JP2006031245A - ディジタル画像の輪郭追跡による画像処理方法並びに画像処理装置 - Google Patents

ディジタル画像の輪郭追跡による画像処理方法並びに画像処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】複数の色あるいは輝度を含む図形や画像でも精度の高い図形や画像を少ないデータ容量で、かつ、高速に処理できるディジタル画像の輪郭追跡手法を提案する。
【解決手段】画像処理装置によりディジタル画像の輪郭を追跡し画像領域を把握して輪郭情報を生成する画像処理方法であって、入力されたディジタル画像について、出発点の進行方向両端の画素の色と同じ画素の境界辺を追跡する輪郭追跡を行って輪郭線分を抽出する輪郭線分処理を行い、抽出された前記輪郭線分に関して分岐処理及び合成処理を行い、該輪郭線分の結合で決まる輪郭を形成して前記ディジタル画像の輪郭情報を生成する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、画像処理方法並びに画像処理装置に係り、特に、計算機で処理されるディジタル画像処理に不可欠な図形や画像(以下、特に区別する必要のないときは単に画像)の領域の輪郭を高精度に把握し、画像の拡大、縮小に対しても隣接図形や画像との関係を適切に保つ、ディジタル画像の輪郭追跡による画像処理方法並びに画像処理装置に関する。
一般に、計算機(マイクロコンピュータやディジタルデータ処理機器を含む)の上で、図形や画像はディジタルデータとして扱われる。このような計算機上で扱われるディジタル画像を処理する場合、図形や色領域の認識などに対して、図形や画像領域の輪郭を把握することが行われる。しかし、隣接する図形や画像領域の輪郭を把握する際、輪郭の把握の方法によっては、重複して輪郭線を把握し、図形や画像領域の拡大、縮小において適切な関係を保つことができない場合がある。
また、画像データは大きく分けてラスタ形式と関数形式に分けられる。ラスタ形式の画像は、格子状に規則正しく並んだ画素と呼ばれる色のついた点の集合として表される。これは、現代のCRTディスプレイやLCDなどに表示するのに適した形式である。しかし、拡大・縮小・回転・平行移動などのアフイン変換操作を行うと画質が劣化してしまう問題がある。これに対し、関数形式は画像の中の図形や画像領域の特徴を関数によって表すため、単純な図形や画像領域を表現するのに適しており、アフイン変換によって画質が劣化しないと言う性質を持っている。
ところが、関数形式で表した方が都合がよい図形や画像でも、スキャナやディジタルカメラなどの装置を通じて計算機に取り込んだ場合ラスタ形式になってしまうことが多い。従来、このようなラスタ形式の図形や画像は手動で適切な関数を割り当てて関数形式に変換する作業を行うが、熟練が必要であり多くの手間もかかる。そのため、これらのラスタ形式の図形や画像を自動的に関数形式に変換する必要が生じる。ラスタ形式の図形や画像を自動的に関数形式の図形や画像に変換する手法は従来でも提案されているが、後で述べるようにカラー図形や画像を扱う際に色の境界を適切に扱えない場合がある。
一方、特許文献1には、画像の領域の境界線を求める領域境界線抽出機構により、領域境界線を表現するための座標を設定するものにおいて、画素の4隅を座標点とすることが開示されている。
なお、前記した画像データから抽出された輪郭線データから関数形式の図形や画像に変換する手法については、例えば特許文献2に開示されている。
特開平10−145590号公報 特開2001−52187号公報
図10に、従来技術の関数形式により図形の輪郭を把握する一例を示す。
従来の手法では、2値画像に対する輪郭追跡手法を多色画像に適用するため、図10のように図形や画像中のある色や輝度が連続して現れる領域(以降、色領域と記す)だけに注目し、その領域の中を図、外を地とみなし、2値画像として輪郭追跡を行っていた。
しかし、この従来手法では、2つの色領域が接する場所で輪郭線が2重に取られてしまうことに起因する2つの問題がある。1つは、図11のように、輪郭線の関数近似を行うと双方の領域の輪郭線の近似誤差によって領域が重なったり隙間が開いたりしてしまう場合がある事である。2つめは、同じ輪郭線が2回処理されることで、処理時間と格納効率が低下する事である。
