JP2006032198A - 隔壁構造体、電気光学装置、カラーフィルタ、回路基板、及びデバイス - Google Patents

隔壁構造体、電気光学装置、カラーフィルタ、回路基板、及びデバイス Download PDF

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Abstract

【課題】 基体上を平面的に区画する隔壁部材を具備した隔壁構造体であって、前記隔壁部材により区画される領域内に良好に液体材料を保持することができ、もって機能材料の正確なパターニングを可能とした隔壁構造体、及び隔壁部材により正確にパターニングされた発光素子等を具備した電気光学装置等を提供する。
【解決手段】 本発明に係る電気光学装置は、基板P上に立設してなる隔壁部材(第1隔壁層149、第2隔壁層150)を具備し、該隔壁部材に囲まれてなる区画領域151に発光素子たる有機EL素子200が形成されており、前記第2隔壁層150の上面に、第2隔壁層150の延在方向に沿って延びる溝部150bを備えている。
【選択図】 図3

Description

本発明は、隔壁構造体、電気光学装置、カラーフィルタ、回路基板、及びデバイスに関するものである。
電子回路や集積回路等に用いられる配線などのパターンや、電気光学装置の画素を構成する薄膜等のパターンを形成する手段として、従来からフォトリソグラフィ法が知られているが、このフォトリソグラフィ法は、真空装置等の大掛かりな設備と複雑な工程を必要とし、またパターンとして用いられる以外の材料は除去され廃棄されるため、その材料使用効率が数%であることから、製造コストが高いという問題がある。
これに対して、液体吐出ヘッドから液体材料を液滴状に吐出する液滴吐出法、いわゆるインクジェット法を用いて基板上にパターンを形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この方法では、パターン用の液体材料(機能液)を基板に直接パターン配置し、その後熱処理やレーザー照射を行ってパターンに変換する。この方法によれば、フォトリソグラフィが不要となり、プロセスが大幅に簡略化されるとともに、原材料の使用量も少なくてすむというメリットがある。また、このような液相法を用いたパターン形成に際して、パターンの微細化に対応するべく、基板上にバンク(隔壁部材)を形成し、このバンクに囲まれた領域内に液体材料を塗布することで微細パターンを形成する方法が案出されている(例えば特許文献2参照。)。さらに、バンクによって区画された基板上の領域に有機EL素子の発光層を形成することで表示画素を構成した有機EL装置が提案されている(例えば特許文献3参照。)。
特開平11−274671号公報 特開2003−317945号公報 特許第3328297号公報
液体材料の選択塗布にバンクを用いることで、微細で複雑なパターンに対しても容易に液体材料を配することが可能になる。しかしながら、バンクにより領域を区画して液体材料を塗布したとしても、液体材料がバンクを乗り越えて外側に溢れる場合がある。特に、カラー有機EL装置等では、バンクを挟んで両側に異種の液体材料を配するため、バンクを乗り越えて隣接領域に混入した液体材料がデバイスの信頼性や性能を低下させ、歩留まりの低下を招く原因となるおそれがある。
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、基体上を平面的に区画する隔壁部材を具備した隔壁構造体であって、前記隔壁部材により区画される領域内に良好に液体材料を保持することができ、もって機能材料の正確なパターニングを可能とした隔壁構造体を提供することを目的としている。
また本発明は、隔壁部材により正確にパターニングされた発光素子、着色部、導電膜等を具備した電気光学装置、カラーフィルタ、及び回路基板を提供することを目的としている。
本発明は、上記課題を解決するために、基体上に立設してなる隔壁部材を具備し、該隔壁部材によって前記基体上に配された液体材料を該基体上の所定位置に保持する隔壁構造体であって、前記隔壁部材の上面に、該隔壁構造体の延在方向に形成されてなる溝部を備えていることを特徴とする隔壁構造体を提供する。
係る構成の隔壁構造体においては、前記隔壁部材の上面に、隔壁部材の延在方向に沿う溝部が形成されているため、この溝部を挟んだ幅方向両側に、相対的に突出された凸条部が形成されている。そして、係る構成を具備した隔壁部材によって区画された領域(区画領域)に液体材料を配すると、隔壁部材の上端部まで達する程度に液体材料を充填した場合にも、前記凸条部の頂部において液体材料が良好に保持されるようになり、液体材料が隔壁部材を乗り越えて区画領域の外側に漏れ出るのを防止することができる。また仮に、液体材料が前記凸条部を乗り越えたとしても、乗り越えた先には前記溝部が延在しているので、液体材料は溝部の延在方向に沿う方向に流れ、隔壁部材を乗り越えにくくなっている。したがって本発明の隔壁構造体を用いて形成した機能膜は、正確な平面形状と膜厚とを具備したものとなる。
本発明の隔壁構造体では、前記隔壁部材の上面に、互いに概略平行に形成されてなる複数の前記溝部を備えている構成とすることもできる。このような構成であっても、基体上に配された液体材料を隔壁部材により所定位置に保持することができる。
本発明の隔壁構造体では、前記溝部が、前記隔壁部材により区画されてなる基体上の領域を平面的に取り囲むように形成されていることが好ましい。この構成によれば、液体材料が配されるべき基体上の区画領域を取り囲んで前記溝部が形成されているので、前記区画領域に臨む隔壁部材の上端部には、区画領域に臨む凸条部が形成されることになる。そして、係る凸条部によって、より良好に前記液体材料を保持できるようになる。
本発明の隔壁構造体では、前記隔壁部材の表面に撥液性が付与されていることが好ましい。隔壁部材の表面に撥液性を付与することで、前記凸条部の頂部における液体材料の保持作用をさらに良好なものとすることができる。
本発明の隔壁構造体では、前記隔壁部材と前記基体との間に、該隔壁部材より高い親液性を有する領域が形成されていることが好ましい。この構成によれば、隔壁部材により区画された領域に配した液体材料を、同領域内で均一に濡れ広がらせることができ、形成される機能膜の均一性を向上させることができる。
次に、本発明の電気光学装置は、基体上に発光素子を配列してなる電気光学装置であって、前記発光素子が、前記基体上に立設された隔壁部材に囲まれてなる区画領域内に形成されており、前記隔壁部材の上面に、前記発光素子の一の配列方向に沿って溝部が形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、上記構造を具備した隔壁部材によって囲まれた区画領域に発光素子が形成されるので、発光素子の構成部材(機能膜)を液相法を用いて形成する際に、当該構成部材の液体材料を良好に区画領域内に保持でき、したがって意図した平面形状と膜厚とを有する機能膜を備えた発光素子を形成できる。これにより、表示輝度の均一性に優れた高画質の電気光学装置を提供することができる。
なお、本発明において、電気光学素子、電気光学層もしくは電気光学装置とは、電界により物質の屈折率が変化して光の透過率を変化させる電気光学効果を有するものの他、電気エネルギーを光学エネルギーに変換するもの等も含んで総称している。
本発明の電気光学装置では、前記溝部が、前記区画領域を取り囲んで形成されていることが好ましい。この構成によれば、前記発光素子が形成される区画領域を取り囲んで前記溝部に起因する凸条部が形成された隔壁部材により、前記区画領域内に配した液体材料を良好に保持でき、前記発光素子を構成する機能膜を、より正確な平面形状及び膜厚にて形成することができる。
本発明の電気光学装置では、前記発光素子が、有機エレクトロルミネッセンス素子であることが好ましい。この構成によれば、輝度の均一性に優れた高画質の有機EL装置を提供することができる。また、複数の発光色の発光素子を具備した有機EL装置にあっては、発光素子を構成する発光層を液相法により形成するに際して、前記隔壁部材の作用により液体材料が隣接する区画領域に流入することが防止されるので、混色を生じず、鮮やかな発色の有機EL装置を提供することができる。
次に、本発明の電気光学装置としては、基体と、該基体上にパターン形成されてなる導電膜とを具備した電気光学装置であって、前記導電部材が、前記基体上に立設された隔壁部材に囲まれてなる区画領域内に形成されており、前記隔壁部材の上面に、前記導電膜のパターンに沿って溝部が形成されていることを特徴とする構成も適用できる。
この構成によれば、電気光学装置を構成する導電膜を液相法を用いて形成する際に、上記溝部を具備した隔壁部材の作用により正確な平面形状でかつ膜厚の均一性に優れた導電膜を形成でき、もって良好な電気特性及び信頼性を具備した電気光学装置を提供することができる。
次に本発明のカラーフィルタは、基体上に複数の着色部を配列してなるカラーフィルタであって、前記着色部が、前記基体上に立設された隔壁部材に囲まれてなる区画領域内に形成されており、前記隔壁部材の上面に、前記着色部の一の配列方向に沿って溝部が形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、前記着色部を液相法を用いて形成する際に、上記溝部を具備した隔壁部材の作用により正確な平面形状でかつ膜厚の均一性に優れた着色部を形成できるとともに、液体材料が隣接する区画領域に流入することによる混色も効果的に防止できるので、所望の色度で鮮やかな発色のカラーフィルタを提供することができる。
本発明のカラーフィルタでは、前記溝部が、前記区画領域を取り囲んで形成されていることが好ましい。この構成によれば、前記隔壁部材による液体材料の保持作用をさらに良好なものとすることができる。
次に本発明は、基体上に所定平面形状の導電膜がパターン形成されてなる回路基板であって、前記導電膜が、前記基体上に立設された隔壁部材に囲まれてなる区画領域内に形成されており、前記隔壁部材の上面に、前記導電膜のパターンに沿って溝部が形成されていることを特徴とする回路基板を提供する。
この構成によれば、前記導電膜を液相法を用いて形成する際に、前記溝部を具備した隔壁部材の作用により正確な平面形状と均一な膜厚とを具備した導電膜を形成できるので、良好な電気特性と信頼性とを備えた回路基板を提供することができる。
