変動し、最終的な透過率も変動するので、注意が必要である。
本実施例では、液晶素子20として、ねじれの無いホモジニアス配向の液晶素子を用いたが、実質的な位相差値が1/4波長相当であれば、70゜ツイスト前後のTNモードや、180゜ツイスト〜250゜ツイストのSTNモードの液晶素子を用いても、同様な半透過反射型カラー液晶表示装置が可能である。
本実施例では、散乱層15を液晶素子20の上側に配置したが、半透過反射層7に凸凹を設け、散乱性を持たせることで、散乱層15を設けなくても、同様な半透過反射型カラ−液晶表示装置が提供することが可能である。また、保護膜8に散乱性を持たせた、散乱性保護膜としてもよい。
本実施例では、半透過反射層7として、アルミニウム薄膜を用いたが、アルミニウム合金や銀合金の薄膜や、反射率を改善するためや表面を保護するために、透明部を形成後、アルミニウムの表面に無機酸化物、例えば、SiO2,TiO2の多層膜を用いることも可能である。
つぎに、本発明における実施例2の半透過反射型カラー液晶表示装置の構成について説明する。本実施例の液晶表示装置は、第2の偏光板の外側に反射型偏光板を備えることが、実施例1の構成と異なっている。
本実施例における液晶表示装置の構成を、図面を用いて説明する。図6は本実施例の液晶表示装置の構成要素を説明するための断面図である。以下、図面を用いて、本発明の半透過反射型カラ−液晶表示装置の構成を説明する。
本実施例の半透過反射型カラ−液晶表示装置は、図6に示すように、液晶素子20と、液晶素子20の上側に設けた散乱層15と、第1の偏光板11と、液晶素子20の下側に設けた第2の偏光板17と、反射型偏光板18とバックライト16により構成した。第1の偏光板11、第2の偏光板17、バックライト16は、実施例1と同一材料であり、液晶素子20、および構成部材の配置関係も実施例1と同一である。反射型偏光板18は、透過軸と反射軸を持ち、通常の吸収型偏光板と異なり、ほとんど光を吸収しない。本実施例では、この反射型偏光板として、屈折率の異なる材料の多層膜である3M社製、商品名D−BEFを、透過軸が第2の偏光板17の透過軸と同一になるように配置した。
本実施例の動作原理についての説明は、基本的な動作について、実施例1と同一であるので省略する。つぎに、反射型偏光板18の効果について説明する。光吸収がほとんど無い反射型偏光板18を、第2の偏光板17の外側に備えたことで、バックライト16から出た光のうち、第2の偏光板の透過軸方向の光は透過するが、従来は吸収されていた第2の偏光板の吸収軸方向の光は、反射型偏光板18の反射軸方向であるため、反射し、バックライト16に戻る。バックライトの表面の拡散板やプリズムシートで再度、反射し、一部の光は偏光方向が回転し、反射型偏光板を透過する。このリサイクル効果により、通常の液晶表示装置でも、反射型偏光板を備えることで、明るい透過表示が得られる。
さらに、本実施例では、半透過反射層と第2の偏光板の間に、1/4波長位相差板が無いので、半透過反射層の非開口部で反射して、第2の偏光板を透過してバックライトに戻り、再度、反射した光も、反射型偏光板18を備えることで、第2の偏光板17に吸収されること無く、リサイクルの効率が向上し、さらに明るい透過表示が得られる。つまり、半透過反射層の非開口部を通過できず、バックライトへ戻ってきた光が、再度、液晶へ入
射されるが、反射型偏光板18を備えることで、第2の偏光板17に吸収されることを防止できるので、リサイクル効率が非常に高くなり、相乗効果が得られた。
射されるが、反射型偏光板18を備えることで、第2の偏光板17に吸収されることを防止できるので、リサイクル効率が非常に高くなり、相乗効果が得られた。
このように、第1の偏光板11と、半透過反射層7とパターンニング位相差層9とカラーフィルタ13を第1の基板に内在した液晶素子20と、第2の偏光板17と反射型偏光板18により、外光を用いる反射表示においては、明るいカラー表示が可能であり、外光が少ない環境ではバックライト16を点灯し、高彩度で、さらに明るいカラー透過表示が得られる半透過反射型カラー液晶表示装置を得られた。
つぎに、本発明における実施例3の半透過反射型カラー液晶表示装置の構成について説明する。本実施例の液晶表示装置は、パターンニング位相差層を半透過反射層7の非開口部に対応する位置で、かつ半透過反射層と第1の基板1の間に備えることと、1/4波長位相差板を液晶素子と第2の偏光板の間に備えることが、実施例2の構成と異なっている。本実施例の構成を図7〜図9を用いて説明する。図7は本実施例の液晶表示装置の構成要素を説明するための断面図で、図8と図9は本実施例の配置関係を示す平面図ある。以下、図面を用いて、本発明の半透過反射型カラー液晶表示装置の構成を説明する。
