JP2006036825A - 光硬化性液状樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、光硬化性に優れ、かつ硬化物の機械的強度と破壊靭性に優れた液状硬化性樹脂組成物に関し、特に耐衝撃性を要求される硬化物を製造するための光学的立体造形用樹脂組成物として有用な光硬化性液状樹脂組成物に関する。
近年、光硬化性の液状物質(液状樹脂組成物)に選択的に光照射して硬化樹脂層を形成する工程を繰り返すことにより、当該硬化樹脂層が一体的に積層されてなる立体形状物を形成する光学的立体造形法が提案されている(特許文献1〜4参照)。この光学的立体造形法の代表的な例を説明すると、容器内に収容された光硬化性液状樹脂組成物の液面に、紫外線レーザー等の光を選択的に照射することにより、所定のパターンを有する硬化樹脂層を形成する。次いで、この硬化樹脂層の上に、一層分の光硬化性液状樹脂組成物を供給し、その液面に選択的に光を照射することにより、先行して形成された硬化樹脂層上にこれと連続するよう新しい硬化樹脂層を一体的に積層形成する。そして、光が照射されるパターンを変化させながらあるいは変化させずに上記の工程を所定回数繰り返すことにより、複数の硬化樹脂層が一体的に積層されてなる立体形状物が形成される。この光学的立体造形法は、目的とする立体形状物の形状が複雑なものであっても、容易にしかも短時間で得ることができるために注目されている。
従来、光学的立体造形法に使用される光硬化性液状樹脂組成物としては、下記〔イ〕〜〔ハ〕のような樹脂組成物が紹介されている。
〔イ〕ウレタン(メタ)アクリレート、オリゴエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、チオール及びエン化合物、感光性ポリイミド等のラジカル重合性有機化合物を含有する樹脂組成物(例えば、特許文献5〜7参照)。
〔ロ〕エポキシ化合物、環状エーテル化合物、環状ラクトン化合物、環状アセタール化合物、環状チオエーテル化合物、スピロオルソエステル化合物、ビニルエーテル化合物等のカチオン重合性有機化合物を含有する樹脂組成物(例えば、特許文献8参照)。
〔ハ〕ラジカル重合性有機化合物とカチオン重合性有機化合物とを含有する樹脂組成物(例えば、特許文献9〜14参照)。
〔イ〕ウレタン(メタ)アクリレート、オリゴエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、チオール及びエン化合物、感光性ポリイミド等のラジカル重合性有機化合物を含有する樹脂組成物(例えば、特許文献5〜7参照)。
〔ロ〕エポキシ化合物、環状エーテル化合物、環状ラクトン化合物、環状アセタール化合物、環状チオエーテル化合物、スピロオルソエステル化合物、ビニルエーテル化合物等のカチオン重合性有機化合物を含有する樹脂組成物(例えば、特許文献8参照)。
〔ハ〕ラジカル重合性有機化合物とカチオン重合性有機化合物とを含有する樹脂組成物(例えば、特許文献9〜14参照)。
しかし、このような立体造形法により得られる立体形状物は、デザインを検討するためのモデル、機械部品の試作品等として多く用いられるが、特に機械部品の試作品として用いる立体形状物には、設計図に忠実な微細加工が高い精度で施されていること、使用条件に耐え得る十分な機械的強度や耐熱性を有していること等が要求される。特に形状確認のみならずABS等の汎用樹脂と同じように行われる落下試験等の機能評価では、優れた耐衝撃性、破壊靭性等が要求される。
ところが、前記従来の〔イ〕〜〔ハ〕の組成物では、十分満足できる耐衝撃性を示す硬化物が得られなかった。
本発明の目的は、優れた耐衝撃性を有する硬化物を与えることのできる光硬化性液状樹脂組成物を提供することにある。
そこで、本発明者は種々検討した結果、酸の存在下で解離してカルボキシル基を生成する成分を含有した組成物から得られる硬化物は、耐折り曲げ性、フィルム衝撃及び耐衝撃性に優れることを見出した。
本発明の光硬化性液状樹脂組成物に用いられる成分(A)は、酸の存在下で解離してカルボキシル基を生成する成分であれば、特に限定されるものではない。この酸は、通常、光照射によって(C)カチオン性光重合開始剤が分解して発生した酸として供給される。
成分(A)は、好ましくは、下記式(1)で表される構造を有する化合物である。
成分(A)は、好ましくは、下記式(1)で表される構造を有する化合物である。
(式中、R1は重合性の炭素−炭素二重結合を有する有機基、R2及びR3は相互に独立に炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基を示す。)
上記式(1)で表されるR2及びR3の炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基等を挙げることができる。
また、炭素数6〜14のアリール基としては、例えば、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、4−クロロフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、1−ナフチル基、ベンジル基等を挙げることができる。
また、炭素数6〜14のアリール基としては、例えば、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、4−クロロフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、1−ナフチル基、ベンジル基等を挙げることができる。
具体的には、次の化合物(a)、化合物(b)、(共)重合体(c)等を挙げることができる。これら化合物(a)、化合物(b)、(共)重合体(c)は、単独で(A)成分を構成しても良いし、二種以上を併用してもよい。
化合物(a)は、分子内に重合性の炭素−炭素二重結合を少なくとも2個以上有し、かつ、上記式(1)で表される構造を有する化合物である。
化合物(a)は、例えば、少なくとも1個の3級水酸基を有する多価アルコールと、重合性の炭素−炭素二重結合を1個有する1価カルボン酸とをエステル化反応させることにより合成することができる。前記エステル化反応は、例えば、
(1)前記カルボン酸化合物の酸クロライドを前記多価アルコールとを反応させる酸クロライド法、
(2)ジシクロヘキシルカルボジイミド等の縮合剤を用いて前記多価アルコールと前記カルボン酸化合物とを反応させる方法、
(3)トリフルオロ酢酸無水物等の強酸無水物を脱水剤として用いて前記多価アルコールと前記カルボン酸化合物とを反応させる方法、
(4)前記多価アルコールと前記カルボン酸化合物のエステルとのエステル交換法等により実施することができる。
(1)前記カルボン酸化合物の酸クロライドを前記多価アルコールとを反応させる酸クロライド法、
(2)ジシクロヘキシルカルボジイミド等の縮合剤を用いて前記多価アルコールと前記カルボン酸化合物とを反応させる方法、
(3)トリフルオロ酢酸無水物等の強酸無水物を脱水剤として用いて前記多価アルコールと前記カルボン酸化合物とを反応させる方法、
(4)前記多価アルコールと前記カルボン酸化合物のエステルとのエステル交換法等により実施することができる。
化合物(a)の合成に使用される3級水酸基を有する多価アルコールとしては、例えば、下記一般式(4)〜(6)で表される化合物等を挙げることができる。
(一般式(4)において、R12及びR13は炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基であり、R12とR13は相互に同一でも異なってもよく、R14はi価の有機基を示すか、i=2のとき単結合を示し、iは2〜4の整数である。ただし、R12、R13、R14のいずれか一つは炭素数1〜10のアルキル基である。)
(一般式(5)において、R15は炭素数1〜10のアルキル基、R16は炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基であり、R17は炭素数1〜5のアルキル基を示し、複数存在するR17は相互に同一でも異なっていてもよく、jは2〜4の整数、mは0〜4の整数で、j+m≦6である。)
(一般式(6)において、R18は炭素数1〜10のアルキル基、R19は炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基であり、R20は炭素数1〜5のアルキル基を示し、複数存在するR20は相互に同一でも異なっていてもよく、R21はz価の有機基、−O−、−S−、−CO−又はSO2−を示し、kは1又は2、nは0〜3の整数、zは2〜4の整数である。
一般式(4)で表される化合物としては、例えば、2,3−ジメチル−2,3−ブタンジオール、2,3−ジエチル−2,3−ブタンジオール、2,3−ジ−n−プロピル−2,3−ブタンジオール、2,3−ジフェニル−2,3−ブタンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ジ−n−プロピル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ジフェニル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2,5−ジエチル−2,5−ヘキサンジオール、2,5−ジ−n−プロピル−2,5−ヘキサンジオール、2,5−ジフェニル−2,5−ヘキサンジオール、2,6−ジメチル−2,6−ヘプタンジオール、2,6−ジエチル−2,6−ヘプタンジオール、2,6−ジ−n−プロピル−2,6−ヘプタンジオール、2,6−ジフェニル−2,6−ヘプタンジオール等の2価の3級アルコール類;2,4−ジメチル−2,4−ジヒドロキシ―3−(2−ヒドロキシプロピル)ペンタン、2,4−ジエチル−2,4−ジヒドロキシ−3−(2−ヒドロキシプロピル)ペンタン、2,5−ジメチル−2,5−ジヒドロキシ−3−(2−ヒドロキシプロピル)ヘキサン、2,5−ジエチル−2,5−ジヒドロキシ―3−(2−ヒドロキシプロピル)ヘキサン等の3価の3級アルコール類;2,4−ジメチル−2,4−ジヒドロキシ−3,3−ジ(2−ヒドロキシプロピル)ペンタン、2,4−ジエチル−2,4−ジヒドロキシ−3,3−ジ(2−ヒドロキシプロピル)ペンタン、2,5−ジメチル−2,5−ジヒドロキシ−3,4−ジ(2−ヒドロキシプロピル)ヘキサン、2,5−ジエチル−2,4−ジヒドロキシ−3,4−ジ(2−ヒドロキシプロピル)ヘキサン等の4価の3級アルコール類を挙げることができる。