次に本発明のデバイスは、先に記載の本発明の電気光学装置、カラーフィルタ、あるいは回路基板のいずれかを具備したことを特徴とする。この構成によれば、液相法により形成される発光素子や着色部、あるいは導電膜を具備したデバイスであって、これらの機能部が正確な平面形状と膜厚とを有しているデバイスが提供される。すなわち、前記機能膜により提供される電気特性や発光特性等が良好なものであり、また当該機能膜の信頼性にも優れたデバイスが提供される。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明するが、本発明の技術範囲は本実施の形態に限定されるものではない。
(電気光学装置)
本実施形態では、本発明に係る電気光学装置として、有機EL装置(有機エレクトロルミネッセンス装置)を例示してその構成及び製造方法につき説明する。この有機EL装置は、例えば電子機器等の表示手段として好適に用いることができるものである。
<有機EL装置>
図1は本実施形態の有機EL装置の回路構成図、図2は、同有機EL装置に備えられた各画素領域71の平面構造を示す図であって、(a)は画素領域71のうち、主にTFT等の画素駆動部分を示す図、(b)は画素間を区画する隔壁部材(隔壁構造体)等を示す図である。図3は、図2(a)のA−A線に沿う断面構成を示す図であり、図4は、複数の画素領域を含む平面領域における隔壁部材の配置形態を示す図である。
図1に示すように、有機EL装置100は、透明の基板上に、複数の走査線131と、これら走査線131に対して交差する方向に延びる複数の信号線132と、これら信号線132に並列に延びる複数の電源線133とがそれぞれ配線されたもので、走査線131及び信号線132の各交点に対応して画素領域71が設けられた構成を備えている。
信号線132に対しては、シフトレジスタ、レベルシフタ等を備えるデータ側駆動回路72が設けられている。一方、走査線131に対しては、シフトレジスタ、レベルシフタ等を備える走査側駆動回路73が設けられている。また、画素領域71の各々には、走査線131を介して走査信号がゲート電極に供給されるスイッチング用TFT(薄膜トランジスタ)142と、このスイッチング用TFT142を介して信号線132から供給される画像信号を保持する保持容量capと、保持容量capによって保持された画像信号がゲート電極に供給される駆動用TFT143と、この駆動用TFT143を介して電源線133に電気的に接続したときに電源線133から駆動電流が流れ込む画素電極141と、この画素電極141と共通電極154との間に挟み込まれる発光部140とが設けられている。そして、前記画素電極141と共通電極154と、発光部140とによって構成される素子が有機EL素子である。
このような構成のもとに、走査線131が駆動されてスイッチング用TFT142がオンとなると、そのときの信号線132の電位が保持容量capに保持され、この保持容量capの状態に応じて、駆動用TFT143のオン・オフ状態が決まる。そして、駆動用TFT143のチャネルを介して電源線133から画素電極141に電流が流れ、さらに発光部140を通じて共通電極154に電流が流れることにより、発光部140は、これを流れる電流量に応じて発光する。
次に、図2(a)に示す画素領域71の平面構造をみると、画素領域71には、平面視略矩形状の画素電極141と、その四辺を取り囲んで配置された信号線132、電源線133、走査線131及び図示しない他の画素電極用の走査線を備えている。
一方、図3に示す画素領域71の断面構造をみると、基板(基体)P上に、駆動用TFT143が設けられており、駆動用TFT143を覆って形成された複数の絶縁膜を介した基板P上に、有機EL素子200が形成されている。有機EL素子200は、基板P上に立設された第1隔壁層149と第2隔壁層150とを積層してなる隔壁部材(隔壁構造体)に囲まれた区画領域151内に設けられた有機機能層140を主体としてなり、この有機機能層140を画素電極141と共通電極154との間に挟持した構成を備える。
図2に戻り、(b)図に示す平面構造をみると、第2隔壁層150は、画素電極141の形成領域に対応した平面視略矩形状の区画領域151を有しており、この区画領域151の内側に先の有機機能層140が形成されている。
また、区画領域151の内周に沿って、第2隔壁層150の下層側に形成された第1隔壁層の一部が区画領域内に延出されている。係る第1隔壁層149の開口領域内で有機機能層140と画素電極141とが接触して電気的に接続されている。
図3に示すように、駆動用TFT143は、半導体膜210に形成されたソース領域143a、ドレイン領域143b、及びチャネル領域143cと、半導体膜表面に形成されたゲート絶縁膜220を介してチャネル領域143cに対向するゲート電極143Aとを主体として構成されている。半導体膜210及びゲート絶縁膜220を覆う第1層間絶縁膜230が形成されており、この第1層間絶縁膜230及びゲート絶縁膜220を貫通して半導体膜210に達するコンタクトホール232,234内に、それぞれドレイン電極236、ソース電極238が埋設され、各々の電極はドレイン領域143b、ソース領域143aに導電接続されている。
第1層間絶縁膜230を覆って第2層間絶縁膜240が形成されており、第1層間絶縁膜230上に形成された信号線132、ソース電極238、ドレイン電極236等に起因する凹凸形状は、この第2層間絶縁膜240によって平坦化されている。
画素電極141は、第2層間絶縁膜240表面に形成されるとともに、第2層間絶縁膜240に貫設されたコンタクトホール240aにその一部が埋設されている。このようにコンタクトホール240aを介して画素電極141とドレイン電極236とが導電接続される結果、駆動用TFT143と画素電極141とが電気的に接続されている。
第2層間絶縁膜240上に形成された画素電極141に一部乗り上げるようにして、樹脂材料等の有機材料からなる第1隔壁層149が形成されている。第1隔壁層149上には、有機材料からなる第2隔壁層150が積層されている。このように積層された第1隔壁層149と第2隔壁層150とが、有機EL装置100における隔壁部材(隔壁構造体)を構成しており、係る隔壁部材の画素電極141形成領域に対応する位置に設けられた開口部が区画領域151である。また、区画領域151を構成する第2隔壁層150の内壁面は、図3に示すように、第1隔壁層149の開口端149aより画素電極141の外側へ後退した位置に形成されている。
そして、本実施形態では、基板P上に立設された第2隔壁層150の上面であって、区画領域151に臨む縁端部に、図3の紙面に垂直な方向に延びる凸条部150aが形成されており、隣接する凸条部150a、150a間に、凸条部150bと略平行に延びる溝部150bが形成されている。平面的にみると、図4に示すように、平面視略格子状の第2隔壁層150が形成されており、この第2隔壁層150の開口領域である区画領域151を取り囲む矩形枠状に凸条部150aが形成されており、溝部150bは隣接する凸条部150a間に配されて第2隔壁層150の延在方向に沿った平面視格子状を成している。
第1隔壁層149及び第2隔壁層150は、画素電極141を隔離する機能のほか、液相法を用いて有機機能層140を形成するに際しての撥液領域、親液領域を発生させる機能をも奏するが、区画領域151に臨む凸条部150aが形成されていることで、より確実に区画領域151内に有機機能層140を形成するための液体材料を保持できるようになっている。これにより、隣接画素への液の混合等に起因する不具合の発生を低減できる。
本有機EL装置において、下層側に配された第1隔壁層149は親液性であり、第2隔壁層150は撥液性であることが好ましい。このような液体材料に対する親和性の差異を発現させるには、第2隔壁層150の構成材料として、フッ素化合物等を混入して撥液性を付与した樹脂材料を用いればよい。あるいは、第1隔壁層149をSiO等の無機絶縁材料により形成し、第2隔壁層150を樹脂材料等の有機材料により形成した上で、これらの隔壁層149,150に対して一括にプラズマ処理等の表面改質処理を施せば、有機材料からなる第2隔壁層150のみを選択的に撥液化することができる。
上記有機EL素子200は、第2隔壁層150に囲まれる区画領域151内の画素電極141上に、液相法を用いて形成された正孔注入層(電荷輸送層)140A及び発光層140Bを積層し、さらに発光層140Bと第2隔壁層150とを覆う共通電極154を形成した構成を備えている。本実施形態の場合、正孔注入層140Aは、主に第1隔壁層149に囲まれた領域内の画素電極141上に形成されており、発光層140Bは、正孔注入層140A上に形成されている。
基板Pとしては、いわゆるボトムエミッション型の有機EL装置の場合、基板側から光を取り出す構成であるので、ガラス等の透明基板が用いられる。トップエミッション型の場合には不透明基板も用いることができる。
画素電極141は、基板Pを介して光を取り出すボトムエミッション型の場合には、ITO(インジウム錫酸化物)等の透光性導電材料により形成される。トップエミッション型の場合には透光性である必要はなく、金属材料等の適宜な導電材料によって形成できる。本実施形態に係る正孔注入層140Aは液相法により形成されるため、画素電極141の表面は親液性であることが好ましく、正孔注入層140Aの形成材料としては水系の液体材料を用いることが多いため、親水性であることがより好ましい。
共通電極154は、発光層140Bと第2隔壁層150の上面、さらには第2隔壁層150の側面部を形成する壁面を覆った状態で基板P上に形成される。この共通電極154を形成するための材料としては、ボトムエミッション型の場合、AlやAg等の光反射性の金属材料が好適に用いられ、トップエミッション型の場合には透明導電材料が用いられる。透明導電材料としてはITOが好適であるが、他の透光性導電材料であっても構わない。
共通電極154上には、陰極保護層を形成してもよい。係る陰極保護層を設けることで、製造プロセス時に共通電極154が腐食されるのを防止する効果が得られ、無機化合物、例えば、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン窒酸化物等のシリコン化合物により形成できる。共通電極50を無機化合物からなる陰極保護層で覆うことにより、無機酸化物からなる共通電極154への酸素等の侵入を良好に防止することができる。なお、陰極保護層は、10nmから300nm程度の厚みに形成される。
上記構成を備えた本実施形態の有機EL装置では、区画領域151を形成する第2隔壁層150の上面に溝部150bが形成され、相対的に基板P鉛直方向に突出された凸条部150aが区画領域151に臨むように形成されているので、液相法を用いて正孔注入層140Aや発光層140Bを形成する際に、これらの液体材料を良好に区画領域151内に保持できる。その結果、液体材料が第2隔壁層150を乗り越えて隣接画素に混入するのを防止でき、高画質の有機EL装置を高歩留まりに製造できる構成となっている。
