JP2006037688A - 木板床及び木質床の構造及びそれらの作成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】真の木質居住環境を簡易に実現するための床構造およびその経済的な施工方法を開発する。
【解決手段】木材との接触感を持つに十分な厚さ(12mm〜50mm)の木質板1によって床を構成し、建築物界床3との間に、緩衝材2として幅30mm〜120mmのベルト状の布層ゴム(JIS K6322:布層コンベヤゴムベルト)を20cmから50cmの間隔で敷設することにより十分な遮音性能を得、仮止めのための粘着材のほか機械的な固定を行わぬ構造により施工を著しく簡易化した。
【選択図】図1
【解決手段】木材との接触感を持つに十分な厚さ(12mm〜50mm)の木質板1によって床を構成し、建築物界床3との間に、緩衝材2として幅30mm〜120mmのベルト状の布層ゴム(JIS K6322:布層コンベヤゴムベルト)を20cmから50cmの間隔で敷設することにより十分な遮音性能を得、仮止めのための粘着材のほか機械的な固定を行わぬ構造により施工を著しく簡易化した。
【選択図】図1
Description
本発明は居住空間の構成における木質床仕上げ構造ならびにその施工方法に関するものである。
木材によって構成された居住空間が、居住者に対して、無機質で構成された居住空間では得難い精神的・肉体的な快適感を与えることは、従来から経験的に熟知されており、最近では木材の香気に含まれるテルペン類の生理的鎮静作用、木材表面の触覚による大脳刺激、木材表面の適度な光散乱による眩しさの軽減等の科学的な裏付けも徐々に蓄積されつつある。(非特許文献1)
このような状況に応じて、近年では鉄筋コンクリート構造の集合住宅等においても、内装に木材を使用するケースが増加し、床仕上げ構造においても、ダニ発生予防等の要請も加わって、ジュータンに代わり木板によるフローリングが多く見られるようになった。
しかしながらこれらの木質床仕上げ構造においては、従来のジュータン床に比べて床硬度が著しく増大するため、いわゆる軽量床衝撃音への対策が必要となり、界床(通常は鉄筋コンクリート)と木板フローリングとの間に遮音・緩衝層を設けることを基本にした種種の構造が提案されて来ている。
最も普通に見られるものは、ゴム系シート或いは発泡合成樹脂シート等の緩衝材を接着剤を用いて界床若しくは木質床心材に貼り付け、この上に床強度を保持するための木質合板、更に表面化粧のための木板を順次接着剤によって貼り付けたものであって、遮音性能を向上させるために、緩衝層を複数化する・緩衝層の内部で弾性的性質に傾斜をもたせる・木質合板に多数の溝を設ける等の工夫がなされて来ている。(特許文献1〜10)
また、最近では、木質床に対する衝撃が界床に伝わって、界床において発生する重量床衝撃音を更に軽減するため、緩衝材の使用を部分的にとどめるか、或いは緩衝材を取り付けた脚部を持つ浮床構造として、界床と木質床との間に空間部分を残す方法が取られるようになり、このための緩衝材の材質・形状・固定方法等についても多くの提案がなされている。(特許文献11〜14)
特開平5−44330 特公平6−22960 特開平6−240852 特開平8−135156 特許第2627680号 特開平10−159320 特開平11−62197 特開2000−226930 特許第3145024号 特開2002−364111 特開平7−34642 特許第2523175号 特開2002−188238 特開2003−193669 木材は環境と健康を守る:有馬孝禮編著 産調出版(1999)
木質床仕上げ構造については、上述のごとく多くの提案がなされており、現実の施工においても、多くは防音の観点からは特段の問題なく実用されている。しかしながら、木質空間としての特性の発現及び材料・施工等の面から見ると、これらの提案・実施例においては、以下のようないくつかの問題点がある。