また、一般式(5)で表される化合物としては、例えば、1,4−ジ(2−ヒドロキシプロピル)ベンゼン、1,3−ジ(2−ヒドロキシプロピル)ベンゼン、1,3,5−トリ(2−ヒドロキシプロピル)ベンゼン、1,2,4,5−テトラ(2−ヒドロキシプロピル)ベンゼン等を挙げることができる。
また、一般式(6)で表される化合物としては、例えば、2,2−ビス{4−(2−ヒドロキシプロピル)フェニル}プロパン、1,2,2−トリス{4−(2−ヒドロキシプロピル)フェニル}プロパン、1,2,3,4−テトラ{4−(2−ヒドロキシプロピル)フェニル}ブタン、ビス{4−(2−ヒドロキシプロピル)フェニル}エーテル、ビス{4−(2−ヒドロキシプロピル)フェニル}スルフィド、ビス{4−(2−ヒドロキシプロピル)フェニル}ケトン、ビス{4−(2−ヒドロキシプロピル)フェニル}スルホン等を挙げることができる。
これら一般式(4)〜(6)で表される2〜4価の3級アルコールのうち、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、1,4−ジ(2−ヒドロキシプロピル)ベンゼン、1,3−ジ(2−ヒドロキシプロピル)ベンゼン等が好ましく、特に2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオールが好ましい。
化合物(a)を合成する際に使用される重合性の炭素−炭素二重結合を1個有する1価のカルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、けい皮酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルカルボン酸、4−(メタ)アクリロイロキシシクロヘキシルカルボン酸等を挙げることができる。
前記に示す重合性の炭素−炭素二重結合を1個有する1価のカルボン酸としては、化合物(a)の硬化反応速度の点で(メタ)アクリル酸が特に好ましい。
化合物(a)の具体例としては、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ(メタ)アクリレート、1,3−ジ(2−ヒドロキシプロピル)ベンゼン−ジ(メタ)アクリレート(追加)等が挙げられる。
化合物(b)は、重合性炭素−炭素二重結合を1個有し、下記の構造式(2)又は(3)で表される化合物である。
(式中、R4は重合性の炭素−炭素二重結合を有する有機基、R5は炭素数1〜10のアルキル基を示し、R6及びR7は炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜20の1価の脂環族基又は炭素数6〜20の1価のアリール基を示す。)
(式中、R8は重合性の炭素−炭素二重結合を有する有機基、R9は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10の脂環族基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数7〜11のアラルキル基を示し、R10、R11はそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、炭素数3〜10の脂環族基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数7〜11のアラルキル基を示すかあるいは、R9、R10及びR11のいずれか2つがお互いに結合して5〜7員環を形成していてもよい。)
前記構造式(2)で表されるR5及びR6、R7の炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基等を挙げることができる。
前記構造式(2)のR6及びR7の炭素数6〜20の1価の脂環族基としては、例えば、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、2−メチルシクロヘキシル基、3−メチルシクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、4−クロロシクロヘキシル基、4−t−ブチルシクロヘキシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、アダマンチル基、2−メチルアダマンチル基、トリシクロデカニル基等を挙げることができる。
前記構造式(2)のR6及びR7の炭素数6〜20の1価のアリール基としては、例えば、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、4−クロロフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、1−ナフチル基、ベンジル基等を挙げることができる。
前記構造式(3)で表されるR9は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10の脂環族基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数7〜11のアラルキル基である。
前記構造式(3)のR9の炭素数1〜10のアルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基等を挙げることができる。
前記構造式(3)のR9の炭素数3〜10の1価の脂環族基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基等を挙げることができる。
前記構造式(3)のR9の炭素数6〜10の1価のアリール基としては、例えば、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、1−ナフチル基等を挙げることができる。
前記構造式(3)のR9の炭素数7〜11のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、α−メチルベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等を挙げることができる。
前記構造式(3)のR10とR11は、それぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、炭素数3〜10の脂環族基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数7〜11のアラルキル基である。これらのうち、ハロゲン化アルキル基以外の基の具体例としては、前記R9のものと同じものを挙げることができる。しかして、ハロゲン化アルキルとしては、例えば、トリフルオロエチル基、ヘキサフルオロプロピル基、ヘプタデカフルオロデシ基等を挙げることができる。
また、構造式(3)では、R9、R10及びR11のいずれか2つがお互いに結合して5〜7員環を形成していてもよい。R9とR11が結合した場合の5〜7員環としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基及びシクロヘプチル基等を挙げることができる。また、R9とR10又はR10とR11が結合した場合の5〜7員環としては、例えば、テトラヒドロフラニル基及びテトラヒドロピラニル基を挙げることができる。
前記構造式(2)及び(3)を有する化合物(b)を構成する重合性の炭素―炭素二重結合を1個有する1価のカルボン酸としての具体例としては、前記構造式(1)のものと同じものを挙げることができる。
前記に示す化合物(b)の具体例としては、t−ブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロピラニル(メタ)アクリレート、2−t−ブトキシカルボニルメチル(メタ)アクリレート、2−ベンジルオキシカルボニルエチル(メタ)アクリレート、2−メチルアダマンチル(メタ)アクリレート、1,1−ジメチル−3−オキソブチル(メタ)アクリレート、2−ベンジルプロピル(メタ)アクリレート、2−(4−メチルシクロヘキシル)プロピル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
本発明における(共)重合体(c)は、構成成分として上記化合物(a)及び/又は(b)を含む(共)重合体である。また、(共)重合体(c)は、その構成成分として、化合物(a)及び/又は(b)に加えて、化合物(a)及び(b)以外の任意の共重合モノマーを構成成分として含むことができる。
本発明における(共)重合体(c)中に含有される成分(b)としては、本発明の所期の効果を損なわない範囲であれば特に限定されるものではないが、その含有率は、通常10〜100モル%、好ましくは20〜100モル%、さらに好ましくは30〜100モル%である。成分(b)は、(共)重合体(c)中に、単独で又は2種類以上が存在することができる。この場合、成分(b)の含有率が10モル%未満では、光造形物の耐衝撃性が十分得られない。