また、第2隔壁層150上面には、凸条部150aと略平行に溝部150bが延在しているので、仮に液体材料を凸条部150aで保持しきれなかったとしても、液体材料は溝部150bの延在方向に沿って広がり、隣接する他の区画領域に流入することはない。
なお、本実施形態では、第2隔壁層150の上面に溝部150bが1本のみ形成されており、その両側に溝部150bと概ね平行な凸条部150a、150aが延びて形成されている構成について説明したが、本発明の技術範囲は実施形態の構成に限定されるものではない。例えば、第2隔壁層150の上面に複数本(例えば2本)の溝部150bが形成されており、それらの間に3本の凸条部150aが形成されている構成としてもよいのは勿論である。
<有機EL装置の製造方法>
次に、上記実施形態の有機EL装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。
本実施形態では、図1から図3に示した構成を具備した有機EL装置を、液滴吐出法(インクジェット法)を用いて製造する方法を例示して説明する。
本発明に係る有機EL装置では、有機EL素子の光を基板側から取り出す構成(ボトムエミッション)、及び基板と反対側から取り出す構成(トップエミッション)のいずれも採用できるが、本実施形態ではトップエミッション型の有機EL装置を図示して説明する。
[液滴吐出装置]
まず、製造方法の説明に先立ち、有機EL装置の製造に好適に使用できる液滴吐出装置について説明する。図5は本発明の有機EL装置を製造する際に用いる液滴吐出装置を示す概略斜視図である。また、図6(a)及び図6(b)は液滴吐出装置に設けられた液滴吐出ヘッドを示す図である。
図5において、液滴吐出装置IJは、基板Pの表面(所定面)に液滴を配置可能な成膜装置であって、ベース12と、ベース12上に設けられ、基板Pを支持するステージ(ステージ装置)STと、ベース12とステージSTとの間に介在し、ステージSTを移動可能に支持する第1移動装置14と、ステージSTに支持されている基板Pに対して、有機機能層の形成材料を含む液滴を定量的に吐出(滴下)可能な液滴吐出ヘッド20と、液滴吐出ヘッド20を移動可能に支持する第2移動装置16とを備えている。液滴吐出ヘッド20の液滴の吐出動作や、第1移動装置14及び第2移動装置16の移動動作を含む液滴吐出装置IJの動作は制御装置CONTにより制御される。
第1移動装置14はベース12の上に設置されており、Y軸方向に沿って位置決めされている。第2移動装置16は、ベース12の後部12Aに立てられた支柱16A,16Aにより第1移動装置16の上方に支持されている。第2移動装置16のX軸方向は第1移動装置14のY軸方向と直交する方向である。ここで、Y軸方向はベース12の前部12Bと後部12A方向に沿った方向である。これに対してX軸方向はベース12の左右方向に沿った方向であり、各々水平である。また、Z軸方向はX軸方向及びY軸方向に垂直な方向である。
第1移動装置14は例えばリニアモータによって構成され、2本のガイドレール40と、これらのガイドレール40,40に沿って移動可能なスライダー42とを備えている。
このリニアモータ形式の第1移動装置14のスライダー42はガイドレール40に沿ってY軸方向に移動して位置決め可能である。スライダー42はZ軸回り(θZ)用のモータ44を備えている。このモータ44は例えばダイレクトドライブモータであり、モータ44のロータはステージSTに固定されている。これにより、モータ44に通電することでロータとステージSTとはθZ方向に沿って回転してステージSTをインデックス(回転割り出し)することができる。すなわち、第1移動装置14はステージSTをY軸方向及びθZ方向に移動可能である。
ステージSTは基板Pを保持し所定の位置に位置決めするものである。また、ステージSTは吸着保持装置50を有しており、吸着保持装置50が作動することによりステージSTに設けられた吸入孔46Aを通して基板PをステージSTの上に吸着して保持する。
第2移動装置16はリニアモータによって構成され、支柱16A,16Aに固定されたコラム16Bと、このコラム16Bに支持されているガイドレール62Aと、ガイドレール62Aに沿ってX軸方向に移動可能に支持されているスライダー60とを備えている。スライダー60はガイドレール62Aに沿ってX軸方向に移動して位置決め可能であり、液滴吐出ヘッド20はスライダー60に取り付けられている。
液滴吐出ヘッド20は揺動位置決め装置としてのモータ62,64,66,68を有している。モータ62を作動すれば、液滴吐出ヘッド20はZ軸に沿って上下動して位置決め可能である。このZ軸はX軸とY軸に対して各々直交する方向(上下方向)である。モータ64により液滴吐出ヘッド20はY軸回りのβ方向に沿って揺動され、モータ66により液滴吐出ヘッド20はX軸回りのγ方向に揺動され、モータ68により液滴吐出ヘッド20はZ軸回りのα方向に揺動される。すなわち、第2移動装置16は液滴吐出ヘッド20をX軸方向及びZ軸方向に移動可能に支持するとともに、この液滴吐出ヘッド20をθX方向、θY方向、θZ方向に移動可能に支持する。
このように、図5の液滴吐出ヘッド20は、スライダー60において、Z軸方向に直線移動して位置決め可能で、α、β、γに沿って揺動して位置決め可能であり、液滴吐出ヘッド20の吐出面20Pは、ステージST側の基板Pに対して正確に位置あるいは姿勢をコントロールすることができる。なお、液滴吐出ヘッド20の吐出面20Pには液滴を吐出する複数のノズルが設けられている。
図6(a)に示す液滴吐出ヘッド20は、複数のノズル81を有するノズルプレート80と、振動板85を有する圧力室基板90と、これらノズルプレート80と振動板85とを嵌め込んで支持する筐体88とを備えて構成されている。液滴吐出ヘッド20の主要部構造は、図6(b)に示すように、圧力室基板90をノズルプレート80と振動板85とで挟み込んだ構造とされている。ノズルプレート80のノズル81は、各々圧力室基板90に区画形成された圧力室(キャビティ)91に対応している。圧力室基板90には、シリコン単結晶基板等をエッチングすることにより、各々が圧力室として機能可能にキャビティ91が複数設けられている。キャビティ91同士の間は側壁92で分離されている。各キャビティ91は供給口94を介して共通の流路であるリザーバ93に繋がっている。振動板85は例えば熱酸化膜等により構成される。
振動板85にはタンク口86が設けられ、図5に示したタンク30からパイプ(流路)31を通じて任意の液滴を供給可能に構成されている。振動板85上のキャビティ91に相当する位置には圧電体素子87が配設されている。圧電体素子87はPZT素子等の圧電性セラミックスの結晶を上部電極及び下部電極(図示せず)で挟んだ構造を備える。圧電体素子87は制御装置CONTから供給される吐出信号に対応して体積変化を発生可能に構成されている。
液滴吐出ヘッド20から液滴を吐出するには、制御装置CONTが液滴を吐出させるための吐出信号を液滴吐出ヘッド20に供給する。液滴は液滴吐出ヘッド20のキャビティ91に流入しており、吐出信号が供給された液滴吐出ヘッド20では、その圧電体素子87がその上部電極と下部電極との間に加えられた電圧により体積変化を生ずる。この体積変化は振動板85を変形させ、キャビティ91の体積を変化させる。この結果、そのキャビティ91のノズル穴211から液滴が吐出される。液滴が吐出されたキャビティ91には吐出によって減った液体材料が新たに後述するタンク30から供給される。本実施形態に係る液滴吐出装置IJに備えられた液滴吐出ヘッド20は、圧電体素子に体積変化を生じさせて液滴を吐出させる構成であるが、発熱体により液体材料に熱を加えその膨張によって液滴を吐出させるような構成であってもよい。
図5に戻り、基板P上に設けられる液体材料は、液体材料調製装置Sにより生成される。液体材料調製装置Sは、液体材料を収容可能なタンク30と、タンク30に収容された液体材料の温度を調整する温度調整装置32と、タンク30に収容された液体材料を攪拌する撹拌装置33とを備えている。温度調整装置32は制御装置CONTにより制御され、タンク30内の液体材料は温度調整装置32により温度調整されることで所望の粘度に調整される。タンク30はパイプ(流路)31を介して液滴吐出ヘッド20に接続しており、液滴吐出ヘッド20から吐出される液体材料の液滴はタンク30からパイプ31を介して供給される。
尚、図5には液滴吐出ヘッド20及び液体材料調製装置Sのそれぞれが1つだけ図示されているが、液滴吐出装置IJには複数の液滴吐出ヘッド20及び液体材料調製装置Sが設けられており、これら複数の液滴吐出ヘッド20のそれぞれから異種又は同種の液体材料の液滴が吐出されるようになっている。そして、基板Pに対してこれら複数の液滴吐出ヘッド20のうち、第1の液滴吐出ヘッドから第1の液体材料を吐出した後、これを焼成又は乾燥し、次いで第2の液滴吐出ヘッドから第2の液体材料を基板Pに対して吐出した後これを焼成又は乾燥し、以下、複数の液滴吐出ヘッドを用いて同様の処理を行うことにより、基板P上に複数の材料層が積層され、多層パターンを形成できるようになる。
[製造手順]
次に、上述した液滴吐出装置IJを用いた、有機EL装置(電気光学装置)の製造方法について説明する。ただし、以下に示す手順や液体材料の材料構成は一例であってこれに限定されるものではない。
図7は、本実施形態の有機EL装置の製造工程のうち、隔壁部材の形成工程を示すフロー図である。同図に示す形成工程は、洗浄工程ST1と、第1樹脂膜形成工程ST2と、第2樹脂膜形成工程ST3と、隔壁層形成工程ST4とを含む。すなわち、本実施形態に係る隔壁部材の形成工程では、第1樹脂膜と第2樹脂膜とを積層形成した後、これらの樹脂膜から所定の平面形状及び断面形状を成す隔壁層を形成して隔壁部材とするものである。
以下、上記有機EL装置100の製造方法について、図7から図10を参照しつつ説明する。なお、図8から図10には、説明を簡略化するために単一の画素領域71(図3に示した断面構成に相当する図)のみが示されている。
まず、図8(a)に示すように、基板P上に、駆動用TFT143(図示は簡略化している。)を形成するとともに、第1層間絶縁膜230上に、走査線131、信号線132を形成する。その後、第1層間絶縁膜230及び各配線等を覆うように第2層間絶縁膜240を形成する。基板Pは、ガラスや石英等の透光性基板や樹脂基板である。また、第2層間絶縁膜240の形成により、走査線131や信号線132による凹凸形状が平坦化される。
