JP2006035823A - 樹脂型及び成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】
耐吸湿変形性等の凹凸形状の維持性及び硬化性樹脂との離型性に優れ、高い面精度の凹凸形状が転写可能で、且つ繰り返し利用可能な樹脂型、この樹脂型を使用して得られる硬化樹脂成形体、並びにその製造方法を提供する。
【解決手段】
脂環式構造含有熱可塑性樹脂及び組成物全体に対して0.2〜0.9重量%の水酸基含有脂肪酸エステル化合物を含有してなり、ガラス転移温度が90〜110℃であり、かつ、メルトマスフローレイトが50〜70g/10分である樹脂組成物からなる樹脂型、この樹脂型を用いて成形して得られる硬化樹脂成形体、並びにこの硬化樹脂成形体の製造方法。
【選択図】 なし。
耐吸湿変形性等の凹凸形状の維持性及び硬化性樹脂との離型性に優れ、高い面精度の凹凸形状が転写可能で、且つ繰り返し利用可能な樹脂型、この樹脂型を使用して得られる硬化樹脂成形体、並びにその製造方法を提供する。
【解決手段】
脂環式構造含有熱可塑性樹脂及び組成物全体に対して0.2〜0.9重量%の水酸基含有脂肪酸エステル化合物を含有してなり、ガラス転移温度が90〜110℃であり、かつ、メルトマスフローレイトが50〜70g/10分である樹脂組成物からなる樹脂型、この樹脂型を用いて成形して得られる硬化樹脂成形体、並びにこの硬化樹脂成形体の製造方法。
【選択図】 なし。
Description
本発明は、高い面精度の凹凸形状を有する成形体の製造に用いられる樹脂型であって、耐吸湿変形性等の凹凸形状の維持性及び硬化性樹脂との離型性に優れ、高い面精度の凹凸形状が転写可能で、且つ繰り返し利用可能な樹脂型、この樹脂型を使用して製造される成形体、並びにその製造方法に関する。
近年、デジタルハイビジョン映像などの大容量データの配布あるいは記録が可能な大容量のメディアが検討されている。なかでも、2層以上の記録面を有する光ディスク成形体はコンパクトでありながら大容量が達成できるものとして注目されている。また、近年におけるプロジェクションテレビの投写スクリーンや液晶の普及に伴って、レンチキュラーレンズ、フレネルレンズ、プリズムシート、及び導光板等の、表面に凹凸形状を設けたシート状若しくは板状のプラスチック製成形体が使用されてきている。これらの成形体の表面には、高い精度で光線を拡散、集光、透過又は反射させるために、高い面精度を有した凹凸形状を形成させる必要がある。
従来、表面に凹凸形状を有する薄型のプラスチック成形体の製造方法として、成形体の凹凸形状に転写するための凹凸形状が表面に形成された樹脂型を用いる方法が知られている。この方法は、基体上にアクリレート等の光重合性モノマーを塗布し、その上に透光性を有する樹脂型を配置し、紫外線を照射して重合性モノマーを硬化させた後、樹脂型を剥離するものである。また樹脂型としては、透明性に優れるポリカーボネートやポリメタクリレート等からなるものが使用されている。しかし、これらのポリカーボネートやポリメタクリレート等からなる樹脂型は、保存時の湿度や、重合時の重合熱等で変形するという問題があった。
この問題の解決を図るべく、特許文献1には、Tgが50〜400℃、MFR(280℃、2.16kg荷重)が1〜100g/10分の脂環式構造含有重合体樹脂、及び水酸基を含有しない脂肪酸とアルコールのエステル化合物からなる樹脂型が提案されている。この樹脂型は、脂環式構造含有重合体樹脂からなるものであるため、耐熱変形性や耐吸湿変形性等の凹凸形状の長期維持性に優れている。また、特許文献2には、Tgが200℃以下の脂環式構造含有重合体樹脂などの非晶質ポリオレフィン系樹脂からなる光学多層記録媒体成形用透明樹脂型(樹脂スタンパ)が提案されている。この文献には、樹脂型(樹脂スタンパ)は原料樹脂を選択し、光硬化性樹脂やその硬化条件を最適化すれば2回以上使用することも可能であると記載されている。しかしながら、これらの文献に記載された樹脂型によれば、高い面精度の凹凸形状を転写することが可能であるものの、樹脂型の離型性が不十分なために、高精度の凹凸形状を有する成形体を効率よく製造することが困難であった。
また従来においては、一度使用した樹脂型は破壊して再度成形して使用していたが、製造コストの観点からは、樹脂型を繰り返し使用することが好ましい。しかしながら、従来の樹脂型を繰り返し使用すると、高い面精度の凹凸形状を有する成形体を製造することが困難であった。
本発明は、かかる従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、耐吸湿変形性等の凹凸形状の維持性及び硬化樹脂との離型性に優れ、高い面精度の凹凸形状が転写可能で、且つ繰り返し利用可能な樹脂型、この樹脂型を使用して得られる成形体、並びにこの成形体の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、脂環式構造含有熱可塑性樹脂及び特定量の水酸基含有脂肪酸エステル化合物を含有してなり、ガラス転移温度(Tg)とメルトマスフローレイト(MFR)が特定範囲内にある組成物からなる樹脂型が、耐吸湿変形性などの耐久性や硬化樹脂との離型性に優れ、塗布した硬化性樹脂の微細表面構造の形成が可能で、しかも、硬化操作に3回以上繰り返して使用することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明の第1によれば、樹脂組成物からなる樹脂型であって、前記樹脂組成物が、脂環式構造含有熱可塑性樹脂、及び組成物全体に対して0.2〜0.9重量%の水酸基含有脂肪酸エステル化合物を含有してなり、ガラス転移温度(Tg)が90〜110℃であり、かつ、メルトマスフローレイト(MFR)が50〜70g/10分であることを特徴とする樹脂型が提供される。
本発明の第2によれば、本発明の樹脂型を用いて成形して得られる成形体が提供される。
本発明の成形体は、光学部品であるのが好ましい。
本発明の成形体は、光学部品であるのが好ましい。
本発明の第3によれば、表面に凹凸形状を有する成形体の製造方法であって、基体上に、硬化性樹脂層を積層する工程(1a)と、前記硬化性樹脂層に、請求項1記載の樹脂型であって、前記成形体表面に凹凸を転写するための面形状を有する樹脂型を積層する工程(2a)と、前記硬化性樹脂層を硬化する工程(3a)と、および前記硬化性樹脂層を硬化して得られる硬化樹脂層と前記基体からなる成形体から前記樹脂型を除去する工程(4a)とを有する成形体の製造方法が提供される。
本発明の第4によれば、表面に凹凸形状を有する成形体の製造方法であって、本発明の樹脂型であって、前記成形体表面に凹凸形状を転写するための面形状を有する樹脂型の内部空間に、硬化性樹脂を充填する工程(1b)と、前記充填した硬化性樹脂を硬化させる工程(2b)と、および前記硬化性樹脂を硬化して得られる硬化樹脂成形体から前記樹脂型を除去する工程(3b)を有する成形体の製造方法が提供される。
本発明の製造方法においては、本発明の樹脂型を連続使用して、前記工程(1a)〜(4a)、又は前記工程(1b)〜(3b)を3回以上繰り返すことが好ましい。
本発明によれば、耐吸湿変形性などの耐久性や硬化樹脂との離型性などに優れ、塗布した硬化性樹脂の微細表面構造の形成が可能で、しかも、硬化操作に3回以上繰り返し使用可能な樹脂型が提供される。
本発明の樹脂型を使用することにより、高い面精度の凹凸形状を有する成形体を、工業的に有利に製造することができる。
本発明の成形体は、本発明の樹脂型を使用して得られるものであるため、その表面に、微細で、高い面精度をもつ凹凸形状を有する。
本発明の樹脂型を使用することにより、高い面精度の凹凸形状を有する成形体を、工業的に有利に製造することができる。
本発明の成形体は、本発明の樹脂型を使用して得られるものであるため、その表面に、微細で、高い面精度をもつ凹凸形状を有する。
以下、本発明の樹脂型、成形体及び成形体の製造方法を詳細に説明する。
1)樹脂型
本発明の樹脂型は、表面に凹凸形状を有する成形体の少なくとも凹凸形状を転写するための内面形状を有するものであり、脂環式構造含有熱可塑性樹脂、及び組成物全体に対して0.2〜0.9重量%の水酸基含有脂肪酸エステル化合物を含有してなり、ガラス転移温度(Tg)が90〜110℃であり、かつ、メルトマスフローレイト(MFR)が50〜70g/10分である組成物からなることを特徴とする。
1)樹脂型
本発明の樹脂型は、表面に凹凸形状を有する成形体の少なくとも凹凸形状を転写するための内面形状を有するものであり、脂環式構造含有熱可塑性樹脂、及び組成物全体に対して0.2〜0.9重量%の水酸基含有脂肪酸エステル化合物を含有してなり、ガラス転移温度(Tg)が90〜110℃であり、かつ、メルトマスフローレイト(MFR)が50〜70g/10分である組成物からなることを特徴とする。
(A)脂環式構造含有熱可塑性樹脂
本発明の樹脂型は、脂環式構造含有熱可塑性樹脂からなる。
脂環式構造含有熱可塑性樹脂からなるものを用いることにより、凹凸面が微細構造でも精度よく成形が可能で、耐久性(耐吸湿変形、繰り返し使用が可能)に優れ、しかも、硬化成形体の離型性にも優れる特性をもつ樹脂型を得ることができる。特に、硬化成形体が大型になるに従って、さらにこれらの特徴が強調され好適である。
