JP2006036575A - 単層カーボンナノチューブ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 直径の小さな(例えば、1nm未満の)単層カーボンナノチューブを高い割合で含む単層カーボンナノチューブ集合体、及び直径の小さな単層カーボンナノチューブを選択的に製造する方法を提供する。
【解決手段】 本カーボンナノチューブ製造方法は、アーク放電法に基づく製造方法であって、単層カーボンナノチューブを生成する雰囲気ガスとして、ネオン及び水素を含み、そのうちのネオンの含有割合が35〜65モル%である混合ガスを使用する。好ましくは、アーク放電の発生に使用する陽極が、鉄触媒を含有する。得られた単層カーボンナノチューブ集合体に含まれる単層カーボンナノチューブは、80質量%以上が1nm未満の直径である。好ましくは、前記単層カーボンナノチューブは、直径分布のピークが0.7〜0.9nmの範囲内にある。
【選択図】 図24

Description

本発明は、単層カーボンナノチューブ、及びその製造方法に関する。詳しくは、本発明は、直径を制御した(特に約1nm未満の直径に制御した)単層カーボンナノチューブの製造方法に関する。
単層カーボンナノチューブは、導電性、熱伝導性、機械的強度等の優れた特性を持つことから、多くの分野から注目を集めている新素材である。単層カーボンナノチューブは、一般に、炭素又は炭素質原料を必要に応じて触媒の存在下、高温条件に置くことにより合成される。この製造方法としては、主に、アーク放電法、レーザ蒸発法、化学気相成長法(即ち、CVD法)が知られている。
これらの製造方法で得られるカーボンナノチューブ含有生成物(以下、「カーボンナノチューブ集合体」という。)では、その中に含まれるカーボンナノチューブの構造が多様であり、典型的には直径の異なるカーボンナノチューブが複数種類混在している。
ところで、カーボンナノチューブの性質は、構造の違いによって、異なっていることが知られている。例えば、カーボンナノチューブは、その直径の大小(換言すれば、サイズの大小)によって、金属的な性質であったり、半導体的な性質であったりする。従って、カーボンナノチューブのサイズ(直径)に応じて用途が全く異なり得る。このため、得られるカーボンナノチューブ集合体中に含まれるカーボンナノチューブは、できるだけ性状の等しいもので占められることが好ましく、このため、生成されるカーボンナノチューブの直径を制御して製造する方法が種々提案されている(例えば、特許文献1〜3及び非特許文献1参照)。
特開平6−157016号公報 特開2003−292313号公報 特開2003−313018号公報 特開2002−220214号公報 片浦弘道ら著「第13回フラーレン総合シンポジウム講演要旨集」フラーレン研究会発行(1997年7月24日発行)、第19〜21頁。 P.Nikolaevら著「Chemical Physics Letters」、第313巻、(1999年)、第91〜97頁。
しかしながら、上記文献等に記載されたいずれの製造方法によっても、制御された比較的小さな直径、例えば1nm未満のカーボンナノチューブを高率に含有するカーボンナノチューブ集合体(即ち、炭素質生成物)を得ることはできなかった。特許文献4及び非特許文献2に記載の製造方法では、1nm未満の直径のカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ集合体の製造方法が開示されているが、これら方法で得られたカーボンナノチューブ集合体に含まれる直径1nm未満のカーボンナノチューブの含有率は低かった。さらに、得られたカーボン生成物(カーボンナノチューブ集合体)からこのような直径の小さなカーボンナノチューブを選択的に分離することは困難であった。上述のように、このような小さな直径のカーボンナノチューブは、直径が1nm以上であるサイズの異なるカーボンナノチューブとは異なる有用な性質を有することが期待される。また、単層カーボンナノチューブであると、多層カーボンナノチューブとは異なる用途、性質が期待される。このため、このような小さな直径の単層カーボンナノチューブを選択的(高効率)に製造することが望まれていた。
そこで本発明は、かかる従来の課題を解決すべく開発されたものであり、直径の小さな(例えば、1nm未満の)単層カーボンナノチューブを高い割合で含むカーボンナノチューブ集合体を製造する方法、即ち、直径の小さな(例えば、1nm未満の)単層カーボンナノチューブを選択的に製造する方法を提供することを目的とする。
本発明に係る単層カーボンナノチューブの製造方法は、アーク放電法に基づいて単層カーボンナノチューブを製造する方法である。
そして、ここで開示される一つの方法は、前記単層カーボンナノチューブを生成するためのアーク放電を行う領域に導入する雰囲気ガスとして、ネオン(Ne)及び水素(H)を含む混合ガスを使用する。好ましくは、その混合ガスのうちのネオン(Ne)の含有割合は35〜65モル%であることを特徴とする。
また、ここで開示される他の方法では、上記ネオン/水素ガスに代えて、単層カーボンナノチューブを生成するためのアーク放電を行う領域に導入する雰囲気ガスとして、窒素(N)及び水素(H)を含む混合ガスを使用する。好ましくは、その混合ガスのうちの窒素(N)の含有割合は60モル%を超えて80モル%未満であることを特徴とする。
