JP2006034020A - 静電アクチュエータ駆動装置、光モジュール及び静電アクチュエータ駆動方法 - Google Patents

静電アクチュエータ駆動装置、光モジュール及び静電アクチュエータ駆動方法 Download PDF

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竜彦 田中
Masaichi Mobara
政一 茂原
Tomoki Sano
知己 佐野
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道子 多久島
Osamu Shimakawa
修 島川
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Abstract

【課題】 電極の変位量を常に正確に検出することができる静電アクチュエータ駆動装置を提供する。
【解決手段】 静電アクチュエータ駆動装置3は、信号発生器8、電気抵抗9、電圧測定器10、信号処理器11を有している。電気抵抗9と固定電極5及び可動電極6とは、ローパスフィルタを形成する。信号発生器8は、静電気力を発生させるための駆動電圧に高周波補助信号を重畳してなる電圧信号を電極5,6間に印加する。電圧測定器10は、電極5,6の電位差(ローパスフィルタの出力電圧)を測定する。信号処理器11は、信号発生器8で発生した電圧と電圧測定器10で測定した電圧とから可動電極6の変位量を算出し、この変位量と予め設定された可動電極6の目標変位量との偏差を求め、その偏差に応じた電源電圧指令値を信号発生器8に送出する。
【選択図】 図1


Description

本発明は、静電アクチュエータを駆動する静電アクチュエータ駆動装置、光モジュール及び静電アクチュエータ駆動方法に関するものである。
静電アクチュエータは、電極に電圧を印加して静電気力を発生させ、この静電気力により電極を変位させるものである。このような静電アクチュエータを備えた光モジュールとしては、例えば非特許文献1のP1768〜P1771に記載されている”A5-VOLT OPERATED MEMS VARIABLE OPTICAL ATTENUTOR”が知られている。
TRANSDUCERS ‘03 The 12th International Conference on Solid State Sensors, Actuators and Microsystems, Boston, June 8-12,2003
ところで、静電力を利用する静電アクチュエータでは、印加電圧に応じた反発力・吸引力が電極に働くことで、電極が変位する。このため、電極がどれぐらい動くかを正確に知る必要があるが、通常は電極の変位量は印加電圧に比例するため、予め印加電圧と変位量との関係を調べておくのが一般的である。しかし、印加電圧が一定であっても、環境温度の変化や振動等の外乱によって電極の変位量(位置)が変わってしまうことがある。
本発明の目的は、電極の変位量を常に正確に検出することができる静電アクチュエータ駆動装置、光モジュール及び静電アクチュエータ駆動方法を提供することである。
本発明は、相対的に変位可能な第1電極及び第2電極を有する静電アクチュエータに接続され、第1電極と第2電極との間に静電気力を発生させて、第1電極と第2電極とを相対的に変位させる静電アクチュエータ駆動装置であって、第1電極と第2電極との間に、静電気力を発生させるための駆動電圧に当該駆動電圧の周波数成分よりも高い周波数成分をもった補助信号を重畳してなる電圧信号を印加する電圧発生手段と、第1電極と第2電極との間に接続され、第1電極及び第2電極と協働して、電圧発生手段により発生した電圧信号が入力されるフィルタ回路を形成する電気抵抗と、フィルタ回路の出力電圧を測定する電圧測定手段とを備えることを特徴とするものである。