本発明の樹脂型は、脂環式構造含有熱可塑性樹脂からなる。
脂環式構造含有熱可塑性樹脂からなるものを用いることにより、凹凸面が微細構造でも精度よく成形が可能で、耐久性(耐吸湿変形、繰り返し使用が可能)に優れ、しかも、硬化成形体の離型性にも優れる特性をもつ樹脂型を得ることができる。特に、硬化成形体が大型になるに従って、さらにこれらの特徴が強調され好適である。
脂環式構造含有熱可塑性樹脂は、重合体樹脂の繰り返し単位中に脂環式構造を有するものであり、主鎖中に脂環式構造を有する重合体樹脂及び側鎖に脂環式構造を有する重合体樹脂のいずれも用いることができる。
脂環式構造としては、例えば、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造等が挙げられるが、熱安定性等の観点からシクロアルカン構造が好ましい。脂環式構造を構成する炭素数に特に制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個である。脂環式構造を構成する炭素原子数がこの範囲にあると、耐熱性及び柔軟性に優れた樹脂型を得ることができる。
脂環式構造含有熱可塑性樹脂中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。脂環式構造を有する繰り返し単位が過度に少ないと耐熱性が低下し好ましくない。なお、脂環式構造含有重合体樹脂における脂環式構造を有する繰り返し単位以外の繰り返し単位は、使用目的に応じて適宜選択される。
脂環式構造含有熱可塑性樹脂の具体例としては、(i)ノルボルネン系重合体、(ii)単環の環状オレフィン重合体、(iii)環状共役ジエン重合体、(iv)ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素化物等が挙げられる。これらの中でも、透明性や成形性の観点から、ノルボルネン系重合体が好ましい。
ノルボルネン系重合体としては、具体的には、ノルボルネン系単量体の開環重合体、ノルボルネン系単量体と開環共重合可能なその他の単量体との開環共重合体、及びそれらの水素化物、ノルボルネン系単量体の付加重合体、ノルボルネン系単量体と共重合可能なその他の単量体との付加共重合体等が挙げられる。これらの中でも、透明性の観点から、ノルボルネン系単量体の開環(共)重合体水素化物が特に好ましい。
本発明において、ノルボルネン系単量体とは、式(I)
本発明において、ノルボルネン系単量体とは、式(I)
で表されるノルボルネン構造を有する化合物である。
ノルボルネン系単量体としては、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、及びこれらの化合物の誘導体(例えば、環に置換基を有するもの)等を挙げることができる。ここで、置換基としては、例えばアルキル基、アルキレン基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基等を挙げることができる。また、これらの置換基は、同一又は相異なって複数個が環に結合していてもよい。ノルボルネン系単量体は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ノルボルネン系単量体としては、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、及びこれらの化合物の誘導体(例えば、環に置換基を有するもの)等を挙げることができる。ここで、置換基としては、例えばアルキル基、アルキレン基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基等を挙げることができる。また、これらの置換基は、同一又は相異なって複数個が環に結合していてもよい。ノルボルネン系単量体は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ノルボルネン系単量体と開環共重合可能なその他の単量体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等のモノ環状オレフィン類及びその誘導体;シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン等の環状共役ジエン及びその誘導体;等が挙げられる。
ノルボルネン系単量体の開環重合体及びノルボルネン系単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との開環共重合体は、単量体を開環重合触媒の存在下に重合することにより得ることができる。
開環重合触媒としては、通常使用される公知のものを使用できる。
開環重合触媒としては、通常使用される公知のものを使用できる。
ノルボルネン系単量体と付加共重合可能なその他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン等の炭素数2〜20のα−オレフィン及びこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン等のシクロオレフィン及びこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン等の非共役ジエン等が挙げられる。これらの単量体は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中では、α−オレフィンが好ましく、エチレンがより好ましい。
ノルボルネン系単量体の付加重合体及びノルボルネン系単量体とこれと共重合可能な他の単量体との付加共重合体は、単量体を付加重合触媒の存在下に重合することにより得ることができる。付加重合触媒としては、通常使用される公知のものを使用できる。
ノルボルネン系単量体の開環重合体、ノルボルネン系単量体とこれと開環共重合可能なその他の単量体との開環共重合体、ノルボルネン系単量体の付加重合体、及びノルボルネン系単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との付加重合体の水素化物は、公知の水素化触媒を添加し、炭素−炭素不飽和結合を好ましくは90%以上水素化することによって得ることができる。
単環の環状オレフィン重合体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等の付加重合体を挙げることができる。
また、環状共役ジエン重合体としては、例えば、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン等の環状共役ジエン単量体を1,2−付加重合又は1,4−付加重合した重合体、及びそれらの水素化物を挙げることができる。
また、環状共役ジエン重合体としては、例えば、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン等の環状共役ジエン単量体を1,2−付加重合又は1,4−付加重合した重合体、及びそれらの水素化物を挙げることができる。
ビニル脂環式炭化水素重合体は、ビニルシクロアルカン又はビニルシクロアルケン由来の繰り返し単位を有する重合体である。ビニル脂環式炭化水素重合体としては、例えば、ビニルシクロヘキサン等のビニルシクロアルカン、ビニルシクロヘキセン等のビニルシクロアルケン等のビニル脂環式炭化水素化合物の重合体及びその水素化物;スチレン、α−メチルスチレン等のビニル芳香族炭化水素化合物の重合体の芳香族部分の水素化物等が挙げられる。
また、ビニル脂環式炭化水素重合体は、ビニル脂環式炭化水素化合物やビニル芳香族炭化水素化合物と、これらの単量体と共重合可能な他の単量体とのランダム共重合体、ブロック共重合体等の共重合体及びその水素化物であってもよい。ブロック共重合としては、ジブロック、トリブロック、又はそれ以上のマルチブロックや傾斜ブロック共重合等が挙げられるが、特に制限はない。
これらの脂環式構造含有熱可塑性樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの脂環式構造含有熱可塑性樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
脂環式構造含有熱可塑性樹脂の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は特に制限されないが、通常1.0〜10.0、好ましくは1.0〜6.0、より好ましくは1.1〜4.0の範囲である。このような範囲に分子量分布を調整することによって、樹脂型の機械的強度と成形加工性が良好にバランスする。
脂環式構造含有熱可塑性樹脂の分子量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロヘキサン(又はトルエン)を溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリイソプレン換算(又はポリスチレン換算)の重量平均分子量(Mw)で、通常1,000〜1,000,000、好ましくは5,000〜500,000、より好ましくは10,000〜200,000の範囲である。脂環式構造含有熱可塑性樹脂の重量平均分子量(Mw)がこの範囲にあるときに、機械的強度と成形加工性のバランスが保たれ好適である。