ここで「アーク放電法」とは、炭素質材料にアーク電圧を印加して、アーク放電を生じさせ、カーボン材料を蒸発することによってカーボンナノチューブを製造する方法をいう。典型的には、所定の雰囲気ガスを導入した領域(典型的には減圧可能なケーシング内)に配置してある、少なくとも陽極に炭素を含有する一対の電極間にアーク放電を起こすことにより、陽極からカーボンを蒸発させ、カーボンナノチューブを含有する生成物(即ち、カーボンナノチューブ集合体)を得る方法をいう。
また、「単層カーボンナノチューブ」とは、グラファイトシートが、ナノメートルサイズ(数nm)の直径の円筒状に一層巻かれたようなチューブ構造を有するカーボン構造体をいい、特別の形態(例えば、長さや断面形状)に限定されない。
ここで開示される組成の雰囲気ガスは、アーク放電法において従来用いられることがなかった。しかしながら、このような組成に特定した雰囲気ガスを用いたアーク放電法によって、従来得ることのできなかった直径の小さな(例えば、約1nm未満である)単層カーボンナノチューブを高い割合で含むカーボンナノチューブ集合体を得ることができる。
好ましい態様において、アーク放電の発生に使用する陽極は鉄触媒を含有する。陽極に鉄触媒を含有させた場合には、直径の小さな(例えば、1nm未満の)単層カーボンナノチューブを特に高い割合で効率よく得ることができる。
他の好ましい態様において、前記雰囲気ガス圧を1×10〜5×10Paの範囲内に調整する。雰囲気ガス圧をこの範囲内に制御することによって、ここで開示されるアーク放電法によって効率よく高い割合で、直径の小さな(例えば、1nm未満の)単層カーボンナノチューブを得ることができる。
本発明によって提案されるカーボンナノチューブ集合体は、上記のようなアーク放電法に基づいて得られた単層カーボンナノチューブの集合体である。この集合体として、好ましくは、該集合体を構成するカーボンナノチューブの80質量%以上が1nm未満の直径の単層カーボンナノチューブである。
ここで、「単層カーボンナノチューブの直径」は、特に限定することを意図していないが、典型的にはラマン分析法によって測定し得る。即ち、ラマンスペクトルの低波数側のピークは単層カーボンナノチューブに特有なピークで、ラジアルブリージングモード(RBM;Radial breathing mode)と呼ばれ、ナノチューブの直径が軸対称的に伸縮する振動モードに対応するため、そのシフト量はおおまかにナノチューブの直径に反比例する。例えば、267cm−1付近に認められるピークは、直径が約0.8nmの単層カーボンナノチューブに該当し、一方、185cm−1付近に認められるピークは、直径が約1.3nmの単層カーボンナノチューブに該当する。従って、かかるラマンスペクトル解析によって、カーボンナノチューブ集合体に含まれるカーボンナノチューブの直径分布を知ることができる。
また、「単層カーボンナノチューブの集合体」とは、複数の単層カーボンナノチューブを含む集合物(構造物)をいい、その容積は限定されない。
ここで開示されるカーボンナノチューブの製造方法によれば、このような小さな直径の単層カーボンナノチューブを高い割合で含む単層カーボンナノチューブの集合体を得ることができる。特にこのような小さな直径のカーボンナノチューブを高い割合で含むカーボンナノチューブ集合体は、電気的性質に優れており、ナノサイズの電極材料として好適である。また、従来得られていない、特異な性質、ひいては該性質に基づく新規な用途が期待される。
好ましい態様において、前記集合体を構成する単層カーボンナノチューブの直径分布のピークは、0.7〜0.9nmの範囲内にある。直径がこの範囲内にある単層カーボンナノチューブは、安定した構造を有している。このため、安定した性質(特に電気的性質)を得ることができる。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項(例えば、雰囲気ガスの組成及び圧力、電極の材質)以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、アーク放電の電流、電圧、印加時間、得られたカーボンナノチューブ集合体の精製手段)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
ここで開示される製造方法では、特定の組成の雰囲気ガスを導入した領域(典型的には密閉可能で減圧可能なケーシング内)において、アーク放電法に基づいて単層カーボンナノチューブを製造することができればよく、種々の装置をその目的のために適用することができる。
ここで開示される方法で使用される雰囲気ガスの一つは、ネオンと水素との混合ガスである。その組成割合は、混合ガス中のネオンの含有割合が35〜65モル%、即ち、モル比でネオン:水素=35:65〜65:35の範囲内であることが適当である。好ましくは、そのうちのネオンの含有割合が35〜45モル%、即ち、モル比でネオン:水素=35:65〜45:55の範囲内である。最も好ましくは、そのうちのネオンの含有割合が約40モル%、即ち、モル比でネオン:水素≒40:60である。
或いは、ここで開示される方法で使用される雰囲気ガスの他の一つは、窒素と水素との混合ガスである。その組成割合は、混合ガス中の窒素の含有割合が60モル%を超えて80モル%未満であることが適当である。好ましくは、モル比で窒素:水素=65:35〜75:25の範囲内である。最も好ましくは、そのうちの窒素の含有割合が約70モル%、即ち、モル比で窒素:水素≒70:30である。