本実施例の半透過反射型カラー液晶表示装置は、図7に示すように、液晶素子21と、液晶素子21の上側に設けた散乱層15と、液晶ポリマー位相差板12と、第1の偏光板11と、液晶素子21の下側に設けた1/4波長位相差板14と、第2の偏光板17と、反射型偏光板18と、バックライト16により構成した。第1の偏光板11、第2の偏光板17、バックライト16、反射型偏光板18は、実施例2と同一材料である。
液晶素子21は、パターンニング位相差層9と、アルミニウムからなる厚さ0.15μmの半透過反射層7と、赤フィルタR、緑フィルタG、青フィルタBの3色で構成するカラーフィルタ13と、アクリル系材料からなる厚さ2μmの保護膜8と、ITOからなる厚さ0.2μmの第1の電極3とを形成した厚さ0.5mmのガラス板からなる第1の基板1と、ITOからなる厚さ0.2μmの第2の電極4が形成されている厚さ0.5mmのガラス板からなる第2の基板2と、第1の基板1と第2の基板2を張り合わせるシール材5と、第1の基板1と第2の基板2とに挟持されている、左回り240゜ツイスト配向のネマチック液晶からなる液晶層6とで形成した。
液晶ポリマー位相差板12はねじれ構造を持つ液晶性高分子ポリマーを、トリアセチルセルロース(TAC)フィルムやポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに配向処理してから塗布し、150゜C程度の高温で、液晶状態にして、ツイスト角を調整後、室温まで急冷して、そのねじれ状態を固定化したフィルムを用いた。
あるいは、配向用フィルムに配向処理を施し、液晶性高分子ポリマーを塗布し、ねじれ状態を固定後、別に用意したTACフィルムに、液晶性高分子ポリマーを配向用フィルムから転写して形成したフィルムを用いても構わない。本実施例では、ツイスト角180゜で、液晶ポリマーの複屈折差Δnと液晶ポリマー層の厚さdの積であるΔnd値は0.73μmである右回りの液晶ポリマー位相差板12を用いた。
1/4波長位相差板14は、位相差値0.14μmで、緑色の波長である0.55μmの約1/4波長相当としてある。液晶素子21に用いたネマチック液晶の複屈折差Δnは0.15で、第1の基板1と第2の基板2のすきまであるセルギャップdは5.6μmであり、従って、ネマチック液晶の複屈折差Δnとセルギャップdとの積で表す、液晶素子21の複屈折性を示すΔnd値は、0.84μmである。
パターンニング位相差層9の製造方法は、実施例1と同一であるので省略する。但し、パターンニング位相差層9を形成後、その上に半透過反射層であるアルミニウムやアルミニウム合金を成膜し、その際に、熱がかかるため、なるべく耐熱性の良好な材料を選定する必用がある。本実施例では、液晶性高分子ポリマーの相転移温度が120゜Cと高い材料を選定し、かつ、アルミニウムを低温スパッタリング法で形成した。
つぎに、各構成部材の配置関係を図8と図9を用いて説明する。図8は、液晶素子21と液晶素子21の下側に配置する構成部材の配置関係を示し、図9は、液晶素子21の上側に配置する構成部材の配置関係を示す。第1の電極3と第2の電極4の表面には配向膜(図示せず)を形成し、図8に示すように、第1の基板1は、水平軸Hに対して、右上がり30方向にラビング処理することで、下液晶分子配向方向6aは+30゜となり、第2の基板2は右下がり30゜方向にラビング処理することで上液晶分子配向方向6bは−30゜となる。粘度20cpのネマチック液晶には、カイラル材と呼ぶ旋回性物質を添加し、ねじれピッチPを11μmに調整し、左回りでツイスト角240゜ツイストのSTNモードの液晶素子21を形成した。
第1の偏光板の透過軸11aは、図9に示すように、水平軸Hを基準にして、−50゜に、配置する。液晶ポリマー位相差板12の下分子配向方向12aと上分子配向方向12bは、どちらも水平軸Hを基準にして+60゜に配置し、右回りでツイスト角180゜となる。このような条件の液晶ポリマー位相差板を設けることにより、液晶ポリマー位相差板12と液晶層6を合成した複屈折性が約1/4波長相当になるように設定することができる。