このような静電アクチュエータ駆動装置において、コンデンサを構成する第1電極と第2電極との間に電気抵抗を接続することにより、RCのフィルタ回路が形成される。このとき、フィルタ回路には、電圧発生手段により発生した電圧信号が入力電圧として入力される。また、フィルタ回路の出力電圧は、電圧測定手段により測定される。電圧発生手段で発生させる電圧信号は、静電気力を発生させるための駆動電圧に当該駆動電圧の周波数成分よりも高い周波数成分をもった補助信号を重畳してなるものである。そこで、例えば補助信号を正弦波とした場合、例えばフィルタ回路の入力電圧と出力電圧との比率が所定値となる時の補助信号の周波数を調べれば、フィルタ回路のカットオフ周波数が分かる。そして、このカットオフ周波数と、電気抵抗の抵抗値と、第1電極と第2電極との間の静電容量の関係式とから、第1電極と第2電極との相対変位量を求めることができる。これにより、温度変動等の外乱があっても、第1電極と第2電極との相対変位量を常に正確に検出することができる。
好ましくは、電圧発生手段により発生した電圧と電圧測定手段により測定した電圧とに基づいて、第1電極と第2電極との相対変位量を求め、当該相対変位量が予め設定された目標変位量となるように電圧発生手段を制御する制御手段とを更に備える。この場合には、第1電極と第2電極との相対変位量が自動的に求められる。そして、第1電極と第2電極との相対変位量が目標変位量となるように電圧発生手段が自動制御される。これにより、作業者の作業負担等を軽減することが可能となる。
このとき、制御手段は、第1電極と第2電極との間の静電容量をC、第1電極と第2電極との間の誘電率をε、第1電極及び第2電極の面積をS、第1電極と第2電極との間の初期ギャップをg、第1電極と第2電極との相対変位量をx、フィルタ回路のカットオフ周波数をfc、電気抵抗の抵抗値をRとしたときに、C=εS/(g−x)、fc=1/(2πRC)を用いて、第1電極と第2電極との相対変位量を求めることが好ましい。この場合、誘電率ε、面積S、初期ギャップg、抵抗値Rは既知である。従って、上記計算式を用いることで、第1電極と第2電極との相対変位量を簡単に求めることができる。
また、好ましくは、フィルタ回路がローパスフィルタであり、電圧測定手段は、第1電極と第2電極との電位差を測定する手段である。これにより、例えば補助信号を正弦波とした場合、例えば補助信号の周波数を低い方から高い方に変化させた状態で、第1電極と第2電極との間に電圧信号を印加し、ローパスフィルタの入力電圧と出力電圧との比率を検出することで、ローパスフィルタのカットオフ周波数を簡単に得ることができる。
また、フィルタ回路がハイパスフィルタであり、電圧測定手段は、電気抵抗の両側の電位差を測定する手段であってもよい。これにより、例えば補助信号を正弦波とした場合、例えば補助信号の周波数を高い方から低い方に変化させた状態で、第1電極と第2電極との間に電圧信号を印加し、ハイパスフィルタの入力電圧と出力電圧との比率を検出することで、ハイパスフィルタのカットオフ周波数を簡単に得ることができる。
さらに、好ましくは、第1電極と第2電極との間には、電気抵抗、第1電極及び第2電極と協働してフィルタ回路を形成するコンデンサ及びコイルの少なくとも一方が接続されている。これにより、コンデンサやコイルの値を適宜変えることで、フィルタ回路のカットオフ周波数を調整することができる。
また、好ましくは、電気抵抗が可変抵抗である。これにより、電気抵抗の抵抗値を調整することで、電気抵抗の数を変えたり電気抵抗を付け替えたりすることなく、フィルタ回路のカットオフ周波数を簡単に調整することができる。
また、好ましくは、補助信号の周波数が静電アクチュエータの応答周波数よりも高い。これにより、電圧発生手段により第1電極と第2電極との間に電圧信号を印加したときに、第1電極または第2電極が電圧信号中の補助信号に追従しにくくなるため、補助信号が静電アクチュエータの駆動に影響を与えることを防止できる。
さらに、好ましくは、第1電極及び第2電極は微小電子機械システムにより形成されたものである。これにより、微小電子機械システムにより形成された超小型の光デバイスに、本発明の静電アクチュエータ駆動装置を適用することが可能となる。
また、本発明の光モジュールは、相対的に変位可能な第1電極及び第2電極を有する静電アクチュエータと、第1電極及び第2電極のいずれか一方に取り付けられた光部品と、上述した静電アクチュエータ駆動装置とを備えたことを特徴とするものである。