このような組成の雰囲気ガスを用いることにより、直径の小さな(即ち、約1nm未満の)単層カーボンナノチューブを選択的に高い割合で得ることができる。上記組成の雰囲気ガスのうち、ネオンと水素との混合ガスがより高い選択性を示すとともにカーボンナノチューブ自体の収率が高いために好ましい。
雰囲気ガスの圧力は、特に限定されず、従来アーク放電法において用いられてきた圧力で行うことができる。例えば、約0.3×10〜10×10Pa(凡そ25〜750Torr)、好ましくは約1×10〜5×10Pa(凡そ75〜380Torr)、より好ましくは約1.5×10〜4×10Pa(凡そ120〜300Torr)、特に好ましくは約2.5×10〜3×10Pa(凡そ180〜230Torr)である。
尚、雰囲気ガスとしては、前記組合せのガスのみから構成されることが好ましいが、前記のような混合ガスに他のガス種を所定の割合で含んでいてもよい。例えば、窒素ガスと水素ガスとの混合ガスを用いる場合に、不純物として数%又はそれ以下の微量含まれ得る酸素ガス、又はネオンガスと水素ガスとの混合ガスを用いる場合に、不純物として数%又はそれ以下の微量含まれ得る窒素ガス、酸素ガス等を排除するものではない。
単層カーボンナノチューブを製造するためのアーク放電法の他の条件は、特に限定されず、従来公知のアーク放電法の条件を特に制限なく適用することができる。
アーク放電を印加する電極は、耐熱性導電材料から構成される。通常少なくとも陽極には、カーボンを蒸発可能なように、炭素質材料を含む。特に炭素質材料としてはグラファイトが好ましい。好ましくは、単層カーボンナノチューブを効率よく製造可能なように、少なくとも陽極には単層カーボンナノチューブ合成用触媒材料を含む。触媒としては、アーク放電法で単層カーボンナノチューブを製造するために従来公知のいずれの触媒を用いてもよい。好ましくは鉄触媒(即ち、鉄成分を含む)である。鉄触媒を陽極に用いることにより、直径の小さな単層カーボンナノチューブを効率よく選択的に製造することができる。陽極中における鉄の含有率は、特に限定しないが、例えば、0.5〜5モル%、好ましくは0.5〜2モル%、より好ましくは0.8〜1.5モル%である。
一方、陰極は、耐熱性導電材料からなり、例えば、炭素、又は銅等の金属材料を用いることができる。また、電源を交流とした場合には、前記陽極と同様に炭素(特にグラファイト)に単層カーボンナノチューブ合成用触媒を含有させたものが好ましい。
具体的には、アーク放電法によって、以下のように単層カーボンナノチューブを含む炭素質生成物を得ることができる。即ち、上記のような所定の組成の雰囲気ガスを導入した領域中で、触媒金属を含む陽極(典型的には棒状)と陰極(典型的には棒状)との間に電圧を印加し、電流を供給する。この結果発生したアーク放電によるアーク熱で、陽極からカーボンが蒸発する。蒸発したカーボンは、電極間の隙間でアーク熱と触媒を用いた場合には触媒作用により単層カーボンナノチューブを含む生成物を形成する。アーク放電法で得られたカーボンナノチューブは、収率が高いとともに、その品質に優れる。
供給する電流値は、特に限定されず、アーク放電法において従来公知の範囲に設定することができる。典型的には、陽極の直径に依存し、例えば直径約6mmのグラファイト電極では、30〜70A、特に約50Aに設定し得る。電圧は、所望のカーボン蒸発速度に応じて適宜選択されるが、典型的には、20〜40V程度、例えば30〜40V程度である。アーク放電時間は、電極の長さ、製造装置の容量、及び所望の製造量等に依存し、特に限定されないが、例えば、5〜30分間、好ましくは10〜15分間、特に好ましくは11〜13分間である。また、直流であっても、交流であってもよい。
得られた単層カーボンナノチューブの集合体は、高い選択性で小さい直径に、特に約1nm未満に制御されている。例えば、集合体に含まれる単層カーボンナノチューブの70質量%以上、好ましくは80質量%以上、特に90質量%以上が約1nm未満に制御されている。或いは、集合体に含まれる単層カーボンナノチューブの70質量%以上、好ましくは80質量%以上、特に90質量%以上が約0.8nm以下に制御されている。
また、集合体に含まれる単層カーボンナノチューブの直径分布のピークが、典型的には約0.7〜0.9nmの範囲内、好ましくは約0.8nm(例えば、0.78〜0.83nm程度)に制御されている。若しくは、集合体に含まれる単層カーボンナノチューブの平均直径が、典型的には約1nm未満、好ましくは約0.95nm以下、特に約0.9nm以下である。
このように小さな直径を高い割合で含有する単層カーボンナノチューブの集合体は、安定した電気的な性質を有する。このため、種々の電子部品等に好適に用いることができる。
アーク放電法に基づいて得られた単層カーボンナノチューブの集合体には、不純物、例えば、アモルファスカーボンや触媒金属等が混在している場合がある。これら不純物を除去するために、精製及び/又は洗浄することができる。
精製は、従来公知のいずれの手段によって行ってもよい。例えば、還流条件下に過酸化水素水によって処理する方法が挙げられる。過酸化水素水に単層カーボンナノチューブ集合体を分散させる手段としては、攪拌棒による攪拌、ミキサー、又は超音波分散等が挙げられるが、これに限定されない。過酸化水素水の濃度は、特に限定されず、種々の濃度で処理することができる。例えば、市販の過酸化水素水(通常30%水溶液)を使用する場合、その過酸化水素水の含有率は、単層カーボンナノチューブ集合体を含む溶液全体の15〜25質量%に相当する量を添加するとよい。尚、加熱還流条件で精製を行う場合には、適宜過酸化水素水を追加してもよい。