(a)現在使用されている木板フローリングの殆どは、合板の上に化粧用のスギ・ヒノキ・オーク・メープル等の厚さ0.3〜1mm前後の板を貼ったものであって、外観的には木材環境を形成することは出来ても、居住者がその上を歩き、肌に触れた場合、良質の分厚い木材において感じられるような充足感を得ることは不可能である。
(b)木材の調湿機能は、一日単位の変動に対しては表面から3〜5mmの部分で対応するが、より長い周期の変動に対しては更に深い部分での対応が必要となり、年単位の変動に対しては50mm程度の厚さが必要であるとされる。現状の木板フローリングでは、このような機能を期待することは出来ない。接着剤を用いて表面に薄い化粧材を貼付したものにあっては、一目単位の変動に対する対応にも疑問がある。
(c)現在使用されている木板フローリングの多くは、防音性能の向上のために、上述したような種種の工夫が加えられた結果、使用される材料の種類が増加し、形状も複雑化してコストの上昇を招き、接着剤その他からの揮発性化学物質の影響についても配慮が必要である。
(d)防音性能の向上を図ったフローリングの直貼り施工に際しては、位置調整のためのズラシ作業を行う必要上遅口の接着剤を使用しなくてはならず、作業時間が長くなることが避けられない。このため、接着層の上に細い帯状の弾性体を置き、床板を弾性体で支持しつつ位置調整を行い、所定の位置において上方からの加圧によって弾性体を潰して床板を接着層に接触させるような方法も提案されているが、作業に注意が必要であり、重量のある床板には適用できない。
(a)現在使用されている木板フローリングの殆どは、合板の上に化粧用のスギ・ヒノキ・オーク・メープル等の厚さ0.3〜1mm前後の板を貼ったものであって、外観的には木材環境を形成することは出来ても、居住者がその上を歩き、肌に触れた場合、良質の分厚い木材において感じられるような充足感を得ることは不可能である。
(b)木材の調湿機能は、一日単位の変動に対しては表面から3〜5mmの部分で対応するが、より長い周期の変動に対しては更に深い部分での対応が必要となり、年単位の変動に対しては50mm程度の厚さが必要であるとされる。現状の木板フローリングでは、このような機能を期待することは出来ない。接着剤を用いて表面に薄い化粧材を貼付したものにあっては、一目単位の変動に対する対応にも疑問がある。
(c)現在使用されている木板フローリングの多くは、防音性能の向上のために、上述したような種種の工夫が加えられた結果、使用される材料の種類が増加し、形状も複雑化してコストの上昇を招き、接着剤その他からの揮発性化学物質の影響についても配慮が必要である。
(d)防音性能の向上を図ったフローリングの直貼り施工に際しては、位置調整のためのズラシ作業を行う必要上遅口の接着剤を使用しなくてはならず、作業時間が長くなることが避けられない。このため、接着層の上に細い帯状の弾性体を置き、床板を弾性体で支持しつつ位置調整を行い、所定の位置において上方からの加圧によって弾性体を潰して床板を接着層に接触させるような方法も提案されているが、作業に注意が必要であり、重量のある床板には適用できない。
本発明者は、多年にわたり檜材を主とした居住空間が最良の住環境を与えるものであることを主張し、その実現のために工夫・実践を重ねてきた結果、上記の問題点を解決し、通常の木造住宅のみならず、鉄筋コンクリート等を駆体とする集合住宅においても実用が可能な、目的とする住環境に適した以下の如き床構造及びその施工方法を発明するに至った。 以下に、図を参照しながら説明する。