このように上記の静電アクチュエータ駆動装置を設けることにより、上述したように、温度変動等の外乱があっても、第1電極と第2電極との相対変位量を常に正確に検出することができる。
さらに、本発明は、相対的に変位可能な第1電極及び第2電極を有する静電アクチュエータを駆動する静電アクチュエータ駆動方法であって、上述した静電アクチュエータ駆動装置を用意し、電圧発生手段により発生した電圧と電圧測定手段により測定した電圧とに基づいて、第1電極と第2電極との相対変位量を求め、当該相対変位量が予め設定された目標変位量となるように電圧発生手段を制御することにより、第1電極と第2電極との間に印加する電圧信号を調整することを特徴とするものである。
このように上記の静電アクチュエータ駆動装置を使用することにより、上述したように、温度変動等の外乱があっても、第1電極と第2電極との相対変位量を常に正確に検出することができる。
本発明によれば、環境温度の変化や振動等があっても、電極の変位量を常に正確に検出することができる。これにより、電極の変位量(位置)制御を高精度に行うことが可能となる。
以下、本発明に係わる静電アクチュエータ駆動装置、光モジュール及び静電アクチュエータ駆動方法の好適な実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係わる静電アクチュエータ駆動装置の一実施形態を備えた光モジュールを示す概略構成図である。同図において、光モジュール1は、静電アクチュエータ2と、この静電アクチュエータ2と接続され、静電アクチュエータ2を駆動する静電アクチュエータ駆動装置3とを備えている。静電アクチュエータ2には、光信号を反射させるミラー4が取り付けられている。
静電アクチュエータ2は、櫛歯状の固定電極5と、この固定電極5を挟んで対向する2本の櫛歯状の可動電極6とを有している。固定電極5は、基板(図示せず)に固定されている。各可動電極6は、固定電極5に対して平行に延在している。各可動電極6の一端部には、上記のミラー4が連結されている。ミラー4の中心部は、アンカー7を介して基板(図示せず)に固定されている。これにより、ミラー4は、その中心部を回転軸として湾曲状に変形自在となる(図3参照)。このような静電アクチュエータ2は、例えば微小電子機械システム(MEMS)により形成される。
静電アクチュエータ駆動装置3は、信号発生器8と、電気抵抗9と、電圧測定器10と、信号処理器11とを有している。信号発生器8及び電気抵抗9は、固定電極5と一方の可動電極6との間に直列に接続されている。このとき、信号発生器8は可動電極6側に接続され、電気抵抗9は固定電極5側に接続されている。また、固定電極5及び可動電極6は、1つのコンデンサとみなせる。これにより、電気抵抗9と固定電極5及び可動電極6とで、図2に示すようなローパスフィルタ12が形成される。
信号発生器8は、固定電極5と可動電極6との間に電圧信号を印加するものであり、図2に示すローパスフィルタ12の入力電圧Vinとなる電圧信号を発生させることになる。この信号発生器8により固定電極5と可動電極6との間に電圧信号を印加すると、図3に示すように、両者間に静電気力を発生し、その静電気力によって可動電極6が固定電極5に引き寄せられて変位する。
信号発生器8は、固定電極5と可動電極6との間に静電気力を発生させるための駆動電圧Pに、当該駆動電圧Pの周波数成分よりも高い周波数成分をもった微弱な高周波補助信号Qを重畳してなる電圧信号を発生させる(図4(a)参照)。高周波補助信号としては、例えば正弦波が用いられる。なお、ここでいう駆動電圧Pの周波数成分は、駆動電圧のON/OFF時やノイズ発生時に、瞬間的(突発的)に高周波補助信号Qの周波数よりも高くなる周波数成分を含まないものとする。駆動電圧Pと高周波補助信号Qとは、これらから成る電圧信号をローパスフィルタ12に入力することによって分離することができる(図4(b)参照)。