また、無機酸を添加することによって精製することができる。無機酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、亜硝酸等を特に制限なく用いることができる。塩酸の使用が好ましい。
上述のような精製処理終了後、精製された単層カーボンナノチューブの集合体を回収する。回収手段としては、特に限定されないが、静置した後に沈殿物として分画濾過してもよいし、或いは遠心分離によって回収することができる。
さらに、回収物に対し、酸化又は溶解された不純物を洗浄するために、洗浄液によって洗浄することが好ましい。洗浄液としては、不純物の少ない水又はアルコール、例えばエタノールが好ましい。また、洗浄効果を向上するために、超音波をかけて洗浄することが好適である。この洗浄工程は、一回であってもよく、或いは複数繰り返して行われる。得られた単層カーボンナノチューブの集合体は、例えば、吸引濾過等の手段によって回収することができる。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<実施例>
カーボンナノチューブを具体的に製造する方法を説明する。まず、使用した単層カーボンナノチューブの製造装置についてその一例を図面を参照して説明する。
(1)製造装置
図1に単層カーボンナノチューブ製造装置1の一構成例を示す。この装置1は、大まかに言って、反応容器3と、一対の電極13,15と、ガス供給手段7と、から構成される。
反応容器3は、密閉可能な耐圧容器であり、例えば、ステンレスにより構成されている。
一対の電極13,15は、陽極13及び陰極15がいずれも棒状に形成されている。陽極13は、反応容器3内においてその中心軸を略垂直方向に配置されている。一方、陰極15は、陽極13に対して斜め(略20〜50°、特に30°)の角度をもって、その一端16が陽極13の一端14に対して向かい合う位置に配置されている。陽極13と陰極15の隙間のサイズは特に限定されないが、例えば、アーク放電による単層カーボンナノチューブ発生効率が高い0.1〜10mm、特に0.5〜5mm程度が好適である。尚、図1では、陽極13と陰極15とが鋭角で配置されているが、陽極13と陰極15との一端が互いに向かい合っていればよい。従って、陽極13と陰極15とが互いに水平方向に、或いは垂直方向に向かい合って配置されていてもよい。陽極13及び陰極15には、陽極13と陰極15の間にアーク放電を発生し得る電圧を印加可能な直流電源23が接続されている。尚、ここでは電源を直流としているが、交流電源とすることもできる。
陽極13は、例えば、その大きさが約6mmの直径で、長さが約75mmの耐熱性導電材料であって、アーク放電によってカーボンを蒸発可能な材料から構成される。例えば、種々の炭素材料が挙げられる。例えば、グラファイトに単層カーボンナノチューブ合成用触媒、例えば、鉄を含有させたものがある。このような陽極13は、例えば、グラファイト粉末に鉄粉末を配合して圧粉成形することにより得ることができる。陽極13における陰極15の対向面(先端部)14とは反対側の端部(基部)19には、ソレノイド22が接続されている。即ち、ソレノイド22は図示しない電極保持部に保持された陽極13(電極保持部)を垂直方向(即ち、陰極15の対向面(先端部)16方向、特に図1においては下方向)に移動可能としている。従って、カーボン蒸発による陽極13の消耗に伴い、陽極13を移動させて、両電極13,15間の隙間を一定に保持することができる。
陰極15は、例えば、その大きさが約10mmの直径で、約100mmの長さの耐熱性導電材料からなり、例えば、炭素、又は銅等の金属材料を用いることができる。また、電源を交流とした場合には、前記陽極13と同様に炭素(例えばグラファイト)に単層カーボンナノチューブ合成用触媒を含有させたものが使用される。また、陰極15にはモータ21が接続されている。このモータ21は、図示しない電極保持部に保持された陰極15をその長軸に対して回転可能に設置されている。
ガス供給手段7は、反応容器3内に雰囲気ガスを供給する。本実施形態に係るガス供給手段7は、2個の雰囲気ガス供給用のボンベ27A、27Bを有し、それぞれバルブ28A、28Bの開閉によって反応容器3の一部(ここでは底面30)に設けられたガス供給口31から所定量及び割合の雰囲気ガスを反応容器3内に導入することができる。本実施例では、雰囲気ガス供給用ボンベ27A、27Bとして、ネオンガスボンベ27A及び水素ガスボンベ27Bを用いる。他の態様では、雰囲気ガス供給用ボンベ27A、27Bを窒素ガスボンベ27A及び水素ガスボンベ27Bとすることができる。また、他の態様において、3個の雰囲気ガスボンベを備え、それぞれネオンガスボンベ、窒素ガスボンベ、及び水素ガスボンベとし、適宜選択して前記混合ガスを供給するものであってもよい。或いは、前記ネオンガス、窒素ガス、及び水素ガスに限られず、他のガスボンベを備え、目的に応じて他のガスを所定の割合で供給することもできる。使用可能なガスとしては、例えば、他の不活性ガス、即ち、アルゴンガス、クリプトンガス、又はキセノンガスが挙げられる。