(1)集合住宅または独立住宅の界床1(図1〜7)の上に、幅30mm〜120mmのベルト状の緩衝材2(図1〜7)を20cm〜50cmの間隔で床体全長にわたり必要本数を互いに平行に両面粘着テープ等によって仮止めして敷設し、該緩衝材の上面に、二方若しくは四方本実加工を施した、必要な長さを持つ厚さ12mm〜50mm、幅8cm〜50cmの檜または他の樹種の木板或いは合板等の木質板1(図1〜7)を該緩衝材と直角方向に必要枚数敷き詰め、該木板または木質板に対しては、必要に応じて両面粘着テープ等による仮止めを施すほかは一切釘止め・接着等による完全な固定を行わず、該木板または木質板の側面に設けられた凸部及び凹部を交互に嵌合させることによって相互に密着・一体化した構造の木板床または木質床を形成し、必要に応じ該木板床または木質床と壁面4(図4〜7)との間隙に弾性体または粘弾性体によるシール5〜8a・8b(図4〜7)を施した構造の木板床または木質床。
(2)上記(1)記載の界床が鉄筋コンクリートによって構成されている木板床または木質床。
(3)上記(1)記載の界床が鉄骨構造とコンクリートパネル若しくは木質系パネルとによって構成されている木板床または木質床。
(4)上記(1)記載の界床が、床板・根太・大引・土台或いは構造用合板床下地等で構成されている木質のものである木板床または木質床。
(5)集合住宅または独立住宅の、カーペット或いはフローリング等を施した既存の床3(図1〜7)の上に、ベルト状の緩衝材2(図1〜7)を、20cm〜50cmの間隔で床の全長にわたり必要本数を互いに平行に両面粘着テープ等により仮止めして敷設し、該緩衝材の上面に、二方若しくは四方本実加工を施した、必要な長さを持つ厚さ12mm〜50mm、幅8cm〜50cmの檜または他の樹種の木板または合板等の木質板1(図1〜7)を該緩衝材と直角方向に必要枚数敷き詰め、該木板または木質板に対しては両面粘着テープ等による仮止めのほかは一切釘止め・接着等による完全な固定を行わず、該木板または木質板の側面に設けられた凸部及び凹部を交互に嵌合させることによって相互に密着・一体化した構造の木板床または木質床を形成し、必要に応じ該木質床と壁面4(図4〜7)との間隙に弾性体または粘弾性体によるシール5〜8a・8b(図4〜7)を施した構造の木板床または木質床。
(6)上記(1)及び(5)記載の衝撃吸収材が、JIS K6322に規定されている布層コンベヤゴムベルトのうち布層数2以上、厚さ5mm〜37mmのものを所要の幅に裁断して作られたものである木板床または木質床。
(7)上記(1)及び(5)記載の弾性体または粘弾性体によるシールが、テープ状その他の連続体を壁面に取り付けた構造若しくは適宜の長さの柱状物を連接させて壁面に取り付けた構造によって行われている木板床または木質床。
(8)上記(1)、(5)及び(7)記載の弾性体または粘弾性体によるシールが、円形・楕円形・台形・正方形・長方形等若しくはこれらを組み合わせた適宜の断面形状を有する柱状物又は該柱状物を複数組み合わせた物(例えば図4〜7の5〜8a・8b)によって行われている木板床または木質床。
(9)上記(1)及び(5)記載の木板床または木質床を構築するに際し、1.該緩衝材を、界床またはカーペット或いはフローリング等を施した既存の床の上に、を行いつつ敷設し、2.該緩衝材の上面に、二方若しくは四方本実加工を施した木板または木質板を、両面接着テープ等による仮止めの他は釘止め・接着等による完全な固定を行うことなく該緩衝材と直角方向に敷き詰め、該木板または木質板の側面の凸部または凹部を順次隣接する木板または木質板の凹部または凸部に嵌合して相互に密着・一体化させ、3.位置調整をおこない、4.順次この作業を繰り返して所要面積の木板床または木質床を形成し、5.最終的に該木板床または木質床の位置調整を行うことを特徴とする木板床または木質床の作成方法。