脂環式構造含有熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、使用目的に応じて適宜選択すればよいが、通常50〜400℃、好ましくは70〜350℃、より好ましくは90〜300℃の範囲である。樹脂のTgは高いほど、例えば重合性モノマーの硬化時の発熱による変形に耐えられ耐久性が高くなり好ましい。一方、樹脂のTgが高すぎると、微細凹凸形状の加工がしにくくなる場合がある。したがって、樹脂のTgは、前記範囲にある時に、樹脂型の耐久性と成形加工性が高度にバランスして好適である。
脂環式構造含有熱可塑性樹脂の、温度280℃、2.16kg荷重におけるJIS−K7210により測定したメルトマスフローレイト(MFR)は、使用目的に応じて適宜選択すればよいが、通常1〜100g/10分、好ましくは2〜70g/分、より好ましくは3〜50g/10分の範囲であるときに、微細な凹凸形状を有する樹脂型の成形性が最適となり好ましい。
(B)水酸基含有脂肪酸エステル化合物
本発明に用いる水酸基含有脂肪酸エステル化合物は、分子内に水酸基を1以上有する脂肪酸のエステル化合物であれば、特に制限されないが、式(a):RXnで表される化合物(以下、化合物(a)という)を好ましく例示することができる。
本発明に用いる水酸基含有脂肪酸エステル化合物は、分子内に水酸基を1以上有する脂肪酸のエステル化合物であれば、特に制限されないが、式(a):RXnで表される化合物(以下、化合物(a)という)を好ましく例示することができる。
前記式(a)において、Rは水酸基を有していてもよい炭化水素基を表し、添加効果の大きさの点で水酸基を有していない炭化水素基であることが好ましい。
また、Rの炭化水素基としては、飽和の炭化水素基であっても、不飽和の炭化水素基であってもよいが、化学的に安定であり、成形体が着色しにくいことから、飽和の炭化水素基が好ましい。
Rの炭素数は、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、かつ好ましくは60以下、より好ましくは50以下である。
また、Rの炭化水素基としては、飽和の炭化水素基であっても、不飽和の炭化水素基であってもよいが、化学的に安定であり、成形体が着色しにくいことから、飽和の炭化水素基が好ましい。
Rの炭素数は、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、かつ好ましくは60以下、より好ましくは50以下である。
Xはヒドロキシアシルオキシ基を表す。ヒドロキシアシルオキシ基は、k、mを自然数とした場合に−O(CO)CmH2m+1−k(OH)k(ただし、k≦2m+1)で表される基である。
Xの炭素数は、好ましくは13以上、より好ましくは16以上、かつ好ましくは50以下である。
Xの炭素数は、好ましくは13以上、より好ましくは16以上、かつ好ましくは50以下である。
X中の水酸基の数(kの値)は、添加効果が大きいことから1が好ましい。また、この水酸基は末端の炭素に結合していなくてもよい。同様に、X基中の−COO−も末端の炭素に結合していなくてもよい。
nは自然数を表し、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、かつ好ましくは10以下、より好ましくは7以下、特に好ましくは5以下である。
nが2以上のとき、n個のXは同一であっても相異なっていてもよいが、製造が容易なことから、n個のX基が同一のものが好ましい。
また、前記式(a)中、nが2以上の場合、Xのヒドロキシアシルオキシ基は、R基(炭化水素基)中の同一の炭素と結合していなくてもよい。
nが2以上のとき、n個のXは同一であっても相異なっていてもよいが、製造が容易なことから、n個のX基が同一のものが好ましい。
また、前記式(a)中、nが2以上の場合、Xのヒドロキシアシルオキシ基は、R基(炭化水素基)中の同一の炭素と結合していなくてもよい。
nが1のとき、及びnが2以上であり、かつn個のXが同一である場合は、X中の水酸基が1個であり、Rが水酸基を有していなければ、化合物(a)は、式(b):ClH2l+2−n〔O(CO)CmH2mOH〕n(式中、l、m、nは自然数を表し、l+(m+1)×n≧16である。)で表される。
前記式(b)中、lは、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、かつ好ましくは60以下、より好ましくは50以下である。
前記式(b)中のmは、好ましくは12以上、より好ましくは15以上、かつ好ましくは49以下である。
また、前記式(b)中の〔l+(m+1)×n〕は、16以上、好ましくは20以上、より好ましくは24以上、かつ好ましくは120以下、より好ましくは90以下、特に好ましくは60以下である。
前記式(b)中のmは、好ましくは12以上、より好ましくは15以上、かつ好ましくは49以下である。
また、前記式(b)中の〔l+(m+1)×n〕は、16以上、好ましくは20以上、より好ましくは24以上、かつ好ましくは120以下、より好ましくは90以下、特に好ましくは60以下である。
化合物(a)について、Rの炭素数(前記式(b)中のl、あるいはアルコール類の炭素数)、Xの炭素数(前記式(b)中のmに1を加えた数、あるいは水酸基含有脂肪酸の炭素数)、又は全炭素数(前記式(b)中のl、m、nにおいて、l+(m+1)×nの値)が少なすぎる場合には、揮発しやすいため使用しにくく、多すぎるとブリードのために成形品の外観不良が多くなる。
化合物(a)は、アルコール類の水酸基が水酸基含有脂肪酸とエステル結合した構造を有する化合物であり、例えば、アルコール類と水酸基含有脂肪酸とを反応させて製造することができる。
化合物(a)の合成に用いるアルコール類としては、特に制限されないが、その炭素数(すなわち、前記式(a)中のRの炭素数であり、前記式(b)中のl)は好ましくは2以上、より好ましくは3以上、かつ好ましくは60以下、より好ましくは50以下であり、水酸基の数〔Rが水酸基を有していない場合の、前記式(a)及び前記式(b)中のn〕が、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、かつ好ましくは10以下、より好ましくは7以下、特に好ましくは5以下である。
アルコール類の具体例としては、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセロール、トリグリセロール、ジペンタエリスリトール、エチレングリコール、ステアリルアルコール、1,6,7−トリヒドロキシ−2,2−ジ(ヒドロキシチメル)−4−オキソヘプタン、ソルビトール、2−メチル−1,6,7−トリヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−4−オキソヘプタン、1,5,6−トリヒドロキシ−3−オキソヘキサンなどが挙げられる。
化合物(a)の合成に用いる水酸基含有脂肪酸は、水酸基を好ましくは一つ有し、炭素数が13以上、好ましくは16以上、かつ好ましくは50以下の化合物である。
水酸基含有脂肪酸の具体例としては、ヒドロキシヘプタデカン酸、ヒドロキシオクタデカン酸(ヒドロキシステアリン酸)、ヒドロキシエイコサン酸、ヒドロキシドコサン酸、ヒドロキシヘキサコサン酸、ヒドロキシトリアコンタン酸などが挙げられる。
化合物(a)の具体例としては、12−ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド、12−ヒドロキシステアリン酸ステアリルアルコール、ペンタエリスリトール−テトラ−12−ヒドロキシステアレート、エチレングリコール−ジ−12−ヒドロキシステアレート、プロピレングリコール−ジ−12−ヒドロキシステアレートなどのRが水酸基を有さない炭化水素基である前記式(a)で表される化合物や、12−ヒドロキシステアリン酸モノグリセリドなどのアルコール類の一部の水酸基が水酸基含有脂肪酸とエステル結合した構造を有する化合物(Rが水酸基を有する炭化水素基である前記式(a)で表される化合物)が挙げられる。
また、水酸基含有脂肪酸エステル化合物として、アルコール類の全ての水酸基が水酸基含有脂肪酸とエステル結合した構造を有する化合物の市販品であるカオーワックス85P(花王社製)、ヒマコウ(川研ファインケミカル社製)なども使用できる。
水酸基含有脂肪酸エステル化合物の配合量は、脂環式構造含有熱可塑性樹脂100重量部に対して、水酸基含有脂肪酸エステル化合物を0.03重量部以上、好ましくは0.05重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上、かつ2.0重量部以下、好ましくは1.5重量部以下、より好ましくは1.0重量部以下である。
樹脂組成物全体に対する水酸基含有脂肪酸エステル化合物の配合量は、0.2〜0.9重量%、好ましくは0.3〜0.8重量%である。