一方、前記特許文献1に記載の方式は、カラー/濃淡画像において、濃淡差を利用して領域抽出を行い、その領域の境界を関数近似により圧縮、復号化を行っている。濃淡差は、所定の差分以内の画素を同一領域内とし、差分が所定の値よりも大きいところを領域の境界としている。従って、特許文献1記載の発明では、同一の領域と判断する濃淡差を入力し、画像を画素単位に水平方向(ラスタースキャン)に走査し、その濃淡差が所定値よりも大きいところを境界点として記憶しておき、全画像について境界点を抽出する。その後、境界点を繋ぐことで領域を決定する。
この特許文献1記載の発明のように、画像を水平方向に走査し、その濃淡差が所定の値よりも大きいところを境界点とする方法では、境界線が水平方向の走査線と並行の場合にはこれを検出できない可能性がある。つまり、水平方向の画素の濃淡差のみを判定するため水平方向の濃淡差が無いと、境界線を検出できない。また、境界点を見出してもその境界点の繋がり方向が判らないため、別途、境界線の追跡が必要となる。
さらに、特許文献1の発明では、2つ以上の領域が接合する場合、その接合点を分割点と定義しているが、この分割点の抽出は、境界点を2*2画素(4画素で構成される)の窓関数で走査し、窓内の4画素の色(濃淡)が3色以上となったところを分割点としている。この方式では、分割点の抽出に窓関数を用いて走査する必要があるため、処理に時間を要する。
本発明は、従来技術の問題点を改善し、特に複数の色あるいは輝度を含む図形や画像でも精度の高い図形や画像を少ないデータ容量で、かつ、高速に処理できるディジタル画像の輪郭追跡手法を提案することを目的とする。
上記従来技術の問題点を解決するため、本発明は、以下のような特徴を有する。
本発明の1つの特徴は、画像処理装置によりディジタル画像の輪郭を追跡し画像領域を把握して輪郭情報を生成するものにおいて、入力されたディジタル画像について、出発点の進行方向両端の画素の色と同じ関係の画素(あるいは色差が所定の値以上の画素)の境界辺を追跡する輪郭追跡を行って輪郭線分を抽出する輪郭線分処理を行い、抽出された前記輪郭線分に関して分岐処理及び合成処理を行い、該輪郭線分の結合で決まる輪郭を形成して前記ディジタル画像の輪郭情報を生成することにある。
本発明の他の特徴は、対象とする前記画像を含む領域の任意の点から、水平方向あるいは垂直方向に走査し、前記画像の左右あるいは上下の色が異なる画素点あるいは色差(階調差)が所定の値以上ある画素点を見出し、その点を出発点として輪郭線分の追跡を行い、3色以上の画素の会合点を探索し、該会合点を前記輪郭線分の端点の初期値とすることにある。
本発明の他の特徴は、輪郭線を3色以上あるいは3種以上の輝度が会合する点で輪郭の追跡を一度打ち切り、2色あるいは2輝度の境界ごとに輪郭線を取ることで、隣接する2つの領域が輪郭線データを共有できるようにすることにある。
本発明によれば、色差(濃淡差)を領域認識の基準として、与えられたディジタル画像について先ず画素間を追跡して輪郭線を取り、隣接する2つの領域が輪郭線データを共有できるようにし、この輪郭線データに基づいて輪郭情報を生成する。輪郭線データが共有されることにより、異なる関数で近似されることも無くなり、拡大、縮小、移動などにおいて図形が離れるなどの従来手法の課題を解決し、データの処理効率・格納効率の低下を防止出来る。
以下、本発明の実施例を説明する。まず、本発明の基本的な構成を図1及び図2で説明する。
本発明では、入力されたカラー画像データを2次元のビットマップに配列する。一方、領域認識の基準となる色差(濃淡差)を設定する。そして、このビットマップ配列されたディジタル画像データに関して、その色差(濃淡差)が隣り合う画素間で同じ所を境界として追跡し、追跡の結果、閉領域が出来れば、その領域を一つの領域として認識する。輪郭線を3色以上あるいは3種以上の輝度が会合する点で輪郭の追跡を一度打ち切り、2色あるいは2輝度の境界ごとに輪郭線を取る。このような処理を繰り返すことで、図1のように、隣接する2つの領域が輪郭線データを共有できるようにする。また、図2のように、2領域の輪郭辺を共有するために、画像の輪郭線データは各画素の角を輪郭の座標値(X=1,Y=0)、(X=1,Y=1)、(X=2,Y=1)、−−、(X=m,Y=n)として用いる。
本発明の理解を深めるために、より具体的な実施例を用いて説明する。
図3は、本発明の対象となる図形処理や画像処理を行う画像処理装置の一構成例である。処理装置は、例えばCPUやメモリ、入出力手段などを有するコンピュータで構成され、メモリ上にプログラムをロードして実行させることにより、図形や画像処理に対する処理を行う機能を備えている。図3にこの処理装置の機能をブロック的に表示する。