次に、図8(b)に示すように、第2層間絶縁膜240に、下層の駆動用TFT143に達するコンタクトホール240aを、公知のフォトリソグラフィ技術を用いて開口する。続いて、公知のフォトリソグラフィ技術を用いて画素電極141を第2層間絶縁膜240上にパターン形成する。このとき、画素電極141は、その一部をコンタクトホール240a内に埋設され、画素電極141とTFT143とが電気的に接続される(図3参照)。これにより、先の図2(a)に示したような信号線、電源線、及び走査線に囲まれた位置に、ドレイン電極236を介して駆動用TFT143のドレイン領域143bと導電接続された画素電極141が形成される。本実施形態の場合、有機EL装置はトップエミッション型であるため、画素電極141はAlやAg等の光反射性の金属材料や、これらとITO等の透明導電材料との積層膜により形成することができる。
なお、この画素電極141の形成に先立って、第2層間絶縁膜240の表面を清浄化する処理(例えば酸素プラズマ処理、UV照射処理、オゾン処理等)を施しておいてもよい。これにより、画素電極141と第2層間絶縁膜240との密着性を向上させることができる。
上記画素電極141までの形成が終了したならば、基板Pの表面を洗浄する(洗浄工程ST1)。この洗浄工程ST1は、例えば、公知の基板洗浄機を用いて、洗浄水圧0.2MPa、洗浄時間240秒の条件で行う。
続いて、図8(c)に示すように、画素電極141及び第2層間絶縁膜240の表面を覆うように、感光性樹脂からなる第1樹脂膜149Aを形成する(第1樹脂膜形成工程ST2)。この第1樹脂膜149Aは、後段の工程で一部を開口されて第1隔壁層149を形成するものである。
具体的には、感光性のアクリル樹脂やポリイミド樹脂等からなる第1樹脂膜149Aを、例えばスピンコート法等の成膜法により形成し(ST21)、その後、基板Pを加熱することで第1樹脂膜149Aをプレベークする(ST22)。プレベーク条件は、ホットプレートを用いる場合には例えば90℃で120秒間程度の加熱を行う。
第1樹脂膜149Aを成膜したならば、続いて第2樹脂膜150Aの形成工程(ST3)に移る。この第2樹脂膜形成工程ST3では、図8(d)に示すように、第1樹脂膜149Aを覆うように感光性のフッ素樹脂を塗布して基板P上の全面に第2樹脂膜150Aを形成し(ST31)、その後基板Pを加熱して第2樹脂膜150Aをプレベークする(ST32)。感光性フッ素樹脂の塗布は、例えばスピンコート法を用いて行う。一方、プレベークは、第1樹脂膜149Aと同様にホットプレートを用いて行うことができ、その条件は例えば100℃、120秒間である。
次に、第1樹脂膜149A及び第2樹脂膜150Aをパターニングして隔壁部材を形成する(隔壁層形成工程ST4)。まず、感光性樹脂からなる第1樹脂膜149A及び第2樹脂膜150Aを露光し(ST41)、その後焼き締める(ST42)。次いで、現像処理(ST43)によって第2樹脂膜150A及び第1樹脂膜149Aの一部を選択的に除去することで、図9(a)に示すような区画領域151を開口させ、第1隔壁層149と第2隔壁層150とが積層されてなる隔壁部材(隔壁構造体)を得る。
本実施形態では、露光工程ST41で第1樹脂膜149Aと第2樹脂膜150Aとを一括に露光処理し、現像工程ST43にて、第2樹脂膜150Aとともに、下層側の第1樹脂膜149Aの一部(画素電極141上の領域)も同時に除去する。したがって、区画領域151の底面部には画素電極141が露出され、この露出面の縁端から第1隔壁層149と第2隔壁層150との積層膜からなる隔壁部材が立ち上がった構造となる。
本実施形態では、第1樹脂膜149Aと第2樹脂膜150Aとを積層形成し、積層された樹脂膜149A,150Bを一括に露光、現像することで隔壁層149,150を形成する場合について説明したが、第1隔壁層149を例えばSiO等の無機材料により形成する場合や感光性を有さない樹脂材料により形成する場合には、第1樹脂膜149Aに代えてSiO等からなる無機膜を形成した後、この無機膜をフォトリソグラフィ技術を用いてパターニングし、第1隔壁層149を形成する。なお、この場合にも第2樹脂膜形成工程ST3以降の工程は先に説明した工程と同様とすることができる。
次に、基板Pを所定加熱条件(例えば200℃、30分間)にてポストベークする(ST44)。本実施形態の場合、図9(b)に示すように、このポストベーク工程ST44で第2隔壁層150に付与される熱Qによって第2隔壁層150が変形し、第2隔壁層150の上面中央部に溝部150bが形成される。そして、このような溝部150bが形成される結果、第2隔壁層150の上面であって、区画領域151に臨む部分に凸条部150aが形成される。なお、図9(b)において、溝部150bの図示左右方向両側にそれぞれ凸条部150a、150aが形成されているが、区画領域151に臨む凸条部150aと反対側(図示外側)に位置する凸条部150aは、隣接する画素領域の区画領域に臨んで配されている。
上記隔壁層形成工程ST4で形成する第2隔壁層150の高さは、例えば1〜2μm程度に設定され、基板P上で有機EL素子の仕切部材として機能する。このような高さとすることで、有機EL素子の正孔注入層や発光層の形成場所(これらの形成材料の塗布位置)とその周囲の第2隔壁層150との間に十分な高さの段差を有した区画領域151が形成される。また、区画領域151の底面近傍には、フッ素化合物を含まない第1隔壁層149の一部が露出されているので、後段の工程で区画領域151内に配する液体材料の濡れ広がりを良好なものとすることができる。
このようにして第2隔壁層150を形成したならば、次に、図9(c)に示すように、基板Pの上面を上に向けた状態で正孔注入層形成材料を含む液体材料114aを液滴吐出ヘッド20により第2隔壁層150に囲まれた塗布位置に選択的に塗布する。正孔注入層を形成するための液体材料114aは図5に示した液体材料調製装置Sにより調製され、正孔注入層形成材料及び溶媒を含む。
正孔注入層形成材料としては、ポリマー前駆体がポリテトラヒドロチオフェニルフェニレンであるポリフェニレンビニレン、1,1−ビス−(4−N,N−ジトリルアミノフェニル)シクロヘキサン、トリス(8−ヒドロキシキノリノール)アルミニウム、バイトロンP、ポリスチレンスルフォン酸等を例示することができる。また、溶媒としては、イソプロピルアルコール、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−イミダゾリノン等の極性溶媒を例示することができる。
上述した正孔注入層形成材料を含む液体材料114aが液滴吐出ヘッド20より基板P上に吐出されると、塗布された位置を囲んで第2隔壁層150が形成されているので、液体材料114aは第2隔壁層150を越えてその外側に広がらないようになっている。また画素電極141の表面は親液領域となっており、さらにその周囲を取り囲む第1隔壁層149の表面も親和性が高い部分となっているので、画素電極141上に塗布された液体材料114aは、画素電極141上に隙間なく濡れ広がり、区画領域151内に均一に満たされるようになっている。
そして本実施形態では、撥液性の第2隔壁層150上面であって区画領域151に臨む位置に、区画領域151を取り囲むように凸条部150aが形成されているので、区画領域151に充填された液体材料114aは、凸条部150aの頂部(稜線部)で保持され、隣接する区画領域へは広がらないようになっている。
これにより、区画領域151に塗布された液体材料114aは、第2隔壁層150を乗り越えて溢れることなく区画領域151内で乾燥、固化され、意図した層厚と正確な平面形状にて形成される。また仮に、液体材料114aが第2隔壁層150の凸条部150aを乗り越えて溢れたとしても、第2隔壁層150の上面中央部には溝部150bが延在しているので、凸条部150aを乗り越えた液体材料は溝部150bの延在方向に沿って広がり、隣接する区画領域への流入は起こりにくくなっている。
次に、加熱あるいは光照射により液体材料114aの溶媒を蒸発させて、図10(a)に示すように画素電極141上に固形の正孔注入層140Aを形成する。または、大気環境下又は窒素ガス雰囲気下において所定温度及び時間(一例として200℃、10分)焼成するようにしてもよい。あるいは大気圧より低い圧力環境下(真空環境下)に配置することで溶媒を除去するようにしてもよい。この際、図9(c)に示した液体材料を配置する工程で、第2隔壁層150内に液体材料が均一に濡れ拡がっているので、図10(a)に示すように、均一な膜厚を有した平坦膜状の正孔注入層140Aが得られる。
続いて、図10(b)に示すように、基板Pの上面を上に向けた状態で液滴吐出ヘッド20より発光層形成材料と溶媒とを含む液体材料114bを第2隔壁層150内の正孔注入層140A上に選択的に塗布する。
この発光層形成材料としては、例えば共役系高分子有機化合物の前駆体と、得られる発光層の発光特性を変化させるための蛍光色素とを含んでなるものを好適に用いることができる。共役系高分子有機化合物の前駆体は、蛍光色素等とともに液滴吐出ヘッド20から吐出されて薄膜に成形された後、加熱硬化されることによって共役系高分子有機EL層となる発光層を生成し得るものをいい、例えば前駆体のスルホニウム塩の場合、加熱処理されることによりスルホニウム基が脱離し、共役系高分子有機化合物となるもの等である。
このような共役系高分子有機化合物は固体で強い蛍光を持ち、均質な固体超薄膜を形成することができる。しかも形成能に富みITO電極との密着性も高い。さらに、このような化合物の前駆体は、硬化した後は強固な共役系高分子膜を形成することから、加熱硬化前においては前駆体溶液を後述する液滴吐出パターニングに適用可能な所望の粘度に調整することができ、簡便かつ短時間で最適条件の膜形成を行うことができる。
上記前駆体としては、例えばPPV(ポリ(パラ−フェニレンビニレン))又はその誘導体の前駆体が好ましい。PPV又はその誘導体の前駆体は、水あるいは有機溶媒に可溶であり、また、ポリマー化が可能であるため光学的にも高品質の薄膜を得ることができる。さらに、PPVは強い蛍光を持ち、また二重結合のπ電子がポリマー鎖上で非極在化している導電性高分子でもあるため、高性能の有機EL素子を得ることができる。このようなPPV又はPPV誘導体の前駆体として、例えば、PPV(ポリ(パラ−フェニレンビニレン))前駆体、MO−PPV(ポリ(2,5−ジメトキシ−1,4−フェニレンビニレン))前駆体、CN−PPV(ポリ(2,5−ビスヘキシルオキシ−1,4−フェニレン−(1−シアノビニレン)))前駆体、MEH−PPV(ポリ[2−メトキシ−5−(2'−エチルヘキシルオキシ)]−パラ−フェニレンビニレン)前駆体等が挙げられる。