水酸基含有脂肪酸エステル化合物の添加量が少なすぎると十分な離型効果が得られず、多すぎると脂環式構造含有熱可塑性樹脂の耐熱性、耐薬品性、耐湿性などの特性を活かすことができなくなるおそれがある。
水酸基含有脂肪酸エステル化合物の添加量が少なすぎると十分な離型効果が得られず、多すぎると脂環式構造含有熱可塑性樹脂の耐熱性、耐薬品性、耐湿性などの特性を活かすことができなくなるおそれがある。
(C)樹脂組成物
本発明の樹脂型の製造に用いる樹脂組成物は、上述した脂環式構造含有熱可塑性樹脂、水酸基含有脂肪酸エステル化合物、及び必要に応じて他の配合剤を添加して得られるものであって、ガラス転移温度(Tg)が90〜110℃であり、かつ、メルトマスフローレイト(MFR)が50〜70g/10分のものである。
本発明の樹脂型の製造に用いる樹脂組成物は、上述した脂環式構造含有熱可塑性樹脂、水酸基含有脂肪酸エステル化合物、及び必要に応じて他の配合剤を添加して得られるものであって、ガラス転移温度(Tg)が90〜110℃であり、かつ、メルトマスフローレイト(MFR)が50〜70g/10分のものである。
樹脂型を製造する樹脂組成物として、ガラス転移温度(Tg)が90〜110℃、好ましくは95〜105℃であり、かつ、メルトマスフローレイト(MFR)が50〜70g/10分、好ましくは60〜70g/10分である組成物を使用することにより、硬化樹脂との離型性及び微細な凹凸形状の転写性に優れる樹脂型を得ることができる。
樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)は、JIS−K7121に基づいて測定することができ、メルトマスフローレイト(MFR)は、JIS−K7210に基づいて、280℃、2.16kg荷重で測定することができる。
前記樹脂組成物を調製する方法は特に限定されず、例えば、脂環式構造含有熱可塑性樹脂の溶液中に水酸基含有脂肪酸エステル化合物を添加した後、乾燥して溶媒を除去する方法や、脂環式構造含有熱可塑性樹脂と水酸基含有脂肪酸エステル化合物のそれぞれ所定量を混合して、ロール、ブラベンダー、押出機などを用いて機械的に攪拌する方法等が挙げられる。
なお、本発明の効果を実質的に阻害しない範囲で、例えば、3価以上の多価アルコールの部分エステル化物の構造を有する化合物、3価以上の多価アルコールの部分エーテル化物の構造を有する化合物等の他の滑剤;フェノール系やリン系などの老化防止剤;フェノール系などの熱劣化防止剤;ベンゾフェノン系やベンゾトリアゾール系などの紫外線安定剤;アミン系などの帯電防止剤;ヒンダードアミン系の耐候安定剤;などの各種添加剤を添加してもよい。
(D)樹脂型
本発明の樹脂型は、前記樹脂組成物を公知の成形方法により成形することで製造することができる。
成形方法としては、例えば、射出成形、プレス成形、押出ブロー成形、射出ブロー成形、多層ブロー成形、コネクションブロー成形、二重壁ブロー成形、延伸ブロー成形、真空成形、回転成形などの成形方法が挙げられる。これらの中でも、射出成形法及びプレス成形法が、凹凸形状の面内のバラツキを小さくでき好適である。プレス成形法としては、例えば、溶融押出法により作製したシート又はフィルム等を、成形しようとする凹凸状の金型内で加温・加圧する方法が挙げられる。
本発明の樹脂型は、前記樹脂組成物を公知の成形方法により成形することで製造することができる。
成形方法としては、例えば、射出成形、プレス成形、押出ブロー成形、射出ブロー成形、多層ブロー成形、コネクションブロー成形、二重壁ブロー成形、延伸ブロー成形、真空成形、回転成形などの成形方法が挙げられる。これらの中でも、射出成形法及びプレス成形法が、凹凸形状の面内のバラツキを小さくでき好適である。プレス成形法としては、例えば、溶融押出法により作製したシート又はフィルム等を、成形しようとする凹凸状の金型内で加温・加圧する方法が挙げられる。
成形条件は、成形法及び使用する脂環式構造含有熱可塑性樹脂の種類によっても異なるが、樹脂温度が通常100〜400℃、好ましくは200〜380℃、より好ましくは200〜350℃であり、圧力が通常0.1〜100MPa、好ましくは0.5〜50MPaであり、加温時間は通常数秒間から数十分間である。
本発明の樹脂型は、耐吸湿変形性などの耐久性や硬化樹脂との離型性などに優れ、塗布した硬化性樹脂の微細表面構造の形成が可能で、しかも、硬化操作に複数回使用しても、離型性の劣化が少ないので、硬化操作に3回以上繰り返し使用可能である。
本発明の樹脂型は、光ディスク成形体、光ファイバー、カメラ用レンズ、オーバーヘッドプロジェクター用レンズ、LBP用Fθレンズ、プリズム、液晶表示素子(LCD)、光拡散板、導光板、偏光フィルム、位相差フィルム、輝度向上フィルム、集光フィルム等の光学成形品;液体薬品容器、アンプル、輸液用バッグ、点眼薬容器、半導体用ウエハ格納容器等の各種清浄容器;注射器、医療用輸液チューブ等の医療器材;などの成形装置として好適である。これらの中でも、本発明の樹脂型は、高い面精度の凹凸形状を形成することが要求される光ディスク成形体の樹脂スタンパとして特に好適である。
本発明の樹脂型を金型を使用して成形して製造する場合、樹脂や添加剤等の付着などにより金型内部を汚染することが少ない。従って、同じ金型を使用して、再現性よく同じ樹脂型を大量生産することができる。
本発明の樹脂型は、2種類に大別される。第1は、基体上に硬化性樹脂を塗布し、得られた硬化性樹脂層上に本発明の樹脂型を重ね合わせ、硬化させた後に剥離除去されるタイプである。このタイプの樹脂型を使用することで、基体上に表面に凹凸形状を有する硬化樹脂層を有する成形体を製造することができる。
このタイプの樹脂型としては、図1に示すものが挙げられる。図1に示すものは、光ディスク成形体を製造するための樹脂スタンパ10である。図1中、(a)は横から見た図であり、(b)は上側から見た図である。この樹脂スタンパ10は、中心部に孔14が開いた円盤状構造を有し、表面に微細な凹凸形状12を有するものである。
第2は、本発明の樹脂型が形成する内部空間内に硬化性樹脂を充填し、硬化性樹脂を硬化した後、除去されるタイプである。第2のタイプの樹脂型を使用することにより、表面に凹凸形状を有する樹脂成形体を製造することができる。第2のタイプの樹脂型としては、樹脂型が形成する内部空間内に硬化性樹脂を充填し、硬化性樹脂を硬化した後、除去されるものであれば、特に制限されない。例えば、一体に成形されてなり、硬化性樹脂を充填する内部空間を有するもの、分割可能に成形されてなり、組み合わせることで、硬化性樹脂を充填する内部空間が形成されるもの、樹脂型と金型とが組み合わされて内部空間が形成されるもの等が挙げられる。
このタイプの樹脂型としては、図2に示すものが挙げられる。図2(a)は、図4(a)に示すレンチキュラーレンズ24の製造用樹脂型16aの断面図を、図2(b)は、図4(b)に示すフレネルレンズ26の製造用樹脂型16bの断面図を、図2(c)は、図4(c)に示す導光板28の製造用樹脂型16cの断面図をそれぞれ示す。樹脂型16a〜16cは、図4(a)〜(c)に示す成形体(レンチキュラーレンズ24、フレネルレンズ26、導光板28)表面の凹凸形状を転写するための凹凸形状を内面に有する。
樹脂型16a〜16cは、一体型に成形されてなり、紫外線硬化性樹脂を外側から充填(注入)するタイプのものであっても、分割可能に成形されてなり、下側(一方)の樹脂型に紫外線硬化性樹脂を充填(塗布)した後に、上側(他の一方)の樹脂型を重ね合わせるタイプのものであってもよいが、繰り返し使用する上では、後者のタイプが好ましい。
2)成形体
本発明の成形体は、表面に凹凸形状を有するものであり、本発明の樹脂型を用いて成形して得られるものであることを特徴とする。
本発明の成形体は、表面に凹凸形状を有するものであり、本発明の樹脂型を用いて成形して得られるものであることを特徴とする。
本発明の成形体はその表面に凹凸形状を有するものであれば、特に制約されないが、微細で高い面精度が要求される凹凸形状を有するものが好ましい。
本発明の成形体としては、光ディスク成形体、光ファイバー、カメラ用レンズ、オーバーヘッドプロジェクター用レンズ、LBP用Fθレンズ、プリズム、液晶表示素子(LCD)、光拡散板、導光板、偏光フィルム、位相差フィルム、輝度向上フィルム、集光フィルム等の光学部品;液体薬品容器、アンプル、輸液用バッグ、点眼薬容器、半導体用ウエハ格納容器等の各種清浄容器;注射器、医療用輸液チューブ等の医療器材;等が挙げられる。これらの中でも、特に表面の凹凸形状に高い面精度が要求される光学部品であるのが好ましく、光ディスクの基板や光透過性中間層、光磁気ディスクの基板や光透過性中間層、光カードの基板や光透過性中間層等の光ディスク成形体であるのが特に好ましい。
本発明の成形体の具体例を図3、図4に示す。
図3に示すものは、光ディスク基板22であり、図3(a)は横から見た図であり、図3(b)は上から見た図である。
図4(a)に示すものはレンチキュラーレンズ24、図4(b)に示すものはフレネルレンズ26、図4(c)に示すものは導光板28である。なお、図4(b’)は、図4(b)に示すフレネルレンズ26を水平方向から見た図である。
図3に示すものは、光ディスク基板22であり、図3(a)は横から見た図であり、図3(b)は上から見た図である。