また、(共)重合体(c)で用いられる成分(a)は、(共)重合体(c)に適度の分岐構造を導入することにより重合体分子鎖の運動性を低下させて、硬化樹脂の初期の機械的、熱的特性を改良する作用と酸の作用により低分子量化させる作用を有するものであり、その含有率は、通常0〜40モル%、好ましくは0〜30モル%、さらに好ましくは0〜25モル%である。成分(a)は、(共)重合体(c)中に単独で又は2種類以上が存在することができる。この場合、成分(a)の含有率が40モル%以上では、共重合体の樹脂液に対する溶解性が低下し、均一な樹脂液が得られない。
ここにおいて使用される任意の共重合性モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−メトキシスチレン等の芳香族ビニル化合物;N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等のヘテロ原子含有脂環式ビニル化合物;(メタ)アクリロニトリル、シアン化ビニリデン等のシアノ基含有ビニル化合物;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド(誘導体)類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート等の非極性(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、けい皮酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルカルボン酸、4−(メタ)アクリロイロキシシクロヘキシルカルボン酸等のカルボキシル基含有(メタ)アクリレート類;o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、o−イソプロペニルフェノール、m−イソプロペニルフェノール、p−イソプロペニルフェノール等のフェノール性水酸基含有芳香族ビニル化合物等を挙げることができる。これらのモノマーは、単独又は2種類以上を混合して使用することができる。
(共)重合体(c)の重合は、重合開始剤、分子量調整剤等を使用する公知の方法により実施することができる。前記重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等を挙げることができる。これらの重合開始剤は、単独又は2種類以上を混合して使用することができる。
また、前記分子量調整剤としては、例えば、四塩化炭素、クロロホルム、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素類;n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸、チオプロピオン酸等のメルカプタン類;ジメチルキサントゲンジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイド等のキサントゲン類や、ターピノーレン、α−メチルスチレンダイマー等を挙げることができる。これらの分子量調整剤は、単独又は2種類以上を混合して使用することができる。
また、前記分子量調整剤としては、例えば、四塩化炭素、クロロホルム、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素類;n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸、チオプロピオン酸等のメルカプタン類;ジメチルキサントゲンジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイド等のキサントゲン類や、ターピノーレン、α−メチルスチレンダイマー等を挙げることができる。これらの分子量調整剤は、単独又は2種類以上を混合して使用することができる。
(共)重合体(c)のゲルパーミネーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」という。)は、通常1,000〜500,000、好ましくは5,000〜200,000、さらに好ましくは10,000〜150,000である。この場合、(共)重合体(c)のMwが1,000未満であると、光造形物の機械的、熱的特性等が低下する傾向があり、一方、500,000を超えると、樹脂液に対する溶解性が低下し、均一な樹脂液が得られない傾向にある。本発明において、(共)重合体(c)は、単独で又は2種類以上を混合して使用することができる。
(共)重合体(c)の具体例としては、p−イソプロペニルフェノールとt−ブチルアクリレートとの共重合体、スチレンと2−ベンジルプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明の光硬化性液状樹脂組成物中の成分(A)の含有量は、組成物全量に対して、通常1〜50重量%であり、好ましくは5〜30重量%、さらに好ましくは5〜20重量%である。この場合、成分(A)の含有量が1重量%未満であると十分な対衝撃性、靱性を得ることができず、一方、50重量%を超えると、造形物の機械的強度の低下、硬化収縮の増大、光造形物の寸法精度の低下や経時的な変形等が起こる傾向にある。成分(A)中において、上記(a)、(b)、(c)は、それぞれ単独又は2種類以上を任意に混合して使用することができる。
本発明で用いられる成分(B)カチオン重合性化合物は、カチオン性光重合性開始剤の存在下で光照射することにより、重合反応や架橋反応を起こす化合物であり、エポキシ化合物、オキセタン化合物、オキソラン化合物、環状アセタール化合物、環状ラクトン化合物、チイラン化合物、チエタン化合物、エポキシ化合物とラクトン化合物との反応生成物であるスピロオルトエステル化合物、ビニルエーテル化合物、エチレン性不飽和化合物等を挙げることができる。
(B)成分として使用できるエポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ε−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、トリメチルカプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、β−メチル−δ−バレロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシシクロへキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシシクロヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種又は2種以上のアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル類;脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル類;脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル類;フェノール、クレゾール、ブチルフェノール又はアルキレンオキサイドを付加して得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル類;高級脂肪酸のグリシジルエステル類;エポキシ化大豆油;エポキシステアリン酸ブチル;エポキシステアリン酸オクチル;エポキシ化アマニ油;エポキシ化ポリブタジエン等を例示することができる。
(B)成分として使用することのできる他のカチオン重合性化合物としては、トリメチレンオキシド、3,3−ジメチルオキセタン、3,3−ジクロロメチルオキセタン、3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン、ビス(3−エチル−3−メチルオキシ)ブタン等のオキセタン類;テトラヒドロフラン、2,3−ジメチルテトラヒドロフラン等のオキソラン類;トリオキサン、1,3−ジオキソラン、1,3,6−トリオキサンシクロオクタン等の環状アセタール類;β−プロピオラクトン、ε−カプロラクトン等の環状ラクトン類;エチレンスルフィド、1,2−プロピレンスルフィド、チオエピクロロヒドリン等のチイラン類;3,3−ジメチルチエタン等のチエタン類;エチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルシクロヘキサン、イソブチレン、ポリブタジエン等のエチレン性不飽和化合物;上記の各化合物の誘導体等を例示することができる。
(B)成分として使用できるエポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ε−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、トリメチルカプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、β−メチル−δ−バレロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシシクロへキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシシクロヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種又は2種以上のアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル類;脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル類;脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル類;フェノール、クレゾール、ブチルフェノール又はアルキレンオキサイドを付加して得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル類;高級脂肪酸のグリシジルエステル類;エポキシ化大豆油;エポキシステアリン酸ブチル;エポキシステアリン酸オクチル;エポキシ化アマニ油;エポキシ化ポリブタジエン等を例示することができる。