図3において、100は画像データの入力部であり、画像データ(カラー図形、カラー写真や絵、カラー文書等)をイメージスキャナーにより読み取りディジタル情報として処理装置へ読み込む機能や、既にディジタル情報として記録媒体や他の処理装置等に保持されている情報を直接あるいは通信ネットワークを介して処理装置へ読み込む機能を有している。150は処理装置へ読み込まれたディジタル画像データを示す。
200は輪郭追跡処理部であり、画素の辺の追跡処理、すなわち読み込まれたデータ150の図形や画像の色領域の輪郭追跡を行う。250はその処理結果である輪郭情報を示す。この輪郭情報250は、例えば、画像の輪郭に関し、X座標、Y座標ごとに輪郭に沿った座標値を表すデータ(X座標=1,1,2,−,m、Y座標=0、1,1、−,n)を含んでいる。
300は輪郭情報250に基づき、輪郭すなわち色領域の境界を関数近似により関数化する関数近似処理部、350はその処理結果として得られる図形や画像領域の輪郭を表す関数形式およびパラメータである。また、400は、上記関数形式およびパラメータ350により図形や画像を生成する画像処理部であり、その処理結果として処理図形や処理画像450を生成する。500は、表示装置やプリンタなどの出力部である。出力部500には、処理図形や処理画像を記録媒体に記録しあるいはネットワークを介して他の処理装置へ送信する手段も含まれる。処理図形や処理画像450の段階で記録媒体に記録して、利用することも考えられる。
なお、関数近似処理部300や画像処理部400の処理、すなわち画像データから抽出された輪郭線データを関数形式の図形や画像に変換処理については、例えば前記特許文献2に開示された手法を用いることができる。よって、以下では、これらの処理についての詳細説明は省略する。
図4Aは、図3の輪郭追跡処理部200の具体的構成例を示す。210は画像データの入力部であり、内部に図形データ、画像データを格納するメモリを含む。入力部210は、読み込んだデータを2次元のビットマップに配列する機能を持っており、画像データは2次元のビットマップに配列される。220は輪郭線追跡部であり、前記データ入力部のメモリの内容を読み出して、画素単位での輪郭線分の追跡を実施する。すなわち、ビットマップ配列された画像データに関して、その色差(濃淡差)が隣り合う画素間で所定値以上の所を境界として追跡する。230は輪郭線分結合分岐処理部であり、輪郭線分に分岐点があるときの処理および輪郭線分の結合処理を行う。240は領域輪郭形成部であり、輪郭線分の結合で決まる図形や画像を囲む領域の輪郭を形成し、輪郭情報250を生成し、出力する。なお、輪郭追跡処理部200の機能は、上記210〜240で示した区分に限定されるものではなく、全体として1つあるいは複数のプログラムにより、実現される。例えば輪郭線追跡部220と輪郭線分結合分岐処理部230は、連続した一連の輪郭線追跡処理を行う単一のプログラムで構成してもよい。これらのプログラムは、記録媒体に保持されているものをコンピュータで読み取り、あるいは、コンピュータの記憶装置に保持されているものをメモリに読み出して実行される。
図4Bは、図4Aの構成をより具体的に示した機能ブロック図であり、データ入力部210は、AD変換器211、画像データ入力部212、画像データ2次元配列部213、画像データメモリ格納機能214を有している。216は画像メモリである。218は、画像の領域認識の基準となる画素の色の差あるいは輝度の差を与える濃淡差設定部である。例えばR,G,B各8ビット256階調、合計約16万色余の色表現の範囲内で識別すべき色差(濃淡差)を領域認識の基準として適宜設定する。具体的には、自然画像のR,G,B各色信号に対して、境界と認識される輝度階調差、例えば50階調差あるいは100階調差を与える。これにより、例えば、隣り合う画素の階調レベル差が設定された階調差以上のとき、その画素間が境界であると判断できる。輝度信号(Y信号)に対しても同様である。
なお、本発明では、輪郭線を挟む画素の色関係、色差、階調差、輝度差を含めて、単に色差として説明する。なお、本発明で扱う画像としては、2値画像、多色画像、自然画像があり、多色画像においてはグラディエーション画像も含む。このような画像に対しての色差は色階調の差として現れることは言うまでもない。また、画像信号として、RGB信号のほか、輝度信号 (Y信号)と色差信号(Cr,Cb信号)の組合せなどがあるが、本発明においては、これら全ての信号のレベルの差を色差として扱っている。
輪郭線追跡部220は、画像データ読出し部221と、輪郭線分抽出部222とを有している。なお、これらの各機能部は、1つあるいは複数のプログラムにより、実現される。
