JP2006029581A - ダイナミックダンパ - Google Patents

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Abstract

【課題】車両における機構や機器の配置の自由度を増加させ、車両レイアウトの選択幅を広げる。
【解決手段】ダイナミックダンパ22は、本体部24と、ドライブシャフト12の直径方向外側に指向して突出した2個の質量部26a、26bと、これら本体部24と質量部26a、26bのそれぞれとを連結して質量部26a、26bより幅狭の連結支持部28a、28bとを有する。このうち、質量部26a、26bには重錘36a、36bが収容されている。これら重錘36a、36bは、W−1.8Ni−1.2Cu、W−3.0Ni−2.0Cu、W−5.0Ni−2.0Fe、W−3.5Ni−1.5Fe等のタングステン合金の粉末や、タングステンの粉末が金属バインダを介して焼結された焼結体からなる。
【選択図】図3

Description

本発明は、回転シャフトの振動を抑制するダイナミックダンパに関する。
近年、自動車車体のノイズ・バイブレーション・ハーシュネス(NVH)対策として、ダンパのニーズが高まりつつある。このような観点から、自動車等のドライブシャフト、プロペラシャフト等の回転シャフトには、例えば、該回転シャフトが回転することに伴って生じる回転アンバランスによる曲げ振動やねじり振動、あるいは該回転シャフトが回転することに伴って生じる振動以外に何らかの外因によって発生する振動等の本来は発生しないことが望ましい振動を抑制するため、ダイナミックダンパが装着されている。
この種のダイナミックダンパは、一般的に、本体部がドライブシャフト等の回転シャフトに圧入され、バンド部材が緊締されることによって、該回転シャフトに位置決め固定されている。また、前記本体部の外周面には、直径方向外側に連結支持部が突出形成されており、この連結支持部を介して環状の質量部が設けられている。なお、本体部、連結支持部及び質量部はゴム製材料からなり、1つの部材として一体的に形成されている。このうち、質量部には、STKM系合金等の鉄系材料からなる重錘が収容されている。
連結支持部は、質量部を弾性的に支持する。そして、前記回転シャフトに振動が発生した際、該連結支持部は、例えば、回転シャフトの直径方向に沿って引張・圧縮するばね機能を営む。これにより振動が緩衝され、その結果、振動が緩衝・抑制される。
このような構造を有するダイナミックダンパにおいては、重錘の質量や引張・圧縮方向に伸縮する連結支持部のばね定数を増減させたりすることによって共振周波数を変化させ、回転シャフトの振動を抑制させている。しかしながら、共振周波数を変化させるべく重錘の質量を増大させるために該重錘の体積を大きくした場合、重錘の寸法を増大させることが必要となる。従って、例えば、ダイナミックダンパ全体が回転シャフトの直径方向外側に指向して大型化するという問題がある。
このような事態が生じると、自動車の車体にダイナミックダンパを収容するための広大なスペースが必要となり、車体側の機構や機器の配置の自由度が制限されてしまう。換言すれば、車両レイアウトが制約され、このために車両の設計自由度が低減してしまう。
そこで、特許文献1に提案されているように、複数個の連結支持部同士の間に薄膜部を設け、回転シャフトに振動が発生した際に該薄膜部がせん断変形を起こすような構造とすることが想起される。この場合、回転シャフトの直径方向に沿うダイナミックダンパの寸法を小さくすることができるとともに、薄膜部の剛性を低くしてダイナミックダンパの特性上無視し得る程度にばね定数を小さくすることができるからである。
また、回転シャフトの直径方向に沿うダイナミックダンパの寸法を小さくするという観点から、特許文献2、3には、重錘を回転シャフトの直径方向内側に配置することによって連結支持部を一層回転シャフトに近接させることが提案されている。これら特許文献2、3に記載されたダイナミックダンパにおいても、連結支持部がせん断変形を起こす。
特開平8−277883号公報 特開平9−89047号公報 特開2001−248683号公報