このとき、高周波補助信号Qの周波数は、静電アクチュエータ2の応答周波数よりも高いことが望ましい。これにより、固定電極5と可動電極6との間に電圧信号を印加したときに、可動電極6が高周波補助信号Qに追従して動くことが無いため、高周波補助信号Qが可動電極6の振動を引き起こすことを防止できる。なお、静電アクチュエータ2の応答周波数は、静電アクチュエータ2の構造(固定電極5及び可動電極6の面積、固定電極5と可動電極6とのギャップ、可動電極6の強度や材質、固定電極5と可動電極6との間の材質等)によって変化する。
電圧測定器10は、固定電極5と可動電極6との間に信号発生器8及び電気抵抗9に対して並列に接続されている。電圧測定器10は、固定電極5と可動電極6との間の電位差、つまりローパスフィルタ12(図2参照)の出力電圧Voutを測定するものである。ローパスフィルタ12の出力電圧Voutは、例えば図4(b)に示すようになる。
信号処理器11は、図5に示すように、変位量算出部13と、変位偏差算出部14と、指令電圧生成部15とを有している。変位量算出部13は、信号発生器9により発生した電圧信号(ローパスフィルタ12の入力電圧Vin)と電圧測定器10により測定したローパスフィルタ12の出力電圧Voutとに基づいて、固定電極5に対する可動電極6の変位量(位置)を算出する。この可動電極6の変位量算出の手法を以下に述べる。
即ち、信号発生器8で発生させる電圧信号として、駆動電圧Pに高周波補助信号Qを重畳させたものを用いると、ローパスフィルタ12の入力電圧Vinと出力電圧Voutとの比率は、高周波補助信号Qの周波数によって変化する。例えば、高周波補助信号Qの周波数をカットオフ周波数fcとしたときは、ローパスフィルタ12の入出力電圧比(Vout/Vin)は、−3dBである。そこで、固定電極5と可動電極6との間に電圧信号を印加するときに、高周波補助信号Qの周波数を低い方から高い方に変化させて行うことにより、ローパスフィルタ12の入出力電圧比が−3dBとなるカットオフ周波数fcの値が分かる。
ローパスフィルタ12のカットオフ周波数fcは、電気抵抗9の抵抗値をR、固定電極5と可動電極6とで構成されるコンデンサ16(図2参照)の静電容量をCとすると、下記式で表される。
fc=1/(2πRC) …(1)
電気抵抗9の抵抗値Rは既知であるため、上記式からコンデンサ16の静電容量Cが求められる。このとき、電気抵抗9が可変抵抗である場合には、電気抵抗9の抵抗値Rを変えるだけで、ローパスフィルタ12のカットオフ周波数fcを容易に調整することができる。
また、コンデンサ16の静電容量Cの値は、下記式からも得られる。なお、εはコンデンサ16の誘電率であり、Sは固定電極5及び可動電極6の面積であり、gは固定電極5と可動電極6との間の初期ギャップであり、xは可動電極6の変位量である。
C=εS/(g−x) …(2)
ここで、誘電率ε、電極面積S、初期ギャップgも既知であるため、これらの値と(1)式で求めた静電容量Cとを(2)式に代入して計算すると、可動電極6の変位量xが求められる。なお、誘電率ε、電極面積S、初期ギャップgは、固定電極5及び可動電極6の構造や材質によって変化するため、それに合わせて適切な抵抗値Rをもった電気抵抗9を選択する必要がある。
変位偏差算出部14は、変位量算出部13で求めた実際の可動電極6の変位量と可動電極6の目標変位量との偏差を求める。可動電極6の目標変位量は、例えば図示しない入力手段により予め設定されて記憶されている。
指令電圧生成部15は、変位偏差算出部14で求めた可動電極6の変位量と目標変位量との偏差をゼロにするための電源電圧指令値を生成し、この電源電圧指令値を信号発生器8に送出する。
なお、上記の信号発生器8、電気抵抗9、電圧測定器10及び信号処理器11は、図示はしないが、固定電極5ともう一方の可動電極6との間にも接続されている。これにより、静電アクチュエータ駆動装置3によって2本の可動電極6を個別に且つ同時に駆動することができる。
以上のように構成した光モジュール1において、可動電極6の目標変位量を信号処理器11に設定入力すると、目標変位量に対応した電源電圧を含む電圧信号が信号発生器8で発生し、その電圧信号が固定電極5と各可動電極6との間に印加される。すると、図3に示すように、固定電極5と各可動電極6との間に静電気力が発生し、その静電気力によって各可動電極6が固定電極5に引き寄せられ、これに伴ってミラー4が湾曲状に撓むようになる。