第2の偏光板の透過軸17aは、図8に示したように、水平軸Hに対して平行に配置し、パターンニング位相差層の遅相軸9aは、水平軸Hに対して、−45゜になるように形成し、1/4波長位相差板の遅相軸14aは、パターンニング位相差層の遅相軸9aと直交するように、水平軸Hに対して+45に配置した。
つぎに、本実施例の動作原理について図7を用いて説明する。反射表示においては、第1の従来例と全く同様に作用する。電圧無印加状態のオフ状態では、液晶ポリマー位相差板と液晶層6の合成した位相差値が1/4波長相当となっているので、入射光は円偏光となって半透過反射層7に到達し、位相が180゜回転して逆回転の円偏光となって反射し、再度、液晶層6と液晶ポリマー位相差板12を透過することで、入射光と直交した直線偏光となり、第1の偏光板に吸収され、黒表示が得られる。電圧を印加したオン状態では、液晶素子のΔnd値が減少し、液晶ポリマー位相差板12と液晶層6を合成した複屈折性がほぼゼロになるため、第1の偏光板を透過した入射光は、直線偏光のまま、半透過反射層7に到達し、そのまま入射光と平行な直線偏光で、第1の偏光板11に戻ってくるため、白表示となり、良好なコントラストの反射表示が可能である。
透過表示においても、パターンニング位相差層9が形成されていない半透過反射層の開口部7aでは、第1の従来例と同様に動作する。バックライト16から出た光は、反射型偏光板18を透過し、第2の偏光板17と1/4波長位相差板14により円偏光となる。この円偏光の回転方向が、第1の偏光板から入射し、液晶ポリマー位相差板12と液晶素子21を透過した円偏光と逆回転になるように配置してあるので、電圧を印加していないオフ状態では、液晶ポリマー位相差板12を透過した光は第1の偏光板の透過軸に直交した直線偏光に戻り、透過光は第1の偏光板11に吸収され、黒表示となる。電圧を印加したオン状態では、液晶ポリマー位相差板12と液晶層6を合成した複屈折性がほぼセロになるため、1/4波長位相差板14から出た円偏光のままで第1の偏光板11へ到達し、白表示となり、ノーマリ黒モードの液晶表示装置となる。
しかし、半透過反射層の非開口部と第1の基板1との間に、パターンニング位相差層9を備え、かつ、図8に示すように、1/4波長位相差板14の遅相軸14aとパターンニング位相差層の遅相軸9aは直交し、位相差を打ち消すように配置されているので、合計した位相差はゼロである。従って、第2の偏光板から入射した直線偏光は、1/4波長位相差板14とパターンニング位相差層9透過しても、偏光状態は変化せず、そのままの形で半透過反射層7に到達する。半透過反射層の非開口部で反射した光は、再度、パターンニング位相差層9と1/4波長位相差板14、第2の偏光板17、反射型偏光板18を透過し、バックライト16に戻る。
バックライト16に戻った光は、再度、バックライト表面で反射し、リサイクル効果により、従来より非常に明るい透過表示が得られる。さらに、実施例2と同様に、半透過反射層の開口部7aのカラ−フィルタの膜厚13aが、非開口部のカラーフィルタの膜厚13bより厚いため、明るい反射表示と、高彩度の透過表示を両立できた。
このように、第1の偏光板11と液晶ポリマー位相差板12と、パターンニング位相差層9と半透過反射層7とカラ−フィルタ13を第1の基板に内在した液晶素子21と、1/4波長位相差板14と第2の偏光板17と反射型偏光板18により、高彩度で、明るい透過表示が得られ、かつ、明るい反射表示も可能である半透過反射型カラー液晶表示装置を提供できた。
なお、本実施例では、液晶素子21と第1の偏光板11の間に、液晶ポリマー位相差板12を備えたが、1枚あるいは複数枚の1軸延伸した位相差板を用いることも可能である。あるいは、実施例1のように、液晶素子21と第1の偏光板11の間に、1枚も位相差板を備え無いことも可能である。
また、本実施例では、液晶素子21として、240゜ツイストのSTN液晶を用いたが、180゜〜250゜ツイストのSTN液晶素子、70゜〜100゜ツイストのTN液晶素子、ねじれの無いホモジニアス配向液晶素子、垂直配向のホメオトロピック液晶素子でも同様な効果が得られる。
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、パターンニング位相差層とカラーフィルタを第1の基板に備えることで、パターンニング位相差層を形成する工程のみで、他に追加の工程を設けず、明るい反射表示が得られ、透過表示の彩度を大幅に改善し、かつ、リサイクル効果により明るい透過表示が得られる内在反射方式の半透過反射型カラー液晶表示装置を提供できる。