しかしながら、ダイナミックダンパの連結支持部等がせん断変形を起こす構造とする場合、回転シャフトの直径方向に沿う寸法を小さくすることは可能であるが、長手方向に沿う寸法が大きくなる。従って、特に回転シャフトが短い場合、自動組立を行うことが困難となる。換言すれば、組み付け性が低下する。
さらに、近年における車両のコンパクト化及び省スペース化の進行に伴い、エンジンルームの容積も小さくなりつつある。これに伴い、ダイナミックダンパも小型のものが希求されている。しかしながら、車種が異なる場合、エンジンルームにおけるスペースや、走行機関を構成する機器の寸法・形状が相違することが大半である。従って、自動車車体に搭載される機構や機器の配置、すなわち、いわゆる車両レイアウトの自由度が低減するので、ダイナミックダンパの寸法・形状を、車種に応じて、周辺機構や機器に干渉しないように個々に設定する必要がある。このため、膨大な種類のダイナミックダンパと該ダイナミックダンパの成形型を用意しなければならないので、設備投資が高騰してしまう。
このように、ダイナミックダンパにおいては、回転シャフトの耐久性を低下させることがなく、しかも、異なる車種であっても取付が可能なほどに小型化することが困難であるという不具合が顕在化している。
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、ドライブシャフト等の回転シャフトの耐久性を低下させることがなく、且つ多種類の車種の回転シャフトに取り付け可能であるほどに十分に小型化されたダイナミックダンパを提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明は、回転シャフトの振動を抑制するダイナミックダンパであって、
前記回転シャフトが挿入される貫通孔を有する本体部と、
前記本体部から前記回転シャフトの直径方向外側に指向して突出するとともに重錘を収容した質量部と、
を備え、
前記重錘が、少なくともタングステン又はタングステン合金とバインダとを含有する成形体からなることを特徴とする。なお、本発明において、「成形体」には焼結体が含まれるものとする。
タングステン又はタングステン合金を主成分とする重錘は、比重が著しく大きい。このため、鉄系材料からなる従来技術に係る重錘と同一質量のものを作製する場合、体積を著しく小さくすることができる。
すなわち、重錘を小型化することができるので、ダイナミックダンパ自体の小型化を図ることができ、結局、省スペース化を図ることができる。このため、ダイナミックダンパと周辺の機構や機器とが干渉することを回避することができるので、機構や機器の配置の自由度が増加する。換言すれば、車両レイアウト上の制約が著しく低減され、設計自由度が向上する。
しかも、車両レイアウトの自由度が向上するので、車種に応じてダイナミックダンパの寸法や形状を変更する必要がない。このため、多種類のダイナミックダンパを設計する煩雑さが解消されるとともに、成形型を多種類用意する必要がなくなることに伴って設備投資が低廉化する。
重錘の比重は、9以上であることが好ましい。9よりも小さいと、重錘の周囲にゴム材を射出成形してダイナミックダンパを成形する際に、該重錘に変形が生じる傾向がある。
なお、バインダの好適な例としては、金属バインダが挙げられる。この場合、重錘の比重を14超〜19程度と比較的大きく設定することができる。なお、金属バインダを用いる場合、例えば、重錘を焼結金属で構成すればよい。
又は、高分子バインダであってもよい。この場合、比重は9〜14程度と比較的小さいものの、柔軟であり、このために成形加工等の加工を施すことが容易な重錘を構成することができる。
このようなドライブシャフトにおいては、前記連結支持部が前記質量部に比して幅狭であることが好ましい。このような形状のダイナミックダンパでは、連結支持部が質量部に比して幅狭であるため、該連結支持部に優れた可撓性が発現する。そして、連結支持部を、伸張又は圧縮による引張・圧縮変形、又はせん断変形の少なくともいずれか一方とを生じさせる構成とすることにより、ダイナミックダンパが回転シャフトの長手方向及び直径方向に沿って大型化することを回避することができる。すなわち、この場合においても質量部を小型化することができ、車両レイアウトの自由度を向上させることができる。