(10)上記(9)記載の木板床または木質床の作成方法において、予め壁面の所要個所に(7)若しくは(8)記載のシールを施すことを特徴とする木板床または木質床の作成方法。
(11)上記(9)記載の木板床または木質床の作成方法において、位置調整を行った木板床または木質床と壁面との間隙に、上記(8)記載の粘弾性体または弾性体の柱状物を圧入することによってシールをを施すことを特徴とする木板床または木質床の作成方法。
(12)上記(11)記載の木板床または木質床の作成方法において、必要に応じ壁面に接する木板または木質板の側面に適宜の形状の溝加工(例えば図5,7の1a)を施すことを特徴とする木板床又は木質床の作成方法。
(1)集合住宅または独立住宅の界床1(図1〜7)の上に、幅30mm〜120mmのベルト状の緩衝材2(図1〜7)を20cm〜50cmの間隔で床体全長にわたり必要本数を互いに平行に両面粘着テープ等によって仮止めして敷設し、該緩衝材の上面に、二方若しくは四方本実加工を施した、必要な長さを持つ厚さ12mm〜50mm、幅8cm〜50cmの檜または他の樹種の木板或いは合板等の木質板1(図1〜7)を該緩衝材と直角方向に必要枚数敷き詰め、該木板または木質板に対しては、必要に応じて両面粘着テープ等による仮止めを施すほかは一切釘止め・接着等による完全な固定を行わず、該木板または木質板の側面に設けられた凸部及び凹部を交互に嵌合させることによって相互に密着・一体化した構造の木板床または木質床を形成し、必要に応じ該木板床または木質床と壁面4(図4〜7)との間隙に弾性体または粘弾性体によるシール5〜8a・8b(図4〜7)を施した構造の木板床または木質床。
(2)上記(1)記載の界床が鉄筋コンクリートによって構成されている木板床または木質床。
(3)上記(1)記載の界床が鉄骨構造とコンクリートパネル若しくは木質系パネルとによって構成されている木板床または木質床。
(4)上記(1)記載の界床が、床板・根太・大引・土台或いは構造用合板床下地等で構成されている木質のものである木板床または木質床。
(5)集合住宅または独立住宅の、カーペット或いはフローリング等を施した既存の床3(図1〜7)の上に、ベルト状の緩衝材2(図1〜7)を、20cm〜50cmの間隔で床の全長にわたり必要本数を互いに平行に両面粘着テープ等により仮止めして敷設し、該緩衝材の上面に、二方若しくは四方本実加工を施した、必要な長さを持つ厚さ12mm〜50mm、幅8cm〜50cmの檜または他の樹種の木板または合板等の木質板1(図1〜7)を該緩衝材と直角方向に必要枚数敷き詰め、該木板または木質板に対しては両面粘着テープ等による仮止めのほかは一切釘止め・接着等による完全な固定を行わず、該木板または木質板の側面に設けられた凸部及び凹部を交互に嵌合させることによって相互に密着・一体化した構造の木板床または木質床を形成し、必要に応じ該木質床と壁面4(図4〜7)との間隙に弾性体または粘弾性体によるシール5〜8a・8b(図4〜7)を施した構造の木板床または木質床。
(6)上記(1)及び(5)記載の衝撃吸収材が、JIS K6322に規定されている布層コンベヤゴムベルトのうち布層数2以上、厚さ5mm〜37mmのものを所要の幅に裁断して作られたものである木板床または木質床。
(7)上記(1)及び(5)記載の弾性体または粘弾性体によるシールが、テープ状その他の連続体を壁面に取り付けた構造若しくは適宜の長さの柱状物を連接させて壁面に取り付けた構造によって行われている木板床または木質床。
(8)上記(1)、(5)及び(7)記載の弾性体または粘弾性体によるシールが、円形・楕円形・台形・正方形・長方形等若しくはこれらを組み合わせた適宜の断面形状を有する柱状物又は該柱状物を複数組み合わせた物(例えば図4〜7の5〜8a・8b)によって行われている木板床または木質床。