1 第1の基板
2 第2の基板
3 第1の電極
4 第2の電極
5 シール材
6 液晶層
6a 下液晶分子配向方向
6b 上液晶分子配向方向
7 半透過反射層
7a 半透過反射層の開口部
8 保護膜
9 パターンニング位相差層
9a パターンニング位相差層の遅相軸
11 第1の偏光板
11a 第1の偏光板の透過軸
12 液晶ポリマー位相差板
12a 液晶ポリマー位相差板の下分子配向方向
12b 液晶ポリマー位相差板の上分子配向方向
13 カラ−フィルタ
14 1/4波長位相差板
15 散乱層
16 バックライト
17 第2の偏光板
17a 第2の偏光板の透過軸
18 反射型偏光板
20、21、30、31 液晶素子
R 赤フィルタ
G 緑フィルタ
B 青フィルタ
2 第2の基板
3 第1の電極
4 第2の電極
5 シール材
6 液晶層
6a 下液晶分子配向方向
6b 上液晶分子配向方向
7 半透過反射層
7a 半透過反射層の開口部
8 保護膜
9 パターンニング位相差層
9a パターンニング位相差層の遅相軸
11 第1の偏光板
11a 第1の偏光板の透過軸
12 液晶ポリマー位相差板
12a 液晶ポリマー位相差板の下分子配向方向
12b 液晶ポリマー位相差板の上分子配向方向
13 カラ−フィルタ
14 1/4波長位相差板
15 散乱層
16 バックライト
17 第2の偏光板
17a 第2の偏光板の透過軸
18 反射型偏光板
20、21、30、31 液晶素子
R 赤フィルタ
G 緑フィルタ
B 青フィルタ
Claims (5)
- 第1の基板と第2の基板間に液晶層を挟持した液晶素子とを備え、前記第2の基板に対して液晶層と反対側には第1の偏光板を配置し、前記第1の基板に対して、液晶層と反対側には第2の偏光板を配置し、前記液晶素子の第1の基板の液晶層側には、部分的に開口部を設けた半透過反射層と、該半透過反射層の開口部を除く非開口部の位置に設けたパターンニング位相差層とを順次配置し、前記パターンニング位相差層の液晶層側であり、かつ前記半透過反射層の非開口部に対応する位置と、前記半透過反射層の開口部に対応する位置との各々にカラーフィルタを備え、半透過反射層の開口部に対応する位置のカラーフィルタの膜厚が、半透過反射層の非開口部に対応する位置のカラーフィルタの膜厚より厚くなっていることを特徴とする半透過反射型カラー液晶表示装置。
- 第1の基板と第2の基板間に液晶を挟持した液晶素子とを備え、前記第2の基板に対して液晶層と反対側には第1の偏光板を配置し、前記第1の基板に対して、液晶層と反対側には第2の偏光板を配置し、該液晶素子の第1の基板の液晶層側には、部分的に開口部を設けた半透過反射層と、該半透過反射層の開口部を除く非開口部の位置で、前記第1の基板と前記半透過反射層との間にパターンニング位相差層とを設け、前記半透過反射層の開口部に対応する位置と、前記半透過反射層の非開口部に対応する位置との各々にカラーフィルタを備え、前記第1の基板と前記第2の偏光板との間に1/4波長位相差板を備え、かつ、前記半透過反射層の開口部に対応するカラーフィルタの膜厚が、前記半透過反射層の非開口部に対応するカラーフィルタの膜厚より厚くなっていることを特徴とする半透過反射型カラー液晶表示装置。
- 前記第2の基板の外側に散乱層を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半透過反射型カラー液晶表示装置。
- 前記第2の偏光板の外側に、第2の偏光板の透過軸とほぼ平行な透過軸を有する反射型偏光板を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半透過反射型カラー液晶表示装置。
- 前記パターンニング位相差層の膜厚として、0.2〜1.0ミクロン、好ましくは、0.3〜0.6ミクロンの材料を用いることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の半透過反射型カラー液晶表示装置。
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2004
- 2004-07-29 JP JP2004221017A patent/JP2006039327A/ja active Pending
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