ここで、質量部及び連結支持部を複数個設けるようにしてもよい。この場合、重錘同士は、比重が同じ材質であって重量も同一であってもよいし、比重が同じ材質であって重量(体積)が異なっていてもよい。又は、比重が異なる材質であって重量が同じであってもよいし、比重が異なる材質であって重量も異なっていてもよい。
なお、重錘の比重は、例えば、成形体に含まれるバインダの種類を変更することによって容易に調整することができる。
また、ダイナミックダンパは、回転シャフトが回転した際、連結支持部が回転シャフトの直径方向に沿って引張・圧縮変形を起こすものであってもよいし、回転シャフトの円周方向に沿ってせん断変形を起こすものであってもよい。勿論、引張・圧縮変形とせん断変形とを同時に起こすものであってもよい。
ここで、引張・圧縮変形とは、連結支持部が回転シャフトの直径方向に沿って伸張・圧縮する変形のことを指称し、せん断変形とは、回転シャフトの円周方向に沿って、且つ回転シャフトの回転方向とは逆方向に連結支持部が引っ張られる変形のことを指称する。
本発明によれば、タングステン合金又はタングステンを主成分とする重錘を使用するようにしている。このため、小型の重錘を構成することができるので、ダイナミックダンパの質量部近傍の省スペース化を図ることができる。従って、車両レイアウト上の制約が著しく低減され、設計自由度が向上する。これにより、車種に応じてダイナミックダンパの寸法や形状を変更する必要がなくなる。すなわち、多種類のダイナミックダンパを設計する煩雑さが解消される。また、成形型を多種類用意する必要がなくなることに伴って設備投資が低廉化する。
特に、連結支持部を質量部に比して幅狭にし、該連結支持部の引張・圧縮変形及び/又はせん断変形が容易に起こるようにすることが好ましい。
以下、本発明に係るダイナミックダンパにつき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
本実施の形態に係るダイナミックダンパが回転シャフトとしてのドライブシャフトに装着された状態の駆動力伝達機構の一部省略縦断面図を図1に示す。この駆動力伝達機構10は、ドライブシャフト12と、このドライブシャフト12の各端部にそれぞれ連結されたバーフィールド型等速ジョイント14、トリポート型等速ジョイント16とを有し、これらバーフィールド型等速ジョイント14、トリポート型等速ジョイント16には、ゴム製又は樹脂製の継手用ブーツ18、20がそれぞれ装着される。そして、ドライブシャフト12の略中央部には、図示しないバンド部材を介してダイナミックダンパ22が装着されている。
このダイナミックダンパ22は、図2及び図3に示すように、円筒状の本体部24と、ドライブシャフト12の直径方向外側に指向して突出した2個の質量部26a、26bと、これら本体部24と質量部26a、26bのそれぞれとを連結する連結支持部28a、28bとを有し、本体部24、連結支持部28a、28b及び質量部26a、26bは、ゴム製材料からなる1つの部材として一体的に形成されている。
本体部24には貫通孔30が設けられており、ドライブシャフト12は、この貫通孔30に通されている。また、本体部24の側周壁に設けられた環状凹部32には、図示しない前記バンド部材が巻回される。このバンド部材が緊締されることによって、ダイナミックダンパ22がドライブシャフト12の所定位置に位置決め固定される。
連結支持部28a、28bは、本体部24から、ドライブシャフト12の直径方向外側に指向して突出形成されている。これら連結支持部28a、28bは質量部26a、26bに比して幅狭であり、このため、大きな可撓性を示す。連結支持部28a、28bは、この可撓性によって質量部26a、26bを弾性的に支持する。
ドライブシャフト12の側周壁に沿って環状に形成された質量部26a、26bには、それぞれ、環状の空間部34a、34bが形成されている。そして、各空間部34a、34bには、重錘36a、36bが収容されている。勿論、重錘36a、36bは、ドライブシャフト12に振動が生じた際、質量部26a、26bと一体的に変位する。