(B)成分として使用することのできる他のカチオン重合性化合物としては、トリメチレンオキシド、3,3−ジメチルオキセタン、3,3−ジクロロメチルオキセタン、3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン、ビス(3−エチル−3−メチルオキシ)ブタン等のオキセタン類;テトラヒドロフラン、2,3−ジメチルテトラヒドロフラン等のオキソラン類;トリオキサン、1,3−ジオキソラン、1,3,6−トリオキサンシクロオクタン等の環状アセタール類;β−プロピオラクトン、ε−カプロラクトン等の環状ラクトン類;エチレンスルフィド、1,2−プロピレンスルフィド、チオエピクロロヒドリン等のチイラン類;3,3−ジメチルチエタン等のチエタン類;エチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルシクロヘキサン、イソブチレン、ポリブタジエン等のエチレン性不飽和化合物;上記の各化合物の誘導体等を例示することができる。
これらのカチオン重合性化合物のうち、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ε−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、トリメチルカプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、β−メチル−δ−バレロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等が好ましい。
さらに好ましくは、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート等1分子中に2個以上の脂環式エポキシ基を有する化合物である。良好な硬化速度や機械的強度を保つためには、このエポキシ化合物が(B)成分中に50重量%以上の割合で含有していることが望ましい。
さらに好ましくは、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート等1分子中に2個以上の脂環式エポキシ基を有する化合物である。良好な硬化速度や機械的強度を保つためには、このエポキシ化合物が(B)成分中に50重量%以上の割合で含有していることが望ましい。
成分(B)として好適に使用できるカチオン重合性有機化合物の市販品としては、UVR−6100、UVR−6105、UVR−6110、UVR−6128、UVR−6200、UVR−6216(以上、ユニオンカーバイド社製)、セロキサイド2021、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、セロキサイド2083、セロキサイド2085、エポリードGT−300、エポリードGT−301、エポリードGT−302、エポリードGT−400、エポリード401、エポリード403(以上、ダイセル化学工業(株)製)、KRM−2100、KRM−2110、KRM−2199、KRM−2400、KRM−2410、KRM−2408、KRM−2490、KRM−2200、KRM−2720、KRM−2750(以上、旭電化工業(株)製)、Rapi−cure DVE−3、CHVE、PEPC(以上、ISP社製)エピコート828、エピコート812、エピコート1031、エピコート872、エピコートCT508(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)、XDO(以上、東亞合成(株)製)、VECOMER 2010、2020、4010、4020(以上、アライドシグナル社製)等を挙げることができる。上記のカチオン重合性化合物は、1種単独で、又は2種以上組み合わせて成分(B)を構成することができる。
本発明組成物中の成分(B)の含有量は、通常20〜90重量%であるが、30〜85重量%がより好ましく、30〜75重量%がさらに好ましい。(B)の含有量が90重量%を超えると、光造形物の反り等の変形が大きくなる傾向にあり、一方、20重量%未満の場合は、光造形物の十分な機械的、熱的特性が得られない傾向にある。
本発明に用いられる成分(C)は、カチオン性光重合開始剤である。成分(C)は、光等のエネルギー線を受けることによって、前記化合物(a)、(b)及び(共)重合体(c)のエステル基を分解させ、前記成分(B)のカチオン重合を開始させる物質を放出することができる。
ここで、光等のエネルギー線とは、可視光、紫外光、赤外光、X線、α線、β線、γ線等を意味する。好ましい成分(C)の化合物として、下記一般式(7)で表される構造を有するオニウム塩を挙げることができる。
ここで、光等のエネルギー線とは、可視光、紫外光、赤外光、X線、α線、β線、γ線等を意味する。好ましい成分(C)の化合物として、下記一般式(7)で表される構造を有するオニウム塩を挙げることができる。
[R22 aR23 bR24 cR25 dW]+p[MXo+p]−p (7)
(式中、カチオンはオニウムイオンであり、WはS、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O,I、Br、Cl又は−N=Nであり、R22、R23、R24及びR25は同一又は異なる有機基であり、a、b、c及びdは各々0〜3の整数であって、(a+b+c+d)はWの価数に等しい。Mはハロゲン化物錯体[MXo+p]の中心原子を構成する金属又はメタロイドであり、例えば、B、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Co等である。Xは、例えば、F、Cl、Br等のハロゲン原子であり、pはハロゲン化物錯体イオンの正味の電荷であり、oはMの原子価である。)
このオニウム塩は、光を受けることによりルイス酸を放出する化合物である。
(式中、カチオンはオニウムイオンであり、WはS、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O,I、Br、Cl又は−N=Nであり、R22、R23、R24及びR25は同一又は異なる有機基であり、a、b、c及びdは各々0〜3の整数であって、(a+b+c+d)はWの価数に等しい。Mはハロゲン化物錯体[MXo+p]の中心原子を構成する金属又はメタロイドであり、例えば、B、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Co等である。Xは、例えば、F、Cl、Br等のハロゲン原子であり、pはハロゲン化物錯体イオンの正味の電荷であり、oはMの原子価である。)
このオニウム塩は、光を受けることによりルイス酸を放出する化合物である。
上記一般式(7)中におけるアニオン[MXo+p]の具体例としては、テトラフルオロボレート(BF4 −)、ヘキサフルオロホスフェート(PF6 −)、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6 −)、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6 −)、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl6 −)等が挙げられる。
また、一般式[MXo(OH)−]で表されるアニオンを有するオニウム塩を使用することができる。さらに、過塩素酸イオン(ClO4 −)、トリフルオロメタンスルフォン酸イオン(CF3SO3 −)、フルオロスルフォン酸イオン(FSO3 −)、トルエンスルフォン酸イオン、トリニトロベンゼンスルフォン酸アニオン、トリニトロトルエンスルフォン酸アニオン等の他のアニオンを有するオニウム塩を使用することもできる。
このようなオニウム塩のうち、成分(C)として特に有効なオニウム塩は、芳香族オニウム塩である。中でも、特開昭50−151996号公報、特開昭50−158680号公報等に記載の芳香族ハロニウム塩、特開昭50−151997号公報、特開昭52−30899号公報、特開昭56−55420号公報、特開昭55−125105号公報等に記載のVIA族芳香族オニウム塩、特開昭50−158698号公報等に記載のVA族芳香族オニウム塩、特開昭56−8428号公報、特開昭56−149402号公報、特開昭57−192429号公報等に記載のオキソスルホキソニウム塩、特開昭49−17040号公報等に記載の芳香族ジアゾニウム塩、米国特許第4,139,655号明細書に記載のチオビリリウム塩等が好ましい。また、鉄/アレン錯体、アルミニウム錯体/光分解ケイ素化合物系開始剤等も挙げることができる。