PPV又はPPV誘導体の前駆体は、前述したように水に可溶であり、成膜後の加熱により高分子化してPPV層を形成する。前記PPV前駆体に代表される前駆体の含有量は、液体材料組成物全体に対して0.01〜10.0wt%が好ましく、0.1〜5.0wt%がさらに好ましい。前駆体の添加量が少な過ぎると共役系高分子膜を形成するのに不十分であり、多過ぎると液体材料組成物の粘度が高くなり、液滴吐出法(インクジェット法)による精度の高いパターニングに適さない場合がある。
さらに、発光層形成材料としては、少なくとも1種の蛍光色素を含むのが好ましい。これにより、発光層の発光特性を変化させることができ、例えば、発光層の発光効率の向上、又は光吸収極大波長(発光色)を変えるための手段としても有効である。すなわち、蛍光色素は単に発光層材料としてではなく、発光機能そのものを担う色素材料として利用することができる。例えば、共役系高分子有機化合物分子上のキャリア再結合で生成したエキシトンのエネルギーをほとんど蛍光色素分子上に移すことができる。この場合、発光は蛍光量子効率が高い蛍光色素分子からのみ起こるため、発光層の電流量子効率も増加する。したがって、発光層の形成材料中に蛍光色素を加えることにより、同時に発光層の発光スペクトルも蛍光分子のものとなるので、発光色を変えるための手段としても有効となる。
なお、ここでいう電流量子効率とは、発光機能に基づいて発光性能を考察するための尺度であって、下記式により定義される。
ηE=放出されるフォトンのエネルギー/入力電気エネルギー
そして、蛍光色素のドープによる光吸収極大波長の変換によって、例えば赤、青、緑の3原色を発光させることができ、その結果フルカラー表示体を得ることが可能となる。さらに蛍光色素をドーピングすることにより、EL素子の発光効率を大幅に向上させることができる。
蛍光色素としては、赤色発光層を形成する場合、赤色に発光するローダミン又はローダミン誘導体を好ましく用いることができる。これらの蛍光色素は、低分子であるため水溶液に可溶であり、またPPVと相溶性がよく、均一で安定した発光層の形成が容易である。このような蛍光色素として具体的には、ローダミンB、ローダミンBベース、ローダミン6G、ローダミン101過塩素酸塩等が挙げられ、これらを2種以上混合したものであってもよい。
また、緑色発光層を形成する場合、緑色に発光するキナクリドン及びその誘導体を好ましく用いることができる。これらの蛍光色素は前記赤色蛍光色素と同様、低分子であるため水溶液に可溶であり、またPPVと相溶性がよく発光層の形成が容易である。
さらに、青色発光層を形成する場合、青色に発光するジスチリルビフェニル及びその誘導体を好ましく用いることができる。これらの蛍光色素は前記赤色蛍光色素と同様、低分子であるため水・アルコール混合溶液に可溶であり、またPPVと相溶性がよく発光層の形成が容易である。
また、青色に発色する他の蛍光色素としては、クマリン及びその誘導体を挙げることができる。これらの蛍光色素は、前記赤色蛍光色素と同様、低分子であるため水溶液に可溶であり、またPPVと相溶性がよく発光層の形成が容易である。このような蛍光色素として具体的には、クマリン、クマリン−1、クマリン−6、クマリン−7、クマリン120、クマリン138、クマリン152、クマリン153、クマリン311、クマリン314、クマリン334、クマリン337、クマリン343等が挙げられる。
さらに、別の青色の発色光を有する蛍光色素としては、テトラフェニルブタジエン(TPB)又はTPB誘導体を挙げることができる。これらの蛍光色素は、前記赤色蛍光色素等と同様、低分子であるため水溶液に可溶であり、またPPVと相溶性がよく発光層の形成が容易である。以上の蛍光色素については、各色ともに1種のみを用いてもよく、また2種以上を混合して用いてもよい。
これらの蛍光色素については、前記共役系高分子有機化合物の前駆体固形分に対し、0.5〜10wt%添加するのが好ましく、1.0〜5.0wt%添加するのがより好ましい。蛍光色素の添加量が多過ぎると発光層の耐候性及び耐久性の維持が困難となり、一方、添加量が少な過ぎると、前述したような蛍光色素を加えることによる効果が十分に得られないからである。
また、前記前駆体及び蛍光色素については、極性溶媒に溶解又は分散させて液体材料とし、この液体材料を液滴吐出ヘッド20から吐出するのが好ましい。極性溶媒は、前記前駆体、蛍光色素等を容易に溶解又は均一に分散させることができるため、液滴吐出ヘッド20のノズル孔での発光層形成材料中の固形分が付着したり目詰りを起こすのを防止することができる。このような極性溶媒として具体的には、水、メタノール、エタノール等の水と相溶性のあるアルコール、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルイミダゾリン(DMI)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、キシレン、シクロヘキシルベンゼン、2,3−ジヒドロベンゾフラン等の有機溶媒又は無機溶媒が挙げられ、これらの溶媒を2種以上適宜混合したものであってもよい。
液体材料114bを液滴吐出ヘッド20から吐出することによる発光層の形成は、赤色の発色光を発光する発光層形成材料を含む液体材料、緑色の発色光を発光する発光層形成材料を含む液体材料、青色の発色光を発光する発光層形成材料を含む液体材料を、それぞれ対応する画素領域71(区画領域151)に吐出し塗布することによって行う。なお、各色に対応する画素領域71は、これらが規則的な配置となるように予め決められている。
このようにして各色の発光層形成材料を含む液体材料114bを吐出し塗布したならば、液体材料114b中の溶媒を蒸発させる。この工程により、図10(b)に示すように正孔注入層140A上に固形の発光層140Bが形成され、これにより正孔注入層140Aと発光層140Bとからなる有機機能層140が得られる。ここで、発光層形成材料を含む液体材料114b中の溶媒の蒸発については、必要に応じて加熱あるいは減圧等の処理を行うが、発光層形成材料は通常乾燥性が良好で速乾性であることから、特にこのような処理を行うことなく、したがって各色の発光層形成材料を順次吐出塗布することにより、その塗布順に各色の発光層140Bを形成することができる。また先に記載のように、液体材料114bが配される正孔注入層140Aの表面は良好に平坦化されているので、その上に形成される発光層140Bも良好な平坦性を持って形成され、膜厚及び膜質が均一なものとなる。したがって、均一かつ良好な発光特性、信頼性を備えた発光層となる。
その後、図10(c)に示すように、基板Pの表面全体に、あるいはストライプ状に、Al、Mg、Li、Ca等の単体材料やMg:Ag(10:1合金)の合金材料からなる共通電極(陰極)154を形成すれば、先の実施形態に係る有機EL装置100を製造することができる。この共通電極154は、上記材料を用いて単層で形成してもよく、2層あるいは3層構造のものを用いてもよい。積層構造を採用する場合の具体例としては、LiO(0.5nm程度)/Alや、LiF(0.5nm程度)/Al、MgF/Al等が挙げられる。またトップエミッション構造の場合には、共通電極154はITO等からなる透光性導電膜や、先に挙げた金属材料からなる膜を薄層化して透過性を付与したものにより形成される。
なお、本実施形態において有機EL素子200は画素電極141と正孔注入層140Aと発光層140Bと共通電極154とを含むものである。このような有機EL素子の製造方法において、正孔注入層140Aや発光層140Bといった有機EL素子の構成要素となる薄膜は液滴吐出装置IJにより製造されるので、正孔注入層140Aや発光層140Bの形成材料となる液体材料のロスは少なく、正孔注入層140Aや発光層140Bは比較的安価にしかも安定して形成される。
上記共通電極154を形成したならば、係る共通電極154を覆う封止手段(図示略)を設けることが好ましい。係る封止手段としては、封止缶等のケーシングや、ガスバリア性を有する、例えば無機化合物からなる封止膜を用いることができる。前記封止膜には、例えば珪素化合物、すなわち珪素窒化物や珪素酸窒化物、珪素酸化物等を好適に用いることができ、珪素化合物以外でも、アルミナや酸化タンタル等が適用できる。
以上説明したように、本発明に係る製造方法によれば、基板P上に、上面に溝部150b及び凸条部150aを具備した第2隔壁層150を立設し、係る第2隔壁層150を含む隔壁部材に囲まれた区画領域151内に液体材料を配して有機EL素子200を形成するので、区画領域に供給された液体材料は隣接する区画領域側へ溢れることなく同領域内で乾燥、固化され、その結果、画素間での有機機能層140の層厚のばらつきを効果的に減少させることができる。特に発光層140Bを形成するに際しては、液体材料114bが隣接する区画領域に流入するのを防止できることから、異なる色種の発光層形成材料が混ざり合うのを効果的に防止でき、鮮やかな発色の有機EL素子を得られるようになっている。
また、撥液性の第2隔壁層150と画素電極141との間に親液性の第1隔壁層149を設けているので、画素電極141上で液体材料を均一に濡れ広がらせ、均一な膜厚にて乾燥固化することができる。またこれにより均一な膜厚の発光層140Bが得られる。したがって画素領域71内で均一な発光特性を得ることができ、また膜厚が均一であることから電極間の短絡も生じ難く、さらには画素間での膜厚のばらつきが小さいことから輝度の均一性にも優れた有機EL素子200を製造することができる。
(カラーフィルタ)
次に、本発明に係るカラーフィルタの構造及び製造方法につき、図11及び図12を参照して説明する。本実施形態のカラーフィルタは、そのフィルタ層(着色部)が液相法を用いて形成されたものとなっている。
[カラーフィルタの構造]
図11(a)は、カラーフィルタの製造に供されるカラーフィルタ基板の構造を示す断面図である。この図に示すカラーフィルタ基板は、光透過性を有する支持基板Pと、支持基板P上に形成された第1隔壁層149と、この第1隔壁層149上に形成された第2隔壁層150とを備えており、第1隔壁層149と第2隔壁層150とを積層してなる隔壁部材によって基板上を複数の画素領域に区画してなるものである。また本実施形態の場合、第1隔壁層149は遮光性材料により形成され、当該カラーフィルタのいわゆるブラックマトリクスとしても機能するものである。
なお、上記画素領域は、所定パターンの被吐出部118R、被吐出部118G及び被吐出部118Bを含んで構成されている。被吐出部118Rは、赤の波長域の光線のみを通過させるフィルタ層(着色部)が形成される領域であり、被吐出部118Gは、緑の波長域の光線のみを通過させるフィルタ層が形成される領域であり、被吐出部118Bは、青の波長域の光線のみを通過させるフィルタ層が形成される領域である。