ここで、この重錘36a、36bは、タングステン合金の粉末が金属バインダを介して焼結された焼結体である。焼結品に代替して、金属射出成形(MIM)法や粉末射出成形(PIM)法によって作製された成形体を使用するようにしてもよい。このように構成された重錘36a、36bは、一般的に14を超え、例えば、17以上の高比重を示す。すなわち、重量が著しく大となる。
タングステン合金の好適な例としては、W−1.8Ni−1.2Cu(比重18.5。なお、元素名の前の数字はすべて重量%であり、以下においても同様である)、W−3.0Ni−2.0Cu(比重17.8)、W−5.0Ni−2.0Fe(比重17.4)、W−3.5Ni−1.5Fe(比重17.6)等が挙げられる。このようなタングステン合金からなる重錘36a、36bの比重は、鉄系材料からなる重錘の2倍を超える。このため、鉄系材料からなる重錘と同質量の重錘36a、36bを構成する場合、体積を1/3〜1/2程度とすることができる。
すなわち、重錘36a、36bの材質としてタングステン合金を選定することにより、鉄系材料からなる従来技術に係る重錘に比して著しく小型化することができる。
本発明の実施の形態に係るダイナミックダンパ22は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。
先ず、ダイナミックダンパ22の本体部24に設けられた貫通孔30にドライブシャフト12を所定の位置まで通した後、本体部24の環状凹部32にバンド部材を巻回・緊締する。これにより、ダイナミックダンパ22がドライブシャフト12に位置決め固定される。
車体に搭載された駆動力伝達機構10においては、上記のようにしてダイナミックダンパ22がドライブシャフト12に装着されている。ここで、本実施の形態においては、上記したように、重錘36a、36b、ひいては質量部26a、26bの体積が著しく小さい。従って、ダイナミックダンパ22が周辺の機構や機器と干渉することを回避することができるので、車両における機構や機器の配置の自由度が増加する。換言すれば、車両レイアウトの選択幅が広がるという利点が得られる。
しかも、ダイナミックダンパ22が様々な車両レイアウトに対応して取り付け可能であるので、ダイナミックダンパ22を取り付ける車種の選択幅が著しく増加する。換言すれば、車種に応じてダイナミックダンパ22の寸法や形状を変更する必要がない。このため、多種類のダイナミックダンパを設計する煩雑さが解消されるとともに、成形型を多種類用意する必要がなくなることに伴って設備投資が低廉化する。
また、重錘36a、36b、ひいては質量部26a、26bが小型化されているので、例えば、1個の質量部26aを設ける場合、上記したようなタングステン合金の成形体からなる重錘36aが収容されたダイナミックダンパ40を示す図4と、STKM系合金の成形体からなる重錘42が収容されたダイナミックダンパ44を示す図5とを対比して諒解されるように、重錘36aにおけるドライブシャフト12の長手方向(矢印X方向)に沿う寸法Lは、重錘42のおよそ1/2とすることができる。
この場合の継手用ブーツ18、20間の距離と、ダイナミックダンパ22の移動可能距離との関係をグラフにして図6に示す。図6において、「組み付け不可能」は継手用ブーツ18、20間の距離がダイナミックダンパ22の長手方向の寸法よりも小さいためにダイナミックダンパ22を取り付けることが不可能な領域、「組み付け不適」は継手用ブーツ18、20間の距離がダイナミックダンパ22をドライブシャフト12に組み付けるために必要な最小寸法が不足して組み付けが困難な領域、「組み付け可能」は継手用ブーツ18、20間の距離がダイナミックダンパ22をドライブシャフト12に組み付けるために十分である領域をそれぞれ示す。なお、各直線の左側であり且つ「組み付け可能」である領域が実際に組み付け可能な寸法関係を示す。
この図6から、質量部26a、26bを小型化することにより、ダイナミックダンパ22の移動可能距離が大きくなること、すなわち、車両レイアウトの自由度が向上することが明らかである。
また、本実施の形態によれば、重錘36a、36b、ひいては質量部26a、26bを小型化することができるので、質量部26a、26bを複数個設けることができる(図2及び図3参照)。この場合、ドライブシャフト12に生じる振動エネルギを効率よく吸収することができ、結局、振動を好適に抑制することができる。