輪郭線分処理では、画素の色が3色、換言すると濃淡差設定部で設定された色差(濃淡差)が3つ以上で会合する点を輪郭線分の端点とする。また、輪郭追跡処理の出発点の進行方向両端の画素の色または色差と同じ関係の画素、あるいは所定の値以上の関係の画素の境界辺を追跡する。この輪郭線分の端点の初期値は、対象とする画像を含む領域の任意の点から、水平方向あるいは垂直方向に走査し、画像の左右あるいは上下の色が異なる画素点を見出し、その点を出発点として、輪郭線分の追跡を行う。そして、3色以上の画素の会合点を探索し、該会合点を線分の端点の初期値とする。
輪郭線追跡部220はさらに、輪郭線分の端点で、分岐方向を未追跡方向と追跡済み方向として個々に登録するメモリ領域を有する。そして、このメモリ領域の未追跡方向を参照してその一つを輪郭追跡の開始端点として輪郭追跡を実施し、追跡完了時に追跡済み方向として前記メモリ領域に登録する。あるいは、新規な分岐点を見出したとき未追跡方向として前記メモリ領域に登録する。
図5は、多色画像の場合を示し、図4Bの輪郭線分抽出部222における輪郭追跡のアルゴリズム及び画素パターンを示す。輪郭追跡の原則は、出発点の画素における左右の画素の色あるいは輝度を記憶しておき(S501)、左右の画素の色あるいは輝度が同じであれば(画素パターン514)、その画素の境界を追跡する(S507、S508)。進行方向の左右の色あるいは輝度が前記記憶している出発点の色あるいは輝度と異なる場合、すなわち3色以上あるいは3種以上の輝度が会合する点の場合、一旦輪郭追跡を終了する(S502)。進行方向の左右の色あるいは輝度が出発点の左の画素の色あるいは輝度と同じであれば(画素パターン512)右方向に進行方向を転換し(S505、S506)、進行方向の左右の色あるいは輝度が出発点の右画素の色あるいは輝度と同じであれば(画素パターン510)左に進行方向を転換して(S503、S504)、常に進行方向の左右の画素の色あるいは輝度が出発点の記憶されている色あるいは輝度と同じとなるように輪郭追跡を行う。このようにして追跡した輪郭線の出発点と終了点および線分番号あるいは線分名称を線分リストとしてメモリに登録しておく。
このようにして登録された線分は、追跡した画素の座標を用いて多項式関数で近似される(図3、300)。
図6は、図5の輪郭追跡のアルゴリズム、すなわちある点に繋がる全ての輪郭線を追跡し、3色以上あるいは3種以上の模様が会合する点を分岐点として、新たにその点から輪郭追跡を行い、領域の輪郭線分を形成する方法の具体例を示す。この例は、橙領域(中央部)を左上側の緑領域と右側及び下側の青領域とで囲んだ3色の矩形領域を多数持つ画像データを対象としている。なお、色差(濃淡差)が3つ以上ある画像データを含むものであれば、同様に処理される。この例では、図6(a)の黒丸点(1,1)を出発点とし、最初の進行方向を上方向とする。そして、出発点の進行方向両端の画素の色と同じ関係の画素の境界辺、即ち、右側が橙、左側が緑の関係にある画素の境界辺を追跡し、図6の(d)に至る。以下、ステップごとに詳細に説明する。
(1) 図6の(a)に示すように、座標(1,1)の点から上向きに追跡を開始したとする。{初期位置=(1,1)、初期方向=上}
(2) (1,1)を現在位置とし、上を進行方向とする。
また、左右前方の色をそれぞれ「左色」「右色」としてメモリに記憶する。
{初期位置=(1,1)、初期方向=上、右色=橙、左色=緑、
現在位置=(1,1)、進行方向=上}
(3) 現在位置を輪郭線に追加し、進行方向が上なので画像に多重追跡防止印を付ける。(これらの情報をメモリに記憶する。メモリには、未追跡方向、追跡済み方向の記号を羅列する。)
(4) 図6の(b)に示すように、現在位置を進行方向に1画素進める。
{初期位置=(1,1)、初期方向=上、右色=橙、左色=緑、
現在位置=(1,2)、進行方向=上}
(5) 現在位置から進行方向を見て左右前方の色をそれぞれ、「左次色」「右次色」とする。
{初期位置=(1,1)、初期方向=上、右色=橙、左色=緑、
現在位置=(1,2)、進行方向=上、右次色=緑、左次色=緑}
(6) 図5のパターン512を参照して、図6の(c)に示すように、次の進行方向を右にする。
{初期位置=(1,1)、初期方向=上、右色=橙、左色=緑、
現在位置=(1,2)、進行方向=右、右次色=緑、左次色=緑}
(7) 現在の進行方向は初期方向に一致しないので、(3)に戻る。
(3−2) 現在位置を輪郭線に追加する。(この情報をメモリに記憶する。)
(4−2) 図6の(d)に示すように、現在位置を進行方向に1画素進める。