第1隔壁層149及び第2隔壁層150からなる隔壁部材は、本発明に係る隔壁構造体を構成し得るものであり、上層側の第2隔壁層150には、その上面に図11(a)の紙面に略垂直に延びる溝部150bが形成されており、溝部150bの幅方向両側には、基板Pの鉛直上方へ突出された2本の凸条部150aが形成されている。
図11(b)は、本実施形態のカラーフィルタ基板の平面構造を示す図である。支持基板Pは、XY平面に平行な面に配置されている。そして、同基板上に第2隔壁層150が平面視略格子状を成して形成されており、第2隔壁層150上には、その延在領域に沿って平面視略格子状に溝部150bが延在している。したがって、第2隔壁層150の溝部150b及び凸条部150aは、第2隔壁層150で区画された区画領域(被吐出部118)を囲んで配置されている。
また、画素領域は、長辺と短辺とで構成される多角形であり、画素領域の長手方向がX軸に対応し、短手方向がY軸に対応している。なお、X軸方向及びY軸方向は互いに直交する。支持基板P上に形成された複数の被吐出部118R、被吐出部118G及び被吐出部118Bは、マトリクス状に周期的に配列されている。具体的には、被吐出部118R、被吐出部118G及び被吐出部118BがそれぞれX軸方向に沿って一列に配置され、さらに、Y軸方向に一定間隔をおいてこの順番で周期的に配置されている。このときの被吐出部118R同士の間隔はY軸方向に沿った一定の間隔LRYである。被吐出部118G及び被吐出部118Bについても同様にY軸方向に沿った一定の間隔LRY、LBYをおいて配置されている。
[カラーフィルタの製造方法]
次に、本実施の形態のカラーフィルタの製造方法の一例について説明する。
まず、図12(a)に示すように、支持基板P上に黒色樹脂からなる第1隔壁層(ブラックマトリクス)149を形成する。具体的には、支持基板Pの前面に、スピンコート法等により、カーボン粒子等を含有する黒色顔料、アクリル系等の樹脂のモノマー、重合開始材を主成分としたネガ型のレジストを塗布した後、レジストを仮焼成する。次に、第1隔壁層149のパターンが形成されたフォトマスクを用いて所定の位置のレジストを露光する。露光されたレジストは、モノマーの重合反応が進行して、溶剤に不溶な樹脂となる。最後に、レジストの現像を行うことにより、露光されて不要となった部分のみが残存し、所定のパターンの第1隔壁層149を形成することができる。
また、クロム等の金属や金属化合物からなる所定のパターンの第1隔壁層149を用いる場合には、例えば、支持基板Pの全面にクロム等の金属や金属化合物をスパッタリング法等により成膜した後、フォトリソグラフィ法により所定のパターンを形成することにより、所定のパターンの第1隔壁層149を形成することができる。
次に、上記方法によって形成された第1隔壁層149上に第2隔壁層150を形成する。第2隔壁層150は、スピンコート法等により、支持基板Pの全面に感光性を有する第2隔壁層150用のレジストを塗布し、黒色樹脂からなる第1隔壁層149を形成した場合と同様の方法により、露光、現像し、所定のパターンの第2隔壁層150を形成する。これらの第2隔壁層150に囲まれる基板P上の領域が本実施形態における区画領域を成し、着色部を形成するための液体材料を充填されるべき被吐出部118となる。また本実施形態の場合、露光、現像処理後のポストベーク処理により、第2隔壁層150の上面に溝部150bが形成されており、この溝部150bの幅方向両側にそれぞれ凸条部150a、150aが形成されたものとなっている。ポストベーク条件は、例えば200℃、30分間である。
以上の工程により、被吐出部118に対して任意の色種のフィルタ層を形成することでカラーフィルタを構成できるカラーフィルタ基板が得られる。
次に、液滴吐出装置IJを用いてカラーフィルタを形成する。
図12(a)は、カラーフィルタ基板に形成されている被吐出部118に分散媒117を吐出している工程を示す図である。図に示すように、まず、液滴吐出装置IJに搭載されている液滴吐出ヘッド20の底面を支持基板Pと対向する位置に配する。そして、キャリッジを支持基板Pに対して相対移動させながら、液滴吐出ヘッド20のノズル81から支持基板P上の画素領域に対して分散媒117を吐出する。このときに、被吐出部118のX軸方向と液滴吐出ヘッド20のノズル81とが略平行になるように設定し、このノズル81が目的の被吐出部118の上方に到達したときに順次、ノズル81から分散媒117を吐出する。
このような動作をY軸方向に配置されている全ての被吐出部118に対して行い、分散媒117を配置する。Y軸方向の走査が終了すると、制御装置CONTは、液滴吐出ヘッド20をX軸方向に相対移動させ、分散媒117を配置済みの被吐出部118…とX軸方向にて隣接する被吐出部118…に対向する状態で再びY軸方向の走査を開始し、まだ分散媒117が吐出されていない全ての被吐出部118…に対して、上述したような方法を繰り返すことにより分散媒117を吐出配置する。
図12(b)は、分散媒の吐出工程後に、機能材料を吐出する工程を示す図である。図に示すように、液滴吐出ヘッド20から、各色のフィルタ層を形成するための着色部用液体材料116R、116G、116Bを、それぞれ対応する被吐出部118R、118G、118Bに対して吐出配置する。本実施形態に係るカラーフィルタ基板では、第2隔壁層150の上面に溝部150bが形成されるとともに、同面の被吐出部118に臨む位置に、凸条部150aが形成されているので、着色部用液体材料116R、116G、116Bは、それぞれの被吐出部118において、第2隔壁層150の凸条部150aにて良好に保持され、第2隔壁層150を乗り越えて他の被吐出部118に流入するのを効果的に防止できるようになっている。
次に、乾燥工程として、支持基板Pを100℃の乾燥炉に10分間送入して分散媒117を揮発させる。乾燥温度は30℃〜200℃の範囲であれば良く、乾燥時間は2分程度、あるいはそれ以上行えば良い。
図8(c)は、着色部用液体材料を吐出した後の乾燥工程を示す図である。この図に示すように、被吐出部118R、118G及び118Bに形成した着色部を150℃〜270℃程度に加熱するなどして本焼成(本硬化)することにより、所定のパターンのフィルタ層(着色部)172R、172G、172Bを備えたカラーフィルタを形成する。
本実施の形態によれば、第2隔壁層150の上面に形成されている凸条部150aによって画素領域に充填された着色部用液体材料が良好に保持されることで、第2隔壁層150を乗り越えて他の画素領域に流入しないようになっているので、異なる色種の着色部用液体材料同士が混ざり合うのを効果的に防止でき、所望の色度を得られ、かつ色の均一性にも優れたカラーフィルタを製造することができる。
また本実施形態では、着色部用液体材料の吐出配置に先立って分散媒117を基板上の画素領域への配置がなされる。この分散媒117は、着色部用液体材料、ないし着色部用液体材料と分散媒との混合液に比して粘度が低いため、基板との接触角が低く、基板上の画素領域の全体に濡れ広がる。そして、この分散媒17が吐出された直後の基板上の画素領域に、分散媒117に分散又は溶解させた着色部用液体材料を吐出するようになっているので、着色部用液体材料を基板上の画素領域の全体に濡れ広がらせることができ、均一な膜を形成することができる。なお、この分散媒117は、基板上の画素領域全てに吐出配置してもよいが、基板の縁端部に配された画素領域のみに吐出配置することもできる。この場合、基板の縁端部において溶媒の蒸気圧が低くなることによる乾燥速度の上昇を抑え、乾燥ムラの発生を防止することができる。
[カラーフィルタを備えた電気光学装置]
上記のように形成したカラーフィルタは、電気光学装置のカラー表示手段として好適に用いることができる。そこで、電気光学装置の一例である液晶表示装置の概略構成につき、図13及び図14を用いて説明する。なお本明細書では、液晶表示装置の各構成部材における液晶層側を内側と呼ぶことにする。
図13は液晶表示装置の分解斜視図であり、図14は図13のD−D線における側面断面図である。図13に示すように、液晶表示装置200は、第1の基板170及び第2の上基板180により液晶層102を挟持して構成されている。この液晶層102にはネマチック液晶等が採用され、液晶表示装置200の動作モードとしてツイステッドネマチック(TN)モードが採用されている。なお上記以外の液晶材料を採用することも可能であり、また上記以外の動作モードを採用することも可能である。なお以下には、スイッチング素子としてTFD素子を用いたアクティブマトリクス型の液晶表示装置を例にして説明するが、これ以外のアクティブマトリクス型の液晶表示装置やパッシブマトリクス型の液晶表示装置に本発明を適用することも可能である。
図13に示すように、液晶表示装置200では、ガラス等の透明材料からなる第1の基板170及び第2の基板180が対向配置されている。第2の基板180の内側には、複数のデータ線181が形成されている。そのデータ線181の側方には、ITO等の透明導電性材料からなる複数の画素電極182が、マトリクス状に配置されている。なお、各画素電極182の形成領域により画素領域が構成されている。この画素電極182は、TFD素子183を介して各データ線181に接続されている。このTFD素子183は、基板表面に形成されたTaを主成分とする第1導電膜と、その第1導電膜の表面に形成されたタンタル酸化物を主成分とする絶縁膜と、その絶縁膜の表面に形成されたCrを主成分とする第2導電膜とによって構成されている(いわゆるMIM構造)。そして、第1導電膜がデータ線181に接続され、第2導電膜が画素電極182に接続されている。これによりTFD素子183は、画素電極182への通電を制御するスイッチング素子として機能する。
一方、第1の基板170の内側には、上記のようにカラーフィルタ172が形成されている。カラーフィルタ172は、平面視略矩形状の着色部172R、172G、172Bを周期的に配列した構成を具備している。各着色部172R、172G、172Bは、それぞれ異なる色光のみを透過する顔料等によって構成され、各画素領域に対応してマトリクス状に配置されている。また、隣接する画素領域からの光洩れを防止するため、各着色部の周縁部には遮光膜177が形成されている。この遮光膜177は、光吸収性を有する黒色の金属クロム等により、額縁状に形成されている。さらに、カラーフィルタ172及び遮光膜177を覆うように、透明な絶縁膜179が形成されている。