(9)上記(1)及び(5)記載の木板床または木質床を構築するに際し、1.該緩衝材を、界床またはカーペット或いはフローリング等を施した既存の床の上に、を行いつつ敷設し、2.該緩衝材の上面に、二方若しくは四方本実加工を施した木板または木質板を、両面接着テープ等による仮止めの他は釘止め・接着等による完全な固定を行うことなく該緩衝材と直角方向に敷き詰め、該木板または木質板の側面の凸部または凹部を順次隣接する木板または木質板の凹部または凸部に嵌合して相互に密着・一体化させ、3.位置調整をおこない、4.順次この作業を繰り返して所要面積の木板床または木質床を形成し、5.最終的に該木板床または木質床の位置調整を行うことを特徴とする木板床または木質床の作成方法。
(10)上記(9)記載の木板床または木質床の作成方法において、予め壁面の所要個所に(7)若しくは(8)記載のシールを施すことを特徴とする木板床または木質床の作成方法。
(11)上記(9)記載の木板床または木質床の作成方法において、位置調整を行った木板床または木質床と壁面との間隙に、上記(8)記載の粘弾性体または弾性体の柱状物を圧入することによってシールをを施すことを特徴とする木板床または木質床の作成方法。
(12)上記(11)記載の木板床または木質床の作成方法において、必要に応じ壁面に接する木板または木質板の側面に適宜の形状の溝加工(例えば図5,7の1a)を施すことを特徴とする木板床又は木質床の作成方法。
本発明によって得られる効果は以下の通りである。
(あ)在来の薄い化粧板を貼付した木板に代わり、12〜50mmの厚さを持つ檜等の本木若しくは木質板を使用することにより、真に木材と接して生活する充足感の得られる居住空間を構成することが出来る。
(い)居住空間に接する木材の厚さが大なることにより、居住空間に対する調湿機能が増大する。
(う)本発明で使用されるような厚み・重量を持ち、二方本実加工若しくは四方本実加工によって相互に密着させる構造の床板の位置調整においては、上記(d)に述べたような従来の方法を適用することは困難である。本発明においては、界床上にベルト状の緩衝材を必要本数相互に平行に敷設し、この上に床板を該緩衝材と直角に置き並べてゆくことにより容易に位置調整を行うことが出来、従来の工法に比べて遥かに簡易な工程で床を構成することが可能である。床は自身の重量によって安定した位置を保持し、必要に応じ壁面との間隙に弾性体又は粘弾性体のシールを施すことにより床の振動が壁面に伝播することがない。この結果、従来の木質床に比べて遥かに簡易な構造にも拘わらず、本発明においては居住空間として十分な遮音性能を得ることが出来る。このような接着剤の使用量を極度に減らした工法は、本発明の如き厚みと重量とを持つ床によって初めて可能となる。
(え)本発明においては、従来厚い床板の固定に用いられて来た釘止め等の金属材料による界床或いは界床に直結した下部床板との結合がなく、床板上面に加えられた衝撃が金属を介して界床に伝達されないため、防音性が損なわれない。
(お)本発明に使用される緩衝材は、単一材・矩形断面のものでよく、既存・市販の材料例えばJISK6322に規定されている布層コンベヤゴムベルトのうち布層数2以上のものを所要の幅・長さに裁断したものを用いることも可能である。該緩衝材は従来この種の目的に使用されてきたものに比べて形状・材質ともはるかに簡単であり、この面でのコストダウンを期待することが出来る。
(あ)在来の薄い化粧板を貼付した木板に代わり、12〜50mmの厚さを持つ檜等の本木若しくは木質板を使用することにより、真に木材と接して生活する充足感の得られる居住空間を構成することが出来る。
(い)居住空間に接する木材の厚さが大なることにより、居住空間に対する調湿機能が増大する。