ドライブシャフト12が何らかの要因で振動した際には、重錘36a、36bがそれぞれ収容された質量部26a、26bに、連結支持部28a、28bを介して引張・圧縮変形又はせん断変形の少なくともいずれか一方が起こる。
具体的には、ドライブシャフト12に本来発生しないことが望ましい振動が発生した際、この振動が本体部24から連結支持部28a、28bを介して質量部26a、26bへと伝播する。この際、重錘36a、36bが収容され、車両の不快な振動の周波数に共振振動数を適合させた質量部26a、26bは、連結支持部28a、28bを基点としてドライブシャフト12の直径方向に沿って伸張・縮小する。すなわち、引張・圧縮変形を起こす。
又は、連結支持部28a、28bは、ドライブシャフト12の円周方向に沿う方向であって、且つドライブシャフト12の回転方向とは逆方向に引っ張られるような変形、すなわち、せん断変形を起こしてもよい。勿論、引張・圧縮変形とせん断変形とが同時に生じてもよい。
このような引張・圧縮変形及び又はせん断変形が起こることにより、質量部26a、26b(重錘36a、36b)が共振する。この際、質量部26a、26b同士は略同一形状に形成されているため、略同一の共振周波数を得ることができ、連結支持部28a、28bによってドライブシャフト12に生じる振動エネルギが吸収され、振動が好適に抑制される。
すなわち、可撓性を有する連結支持部28a、28bを介して弾性的に支持された質量部26a、26b(重錘36a、36b)が共振することにより、ドライブシャフト12の振動が抑制される。
そして、連結支持部28a、28bが質量部26a、26bに比して幅狭であるので、該連結支持部28a、28bに優れた可撓性が発現する。このため、前記の引張・圧縮変形及び/又はせん断変形(共振)が確実に起こるので、ドライブシャフト12の振動が確実に抑制される。
このように、本実施の形態によれば、ダイナミックダンパ22の連結支持部28a、28bに、引張・圧縮変形又はせん断変形の少なくともいずれか一方を生じさせることができる。このため、せん断変形のみが生じる場合ではドライブシャフト12の長手方向に沿うダイナミックダンパの寸法が大きくなり、引張・圧縮変形のみが生じる場合ではドライブシャフト12の直径方向に沿うダイナミックダンパの寸法が大きくなるのに対し、本実施の形態に係るダイナミックダンパ22では、ドライブシャフト12の長手方向及び直径方向に沿う寸法の双方を小さく設定することができる。従って、該ダイナミックダンパ22のドライブシャフト12への組み付け性も向上する。
なお、上記した実施の形態では、2個の質量部26a、26bが近接配置されているが(図2及び図3参照)、特にこの位置に限定されるものではなく、図7に示すように、質量部26a、26bを本体部24の両端部に配置するようにしたダイナミックダンパ50であってもよい。この場合、図示しないバンド部材を巻回・緊締するための環状凹部32は、本体部24の中央部に設けるようにすればよい。質量部は、図4に示すように1個であってもよいし、3個以上であってもよい。
また、この実施の形態では、質量部26a、26b、重錘36a、36b及び連結支持部28a、28bを略同一形状とし、前記連結支持部28a、28bと連結支持部28a、28bとによって略同一の共振周波数を得る構成としているが、特にこれに限定されるものではなく、図8に示すように、質量部26a、26b、重錘36a、36b及び連結支持部28a、28bを互いに別形状とすることで連結支持部28a、28bのばね定数を別個に設定することにより、共振周波数の設定範囲を拡大させたダイナミックダンパ52を構成するようにしてもよい。
さらに、本体部24と質量部26a、26bとを連設し、連結支持部28a、28bを設けることなくダイナミックダンパを構成するようにしてもよい。又は、連結支持部28a、28bを質量部26a、26bに含めて設けるようにしてもよい。
さらにまた、互いの比重が異なるように設定した上で、重錘36a、36bを同一寸法としてもよい。比重は、例えば、高分子バインダや金属バインダの種類ないし分量を変更して調整すればよい。
そして、タングステン合金粉末に代替してタングステン粉末を使用し、焼結、MIM法又はPIM法によって作製された成形体を使用するようにしてもよい。