絶縁膜179上には、複数の走査線が形成されている。この走査線は、ITO等の透明導電材料によって略帯状に形成され、第2の基板180のデータ線181と交差する方向に延在している。そして走査線は、その延在方向に配列された着色部172R、172G、172Bを覆うように形成され、対向電極として機能するようになっている。そして、走査線に走査信号が供給され、データ線181にデータ信号が供給されると、対向する画素電極182及び対向電極186により、液晶層に電界が印加されるようになっている。
また、図13に示すように、画素電極182及び対向電極186を覆って配向膜174、184が形成されている。この配向膜174、184は、電界無印加時における液晶分子の配向状態を制御するものであり、ポリイミド等の有機高分子材料によって構成され、その表面にラビング処理が施されている。これにより電界無印加時には、配向膜174、184の表面付近における液晶分子が、その長軸方向をラビング処理方向に一致させて、配向膜174,184と略平行に配向されるようになっている。なお、配向膜174の表面付近における液晶分子の配向方向と、配向膜184の表面付近における液晶分子の配向方向とが、所定角度だけずれるように、各配向膜174、184に対してラビング処理が施されている。これにより、液晶層102を構成する液晶分子は、電圧無印加状態において液晶層102の厚さ方向に沿ってらせん状に初期配向する。
また、両基板170,180は、熱硬化型や紫外線硬化型などの接着剤からなるシール材103によってそれらの周縁部で接合されている。そして、両基板170、180とシール材103とによって囲まれた空間に、液晶層102が封止されている。なお、液晶層102の厚さ(セルギャップ)は、両基板の間に配置されたスペーサ粒子105によって規制されている。一方、第1の基板170及び第2の基板180の外側には、偏光板(不図示)が配置されている。各偏光板は、相互の偏光軸(透過軸)が所定角度だけずれた状態で配置されている。また入射側偏光板の外側には、バックライト(不図示)が配置されている。
そして、バックライトから照射された光は、入射側偏光板の偏光軸に沿った直線偏光に変換されて、第1の基板170から液晶層102に入射する。この直線偏光は、電界無印加状態の液晶層102を透過する過程で、液晶分子のねじれ方向に沿って所定角度だけ旋回し、出射側偏光板を透過する。これにより、電界無印加時には白表示が行われる(ノーマリーホワイトモード)。一方、液晶層102に電界を印加すると、電界方向に沿って配向膜174,184と垂直に液晶分子が再配向する。この場合、液晶層102に入射した直線偏光は旋回しないので、出射側偏光板を透過しない。これにより、電界無印加時には黒表示が行われる。なお、印加する電界の強さによって階調表示を行うことも可能である。
上記構成を具備した液晶表示装置200は、本発明に係るカラーフィルタ172を備えているので、表示領域の全面に渡って均一な表示特性のカラー表示を得られ、高画質の表示が可能なものとなっている。
(回路基板)
次に、本発明に係る回路基板の実施形態について、製造方法を主体に図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、基板上に導電膜配線を液相法を用いて形成するに際して、本発明に係る隔壁構造体を利用する方法に関する。
本実施形態の回路基板の製造方法は、配線パターン用のインク(配線パターン形成用液体材料)を基板上に塗布して配置することで配線用の導電パターンを形成するものであり、隔壁形成工程、残渣処理工程、撥液化処理工程、材料配置工程及び中間乾燥工程、焼成工程を含んで構成される。
以下、各工程毎に詳細に説明する。
<隔壁形成工程>
本実施形態における隔壁部材は、本発明に係る隔壁構造体を成すものであり、材料配置工程において基板上に塗布される液体材料の仕切部材として機能するものである。例えば、リソグラフィ法を使用して隔壁層を形成する場合には、スピンコート、スプレーコート、ロールコート、ダイコート、ディップコート等所定の方法で、図15(a)に示すように、基板P上に隔壁層の高さに合わせてその形成材料である感光性樹脂を塗布し、樹脂膜150Aを形成する。そして、隔壁層の平面形状(配線パターン)に合わせてマスクを施し、樹脂膜150Aを露光・現像することにより、図15(b)に示すような隔壁層150が基板P上に立設される。そして、この隔壁層150により区画された基板P上の領域が区画領域152となっている。
隔壁部材150は、先の実施形態と同様に、その上面に図15紙面垂直方向に延びる溝部150bと凸条部150aとが形成されたものとなっている。この隔壁部材150の形成方法については、図7に示した製造工程のうち、第2樹脂膜形成工程ST3以降の工程に準じて行うことができ、ここではその詳細な説明は省略する。
なお、基板Pに対しては、有機材料塗布前に表面改質処理として、HMDS処理((CH)SiNHSi(CH)を蒸気状にして塗布する方法)が施されているが、図15ではその図示を省略している。
また、先の実施形態にて示したように、下層(第1隔壁層)が無機物又は有機物で液体材料に対し親液性を示す材料からなり、上層(第2隔壁層)が有機物で撥液性を示す材料で構成された積層構造の隔壁部材を形成してもよい。この場合には、図7に示した工程ST1〜ST4に準ずる工程によってこの隔壁部材を形成することができる。
<残渣処理工程(親液化処理工程)>
隔壁形成工程により配線パターンを形成すべき領域(区画領域152)の周辺を囲む(例えば15μm幅)の隔壁部材150…を形成したならば、次に、隔壁部材の形成時に除去した樹脂膜(有機物)の残渣を除去するために、基板Pに対して残渣処理を施す。
残渣処理としては、紫外線を照射することにより残渣処理を行う紫外線(UV)照射処理や大気雰囲気中で酸素を処理ガスとするOプラズマ処理等を選択できるが、ここではOプラズマ処理を実施する。
具体的には、基板Pに対しプラズマ放電電極からプラズマ状態の酸素を照射することで行う。Oプラズマ処理の条件としては、例えばプラズマパワーが50〜1000W、酸素ガス流量が50〜100ml/min、プラズマ放電電極に対する基板Pの板搬送速度が0.5〜10mm/sec、基板温度が70〜90℃とされる。
なお、基板Pがガラス基板の場合、その表面は配線パターン形成材料に対して親液性を有しているが、本実施の形態のように残渣処理のためにOプラズマ処理や紫外線照射処理を施すことで、基板表面の親液性を高めることができる。
<撥液化処理工程>
続いて、隔壁部材150に対し撥液化処理を行い、その表面に撥液性を付与する。
撥液化処理としては、例えば大気雰囲気中でテトラフルオロメタンを処理ガスとするプラズマ処理法(CFプラズマ処理法)を採用することができる。CFプラズマ処理の条件は、例えばプラズマパワーが50〜1000W、4フッ化メタンガス流量が50〜100ml/min、プラズマ放電電極に対する基体搬送速度が0.5〜1020mm/sec、基体温度が70〜90℃とされる。
なお、処理ガスとしては、テトラフルオロメタン(四フッ化炭素)に限らず、他のフルオロカーボン系のガスを用いることもできる。
このような撥液化処理を行うことにより、隔壁部材150にはこれを構成する樹脂中にフッ素基が導入され、高い撥液性が付与される。なお、上述した親液化処理としてのOプラズマ処理は、隔壁部材150の形成前に行ってもよいが、Oプラズマによる前処理がなされると、隔壁部材150がフッ素化(撥液化)されやすいという性質があるため、隔壁部材150を形成した後にOプラズマ処理することが好ましい。
なお、隔壁部材150に対する撥液化処理により、先に親液化処理した基板P表面に対し多少は影響があるものの、特に基板Pがガラス等からなる場合には、撥液化処理によるフッ素基の導入が起こりにくいため、基板Pはその親液性、すなわち濡れ性が実質上損なわれることはない。
また、隔壁部材150については、撥液性を有する材料(例えばフッ素基を有する樹脂材料)によって形成することにより、その撥液処理を省略するようにしてもよい。
<材料配置工程及び中間乾燥工程>
次に、先の図5に示した液滴吐出装置IJによる液滴吐出法を用いて、配線パターン形成材料を、基板P上の隔壁部材150によって区画された領域、すなわち区画領域152に配置する。なお、本例では、配線パターン用液体材料として、導電性微粒子を溶媒(分散媒)に分散させた分散液を吐出する。ここで用いられる導電性微粒子は、金、銀、銅、パラジウム、ニッケルの何れかを含有する金属微粒子の他、導電性ポリマーや超電導体の微粒子などが用いられる。
材料配置工程では、図15(c)に示すように、液体吐出ヘッド20から液体材料Lを液滴にして吐出し、その液滴を基板P上の区画領域152に配置する。液滴吐出の条件としては、例えば、液体材料重量7ng/dot、液体材料速度(吐出速度)5〜7m/secで行う。このとき、隔壁部材150によって液体材料の配置領域が仕切られていることから、その液体材料Lが基板P上で拡がることが阻止される。また、隔壁部材150には撥液性が付与されているので、液体材料Lは隔壁部材150に弾かれて区画領域152内に滑り込み、図15(c)に示すように隔壁部材150内に良好に保持される。また基板Pの表面は親液性を付与されているため、隔壁部材150間に流れ込んだ液体材料Lがその区画された領域内で均一に広がる。
そして、本実施形態では、隔壁部材150の上面に凸条部150aが形成されているので、隔壁部材150間に供給された液体材料Lは凸条部150aの頂部にて良好に保持され、隔壁部材150を乗り越えて外側に流れ出にくくなっている。したがって、図示の如く2本の配線を3つの隔壁部材150により囲んで形成する場合にも、各配線パターン毎に正確な線幅、膜厚に形成することが可能である。
<中間乾燥工程>
基板Pに液体材料を配置した後、分散媒の除去及び膜厚確保のため、必要に応じて乾燥処理をする。乾燥処理は、例えば基板Pを加熱する通常のホットプレート、電気炉などによる処理の他、ランプアニールによって行うこともできる。
ランプアニールに使用する光の光源としては、特に限定されないが、赤外線ランプ、キセノンランプ、YAGレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザー、XeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArClなどのエキシマレーザーなどを光源として使用することができる。これらの光源は一般には、出力10W以上5000W以下の範囲のものが用いられるが、本実施形態では100W以上1000W以下の範囲で十分である。
<焼成工程>