{初期位置=(1,1)、初期方向=上、右色=橙、左色=緑、
現在位置=(2,2)、進行方向=右、右次色=緑、左次色=緑}
(5−2) 現在位置から進行方向を見て左右前方の色をそれぞれ、「左次色」「右次色」とする。
{初期位置=(1,1)、初期方向=上、右色=橙、左色=緑、
現在位置=(2,2)、進行方向=右、右次色=青、左次色=青}
(6−2) 図5のパターンを参照すると、右次色も左次色も右色でも左色でもないので追跡を停止し、(9)へ飛ぶ。
(9) 輪郭の分岐を検出したので分岐の方向(左、上、下)と分岐の数(3)を返して終了する。特に、今追跡した経路への分岐を先頭にして、時計回りに全ての分岐を列挙する。
本発明によれば、濃淡差を持つ画素間を先ず追跡し、境界とその繋がりを認識している。境界が水平方向あるいは垂直方向であっても関係なく正確にこの境界が見出すことが可能である。また、方向を判断しながら追跡しているため、確実に境界を見出すことが可能となる。
また、本発明では、輪郭線の追跡過程で常に周囲の4画素の濃淡差を判断しながら追跡を進行させている。従って、窓関数が必要なく、窓関数による走査も必要がない。そのため、分割点の抽出と境界の抽出が同時に行われ、処理速度の向上が図られる。
次に、図7は、輪郭線分結合分岐処理部230の処理、すなわち、画素の境界を追跡して得られた輪郭線分に、分岐点があるときの処理および輪郭線分の結合処理を行う方法の具体例を示す図である。
まず、領域の外周の適当な1点から輪郭を追跡する(S701)。
領域が一周して閉じているか判断し(S702)、閉じていれば終了する(S703)。閉じていない場合、終端と見つかった分岐を分岐リストに追加する(S704)。分岐リストが空になるまで以下を繰り返す(S705)。
分岐リストの1つの要素を取り出して追跡する(S706)。終端が既に分岐リストにあれば(S707)、分岐リストから削除する(S708)。終端が分岐リストになければ(S709)、新たに発見された分岐を分岐リストに追加する(S710)。
図7の処理手順をより具体的に説明するために、以下、図8Aの例により図形の輪郭追跡について述べる。なお、図8Aは、後で述べる図9の領域輪郭形成処理の手順を示す図8Bと共に、図形の輪郭追跡処理から領域輪郭形成処理間での処理を、連続した一連の処理として説明する。また、この例は、青と赤の2色の領域及び白色の背景を持つ3色の画像データを対象としている。
(1)画像を走査し、画素の色が左右で異なる点を見つける。(図8Aの(a)参照)
(2)見つけた点から輪郭の追跡を行う。
(3)分岐数が0でないので次に進む。
分岐数が0となるのは他の領域の輪郭と接していない独立した領域の輪郭線を追跡した場合である。
(4)末端の分岐(図8Aの(b)参照)をメモリ中の「未追跡分岐リスト」に、登録する(図7のステップ704に相当)。
{未追跡分岐リスト={A,B,C}}
(5)未追跡分岐リストから分岐Aを取り出して輪郭追跡をする(図7のステップ706に相当)。
{未追跡分岐リスト={B,C}}
(6)追跡の開始点Aと終了点Dをメモリ中の「追跡済み分岐集合」に登録する。
{未追跡分岐リスト={B,C}、追跡済み分岐集合={A,D}}
(7)追跡の終了点Dは未追跡分岐リストにないので、発見された新しい分岐E,Fを、未追跡分岐リストに追加する(図8Aの(c)参照)、(図7のステップ709に相当)。
{未追跡分岐リスト={B,C,E,F}、追跡済み分岐集合={A,D}}
(8)未追跡分岐リストは空ではないので、(5)に戻る。
(5)未追跡分岐リストからBを取り出して輪郭追跡をする。(図8Aの(d)参照)
{未追跡分岐リスト={C,E,F}、追跡済み分岐集合={A,D}}
(6)追跡の開始点Bと終了点Eを追跡済み分岐集合に登録する。
{未追跡分岐リスト={C,E,F}、追跡済み分岐集合={A,D,B,E}}
(7)追跡の終了点Eは未追跡分岐リストに有るのでリストから削除する。
{未追跡分岐リスト={C,F}、追跡済み分岐集合={A,D,B,E}}
(8)未追跡分岐リストは空ではないので(5)に戻る。
(5)未追跡分岐リストからCを取り出して輪郭追跡をする。(図8Aの(e)参照)
{未追跡分岐リスト={F}、追跡済み分岐集合={A,D,B,E}}
(6)追跡の開始点Cと終了点Fを追跡済み分岐集合に登録する。(図8Aの(f)参照)
{未追跡分岐リスト={F}、追跡済み分岐集合={A,D,B,E,C,F}}
(7)追跡の終了点Fは未追跡分岐リストに有るのでリストから削除する。