ここで、信号発生器8で発生する電源電圧の値が一定であっても、例えば温度変動や振動等の外乱によって可動電極6の変位量(位置)が変動することがある。この場合には、可動電極6の変位量が目標変位量からずれることになるため、ミラー4の所望な撓み量が得られなくなる可能性がある。
これに対し本実施形態では、固定電極5と可動電極6との間に電気抵抗9を接続し、等価的なローパスフィルタ12を構成する。また、信号発生器8によって、駆動電圧に微弱な高周波補助信号を重畳してなる電圧信号を固定電極5と可動電極6との間に印加すると共に、電圧測定器10によりローパスフィルタ12の出力電圧Voutを測定する。そして、信号処理器11において、ローパスフィルタ12のカットオフ周波数fcを用いて可動電極6の変位量を求め、この変位量と目標変位量との偏差に応じた電源電圧指令値を生成し、この電源電圧指令値に従って信号発生器8を制御し、固定電極5と可動電極6との間に印加する電源電圧のレベルを調整する。
このように各可動電極6の変位量(位置)をフィードバック制御することにより、温度変動や振動等の外乱にかかわらず、各可動電極6を目標変位量となるように制御することができる。これにより、ミラー4の所望な撓み量を得ることが可能となる。
また、可動電極6の変位量を検出するためにコンデンサ16の静電容量を検出する検出電極を静電アクチュエータ2に設けなくて済む。これにより、静電アクチュエータ2の大型化を防止できるため、例えば複数の静電アクチュエータ2を集積化して構成される光デバイスに有利となる。
図6は、本発明に係わる静電アクチュエータ駆動装置の他の実施形態を備えた光モジュールを示す概略構成図である。図中、上述した実施形態と同一または同等の部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
同図において、光モジュール20は、上述した実施形態における静電アクチュエータ駆動装置3に代えて、静電アクチュエータ駆動装置21を備えている。静電アクチュエータ駆動装置21は、上述した静電アクチュエータ駆動装置3と同様に、信号発生器8、電気抵抗9、電圧測定器10及び信号処理器11を有している。
信号発生器8及び電気抵抗9は、固定電極5と可動電極6との間に直列に接続されている。このとき、信号発生器8は固定電極5側に接続され、電気抵抗9は可動電極6側に接続されている。これにより、固定電極5及び可動電極6からなるコンデンサ16と電気抵抗9とで、図7に示すようなハイパスフィルタ22が形成される。
電圧測定器10は、固定電極5と可動電極6との間に電気抵抗9に対して並列に接続されている。電圧測定器10は、電気抵抗9の両側の電位差、つまりハイパスフィルタ22の出力電圧Voutを測定するものである。
信号処理器11の機能は、上述した実施形態とほぼ同様である。このとき、固定電極5と可動電極6との間に電圧信号を印加するときに、電源電圧に重畳させる高周波補助信号の周波数を高い方から低い方に変化させて行うことにより、ハイパスフィルタ22の入力電圧Vinと出力電圧Voutとの比(Vout/Vin)が−3dBとなるカットオフ周波数fcの値が分かる。そして、上述した(1)式、(2)式を用いることで、可動電極6の変位量xが得られる。
このような本実施形態においても、各可動電極6の変位量(位置)をフィードバック制御するので、温度変動や振動等の外乱にかかわらず、可動電極6の位置を高精度に制御することができる。また、静電アクチュエータ2の大型化を抑えることが可能である。
なお、上記の2つの実施形態では、電気抵抗9及びコンデンサ16のみでローパスフィルタ及びハイパスフィルタを構成したが、更にコンデンサ及びコイルのいずれか一方または両方を加えて、ローパスフィルタ及びハイパスフィルタを構成しても良い。この場合には、追加する素子の値を適宜変更することで、ローパスフィルタ及びハイパスフィルタのカットオフ周波数fcを調整することができる。