成分(C)として好適に使用できるカチオン性光重合開始剤の市販品としては、UVI−6950、UVI−6970、UVI−6974、UVI−6990(以上、ユニオンカーバイド社製)、アデカオプトマーSP−150、SP−151、SP−170、SP−172(以上、旭電化工業(株)製)、Irgacure 261(以上、チバスペシャルティケミカルズ(株)製)、CI−2481、CI−2624、CI−2639、CI−2064(以上、日本曹達(株)製)、CD−1010、CD−1011、CD−1012(以上、サートマー社製)、DTS−102、DTS−103、NAT−103、NDS−103、TPS−103、MDS−103、MPI−103、BBI−103(以上、みどり化学(株)製)、PCI−061T、PCI−062T、PCI−020T、PCI−022T(以上、日本化薬(株)製)、CPI−110A(以上、サンアプロ(株))等を挙げることができる。これらのうち、UVI−6970、UVI−6974、アデカオプトマーSP−170、SP−172、CD−1012、MPI−103、CPI−110Aは、これらを含有してなる樹脂組成物に高い光硬化感度を発現させることができることから特に好ましい。上記のカチオン性光重合開始剤は、1種単独で又は2種以上組み合わせて(C)成分を構成することができる。
本発明の光硬化性液状樹脂組成物における成分(C)の含有割合は、通常0.1〜10重量%であり、好ましくは0.2〜5重量%、さらに好ましくは0.3〜3重量%である。成分(C)の含有割合が過小である場合には、得られる樹脂組成物の光硬化性が低下し、十分な機械的強度、を有する立体形状物を造形することができない。一方、この含有割合が過大である場合には、得られる樹脂組成物を光学的立体造形法に供する場合に、適当な光透過性を得ることができず硬化深さの制御が困難となり、得られる立体形状物の造形精度が低下する傾向がある。
また、本発明の光硬化性液状樹脂組成物には、耐衝撃性を向上させる目的で(D)数平均粒子径10〜1,000nmのエラストマー粒子を含有させるのが好ましい。
成分(D)としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/イソプレン共重合体、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/α−オレフィン系共重合体、エチレン/α−オレフィン/ポリエン共重合体、アクリルゴム、ブタジエン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン/ブタジエンブロック共重合体、スチレン/イソプレンブロック共重合体等をベース成分とするエラストマー粒子を挙げることができる。
成分(D)としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/イソプレン共重合体、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/α−オレフィン系共重合体、エチレン/α−オレフィン/ポリエン共重合体、アクリルゴム、ブタジエン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン/ブタジエンブロック共重合体、スチレン/イソプレンブロック共重合体等をベース成分とするエラストマー粒子を挙げることができる。
また、これらエラストマー粒子を、メチルメタアクリレートポリマー、メチルメタアクリレート/グリシジルメタアクリレート共重合体等で被覆したコア/シェル型の粒子を挙げることができる。コアの半径とシェルの厚みの比は、通常1/2〜1000/1、好ましくは1/1〜200/1である(例えば、コア半径350nm、シェルの厚み10nmでは、35/1)。
コア/シェル型の粒子の場合は、前記エラストマー粒子の内、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/イソプレン共重合体、ブタジエン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン/ブタジエンブロック共重合体、スチレン/イソプレンブロック共重合体等を部分架橋したコアに、メチルメタアクリレートポリマーで被覆したエラストマー粒子、メチルメタアクリレート/グリシジルメタアクリレート共重合体で被覆した粒子が特に好ましい。
さらに、エラストマー粒子は、粒子内部に架橋構造を取っていてもよく、通常用いられている手段によって架橋することができる。この場合使用される架橋剤としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジアリルマレエート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、メタアクリル酸アリル等が挙げられる。
これらのエラストマー粒子は、通常用いられている方法で作製することができ、例えば、乳化重合法が挙げられる。この乳化重合法としては、例えば、単量体成分を全量一括して仕込み重合する方法、単量体成分の一部を重合した後、残部を連続的又は断続的に添加する方法、単量体成分を重合の始めから連続的に添加する方法、あるいはシード粒子を用いる方法等を採用することができる。
こうして得られるエラストマー粒子の数平均粒子径は、10〜1,000nm、好ましくは10〜700nmである。10nm未満では、得られる立体形状物の耐衝撃性や破壊靭性が低下したり、樹脂液の粘度が上昇し、立体形状物の生産性や造形精度に影響を及ぼし、一方、1,000nmを超えると、十分に表面平滑な立体形状物が得られなかったり、造形精度が低下する。
上記のようなコア/シェル型エラストマー粒子の市販品としては、例えば、レジナスボンドRKB(レジナス化成(株)製)、テクノMBS−61、MBS−69(以上、テクノポリマー(株)製)等を挙げることができる。
これら成分(D)のエラストマー粒子は、単独で、又は2種以上組み合わせて使用することができる。
これら成分(D)のエラストマー粒子は、単独で、又は2種以上組み合わせて使用することができる。
本発明の光硬化性液状樹脂組成物における成分(D)の含有割合は、通常1〜35重量%であり、好ましくは3〜30重量%、特に好ましくは5〜20重量%である。成分(D)の含有割合が過小である場合には、耐衝撃性や破壊靭性が低下し、一方、この含有割合が過大である場合には、得られる立体形状物の造形精度が低下する傾向がある。
本発明の光硬化性液状樹脂組成物には、さらに成分(E)として、成分(A)以外のエチレン性不飽和モノマーを添加することができる。成分(E)は、エチレン性不飽和結合(C=C)を分子中に有する化合物であり、1分子中に1個のエチレン性不飽和結合を有する単官能モノマー、及び1分子中に2個以上のエチレン性不飽和結合を有する多官能モノマーを挙げることができる。
成分(E)として好適に使用できる単官能性モノマーとしては、例えば、アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、イソボルニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエン(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドテトラクロロフェニル(メタ)アクリレート、2−テトラクロロフェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、テトラブロモフェニル(メタ)アクリレート、2−テトラブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−トリクロロフェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、2−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタクロロフェニル(メタ)アクリレート、ペンタブロモフェニル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、メチルトリエチレンジグリコール(メタ)アクリレート等を例示することができる。これらの単官能性モノマーうち、イソボルニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
これらの単官能性モノマーの市販品としては、例えば、アロニックスM−101、M−102、M−111、M−113、M−117、M−152、TO−1210(以上、東亞合成(株)製)、KAYARAD TC−110S、R−564、R−128H(以上、日本化薬(株))、ビスコート192、ビスコート220、ビスコート2311HP、ビスコート2000、ビスコート2100、ビスコート2150、ビスコート8F、ビスコート17F(以上、大阪有機化学工業(株)製)等を挙げることができる。
成分(E)として好適に使用できる多官能性モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジイルジメチレンジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド(以下「EO」という。)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド(以下「PO」という。)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルの両末端(メタ)アクリル酸付加物、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、フェノールノボラックポリグリシジルエーテルの(メタ)アクリレート等を例示することができる。