{未追跡分岐リスト={}、追跡済み分岐集合={A,D,B,E,C,F}}
(8)未追跡分岐リストが空なので次に進む。
次に、図9及び図8Bにより、領域輪郭形成部240の処理、すなわち上記輪郭線分結合分岐処理の結果を受けて、領域の輪郭を形成し輪郭情報250を生成する処理の手順を説明する。
まず、図9において、領域輪郭形成処理の手順を説明する。
最初に、全輪郭線分への順方向と逆方向のポインタのリストを作る(S901)。次に、以下の処理を、線分リストが空になるので反復する(S902)。
線分リストの1つの要素を取り出して注目する(S903)。注目線分が最初に注目した線分に戻るまで、以下の(a)、(b)を反復する(S904)。
(a)注目している線分を線分リストから削除する(S905)。
(b)注目線分の終端の分岐で時計回りに最も近い線分に注目する(S906)。
注目した順に線分を繋いで閉じた輪郭を作る(S907)。
次に、上記図9の処理手順を、図8Bを用いてより具体的に説明する。
(9)新規の「領域X」を定義する。(図8Bの(a)参照)
{領域X={}、追跡済み分岐集合={A,B,C,D,E,F}}
(10)追跡済み分岐集合の中からAを取り出し、注目する。
{領域X={}、追跡済み分岐集合={B,C,D,E,F}、注目=A}
(11)注目している分岐Aから伸びる輪郭線分ADを領域Xに追加する。
{領域X={AD}、追跡済み分岐集合={B,C,D,E,F}、注目=A}
(12)注目している分岐Aから追跡した輪郭の終端の分岐で、反時計回りに最も近い分岐Eに注目する。
{領域X={AD}、追跡済み分岐集合={B,C,D,F}、注目=E}
(13)注目している分岐Eが(10)で注目したAと同一ではないので、(11)に戻る。
(11)注目している分岐Eから伸びる輪郭線分EBを領域Xに追加する。
{領域X={AD,EB}、追跡済み分岐集合={B,C,D,F}、注目=E}
(12)注目している分岐Eから追跡した輪郭の終端の分岐で、反時計回りに最も近い分岐Aに注目する。
{領域X={AD,EB}、追跡済み分岐集合={B,C,D,F}、注目=A}
(13)注目している分岐Aが(10)で注目したものと同一なので次に進む。
(14)領域Xを保存し、追跡済み分岐リストが空ではないので、(9)に戻る。
(9)新規の「領域Y」を定義する。(図8Bの(b)参照)
{領域Y={}、追跡済み分岐集合={B,C,D,F}}
(10)追跡済み分岐集合から分岐Bを取り出し、注目する。(図8Bの(c)参照)
{領域Y={}、追跡済み分岐集合={C,D,F}、注目=B}
(11)注目している分岐Bから伸びる輪郭線分BEを領域Yに追加する。
{領域Y={BE}、追跡済み分岐集合={C,D,F}、注目=B}
(12)注目している分岐Bから追跡した輪郭の終端の分岐で、反時計回りに最も近い分岐Fに注目する。
{領域Y={BE}、追跡済み分岐集合={C,D}、注目=F}
(13)注目している分岐Fが(10)で注目したBと同一ではないので、(11)に戻る。
(11)注目している分岐Fから伸びる輪郭線分FCを領域Yに追加する。
{領域Y={BE,FC}、追跡済み分岐集合={C,D}、注目=F}
(12)注目している分岐Fから追跡した輪郭の終端の分岐で、反時計回りに最も近い分岐Bに注目する。(図8Bの(d)参照)
{領域Y={BE,FC}、追跡済み分岐集合={C,D}、注目=B}
(13)注目している分岐Bが(10)で注目したものと同一なので次に進む。
(14)領域Yを保存し、追跡済み分岐リストが空でないので、(9)に戻る。
(9)新規の「領域Z」を定義する。
{領域Z={}、追跡済み分岐集合={C,D}}
(10)追跡済み分岐集合から分岐Cを取り出し、注目する。
{領域Z={}、追跡済み分岐集合={D}、注目=C}
(11)注目している分岐Cから伸びる輪郭線分CFを領域Zに追加する。(図8Bの(e)参照)
{領域Z={CF}、追跡済み分岐集合={D}、注目=C}
(12)注目している分岐Cから追跡した輪郭の終端の分岐で、反時計回りに最も近い分岐Dに注目する。
{領域Z={CF}、追跡済み分岐集合={}、注目=D}
(13)注目している分岐Dが (10)で注目したCと同一ではないので、(11)に戻る。
(11)注目している分岐Dから伸びる輪郭線分DAを領域Zに追加する。
{領域Z={CF,DA}、追跡済み分岐集合={}、注目=D}
(12)注目している分岐Dから追跡した輪郭の終端の分岐で、反時計回りに最も近い分岐Cに注目する。
(13)注目している分岐Cが(10)注目したものと同一なので次に進む。