排出部11は、反応容器3の一部(ここでは底面30)にガス流通可能に附設されている。反応容器3内のガスは、排出部11に備えられる排出口45から制御バルブ44を備えた真空ポンプ49によって吸引されることにより排出される。排出部11により反応容器3内のガスを吸引することにより、反応容器3内のガスを排出することができる。また、反応容器3内の雰囲気ガス圧を調整することができる。
前記直流電源23並びにモータ21及びソレノイド22は、所定のプログラム又はマニュアル操作に基づいて動作する制御機構53からの制御指令が入力される入出力回路55に接続されており、電圧印加による陽極13の移動及び陰極15の回転を制御可能にしている。従って、陽極13及び陰極15間に印加された電圧からアーク放電状態を制御機構53で演算し、アーク放電で発生した単層カーボンナノチューブ含有生成物の成長に応じて陽極13の移動、陰極15の回転を調整する制御信号を入出力回路55からモータ21及びソレノイド22に出力することができる。このようにすると、安定条件下でのアーク放電が可能となり、直径が揃った(及び所望により均一に広く分散した薄層の)単層カーボンナノチューブ集合体を得ることができる。
(2)単層カーボンナノチューブ集合体サンプル(No.1)の合成
次に、このような製造装置1を用いて、単層カーボンナノチューブ集合体を合成した。まず、上述したような陽極13及び陰極15を用意し、所定間隔に設定して反応容器3内の図示しない電極保持部に配置した。尚、陽極13としては、鉄触媒を1モル%含むグラファイト棒を用いた。そして、容器3に設けられた排出部11のバルブ44を開け、当該排出口45に接続する真空ポンプ49を作動させて、反応容器3内を排気・減圧した。容器3内の圧力が減圧され、13〜1.3×10−3Pa程度の高真空になったら、バルブ44を閉め、その後、ガス供給手段7により雰囲気ガスを導入した。雰囲気ガスとしてネオンガス及び水素ガスを導入した。即ち、真空ポンプ49とガス供給手段7により、反応容器3内におけるネオンガスの分圧を約1.0×104Pa(80Torr)、及び水素ガスの分圧を約1.6×104Pa(120Torr)に調整した。この結果、雰囲気ガスの組成は、ネオンガス:水素ガス=4:6であった。
そして、陽極13と陰極15間に電圧を印加し、直流電源23から電流(50A)を供給した。この結果発生したアーク放電によるアーク熱で、陽極13からカーボンを蒸発させた。電圧は、30〜40V程度に設定した。また、印加された電圧から、アーク放電状態を制御機構53で演算し、アーク放電で蒸発したカーボンの消耗に応じて制御信号を入出力回路55からモータ21及びソレノイド22に出力し、陽極13の移動、陰極15の回転を行った。
このようなアーク放電法によって電極間の隙間においてアーク熱と触媒作用により単層カーボンナノチューブの集合体60が形成された。この集合体60は、供給された雰囲気ガスの気流によって反応容器3内に広がっていた(図1参照)。単層カーボンナノチューブの合成時間は、特に限定されないが、例えば、5分〜20分、好ましくは10分〜15分、特に11分〜13分間程度である。ここでは、13分間行った。
本装置1を作動して単層カーボンナノチューブを所定量堆積させた後、得られた単層カーボンナノチューブの集合体60は、反応容器3前面に開閉可能に設けられた図示しない蓋部を開き、例えばピンセット等で容器3内から剥離して取り出した(サンプルNo.1とする。)。本装置1によると、単層カーボンナノチューブの集合体60は、反応容器3全面に広く均一に分散しているため、ピンセットでも容易に取り出すことができる。
(3)単層カーボンナノチューブ集合体の精製
尚、本実施例で得られた単層カーボンナノチューブ集合体(サンプルNo.1)は、上記の通り、未精製のものであるが、以下のようにして精製することができる。即ち、上記のようにして得られた単層カーボンナノチューブ集合体60には、単層カーボンナノチューブとともに、触媒、例えば鉄粉末及び不純物炭素が含まれている。このため、次に、これら触媒及び不純物炭素を低減する、即ち、単層カーボンナノチューブの精製処理を行うことができる。精製処理手順を以下に示す。
まず、単層カーボンナノチューブ集合体200mgとエタノール50mlを100mlビーカーの中に入れて、30分間超音波にかける。次いで、これを吸引濾過して流体を除去し、単層カーボンナノチューブ集合体を回収する。そして、これを2つに分け、そのうちの一方を環流用パイプを備えたフラスコに入れ、濃度30%の市販の過酸化水素水150mlを逐次加えながら、加熱還流処理を行う。その120分経過後に、加熱を止め、還流処理を終了させる。そして、冷却後、上澄み液を排出させる。同様に、残りについても、還流処理を行う。
得られた還流処理液を遠心分離機(11000rpm)にかけ、遠心分離処理を行い、沈殿物を回収する。この沈殿物に塩酸(濃度:約36%)100mlを加え、超音波にかける。12時間放置後、静かに上澄み液を捨て、単層カーボンナノチューブを含む画分を回収する。次いで、回収画分に蒸留水を加え、超音波にかける。放置後、上澄み液を捨て、エタノールを加え、超音波にかける。その後、吸引濾過することにより、精製した単層カーボンナノチューブ集合体を得ることができる。
(4)単層カーボンナノチューブ集合体サンプルNo.1のラマンスペクトル観察