これらの多官能性モノマーの市販品としては、例えば、SA1002(以上、三菱化学(株)製)、ビスコート195、ビスコート230、ビスコート260、ビスコート215、ビスコート310、ビスコート214HP、ビスコート295、ビスコート300、ビスコート360、ビスコートGPT、ビスコート400、ビスコート700、ビスコート540、ビスコート3000、ビスコート3700(以上、大阪有機化学工業(株)製)、カヤラッドR−526、HDDA、NPGDA、TPGDA、MANDA、R−551、R−712、R−604、R−684、PET−30、GPO−303、TMPTA、THE−330、DPHA、DPHA−2H、DPHA−2C、DPHA−2I、D−310、D−330、DPCA−20、DPCA−30、DPCA−60、DPCA−120、DN−0075、DN−2475、T−1420、T−2020、T−2040、TPA−320、TPA−330、RP−1040、RP−2040、R−011、R−300、R−205(以上、日本化薬(株)製)、アロニックスM−210、M−220、M−233、M−240、M−215、M−305、M−309、M−310、M−315、M−325、M−400、M−6200、M−6400(以上、東亞合成(株)製)、ライトアクリレートBP−4EA、BP−4PA、BP−2EA、BP−2PA、DCP−A(以上、共栄社化学(株)製)、ニューフロンティアBPE−4、BR−42M、GX−8345(以上、第一工業製薬(株)製)、ASF−400(以上、新日鐵化学(株)製)、リポキシSP−1506、SP−1507、SP−1509、VR−77、SP−4010、SP−4060(以上、昭和高分子(株)製)、NKエステルA−BPE−4(以上、新中村化学工業(株)製)等を挙げることができる。
上記の単官能モノマー及び多官能モノマーは、各々1種単独で又は2種以上組み合わせるか、あるいは単官能モノマーの少なくとも1種と多官能モノマーの少なくとも1種とを組み合わせて成分(E)を構成することができる。
成分(E)としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートが、造形性や初期の機械的特性を維持するために特に好ましい。
本発明の光硬化性液状樹脂組成物における成分(E)の含有量は、通常1〜50重量%であり、好ましくは1〜25重量%、さらに好ましくは1〜10重量%である。成分(E)の含有量が1重量%未満である場合には、得られる樹脂組成物の光硬化性が低下し、十分な機械的強度を有する立体形状物を造形することができない。一方、50重量%を超えると、得られる樹脂組成物が光硬化により収縮し易いものとなり、造形精度が低下する傾向がある。
本発明の光硬化性液状樹脂組成物に成分(E)を添加する場合には、成分(F)ラジカル性光重合開始剤を添加することが好ましい。成分(F)は、光等のエネルギー線を受けることにより分解し、発生するラジカルによって成分(A)の化合物(a)、(b)及び成分(E)のラジカル重合反応を開始させる化合物である。
成分(F)として使用することのできるラジカル性光重合開始剤の具体例としては、例えば、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、アントラキノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、カルバゾール、キサントン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、1,1−ジメトキシデオキシベンゾイン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、チオキサントン系化合物、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−2−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、トリフェニルアミン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリ−メチルペンチルフォスフィンオキサイド、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、フルオレノン、フルオレン、ベンズアルデヒド、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、3−メチルアセトフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン(BTTB)、及びBTTBとキサンテン、チオキサンテン、クマリン、ケトクマリンその他の色素増感剤との組み合わせ等を挙げることができる。これらのうち、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等が特に好ましい。上記のラジカル性光重合開始剤は、1種単独で又は2種以上組み合わせて成分(F)を構成することができる。
本発明の光硬化性液状樹脂組成物における成分(F)の含有割合は、通常0.01〜10重量%であり、好ましくは0.1〜8重量%である。成分(F)の含有割合が過小である場合には、得られる樹脂組成物のラジカル重合反応速度(硬化速度)が低くなって造形に時間を要したり、解像度が低下したりする傾向がある。一方、成分(F)の含有割合が過大である場合には、過剰量の重合開始剤が樹脂組成物の硬化特性をかえって低下させたり、立体形状物の耐湿性や耐熱性に悪影響を及ぼすことがある。
本発明の光硬化性液状樹脂組成物には、成分(G)として分子中に1個以上の水酸基を有するポリエーテルポリオール化合物を含有させるのがより好ましい。(G)ポリエーテルポリオールを添加することにより、樹脂組成物の光硬化性、光造形により得られる立体形状物の形状安定性(経時的変形の抑制性能)及び形状安定性(機械的特性の経時的変化の抑制性能)を向上させることができる。成分(G)として使用されるポリエーテルポリオールは、好ましくは1分子中に3個以上、さらに好ましくは1分子中に3〜6個の水酸基を有するものである。1分子中に有する水酸基の数が3個未満のポリエーテルポリオール(ポリエーテルジオール)を使用すると、光硬化性の向上効果が十分ではなく、また、得られる立体形状物の機械的特性、特に弾性率が低下する傾向がある。一方、1分子中に6個を超えるポリエーテルポリオールを含有させる場合には、得られる立体形状物の伸びが低下する傾向が見られるとともに耐湿性に問題を生じる傾向がある。
かかる成分(G)としては、例えば、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース、クオドロール等の3価以上の多価アルコールを、エチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン等の環状エーテル化合物で変性することにより得られるポリエーテルポリオールを挙げることができる。成分(G)の具体例としては、EO変性トリメチロールプロパン、PO変性トリメチロールプロパン、テトラヒドロフラン変性トリメチロールプロパン、EO変性グリセリン、PO変性グリセリン、テトラヒドロフラン変性グリセリン、EO変性ペンタエリスリトール、PO変性ペンタエリスリトール、テトラヒドロフラン変性ペンタエリスリトール、EO変性ソルビトール、PO変性ソルビトール、EO変性スクロース、PO変性スクロース、EO変性スクロース、EO変性クオドール等を例示することができ、これらのうち、EO変性トリメチロールプロパン、PO変性トリメチロールプロパン、PO変性グリセリン、PO変性ソルビトールが好ましい。
成分(G)として使用するポリエーテルポリオールの分子量は、100〜2,000であることが好ましく、さらに好ましくは160〜1,000とされる。分子量が過小なポリエーテルポリオールを成分(G)として使用すると、得られる樹脂組成物によっては、形状安定性及び物性安定性を有する立体形状物を得ることが困難となることがある。一方、分子量が過大なポリエーテルポリオールを成分(G)として使用すると、得られる樹脂組成物の粘度が過大となり、光造形により得られる立体形状物の弾性率が低下する恐れがある。
成分(G)として使用できるポリエーテルポリオールの市販品としては、サンニックスTP−400、サンニックスGP−600、サンニックスGP−1000、サンニックスSP−750、サンニックスGP−250、サンニックスGP−400、サンニックスGP−600(以上、三洋化成(株)製)、TMP−3Glycol、PNT−4 Glycol、EDA−P−4、EDA−P−8(以上、日本乳化剤(株)製)、G−300、G−400、G−700、T−400、EDP−450、SP−600、SC−800(以上、旭電化工業(株)製)、SCP−400、SCP−1000、SCP−1600(以上、阪本薬品工業(株)製)等を挙げることができる。上記のポリエーテルポリオールは、1種単独で、又は2種以上組み合わせて成分(G)を構成することができる。
本発明の光硬化性液状樹脂組成物における成分(G)の含有割合は、通常5〜35重量%であり、好ましくは5〜30重量%、特に好ましくは5〜25重量%である。成分(G)の含有割合が過小である場合には、得られる樹脂組成物の光硬化性の向上効果を十分に図ることができず、また、当該樹脂組成物によっては、形状安定性及び物性安定性の良好な立体形状物を得ることができない。一方、成分(G)の含有割合が過大である場合にも、得られる樹脂組成物の光硬化性が低下し、光造形により得られる立体形状物の弾性率が低下する傾向がある。
本発明の光硬化性液状樹脂組成物には、さらに光増感剤(重合促進剤)、反応性希釈剤等を含有させることができる。光増感剤としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン等のアミン系化合物;チオキサントン、チオキサントンの誘導体、アントラキノン、アントラキノンの誘導体、アントラセン、アントラセンの誘導体、ペリレン、ペリレンの誘導体、ベンゾフェノン、ベンゾインイソプロピルエーテル等が、また反応性希釈剤としては、ビニルエーテル類、ビニルスルフィド類、ビニルウレタン類、ウレタンアクリレート類、ビニルウレア類等が挙げられる。