吐出工程後の乾燥膜は、微粒子間の電気的接触をよくするために、分散媒を完全に除去する必要がある。また、導電性微粒子の表面に分散性を向上させるために有機物などのコーティング材がコーティングされている場合には、このコーティング材も除去する必要がある。そのため、吐出工程後の基板には熱処理及び/又は光処理が施される。
熱処理及び/又は光処理は通常大気中で行なわれるが、必要に応じて、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気中で行なうこともできる。熱処理及び/又は光処理の処理温度は、分散媒の沸点(蒸気圧)、雰囲気ガスの種類や圧力、微粒子の分散性や酸化性等の熱的挙動、コーティング材の有無や量、基材の耐熱温度などを考慮して適宜決定される。
例えば、有機物からなるコーティング材を除去するためには、約300℃で焼成することが必要である。この場合、例えば、隔壁部材150及び液体材料の乾燥膜の上に低融点ガラスなどを予め塗布してもよい。また、プラスチックなどの基板を使用する場合には、室温以上100℃以下で行なうことが好ましい。
以上の工程により吐出工程後の乾燥膜は微粒子間の電気的接触が確保され、図15(d)に示すように、導電性膜(パターンF)に変換される。これにより、基板P上に配線パターンが形成された回路基板を得ることができる。
以上説明したように、本例の回路基板の製造方法では、配線パターンの形成領域たる区画領域152を区画する隔壁部材150が、上記の如く溝部150b及び凸条部150aを具備したものとなっているので、区画領域152内に配置された液体材料は、同領域に良好に保持され、その結果意図した線幅、及び膜厚を有する配線パターンを容易に得られるようになっている。特に、微細な配線を高密度に形成するために、図示の如く3つの隔壁部材150により2本の区画領域152を形成している場合には、本発明に係る隔壁構造体を用いることで隣接する区画領域152,152間に液体材料が流入するのを効果的に防止できるので、極めて有効である。
<回路基板の構成例>
[カード媒体]
次に、上記実施形態で製造できる回路基板を、アンテナ回路に適用した例について説明する。図16は、非接触型カード媒体を示しており、非接触型カード媒体400は、カード基体402とカードカバー418から成る筐体内に、半導体集積回路チップ408とアンテナ回路412を内蔵し、図示されない外部の送受信機と電磁波または静電容量結合の少なくとも一方により電力供給あるいはデータ授受の少なくとも一方を行うようになっている。
本実施形態では、カード基体412上にアンテナ回路412を形成してなる回路基板が、上記実施形態の製造方法に基づいて作製されている。そのため、上記アンテナ回路412の微細化や細線化が図られ、高い品質や性能を得られるようになっている。
[電気光学装置用基板、電子部品実装用基板]
図17は、上記実施形態の製造方法で得られる回路基板を適用できる電気光学装置を示す図である。図17に示す液晶表示装置(電気光学装置)901は、大別するとカラーの液晶パネル(電気光学パネル)902と、液晶パネル902に接続される回路基板903とを備えている。また、必要に応じて、バックライト等の照明装置、その他の付帯機器が液晶パネル902に付設されている。
液晶パネル902は、シール材904によって接着された一対の基板905a及び基板905bを有し、これらの基板905bと基板905bとの間に形成される間隙、いわゆるセルギャップには液晶が封入されている。これらの基板905a及び基板905bは、一般には透光性材料、例えばガラス、合成樹脂等によって形成されている。基板905a及び基板905bの外側表面には偏光板906a及び偏光板906bが貼り付けられている。なお、図24においては、偏光板906bの図示を省略している。
また、基板905aの内側表面には電極907aが形成され、基板905bの内側表面には電極907bが形成されている。これらの電極907a、907bはストライプ状または文字、数字、その他の適宜のパターン状に形成されている。また、これらの電極907a、907bは、例えばITO等の透光性材料によって形成されている。基板905aは、基板905bに対して張り出した張り出し部を有し、この張り出し部に複数の端子908が形成されている。これらの端子908は、基板905a上に電極907aを形成するときに電極907aと同時に形成される。従って、これらの端子908は、例えばITOによって形成されている。これらの端子908には、電極907aから一体に延びるもの、及び導電材(不図示)を介して電極907bに接続されるものが含まれる。
回路基板903には、配線基板909上の所定位置に液晶駆動用ICとしての半導体素子900が実装されている。なお、図示は省略しているが、半導体素子900が実装される部位以外の部位の所定位置には抵抗、コンデンサ、その他のチップ部品が実装されていてもよい。配線基板909は、例えばポリイミド等の可撓性を有するベース基板911の上に形成されたCu等の金属膜をパターニングして配線パターン912を形成することによって製造されている。
本実施形態では、電極907a、907bが形成された基板905a、905b、及び配線パターン912を備えた回路基板903が、上記回路基板の製造方法を適用して形成されている。したがって、本実施形態の液晶表示装置によれば、これらの電極や配線が正確な平面寸法、及び膜厚を有して形成されているので、均一な電気特性を得られ、高画質の表示を得ることができる。
なお、前述した例はパッシブ型の液晶パネルであるが、アクティブマトリクス型の液晶パネルとしてもよい。すなわち、一方の基板に薄膜トランジスタ(TFT)を形成し、各TFTに対し画素電極を形成する。また、各TFTに電気的に接続する配線(ゲート配線、ソース配線)を上記のようにインクジェット技術を用いて形成することができる。一方、対向する基板には対向電極等が形成されている。このようなアクティブマトリクス型の液晶パネルにも本発明を適用することができる。
(デバイス)
図18は、本発明に係るデバイスの一例を示す斜視図である。この図に示す携帯電話1300は、上述した電気光学装置(有機EL装置100、液晶表示装置200等)を小サイズの表示部1301として備え、複数の操作ボタン1302、受話口1303、及び送話口1304を備えて構成されている。
上述した電気光学装置は、上記携帯電話に限らず、電子ブック、パーソナルコンピュータ、ディジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等々の画像表示手段として好適に用いることができ、いずれの場合にも表示品質に優れた電子機器を提供することができる。
実施形態に係る有機EL装置の回路構成図。 同、画素領域を示す平面構成図。 同、部分断面構成図。 同、複数の画素領域を示す平面構成図。 液滴吐出装置の斜視構成図。 液滴吐出ヘッドを示す図。 実施形態に係る有機EL装置の製造工程を示すフロー図。 同、製造工程を示す断面工程図。 同、製造工程を示す断面工程図。 同、製造工程を示す断面工程図。 実施形態に係るカラーフィルタ基板を示す図。 同、製造工程を示す断面工程図。 カラーフィルタを具備した液晶表示装置を示す図。 同、部分断面構成図。 回路基板の製造工程を示す断面工程図。 回路基板の一適用例たるカード媒体を示す図。 同、液晶表示装置を示す図。 デバイスの一例たる携帯電話機を示す斜視構成図。
符号の説明
100 有機EL装置(電気光学装置)、149 第1隔壁層(隔壁部材;隔壁構造体)、150 第2隔壁層(隔壁部材;隔壁構造体)、150a 凸条部、150b 溝部、151,152 区画領域、114a,114b 液体材料、140 有機機能層(機能膜)、200 有機EL素子(発光素子)、172R,172G,172B 着色部、172 カラーフィルタ、F 配線パターン

Claims (11)

  1. 基体上に立設してなる隔壁部材を具備し、該隔壁部材によって前記基体上に配された液体材料を該基体上の所定位置に保持する隔壁構造体であって、
    前記隔壁部材の上面に、該隔壁構造体の延在方向に形成されてなる溝部を備えていることを特徴とする隔壁構造体。
  2. 前記隔壁部材の上面に、互いに概略平行に形成されてなる複数の前記溝部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の隔壁構造体。
  3. 前記溝部が、前記隔壁部材により区画されてなる基体上の領域を平面的に取り囲むように形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の隔壁構造体。
  4. 基体上に発光素子を配列してなる電気光学装置であって、
    前記発光素子が、前記基体上に立設された隔壁部材に囲まれてなる区画領域内に形成されており、
    前記隔壁部材の上面に、前記発光素子の一の配列方向に沿って溝部が形成されていることを特徴とする電気光学装置。
  5. 前記溝部が、前記区画領域を取り囲んで形成されていることを特徴とする請求項4に記載の電気光学装置。
  6. 前記発光素子が、有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする請求項4または5に記載の電気光学装置。
  7. 基体と、該基体上にパターン形成されてなる導電膜とを具備した電気光学装置であって、
    前記導電部材が、前記基体上に立設された隔壁部材に囲まれてなる区画領域内に形成されており、
    前記隔壁部材の上面に、前記導電膜のパターンに沿って溝部が形成されていることを特徴とする電気光学装置。
  8. 基体上に複数の着色部を配列してなるカラーフィルタであって、
    前記着色部が、前記基体上に立設された隔壁部材に囲まれてなる区画領域内に形成されており、
    前記隔壁部材の上面に、前記着色部の一の配列方向に沿って溝部が形成されていることを特徴とするカラーフィルタ。
  9. 前記溝部が、前記区画領域を取り囲んで形成されていることを特徴とする請求項8に記載のカラーフィルタ。
  10. 基体上に所定平面形状の導電膜がパターン形成されてなる回路基板であって、
    前記導電膜が、前記基体上に立設された隔壁部材に囲まれてなる区画領域内に形成されており、
    前記隔壁部材の上面に、前記導電膜のパターンに沿って溝部が形成されていることを特徴とする回路基板。
  11. 請求項4から7のいずれか1項に記載の電気光学装置、請求項8または9に記載のカラーフィルタ、ないし請求項10に記載の回路基板のいずれかを具備したことを特徴とするデバイス。
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