上記のようにして得られた未精製単層カーボンナノチューブ集合体サンプルNo.1のラマンスペクトルを観察した。ラマンスペクトルは、ラマン分光測定装置、即ち、Jobin Yvon株式会社製のRAMANOR T64000によって、測定した。高波数側の結果(チャート)を図2に、及び低波数側の結果(チャート)を図3に示す。尚、縦軸は強度(Intensity、arbitrary units)を示し、横軸はラマンシフト(Raman shift、cm−1)を示す。図2から明らかなように、得られたカーボンナノチューブの高波数側のラマンスペクトルは、1593cm−1付近にシャープなピークが観察され、他方、1340cm−1付近には弱いピークしか観察されなかった。従って、得られたカーボンナノチューブは、高い純度で、かつ高い結晶性を示すことが判る。
また、図3から明らかなように、得られたカーボンナノチューブの低波数側のラマンスペクトルは、267cm−1付近に大きなピークが観察された。このピークは、直径が約0.8nmの単層カーボンナノチューブに対応する。尚、約185cm−1付近にあらわれるピークは、直径約1.3nmのカーボンナノチューブに対応するが、本サンプルにおいては、かかる部位に目立ったピークは認められなかった。従って、本サンプルにおいて、直径が約0.8nmの単層カーボンナノチューブが選択的に高率に含まれていることが判る。より詳細に、これら直径の単層カーボンナノチューブの混在割合をバックグラウンドを差し引いたピーク面積比によって求めた。この結果、約0.8nmの直径の単層カーボンナノチューブと、約1.3nmの直径の単層カーボンナノチューブとの比(0.8nmカーボンナノチューブ:1.3nmカーボンナノチューブ)は、およそ9.2:0.8であった。従って、サンプルNo.1に含まれるカーボンナノチューブの平均直径は、約0.84nmであることが確認された。
(5)単層カーボンナノチューブ集合体サンプルNo.2〜11の合成
種々の組成比におけるネオン及び水素の混合雰囲気ガス下において、前記(2)に示した単層カーボンナノチューブ集合体の合成プロセスを行い、単層カーボンナノチューブ集合体を合成した。即ち、雰囲気ガスを水素のみとして、上記プロセスを実行し、カーボンナノチューブ集合体を得た(サンプルNo.2)。また、雰囲気ガスをネオン:水素=1:9(モル比)の混合ガスとして、上記プロセスを実行し、カーボンナノチューブ集合体を得た(サンプルNo.3)。以下、同様にして、サンプルNo.4は、雰囲気ガスをネオン:水素=2:8(モル比)の混合ガスとしたときのカーボンナノチューブ集合体であり、サンプルNo.5は、雰囲気ガスをネオン:水素=3:7(モル比)の混合ガスとしたときのカーボンナノチューブ集合体であり、サンプルNo.6は、雰囲気ガスをネオン:水素=5:5(モル比)の混合ガスとしたときのカーボンナノチューブ集合体であり、サンプルNo.7は、雰囲気ガスをネオン:水素=6:4(モル比)の混合ガスとしたときのカーボンナノチューブ集合体であり、サンプルNo.8は、雰囲気ガスをネオン:水素=7:3(モル比)の混合ガスとしたときのカーボンナノチューブ集合体であり、サンプルNo.9は、雰囲気ガスをネオン:水素=8:2(モル比)の混合ガスとしたときのカーボンナノチューブ集合体であり、サンプルNo.10は、雰囲気ガスをネオン:水素=9:1(モル比)の混合ガスとしたときのカーボンナノチューブ集合体であり、そして、サンプルNo.11は、雰囲気ガスをネオンのみとしたときのカーボンナノチューブ集合体である。
(6)単層カーボンナノチューブ集合体サンプルNo.2〜11のラマンスペクトル観察
単層カーボンナノチューブ集合体サンプルNo.2〜11のラマンスペクトルを前記(4)で説明したのと同様の手順で観察した。結果(チャート)を図4〜図23に示す。即ち、図4〜図13は、各サンプルの高波数側のラマンスペクトルである。図4は、サンプルNo.2、図5は、サンプルNo.3、図6は、サンプルNo.4、図7は、サンプルNo.5、図8は、サンプルNo.6、図9は、サンプルNo.7、図10は、サンプルNo.8、図11は、サンプルNo.9、図12は、サンプルNo.10、図13は、サンプルNo.11に対応する。図4〜図13から明らかなように、得られたカーボンナノチューブの高波数側のラマンスペクトルは、いずれも1593cm−1付近にシャープなピークが観察され、1340cm−1付近には弱いピークしか観察されなかった。従って、得られたカーボンナノチューブは、高い純度で、かつ高い結晶性を示すことが判る。
他方、図14〜図23は、各サンプルの低波数側のラマンスペクトルである。図14は、サンプルNo.2、図15は、サンプルNo.3、図16は、サンプルNo.4、図17は、サンプルNo.5、図18は、サンプルNo.6、図19は、サンプルNo.7、図20は、サンプルNo.8、図21は、サンプルNo.9、図22は、サンプルNo.10、図23は、サンプルNo.11に対応する。図14〜図23から明らかなように、サンプルNo.2〜10については、得られた単層カーボンナノチューブの低波数側のラマンスペクトルは、267cm−1付近に大きなピークが観察された。
直径0.8nmの単層カーボンナノチューブと直径1.3nmのカーボンナノチューブとの混在割合をバックグラウンドを差し引いたピーク面積比によって求めた。この結果をサンプルNo.1の結果とともに図24に示す。図24から明らかなように、約0.8nmの直径の単層カーボンナノチューブは、ネオン:水素=4:6(モル比)の組成比の雰囲気ガス下において、最も混在割合が高く、約0.8nmの直径の単層カーボンナノチューブと、約1.3nmの直径の単層カーボンナノチューブとの比(約0.8nmの直径の単層カーボンナノチューブ:約1.3nmの直径の単層カーボンナノチューブ)は、およそ9.2:0.8であった。また、ネオン:水素=35:65〜65:35、特にネオン:水素=35:65〜45:55の組成範囲内の雰囲気ガス下において、約0.8nmの直径の単層カーボンナノチューブは混在割合が高く、約80質量%以上であった。