図4(a)に示すものはレンチキュラーレンズ24、図4(b)に示すものはフレネルレンズ26、図4(c)に示すものは導光板28である。なお、図4(b’)は、図4(b)に示すフレネルレンズ26を水平方向から見た図である。
3)成形体の製造方法
本発明の成形体は、未硬化の硬化性樹脂層に本発明の樹脂型を積層するか、又は本発明の樹脂型が形成する内部空間内に未硬化の硬化性樹脂を充填し、その状態で硬化性樹脂を硬化させ、次いで、前記樹脂型を除去することにより製造することができる。
本発明の成形体は、未硬化の硬化性樹脂層に本発明の樹脂型を積層するか、又は本発明の樹脂型が形成する内部空間内に未硬化の硬化性樹脂を充填し、その状態で硬化性樹脂を硬化させ、次いで、前記樹脂型を除去することにより製造することができる。
本発明に用いる硬化性樹脂としては、特に限定されるものではなく、熱硬化性樹脂であっても、活性エネルギー線硬化性樹脂であってもよい。より簡便かつ効率よく本発明の成形体を製造することができることから、活性エネルギー線硬化性樹脂の使用が好ましく、紫外線硬化性樹脂の使用がより好ましい。
前記熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。また、これらの樹脂に必要に応じて、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤、溶剤、粘度調整剤等を加えて使用することができる。
活性エネルギー線硬化性樹脂は、分子中に重合性不飽和結合又はエポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマー及び/又はモノマーが、エネルギー線の照射により硬化してなる樹脂である。活性エネルギー線は、電磁波又は荷電粒子線のうち分子を重合又は架橋し得るエネルギー量子を有するものを指し、通常は紫外線又は電子線を用いる。
前記分子中に重合性不飽和結合又はエポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマーの例としては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールの縮合物等の不飽和ポリエステル類;ポリエステルメタクリレート、ポリエーテルメタクリレート、ポリオールメタクリレート、メラミンメタクリレート等のメタクリレート類、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリオールアクリレート、メラミンアクリレート等のアクリレート類、もしくはカチオン重合型エポキシ化合物が挙げられる。
前記分子中に重合性不飽和結合又はエポキシ基を有するモノマーの例としては、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸メトキシブチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシメチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステル類;アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル、アクリル酸−2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、アクリル酸−2−(N,N−ジベンジルアミノ)メチル、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル等の不飽和置換の置換アミノアルコールエステル類;アクリルアミド、メタクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミド類;エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヘキシルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクレリート等の多官能性アクリレート類;トリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等の、分子中に2個以上のチオール基を有するポリチオール類;等が挙げられる。本発明においては、これら分子中に重合性不飽和結合又はエポキシ基を有する、プレポリマー、オリゴマー及び/又はモノマーを一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
活性エネルギー線硬化性樹脂は、通常、上記分子中に重合性不飽和結合又はエポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマーとともに重合開始剤を含む。
重合開始剤としては、熱重合開始剤、光重合開始剤のいずれでもよいが、生産性の観点から光重合開始剤が好適である。光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインモノメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アセトイン、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルギリオキシレート、2−ヒトロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−エチルアントラキノン等のカルボニル化合物、テトラメチルチウラムモノスルフィド等の硫黄化合物、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド等を挙げることができる。熱重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)等を挙げることができる。
これらの重合開始剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。重合開始剤の配合量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、重合性モノマー100重量部当たり、通常0.001〜5重量部、好ましくは0.01〜1重量部の範囲である。
本発明の成形体は、より具体的には、(A)基体上に、硬化性樹脂層を積層する工程(1a)と、前記硬化性樹脂層に、本発明の樹脂型であって、前記成形体表面に凹凸を転写するための面形状を有する樹脂型を積層する工程(2a)と、前記硬化性樹脂層を硬化する工程(3a)と、および前記硬化性樹脂層を硬化して得られる硬化樹脂層と前記基体からなる成形体から前記樹脂型を除去する工程(4a)とにより、あるいは、(B)本発明の樹脂型であって、前記成形体表面に凹凸形状を転写するための面形状を有する樹脂型の内部空間に、硬化性樹脂を充填する工程(1b)と、前記充填した硬化性樹脂を硬化させる工程(2b)と、および前記硬化性樹脂を硬化して得られる硬化樹脂成形体から前記樹脂型を除去する工程(3b)とにより製造することができる。
本発明の製造方法においては、本発明の樹脂型を連続使用して、前記工程(1a)〜(4a)、又は前記工程(1b)〜(3b)を3回以上繰り返すことが好ましい。
本発明の樹脂型によれば、3回以上繰り返し使用した場合であっても、剥離性が低下することがなく、高い面精度の凹凸形状の転写性が低下することもない。樹脂型を連続使用する場合においては、3回目の剥離荷重が30N以下、好ましくは20N以下であると、転写性の点で好ましい。
本発明の樹脂型によれば、3回以上繰り返し使用した場合であっても、剥離性が低下することがなく、高い面精度の凹凸形状の転写性が低下することもない。樹脂型を連続使用する場合においては、3回目の剥離荷重が30N以下、好ましくは20N以下であると、転写性の点で好ましい。
以下、前記(A)の方法について、図3に示す光ディスク基板を製造する場合を例にとって詳細に説明する。
先ず、図1に示す樹脂スタンパ10を用意する。この樹脂スタンパは透明であり、表面に光ディスク成形体に転写するための凹凸形状12、及び中心部に孔14が開いた円盤状構造を有している。
先ず、図1に示す樹脂スタンパ10を用意する。この樹脂スタンパは透明であり、表面に光ディスク成形体に転写するための凹凸形状12、及び中心部に孔14が開いた円盤状構造を有している。
一方、図5(a)に示すように、光ディスク基体32を用意する。光ディスク基体32は、中心部に孔34が開いた円盤状構造を有するものである。光ディスク基体32の材質としては、ガラス、セラミックス、合成樹脂などが挙げられる。光ディスク基体32は単層であっても積層体であってもよく、例えば、光学多層記録媒体の製造中間体のように、支持基板上に複数の記録層等が積層されたものであってもよい。
次に、図5(b)に示すように、光ディスク基体32を支持板36上にセットし、光ディスク基体32上に紫外線硬化性樹脂38aを塗布する。紫外線硬化性樹脂38aを塗布する方法は特に制限されず、公知の塗工法を採用することができる。塗工法としては、ワイヤバーコート法、ディップ法、スプレー法、スピンコート法、ロールコート法等が挙げられる。