また、上記実施形態では、電圧信号の駆動電圧に重畳させる微弱な高周波補助信号として正弦波を用い、高周波補助信号が所定の値まで減衰する時の周波数(例えばカットオフ周波数fc)から、可動電極6の変位量を求めるようにしたが、可動電極6の変位量を求める手法は、特にこれには限定されない。例えば、高周波補助信号として同じように正弦波を用い、高周波補助信号の周波数を一定にして、高周波補助信号の減衰量から可動電極6の変位量を求めても良いし、或いは高周波補助信号として方形波を用い、高周波補助信号の出力波形の立ち上がり時間または立ち下がり時間から可動電極6の変位量を求めても良い。
図8は、上述した光モジュール1の応用例として分散補償器を示す構成図である。
同図において、分散補償器30は、複数の静電アクチュエータ2と、各静電アクチュエータ2を駆動する複数の静電アクチュエータ駆動装置3と、回折格子31と、複数の静電アクチュエータ2と回折格子31との間に配置されたレンズ32とを有している。回折格子31は、分散補償用光伝送路33からの信号光を波長毎に分波(分光)させる。分散補償用光伝送路33は、光サーキュレータ34を介して入力用光伝送路35及び出力用光伝送路36と接続されている。
このような分散補償器30において、入力用光伝送路35に入力された信号光は、光サーキュレータ34を通って分散補償用光伝送路33から出射され、回折格子31において波長毎に分波される。そして、この分波された信号光は、レンズ32を介して各静電アクチュエータ2の位置まで伝搬され、各静電アクチュエータ2に設けられたミラー4でそれぞれ反射される。このとき、各ミラー4は、波長毎に分波された信号光に対して所望の位相差を与えて分散を補償するように、撓み量が制御されている。各ミラー4で反射された信号光は、再びレンズ32を介して回折格子31まで伝搬され、この回折格子31において合波される。そして、その合波された信号光は、分散補償用光伝送路33、光サーキュレータ34及び出力用光伝送路36を通って出力される。
なお、本発明に係わる静電アクチュエータ駆動装置は、分散補償器以外の光モジュール、例えば光可変減衰器や光ADM(Add/Drop Multiplexer)等にも適用可能である。
本発明に係わる静電アクチュエータ駆動装置の一実施形態を備えた光モジュールを示す概略構成図である。 図1に示す電気抵抗と固定電極及び可動電極とで構成されるローパスフィルタを示す等価回路である。 図1に示す静電アクチュエータの動作状態を示す図である。 図2に示すローパスフィルタの入力電圧及び出力電圧の一例を示す波形図である。 図1に示す信号処理器の機能ブロック図である。 本発明に係わる静電アクチュエータ駆動装置の他の実施形態を備えた光モジュールを示す概略構成図である。 図6に示す電気抵抗と固定電極及び可動電極とで構成されるハイパスフィルタを示す等価回路である。 図1に示す光モジュールの応用例として分散補償器を示す図である。
符号の説明
1…光モジュール、2…静電アクチュエータ、3…静電アクチュエータ駆動装置、4…ミラー(光部品)、5…固定電極(第1電極)、6…可動電極(第2電極)、8…電圧発生器(電圧発生手段)、9…電気抵抗、10…電圧測定器(電圧測定手段)、11…信号処理器(制御手段)、12…ローパスフィルタ(フィルタ回路)、13…変位量算出部、14…変位偏差算出部、15…指令電圧生成部、16…コンデンサ、20…光モジュール、21…静電アクチュエータ駆動装置、22…ハイパスフィルタ(フィルタ回路)、30…分散補償器(光モジュール)。

Claims (11)

  1. 相対的に変位可能な第1電極及び第2電極を有する静電アクチュエータに接続され、前記第1電極と前記第2電極との間に静電気力を発生させて、前記第1電極と前記第2電極とを相対的に変位させる静電アクチュエータ駆動装置であって、
    前記第1電極と前記第2電極との間に、前記静電気力を発生させるための駆動電圧に当該駆動電圧の周波数成分よりも高い周波数成分をもった補助信号を重畳してなる電圧信号を印加する電圧発生手段と、
    前記第1電極と前記第2電極との間に接続され、前記第1電極及び前記第2電極と協働して、前記電圧発生手段により発生した前記電圧信号が入力されるフィルタ回路を形成する電気抵抗と、
    前記フィルタ回路の出力電圧を測定する電圧測定手段とを備えることを特徴とする静電アクチュエータ駆動装置。