そしてまた、金属バインダに代替して高分子バインダを使用することもできる。この場合、樹脂バインダを使用すれば比重が概ね7〜16の重錘が得られ、ゴムバインダを使用すれば比重が概ね13の重錘が得られる。高分子バインダとタングステン合金粉末との割合を種々変更して重錘36aの比重を変化させた場合の、該重錘36aの剛性との関係の一例を図9に示す。この図9から諒解されるように、比重が大きくなると剛性が大きくなる。
ただし、高分子バインダを使用する場合、比重を9〜14とすることが好ましい。この理由は、以下の通りである。
例えば、ダイナミックダンパ40を設ける場合、図10に示す下型60、上型62からなる金型64のキャビティ66に重錘36aを予め収容し、上型62に設けられた供給通路68a〜68dからゴム材が射出成形される。この際、重錘36aは、キャビティ66を流動するゴム材から押圧される。換言すれば、重錘36aには押圧力が作用する。
この押圧による重錘36aの撓み量を、比重との関係で図11に示す。図11から、比重が9以上の場合には重錘36aの撓みが認められないことが分かる。
一方、比重が14を超えると、高分子バインダの相対的な量が少なくなる。従って、タングステン合金粉末ないしタングステン粉末が十分に結合しなくなることがあり、このために重錘36aの強度が小さくなることがある。
なお、樹脂バインダの好適な例としては、ナイロン樹脂やポリスチレン系熱可塑性エラストマー樹脂が挙げられる。また、この種の重錘36aは、例えば、射出成形法やプレス成形法によって作製することができる。
本実施の形態に係るダイナミックダンパが採用された駆動力伝達機構の一部省略縦断面図である。 図1のダイナミックダンパの概略全体斜視図である。 図1の駆動力伝達機構におけるダイナミックダンパ近傍の拡大断面図である。 質量部が1個設けられたダイナミックダンパの要部拡大縦断面図である。 質量部が1個設けられ、且つ前記質量部にSTKM系合金の成形体からなる重錘が収容されたダイナミックダンパの要部拡大縦断面図である。 図4及び図5に示すダイナミックダンパにおける車両レイアウトの自由度を表すグラフである。 別の実施の形態に係るダイナミックダンパの要部拡大縦断面図である。 また別の実施の形態に係るダイナミックダンパの要部拡大縦断面図である。 重錘の比重と剛性との関係を示すグラフである。 金型を使用してダイナミックダンパを成形加工している状態を示す要部縦断面図である。 重錘の比重と撓み量との関係を示すグラフである。
符号の説明
10…駆動力伝達機構
22、40、44、50、52…ダイナミックダンパ
24…本体部 26a、26b…質量部
28a、28b…連結支持部 30…貫通孔
36a、36b、42…重錘 64…金型
66…キャビティ 68a〜68d…供給通路

Claims (4)

  1. 回転シャフトの振動を抑制するダイナミックダンパであって、
    前記回転シャフトが挿入される貫通孔を有する本体部と、
    前記本体部から前記回転シャフトの直径方向外側に指向して突出するとともに重錘を収容した質量部と、
    を備え、
    前記重錘が、少なくともタングステン又はタングステン合金とバインダとを含有する成形体からなることを特徴とするダイナミックダンパ。
  2. 請求項1記載のダイナミックダンパにおいて、前記重錘の比重が9以上であることを特徴とするダイナミックダンパ。
  3. 請求項2記載のダイナミックダンパにおいて、前記バインダが金属バインダであり、且つ前記重錘の比重が14より大きいことを特徴とするダイナミックダンパ。
  4. 請求項2記載のダイナミックダンパにおいて、前記バインダが高分子バインダであり、且つ前記重錘の比重が14以下であることを特徴とするダイナミックダンパ。

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JP2006349034A (ja) * 2005-06-15 2006-12-28 Honda Motor Co Ltd ダイナミックダンパ

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