次いで、図6(c)に示すように、光ディスク基体32上の紫外線硬化性樹脂38aの層を挟んで、図1に示す樹脂スタンパ10を、凹凸形状12を有する面側を光ディスク基体32側にして積層する。
その後、図6(d)に示すように、図中垂直方向の上から紫外光30を照射して、硬化性樹脂38aを硬化させる。
最後に、樹脂スタンパ10を硬化樹脂層38から除去する。除去の方法としては、図7(e)及び(f)に示すように、鉤状になったフック40を使用して、樹脂スタンパ10の外周端又は内周囲端の一部を浮かせて、そこにエアーブロー42を吹き付けることにより剥離する方法が挙げられる。また、樹脂スタンパ10を繰り返し使用する場合には、図8に示すように、光ディスク基体32の下部及び樹脂スタンパ10の上部に吸盤62を配置し、くさび60を使用して図示を省略するエアーブローを吹き付けながら、上部支持板64を介して図中矢印の方向へ引き上げることにより、樹脂スタンパ10を剥離する方法も採用できる。この方法によれば、剥離操作において樹脂スタンパに傷が入るのを確実に防止できるので、後述するように、この樹脂スタンパを3回以上繰り返し使用して、高い面精度の凹凸形状を有する光ディスク成形体を連続的に製造することができる。
以上のようにして、図3に示すような、凹凸形状を有し、円盤形状の光ディスク基板22を得ることができる。
本実施形態で用いる樹脂スタンパ10は、3回以上繰り返し使用することが可能なものである。
本実施形態で用いる樹脂スタンパ10は、3回以上繰り返し使用することが可能なものである。
次に、(B)の方法について説明する。
まず、図2(a)〜(c)に示すような樹脂型16a〜16cを用意する。樹脂型16a〜16cのそれぞれに紫外線硬化性樹脂を充填した後、紫外光を照射して紫外線硬化性樹脂を硬化させる。その後、樹脂型16a〜16cをそれぞれ剥離させることにより、目的とする成形体(図4(a)に示すレンチキュラーレンズ24、図4(b)に示すフレネルレンズ26、図4(c)に示す導光板28)をそれぞれ得ることができる。
まず、図2(a)〜(c)に示すような樹脂型16a〜16cを用意する。樹脂型16a〜16cのそれぞれに紫外線硬化性樹脂を充填した後、紫外光を照射して紫外線硬化性樹脂を硬化させる。その後、樹脂型16a〜16cをそれぞれ剥離させることにより、目的とする成形体(図4(a)に示すレンチキュラーレンズ24、図4(b)に示すフレネルレンズ26、図4(c)に示す導光板28)をそれぞれ得ることができる。
この方法による場合にも、本発明の樹脂型を使用しているので、剥離した樹脂型は、3回以上繰り返して使用することができる。
以下、本発明を実施例及び比較例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、以下の例において、特に断りのない限り、部及び%は重量基準、圧力はゲージ圧である。
なお、以下の例において、特に断りのない限り、部及び%は重量基準、圧力はゲージ圧である。
以下の製造例、実施例及び比較例において、各種物性の測定法は次のとおりである。
(1)重量平均分子量(Mw)は、特に記載がない限りシクロヘキサンを溶剤とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリイソプレン換算値として測定した。主鎖水素添加率及び芳香環の水素添加率(核水素添加率)は、1H−NMRにより測定した。
(2)ガラス転移温度(Tg)は、昇温速度10℃/分の条件で示差走査熱量計を用いJIS−K7121に準じ測定した値である。
(3)メルトマスフローレイト(MFR)は、JIS−K7210に基づいて、280℃、2.16kg荷重で測定した。
(1)重量平均分子量(Mw)は、特に記載がない限りシクロヘキサンを溶剤とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリイソプレン換算値として測定した。主鎖水素添加率及び芳香環の水素添加率(核水素添加率)は、1H−NMRにより測定した。
(2)ガラス転移温度(Tg)は、昇温速度10℃/分の条件で示差走査熱量計を用いJIS−K7121に準じ測定した値である。
(3)メルトマスフローレイト(MFR)は、JIS−K7210に基づいて、280℃、2.16kg荷重で測定した。
(製造例1)
窒素で置換したフラスコに、ジシクロペンタジエン([4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン純度94.0重量%、メチルジシクロペンタジエン0.7%、合計のジシクロペンタジエン類94.7%、不純物として、イソプロペニルノルボルネン3.5%、テトラヒドロインデン0.9%、2−プロピニルノルボルネン0.4%などを含む。以下「DCP」と略す。)、及び8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エンの85:15の重量比の混合物10部(初期チャージ用単量体)とシクロヘキサン240部を加え、次いで、メタセシス重合活性化剤してトリエチルアルミニウム0.032部とメタセシス重合活性調整剤としてイソブチルアルコール0.042部、分子量調整剤として1−ヘキセン0.211部を添加した。ここに、メタセシス重合触媒として六塩化タングステン0.041部を添加し、40℃で5分間攪拌した。その後、反応液温度(開環重合反応温度)を60℃に保ちながら逐次添加反応用単量体のDCP90部と、六塩化タングステン0.172mmolを約30分間で連続的に系内に滴下し、滴下終了後、さらに30分間攪拌して重合を終了した。重合転化率は100%であった。
窒素で置換したフラスコに、ジシクロペンタジエン([4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン純度94.0重量%、メチルジシクロペンタジエン0.7%、合計のジシクロペンタジエン類94.7%、不純物として、イソプロペニルノルボルネン3.5%、テトラヒドロインデン0.9%、2−プロピニルノルボルネン0.4%などを含む。以下「DCP」と略す。)、及び8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エンの85:15の重量比の混合物10部(初期チャージ用単量体)とシクロヘキサン240部を加え、次いで、メタセシス重合活性化剤してトリエチルアルミニウム0.032部とメタセシス重合活性調整剤としてイソブチルアルコール0.042部、分子量調整剤として1−ヘキセン0.211部を添加した。ここに、メタセシス重合触媒として六塩化タングステン0.041部を添加し、40℃で5分間攪拌した。その後、反応液温度(開環重合反応温度)を60℃に保ちながら逐次添加反応用単量体のDCP90部と、六塩化タングステン0.172mmolを約30分間で連続的に系内に滴下し、滴下終了後、さらに30分間攪拌して重合を終了した。重合転化率は100%であった。
この重合反応液をオートクレーブに移し、シクロヘキサン320部を加えた。これに水素添加触媒として、ケイソウ土担持ニッケル触媒(触媒1重量部中、ニッケル0.66重量部と微量の酸化ニッケルを含有する。比表面積150〜225cm2/g)を5.0部と、活性アルミナ(表面積320cm2/g、細孔容量0.8cm3/g、平均粒径15μm、水澤化学社製、ネオビードD粉末)を5.0部加え、反応器内を水素置換した後、水素で約1MPaで昇圧し、攪拌しながら120℃に昇温した。温度が安定したところで水素圧力を4.4MPaに保持し、反応過程で消費される水素を補充しながら10時間反応させた。
水素添加触媒及び活性アルミナをろ別した後、水素添加反応液を2355部のイソプロピルアルコール中に注いで析出させ、ろ別して水素添加物(脂環式構造含有熱可塑性樹脂)を回収した。回収した樹脂を100℃、133Pa以下で48時間乾燥させた。以上の開環重合と水素添加反応を繰返し行い、多量に得られた脂環式構造含有熱可塑性樹脂100重量部当たり0.3重量部のテトラキス〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、及びヒドロキシステアリン酸トリグリセリド(花王社製、カオーワックス85P)を0.5重量%添加して、二軸押出機を用いて200℃で混練して、ペレット状の製造例1の樹脂組成物Aを得た。得られた樹脂組成物AのTgは95℃、MFRは65g/10分であった。
(製造例2)
製造例1において、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリドの添加量を0.3重量%に変えた以外は製造例1と同様にして、製造例2の樹脂組成物Bを得た。得られた樹脂組成物BのTgは98℃、MFRは63g/10分であった。
製造例1において、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリドの添加量を0.3重量%に変えた以外は製造例1と同様にして、製造例2の樹脂組成物Bを得た。得られた樹脂組成物BのTgは98℃、MFRは63g/10分であった。
(製造例3)
