JP2006029450A - 弾性継手 - Google Patents

Abstract

【課題】軽量化を図ることができると共に、製造不良の原因となりうる内筒の圧入工程を必要とすることなく、しかもコスト安価に製造することができる弾性継手を提供する。
【解決手段】駆動軸に接続される筒状の駆動側接続部材１３と、従動軸に接続される筒状の従動側接続部材１５とを、それぞれ複数個、同心円上に交互に配列し、隣り合う駆動側接続部材１３と従動側接続部材１５との間に無端の繊維束１７を巻掛け、これらをゴム状弾性材１９に埋設してなる弾性継手１０において、各接続部材１３、１５は、駆動軸又は従動軸に接続される金属製の内筒２１と、繊維束１７を外周面に保持する樹脂製のカラー２３とからなり、カラー２３が内筒２１の外周面に一体成形により設けられたことを特徴とする。
【選択図】 図２

Description

本発明は、主として自動車等において駆動軸と従動軸との間に介設されて、両者間の振動や捩れ等を吸収しながら回転トルクを伝達するのに使用される弾性継手に関するものである。

自動車のドライブシャフトやプロペラシャフト等の動力伝達部分には、駆動軸から従動軸に、回転トルクを伝達するためのカップリングとして、振動減衰機能を持つ弾性継手が使用されている。

この弾性継手としては、下記の特許文献１等にも開示されているように、図４及び図５に示す構造のものが知られている。

かかる弾性継手５０は、駆動軸に接続される円筒状の駆動側接続部材５２と、ドライブシャフト等の従動軸に接続される円筒状の従動側接続部材５４とが、それぞれ複数個、同心円上に交互に配列され、隣合った各接続部材５２、５４の間に合成繊維糸等のコードよりなる無端状の繊維束５６が多層多列に巻き掛けられ、これらの各接続部材５２、５４と繊維束５６の周囲がゴムあるいは合成樹脂等のゴム状弾性材５８で被覆されることにより、正面略多角形や円形の環状をなすように形成されている。

前記駆動側及び従動側の各接続部材５２、５４は、円筒状部の外周面に繊維束５６を保持するフランジ６０を有するカラー６２に強度および耐久性を向上させるための鉄等の金属材よりなる内筒６４が締り嵌め状に圧入されており、該内筒６４を介して駆動軸の軸端部と従動軸の軸端部にそれぞれボルト等の締結手段により固定されて使用される。この使用において、前記駆動側と従動側の接続部材５２、５４間に巻き掛けた繊維束５６により、回転トルクの伝達時のゴム状弾性材５８の過度の歪を抑制して、トルク伝達を確実になすとともに、耐久性を向上させることができる。

このような弾性継手では、軽量化を目的として駆動側及び従動側の各カラー６２をアルミニウムあるいはその合金などのアルミ系金属やその他の金属材より設けているが、車両の燃費向上などの要請から弾性継手５０を更なる軽量化することが要求されている。

また、上記のようなカラー６２を内筒６４に対して締り嵌め状に圧入する際、締め代のために大きな圧入力が必要になり、圧入作業が面倒であることに加え、該圧入時に生じる削り粉がカラー６２の内周面に付着して圧入を阻害して、圧入不良を生じるおそれがある。
特開平７−２４３４５１号公報

本発明は、上記に鑑みてなしたものであり、使用上充分な強度と耐久性を確保しながら軽量化を図ることができ、しかも圧入工程を必要とせずに製造できる弾性継手を提供するものである。

上記の課題を解決する本発明は、駆動軸に接続される筒状の駆動側接続部材と、従動軸に接続される筒状の従動側接続部材とを、それぞれ複数個、同心円上に交互に配列し、隣り合う駆動側接続部材と従動側接続部材との間に無端の繊維束を巻掛け、これらをゴム状弾性材に埋設してなる弾性継手において、各接続部材は、駆動軸又は従動軸に接続される金属製の内筒と、前記繊維束を外周面に保持する樹脂製のカラーとからなり、前記カラーが前記内筒の外周面に一体成形により設けられたことを特徴とする。