次に、この結果から、得られた単層カーボンナノチューブ集合体の平均直径を求めた。結果を表1に示す。
Figure 2006036575
表1から明らかなように、平均直径は、サンプルNo.1及びNo.7については、0.9nm未満であり、サンプルNo.6についても0.92nmであった。以上の結果から、雰囲気ガスとしてネオンの含有率が35〜65モル%の範囲内であるネオン水素混合ガスを用いて得られたサンプル(No.1、No.6及びNo.7)は、より小さな平均直径の単層カーボンナノチューブで構成されていることが判る。
(7)単層カーボンナノチューブ集合体サンプルNo.12〜17の合成
種々の組成比における窒素及び水素の混合雰囲気ガス下において、前記(2)に示した単層カーボンナノチューブ集合体の合成プロセスを行い、単層カーボンナノチューブ集合体を合成した。即ち、雰囲気ガスを窒素:水素=4:6(モル比)の混合ガスとして、上記プロセスを実行し、カーボンナノチューブ集合体を得た(サンプルNo.12)。また、雰囲気ガスを窒素:水素=5:5(モル比)の混合ガスとして、上記プロセスを実行し、カーボンナノチューブ集合体を得た(サンプルNo.13)。以下、同様にして、サンプルNo.14は、雰囲気ガスを窒素:水素=6:4(モル比)の混合ガスとしたときのカーボンナノチューブ集合体であり、サンプルNo.15は、雰囲気ガスを窒素:水素=7:3(モル比)の混合ガスとしたときのカーボンナノチューブ集合体であり、サンプルNo.16は、雰囲気ガスを窒素:水素=8:2(モル比)の混合ガスとしたときのカーボンナノチューブ集合体であり、そして、サンプルNo.17は、雰囲気ガスを窒素:水素=9:1(モル比)の混合ガスとしたときのカーボンナノチューブ集合体である。
(8)単層カーボンナノチューブ集合体サンプルNo.12〜17のラマンスペクトル観察
単層カーボンナノチューブ集合体サンプルNo.12〜17のラマンスペクトルを前記(4)で説明したのと同様の手順で観察した。結果(チャート)を図25〜図36に示す。即ち、図25〜図30は、各サンプルの高波数側のラマンスペクトルである。図25は、サンプルNo.12、図26は、サンプルNo.13、図27は、サンプルNo.14、図28は、サンプルNo.15、図29は、サンプルNo.16、図30は、サンプルNo.17に対応する。図25〜図30から明らかなように、得られたカーボンナノチューブの高波数側のラマンスペクトルは、いずれも1593cm−1付近にシャープなピークが観察され、1340cm−1付近には弱いピークしか観察されなかった。従って、得られたカーボンナノチューブは、高い純度で、かつ高い結晶性を示すことが判る。
他方、図31〜図36は、各サンプルの低波数側のラマンスペクトルである。図31は、サンプルNo.12、図32は、サンプルNo.13、図33は、サンプルNo.14、図34は、サンプルNo.15、図35は、サンプルNo.16、図36は、サンプルNo.17に対応する。図31〜図36から明らかなように、サンプルNo.12〜17については、得られた単層カーボンナノチューブの低波数側のラマンスペクトルは、267cm−1付近にピークが観察された。
図31〜図36において、267cm−1付近のピーク(約0.8nmの直径の単層カーボンナノチューブ集合体に対応)と、185cm−1付近のピーク(約1.3nmの直径の単層カーボンナノチューブ集合体に対応)とを比較すると、図34において267cm−1付近のピークが著しく高いことが判る。即ち、窒素:水素=7:3(モル比)の組成比の雰囲気ガス下において、約0.8nmの直径の単層カーボンナノチューブが選択的に高い割合で得られていることが判る。これら直径の単層カーボンナノチューブの混在割合をバックグラウンドを差し引いたピーク面積比によって求めた。この結果、約0.8nmの直径のカーボンナノチューブと、約1.3nmの直径のカーボンナノチューブとの比(約0.8nmの直径のカーボンナノチューブ:約1.3nmの直径のカーボンナノチューブ)は、およそ7:3であった。従って、雰囲気ガスとして窒素の含有率が約70モル%である窒素水素混合ガスを用いて得られたサンプルNo.15は、より小さな直径の単層カーボンナノチューブを高率に含有していることが判る。
以上、本発明の好適な実施態様を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した態様を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