また、本発明の光造形用光硬化性液状樹脂組成物には、本発明の目的、効果を損なわない範囲において、その他の任意成分として各種の添加剤が含有されていてもよい。かかる添加剤としては、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリウレタン、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、ポリエーテル、ポリエステル、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、石油樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、セルロース樹脂、フッ素系オリゴマー、シリコーン系オリゴマー、ポリスルフィド系オリゴマー等のポリマーあるいはオリゴマー;フェノチアジン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール等の重合禁止剤;重合開始助剤;レベリング剤;濡れ性改良剤;界面活性剤;可塑剤;紫外線吸収剤;シランカップリング剤;無機充填剤;顔料;染料等を挙げることができる。
本発明の光硬化性液状樹脂組成物は、上記成分(A)〜成分(G)、及び必要ならば上記任意成分を均一に混合することによって製造することができる。このようにして得られる光硬化性液状樹脂組成物の粘度(25℃)は、10〜20,000cpsであることが好ましく、さらに好ましくは50〜10,000cpsであり、特に好ましくは50cps〜5,000cpsである。
以上のようにして得られる本発明の光硬化性液状樹脂組成物は、良好な光硬化性を有し、かつ硬化物の機械的強度、特に耐衝撃性に優れているため、光学的立体造形法における光硬化性液状樹脂組成物として好適に使用される。即ち、本発明の光硬化性液状樹脂組成物に対して、可視光、紫外光、赤外光等の光を選択的に照射して硬化に必要なエネルギーを供給する光学的立体造形法により、所望の形状の立体形状物を製造することができる。
光硬化性液状樹脂組成物に光を選択的に照射する手段としては、特に制限されるものではなく、種々の手段を採用することができる。例えば、レーザー光、あるいはレンズ、ミラー等を用いて得られた収束光等を走査させながら組成物に照射する手段、所定のパターンの光透過部を有するマスクを用い、このマスクを介して非収束光を組成物に照射する手段、多数の光ファイバーを束ねてなる導光部材を用い、この導光部材における所定のパターンに対応する光ファイバーを介して光を組成物に照射する手段等を採用することができる。また、マスクを用いる手段においては、マスクとして、液晶表示装置と同様の原理により、所定のパターンに従って、光透過領域と光不透過領域とよりなるマスク像を電気光学的に形成するものを用いることもできる。以上において、目的とする立体形状物が微細な部分を有するもの又は高い寸法精度が要求されるものである場合には、組成物に選択的に光を照射する手段として、スポット径の小さいレーザー光を走査する手段を採用することが好ましい。尚、容器内に収容されている樹脂組成物における光の照射面(例えば、収束光の走査平面)は、当該樹脂組成物の液面、透光性容器の器壁との接触面の何れであってもよい。樹脂組成物の液面又は器壁との接触面を光の照射面とする場合には、容器の外部から直接又は器壁を介して光を照射することができる。
前記の光学的立体造形法においては、通常、樹脂組成物の特定部分を硬化させた後、光の照射位置(照射面)を、既硬化部分から未硬化部分に連続的に又は段階的に移動させることにより、硬化部分を積層させて所望の立体形状とする。ここで、照射位置の移動は、種々の方法によって行うことができ、例えば、光源、樹脂組成物の収容容器、樹脂組成物の既硬化部分の何れかを移動させたり当該容器に樹脂組成物を追加供給する等の方法を挙げることができる。前記の光学的立体造形法の代表的な一例を説明すると、収容容器内において昇降自在に設けられた支持ステージを樹脂組成物の液面から微小量降下(沈降)させることにより、当該支持ステージ上に樹脂組成物を供給してその薄層(1)を形成する。次いで、この薄層(1)に対して選択的に光を照射することにより、固体状の硬化樹脂層(1)を形成する。次いで、この硬化樹脂層(1)上に光硬化性液状樹脂組成物を供給してその薄層(2)を形成し、この薄層(2)に対して選択的に光照射することにより、前記硬化樹脂層(1)上にこれと連続して一体的に積層するよう新しい硬化樹脂層(2)を形成する。そして、光照射されるパターンを変化させながら或いは変化させずに、この工程を所定回数繰り返すことにより、複数の硬化樹脂層(n)が一体的に積層されてなる立体形状物が造形される。
このようにして得られる立体形状物を収容容器から取り出し、その表面に残存する未反応の樹脂組成物を除去した後、必要に応じて洗浄する。ここで、洗浄剤としては、イソプロピルアルコール、エチルアルコール等のアルコール類に代表されるアルコール系有機溶剤;アセトン、酢酸エチル、メチルエチルケトン等に代表されるケトン系有機溶剤;テルペン類に代表される脂肪族系有機溶剤;低粘度の熱硬化性樹脂及び光硬化性樹脂を挙げることができる。尚、表面平滑性の良好な立体形状物を製造する場合には、前記熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂を使用して洗浄することが好ましく、この場合には、洗浄に使用した硬化性樹脂の種類に応じて、熱照射又は光照射によるポストキュアーを行う必要がある。尚、ポストキュアーは、表面の樹脂を硬化させるだけでなく、立体形状物の内部に残存することのある未反応の樹脂組成物をも硬化させることができるので、有機溶剤により洗浄した場合にもポストキュアーを行うことが好ましい。
このようにして得られる立体形状物は、寸法精度が高く、機械的、熱的特性に優れ、特に耐衝撃性にも優れている。さらに、立体形状物の表面強度及び耐熱性を向上させるためには、洗浄処理を施した後に、熱硬化性又は光硬化性のハードコート材を使用することが好ましい。かかるハードコート材としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等からなる有機コート材、あるいは無機ハードコートを使用することができ、これらのハードコート材は、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
本発明において得られた光造形物は、さらに耐衝撃性を向上させるために通常は40〜200℃、好ましくは60〜150℃、さらに好ましくは80〜120℃の加熱処理を施すことができる。加熱処理により、成分(A)の分解が十分に進行し、良好な耐衝撃性が得られる。他方、40℃以下では成分(A)の分解が十分に進行せず、耐衝撃性が低下することがある。一方、200℃以上では、光造形物の熱変形が起こり、寸法精度が得られない傾向にある。
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
実施例及び比較例
表1に示す配合処方に従って各成分を攪拌容器内に仕込み、60℃で3時間攪拌することにより、液状組成物を製造した。表1の配合処方は、重量部で示す。
表1に示す配合処方に従って各成分を攪拌容器内に仕込み、60℃で3時間攪拌することにより、液状組成物を製造した。表1の配合処方は、重量部で示す。
1)「3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート(UVR−6110)」(ユニオンカーバイド社製)
2)「ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート(UVR−6199)」(ユニオンカーバイド社製)
3)「ビスフェノールAジグリシジルエーテル(エピコート828)」(日本エポキシレジン製)
4)「1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル(SR−16H)」(阪本薬品工業(株)製)
5)「エラストマー粒子(レジナスボンドRKB(平均粒径100〜200nm)」(レジナス化成(株)製)
6)「PO変性トリメチロールプロパン(サンニックスGP−400(分子量約400))」(三洋化成(株)製)
7)「トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート(M−315)」(東亜合成(株)製)
8)「ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)」(日本化薬(株)製)
9)「2−(4−メチルシクロヘキシル)プロピルアクリレート(HαTA)」(ヤスハラケミカル(株)製)
10)「アクリル酸」(和光純薬工業(株)製)
11)「2−アクリロイルオキシプロピルナフタレート(ビスコート2100)」(大阪有機工業(株)製)
12)「トリアリースルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(UVI6974)」(ダウ・ケミカル(株)製)
13)「1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュア184)」(チバスペシャリティケミカルズ(株)製)
2)「ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート(UVR−6199)」(ユニオンカーバイド社製)
3)「ビスフェノールAジグリシジルエーテル(エピコート828)」(日本エポキシレジン製)
4)「1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル(SR−16H)」(阪本薬品工業(株)製)