(14)領域Zを保存し、追跡済み分岐リストが空なので次に進む。(図8Bの(f)参照)
(15)最初に登録した領域Xは図形の外部を表すので破棄する。
(16) 図7の処理の例(1)に戻る。
(1) 画像を最後まで走査して、追跡していない輪郭線が見付からないため終了する。
以上の方法により、全ての領域は一つの輪郭線で囲まれ、且つ各輪郭線は隣接する領域に共有された線分として扱われる。このようにして生成された輪郭情報250は、その後の処理における図形の拡大、縮小、移動などの処理において、領域が離れることなく、従来手法の課題を完全に解決することができる。
本発明によれば、ディジタル画像について、出発点の進行方向両端の画素の色と同じ関係の画素あるいは色差が所定値以上の画素の境界辺を追跡する輪郭追跡を行って輪郭線分を抽出する。そして、輪郭線を3色以上が会合する点で輪郭の追跡を一度打ち切り、2色の境界ごとに輪郭線を取ることで、隣接する2つの領域が輪郭線データを共有できるようにする。輪郭線データが共有されることにより、異なる関数で近似されることも無くなり、データの処理効率・格納効率の低下を防止出来る。
また、本発明では、輪郭線分の始端、終端、分岐点を端点として輪郭線分を抽出し、輪郭線分の接続状態を分岐点を経由しながら追跡し、閉ループを形成するか否かを判断して領域を抽出する。最外周の輪郭線は内周の領域の輪郭線と共通となる場合があり、その場合は輪郭線の内周側を採用する処理を行う。これにより、各領域は一本の輪郭線で囲まれた部分のみとなり、2重に囲まれることはない。
また、本発明によれば、濃淡差を持つ画素間を先ず追跡し、特許文献1で言う境界点とその繋がりを認識している。本発明によれば、濃淡差を持つ画素間を追跡するので、境界線が水平方向あるいは垂直方向であっても関係なく正確にこの境界線が見出すことが可能である。しかも方向を判断しながら追跡しているため、確実に境界を見出すことが可能となる。
また、本発明では、分割点の抽出と境界の抽出が同時に行われ、処理速度の向上が図られる。
本発明に基く図形の輪郭追跡例の説明図である。 本発明の基本となる座標点の取り方の説明図である。 本発明の対象となる図形処理や画像処理を行う画像処理装置の一構成例を示す図である。 図3の輪郭追跡処理部の具体的構成例を示す図である。 図4Aの構成をより具体的に示した機能ブロック図である。 図4Bの輪郭線分抽出部における輪郭追跡のアルゴリズム及び画素パターンを示す図である。 図5の輪郭追跡の手順を示す図である。 本発明の一実施例における輪郭線分結合分岐処理部の処理手順を示す図である。 図7の輪郭追跡処理の手順をより具体的に説明する図である。 図9の輪郭追跡処理の手順をより具体的に説明する図である。 本発明の一実施例における領域輪郭形成処理の手順を説明する図である。 従来技術における図形の輪郭追跡の説明図である。 従来技術における課題の一例を示す図である。
符号の説明
100…画像データの入力部、150…図形データや画像データ、200…輪郭追跡処理部、210…入力部、211…AD変換器、212…画像データ入力部、213…画像データ2次元配列部、214…画像データメモリ格納機能、216…画像メモリ、218…濃淡差設定部、220…輪郭線追跡部、230…輪郭線分結合分岐処理部、240…領域輪郭形成部、250…輪郭情報、300…関数近似処理部、350…関数形式およびパラメータ、400…画像処理部、450…図形や画像、500…出力部。

Claims (14)

  1. 画像処理装置によりディジタル画像の輪郭を追跡し画像領域を把握して輪郭情報を生成する画像処理方法であって、
    入力されたディジタル画像について、出発点の進行方向両端の画素の色差と同じ画素の境界辺を追跡する輪郭追跡を行って輪郭線分を抽出する輪郭線分処理を行い、
    抽出された前記輪郭線分に関して分岐処理及び合成処理を行い、該輪郭線分の結合で決まる輪郭を形成して前記ディジタル画像の輪郭情報を生成する、
    ことを特徴とする画像処理方法。
  2. 請求項1において、前記輪郭線分処理において、前記画素の色が3色以上で会合する点を前記輪郭線分の端点とする、ことを特徴とする画像処理方法。
  3. 請求項1または2において、対象とする前記画像を含む領域の任意の点から、水平方向あるいは垂直方向に走査し、前記画像の左右あるいは上下の色差が異なる画素点を見出し、その点を出発点として輪郭線分の追跡を行い、3色以上の画素の会合点を探索し、該会合点を前記輪郭線分の端点の初期値とすることを特徴とする画像処理方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれかにおいて、前記分岐処理は、輪郭線分の端点で、分岐方向を未追跡方向と追跡済み方向として個々にメモリ領域に登録し、