製造例1において、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリドの添加量を0.8重量%に変えた以外は製造例1と同様にして、製造例3の樹脂組成物Cを得た。得られた樹脂組成物CのTgは92℃、MFRは68g/10分であった。
製造例1において、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリドの添加量を0.8重量%に変えた以外は製造例1と同様にして、製造例3の樹脂組成物Cを得た。得られた樹脂組成物CのTgは92℃、MFRは68g/10分であった。
(比較製造例1)
製造例1において、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリドの添加量を0.1重量%に変えた以外は製造例1と同様にして、比較製造例1の樹脂組成物Dを得た。得られた樹脂組成物DのTgは100℃、MFRは60g/10分であった。
製造例1において、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリドの添加量を0.1重量%に変えた以外は製造例1と同様にして、比較製造例1の樹脂組成物Dを得た。得られた樹脂組成物DのTgは100℃、MFRは60g/10分であった。
(比較製造例2)
製造例1において、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリドの添加量を1.0重量%に変えた以外は製造例1と同様にして、比較製造例2の樹脂組成物Eを得た。得られた樹脂組成物EのTgは90℃、MFRは80g/10分であった。
製造例1において、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリドの添加量を1.0重量%に変えた以外は製造例1と同様にして、比較製造例2の樹脂組成物Eを得た。得られた樹脂組成物EのTgは90℃、MFRは80g/10分であった。
(比較製造例3)
テトラシクロドデセン(以下、TCDと略記)40%及び1,4メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン(以下、「MTF」と略記する。)60%からなる開環共重合体水素添加物に、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリドを0.5重量%添加して、比較製造例3の樹脂組成物Fを得た。得られた樹脂組成物FのTgは160℃、MFRは10g/10分であった。
テトラシクロドデセン(以下、TCDと略記)40%及び1,4メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン(以下、「MTF」と略記する。)60%からなる開環共重合体水素添加物に、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリドを0.5重量%添加して、比較製造例3の樹脂組成物Fを得た。得られた樹脂組成物FのTgは160℃、MFRは10g/10分であった。
(比較製造例4)
ノルボルネン76重量%、エチレン24重量%からなるエチレン・ノルボルネンランダム共重合体組成物を比較製造例4の樹脂組成物Gとした。得られた樹脂組成物GのTgは140℃、MFRは80g/10分であった。
ノルボルネン76重量%、エチレン24重量%からなるエチレン・ノルボルネンランダム共重合体組成物を比較製造例4の樹脂組成物Gとした。得られた樹脂組成物GのTgは140℃、MFRは80g/10分であった。
(比較製造例5)
製造例1において、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリドをペンタエリスリトールジステアレート(BLAUNON PS−200、青木油脂工業社製)に変更し、0.5重量%添加した以外は製造例1と同様にして、比較製造例5の樹脂組成物Hを得た。得られた樹脂組成物HのTgは100℃、MFRは60g/10分であった。
製造例1において、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリドをペンタエリスリトールジステアレート(BLAUNON PS−200、青木油脂工業社製)に変更し、0.5重量%添加した以外は製造例1と同様にして、比較製造例5の樹脂組成物Hを得た。得られた樹脂組成物HのTgは100℃、MFRは60g/10分であった。
(実施例1〜3、比較例1〜5)
<樹脂スタンパの製造>
製造例1〜3及び比較製造例1〜5で得た樹脂組成物を、図9に示す樹脂成形装置を使用して、図1に示す構造の樹脂スタンパ(直径120mm、厚さ0.6mm)を成形した。
図9に示す樹脂成形装置は、空搬式樹脂搬送装置(図示を省略)、樹脂貯蔵筒49、ブリザー弁50、不活性ガス注入装置45、可塑化装置58を備えた熱可塑性樹脂の樹脂成形装置であって、空搬式樹脂搬送装置の搬送気体/樹脂分離部56の底部と樹脂貯蔵筒頂部が接続され、該樹脂貯蔵筒上部にブリザー弁50が接続され、該樹脂貯蔵筒底部に可塑化装置58の原料供給口が接続され、該可塑化装置58の原料供給口近傍に不活性ガス注入装置45が設置され、さらに、スクリュー軸受け52部分とスクリュー55の間に真空グリースを塗布したグランドパッキン53を備えたものである。
<樹脂スタンパの製造>
製造例1〜3及び比較製造例1〜5で得た樹脂組成物を、図9に示す樹脂成形装置を使用して、図1に示す構造の樹脂スタンパ(直径120mm、厚さ0.6mm)を成形した。
図9に示す樹脂成形装置は、空搬式樹脂搬送装置(図示を省略)、樹脂貯蔵筒49、ブリザー弁50、不活性ガス注入装置45、可塑化装置58を備えた熱可塑性樹脂の樹脂成形装置であって、空搬式樹脂搬送装置の搬送気体/樹脂分離部56の底部と樹脂貯蔵筒頂部が接続され、該樹脂貯蔵筒上部にブリザー弁50が接続され、該樹脂貯蔵筒底部に可塑化装置58の原料供給口が接続され、該可塑化装置58の原料供給口近傍に不活性ガス注入装置45が設置され、さらに、スクリュー軸受け52部分とスクリュー55の間に真空グリースを塗布したグランドパッキン53を備えたものである。
可塑化装置58としては、DVD用のスタンパを装着した射出成形機(SD40ER、住友重機械工業社製)を用いた。
ブリザー弁50としては、富士エンジニアリング社製;BR−205(HEPA)を用いた。また、射出成形機のスクリュー55は、窒化チタンアルミでコーティングしたものを用いた。
ブリザー弁50としては、富士エンジニアリング社製;BR−205(HEPA)を用いた。また、射出成形機のスクリュー55は、窒化チタンアルミでコーティングしたものを用いた。
成形条件としては、樹脂成形装置を、クリーン度がクラス6であるクリーンルーム内に設置し、樹脂温度(バレル設定最高温度)を330℃、金型温度を固定側、可動側ともに80℃とした。樹脂組成物は成形直前まで、乾燥機中で80℃、4時間加熱処理を行った。不活性ガスとしては、純度99.99%の窒素を用い、10L/分の供給速度で導入した。
製造例1の樹脂組成物を使用して得た樹脂スタンパを樹脂スタンパ1、製造例2の樹脂組成物を使用して得た樹脂スタンパを樹脂スタンパ2、製造例3の樹脂組成物を使用して得た樹脂スタンパを樹脂スタンパ3、比較製造例1の樹脂組成物を使用して得た樹脂スタンパを樹脂スタンパ4、以下同様に、比較製造例2〜5の樹脂組成物を使用して得た樹脂スタンパを樹脂スタンパ5〜8とする。
樹脂スタンパ1〜8の製造に用いた樹脂組成物1〜5のガラス転移温度(Tg)、メルトマスフローレイト(MFR)、及び水酸基含有脂肪酸エステル化合物の添加量〔以下、滑剤量(重量%)ということがある。〕を第1表に示した。
(金型清浄性確認試験)
成形機にて樹脂スタンパを成形、目視にて金型汚れが確認されたときの成形品数を評価した。
金型の汚れが10,000個以上ある場合を×、5,000個以上〜10,000個未満の場合を△、5,000個未満の場合を○として評価した。評価結果を第1表に示す。
成形機にて樹脂スタンパを成形、目視にて金型汚れが確認されたときの成形品数を評価した。
金型の汚れが10,000個以上ある場合を×、5,000個以上〜10,000個未満の場合を△、5,000個未満の場合を○として評価した。評価結果を第1表に示す。
樹脂スタンパ1、2、3、4、6は、同じ金型を使用して大量生産する場合であっても、樹脂の付着等により、金型内部を汚染することがないことがわかる。
一方、樹脂スタンパ5、7、8は樹脂の付着等により、金型内部を汚染することがあるため、同じ金型を使用して大量生産する場合に問題となるおそれがある。
一方、樹脂スタンパ5、7、8は樹脂の付着等により、金型内部を汚染することがあるため、同じ金型を使用して大量生産する場合に問題となるおそれがある。
<光ディスク成形体の製造>
円盤状のポリカーボネート基板を8枚用意した。その上に、紫外線硬化性樹脂組成物をスピンコート法により塗布して紫外線硬化性樹脂組成物層を形成した。この紫外線硬化性樹脂組成物層上に、上記で得た樹脂スタンパ1〜8の凹凸形状を有する面側を紫外線硬化性樹脂組成物層側と貼り合わせた。
次いで、樹脂スタンパ側から、紫外線照射装置(型名;UVH−0251C、ウシオ電機(株)製)を使用して、照射強度100mW/cm2の紫外線を3秒間照射して、紫外線硬化性樹脂組成物層を硬化させた。