(う)本発明で使用されるような厚み・重量を持ち、二方本実加工若しくは四方本実加工によって相互に密着させる構造の床板の位置調整においては、上記(d)に述べたような従来の方法を適用することは困難である。本発明においては、界床上にベルト状の緩衝材を必要本数相互に平行に敷設し、この上に床板を該緩衝材と直角に置き並べてゆくことにより容易に位置調整を行うことが出来、従来の工法に比べて遥かに簡易な工程で床を構成することが可能である。床は自身の重量によって安定した位置を保持し、必要に応じ壁面との間隙に弾性体又は粘弾性体のシールを施すことにより床の振動が壁面に伝播することがない。この結果、従来の木質床に比べて遥かに簡易な構造にも拘わらず、本発明においては居住空間として十分な遮音性能を得ることが出来る。このような接着剤の使用量を極度に減らした工法は、本発明の如き厚みと重量とを持つ床によって初めて可能となる。
(え)本発明においては、従来厚い床板の固定に用いられて来た釘止め等の金属材料による界床或いは界床に直結した下部床板との結合がなく、床板上面に加えられた衝撃が金属を介して界床に伝達されないため、防音性が損なわれない。
(お)本発明に使用される緩衝材は、単一材・矩形断面のものでよく、既存・市販の材料例えばJISK6322に規定されている布層コンベヤゴムベルトのうち布層数2以上のものを所要の幅・長さに裁断したものを用いることも可能である。該緩衝材は従来この種の目的に使用されてきたものに比べて形状・材質ともはるかに簡単であり、この面でのコストダウンを期待することが出来る。
本発明は種種の様式の住宅に適用することが可能であるが、最も有用なのは次の2つの場合である。
(イ)鉄筋コンクリートの駆体を持つ新規集合住宅への適用: 床を構築しようとする部屋の壁面を周回させて床の高さに合わせてテープ状の粘弾性体または弾性体のシール材例えば5(図4)を設置する。次いで、向かい合う壁面間に、緩衝材として、JISK6322に規定されている布層数2のコンベヤゴムベルトを幅60mm、長さ2mに裁断したものを、長手方向が壁面に対し直角になるように、20〜35cmの間隔で両面粘着テープで界床に仮止めして敷設し、更に同種のゴムベルトを既設のゴムベルトに連接させつつ敷設を繰り返し、壁面間の全長にわたり緩衝材を設置する。該緩衝材の上に該緩衝材と直角の方向に檜またはこれに準ずる樹種の、厚さ12〜50mm、幅8〜30cmの木板を所要の枚数敷き並べる。該木板若しくは複数の木板を長手方向に連接したものの長さは該緩衝材の設置方向と平行な両壁面の間隔にほぼ等しく、該壁面のシールと軽く接するものとする。該木板の長手方向の側面には二方本実加工(複数の木板を長手方向に連接して使用する場合には四方本実加工)を施し、順次隣接する凸部と凹部とを嵌合・密着させ、必要の都度位置調整を行いつつ所要の面積の床を構成し、最後に該木板の長手方向の接する壁面のシールに軽く接するよう位置調整を行う。該壁面と接する木板長手方向の側面には(四方本実加工を施した場合には、これに加えて長手方向に直角な壁面に接する木板側面にも)本実加工を施さない。必要に応じては、最初に壁面にシールを設置せず、最終位置調整を行った後、壁面と床側面との間に粘弾性体或いは弾性体を圧入してシール例えば7(図6)を施すことも出来る。該シールの形式は必要に応じ種種のものが適用可能であるが、例えば床側面の適宜の位置に全長にわたり床面に平行に断面が半円形の溝1a(図5,7)を作り、例えば6(図5)或いは8a・8b(図7)に示すような形状の弾性体を圧入することが出来る。本発明にかかる床構造は自身の重量によって十分に位置の安定を保持できるが、必要があれば上記の如きシールの圧入により、壁面との間に弾性的結合を持って更に床を安定させることが出来る。