本発明の弾性継手によれば、カラーを樹脂で構成することにより、従来の金属材で構成したものに比べ軽量化を図ることができる。また、樹脂製のカラーは内筒の外周面に一体成形されるため、圧入工程を必要とすることなくカラーと内筒を一体化することができ、しかも、カラーの成形および内筒との一体化が単一の工程によってなされるため、工数を削減して低コスト化を図ることができる。

本発明の弾性継手において、前記内筒の外周面に、前記内筒と前記カラーとの軸方向のズレを規制する規制部が設けられてもよい。このような規制部を内筒の外周面に設けることで、カラーと内筒との位置ズレや抜けを防止して、使用上充分な強度と耐久性を確保することができる。

さらに、本発明の弾性継手では、前記カラーをガラス繊維を含有するナイロン樹脂によって設けることが好ましい。このようなガラス繊維を含有するナイロン樹脂を用いることにより、ツバ状に突出したフランジの剛性を充分に確保することができる。

本発明の弾性継手によれば、軽量化を図ることができると共に、製造不良の原因となりうる内筒の圧入工程を必要とすることなく、しかもコスト安価に製造することができる。

以下、本発明の実施形態について図面に基づき詳細に説明する。

図１は本発明の一実施形態に係る弾性継手１０の正面図であり、図２は図１の断面図、図３は接続部材１３（１５）の縦断面図である。

本実施形態の弾性継手１０は、自動車のドライブシャフトなど駆動軸と従動軸との連結部材に介装されて、駆動側接続部材１３に駆動軸が取り付けられる一方、従動側接続部材１５に従動軸が取り付けられることにより、振動を吸収しながら駆動軸から従動軸へ回転トルクを伝達するためのカップリングである。

このような、弾性継手１０は、円筒状の駆動側接続部材１３および従動側接続部材１５が、それぞれ３個ずつ同心円上に等間隔をなして交互に配列されており、後述のようにゴムあるいは合成樹脂などよりなるゴム状弾性材１９に埋設されてなる。

駆動側接続部材１３と従動側接続部材１５は、ともに同一の構造であって、円筒状に形成された鉄などの金属材からなる内筒２１と、樹脂製のカラー２３とからなる。詳細には、内筒２１の外周面には、軸方向略中央部に径外方向へ突出する突部２１ａが設けられ、この突部２１ａを含む外周面の略全体を被覆するようカラー２３が周設されている。カラー２３の外周面からは、ツバ状のフランジ２３ａが複数突設して巻き掛けられる繊維束１７を所定の位置および巻き掛け状態に収納保持できるようになっている。

突部２１ａは、内筒２１とカラー２３を係合させて軸方向のズレを規制する規制部であり、内筒２１の外周面に全周にわたって突出成形されてもよく、また、周方向に複数の突部が断続的に設けられてもよい。このような規制部としては、突部２１ａ以外に、内筒２１の外周面に施したローレット加工面、あるいは内筒２１の外周面から内周側へ陥没する凹部が挙げられるが、内筒２１の厚みを薄くして内筒２１の座屈強度を低下させることがないことから、本実施形態のような突部２１ａまたはローレット加工面であることが好ましい。

このような駆動側接続部材１３および従動側接続部材１５は、溶融樹脂の射出成形によって、上記形状のカラー２３を内筒２１の外周面に一体成形することで得られたものである。より詳細には、成形型内に内筒２１を配設して、この状態で型閉めにより形成されたキャビティに溶融樹脂を射出することで、内筒２１の外周面にカラー２３が一体成形される。射出する樹脂としては、各種汎用樹脂が用いられるが、フランジ２３ａの強度や耐久性を考慮して繊維強化樹脂、特にガラス繊維を含有するナイロン樹脂であることが好ましい。