その後、樹脂スタンパを剥離することにより、図3に示すような円盤状の光ディスク成形体を製造した。樹脂スタンパ1を使用して得られた光ディスク成形体を成形体1、同様に樹脂スタンパ2〜8を使用して得られた光ディスク成形体をそれぞれ成形体2〜8とする。
円盤状のポリカーボネート基板を8枚用意した。その上に、紫外線硬化性樹脂組成物をスピンコート法により塗布して紫外線硬化性樹脂組成物層を形成した。この紫外線硬化性樹脂組成物層上に、上記で得た樹脂スタンパ1〜8の凹凸形状を有する面側を紫外線硬化性樹脂組成物層側と貼り合わせた。
次いで、樹脂スタンパ側から、紫外線照射装置(型名;UVH−0251C、ウシオ電機(株)製)を使用して、照射強度100mW/cm2の紫外線を3秒間照射して、紫外線硬化性樹脂組成物層を硬化させた。
その後、樹脂スタンパを剥離することにより、図3に示すような円盤状の光ディスク成形体を製造した。樹脂スタンパ1を使用して得られた光ディスク成形体を成形体1、同様に樹脂スタンパ2〜8を使用して得られた光ディスク成形体をそれぞれ成形体2〜8とする。
(1)離型性評価試験
上記の操作において、紫外線を照射した後、樹脂スタンパを剥離させる際における離型性を評価した。
離型性の評価試験は、図8に示すように、樹脂スタンパを矢印方向に引き上げる際の剥離荷重を剥離試験装置(万能引張圧縮試験機、TCM500CR、(株)ミネベア製)を使用して測定することにより行った。
測定した結果、剥離荷重が15N未満の場合を○、15N以上〜30N未満の場合を△、30N以上の場合を×として評価した。
評価結果を第1表に示す。
上記の操作において、紫外線を照射した後、樹脂スタンパを剥離させる際における離型性を評価した。
離型性の評価試験は、図8に示すように、樹脂スタンパを矢印方向に引き上げる際の剥離荷重を剥離試験装置(万能引張圧縮試験機、TCM500CR、(株)ミネベア製)を使用して測定することにより行った。
測定した結果、剥離荷重が15N未満の場合を○、15N以上〜30N未満の場合を△、30N以上の場合を×として評価した。
評価結果を第1表に示す。
(2)転写性確認試験
AFM(原子間力顕微鏡、Nano Scope IIIa、日本ビーコ(株)製)にて成形体1〜8の表面の凹凸形状の高さ(160nm)を測定した。測定した結果、高さが158nm以上の場合を○、150nm以上〜158nm未満の場合を△、150nm未満の場合を×として評価した。
評価結果を第1表に示す。
AFM(原子間力顕微鏡、Nano Scope IIIa、日本ビーコ(株)製)にて成形体1〜8の表面の凹凸形状の高さ(160nm)を測定した。測定した結果、高さが158nm以上の場合を○、150nm以上〜158nm未満の場合を△、150nm未満の場合を×として評価した。
評価結果を第1表に示す。
(3)再利用性確認試験
樹脂スタンパを剥離した後、再利用した際、剥離荷重が20Nを超えない回数をカウントした。3回以上である場合を○、1回以上〜3回未満の場合を△、1回未満の場合を×として評価した。
評価結果を第1表に示す。
樹脂スタンパを剥離した後、再利用した際、剥離荷重が20Nを超えない回数をカウントした。3回以上である場合を○、1回以上〜3回未満の場合を△、1回未満の場合を×として評価した。
評価結果を第1表に示す。
第1表より、実施例1〜3の樹脂スタンパ1〜3は、脂環式構造含有熱可塑性樹脂、及び滑剤量が0.2〜0.9重量%であり、ガラス転移温度(Tg)が90〜110℃であり、かつ、メルトマスフローレイト(MFR)が50〜70g/10分である樹脂組成物から製造されたものであるので、離型性、転写性及び再利用性の全てに優れている。
滑剤量が0.1重量%である比較例1の樹脂スタンパ4では、離型性、転写性及び再利用性が実用的に不十分であった。
滑剤量が0.1重量%である比較例1の樹脂スタンパ4では、離型性、転写性及び再利用性が実用的に不十分であった。
一方、滑剤量が1重量%である比較例2の樹脂スタンパ5では、離型性及び再利用性は優れていたが、転写性の面で劣っていた。
ガラス転移温度(Tg)が130℃であって、メルトマスフローレイト(MFR)が25g/10分である比較例3の樹脂スタンパ4では、特に転写性の面で劣る結果となった。
また、ガラス転移温度(Tg)が140℃であって、水酸基含有脂肪酸エステル化合物を添加しない比較例4の樹脂スタンパ7、及び水酸基含有脂肪酸エステル化合物の変わりに水酸基を含有しない脂肪酸エステル化合物を添加した比較例5の樹脂スタンパ8では、離型性、転写性及び再利用性の全ての面で劣る結果であり、特に離型性と再利用性に劣っていた。
ガラス転移温度(Tg)が130℃であって、メルトマスフローレイト(MFR)が25g/10分である比較例3の樹脂スタンパ4では、特に転写性の面で劣る結果となった。
また、ガラス転移温度(Tg)が140℃であって、水酸基含有脂肪酸エステル化合物を添加しない比較例4の樹脂スタンパ7、及び水酸基含有脂肪酸エステル化合物の変わりに水酸基を含有しない脂肪酸エステル化合物を添加した比較例5の樹脂スタンパ8では、離型性、転写性及び再利用性の全ての面で劣る結果であり、特に離型性と再利用性に劣っていた。
10…樹脂スタンパ、12…凹凸形状、14,34…孔、16a、16b、16c…樹脂型、18,32…光ディスク基体、20,38…硬化樹脂層、22…光ディスク基板、24…レンチキュラーレンズ、26…フレネルレンズ、28…導光板、30…紫外光、38a…紫外線硬化性樹脂、36…支持板、40…フック、42…エアーブロー、44…スクリューホルダー、45…不活性ガス注入装置、46…フィルター、47…搬送気体排気管、48…搬送管、49…樹脂貯蔵筒、50…ブリザー弁、51…酸素濃度計、52…スクリュー軸受け、53…グランドパッキン、54…駆動装置、55…スクリュー、56…搬送気体/樹脂分離部、57…レベル計、58…可塑化装置、P…樹脂組成物、
60…くさび、62…吸盤、64…上部支持板、66…下部支持板
60…くさび、62…吸盤、64…上部支持板、66…下部支持板
Claims (7)
- 樹脂組成物からなる樹脂型であって、前記樹脂組成物が、脂環式構造含有熱可塑性樹脂および組成物全体に対して0.2〜0.9重量%の水酸基含有脂肪酸エステル化合物を含有してなり、ガラス転移温度(Tg)が90〜110℃であり、かつ、メルトマスフローレイト(MFR)が50〜70g/10分であることを特徴とする樹脂型。
- 請求項1記載の樹脂型を用いて成形して得られる成形体。
- 光学部品である請求項2記載の成形体。
- 表面に凹凸形状を有する成形体の製造方法であって、基体上に、硬化性樹脂層を積層する工程(1a)と、前記硬化性樹脂層に、請求項1記載の樹脂型であって、前記成形体表面に凹凸を転写するための面形状を有する樹脂型を積層する工程(2a)と、前記硬化性樹脂層を硬化する工程(3a)と、および前記硬化性樹脂層を硬化して得られる硬化樹脂層と前記基体からなる成形体から前記樹脂型を除去する工程(4a)とを有する成形体の製造方法。
- 請求項1記載の樹脂型を連続使用して、前記工程(1a)〜(4a)を3回以上繰り返すことを特徴とする請求項4に記載の成形体の製造方法。
- 表面に凹凸形状を有する成形体の製造方法であって、請求項1に記載の樹脂型であって、前記成形体表面に凹凸形状を転写するための面形状を有する樹脂型の内部空間に、硬化性樹脂を充填する工程(1b)と、前記充填した硬化性樹脂を硬化させる工程(2b)と、および前記硬化性樹脂を硬化して得られる硬化樹脂成形体から前記樹脂型を除去する工程(3b)を有する成形体の製造方法。
- 請求項1記載の樹脂型を連続使用して、前記工程(1b)〜(3b)を3回以上繰り返すことを特徴とする請求項6に記載の成形体の製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007084746A (ja) * | 2005-09-26 | 2007-04-05 | Fujifilm Corp | 膜形成用組成物、それを用いた絶縁膜および電子デバイス |
JP2008001094A (ja) * | 2006-05-25 | 2008-01-10 | Nitto Denko Corp | 金型清浄剤組成物 |
WO2009101883A1 (ja) * | 2008-02-13 | 2009-08-20 | Konica Minolta Opto, Inc. | ハイブリッド光学素子集合体の製造方法 |
JP2013099950A (ja) * | 2008-01-31 | 2013-05-23 | Jsr Corp | 成形体の製造方法および光学射出成形体 |
CN105742176A (zh) * | 2016-04-12 | 2016-07-06 | 上海申色电气有限公司 | 蓝宝石窗片上制备菲涅尔透镜的方法及其应用 |
-
2004
- 2004-07-30 JP JP2004223381A patent/JP2006035823A/ja active Pending
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