(ロ)既成の床のリフオームへの適用:本発明は木板フローリング或いはジュータン貼り等を施した既成の床のリフォームに対して極めて有用である。即ち既成の床の撤去等の手間を必要とせず、在姿のまま上記(イ)に記述した施工を施すことが出来、工期の大幅な短縮とコストの低減が可能である。 この場合、既存のジュータン等の吸音効果により、遮音性能は更に向上する。(イ)に記述した施工においても、緩衝材間の界床面にジュータンと等価程度の簡易な吸音材を設置することにより、遮音性能の向上を図ることが可能である。
(イ)鉄筋コンクリートの駆体を持つ新規集合住宅への適用: 床を構築しようとする部屋の壁面を周回させて床の高さに合わせてテープ状の粘弾性体または弾性体のシール材例えば5(図4)を設置する。次いで、向かい合う壁面間に、緩衝材として、JISK6322に規定されている布層数2のコンベヤゴムベルトを幅60mm、長さ2mに裁断したものを、長手方向が壁面に対し直角になるように、20〜35cmの間隔で両面粘着テープで界床に仮止めして敷設し、更に同種のゴムベルトを既設のゴムベルトに連接させつつ敷設を繰り返し、壁面間の全長にわたり緩衝材を設置する。該緩衝材の上に該緩衝材と直角の方向に檜またはこれに準ずる樹種の、厚さ12〜50mm、幅8〜30cmの木板を所要の枚数敷き並べる。該木板若しくは複数の木板を長手方向に連接したものの長さは該緩衝材の設置方向と平行な両壁面の間隔にほぼ等しく、該壁面のシールと軽く接するものとする。該木板の長手方向の側面には二方本実加工(複数の木板を長手方向に連接して使用する場合には四方本実加工)を施し、順次隣接する凸部と凹部とを嵌合・密着させ、必要の都度位置調整を行いつつ所要の面積の床を構成し、最後に該木板の長手方向の接する壁面のシールに軽く接するよう位置調整を行う。該壁面と接する木板長手方向の側面には(四方本実加工を施した場合には、これに加えて長手方向に直角な壁面に接する木板側面にも)本実加工を施さない。必要に応じては、最初に壁面にシールを設置せず、最終位置調整を行った後、壁面と床側面との間に粘弾性体或いは弾性体を圧入してシール例えば7(図6)を施すことも出来る。該シールの形式は必要に応じ種種のものが適用可能であるが、例えば床側面の適宜の位置に全長にわたり床面に平行に断面が半円形の溝1a(図5,7)を作り、例えば6(図5)或いは8a・8b(図7)に示すような形状の弾性体を圧入することが出来る。本発明にかかる床構造は自身の重量によって十分に位置の安定を保持できるが、必要があれば上記の如きシールの圧入により、壁面との間に弾性的結合を持って更に床を安定させることが出来る。
(ロ)既成の床のリフオームへの適用:本発明は木板フローリング或いはジュータン貼り等を施した既成の床のリフォームに対して極めて有用である。即ち既成の床の撤去等の手間を必要とせず、在姿のまま上記(イ)に記述した施工を施すことが出来、工期の大幅な短縮とコストの低減が可能である。 この場合、既存のジュータン等の吸音効果により、遮音性能は更に向上する。(イ)に記述した施工においても、緩衝材間の界床面にジュータンと等価程度の簡易な吸音材を設置することにより、遮音性能の向上を図ることが可能である。
1 木板
1a 溝加工
2 緩衝材
3 界床若しくは既存住宅の床
4 壁
5 シール材
6 シール材
7 シール材
8a シール材
8b シール材
1a 溝加工
2 緩衝材
3 界床若しくは既存住宅の床
4 壁
5 シール材
6 シール材
7 シール材
8a シール材
8b シール材
Claims (12)