    該メモリ領域の未追跡方向を参照してその一つを輪郭追跡の開始端点として輪郭追跡を実施し、
    追跡完了時に追跡済み方向として前記メモリ領域に登録し、
    新規な分岐点を見出したとき未追跡方向として前記メモリ領域に登録することを特徴とする画像処理方法。
  5. 請求項4において、前記輪郭線分合成処理は、追跡済みの輪郭線分を前記メモリ領域から読み出し、
    異なる輪郭線分の同一端点を接合して輪郭の結合を行うことを特徴とする画像処理方法。
  6. 請求項5において、輪郭の合成により閉領域が形成されたとき、その領域を一つの画像領域として前記メモリに登録することを特徴とする画像処理方法。
  7. 請求項1ないし6のいずれかにおいて、与えられた前記画像の領域認識の基準となる画素の色の差あるいは輝度の差に基いて、前記輪郭線分処理を行うことを特徴とする画像処理方法。
  8. 請求項1ないし7のいずれかにおいて、前記輪郭追跡により生成された前記輪郭情報に基づき、画像領域の輪郭を近似して表す関数形式およびパラメータを生成し、該関数形式およびパラメータにより図形もしくは画像を生成することを特徴とする画像処理方法。
  9. 輪郭追跡部によりディジタル画像の輪郭を追跡し画像領域を把握して輪郭情報を生成する画像処理装置であって、
    前記輪郭追跡部は、入力されたディジタル画像について、出発点の進行方向両端の画素の色差と同じ画素の境界辺を追跡して輪郭線分を抽出する輪郭線追跡処理部と、
    抽出された前記輪郭線分に関して分岐処理及び合成処理を行い、該輪郭線分の結合で決まる輪郭を形成して前記ディジタル画像の輪郭情報を生成する領域輪郭形成部、とを備えていることを特徴とする画像処理装置。
  10. 請求項9において、前記輪郭線追跡処理部は、対象とする前記画像を含む領域の任意の点から、水平方向あるいは垂直方向に走査し、前記画像の左右あるいは上下の色が異なる画素点を見出し、その点を出発点として輪郭線分の追跡を行い、3色以上の画素の会合点を探索し、該会合点を前記輪郭線分の端点の初期値とすることを特徴とする画像処理装置。
  11. 請求項9または10において、前記領域輪郭形成部は、分岐処理において、輪郭線分の端点で、分岐方向を未追跡方向と追跡済み方向として個々にメモリ領域に登録し、該メモリ領域の未追跡方向を参照してその一つを輪郭追跡の開始端点として輪郭追跡を実施し、追跡完了時に追跡済み方向として前記メモリ領域に登録し、新規な分岐点を見出したとき未追跡方向として前記メモリ領域に登録する機能を有することを特徴とする画像処理装置。
  12. 請求項9ないし11のいずれかにおいて、前記輪郭追跡により生成された前記輪郭情報に基づき画像領域の輪郭を近似して表す関数形式およびパラメータを生成する関数近似部と、該関数形式およびパラメータにより図形もしくは画像を生成する図形処理部とを備えていることを特徴とする画像処理装置。
  13. コンピュータを備えた画像処理装置において入力されたディジタル画像の輪郭を追跡し画像領域を把握し輪郭情報を生成するためのプログラムであって、
    コンピュータに、
    入力されたディジタル画像について、出発点の進行方向両端の画素の色差と同じ画素の境界辺を追跡する輪郭追跡を行って輪郭線分を抽出する輪郭線分処理を行う機能と、
    抽出された前記輪郭線分に関して分岐処理及び合成処理を行い、該輪郭線分の結合で決まる輪郭を形成して前記ディジタル画像の輪郭情報を生成する機能、とを実現させるためのプログラム。
  14. コンピュータを備えた画像処理装置において入力されたディジタル画像の輪郭を追跡し画像領域を把握し輪郭情報を生成するためのプログラムを保持した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
    コンピュータに、
    入力されたディジタル画像について、出発点の進行方向両端の画素の色差と同じ画素の境界辺を追跡する輪郭追跡を行って輪郭線分を抽出する輪郭線分処理を行う機能と、
    抽出された前記輪郭線分に関して分岐処理及び合成処理を行い、該輪郭線分の結合で決まる輪郭を形成して前記ディジタル画像の輪郭情報を生成する機能、とを実現させるためのプログラムを記録した記録媒体。
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