駆動側接続部材１３および従動側接続部材１５は、上記のように同心円上に等間隔をなして交互に配列されて、配列周方向において互いに隣接する接続部材１３、１５の間に跨って、それぞれポリエステル繊維などの合成繊維糸からなる補強コードを多層多列にループ状に巻回すことにより形成した無端の繊維束１７が装着されており、フランジ２３ａに沿わせてカラー２３の外周面上に巻き掛けられている。

そして、繊維束１７が巻き掛けられた接続部材１３、１５は、少なくとも両接続部材１３、１５の内孔部、すなわち内筒２１の内孔部が外部に露出するようにゴム状弾性体１９内へ埋設されて弾性的に結合される。

すなわち、ゴム状弾性体１９は、所定の成形型内に駆動側接続部材１３と従動側接続部材１５をセットし、更にカラー２３間に繊維束１７を巻き掛けた後、あるいは、両接続部材１３、１５に繊維束１７を巻き掛けてから所定の成形型内にセットした後に、かかる成形型にゴム材料を充填して加硫することにより、一体加硫成形される。

このゴム状弾性体１９は、断面略矩形であって正面略多角形や円形の環状をなすように成形されており、両接続部材１３、１５の間の中間部に材料の節減や捩りトルクが圧縮側に入力したときのゴムボリュームを逃がすための切欠２５が設けられている。

以上説明した本実施形態の弾性継手１０によれば、カラー２３が樹脂で構成されているため、従来の金属材で構成したものに比べ軽量化を図ることができる。しかも、樹脂製のカラー２３は射出成形によって内筒２１の外周面に一体成形されているため、繊維束１７の巻き掛け・加硫成形後の内筒圧入工程を省略することができる。すなわちカラー２３の成形工程と、カラー２３と内筒２１との一体化工程が、単一の工程によって同時に行われるため、圧入工程を削減して低コスト化を図ることができる。また、カラー２３を構成する樹脂として、本実施形態のようにガラス繊維を含有するナイロン樹脂を用いることにより、ツバ状に突出したフランジ２３ａの剛性を充分に確保することができる。

更に、本実施形態の弾性継手１０によれば、内筒２１の外周面におけるカラー２３による被覆部分には、径外方向へ突出する突部２１ａが設けられているため、カラー２３と一体化された状態で突部２１ａとカラー２３とが係合して、内筒２１の軸方向の荷重に対して内筒２１とカラー２３との位置ズレや抜けを防止することができる。

本発明は、自動車のドライブシャフト、プロペラシャフト等の動力伝達部分において、駆動軸から従動軸に回転トルクを伝達するための振動減衰機能を持つカップリングとして特に好適に使用できる。

本発明の一実施形態に係る弾性継手１０の正面図である。 （ａ）は図１のＡ−Ａ線断面図、（ｂ）は図１のＢ−Ｂ線断面図である。 接続部材の縦断面図である。 従来の弾性継手の一例を示す正面図である。 図４のＶ−Ｖ線断面図である。

符号の説明

１０……弾性継手
１３……駆動側接続部材
１５……従動側接続部材
１７……繊維束
１９……ゴム状弾性材
２１……内筒
２１ａ……突部（規制部）
２３……カラー
２３ａ……フランジ
２５……切欠

Claims (3)

1. 駆動軸に接続される筒状の駆動側接続部材と、従動軸に接続される筒状の従動側接続部材とを、それぞれ複数個、同心円上に交互に配列し、隣り合う駆動側接続部材と従動側接続部材との間に無端の繊維束を巻掛け、これらをゴム状弾性材に埋設してなる弾性継手において、
   各接続部材は、駆動軸又は従動軸に接続される金属製の内筒と、前記繊維束を外周面に保持する樹脂製のカラーとからなり、前記カラーが前記内筒の外周面に一体成形により設けられたことを特徴とする弾性継手。
2. 前記内筒の外周面に、前記内筒と前記カラーとの軸方向のズレを規制する規制部が設けられていることを特徴とする請求項１記載の弾性継手。
3. 前記カラーが、ガラス繊維を含有するナイロン樹脂からなることを特徴とする請求項１また２記載の弾性継手。
   

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