- 集合住宅または独立住宅の界床の上に、幅30mm〜120mmのベルト状の緩衝材を、20cm〜50cmの間隔で床体全長にわたり必要本数を互いに平行に敷設し、該緩衝材の上面に、二方若しくは四方本実加工を施した、必要な長さを持つ厚さ12mm〜50mm、幅8cm〜50cmの檜或いは他の樹種の木板または合板等の木質板を該衝撃吸収材と直角方向に必要枚数敷き詰め、該木板または木質板に対しては一切釘止め・接着等を行わず、該木板または木質板の側面に設けられた凸部及び凹部を交互に嵌合させることによって相互に密着・一体化した構造の木板床または木質床を形成し、必要に応じ該木板床または木質床と壁面との間に弾性体または粘弾性体によるシールを施した構造の木板床または木質床。
- 請求項1記載の界床が鉄筋コンクリートによって構成されている木板床または木質床。
- 請求項1記載の界床が鉄骨構造とコンクリートパネル若しくは木質系パネルによって構成されている木板床または木質床。
- 請求項1記載の界床が、床板・根太・大引・土台或いは構造用合板床下地等で構成される木質のものである木板床または木質床。
- 集合住宅または独立住宅の、カーペット或いはフローリング等を施した既存の床の上に、ベルト状の緩衝材を、20cm〜50cmの間隔で床の全長にわたり必要本数を互いに平行に敷設し、該緩衝材の上面に、二方若しくは四方本実加工を施した、必要な長さを持つ厚さ12mm〜50mm、幅8cm〜50cmの檜或いは他の樹種の木板または合板等の木質板を該緩衝材と直角方向に必要枚数敷き詰め、該木板または木質板に対しては一切釘止め・接着等を行わず、該木板または木質板の側面に設けられた凸部及び凹部を交互に噛み合わせることによって相互に密着・一体化した構造の木板床または木質床を形成し、必要に応じ該木板床または木質床と壁面との間に弾性体または粘弾性体によるシールを施した構造の木板床または木質床。
- 請求項1及び請求項5記載の緩衝材が、JIS K6322に規定されている布層コンベヤゴムベルトのうち布層数2以上、厚さ5mm〜37mmのものを所要の幅に裁断して作られたものである木板床または木質床。
- 請求項1及び請求項5記載の弾性体または粘弾性体によるシールが、テープ状その他の連続体を壁面に取り付けた構造または適宜の長さの柱状体を連接して壁面に取り付けた構造によって行われている木質床。
- 請求項1、請求項5及び請求項7記載の弾性体または粘弾性体によるシールが、円形・楕円形・台形・正方形・長方形等或いはこれらの組み合わせによる適宜の断面形状を有する柱状物によって行われている木質床。
- 請求項1または請求項5記載の木板床または木質床を構築するに際し、1.該緩衝材を、界床またはカーペット或いはフローリング等を施した既存の床の上に、両面粘着テープ等の簡易な方法によって固定・設置し、2.該緩衝材の上面に、二方本実加工を施した該木板または木質板を、釘止め・接着等による完全な固定を行うことなく、両面粘着テープ等の簡易な仮止めを施しつつ該緩衝材と直角方向に敷設し、3.該木板または木質板の側面の凸部または凹部を隣接する木板または木質板の凹部または凸部に嵌合して相互に密着・一体化させ、3.必要に応じ位置調整を行い、順次この作業を繰り返して所要面積の木板床または木質床を形成し、5.最終的に該木板床または木質床の位置調整を行うことを特徴とする木板床または木質床の作成方法。
- 請求項9記載の木板床または木質床の作成方法において、予め壁面の所要個所に請求項7記載のシールを施しておくことを特徴とする木板床または木質床の作成方法。
- 請求項9記載の木板床または木質床の作成方法において、位置調整を行った木板床または木質床と壁面との間隙に、請求項8記載の粘弾性体または弾性体の柱状物を圧入することによってシールをを施すことを特徴とする木板床または木質床の作成方法。
- 請求項9記載の木板床または木質床の作成方法において、必要に応じ壁面に接する木板または木質板の側面に適宜の形状の溝加工を施すことを特徴とする木板床または木質床の作成方法。
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