  2. 前記電圧発生手段により発生した電圧と前記電圧測定手段により測定した電圧とに基づいて、前記第1電極と前記第2電極との相対変位量を求め、当該相対変位量が予め設定された目標変位量となるように前記電圧発生手段を制御する制御手段とを更に備えることを特徴とする請求項1記載の静電アクチュエータ駆動装置。
  3. 前記制御手段は、前記第1電極と前記第2電極との間の静電容量をC、前記第1電極と前記第2電極との間の誘電率をε、前記第1電極及び前記第2電極の面積をS、前記第1電極と前記第2電極との間の初期ギャップをg、前記第1電極と前記第2電極との相対変位量をx、前記フィルタ回路のカットオフ周波数をfc、前記電気抵抗の抵抗値をRとしたときに、
    C=εS/(g−x)
    fc=1/(2πRC)
    を用いて、前記第1電極と前記第2電極との相対変位量を求めることを特徴とする請求項2記載の静電アクチュエータ駆動装置。
  4. 前記フィルタ回路がローパスフィルタであり、
    前記電圧測定手段は、前記第1電極と前記第2電極との電位差を測定する手段であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の静電アクチュエータ駆動装置。
  5. 前記フィルタ回路がハイパスフィルタであり、
    前記電圧測定手段は、前記電気抵抗の両側の電位差を測定する手段であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の静電アクチュエータ駆動装置。
  6. 前記第1電極と前記第2電極との間には、前記電気抵抗、前記第1電極及び前記第2電極と協働して前記フィルタ回路を形成するコンデンサ及びコイルの少なくとも一方が接続されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の静電アクチュエータ駆動装置。
  7. 前記電気抵抗が可変抵抗であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載の静電アクチュエータ駆動装置。
  8. 前記補助信号の周波数が前記静電アクチュエータの応答周波数よりも高いことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項記載の静電アクチュエータ駆動装置。
  9. 前記第1電極及び前記第2電極は微小電子機械システムにより形成されたものであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項記載の静電アクチュエータ駆動装置。
  10. 相対的に変位可能な第1電極及び第2電極を有する静電アクチュエータと、
    前記第1電極及び前記第2電極のいずれか一方に取り付けられた光部品と、
    請求項1〜9のいずれか一項記載の静電アクチュエータ駆動装置とを備えたことを特徴とする光モジュール。
  11. 相対的に変位可能な第1電極及び第2電極を有する静電アクチュエータを駆動する静電アクチュエータ駆動方法であって、
    請求項1記載の静電アクチュエータ駆動装置を用意し、前記電圧発生手段により発生した電圧と前記電圧測定手段により測定した電圧とに基づいて、前記第1電極と前記第2電極との相対変位量を求め、当該相対変位量が予め設定された目標変位量となるように前記電圧発生手段を制御することにより、前記第1電極と前記第2電極との間に印加する前記電圧信号を調整することを特徴とする静電アクチュエータ駆動方法。


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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010158128A (ja) * 2008-12-28 2010-07-15 Saitama Univ 等価容量型アクチュエータの駆動装置及び駆動方法
JP2010220488A (ja) * 2009-03-19 2010-10-07 Terumo Corp 細胞培養物移送器具

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