5)「エラストマー粒子(レジナスボンドRKB(平均粒径100〜200nm)」(レジナス化成(株)製)
6)「PO変性トリメチロールプロパン(サンニックスGP−400(分子量約400))」(三洋化成(株)製)
7)「トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート(M−315)」(東亜合成(株)製)
8)「ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)」(日本化薬(株)製)
9)「2−(4−メチルシクロヘキシル)プロピルアクリレート(HαTA)」(ヤスハラケミカル(株)製)
11)「2−アクリロイルオキシプロピルナフタレート(ビスコート2100)」(大阪有機工業(株)製)
12)「トリアリースルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(UVI6974)」(ダウ・ケミカル(株)製)
13)「1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュア184)」(チバスペシャリティケミカルズ(株)製)
試験例
[アイゾット衝撃試験]
(1)試験片の作製
ソリッドクリエーターSCS−300P(ソニーマニュファクチュアリングシステムズ(株)製)を使用し、照射面(液面)におけるレーザーパワー100mW、各組成において硬化深さが300μmとなる走査速度の条件で、光硬化性樹脂組成物に対して選択的にレーザー光を照射して硬化樹脂層(厚さ200μm)を形成する工程を繰り返すことにより、JIS規格に準じた試験片を造形した。
次いで、この試験片をソリッドクリエーターから取り出し、外表面に付着している樹脂組成物を洗浄除去した。洗浄後、温度23℃、湿度50%の恒温恒湿室内に24時間静置した後、120℃で6時間加熱処理を行った。
(2)測定
このようにして作製した試験片を、温度23℃、湿度50%の恒温恒湿室内に24時間静置した後、JIS規格7110に従い、アイゾット衝撃値を測定した。結果を表1に示す。
[アイゾット衝撃試験]
(1)試験片の作製
ソリッドクリエーターSCS−300P(ソニーマニュファクチュアリングシステムズ(株)製)を使用し、照射面(液面)におけるレーザーパワー100mW、各組成において硬化深さが300μmとなる走査速度の条件で、光硬化性樹脂組成物に対して選択的にレーザー光を照射して硬化樹脂層(厚さ200μm)を形成する工程を繰り返すことにより、JIS規格に準じた試験片を造形した。
次いで、この試験片をソリッドクリエーターから取り出し、外表面に付着している樹脂組成物を洗浄除去した。洗浄後、温度23℃、湿度50%の恒温恒湿室内に24時間静置した後、120℃で6時間加熱処理を行った。
(2)測定
このようにして作製した試験片を、温度23℃、湿度50%の恒温恒湿室内に24時間静置した後、JIS規格7110に従い、アイゾット衝撃値を測定した。結果を表1に示す。
[折り曲げ試験]
(1)試験片の作製
樹脂液をガラス板状に200μm厚に塗布し、高圧水銀灯を用いて500mJ/cm2を照射することで硬化膜を得た。その後、温度23℃、湿度50%の恒温恒湿室内に24時間静置した後、120℃で6時間加熱処理を行った。
(2)測定
このようにして作製した硬化膜を、温度23℃、湿度50%の恒温恒湿室内に24時間静置した後、12cm×1.5cmの寸法の試験片を切り出した。MIT式折り曲げ試験機を用いて、試験片が破断するまでの折り曲げ回数を測定した。初期荷重は200gで測定した。結果を表1に示す。
(1)試験片の作製
樹脂液をガラス板状に200μm厚に塗布し、高圧水銀灯を用いて500mJ/cm2を照射することで硬化膜を得た。その後、温度23℃、湿度50%の恒温恒湿室内に24時間静置した後、120℃で6時間加熱処理を行った。
(2)測定
このようにして作製した硬化膜を、温度23℃、湿度50%の恒温恒湿室内に24時間静置した後、12cm×1.5cmの寸法の試験片を切り出した。MIT式折り曲げ試験機を用いて、試験片が破断するまでの折り曲げ回数を測定した。初期荷重は200gで測定した。結果を表1に示す。
[フィルム衝撃値の測定]
(1)試験片の作製
折り曲げ試験の試験片作製時と同一の条件で、硬化膜を製膜した。
(2)測定
このようにして作製した試験片を、温度23℃、湿度50%の恒温恒湿室内に24時間静置した後、10cm×10cmの寸法の試験片を切り出した。安田精機(株)製フィルムインパクトテスターを用いて、フィルム衝撃値を測定した。衝撃球は12mm径のプラスチック球を用いた。
(1)試験片の作製
折り曲げ試験の試験片作製時と同一の条件で、硬化膜を製膜した。
(2)測定
このようにして作製した試験片を、温度23℃、湿度50%の恒温恒湿室内に24時間静置した後、10cm×10cmの寸法の試験片を切り出した。安田精機(株)製フィルムインパクトテスターを用いて、フィルム衝撃値を測定した。衝撃球は12mm径のプラスチック球を用いた。
[保存安定性の評価]
(1)評価
樹脂液の調製直後と23℃で1ヶ月静置後の粘度を、東洋精機(株)製B型粘度計を用いて測定した。測定温度は、25℃、ローターはHM−2を用いた。1ヵ月後の粘度が、調製直後の粘度と比較して、2倍以上になっていた場合は、保存安定性なしと評価した。一方、1ヵ月後の粘度が2倍以下の場合は、保存安定性ありと評価した。結果を表1に示す。
(1)評価
樹脂液の調製直後と23℃で1ヶ月静置後の粘度を、東洋精機(株)製B型粘度計を用いて測定した。測定温度は、25℃、ローターはHM−2を用いた。1ヵ月後の粘度が、調製直後の粘度と比較して、2倍以上になっていた場合は、保存安定性なしと評価した。一方、1ヵ月後の粘度が2倍以下の場合は、保存安定性ありと評価した。結果を表1に示す。
表1の実施例1から明らかなように、硬化反応に伴いカルボキシル基を生成する成分である成分(A)を含有する硬化膜は、アクリルモノマーとして(E)成分のみを含有する場合(比較例1)と比較して、優れた折り曲げ性とフィルム衝撃値、アイゾット衝撃値を有しており、靭性が大きく強化されていた。一方、成分(A)に代えて初めからカルボキシル基を有しているアクリル系化合物を用いた場合(比較例2及び3)、靭性改良効果はあるものの、樹脂液の保存安定性が非常に悪く、実用上問題がある。
以上の結果から、カルボキシル基を生成する成分を含有してなる本発明組成物から形成された光学的立体造形物は、非常に高い靭性を有し、樹脂液の保存安定性も良好なことから、耐衝撃性が求められる部品として有用である。
以上の結果から、カルボキシル基を生成する成分を含有してなる本発明組成物から形成された光学的立体造形物は、非常に高い靭性を有し、樹脂液の保存安定性も良好なことから、耐衝撃性が求められる部品として有用である。
本発明の光硬化性液状樹脂組成物は、耐衝撃性の要求される造形物作成用の光学的立体造形用樹脂組成物として有用である。
Claims (6)
- 前記成分(A)が、2−(4−メチルシクロヘキシル)プロピル(メタ)アクリレートであることを特徴とする請求項1に記載の光硬化性液状樹脂組成物。
- さらに、(D)数平均粒子径10〜1,000nmのエラストマー粒子を含有するものである請求項1又は2に記載の光硬化性液状樹脂組成物。
- さらに、(E)前記成分(A)以外のエチレン性不飽和モノマー及び(F)ラジカル性光重合開始剤を含有するものである請求項1〜3のいずれか1項記載の光硬化性液状樹脂組成物。
- さらに、(G)分子中に1個以上の水酸基を有するポリエーテルポリオール化合物を含有するものである請求項1〜4のいずれか1項記載の光硬化性液状樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれか1項記載の光硬化性液状樹脂組成物に、光を照射することにより硬化せしめて得られる光造形物。
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JP2004215098A JP2006036825A (ja) | 2004-07-23 | 2004-07-23 | 光硬化性液状樹脂組成物 |
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JP (1) | JP2006036825A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2019189652A1 (ja) * | 2018-03-30 | 2019-10-03 | 三井化学株式会社 | 光造形用硬化性組成物、消失模型及び立体造形物の製造方法 |
-
2004
- 2004-07-23 JP JP2004215098A patent/JP2006036825A/ja active Pending
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JPWO2019189652A1 (ja) * | 2018-03-30 | 2020-04-30 | 三井化学株式会社 | 光造形用硬化性組成物、消失模型及び立体造形物の製造方法 |
CN111936525A (zh) * | 2018-03-30 | 2020-11-13 | 三井化学株式会社 | 光造型用固化性组合物、消失模型及立体造型物的制造方法 |
CN111936525B (zh) * | 2018-03-30 | 2023-09-01 | 三井化学株式会社 | 光造型用固化性组合物、消失模型及立体造型物的制造方法 |
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