一実施形態に係る単層カーボンナノチューブ製造に用いられる装置の構成を示す模式図。 サンプルNo.1における単層カーボンナノチューブ集合体の高波数側のラマンスペクトル分析チャート。 サンプルNo.1における単層カーボンナノチューブ集合体の低波数側のラマンスペクトル分析チャート。 サンプルNo.2における単層カーボンナノチューブ集合体の高波数側のラマンスペクトル分析チャート。 サンプルNo.3における単層カーボンナノチューブ集合体の高波数側のラマンスペクトル分析チャート。 サンプルNo.4における単層カーボンナノチューブ集合体の高波数側のラマンスペクトル分析チャート。 サンプルNo.5における単層カーボンナノチューブ集合体の高波数側のラマンスペクトル分析チャート。 サンプルNo.6における単層カーボンナノチューブ集合体の高波数側のラマンスペクトル分析チャート。 サンプルNo.7における単層カーボンナノチューブ集合体の高波数側のラマンスペクトル分析チャート。 サンプルNo.8における単層カーボンナノチューブ集合体の高波数側のラマンスペクトル分析チャート。 サンプルNo.9における単層カーボンナノチューブ集合体の高波数側のラマンスペクトル分析チャート。 サンプルNo.10における単層カーボンナノチューブ集合体の高波数側のラマンスペクトル分析チャート。 サンプルNo.11における単層カーボンナノチューブ集合体の高波数側のラマンスペクトル分析チャート。 サンプルNo.2における単層カーボンナノチューブ集合体の低波数側のラマンスペクトル分析チャート。 サンプルNo.3における単層カーボンナノチューブ集合体の低波数側のラマンスペクトル分析チャート。 サンプルNo.4における単層カーボンナノチューブ集合体の低波数側のラマンスペクトル分析チャート。 サンプルNo.5における単層カーボンナノチューブ集合体の低波数側のラマンスペクトル分析チャート。 サンプルNo.6における単層カーボンナノチューブ集合体の低波数側のラマンスペクトル分析チャート。 サンプルNo.7における単層カーボンナノチューブ集合体の低波数側のラマンスペクトル分析チャート。 サンプルNo.8における単層カーボンナノチューブ集合体の低波数側のラマンスペクトル分析チャート。 サンプルNo.9における単層カーボンナノチューブ集合体の低波数側のラマンスペクトル分析チャート。 サンプルNo.10における単層カーボンナノチューブ集合体の低波数側のラマンスペクトル分析チャート。 サンプルNo.11における単層カーボンナノチューブ集合体の低波数側のラマンスペクトル分析チャート。 種々の組成比のネオン水素混合雰囲気ガス下において得られた約0.8nmの直径の単層カーボンナノチューブと約1.3nmの直径の単層カーボンナノチューブとの混在割合を示すグラフ。縦軸は該混在割合を示し、横軸はネオンと水素との混合割合を示す。 サンプルNo.12における単層カーボンナノチューブ集合体の高波数側のラマンスペクトル分析チャート。 サンプルNo.13における単層カーボンナノチューブ集合体の高波数側のラマンスペクトル分析チャート。 サンプルNo.14における単層カーボンナノチューブ集合体の高波数側のラマンスペクトル分析チャート。 サンプルNo.15における単層カーボンナノチューブ集合体の高波数側のラマンスペクトル分析チャート。 サンプルNo.16における単層カーボンナノチューブ集合体の高波数側のラマンスペクトル分析チャート。 サンプルNo.17における単層カーボンナノチューブ集合体の高波数側のラマンスペクトル分析チャート。 サンプルNo.12における単層カーボンナノチューブ集合体の低波数側のラマンスペクトル分析チャート。 サンプルNo.13における単層カーボンナノチューブ集合体の低波数側のラマンスペクトル分析チャート。 サンプルNo.14における単層カーボンナノチューブ集合体の低波数側のラマンスペクトル分析チャート。 サンプルNo.15における単層カーボンナノチューブ集合体の低波数側のラマンスペクトル分析チャート。 サンプルNo.16における単層カーボンナノチューブ集合体の低波数側のラマンスペクトル分析チャート。 サンプルNo.17における単層カーボンナノチューブ集合体の低波数側のラマンスペクトル分析チャート。
符号の説明
1……単層カーボンナノチューブ製造装置
3……反応容器
7……ガス供給手段
11…排出部
13…陽極
15…陰極
31…ガス供給口
49…真空ポンプ

Claims (6)

  1. アーク放電法に基づいて単層カーボンナノチューブを製造する方法であって、
    前記単層カーボンナノチューブを生成するためのアーク放電を行う領域に導入する雰囲気ガスとして、ネオン及び水素を含み、そのうちのネオンの含有割合が35〜65モル%である混合ガスを使用する、製造方法。
  2. アーク放電法に基づいて単層カーボンナノチューブを製造する方法であって、
    前記単層カーボンナノチューブを生成するためのアーク放電を行う領域に導入する雰囲気ガスとして、窒素及び水素を含み、そのうちの窒素の含有割合が60モル%を超えて80モル%未満である混合ガスを使用する、製造方法。
  3. アーク放電の発生に使用する陽極が、鉄触媒を含有する、請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 前記アーク放電を行う領域に導入した雰囲気ガス圧を1×10〜5×10Paの範囲内に調整する、請求項1〜3のうちのいずれかに記載の製造方法。
  5. アーク放電法に基づいて得られたカーボンナノチューブの集合体であって、
    前記集合体を構成するカーボンナノチューブの80質量%以上が1nm未満の直径の単層カーボンナノチューブである、カーボンナノチューブ集合体。
  6. 前記集合体を構成する単層カーボンナノチューブの直径分布のピークが0.7〜0.9nmの範囲内にある、請求項5記載のカーボンナノチューブ集合体。
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